特許第5754302号(P5754302)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5754302
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】野縁保持具
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20150709BHJP
【FI】
   E04B5/58 R
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-184008(P2011-184008)
(22)【出願日】2011年8月25日
(65)【公開番号】特開2012-246747(P2012-246747A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2014年8月8日
(31)【優先権主張番号】特願2011-103089(P2011-103089)
(32)【優先日】2011年5月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】595165726
【氏名又は名称】株式会社内山産業
(73)【特許権者】
【識別番号】509045450
【氏名又は名称】樋浦 勝巳
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(72)【発明者】
【氏名】内山 政栄
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−026774(JP,A)
【文献】 特開2011−063983(JP,A)
【文献】 実開昭63−062512(JP,U)
【文献】 特開昭62−063738(JP,A)
【文献】 実開昭49−021927(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って溝部が形成された野縁部材に保持具本体を接続すると共に、前記保持具本体に天井より吊下げられた吊下げ部材を接続して、前記保持具本体を介して前記野縁部材を前記天井より吊下げ可能にする野縁保持具において、前記保持具本体は直交する一方の幅が、直交する他方の幅よりも長い平面がほぼ矩形な板状であって、前記一方の幅の両端部にそれぞれ設けられる前記保持具本体の第1の縁部の長手方向に沿って第1の野縁取付部が設けられると共に、この第1の野縁取付部は第1の前記溝部が広い第1の野縁部材に係止可能であり、前記他方の幅の両端部にそれぞれ設けられる前記保持具本体の第2の縁部の長手方向に沿って第2の野縁取付部が設けられると共に、この第2の野縁取付部は第2の前記溝部が狭い第2の野縁部材に係止可能に設けられることを特徴とする野縁保持具。
【請求項2】
前記第1の野縁取付部は、前記第1の縁部より略平行に立ち上げられ前記第1の溝部に挿入可能な一対の第1の立ち上げ部と、前記第1の立ち上げ部の先端を外側に折り曲げて前記第1の溝部両側の第1の野縁縁部の内面に前記第1の野縁部材の長手方向に沿って係合可能にそれぞれ設けられて前記第1の野縁部材を前記第1の溝部に沿ってスライド自在に保持する第1の係止部とを備え、前記第2の野縁取付部は、前記第2の縁部より略平行に立ち上げられ前記第2の溝部に挿入可能な一対の第2の立ち上げ部と、前記第2の立ち上げ部の先端を外側に折り曲げて前記第2の溝部両側の第2の野縁縁部の内面に前記第2の野縁部材の長手方向に沿って係合可能にそれぞれ設けられて前記第2の野縁部材を前記第2の溝部に沿ってスライド自在に保持する第2の係止部とを備えることを特徴とする請求項1記載の野縁保持具。
【請求項3】
前記保持具本体に前記吊下げ部材の下端が接続可能な接続手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の野縁保持具。
【請求項4】
前記接続手段は前記保持具本体の下面側に設けられていることを特徴とする請求項3記載の野縁保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井工事において天井材を設ける下地に使用される野縁部材を保持する野縁保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして保持具本体に、保持具本体と野縁部材の溝部とを係合可能にする野縁取付部と、保持具本体とその吊下げ部材とを接続可能にする天井接続手段とを備え、野縁取付部は、矩形の板体からなる保持具本体の対向する一対の両端部より略平行に設けられ、野縁部材の溝部に挿入可能な一対の第1の立ち上げ部と、第1の立ち上げ部の先端を外側に折り曲げて、野縁部材の溝部の両側縁部の内面に野縁部材の長手方向に沿って係合可能に設けられ、野縁部材を野縁部材の溝部に沿ってスライド自在に保持する第1の係止部とを備え、さらに保持具本体における幅方向における第1の係止部の内側に、該第1の係止部と同様な第2の係止部を設けたものが知られている。
【0003】
そして、幅が広い野縁部材には第1の係止部を利用して保持具を取り付け、逆に幅が狭い野縁部材には第2の係止部を利用して保持具を取り付けることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−26774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術においては、幅の広い野縁部材、幅の狭い野縁部材のいずれにも保持具を取り付けることができるものの、例えば第2の係止部を利用して幅が狭い野縁部材に取り付けた場合には、第1の係止部側が突出してしまい、第2の係止部の外側に余分のスペースを必要とし、省スペース化を図ることができない。
【0006】
解決しようとする問題点は、幅が広い野縁部材のみならず幅が狭い野縁部材にも取り付けが可能な野縁保持具において、取付状態において野縁保持具の周囲に無駄なスペースを要せずに省スペース化を図る点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明の野縁保持具は、長手方向に沿って溝部が形成された野縁部材に保持具本体を接続すると共に、前記保持具本体に天井より吊下げられた吊下げ部材を接続して、前記保持具本体を介して前記野縁部材を前記天井より吊下げ可能にする野縁保持具において、前記保持具本体は直交する一方の幅が、直交する他方の幅よりも長い平面がほぼ矩形な板状であって、前記一方の幅の両端部にそれぞれ設けられる前記保持具本体の第1の縁部の長手方向に沿って第1の野縁取付部が設けられると共に、この第1の野縁取付部は第1の前記溝部が広い第1の野縁部材に係止可能であり、前記他方の幅の両端部にそれぞれ設けられる前記保持具本体の第2の縁部の長手方向に沿って第2の野縁取付部が設けられると共に、この第2の野縁取付部は第2の前記溝部が狭い第2の野縁部材に係止可能に設けられることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明の野縁保持具は、請求項1において、前記第1の野縁取付部は、前記第1の縁部より略平行に立ち上げられ前記第1の溝部に挿入可能な一対の第1の立ち上げ部と、前記第1の立ち上げ部の先端を外側に折り曲げて前記第1の溝部両側の第1の野縁縁部の内面に前記第1の野縁部材の長手方向に沿って係合可能にそれぞれ設けられて前記第1の野縁部材を前記第1の溝部に沿ってスライド自在に保持する第1の係止部とを備え、前記第2の野縁取付部は、前記第2の縁部より略平行に立ち上げられ前記第2の溝部に挿入可能な一対の第2の立ち上げ部と、前記第2の立ち上げ部の先端を外側に折り曲げて前記第2の溝部両側の第2の野縁縁部の内面に前記第2の野縁部材の長手方向に沿って係合可能にそれぞれ設けられて前記第2の野縁部材を前記第2の溝部に沿ってスライド自在に保持する第2の係止部とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明の野縁保持具は、請求項1又は2において、前記保持具本体の中央に前記吊下げ部材の下端が接続可能な接続手段が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明の野縁保持具は、請求項3において、前記接続手段は前記保持具本体の下面側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、幅の異なる野縁部材を選択的に取付できると共に、野縁部材の外側に野縁保持具がはみ出るようなことはなく、省スペース化を図ることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、係止部と野縁縁部の接触部分にガタが生じる恐れを防止して、野縁保持具と野縁部材との係合状態を安定化させることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、接続手段によって吊下げ部材を簡単に接続することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、保持具本体の上面側を自由に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1を示す斜視図である。
図2】同第1の野縁部材に取り付けた状態の一部切り欠き斜視図である。
図3】同第2の野縁部材に取り付けた状態の一部切り欠き斜視図である。
図4】本発明の実施例2を示す一部切り欠き斜視図である。
図5】本発明の実施例3を示す斜視図である。
図6】同第1の野縁部材に取り付けた状態の一部切り欠き斜視図である。
図7】同第2の野縁部材に取り付けた状態の一部切り欠き斜視図である。
図8】同他の使用状態の斜視図である。
図9】本発明の実施例4を示す一部切り欠き斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0017】
図1〜3は実施例1を示しており、本実施例の野縁保持具1は、長手方向に沿って第1の溝部2が形成された断面略倒C形状の形鋼からなる第1の野縁部材3又は同じく第2の溝部4が形成された第2の野縁部材5と、天井6より垂設されて吊下げられた吊下げ部材としての吊下げボルト7とを接続可能に構成するものである。そして第1の野縁部材3、第2の野縁部材5の下面には天井材8が取り付けられるものであり、天井材8の種類や天井6の下地強度などに応じて第1の溝部2の第1の幅H1が広い第1の野縁部材3、第2の溝部4の第2の幅H2が狭い第2の野縁部材5が適宜使用されるようになっている。
【0018】
野縁保持具1は、平面がほぼ矩形状に形成されたステンレス鋼、アルミニウム等の金属製の薄板からなる保持具本体9は、直交する一方の幅W1の長さが、直交する他方の幅W2の長さよりも長く形成されている(W1>W2)。一方の幅W1は第1の幅H1よりわずかに小さく、また他方の幅W2は第2の幅H2よりわずかに小さく形成されている。そして、一方の幅W1の両端部にそれぞれ設けられる保持具本体9の第1の縁部10の長手方向に沿って第1の野縁取付部11が設けられる。この第1の野縁取付部11は、第1の野縁部材3の第1の溝部2の幅方向両側に設けられ断面略逆J型に形成された第1の野縁縁部12と係合可能に設けられている。他方の幅W2の両端部にそれぞれ設けられる保持具本体9の後述する第2の縁部の長手方向に沿って第2の野縁取付部13が設けられる。第2の野縁取付部13は、第2の野縁部材5の第2の溝部4の幅方向両側に設けられ断面略逆J型に形成された第2の野縁縁部14と係合可能に設けられている。
【0019】
第1の野縁取付部11は、保持具本体9の対向する第1の縁部10より略平行に下向きとなって立ち上げられ、すなわち第1の縁部10より下方に突設して第1の野縁部材3の第1の溝部2に挿入可能な一対の第1の立ち上げ部15と、それぞれの第1の立ち上げ部15の先端を互いの距離が離れるよう外側に折り曲げて断面略J型に形成し、第1の溝部2の両側の第1の野縁縁部12の内面に長手方向(図中、X方向)に沿って係合可能に設けられ、第1の野縁部材3を第1の溝部2に沿ってスライド自在に保持する第1の係止部16が設けられている。
【0020】
同様に、第2の野縁取付部13は、保持具本体9の対向する第2の縁部17より略平行に下向きとなって立ち上げられ、すなわち第2の縁部17より下方に突設して第2の野縁部材5の第2の溝部4に挿入可能な一対の第2の立ち上げ部18と、それぞれの第2の立ち上げ部18の先端を互いの距離が離れるよう外側に折り曲げて断面略J型に形成し、第2の溝部4の両側の第2の野縁縁部14の内面に長手方向(図中、Y方向)に沿って係合可能に設けられ、第2の野縁部材5を第2の溝部4に沿ってスライド自在に保持する第2の係止部19が設けられている。
【0021】
保持具本体9の略中央部分には、保持具本体9の上面と下面とを連通する本体側貫通部20を備えるとともに、吊下げボルト7に螺着可能な雌ねじ部材としてのナット21を本体側貫通部20と連通させた状態で保持具本体9に固定して天井接続手段22を構成している。このナット21は保持具本体9の上面に固着されており、本体側貫通部20の上方にナット21の貫通孔が連通するように設けられている。そして、吊下げボルト7とナット21を螺着することで、保持具本体9を天井6に吊下げ可能に構成している。
【0022】
さらに、平面がほぼ矩形の保持具本体9にあっては、その四隅の直角の角部は切り欠き部23が形成されている。
【0023】
次に、上記構成についてその作用を説明する。野縁保持具1の第1の立ち上げ部15を第1の野縁部材3の第1の溝部2に挿入して、第1の係止部16を第1の野縁縁部12の内面に第1の野縁部材3の長手方向(図中、X方向)に沿って係合させて、第1の野縁部材3を第1の野縁側溝部2に沿ってスライド自在に保持する。そして、このように組み立てられた第1の野縁部材3の下面部には天井6パネルなどの天井材8が取り付けられる。
【0024】
第2の幅H2が狭い第2の野縁部材5を利用するときも、同様に、野縁保持具1の第2の立ち上げ部18を第2の野縁部材5の第2の溝部4に挿入して、第2の係止部19を第2の野縁縁部14の内面に第2の野縁部材5の長手方向(図中、Y方向)に沿って係合させて、第2の野縁部材5を第2の野縁側溝部2に沿ってスライド自在に保持する。そして、このように組み立てられた第2の野縁部材5の下面部には天井6パネルなどの天井材8が取り付けられる。
【0025】
次に、前述の通りに組み立てられた野縁保持具1は、ナット21を天井6から垂設された吊下げボルト7に装着することによって天井6に接続される。
【0026】
以上のように本実施例は、一方の幅W1の両端部にそれぞれ設けられる保持具本体9の第1の縁部10の長手方向に沿って第1の野縁取付部11が設けられると共に、この第1の野縁取付部11は第1の溝部2が広い第1の野縁部材3に係止可能であり、他方の幅W2の両端部にそれぞれ設けられる保持具本体9の第2の縁部17の長手方向に沿って第2の野縁取付部14が設けられると共に、この第2の野縁取付部14は第2の溝部4が狭い第2の野縁部材5に係止可能に設けられることによって、保持具本体9を第1の野縁取付部11を介して第1の野縁部材3に取り付けでき、保持具本体9を第2の野縁取付部14を介して幅の狭い第2の野縁部材5に取り付けでき、一個の野縁保持具1で第1の野縁部材3、第2の野縁部材5のいずれをも取り付けることができる。さらに、保持具本体9を第2の野縁部材5に取り付けた場合、第2の野縁部材5の外側に野縁保持具1がはみ出るようなことはなく、省スペース化を図ることができる。
【0027】
また、本実施例では、第1の野縁取付部11は、矩形の板体からなる保持具本体9の対向する一対の第1の縁部10より略平行に立ち上げられ、第1の野縁部材3の第1の溝部2に挿入可能な一対の第1の立ち上げ部15と、第1の立ち上げ部15の先端を外側に折り曲げて、第1の野縁部材3の第1の溝部2の両側縁部としての第1の野縁縁部12の内面に第1の野縁部材3の長手方向(図中、X方向)に沿って係合可能に設けられ、第1の野縁部材3を第1の野縁側溝部2に沿ってスライド自在に保持する第1の係止部16とを備えて、野縁保持具1の第1の係止部16を第1の野縁縁部12の内面に第1の野縁部材3の長手方向(図中、X方向)に沿って係合させることで、第1の係止部16と第1の野縁縁部12の内面との接触面積を増大させて、第1の係止部16と第1の野縁縁部12の接触部分にガタが生じる恐れを防止して、野縁保持具1と第1の野縁部材3との係合状態を安定化させることができる。同様に、第2の野縁取付部13は、矩形の板体からなる保持具本体9の対向する一対の第2の縁部17より略平行に立ち上げられ、第2の野縁部材5の第2の溝部4に挿入可能な一対の第2の立ち上げ部18と、第2の立ち上げ部18の先端を外側に折り曲げて、第2の野縁部材5の第2の溝部4の両側縁部としての第2の野縁縁部14の内面に第2の野縁部材5の長手方向(図中、Y方向)に沿って係合可能に設けられ、第2の野縁部材5を第2の野縁側溝部2に沿ってスライド自在に保持する第2の係止部19とを備えて、野縁保持具1の第2の係止部19を第2の野縁縁部14の内面に第2の野縁部材5の長手方向(図中、X方向)に沿って係合させることで、第2の係止部19と第2の野縁縁部14の内面との接触面積を増大させて、第2の係止部19と第2の野縁縁部14の接触部分にガタが生じる恐れを防止して、野縁保持具1と第2の野縁部材5との係合状態を安定化させることができる。
【0028】
さらに、本実施例では、吊下げ部材を天井6より垂設されたボルトとしての吊下げボルト7とし、天井接続手段22を吊下げボルト7に螺着可能なナット21としており、吊下げボルト7とナット21により天井6と保持具本体9の接続を行う構造としたことで、保持具本体9はナット21を介して吊下げボルト7に上下動自在に構成されており、第1の野縁部材3や第2の野縁部材5の下面に取り付けられる天井材8の高さを例えばナット21が吊下げボルト7の先端に螺着した最低位置から、上面が天井6に当接する最高位置までの任意の高さに調整可能に構成されている。ナット21を回動動作によって、吊下げボルト7の軸方向におけるナット21の螺着位置を変位させ、野縁保持具1の垂直方向の位置を任意に変更させ、野縁保持具1の垂直方向の位置を均一に揃えることにより、野縁保持具1を水平に保持して、この野縁保持具1の下面部に取り付けられる天井材8を水平に保持することが可能となる。
【0029】
しかも、本実施例では、保持具本体9の角は、切り欠き部23が形成されているので、その箇所に指を差込むなどして保持具本体9を簡単に第1の野縁部材3、第2の野縁部材5に取り付けすることができる。
【実施例2】
【0030】
以下に、他の実施例について説明する。尚、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0031】
図4は実施例2を示しており、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施例2では、上端を天井6に接続する吊下げ部材をワイヤー24によって形成したもので、その下端に設けた雄螺子部材25をナット21に螺着することで、野縁保持具1を介して第2の野縁部材5を天井6より吊下げているものである。
【0032】
このように、吊下げ部材を可撓性なワイヤー24によって形成することで、例えば天井6が揺れたとしても、ワイヤー24によってその揺れを和らげることができる。また、ワイヤー24は可撓性であるため、取り付け作業性も向上することができる。
【実施例3】
【0033】
図5〜8は実施例3を示しており、本実施例の野縁保持具1´では、第1の野縁取付部11、第2の野縁取付部13を有する保持具本体9の略中央部分には、保持具本体9の上面と下面とを連通する本体側貫通部20を備えるとともに、吊下げボルト7に螺着可能な接続手段であって雌ねじ部材としてのナット21´を本体側貫通部20と連通させた状態で保持具本体9に固定して天井接続手段22´を構成している。この天井接続手段22´におけるナット21´は保持具本体9の下面に固着されており、本体側貫通部20の下方にナット21´の貫通孔が連通するように設けられている。そして、吊下げボルト7とナット21´を螺着することで、保持具本体9を天井6に吊下げ可能に構成している。
【0034】
さらに、平面がほぼ矩形の保持具本体9にあっては、その四隅の直角の角部は切り欠き部23が形成されている。
【0035】
次に、上記構成についてその作用を説明する。野縁保持具1の第1の立ち上げ部15を第1の野縁部材3の第1の溝部2に挿入して、第1の係止部16を第1の野縁縁部12の内面に第1の野縁部材3の長手方向(図中、X方向)に沿って係合させて、第1の野縁部材3を第1の野縁側溝部2に沿ってスライド自在に保持する。そして、このように組み立てられた第1の野縁部材3の下面部には天井6パネルなどの天井材8が取り付けられる。
【0036】
第2の幅H2が狭い第2の野縁部材5を利用するときも、同様に、野縁保持具1の第2の立ち上げ部18を第2の野縁部材5の第2の溝部4に挿入して、第2の係止部19を第2の野縁縁部14の内面に第2の野縁部材5の長手方向(図中、Y方向)に沿って係合させて、第2の野縁部材5を第2の野縁側溝部2に沿ってスライド自在に保持する。そして、このように組み立てられた第2の野縁部材5の下面部には天井6パネルなどの天井材8が取り付けられる。
【0037】
次に、前述の通りに組み立てられた野縁保持具1は、ナット21を天井6から垂設された吊下げボルト7に装着することによって天井6に接続される。この際、例えば図7に示すように消火用ノズル26を下端に装着した給水パイプ27あるいはそれに類する部材を支持するための細長な棒状部材28が保持具本体9の上面に載置するか、その上面よりやや上方に配置されている。そして、棒状部材28は吊下げボルト7に接触するか近接している。
【0038】
また、図8に示すように、ワイヤーなどの剛性を有する線状部材29により保持具本体9と棒状部材28を一体的に接続するようにしてもよい。実施例では、線状部材29のリング状をなした先端29Aを棒状部材28に巻き付けると共に、その中を中間部29Bを挿通させて、該先端29A側を棒状部材28に撓み状態で連結する。一方線状部材29の基端側29Cには雄螺子部材30の端面に連結されており、そして、雄螺子部材30をナット21´に螺着させている。
【0039】
したがって、図8においては、例えば野縁保持具(図示せず)を介して一体的に接続している野縁部材5と棒状部材28とが振動などにより離れたとしても、線状部材29によって野縁部材5は線状部材29に支持される吊り下げ状態となるので、落下することはない。
【0040】
以上のように本実施例は、吊下げボルト7の下端が接続可能なナット21´は保持具本体9の下面側に設けられていることにより、棒状部材28が保持具本体9の上面に載置したり、或いは上面より近接して上方に配置することができ、野縁保持具1´や棒状部材28、ひいては消火用ノズル26を下端に装着した給水パイプ27あるいはそれに類する部材を自由に配置することができる。
【実施例4】
【0041】
図9は実施例4を示しており、実施例4ではナット21´に螺着する雄螺子部材25´の上端面にワイヤーなどの線状部材24´を接続しており、線状部材24´の上端が天井6に接続している。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のように本発明に係る野縁保持具は、各種の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 1´ 野縁保持具
2 第1の溝部
3 第1の野縁部材
4 第2の溝部
5 第2の野縁部材
6 天井
7 吊下げボルト(吊下げ部材)
9 保持具本体
10 第1の縁部
11 第1の野縁取付部
12 第1の野縁縁部
13 第2の野縁取付部
14 第2の野縁縁部
15 第1の立ち上げ部
16 第1の係止部
17 第2の縁部
18 第2の立ち上げ部
19 第2の係止部
22 22´ 天井接続手段
X Y 方向
W1 一方の幅
W2 他方の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9