(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記データ送信部は、前記変換指示送信部から前記第1映像データを第2の圧縮方法により圧縮される第2映像データに変換するための指示を送信する場合、前記データ形式変換部の処理能力に応じた所定のデータ転送速度を超えない速度でデータ送信を行うべく、データ送信速度を調整する調整部を備えることを特徴とする請求項1に記載の映像データ記憶システム。
前記記憶装置は、前記変換指示送信部からの指示がない場合に前記ホスト機器から送信される第1映像データを前記第2映像データに変換することなく前記記憶媒体に保存することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の映像データ記憶システム。
前記第1の圧縮方法は、MPEG−2であり、前記第2の圧縮方法は、H.264であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の映像データ記憶システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、記憶装置が単独でトランスコードを行うとともにトランスコードされた映像データを記憶する場合、記憶された映像データをホスト機器側において認識することができない。このため、ホスト機器側に搭載された機能によっては、記憶装置に記憶された映像データを再生・削除等することができないなど、映像データの管理に支障を来たすという問題が生じる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、映像データの長時間記憶を実現することができるとともに、ホスト機器に接続された記憶装置が映像データをトランスコードする場合であってもホスト機器がその映像データを認識して管理することのできる映像データ記憶システム、記憶装置、及び、映像データ記憶方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記課題を解決するのに有効な各種の手段を、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
【0011】
手段1.ホスト機器と前記ホスト機器に接続される記憶装置とを備え、
前記ホスト機器は、
第1の圧縮方法により圧縮された第1映像データを前記記憶装置に送信するデータ送信部と、
前記記憶装置に前記第1映像データを第2の圧縮方法により圧縮される第2映像データに変換するための指示を送信する変換指示送信部と、
を備え、
前記記憶装置は、
前記変換指示送信部から送信される指示に応じて、前記データ送信部から送信される前記第1映像データを前記第2の圧縮方法により前記第2映像データに変換するデータ形式変換部と、
前記第2映像データを前記ホスト機器に送信する第2映像データ送信部と、
各種データを記憶する記憶媒体と、
を備え、
前記ホスト機器は、更に、
前記第2映像データ送信部から送信された前記第2映像データを前記記憶媒体に書き込むデータ書き込み部と、
前記データ書き込み部により前記記憶媒体に書き込まれる前記第2映像データを管理するデータ管理部と、
を備えることを特徴とする映像データ記憶システム。
【0012】
手段1によれば、ホスト機器から第1映像データが送信されかつ第2映像データへの変換指示が送信されると、記憶装置の有するデータ形式変換部を用いて第1映像データが第2映像データに変換される。この変換後の第2映像データを保存することで、データの保存先である記憶装置の記憶媒体の記憶容量を効率よく使用することが可能となる。ここで、記憶装置側で第2映像データに変換された後、記憶装置は内蔵の記憶媒体へそのまま保存するのではなく、一旦、ホスト機器に送信する。これを受けたホスト機器が、変換後の第2映像データと変換後のデータの保存先を示す管理情報とを記憶装置に書き込むことで、ホスト機器のデータ管理部が記憶装置の備える記憶媒体に記憶された第2映像データを認識し、管理することが可能になる。
【0013】
手段2.前記データ送信部は、前記変換指示送信部から前記第1映像データを第2の圧縮方法により圧縮される第2映像データに変換するための指示を送信する場合、前記データ形式変換部の処理能力に応じた所定のデータ転送速度を超えない速度でデータ送信を行うべく、データ送信速度を調整する調整部を備えることを特徴とする手段1に記載の映像データ記憶システム。
【0014】
データ形式変換部は、受信した第1映像データをキャッシュし、第2映像データに変換する。ここで、ホスト機器の処理状況によっては、データ送信部が記憶装置へ送信するデータ量が短期間で急激に増大し、データ形式変換部のキャッシュがあふれるおそれがある。ここで、手段2に開示の映像データ記憶システムを用い、所定のデータ転送速度を超えない速度で記憶装置へデータ送信を行うことで、データ形式変換部のキャッシュあふれを防止することが可能となる。
【0015】
手段3.前記データ形式変換部は、前記第2映像データへの変換に適用可能な一又は複数の圧縮率を前記ホスト機器へ通知し、
前記変換指示送信部は、前記通知された一又は複数の圧縮率の中から一の圧縮率を指定して前記第1映像データから前記第2映像データへの変換の指示を前記データ形式変換部へ送信することを特徴とする手段1又は2に記載の映像データ記憶システム。
【0016】
手段3によれば、ホスト機器がデータ形式変換部で行う圧縮率を認識し映像データの管理を行うことが可能となる。また、データ形式変換部が複数の圧縮率での圧縮が可能な場合、ユーザによる圧縮率の選択が可能となる。また、記憶装置の備える記憶媒体の残り容量が少ない場合に、圧縮率を高く選択することが可能となる。
【0017】
手段4.前記記憶装置は、前記変換指示送信部からの指示がない場合に前記ホスト機器から送信される第1映像データを前記第2映像データに変換することなく前記記憶媒体に保存することを特徴とする手段1〜3のいずれかに記載の映像データ記憶システム。
【0018】
手段4によれば、変換指示送信部からの指示がない場合には、第2映像データへの変換を行わずに第1映像データがそのまま記憶装置の記憶媒体に記憶される。この場合、第1映像データの送信元であるホスト機器が当該第1映像データを当然に認識し、管理可能な状態にあるため、第2映像データへの変換の場合とは異なり、ホスト機器側へ転送する必要がない。これにより、ホスト機器は第1映像データ及び第2映像データのいずれを記憶装置に記憶させる場合であっても、各映像データを認識し、管理することが可能となる。
【0019】
以上説明した前記第1の圧縮方法はMPEG−2形式による圧縮であり、前記第2の圧縮方法はH.264形式による圧縮であることが、代表例の一つとして想定されている。また、上記各手段について映像データ記憶システムを前提に説明したが、映像データ記憶方法として提供しても、上記課題を解決することができる。また、記憶装置単体を提供することにより、上記課題に対応することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
A−1.ハードウェア構成について
以下、映像データ記憶システムの実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る映像データ記憶システムでは、ホスト機器2とリモコン3と記憶装置10とを備えている。
【0022】
ホスト機器2には、記憶装置10がUSB(Univerasal Serial Bus)2.0により接続されている。ここで、ホスト機器2は例えば、テレビ、HDDレコーダー、STBなどである。USB2.0は接続インターフェースの一例であり、USB3.0やIEEE1394などでもよい。なお、ホスト機器2と記憶装置10間の接続インターフェースは、ホスト機器2と記憶装置10との間で映像データを送受信できる程度の通信帯域を確保する必要がある。リモコン3は、ホスト機器2と例えば無線により通信を行い、ユーザの操作に応じてホスト機器2に対し各種の指示を与える。
【0023】
A−2.ホスト機器2の構成について
ホスト機器2は、電波受信部20、制御部21、内蔵HDD22、リモコン受信部23、表示部24を備えている。電波受信部20、内蔵HDD22、リモコン受信部23、表示部24は、制御部21に接続されている。電波受信部20は、放送波として伝送される映像信号を受信し、制御部21に映像データとして送信する。なお、電波受信部20が受信し、送信する映像データはMPEG−2形式で符号化され、MPEG−2 Transport Stream(TS)形式で多重化されている。制御部21は、FlashROM211、RAM212、CPU213、USBコントローラ214を備えている。FlashROM211、RAM212、USBコントローラ214は、CPU213に接続されている。CPU213は、FlashROM211に保存されるプログラムをRAM212上に読み出し実行する。また、USBコントローラ214は、ホスト機器2に接続されるUSB機器を制御する。ホスト機器2は、受信した映像データを内蔵HDD22及び記憶装置10に保存する。
【0024】
制御部21は、内蔵HDD22及び記憶装置10を制御するために用いられるデバイスドライバ2131を備えている。制御部21は、デバイスドライバ2131を用いて内蔵HDD22及び記憶装置10にコマンドを送信し、内蔵HDD22及び記憶装置10に対して電波受信部20から受信する映像データを書き込むデータ書き込み部2133としての機能を有する。また、制御部21は、データ書き込み部2133が書き込んだ映像データをファイルシステムにより管理するデータ管理部2132としての機能を有する。データ管理部2132はデータ書き込み部2133が書き込んだデータを管理するための情報であるファイルを内蔵HDD22に書き込み、当該ファイルを用いてデータの管理を行う。
【0025】
また、制御部21は、電波受信部20から送信される映像データを後述するトランスコーダ12に送信するデータ送信部2134としての機能を有する。データ送信部2134は、単位時間あたりのデータ転送量を一定値以下に抑える調整部2137としての機能を有する。また、制御部21は、後述する専用コマンドを用いてトランスコーダ12に映像データをMPEG−2形式からH.264形式に変換するための指示を送信する変換指示送信部2135としての機能を有する。また、制御部21は、記憶装置10に記憶されるMPEG−2形式及びH.264形式で符号化された映像データをデコードするデコーダ2136としての機能を有する。
【0026】
以上のデバイスドライバ2131、データ管理部2132、データ書き込み部2133、データ送信部2134、変換指示送信部2135、デコーダ2136、調整部2137としての機能は、FlashROM211に記憶されるデバイスドライバ用プログラム、データ管理プログラム、データ書き込みプログラム、データ送信プログラム、変換指示プログラム、デコーダプログラムがCPU213及びRAM212により実行されることで実現される。なお、これらのプログラムは、ホスト機器2に対して、予め組み込んでおいてもよいし、ネットワーク経由または可搬記憶媒体を用いて後からアップデートにより組み込んでもよい。また、FlashROM211は、ホスト機器2から送信されるホスト機器2を識別するために用いられる固有の認証コードを記憶している。映像データを記憶する際に、例えば著作権保護のために暗号化を要する場合に、ホスト機器2は、当該認証コードを用いて、記憶装置10に記憶される映像データの暗号化・復号化を行う。
【0027】
リモコン受信部23は、ユーザによるリモコン3の操作の結果を信号として受信し、制御部21に送信する。また、表示部24は、電波受信部20が受信した映像を表示したり記憶装置10に記憶した映像を再生したりする他に、ユーザによるリモコン3の操作を促す表示を行ったり、リモコン受信部23が受信した信号による処理の結果を表示したりする。
【0028】
A−3.記憶装置10の構成について
記憶装置10は、ブリッジチップ11、トランスコーダ12、HDD13、メディアスロット14を備えている。トランスコーダ12はブリッジチップ11に接続されている。ブリッジチップ11は、USB−SATA変換部111とUSB−PCIe(PCI−Express)変換部112とを備えるコントローラチップである。USB―SATA変換部111は、USBプロトコルとSATA(Serial Advanced Technology Attachment)プロトコルとの間でプロトコル変換する機能を有する。また、USB−PCIe変換部112は、USBプロトコルとPCIeプロトコルとの間でプロトコル変換する機能を有する。HDD13はSATAによりブリッジチップ11と接続される。ホスト機器2はブリッジチップ11のUSB−SATA変換部111を介してHDD13にアクセスすることが可能となる。
【0029】
ブリッジチップ11は、USB−PCIe変換部112を介して、PCIeプロトコルを用いてトランスコーダ12と接続される。ここで、PCIeは装置同士を接続するために用いられる汎用的なインターフェースの一例である。また、ブリッジチップ11は、PCIeインターフェースを通じてトランスコーダ12を制御するトランスコーダ制御部113を有する。また、ブリッジチップ11は、ホスト機器2から送信されるコマンドに応じて、当該コマンドにより送信される映像データをトランスコーダ12に転送するか、又は、HDD13に書き込みを行うかの判断を行う転送先判断部114を有する。転送先判断部114は、トランスコーダ12より受信するH.264形式の映像データをホスト機器2に送信する旨の判断を行う。
【0030】
トランスコーダ12は、ブリッジチップ11を介して、ホスト機器2からMPEG−2形式の映像データを受信し、当該受信した映像データをMPEG2−形式からH.264形式にトランスコードする。専用のハードウェアであるトランスコーダ12を用いてトランスコードすることにより、ホスト機器2が伝送波として受信した映像データを逐次処理することが可能となる。
【0031】
HDD13には、ブリッジチップ11がホスト機器2より受信するMPEG−2形式の映像データ、又は、トランスコーダ12により変換されたH.264形式の映像データが記憶される。ここで、HDD13は記憶媒体の一例であり、SSD(Solid State Drive)などでもよい。また、SATAは接続インターフェースの一例であり、Serial Attached SCSI(SAS)などでもよい。メディアスロット14はブリッジチップ11と接続されている。メディアスロット14には、SDメモリカードやUSB Flashメモリなどの取り外し可能な可搬記憶媒体が接続される。
【0032】
B−1.接続時のシーケンスについて
ホスト機器2と記憶装置10の接続時のシーケンスについて
図2を用いて説明する。ホスト機器2の起動後、記憶装置10がホスト機器2に接続され、接続が確立する(SA0、SB0)。次に、ホスト機器2の制御部21が記憶装置10に対してソフト的にアクセスが可能なように、デバイスドライバ2131を用いた接続処理と、前記記憶装置10がトランスコード可能な機能を持っているかどうかを判断する処理とを行う(SA2、SB2)。
【0033】
デバイスドライバ2131を用いた接続確立後、ホスト機器2は、記憶装置10に対し、ホスト機器2固有の認証コードを送信する(SA4)。記憶装置10は、ホスト機器2から送信された認証コードを保存する(SB4)。記憶装置10は、保存された認証コードに基づき、ホスト機器2との接続が初回接続であるか否かを判断する。また、認証コードは記憶装置10に映像データを記憶する際の暗号化及び当該記憶された映像データの再生時における復号化に暗号鍵として用いることが可能である。
【0034】
認証コードの保存後、記憶装置10は、記憶装置10自身の情報をホスト機器2に送信する(SB6)。ホスト機器2は、受信した記憶装置10の状態についての情報に基づいて、記憶装置10との接続状態を確認する(SA6)。
【0035】
ここで、記憶装置10がホスト機器2に送信する自身の情報とは、記憶装置10とホスト機器2との接続が初回接続であるか否か、記憶装置10の備えるHDD13の最大容量や現在の空き容量、トランスコーダ12の変換可能な圧縮率、トランスコーダ12の処理能力(スループット)等である。トランスコーダ12は、一又は複数の圧縮率でのトランスコードが可能である。ここで、圧縮率は、元の映像データに対するトランスコード後の映像データのデータサイズの比率やトランスコード後の映像データのビットレートまたは、トランスコード後の解像度などにより表される。また、圧縮率は、トランスコード後のビットレート、トランスコード後の解像度の両方もしくはどちらか一方を下げることによって、圧縮率を上げることができる。トランスコーダ12が、ブリッジチップ11のトランスコーダ制御部113を通じてホスト機器2にトランスコーダ12自身が実行可能な圧縮率を通知することで、ユーザやホスト機器2が圧縮率を識別し選択することが可能となる。
【0036】
なお、記憶装置10のHDD13に保存された映像データを、ホスト機器2以外のスマートフォン等に転送して再生する場合がある。ところが、スマートフォンの備える表示部は、ホスト機器2の表示部に比べて、表示可能な解像度が低い場合が多い。そのため、ホスト機器2用として保存された映像データがスマートフォンにおいて再生される場合、映像データは、ソフトウェア等の処理によりスマートフォンの表示可能な解像度に合わせて解像度を下げられることになり、スマートフォンに転送されたデータ容量に無駄が生じる。そこで、予めスマートフォン向けに解像度を下げた映像データを作成しておくことで、スマートフォンにおける表示可能な解像度に適合させつつ、データ容量を圧縮できる。
【0037】
記憶装置10とホスト機器2との接続が初回接続の場合に限り、ホスト機器2は記憶装置10を初期化する(SA8、SB8)。ホスト機器2が記憶装置10を初期化することで、ホスト機器2から記憶装置10のHDD13にデータを書き込むことが可能となる。そして、ホスト機器2は、記憶装置10との接続を完了する(SA10)。
【0038】
図2を用いて説明した接続時のシーケンスは、ステップSA8、SB8の処理を除き記憶装置10とホスト機器2が接続される度に行われる。また、
図2を用いて説明した処理によりホスト機器2の制御部21が記憶装置10を制御することが可能になる。ホスト機器2が記憶装置10自身の情報を取得することで、映像データを記憶する際に、映像データの圧縮率などの設定が可能となり、表示部24に当該記憶装置10に関する情報を表示することが可能となる。
【0039】
B−2.映像データの記憶処理について
図3及び
図4に本実施形態における、映像データの記憶処理の動作のフロー図を示す。映像データの記憶処理は、
図2に示す接続処理が完了し、ホスト機器2が記憶装置10に対してデバイスドライバ2131を介してのアクセスが可能となり、又、ホスト機器2が記憶装置10の備えるHDD13の容量や、トランスコーダ12の処理速度及び実行可能な圧縮率に係る情報を取得した後に行われる。ホスト機器2の制御部21は、当該ユーザが行うリモコン3による入力操作をトリガとして入力処理(S02)を含む記憶処理を実行する。
【0040】
図3のステップS02に示す入力処理の詳細について
図4を用いて説明を行う。ユーザからの入力処理において、ホスト機器2はユーザによる入力処理がなされるまで待機する(S50)。ここで、ユーザによる入力操作は、表示部24による表示に応じてユーザがリモコン3を操作することによりなされ、リモコン受信部23は、当該ユーザによる操作の結果を受信する。ホスト機器2は、ユーザから入力操作がなされた後(S50:YES)、当該入力操作に応じてステップS52〜S64において記憶装置10及びホスト機器2自身に対する設定を行う。なお、ユーザの入力操作処理(S50)は、一度設定した値を既定値としてホスト機器2側に保存し、以後それをデフォルトの値として指定するようにしても良い。
【0041】
すなわち、ホスト機器2は、ユーザから映像データを記憶する際の圧縮率について、現在指定されている圧縮率から変更する旨の指示があるか否かを判断する(S52)。ここで、圧縮率は、圧縮後の映像データのビットレートと、圧縮後の映像データの解像度を用いて指定される。圧縮率に変更がないと判断される場合(S52:NO)、直接ステップS62の処理に移行する。圧縮率の変更が指示されていると判断される場合(S52:YES)、ビットレートの変更指示がなされているか否かを判断する(S54)。なお、トランスコーダ12が、変換可能なビットレートについては、
図2のステップSB6において記憶装置10からホスト機器2に既に通知されている。ビットレートの変更が指示されていると判断される場合(S54:YES)、ホスト機器2は、記憶装置10のブリッジチップ11を通じてトランスコーダ12に対し、ビットレートの変更について指示を行う(S56)。そして、ステップS58の処理を行う。ビットレートの変更について指示がなされていない場合(S54:NO)、直接ステップS58の処理に移行する。
【0042】
ホスト機器2は、ユーザから映像データをトランスコードする際の解像度について、現在指定されている解像度から変更する旨の指示があるか否かを判断する(S58)。トランスコーダ12が変換可能な映像データの解像度は、
図2のステップSB6において記憶装置10からホスト機器2に既に通知されている。解像度の変更が指示されていると判断される場合(S58:YES)、ホスト機器2は、記憶装置10のブリッジチップ11を通じてトランスコーダ12に対し、解像度の変更について指示を行う(S60)。そして、ステップS62の処理を行う。解像度に変更がないと判断される場合(S58:NO)、直接ステップS62の処理に移行する。
【0043】
ホスト機器2は、映像データの記憶先について、ユーザの指示に基づき判断する(S62)。記憶先が記憶装置10と指示されている場合(S62:YES)、ホスト機器2は、当該記憶先に係る情報を記憶し(S64)、
図3に示す記憶処理に戻る。また、記憶先がホスト機器2の内蔵HDD22と指示されている場合(S62:NO)、ホスト機器2は、当該記憶先に係る情報を記憶し(S66)、
図3に示す記憶処理に戻る。なお、
図4に示す入力処理において、当然、映像データを記憶する際に必要となる入力処理、例えば、記憶の開始及び終了時間の指定、記憶する映像データに係る放送チャンネルやコンテンツの選択に係る入力処理を併せて行ってもよい。又、ユーザは映像データの記憶を直ちに開始する指示を行ってもよい。
【0044】
ユーザによる入力処理(S02)において、映像データの記憶の開始する指示がなされたとき、又は、記憶の開始時間が指定された場合において当該記憶の開始時間となった時、ホスト機器2の電波受信部20は、放送波として伝送される記憶対象となるMPEG−2形式の映像データを受信する(S04)。ここで、ホスト機器2の制御部21は、ステップS02におけるユーザによる指示に基づいて、映像データをMPEG−2形式のデータで書き込むか、又は、映像データをH.264形式でトランスコードした上で書き込むかの判断を行う(S06)。
【0045】
ここで、H.264形式にトランスコードした映像データを記憶する場合(S06:YES)、ホスト機器2のデータ送信部2134は、MPEG−2形式の映像データを専用コマンドにより記憶装置10のトランスコーダ12に送信する(S08)。ここで、専用コマンドとは、データを書き込むために用いられるコマンドであるが、一般的なMassStorageClassのSCSIコマンドセットにおけるWriteコマンドとは異なるコマンドである。専用コマンドは、ブリッジチップ11を通じてトランスコーダ12にトランスコードを指示するコマンドである。専用コマンドはブリッジチップ11に対して専用コマンドにより送信される映像データが、トランスコード対象のデータであると通知する機能を有する。圧縮率の指定は、ステップS58においてに指定されるとしているが、専用コマンドによりトランスコーダ12に通知することも可能である。
【0046】
ホスト機器2は、記憶装置10のトランスコーダ12によりH.264形式にトランスコードされたデータを記憶装置10から受信する(S10)。ホスト機器2は、ステップS02でなされたユーザの指示に応じて、映像データを内蔵HDD22に記憶するか、又は、記憶装置10に記憶するかの判断を行う(S12)。なお、ステップS06において、トランスコードを行うことなく記憶をする場合(S06:NO)、そのままステップS12に移行する。
【0047】
ステップS12において、映像データの記憶先が記憶装置10であると判断される場合(S12:YES)、ホスト機器2のデータ書き込み部2133は、記憶装置10へMSCコマンドの発行を行う(S12)。ホスト機器2は、H.264形式にトランスコードされた映像データ、又は、トランスコードされていないMPEG−2形式の映像データをMSCコマンドのWriteコマンドにより記憶装置10へと書き込む。
【0048】
また、ステップS14において、映像データの記憶先が内蔵HDD22であると判断される場合(S12:NO)、ホスト機器2のデータ書き込み部2133は、内蔵HDD22へ書き込みコマンドを発行する(S20)。ホスト機器2のデータ書き込み部2133は、映像データを書き込みコマンドにより内蔵HDD22へと書き込む。以上S02〜S22に示す制御により、ホスト機器2がトランスコード機能を有しない場合であっても、ユーザの入力に応じて記憶装置10のHDD13と内蔵HDD22にH.264形式にトランスコードされた映像データを記憶することが可能となる。これにより、内蔵HDD22に保存される映像データのデータサイズを低減することが可能となる。
【0049】
B−3.映像データのデータフローについて
次に、ホスト機器2が映像データを受信し、記憶装置10の備えるHDD13に記憶する場合における、データの流れについて
図5を用いて説明する。まず、H.264形式へのトランスコードを行わずに記憶装置10にMPEG−2形式で映像データを書き込む場合の映像データ記憶システムの動作について説明する。
【0050】
図3のステップS02において、MPEG−2形式で映像データを書き込む旨の指示がユーザによりなされると、ホスト機器2はMPEG2形式の映像データを受信する(S30)。ホスト機器2は制御部21のデータ書き込み部2133及びデータ管理部2132により、ホスト機器2のOSが管理可能なファイルシステムに基づいて、記憶装置10に対しMPEG−2形式の映像データを書き込むためのコマンドを送信する(S31)。例えば、ホスト機器2のOSがLinux(登録商標)である場合、OSが管理可能なファイルシステムは、FAT32、XFS、EXT3等である。ステップS30の処理は、
図3のステップS16の処理に相当する。ここで、ホスト機器2から送信されるコマンドはMassStorageClassのSCSIコマンドセットにおけるWriteコマンドである。
【0051】
Writeコマンドを受信したブリッジチップ11の転送先判断部114は、当該データをHDD13に転送する旨の判断を行う。そして、USB−SATA変換部111は、MSCコマンド(Write)をSATAコマンドに変換し(S32)、HDD13に映像データの書き込みを行う(S33)。記憶装置10に書き込まれたデータはホスト機器2が備える制御部21のファイルシステムにより管理される。以上のステップS31〜S33の動作により、ホスト機器2の制御部21が、データ送信部2134、変換指示送信部2135としての機能を有さない場合であったとしても、記憶装置10に映像データを記憶することが可能となる。
【0052】
次に、H.264形式にトランスコードして記憶装置10に映像データを書き込む場合の映像データ記憶システムの動作を説明する。これは、
図3のステップS02において、MPEG−2形式の映像データをトランスコーダ12によりH.264形式の映像データへ変換する旨の指示がユーザによりなされている場合に実行される動作である。ホスト機器2は、制御部21の変換指示送信部2135により、MPEG−2形式の映像データをH.264形式に変換する指示する命令を含んだ専用コマンドの作成を行う。そして、ホスト機器2は、記憶装置10に対し、制御部21のデータ送信部2134から専用コマンドにより映像データを送信する(S34)。ここで、データ送信部2134は、調整部2137により、トランスコーダ12の処理能力を超えないような所定のデータ転送速度でデータ送信を行う。なお、トランスコーダ12の処理能力は、ホスト機器2と記憶装置10との接続時に、記憶装置10の自身の情報の一つとしてホスト機器2に通知されている(
図2SB6参照)。
【0053】
ブリッジチップ11の転送先判断部114は、専用コマンドを受信すると、当該専用コマンドにより転送を行う映像データをトランスコーダ12に送信する旨の判断を行う。そして、ブリッジチップ11は、USB−PCIe変換部112を通じてトランスコーダ12に映像データの送信を行う(S35)。トランスコーダ12は、受信したMPEG−2形式の映像データをH.264形式に逐次変換する。ステップS36の処理は、
図3のステップS08の処理に相当する。
【0054】
MPEG−2形式の映像データを受信したトランスコーダ12は、映像データをH.264形式に変換する(S36)。ここで、ホスト機器2は、専用コマンドを用いて、トランスコーダ12がMPEG−2形式からH.264形式へ映像データを変換する際のH.264の圧縮率を指定することが可能である。ここで圧縮率の指定は、トランスコーダ12に対してブリッジチップ11のトランスコーダ制御部113を通じてホスト機器2により行われる。
【0055】
一般に、圧縮率を高く設定する場合、即ち、映像データをより高い圧縮率で圧縮する場合、圧縮後の映像データのデータ量は小さくなるが、映像データにより表される映像の画質は劣化する。そのため、ユーザは、圧縮率を指示することで、映像データの記憶に必要な記憶容量の低減と画質の劣化の防止とのいずれかを選択することが可能となる。圧縮率は、圧縮後のデータのビットレートと圧縮後のデータの解像度により指定可能である。トランスコーダ12が映像データのトランスコードを行う際に変換可能な圧縮後のデータのビットレートは、ホスト機器2と記憶装置10との起動時のシーケンス(
図2SB6参照)においてホスト機器2に通知される。また、解像度の設定により、ユーザは映像データの記憶に必要な記憶容量の低減と映像データの高解像度とのいずれかを選択することが可能となる。
【0056】
トランスコーダ12は、MPEG−2形式の映像データをH.264形式にトランスコードした後、ブリッジチップ11のUSB−PCIe変換部112を通じて(S37)、ホスト機器2にH.264形式の映像データを送信する(S38)。ステップS38の処理は、
図3のステップS12の処理に相当する。
【0057】
H.264形式の映像データを受信したホスト機器2は、制御部21のデータ書き込み部2133及びデータ管理部2132により、ホスト機器2のファイルシステムに基づいて、記憶装置10へ当該映像データを書き込むための書き込みコマンドを記憶装置10に送信する(S39)。ステップS39の処理は、
図3のステップS16の処理に相当する。ホスト機器2の制御部21がホスト機器2のファイルシステムを用いてトランスコードされた映像データを記憶装置10に書き込むため、ホスト機器2が当該トランスコードされた映像データを管理することが可能となる。ここで、当該書き込みコマンドは、MassStorageClassのSCSIコマンドセットにおけるWriteコマンドである。Writeコマンドを受信したブリッジチップ11の転送先判断部114は、Writeコマンドにより転送される映像データの送信先をHDD13であると判断する。そして、ブリッジチップ11のUSB―SATA変換部111は、MSCコマンドをSATAコマンドに変換し(S40)、HDD13へ映像データの書き込みを行う(S41)。
【0058】
このように、ホスト機器2は、MPEG−2形式の映像データ、又は、H.264形式にトランスコードされた映像データのいずれについても、ホスト機器2のファイルシステムに基づいて、記憶装置10へ書き込み指示を行っている。従って、ホスト機器2が記憶装置10に保存された映像データを読み出し再生する際、保存された映像データが、MPEG−2形式の映像データ、又は、H.264形式にトランスコードされた映像データのいずれの場合においても、記憶装置10にMSCコマンドのReadコマンドを送信することでデータの読み出しを行うことが可能である。H.264形式及びMPEG−2形式の映像データは、いずれもブリッジチップ11のUSB−SATA変換部111を通じてホスト機器2に読み出され(S42、S43)、ホスト機器2の制御部21の有するデコーダ機能を用いてデコードされた後再生される(S44)。ここで、H.264形式の映像データを読み出す場合には、トランスコーダ12を用いてMPEG−2形式にトランスコードした後に映像データをホスト機器2に送信してもよい。これにより、ホスト機器2がH.264形式の映像データをデコードする機能を有しない場合であっても映像データを再生することが可能となる。
【0059】
C.メディアスロット14に挿入される可搬記憶媒体への記憶について
次に、記憶装置10の備えるメディアスロット14に挿入される可搬記憶媒体に映像データを記憶する際の動作について、
図6〜
図8を用いて説明する。メディアスロット14に挿入される可搬記憶媒体は、例えばSDメモリカード、USB Flashメモリなどであり、当該可搬記憶媒体に映像データを記憶することにより、モバイル機器などで映像データに係る映像を視聴することが可能となる。一般的に、可搬記憶媒体の記憶容量は、HDD13や内蔵HDD22等に比べると小さいため、トランスコードされた映像データの記憶によるデータサイズの低減の効果が高い。
【0060】
図6に、ホスト機器2が受信したMPEG−2形式の映像データをトランスコーダ12でトランスコードし、メディアスロット14に挿入される可搬記憶媒体に映像データを記憶する場合のデータの流れを示す。ホスト機器2に受信されたMPEG−2形式の映像データは、ブリッジチップ11の転送先判断部114を介して(A0)、トランスコーダ12に送信される(A2)。そして、MPEG−2形式の映像データは、トランスコーダ12においてH.264形式にトランスコードされる。ここで、トランスコーダ12は、映像データのビットレートを下げたり解像度を下げたりすることで、映像データのデータサイズを低減させることが可能である。メディアスロット14に挿入される可搬記憶媒体は、スマートフォンなどの比較的低解像度の映像データ再生機器へのデータの送信に用いられると想定される。このため、当該映像データ再生機器の映像表示部の解像度にあわせて映像データの解像度を下げることで、実質的に再生時の画質を下げることなく、データサイズを低減することが可能となる。
【0061】
H.264形式にトランスコードされた映像データは、トランスコーダ12からブリッジチップ11の転送先判断部114を介して(A4)、ホスト機器2に送信される(A6)。そして、送信されたH.264形式の映像データは、ホスト機器2により、ブリッジチップ11を介して(A8)、メディアスロット14に挿入された可搬記憶媒体に対して書き込まれる。矢印A0〜A8の処理により、ホスト機器2が受信した映像データをH.264形式にトランスコードした上で、メディアスロット14に挿入される可搬記憶媒体に記憶することが可能となる。
【0062】
図7に、HDD13に保存された映像データをトランスコーダ12でトランスコードし、一旦ホスト機器2にデータを転送した後、メディアスロット14に挿入される可搬記憶媒体に映像データを記憶する場合のデータの流れを示す。HDD13に保存されているMPEG−2形式の映像データは、ブリッジチップ11を介して(A20)、ホスト機器2に読み出される(A22)。ホスト機器2により読み出された映像データはブリッジチップ11を介して(A24)、トランスコーダ12に送信される(A26)。そして、トランスコーダ12において、MPEG−2形式の映像データはH.264形式にトランスコードされる。ここで、トランスコーダ12は、トランスコードによるデータサイズの圧縮に加えて、映像データの解像度を下げることで更に映像データのデータサイズを低減させることが可能である。
【0063】
H.264形式でトランスコードされた映像データは、トランスコーダ12からブリッジチップ11を介して(A28)、ホスト機器2に送信される(A30)。そして、H.264形式の映像データは、ホスト機器2によりブリッジチップ11を介して(A32)、メディアスロット14に挿入された可搬記憶媒体に書き込まれる(A34)。矢印A20〜A34に示す処理により、HDD13に保存されているMPEG−2形式の映像データをH.264形式にトランスコードした上で、メディアスロット14に挿入される可搬記憶媒体に記憶することが可能となる。
【0064】
図8に、HDD13に保存された映像データをトランスコーダ12でトランスコードし、メディアスロット14に挿入される可搬記憶媒体に映像データを記憶する場合のデータの流れを示す。HDD13保存されているMPEG−2形式の画像データは、ブリッジチップ11の転送先判断部114により(A40)、トランスコーダ12に送信される(A42)。そして、映像データは、トランスコーダ12によりH.264形式に変換される。ここで、トランスコーダ12は、映像データの解像度を下げることで映像データのデータサイズの低減をさせることが可能である。H.264形式に変換された映像データは、トランスコーダ12からブリッジチップ11の転送先判断部114によりメディアスロット14に転送され(A44)、メディアスロット14に挿入される可搬記憶媒体に映像データが保存される(A46)。矢印A40〜A46に示す処理により、ホスト機器2を用いることなく、映像データのトランスコードを行った上で、HDD13からメディアスロット14に挿入される可搬記憶媒体への映像データの転送が可能となる。
【0065】
D.変形例
以下に、本実施形態の変形例を示す。
【0066】
ホスト機器2に内蔵HDD22が備えられている場合について説明したが、内蔵HDD22を備えていなくてもよい。また、記憶装置10にメディアスロット14が備えられている場合について説明したが、メディアスロット14を備えていなくてもよい。さらに、記憶装置10がメディアスロット14を備えており、かつ上述の
図6〜
図8で説明した動作を行わないものであってもよい。
【0067】
さらに、記憶装置10のHDD13に保存されている映像データを異なる記憶装置に転送する場合、記憶装置10と映像データの転送先の記憶装置をともにホスト機器2に接続し、HDD13に保存された映像データについてトランスコーダ12を用いてH.264形式に変換した上で、転送先の記憶装置に映像を転送することも可能である。これにより、映像データの転送とデータサイズの低減を同時に実行することが可能となる。