(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置決め部は、一つの前記エンドプレートの前記外周面または前記内周面において3個以上形成され、隣り合った前記位置決め部の間の円周上の距離が互いに異なっている請求項1記載の回転電機のロータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された電動モータのエンドプレートは、テーパ部が形成されているために、その表裏に方向性が発生することになる。すなわち、エンドプレートによってロータコアを挟持する場合に、エンドプレートの表裏が誤ってロータコアに組み付けられると、エンドプレートの外周縁がロータコアから離れる方向に反り返る。このため、ロータコアの外周部に対して押え荷重が働かなくなるため、ロータの回転にともなう遠心力によって、エンドプレートによるロータコアに対する保持力が不足する恐れがある。
【0005】
また、特許文献1に開示されたエンドプレートと異なり、外周部にテーパ部が形成されていない平板状のエンドプレートにおいても、通常、プレス工程の際に発生する外周縁のダレが形成されていない側の面をロータコア側に配置し、ロータコアを全面により押圧している。したがって、この場合にも、エンドプレートの表裏が誤ってロータコアに組み付けられると、エンドプレートによるロータコアに対する押圧力が不足することになる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エンドプレートの表裏が誤って組付けられることを防止することのできる回転電機のロータおよびロータの組付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る回転電機のロータの発明の構成は、ステータに対向して設けられ、ハウジングに回転可能に取り付けられた回転電機のロータであって、回転軸方向に複数のコア板が積層されて形成され、且つ複数の貫通孔が形成されたコア体と、環状をなし、コア体の積層方向の両端面に配置され、且つ複数の貫通孔が形成された一対のエンドプレートと、コア体および一対のエンドプレートに形成された複数の貫通孔に対し積層方向に挿入された後、両端部において双方のエンドプレートと係合する固定部材と、を備え、各エンドプレートの外周面または内周面には複数の位置決め部が形成され、固定部材をエンドプレートに係合させる場合に、エンドプレートの半径方向外方または半径方向内方には、対応する位置決め部と係合する位置決め受部が複数個設けられ、一方のエンドプレートの表裏が逆向きの状態でコア体の端面に配置された場合、位置決め部が設けられていないエンドプレートの外周面または内周面がいずれかの位置決め受部と当接する、または、位置決め受部が係合不能な位置決め部に対し当接する、もしくは、コア体の貫通孔とエンドプレートの貫通孔の相対位置が円周上においてずれる、ことによって、エンドプレートとコア体との組付けが不能となり、エンドプレートとコア体とが組付けられた状態において、一方のエンドプレートの一つの位置決め部は、他方のエンドプレートのいずれかの位置決め部に対して、回転軸を挟んで半径方向に対向した位置に配置されることである。
【0007】
請求項2に係る発明の構成は、請求項1の回転電機のロータにおいて、位置決め部は、一つのエンドプレートの外周面または内周面において3個以上形成され、隣り合った位置決め部の間の円周上の距離が互いに異なっていることである。
【0008】
請求項3に係る発明の構成は、請求項1の回転電機のロータにおいて、位置決め部は、一つのエンドプレートの外周面または内周面において2個形成され、一つのエンドプレートに形成された位置決め部の大きさおよび形状のうちの少なくともいずれかは、双方の位置決め部の間において互いに異なっていることである。
【0009】
請求項4に係る発明の構成は、請求項1の回転電機のロータにおいて、位置決め部は、一つのエンドプレートの外周面または内周面において2個形成され、一方の位置決め部から回転軸に下した垂線と、当該位置決め部に対して最も近い貫通孔から回転軸に下した垂線とによって形成される角度が、他方の位置決め部から回転軸に下した垂線と、当該位置決め部に対して最も近い貫通孔から回転軸に下した垂線とによって形成される角度に対し異なっていることである。
【0010】
請求項5に係る回転電機のロータの組付方法の発明の構成は、ステータに対向して設けられ、ハウジングに回転可能に取り付けられた回転電機のロータの組付方法であって、回転軸方向に複数のコア板を積層してコア体を形成する積層工程と、コア体の積層方向の両端面に一対のエンドプレートを配置し、固定部材をコア体および一対のエンドプレートに形成された複数の貫通孔に対し積層方向に挿入した後、固定部材の両端部を双方のエンドプレートと係合して、エンドプレートとコア体とを固定する固定工程と、を備え、固定工程において、エンドプレートの半径方向外方または半径方向内方には複数の位置決め受部が設けられ、位置決め受部は、エンドプレートの外周面または内周面に形成された複数の位置決め部と係合し、一方のエンドプレートの表裏が逆向きの状態でコア体の端面に配置された場合、位置決め部が設けられていないエンドプレートの外周面または内周面がいずれかの位置決め受部と当接する、または、位置決め受部が係合不能な位置決め部に対し当接する、もしくは、コア体の貫通孔とエンドプレートの貫通孔の相対位置が円周上においてずれる、ことによって、エンドプレートとコア体との組付けが不能となり、エンドプレートとコア体とが組付けられた状態において、一方のエンドプレートの一つの位置決め部は、他方のエンドプレートのいずれかの位置決め部に対して、回転軸を挟んで半径方向に対向した位置に配置されることである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る回転電機のロータによれば、固定部材をエンドプレートに係合させる場合に、エンドプレートの半径方向外方または半径方向内方には、対応する位置決め部と係合する位置決め受部が複数個設けられ、一方のエンドプレートの表裏が逆向きの状態でコア体の端面に配置された場合、位置決め部が設けられていないエンドプレートの外周面または内周面がいずれかの位置決め受部と当接する、または、位置決め受部が係合不能な位置決め部に対し当接する、もしくは、コア体の貫通孔とエンドプレートの貫通孔の相対位置が円周上においてずれる、ことによって、エンドプレートとコア体との組付けが不能となるため、エンドプレートの表裏が逆向きの状態でコア体に組み付けられることが防止される。
【0012】
また、エンドプレートとコア体とが組付けられた状態において、一方のエンドプレートの一つの位置決め部は、他方のエンドプレートのいずれかの位置決め部に対して、回転軸を挟んで半径方向に対向した位置にあることによって、ロータにおける円周上の各部位間の重量バランスを向上させ、ロータの回転にともなう振動、騒音を低減し、ロータの回転を安定させることができる。
【0013】
請求項2に係る回転電機のロータによれば、位置決め部は、一つのエンドプレートの外周面または内周面において3個以上形成され、隣り合った位置決め部の間の円周上の距離が互いに異なっていることによって、エンドプレートの表裏が逆向きに載置された場合、位置決め部が設けられていないエンドプレートの外周面または内周面がいずれかの位置決め受部と当接するため、確実にエンドプレートとコア体との組付けを防止することができる。
【0014】
請求項3に係る回転電機のロータによれば、位置決め部は、一つのエンドプレートの外周面または内周面において2個形成され、一つのエンドプレートに形成された位置決め部の大きさおよび形状のうちの少なくともいずれかは、双方の位置決め部の間において互いに異なっていることによって、エンドプレートの表裏が逆向きに載置された場合、位置決め受部が係合不能な位置決め部に対し当接するため、確実にエンドプレートとコア体との組付けを防止することができる。
【0015】
請求項4に係る回転電機のロータによれば、位置決め部は、一つのエンドプレートの外周面または内周面において2個形成され、一方の位置決め部から回転軸に下した垂線と、当該位置決め部に対して最も近い貫通孔から回転軸に下した垂線とによって形成される角度が、他方の位置決め部から回転軸に下した垂線と、当該位置決め部に対して最も近い貫通孔から回転軸に下した垂線とによって形成される角度に対し異なっていることによって、エンドプレートの表裏が逆向きに載置された場合、貫通孔の位置が円周上においてずれるため、確実にエンドプレートとコア体との組付けを防止することができる。
【0016】
請求項5に係る回転電機のロータの組付方法によれば、固定工程において、エンドプレートの半径方向外方または半径方向内方には複数の位置決め受部が設けられ、位置決め受部は、エンドプレートの外周面または内周面に形成された複数の位置決め部と係合し、一方のエンドプレートの表裏が逆向きの状態でコア体の端面に配置された場合、位置決め部が設けられていないエンドプレートの外周面または内周面がいずれかの位置決め受部と当接する、または、位置決め受部が係合不能な位置決め部に対し当接する、もしくは、コア体の貫通孔とエンドプレートの貫通孔の相対位置が円周上においてずれる、ことによって、エンドプレートとコア体との組付けが不能となることによって、エンドプレートの表裏が逆向きの状態でコア体に組み付けられることが防止される。
【0017】
また、エンドプレートとコア体とが組付けられた状態において、一方のエンドプレートの一つの位置決め部は、他方のエンドプレートのいずれかの位置決め部に対して、回転軸を挟んで半径方向に対向した位置に配置されることによって、ロータにおける円周上の各部位間の重量バランスを向上させ、ロータの回転にともなう振動、騒音を低減し、ロータの回転を安定させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
図1乃至
図8に基づき、本発明の実施形態1による電動モータ1のロータ4について説明する。
本実施形態による電動モータ1(回転電機に該当する)は、ハイブリッド車両の車輪駆動用の同期モータであって、エンジンと接続されたクラッチ装置とトランスミッションとの間に介装されている(エンジン、クラッチ装置およびトランスミッションは図示せず)。しかしながら、本発明はこれに限定されるべきものではなく、家庭用電器に設けられるモータあるいは一般的な産業用機械を駆動するモータといった、あらゆる電動モータに適用することが可能である。尚、説明中において回転軸方向あるいは軸方向という場合、特に断らなければ、電動モータ1の回転軸Cに沿った方向、すなわち
図1における左右方向を意味する。
【0020】
図1に示すように、モータハウジング2(ハウジングに該当する)はアルミニウム合金等により一体に形成され、電動モータ1のステータ3およびロータ4を内蔵している。モータハウジング2の前方にはエンジンが取り付けられ、モータハウジング2の後方にはトランスミッションが配設されている。
モータハウジング2の内周部には、電動モータ1のステータ3が、スクリュー34により取り付けられている。ステータ3の複数のコア31には、それぞれ回転磁界発生用のコイル32が巻回されている。コイル32は、バスリング33を介して外部のインバータ(図示せず)と接続されている。
【0021】
また、ステータ3の半径方向内方には、電動モータ1のロータ4が配置されている。ロータ4は、ステータ3と所定のギャップを保持しながら対向するように設けられている。ロータ4は、複数の積層鋼板42(コア板に該当する)が、回転軸C方向に積層されて形成されたコア体41を含んでいる。
コア体41の両端面を一対の板状のエンドプレート43、44により積層方向に挟んだ状態で、締結ピン45(固定部材に該当する)がエンドプレート43、44とともにコア体41に対し積層方向に貫通している。締結ピン45の端部をかしめることにより、両端部を双方のエンドプレート43、44と係合させて、エンドプレート43、44が互いに離れることを防止することにより、エンドプレート43、44によってコア体41を挟持させている。また、ロータ4の円周上には、20極の界磁極用マグネット46が設けられている(
図6示)。
【0022】
第1エンドプレート43は略リング状に形成され、締結ピン45が挿入される20個のかしめ孔431(貫通孔に該当する)が、円周上において均等間隔に位置するように貫通している(
図2示)。
また、第2エンドプレート44も略リング状に形成され、その外周面442は第1エンドプレート43の外周面432と同径に形成されている。第2エンドプレート44には、第1エンドプレート43の各々のかしめ孔431の位置と一致するように、20個のピン穴441(貫通孔に該当する)が、円周上において均等間隔に位置するように貫通している(
図3示)。
【0023】
第2エンドプレート44は、ピン穴441が形成された部位から半径方向内方へと延びており、その内周面443は第1エンドプレート43の内周面433よりも小径に形成されている。第2エンドプレート44において、ピン穴441と内周面443との間には複数のボルト孔444が貫通している。ボルト孔444は、連結ボルト(図示せず)によって、第2エンドプレート44の内周部を図示しないドラム部材と接続するために設けられている。第2エンドプレート44は、ドラム部材を介してモータハウジング2に対して回転可能に取り付けられている。
【0024】
上述した構成を備えた電動モータ1において、車両バッテリ(図示せず)からインバータを介して、コイル32に対し例えば三相の交流電流が供給される。これにより、ステータ3において回転磁界が発生し、回転磁界に起因する吸引力または反発力によって、ステータ3に対しロータ4が回転される。
【0025】
図2に示すように、第1エンドプレート43の外周面432には、3個の切欠部434a、434b、434c(位置決め部に該当する)が形成されている。切欠部434aは、隣り合ったかしめ孔431同士の中間位置から回転軸Cへ下した垂線e上に配置されている。また、切欠部434bは、隣り合ったかしめ孔431同士の中間位置から回転軸Cへ下した垂線f上に配置されている。さらに、切欠部434cは、隣り合ったかしめ孔431同士の中間位置から回転軸Cへ下した垂線g上に配置されている。
切欠部434a、434b、434cは、すべて同じ形状、かつ同じ大きさに形成されており、後述する第1位置決めピン82a、82b、82c(
図6示)と係合可能なように、外周面432を略弧状に切り欠いたような形状を呈している。
【0026】
切欠部434aから回転軸Cへ下した垂線eと、切欠部434bから回転軸Cへ下した垂線fによって形成される角度は90°、切欠部434bから回転軸Cへ下した垂線fと、切欠部434cから回転軸Cへ下した垂線gによって形成される角度は108°、切欠部434cから回転軸Cへ下した垂線gと、切欠部434aから回転軸Cへ下した垂線eによって形成される角度は162°を成し、隣り合った切欠部434a、434b、434c同士の間の円周上の距離が互いにすべて異なっている。
【0027】
一方、
図3に示すように、第2エンドプレート44の外周面442にも、3個の切欠部445a、445b、445c(位置決め部に該当する)が形成されている。切欠部445aは、隣り合ったピン穴441同士の中間位置から回転軸Cへ下した垂線i上に配置されている。また、切欠部445bは、隣り合ったピン穴441同士の中間位置から回転軸Cへ下した垂線j上に配置されている。さらに、切欠部445cは、隣り合ったピン穴441同士の中間位置から回転軸Cへ下した垂線k上に配置されている。
切欠部445a、445b、445cは、すべて同じ形状、かつ同じ大きさに形成されており、後述する第2位置決めピン83a、83b、83c(
図6示)と係合可能なように、外周面442を略弧状に切り欠いたような形状を呈している。
【0028】
切欠部445aから回転軸Cへ下した垂線iと、切欠部445bから回転軸Cへ下した垂線jによって形成される角度は162°、切欠部445bから回転軸Cへ下した垂線jと、切欠部445cから回転軸Cへ下した垂線kによって形成される角度は108°、切欠部445cから回転軸Cへ下した垂線kと、切欠部445aから回転軸Cへ下した垂線iによって形成される角度は90°を成し、隣り合った切欠部445a、445b、445c同士の間の円周上の距離が互いにすべて異なっている。
【0029】
次に、
図4乃至
図6に基づき、ロータ4の組付方法について説明する。
最初に、回転軸C方向に複数の積層鋼板42を積層して、界磁極用マグネット46を含んだコア体41を形成する(
図4示、積層工程)。
【0030】
次に、台座81上に第2エンドプレート44を置き、その上にコア体41を載せ、さらにコア体41上に第1エンドプレート43を載置する(
図5示)。これにより、コア体41の積層方向の両端面に、第1エンドプレート43および第2エンドプレート44が配置される。この時、界磁極用マグネット46の幅方向中心から回転軸Cへ下した垂線と同一の円周上位置に、かしめ孔431およびピン穴441が位置するようにエンドプレート43、44が載置される(
図6示)。以下、界磁極用マグネット46の幅方向中心から回転軸Cへ下した垂線をd軸、隣り合った界磁極用マグネット46同士の中間位置から回転軸Cへ下した垂線をq軸とする。
【0031】
この状態において、締結ピン45をエンドプレート43、44に形成された複数のかしめ孔431、ピン穴441およびコア体41に対し積層方向に挿入した後、締結ピン45の両端部をかしめる。これにより、締結ピン45の両端部を双方のエンドプレート43、44と係合させて、エンドプレート43、44が互いに離れることを防止し、エンドプレート43、44によってコア体41を挟持させる(
図5示、固定工程)。
【0032】
上述した固定工程において、第1エンドプレート43の半径方向外方には3個の第1位置決めピン82a、82b、82c(位置決め受部に該当する)が設けられている(
図6示)。第1位置決めピン82a、82b、82cは、第1エンドプレート43より上位置から下方に向かって突出し、第1エンドプレート43の下端面まで延びている。各々の第1位置決めピン82a、82b、82cは、第1エンドプレート43の外周面432に形成された切欠部434a、434b、434cと係合し、第1エンドプレート43の円周方向の位置決めを行う。
【0033】
また、第2エンドプレート44の半径方向外方には3個の第2位置決めピン83a、83b、83c(位置決め受部に該当する)が設けられている(
図6示)。第2位置決めピン83a、83b、83cは、第2エンドプレート44より下位置から上方に向かって突出し、第2エンドプレート44の上端面まで延びている。各々の第2位置決めピン83a、83b、83cは、第2エンドプレート44の外周面442に形成された切欠部445a、445b、445cと係合し、第2エンドプレート44の円周方向の位置決めを行う。
【0034】
図6に示したように、第1エンドプレート43の一つの切欠部434aは、第2エンドプレート44の切欠部445bに対して、回転軸Cを挟んで半径方向に対向した位置に配置される。
また、第2エンドプレート44の一つの切欠部445aは、第1エンドプレート43の切欠部434cに対して、回転軸Cを挟んで半径方向に対向した位置に配置される。
【0035】
図7に示したように、固定工程において、第1エンドプレート43の表裏が逆向きの状態でコア体41の端面に配置しようとする場合、3個のうち一つの第1位置決めピン82aは、切欠部434aと係合することが可能である。しかしながら、残りの二つの第1位置決めピン82b、82cが切欠部434a、434b、434cが設けられていない外周面432と当接する(
図7においてXにて示す)ことによって、第1エンドプレート43を載置することができず、第1エンドプレート43とコア体41との組付けが不能となる。
【0036】
また、
図8に示したように、固定工程において、第2エンドプレート44の表裏が逆向きの状態でコア体41の端面に配置しようとする場合、3個のうち一つの第2位置決めピン83aは、切欠部445aと係合することが可能である。しかしながら第1エンドプレート43と同様に、残りの二つの第2位置決めピン83b、83cが切欠部445a、445b、445cが設けられていない外周面442と当接する(
図8においてYにて示す)ことによって、第2エンドプレート44を載置することができず、第2エンドプレート44とコア体41との組付けが不能となる。
【0037】
本実施形態によれば、締結ピン45をエンドプレート43、44に係合させる場合に、エンドプレート43、44の半径方向外方には、切欠部434a、434b、434c、445a、445b、445cと係合する複数の位置決めピン82a、82b、82c、83a、83b、83cが設けられ、少なくとも一方のエンドプレート43、44の表裏が逆向きの状態でコア体41の端面に配置された場合、切欠部434a、434b、434c、445a、445b、445cが設けられていないエンドプレート43、44の外周面432、442がいずれかの位置決めピン82a、82b、82c、83a、83b、83cと当接することによって、エンドプレート43、44とコア体41との組付けが不能となることによって、エンドプレート43、44の表裏が逆向きの状態でコア体41に組み付けられることが防止される。
【0038】
また、エンドプレート43、44とコア体41とが組付けられた状態において、第1エンドプレート43の切欠部434aが、第2エンドプレート44の切欠部445bに対して、回転軸Cを挟んで半径方向に対向した位置にあり、第2エンドプレート44の切欠部445aが、第1エンドプレート43の切欠部434cに対して、回転軸Cを挟んで半径方向に対向した位置にあることによって、ロータ4における円周上の各部位間の重量バランスを向上させ、ロータ4の回転にともなう振動、騒音を低減し、ロータ4の回転を安定させることができる。
【0039】
また、切欠部434a、434b、434c、445a、445b、445cは、一つのエンドプレート43、44の外周面432、442において3個形成され、隣り合った切欠部434a、434b、434c、445a、445b、445cの間の円周上の距離が互いにすべて異なっていることによって、エンドプレート43、44の表裏が逆向きに載置された場合、切欠部434a、434b、434c、445a、445b、445cが設けられていないエンドプレート43、44の外周面432、442がいずれかの位置決めピン82a、82b、82c、83a、83b、83cと当接するため、確実にエンドプレート43、44とコア体41との組付けを防止することができる。
【0040】
<実施形態2>
図9および
図10に基づき、実施形態2による第1エンドプレート51について説明する。
図9に示したように、第1エンドプレート51の外周面511には、2個の切欠部512a、512bが形成されている。切欠部512aは、かしめ孔513同士の中間位置から回転軸Cへ下した垂線(q軸)上に配置されている。また、切欠部512bも、かしめ孔513同士の中間位置から回転軸Cへ下した垂線(q軸)上に配置されている。
【0041】
切欠部512a、512bは、それぞれ第1位置決めピン84a、84bと係合可能なように、外周面511を略弧状に切り欠いたような形状を呈している。
図9に示すように、第1位置決めピン84bは第1位置決めピン84aに対し、その軸方向に垂直な断面形状がはるかに大きく形成されている。したがって、係合する第1位置決めピン84bの大きさに対応して、切欠部512bの幅および深さは、切欠部512aに対して大きく形成されている。
【0042】
図10に示したように、第1エンドプレート51の表裏が逆向きに載置された場合、大きく形成された第1位置決めピン84bが、係合不能な小さな切欠部512aに対し当接する(
図10においてZにて示す)ことによって、第1エンドプレート51を載置することができず、第1エンドプレート51とコア体41との組付けが不能となる。
本実施形態による第1エンドプレート51および第2エンドプレート(図示せず)との間において、一方に形成された切欠部が他方に形成された切欠部に対して、回転軸Cを挟んで半径方向に対向した位置にあることは、実施形態1と同様である。
【0043】
以上、第1エンドプレート51について説明したが、本実施形態は第2エンドプレートに適用してもよい。
上述した実施形態においては、係合する第1位置決めピン84a、84bに対応させて、双方の切欠部512a、512bの間で大きさのみを異ならせているが、その形状および大きさのうち、少なくともいずれかを異ならせればよい。
【0044】
本実施形態によれば、切欠部512a、512bは、第1エンドプレート51の外周面511において2個形成され、切欠部512bは切欠部512aに対して大きく形成されていることによって、第1エンドプレート51の表裏が逆向きに載置された場合、大きく形成された第1位置決めピン84bが係合不能な小さな切欠部512aに対し当接するため、確実に第1エンドプレート51とコア体41との組付けを防止することができる。
【0045】
<実施形態3>
図11および
図12に基づき、実施形態3による第1エンドプレート61について説明する。
図11に示したように、第1エンドプレート61の外周面611には、2個の切欠部612a、612bが形成されている。切欠部612aは、かしめ孔613同士の中間位置から回転軸Cへ下した垂線(q軸)上に配置されている。一方、切欠部612bは、一つのかしめ孔613から回転軸Cへ下した垂線(d軸)上に配置されている。
【0046】
したがって、換言すれば、一方の切欠部612aから回転軸Cに下した垂線sと、当該切欠部612aに対して最も近いかしめ孔613から回転軸Cに下した垂線tとによって形成される角度αが、他方の切欠部612bから回転軸Cに下した垂線uと、当該切欠部612bに対して最も近いかしめ孔613から回転軸Cに下した垂線vとによって形成される角度β(本実施形態においては0°)に対し異なっている(
図11示)。
切欠部612a、612bは、互いに同じ形状、かつ同じ大きさに形成されており、第1位置決めピン85a、85b(
図11示)と係合可能なように、外周面611を略弧状に切り欠いたような形状を呈している。
【0047】
図12に示したように、第1エンドプレート61の表裏が逆向きに載置された場合、双方の第1位置決めピン85a、85bに対し、切欠部612a、612bが、それぞれ係合可能であるが、第1エンドプレート61の表裏が正規の状態にある場合に比べ、すべてのかしめ孔613の位置が円周上において(締結ピン45が挿入されるコア体41の貫通孔に対して相対的に)ずれることによって、第1エンドプレート61に締結ピン45を挿入することができず、第1エンドプレート61とコア体41との組付けが不能となる。
本実施形態による第1エンドプレート61および第2エンドプレート(図示せず)との間において、一方に形成された切欠部が他方に形成された切欠部に対して、回転軸Cを挟んで半径方向に対向した位置にあることは、実施形態1と同様である。
【0048】
以上、第1エンドプレート61について説明したが、本実施形態は第2エンドプレートに適用してもよい。
また、上述した実施形態において、切欠部612a、612bは、それぞれq軸およびd軸上に形成されていたが、一方の切欠部612aから回転軸Cに下した垂線sと、当該切欠部612aに対して最も近いかしめ孔613から回転軸Cに下した垂線tとによって形成される角度αが、他方の切欠部612bから回転軸Cに下した垂線uと、当該切欠部612bに対して最も近いかしめ孔613から回転軸Cに下した垂線vとによって形成される角度βに対し異なっていれば、必ずしも、d軸またはq軸上に形成されている必要はない。
【0049】
本実施形態によれば、切欠部612a、612bが、第1エンドプレート61の外周面611において2個形成され、一方の切欠部612aは、かしめ孔613同士の中間位置から回転軸Cへ下した垂線s上に配置され、他方の切欠部612bは、一つのかしめ孔613から回転軸Cへ下した垂線u上に配置されていることによって、第1エンドプレート61の表裏が逆向きに載置された場合、かしめ孔613の位置が円周上においてずれるため、確実に第1エンドプレート61とコア体41との組付けを防止することができる。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
切欠部434a、434b、434c、445a、445b、445cを、エンドプレート43、44の内周面433、443に形成するとともに、位置決めピン82a、82b、82c、83a、83b、83cをエンドプレート43、44の半径方向内方に配置してもよい(
図13において、第1エンドプレート43についてのみ示す)。こうすることにより、ロータ4の組付装置を小型化することができる。
【0051】
また、実施形態1において、エンドプレート43、44の双方あるいはいずれかに、切欠部434a、434b、434c、445a、445b、445cを4個以上形成し、第1位置決めピン82a、82b、82cあるいは第2位置決めピン83a、83b、83cを4個以上設けてもよい。
また、エンドプレート43、44側に凸部を形成し、エンドプレート43、44の半径方向外方または半径方向内方に凸部と係合する固定された凹部を形成することによって、固定工程におけるエンドプレート43、44の円周方向の位置決めを行ってもよい。
【0052】
また、エンドプレート43、44およびコア体41に対し、締結ピン45に代えてボルトを貫通させ、貫通させたボルトをナットに締め付けることによって、エンドプレート43、44によりコア体41を挟持させてもよい。
また、本発明による電動モータ1は、同期モータ、誘導モータ、直流モータあるいはそれ以外のあらゆる回転電機に適用可能である。
また、本発明による電動モータ1は、電動機としてのみ使用してもよいし、発電機としてのみ使用してもよい。