(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表面側に基準表面から突出する表面側突条と、裏面側に基準裏面から突出する裏面側突条及び電熱ヒータとが一体的に鋳込み形成され、前記基準表面から前記基準裏面に貫通する貫通孔を備えた調理プレートであって、
複数列の前記表面側突条が、隣接間に前記貫通孔を形成した状態で配置され、
前記裏面側突条が、少なくとも前記表面側突条に対応する箇所に、隣接間に前記貫通孔を形成した状態で配置される複数列の第1裏面側突条を備えて形成され、
前記裏面側突条が、前記第1裏面側突条とは別に、前記第1裏面側突条に対して交差する箇所に、少なくとも隣接する前記第1裏面側突条同士を連結する第2裏面側突条を備えて形成され、
前記裏面側において、前記電熱ヒータが鋳込み形成された部位には、前記電熱ヒータが被覆された被覆部と、前記電熱ヒータが露出する露出部とが、前記基準裏面から突出形成され、
裏面側視で、前記露出部が、前記第1裏面側突条、前記第2裏面側突条及び前記被覆部により囲繞された領域であって且つ前記貫通孔が形成された領域から区画された貫通孔非形成領域内に配置される調理プレート。
裏面側視で、前記被覆部に面する部位以外の前記露出部の周囲が、前記貫通孔非形成領域内において、前記第1裏面側突条及び前記第2裏面側突条が形成されていない前記基準裏面により囲繞される構成である請求項1に記載の調理プレート。
前記表面側突条が、前記調理プレートの長手方向に沿って配設され、前記第1裏面側突条が、前記調理プレートの長手方向に沿って配設された請求項1から3の何れか一項に記載の調理プレート。
前記表面側突条が、前記調理プレートの端部に亘って配設され、前記第1裏面側突条が、前記調理プレートの端部に亘って配設された請求項1から4の何れか一項に記載の調理プレート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、電熱ヒータを調理プレートに一体的に鋳込み形成する際には、通常、電熱ヒータを支持具等により鋳型に支持固定した状態で鋳型内に金属を流し込み、一体的に成型される。このため、調理プレートには、裏面側において、電熱ヒータが鋳込み形成された部位に、電熱ヒータが金属により被覆された被覆部と電熱ヒータが露出する露出部(鋳込み時に、支持具等により支持された部位)とが形成されることとなる(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
このような電熱ヒータの露出部は、他の部位と比較して高温となる部位であり、仮に、食品の調理により発生した液状物が貫通孔を介して表面から裏面に流下して露出部に付着すると、液状物が焦げ付いて、不快な煙が発生するとともに、電熱ヒータが汚損する虞がある。
【0008】
一方で、特許文献1に記載の加熱調理器では、調理プレートの表面全体の表面積に対する複数列の表面側突条の表面積は当然に小さくなっており、表面側突条に食品を載置して調理する際において、調理プレートと食品との接触面積は小さくなる。この場合、低温度或いは多量の食品を表面側突条に載置して調理しようとすると、表面側突条の温度が低下し易く、食品を良好に加熱調理することが困難或いは加熱調理に長時間を要する虞がある。従って、電熱ヒータを調理プレートに一体的に鋳込み形成していることから加熱効率の低下は抑制できているものの、調理時の温度低下を確実に防止し、食品の加熱調理を確実且つ短時間で行うことができるように改良することが望まれる。
【0009】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、少なくとも表面側突条及び電熱ヒータを一体的に鋳込み形成した調理プレートを採用した場合において、加熱効率の低下及び調理時の温度低下を確実に抑制し、しかも、調理により生じた液状物が電熱ヒータの露出部に付着することを確実に防止することができる調理プレート及びその調理プレートを備えた加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る調理プレートは、表面側に基準表面から突出する表面側突条と、裏面側に基準裏面から突出する裏面側突条及び電熱ヒータとが一体的に鋳込み形成され、前記基準表面から前記基準裏面に貫通する貫通孔を備えた調理プレートであって、その特徴構成は、
複数列の前記表面側突条が、隣接間に前記貫通孔を形成した状態で配置され、
前記裏面側突条が、少なくとも前記表面側突条に対応する箇所に、隣接間に前記貫通孔を形成した状態で配置される複数列の第1裏面側突条を備えて形成され、
前記裏面側突条が、前記第1裏面側突条とは別に、前記第1裏面側突条に対して交差する箇所に、少なくとも隣接する前記第1裏面側突条同士を連結する第2裏面側突条を備えて形成され、
前記裏面側において、前記電熱ヒータが鋳込み形成された部位には、前記電熱ヒータが被覆された被覆部と、前記電熱ヒータが露出する露出部とが、前記基準裏面から突出形成され、
裏面側視で、前記露出部が、前記第1裏面側突条、前記第2裏面側突条及び前記被覆部により囲繞された領域であって且つ前記貫通孔が形成された領域から区画された貫通孔非形成領域内に配置される点にある。
【0011】
本特徴構成によれば、調理プレートの裏面側に電熱ヒータが一体的に鋳込み形成され、電熱ヒータが鋳込み形成された部位は、電熱ヒータが被覆された被覆部が形成されているので、電熱ヒータにより発生した熱を、電熱ヒータを被覆する被覆部に効率よく伝熱させることができ、調理プレートの加熱効率を向上することができる。なお、電熱ヒータが鋳込み形成された部位は、主に被覆部によって形成され、電熱ヒータが露出する露出部は鋳込み形成のために必要最小限な部分にのみ形成されているので、加熱効率が低下することは最小限に抑制されている。
【0012】
また、調理プレートの表面側には、複数列の表面側突条が配置され、裏面側には、裏面側突条である複数列の第1裏面側突条が、少なくとも表面側突条に対応する箇所に配置されている。すなわち、少なくとも表面側突条の裏面側には第1裏面側突条が配設されているので、表面側突条の熱容量を第1裏面側突条の熱容量で補完することができ、実質的に表面側突条の熱容量を増加させることができる。これにより、複数列の表面側突条に肉や野菜等の食品を載置して加熱調理しても、表面側突条の温度低下を確実に(最小限に)抑制することができる。
【0013】
さらに、調理プレートが、基準裏面から突出する状態で、裏面側に、複数列の第1裏面側突条と、少なくとも隣接する第1裏面側突条同士を連結し第1裏面側突条に交差する第2裏面側突条と、電熱ヒータが被覆された被覆部と、電熱ヒータが露出する露出部とを備えており、複数列の表面側突条及び複数列の第1裏面側突条のそれぞれの隣接間に、基準表面から基準裏面にまで貫通する貫通孔を備えている。従って、食品の加熱調理等により発生した液状物が貫通孔を介して裏面に流下した場合でも、基本的に、電熱ヒータの大部分は被覆部により被覆されており、液状物が被覆部に接触したとしても、煙が発生したり電熱ヒータが汚損することはない。
そして、このような構成において、裏面側視で、電熱ヒータの露出部が、第1裏面側突条、第2裏面側突条及び被覆部により囲繞された領域であって且つ貫通孔が形成された領域から区画された貫通孔非形成領域内に配置される。このため、電熱ヒータの露出部は、裏面において、貫通孔が形成された領域(基準裏面)よりも突出する第1裏面側突条、第2裏面側突条及び被覆部により囲繞されて貫通孔から区画されることとなり、露出部の周囲には貫通孔が存在しない状態となる。これにより、液状物が貫通孔を介して裏面に流下した場合でも、液状物は、一旦、第1裏面側突条、第2裏面側突条及び被覆部に接触することとなり、露出部への直接的な接触を防止することができる。従って、熱容量の増加を図ることができる第1裏面側突条及び加熱効率の増加を図ることができる被覆部を利用して、貫通孔から流下した液状物が比較的高温となる露出部に接触することを防止し、煙の発生や電熱ヒータの汚損を防止することができる。
【0014】
よって、少なくとも表面側突条及び電熱ヒータを一体的に鋳込み形成した調理プレートを採用した場合において、加熱効率の低下及び調理時の温度低下を確実に抑制し、しかも、調理により生じた液状物が電熱ヒータの露出部に付着することを確実に防止することができる。
【0015】
本発明に係る調理プレートの更なる特徴構成は、裏面側視で、前記被覆部に面する部位以外の前記露出部の周囲が、前記貫通孔非形成領域内において、前記第1裏面側突条及び前記第2裏面側突条が形成されていない前記基準裏面により囲繞される構成である点にある。
【0016】
本特徴構成によれば、裏面側視で、露出部の周囲のうち被覆部に面する部位以外の部位が、基準裏面により囲繞される。すなわち、露出部は、被覆部及び基準裏面に隣接する状態で、貫通孔から区画された貫通孔非形成領域内に位置することとなる。ここで、被覆部及び露出部は基準裏面よりも突出形成されているとともに、第1裏面側突条及び第2裏面側突条も基準裏面から突出形成されている。
従って、断面視で、被覆部に面する部位以外の露出部の周囲と貫通孔との間は、少なくとも貫通孔側から順に、基準裏面(貫通孔)、基準裏面よりも突出する第1裏面側突条及び第2裏面側突条の何れか一方或いは両方、基準裏面、基準裏面よりも突出する露出部が位置することとなる。
これにより、貫通孔を介して裏面(基準裏面)に流下した液状物は、基準裏面(貫通孔)から第1裏面側突条及び第2裏面側突条の何れか一方或いは両方に流下し、自重によりそのまま下方に滴下することはあっても、被覆部に面する部位以外の露出部の周囲を囲繞する基準裏面に遡上(上昇)することはない。すなわち、貫通孔から流下した液状物が、露出部の周囲のうち被覆部に面する部位以外の部位から露出部に接触することを防止できる。
よって、調理により生じた液状物が電熱ヒータの露出部に付着することを、より確実に防止することができる。
【0017】
本発明に係る調理プレートの更なる特徴構成は、前記被覆部の前記基準裏面からの突出高さが、前記露出部の前記基準裏面からの突出高さよりも大きく形成される構成である点にある。
【0018】
本特徴構成によれば、被覆部の基準裏面からの突出高さ(長さ)が、露出部の基準裏面からの突出高さ(長さ)よりも大きく形成されるので、露出部の周囲のうち被覆部に面する部位は、被覆部よりも基準裏面側に窪み形成されることとなる。
従って、断面視で、露出部の周囲において被覆部に面する部位と貫通孔との間は、少なくとも貫通孔側から順に、基準裏面(貫通孔)、基準裏面よりも突出する被覆部、基準裏面よりも突出し且つ被覆部よりも窪んだ(突出しない)露出部が位置することとなる。
これにより、貫通孔を介して裏面(基準裏面)に流下した液状物は、基準裏面(貫通孔)から被覆部に流下し、自重によりそのまま下方に滴下することはあっても、被覆部より窪んだ(突出しない)露出部に遡上(上昇)することはない。すなわち、貫通孔から流下した液状物が、露出部の周囲のうち被覆部に面する部位から露出部に接触することを防止できる。
特に、本特徴構成に加えて、上述の特徴構成で説明した、裏面側視で、露出部の周囲のうち被覆部に面する部位以外の部位が基準裏面により囲繞される構成を採用すると、貫通孔を介して流下した液状物が露出部に接触することを、露出部の周囲のうち全ての周囲について防止することができるので好ましい。
【0019】
本発明に係る調理プレートの更なる特徴構成は、前記表面側突条が、前記調理プレートの長手方向に沿って配設され、前記第1裏面側突条が、前記調理プレートの長手方向に沿って配設された点にある。
【0020】
本特徴構成によれば、表面側突条及び第1裏面側突条を調理プレートの長手方向に沿って配設するので、調理プレートを表面側及び裏面側の両方で最適に補強することができ、電熱ヒータによる加熱や外部からの力による変形や破損を良好に防止することができる。
【0021】
本発明に係る調理プレートの更なる特徴構成は、前記表面側突条が、前記調理プレートの端部に亘って配設され、前記第1裏面側突条が、前記調理プレートの端部に亘って配設された点にある。
【0022】
本特徴構成によれば、表面側突条及び第1裏面側突条を調理プレートの端部に亘って配設するので、表面側において食品を載置するスペースを十分に確保しながら、調理プレートを表面側及び裏面側の両方で最適に補強することができ、電熱ヒータによる加熱や外部からの力による変形や破損を良好に防止することができる。
【0023】
上記目的を達成するための本発明に係る加熱調理器の特徴構成は、上記特徴構成の何れかを備えた調理プレートが、調理器本体上に着脱自在に載置されてなる点にある。
【0024】
本特徴構成によれば、上記調理プレートを調理器本体上に載置して、調理プレートの表面に突出形成された複数列の表面側突条に食品を載置して加熱調理することができる。
これにより、少なくとも表面側突条及び電熱ヒータを一体的に鋳込み形成した調理プレートを採用して、加熱効率の低下及び調理時の温度低下を確実に抑制し、しかも、調理により生じた液状物が電熱ヒータの露出部に付着することを確実に防止することができる加熱調理器を得ることができた。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る調理プレート及びその調理プレートを備えた加熱調理器の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、加熱調理器としては、焼き肉器、グリル鍋、ホットプレート等を例示することができるが、以下では、調理プレートを備えたホットプレートの実施形態を説明する。
【0027】
ホットプレートHは、
図1〜
図4に示すように、深皿状の調理器本体1と、調理器本体1内に着脱自在に載置される皿状の水受け皿2と、水受け皿2の上方に位置し、調理器本体1に着脱自在に載置される板状の調理プレート3と、交流電源等の電源(図示せず)からの電力を受けて発熱し、調理プレート3を加熱する電熱ヒータ4(
図4参照)と、を備える。
【0028】
また、ホットプレートHは、電熱ヒータ4に対して電気的に接続される受け部側通電部(図示せず)を備え且つ開口部31を備えた箱状のプラグ受け部30と、受け部側通電部に電気的に接続可能なプラグ側通電部(図示せず)を備え且つ開口部31を介してプラグ受け部30に着脱自在な電源プラグ32と、を備える。
【0029】
これにより、
図2に示すように、ホットプレートHは、電源プラグ32が開口部31を介してプラグ受け部30に装着された状態で、プラグ側通電部と受け部側通電部とが電気的に接続され、電源からの電力を電熱ヒータ4に供給するように構成される。そして、ホットプレートHは、電熱ヒータ4の発熱により調理プレート3を加熱し、調理プレート3の表面(上面)に肉や野菜等の食品を載置して加熱調理できるように構成されている。
【0030】
ホットプレートHの各部の構成について説明する。
図1及び
図2に示すように、調理器本体1は、平面視で概略矩形(四隅が曲線で形成され、丸みを帯びた長方形状)に形成され、断面視で深皿状に形成された耐熱性の樹脂部材により構成されている。調理器本体1の下面には、上下方向に連通する下面開口部(図示せず)が形成され、机などへ載置するための合計4個の載置脚(図示せず)が当該下面開口部の周囲に配設されている。
【0031】
調理器本体1の外縁部には、環状に形成された外縁壁部1Aが上方に突出形成され、外縁壁部1Aの内周面1aには、水受け皿2を載置するための板状支持部1Bが、内方側に突出する状態で複数立設されている。板状支持部1Bは、調理器本体1の四隅のうちの各隅部にそれぞれ一対配設されている(本実施形態では、8個)。
【0032】
調理器本体1は、平面視で外縁壁部1Aにおける長手方向で対向する部位(短辺部位)の中央部に、後述する調理プレート3に取り付けられた一対のハンドル部5を載置して収容する一対のハンドル収容部1Cを備える。ハンドル収容部1Cは、外縁壁部1Aの上面から下方に窪み形成されている。
【0033】
水受け皿2は、平面視で調理器本体1よりも全体的に小さな概略矩形(四隅が曲線で形成され、丸みを帯びた長方形状)に形成され、断面視で皿状に形成された金属部材により構成されている。水受け皿2は、外縁部に全周に亘って水平方向に突出形成される鍔部2Aと、鍔部2Aの内方側に形成され下方に膨出する下方膨出部2Bとを備えており、下方膨出部2B内に水を貯留可能に構成されている。水受け皿2は、下方膨出部2Bの外面を複数の板状支持部1Bの内側面に当接させた状態で、鍔部2Aを複数の板状支持部1Bの上部に載置することにより、調理器本体1内に水受け皿2を安定して載置でき、水受け皿2を水平に維持できるように構成されている。従って、下方膨出部2B内に貯留された水が、水受け皿2から不用意に漏出することがないように構成されている。
【0034】
図1〜
図5に示すように、調理プレート3は、平面視で調理器本体1よりも全体的に若干小さな概略矩形(四隅が曲線で形成され、丸みを帯びた長方形状)に形成された、平板状の金属部材により構成されている。
【0035】
調理プレート3は、表面側に基準表面BAから突出する表面側突条6と、裏面側に基準裏面BRから突出する裏面側突条7及び電熱ヒータ4と、が一体的に鋳込み形成されている。なお、基準表面BAは、表面側突条6より凹んだ面であればよく、表面側突条6からの凹み代(凹み高さ)の異なる複数の面として設定することもできる。当該凹み代(凹み高さ)の異なる複数の面を設定した場合には、基準表面BAは第1基準表面、第2基準表面等、複数の基準表面として設定されることとなる。また、基準裏面BRについても同様に、裏面側突条7及び電熱ヒータ4より凹んだ面であればよく、裏面側突条7及び電熱ヒータ4からの凹み代(凹み高さ)の異なる複数の面として設定することもできる。当該凹み代(凹み高さ)の異なる複数の面を設定した場合には、基準裏面BRは第1基準裏面、第2基準裏面等、複数の基準裏面として設定されることとなる。
電熱ヒータ4を調理プレート3に一体的に鋳込み形成する際には、電熱ヒータ4を支持具等(図示せず)により鋳型(図示せず)に支持固定した状態で鋳型内に金属を流し込み、一体的に成型される。このため、
図4〜
図6に示すように、調理プレート3には、裏面側において、電熱ヒータ4が鋳込み形成された部位に、電熱ヒータ4が金属により被覆された被覆部3aと電熱ヒータが露出する露出部4a(鋳込み時に、支持具等により支持された部位)とが形成されている。電熱ヒータ4が鋳込み形成された部位は、主に被覆部3aによって形成され、露出部4aは鋳込み形成のために必要最小限な部分にのみ形成されているので、電熱ヒータ4により発生した熱を、電熱ヒータ4を被覆する被覆部3aに効率よく伝熱させ調理プレート3の加熱効率を向上することができ、しかも、露出部4aの存在による加熱効率の低下は最小限に抑制されている。
【0036】
図1〜
図3、
図7及び
図8に示すように、調理プレート3の基準表面BAから上方に突出する表面側突条6は、調理プレート3の長手方向に沿って複数列形成され、隣接間に基準表面BAから基準裏面BRに貫通する貫通孔8を複数形成した状態で、互いに並行して配置されている(本実施形態では、14列)。なお、貫通孔8は、平面視で細長い概略長方形状に形成され、その長手方向が調理プレート3の長手方向に沿うように配設されている。加えて、調理プレート3の表面側の外縁部には、基準表面BAから上方に突出する表面側外縁凸部9が略全周に亘って一体的に形成され、表面側突条6の端部は表面側外縁凸部9に近接する状態で調理プレート3の長手方向の端部に亘って配設されている。
【0037】
図4〜
図8に示すように、調理プレート3の基準裏面BRから下方に突出する裏面側突条7は、少なくとも上下方向で表面側突条6に対応する箇所(表面側突条6の裏面側)に、調理プレート3の長手方向に沿って形成され、隣接間に貫通孔8を複数形成した状態で互いに並行して配置される複数列の第1裏面側突条7a(本実施形態では、16列)を備えて形成されている。加えて、調理プレート3の裏面側の外縁部には、基準裏面BRから下方に突出する裏面側外縁凸部10が略全周に亘って一体的に形成され、裏面側突条7の端部は裏面側外縁凸部10に近接する状態で調理プレート3の長手方向の端部に亘って配設されている。
【0038】
また、調理プレート3の基準裏面BRから下方に突出する裏面側突条7は、第1裏面側突条7aとは別に、第1裏面側突条7aに対して交差する箇所に、少なくとも隣接する第1裏面側突条7a同士を連結する第2裏面側突条7bを備えて形成されている。なお、本実施形態では、第1裏面側突条7aと第2裏面側突条7bとの交差角度は、略90度に設定されているが、この交差角度は適宜変更可能である。
【0039】
図3〜
図5に示すように、調理プレート3には、平面視において長手方向で対向する部位(短辺部位)の中央部に、板状のブラケット11を介して外側に突出する一対のハンドル部5が取り付けられている。ブラケット11は、一つのハンドル部5に対して一対設けられ、ハンドル部5の下面側と調理プレート3の裏面側とに亘ってビス止め固定されている(
図4参照)。
図1及び
図2に示すように、ハンドル部5の下面は中央側部位が両端側部位よりも下方に突出する形状に形成されており、調理プレート3が調理器本体1に載置されると、ハンドル部5の下面における中央側部位とハンドル収容部1Cの上面における中央側部位とが嵌合し、ハンドル部5の下面における両端側部位とハンドル収容部1Cの上面における両端側部位とが嵌合して、ハンドル収容部1Cに対してハンドル部5が位置決めされる。ハンドル部5がハンドル収容部1Cに位置決めされた状態では、調理プレート3は水平方向と略並行な状態で調理器本体1に載置されることとなる。
【0040】
一対のハンドル部5の下面における中央側部位には、側面視で、横長で下方が開放された概略逆U字形状の把持部12が形成されており、把持部12とハンドル収容部1Cの上面との間の空間に指を挿入して、把持部12を上方に持ち上げることで、調理プレート3を容易に持ち上げることが可能に構成されている。
【0041】
図3及び
図4に示すように、電熱ヒータ4は、公知の1本の電気式のシーズヒータを概略矩形で平面状に屈曲形成し、調理プレート3に対して並行に配設した状態で、調理プレート3の厚み内に一体的に鋳込み形成されている。
図1に示すように、電熱ヒータ4の両端部(図示せず)は、調理プレート3の一対のハンドル部5のうち一方のハンドル部5に一体的に形成されたプラグ受け部30内に突出配置され、その突出部分に円筒状の硝子部材(図示せず)を介して導電部材からなる通電ピン(受け部側通電部の一例、図示せず)がそれぞれ電気的に接続されている。
【0042】
図1及び
図2に示すように、電源プラグ32は、平面視で概略D字形状に形成されたプラグ本体34と、プラグ本体34の装着先端側に設けられた装着部から突出形成される感熱棒35と、装着部とは反対側に配設され電源とプラグ本体34とを接続する電源コード36と、を備える。プラグ本体34は、ユーザが温度調節及び電源のオン・オフの操作を行うための温度調節ダイヤル33を備え、感熱棒35により感知される調理プレート3の温度が温度調節ダイヤル33で設定された設定温度となるように、電源から電熱ヒータ4に供給される電力量を調節する制御等を実行するように構成される。すなわち、プラグ本体34は、温度調節器及び電源制御器として機能する。
【0043】
調理プレート3の構成について、さらに説明を加える。
図4〜
図6に示すように、調理プレート3の裏面側には、裏面側視で、電熱ヒータ4の露出部4aが、第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b及び被覆部3aにより囲繞された領域であって且つ貫通孔8が形成された領域から区画された貫通孔非形成領域W内に配置されている。
【0044】
例を挙げて説明すると、
図4〜
図7に示すように、例えば、露出部4aとしての第1露出部4a1の周囲は、次の順序で囲繞された貫通孔非形成領域W内に配置されている。
具体的には、第1露出部4a1の周囲には、例えば右回り(
図6において、白丸を出発点として、実線の矢印で示す軌跡)で説明すると、被覆部3a、第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b、第1裏面側突条7a、被覆部3a、第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b、第1裏面側突条7a、最初に記載の被覆部3aが記載順に配設される。これら第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b及び被覆部3aは、基準裏面BRから下方に突出形成されている。従って、第1露出部4a1は、これら第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b及び被覆部3aにより囲繞された領域内に位置し、一方で、貫通孔8は、これら第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b及び被覆部3aにより囲繞された領域の外側に位置することとなるため、第1露出部4a1は、貫通孔非形成領域W内に位置するのである。
【0045】
また、他の例を挙げて説明すると、
図4〜
図6、
図8に示すように、例えば、露出部4aとしての第2露出部4a2の周囲は、次の順序で囲繞された貫通孔非形成領域W内に配置されている。
具体的には、第2露出部4a2の周囲には、例えば右回り(
図6において、白丸を出発点として、破線の矢印で示す軌跡)で説明すると、被覆部3a、第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b、第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b、第1裏面側突条7a、被覆部3a、第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b、第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b、第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b、第1裏面側突条7a、最初に記載の被覆部3aが記載順に配設される。これら第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b及び被覆部3aは、基準裏面BRから下方に突出形成されている。従って、第2露出部4a2は、これら第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b及び被覆部3aにより囲繞された領域内に位置し、一方で、貫通孔8は、これら第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b及び被覆部3aにより囲繞された領域の外側に位置することとなるため、第2露出部4a2は、貫通孔非形成領域W内に位置するのである。
【0046】
なお、上記では露出部4aを代表して第1露出部4a1及び第2露出部4a2の囲繞状態について説明したが、露出部4aが、第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b及び被覆部3aにより囲繞されて、貫通孔8が形成された領域と区画される構成であれば、その他の囲繞状態で構成してもよい。
【0047】
また、調理プレート3の裏面側には、裏面側視で、被覆部3aに面する部位以外の露出部4aの周囲が、貫通孔非形成領域W内において、第1裏面側突条7a及び第2裏面側突条7bが形成されていない基準裏面BRにより囲繞されている。すなわち、裏面側視で、露出部4aの周囲のうち被覆部3aに面する部位以外の部位が、基準裏面BRにより囲繞されるため、露出部4aは、被覆部3a及び基準裏面BRに隣接する状態で、貫通孔8から区画された貫通孔非形成領域W内に位置している。なお、
図3〜
図6に示すように、調理プレート3において電熱ヒータ4が鋳込み形成された部位、表面側突条6、第1裏面側突条7a及び第2裏面側突条7bが形成された部位には、貫通孔8が形成されていない。
【0048】
ここで、
図7及び
図8に示すように、第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b、被覆部3a及び露出部4aの基準裏面BRからの突出高さはそれぞれ、第1裏面側突条7aの突出高さL1、第2裏面側突条7bの突出高さL2、被覆部3aの突出高さL3、露出部4aの突出高さL4とされている。本実施形態では、これら突出高さL1〜L4の高さ(長さ)関係は、L1=L2<L4<L3に設定されている。なお、図示しないが、表面側突条6の基準表面BAからの突出高さは、第1裏面側突条7aの突出高さL1及び第2裏面側突条7bの突出高さL2と同等の高さに設定されている。
【0049】
従って、露出部4aの周囲のうち被覆部3aに面する部位以外の部位は、基準裏面BRから突出高さL4だけ突出した状態で、基準裏面BRに隣接することとなる。すなわち、
図4〜
図6、
図7(a)及び
図8(b)に示すように、断面視で、被覆部3aに面する部位以外の露出部4a(図では、第1露出部4a1及び第2露出部4a2)の周囲と貫通孔8との間は、少なくとも貫通孔8側から順に、基準裏面BR(貫通孔8)、基準裏面BRよりも突出する第1裏面側突条7a又は第2裏面側突条7b、基準裏面BR、基準裏面BRよりも突出する露出部4aが位置することとなる。
【0050】
また、被覆部3aの基準裏面BRからの突出高さL3が、露出部4aの基準裏面BRからの突出高さL4よりも大きく形成されるので、露出部4aの周囲のうち被覆部3aに面する部位は、被覆部3aよりも基準裏面BR側に窪み形成されることとなる。すなわち、
図4〜
図6、
図7(b)及び
図8(a)に示すように、断面視で、露出部4a(図では、第1露出部4a1及び第2露出部4a2)の周囲において被覆部3aに面する部位と貫通孔8との間は、少なくとも貫通孔8側から順に、基準裏面BR(貫通孔8)、基準裏面BRよりも突出する被覆部3a、基準裏面BRよりも突出し且つ被覆部3aよりも窪んだ(突出しない)露出部4aが位置することとなる。
【0051】
次に、上記のように構成されるホットプレートHを使用して肉や野菜等の食品の加熱調理をした際に、主として加熱調理により食品から発生した油や水等の液状物が、貫通孔8を介して調理プレート3の基準表面BAから基準裏面BRに流下する流れについて、概略的に説明する。
【0052】
まず、
図1及び
図2に示すように、水受け皿2を調理器本体1内に載置し、水受け皿2内に所定量の水を貯留した後、調理プレート3に取り付けられた一対のハンドル部5を調理器本体1における一対のハンドル収容部1Cに載置・収容して、調理器本体1に水受け皿2及び調理プレート3を一体的に装着する。そして、プラグ受け部30の電源プラグ32を装着して温度調節ダイヤル33を操作し、電源から所定量の電力を電熱ヒータ4に供給し当該電熱ヒータ4により調理プレート3を所望の温度に加熱させる。
その後、所望の温度に加熱された調理プレート3の複数列の表面側突条6上に、食品を載置して加熱調理する。
【0053】
この加熱調理の際、表面側突条6及びその近傍の温度が低下しても、調理プレート3の裏面側において表面側突条6に対応する箇所には第1裏面側突条7aが形成されているので、表面側突条6の熱容量を第1裏面側突条7aの熱容量で補完することができ、表面側突条6の熱容量を実質的に増加させることができる。これにより、複数列の表面側突条6に食品を載置して加熱調理しても、表面側突条6の温度低下を確実に(最小限に)抑制することができる。
【0054】
一方、調理プレート3の表面側突条6に食品を載置して加熱調理を行った際に発生した油や水等の液状物は、貫通孔8を介して基準表面BA側から基準裏面BR側に流下するが、基本的に、電熱ヒータ4の大部分は被覆部3aにより被覆されており、液状物が被覆部3aに接触したとしても、煙が発生したり電熱ヒータ4が汚損することはない。
【0055】
また、電熱ヒータ4の露出部4aは、裏面において、貫通孔8が形成された領域(基準裏面BR)よりも突出する第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b及び被覆部3aにより囲繞されて貫通孔8から区画される。そのため、貫通孔8を介して基準裏面BR側に流下した液状物は、一旦、第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b及び被覆部3aに接触することとなり、露出部4aへの直接的な接触を防止することができる。
【0056】
さらに、断面視で、被覆部3aに面する部位以外の露出部4aの周囲と貫通孔8との間は、少なくとも貫通孔8側から順に、基準裏面BR(貫通孔8)、基準裏面BRよりも突出する第1裏面側突条7a及び第2裏面側突条7bの何れか一方或いは両方、基準裏面BR、基準裏面BRよりも突出する露出部4aが位置することとなる。そのため、貫通孔8を介して基準裏面BRに流下した液状物は、第1裏面側突条7a及び第2裏面側突条7bの何れか一方或いは両方に流下し、自重によりそのまま下方に滴下することはあっても、被覆部3aに面する部位以外の露出部4aの周囲を囲繞する基準裏面BRに遡上(上昇)することはない。すなわち、貫通孔8から流下した液状物が、露出部4aの周囲のうち被覆部3aに面する部位以外の部位から露出部4aに接触することを防止できる。
【0057】
加えて、断面視で、露出部4aの周囲において被覆部3aに面する部位と貫通孔8との間は、少なくとも貫通孔8側から順に、基準裏面BR(貫通孔8)、基準裏面BRよりも突出する被覆部3a、基準裏面BRよりも突出し且つ被覆部3aよりも窪んだ(突出しない)露出部4aが位置する。そのため、貫通孔8を介して基準裏面BRに流下した液状物は、基準裏面BR(貫通孔8)、被覆部3aに流下し、自重によりそのまま下方に滴下することはあっても、被覆部3aより窪んだ(突出しない)露出部4aに遡上(上昇)することはない。すなわち、貫通孔8から流下した液状物が、露出部4aの周囲のうち被覆部3aに面する部位から露出部4aに接触することを防止できる。
【0058】
すなわち、貫通孔8を介して流下した液状物が露出部4aに接触することを、露出部4aの周囲のうち全ての周囲について防止することができる。
【0059】
なお、第1裏面側突条7a、第2裏面側突条7b及び被覆部3aに流下して下方に滴下した液状物は、下方に配設された水受け皿2内に滴下して、水受け皿2内に貯留された水により冷却されるとともに、水受け皿2の外部への漏出が防止されている。また、表面側で肉等を載置して調理を行った際に発生した肉汁等の油が調理プレート3の周囲から滴下することは、表面側外縁凸部9によって防止されている。
【0060】
よって、少なくとも表面側突条6及び電熱ヒータ4を一体的に鋳込み形成した調理プレート3を採用した場合において、加熱効率の低下及び調理時の温度低下を確実に抑制し、しかも、調理により生じた液状物が電熱ヒータ4の露出部4aに付着することを確実に防止することができた。
【0061】
以下、本発明のその他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0062】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態においては、加熱調理器の一例として調理プレート3を備えたホットプレートHを例として説明した。しかし、当然ながら本発明が適用可能な加熱調理器としては、ホットプレートH(鉄板焼き器)のみならず、他の加熱調理器を例示することができる。すなわち、表面側に基準表面BAから突出する表面側突条6と、裏面側に基準裏面BRから突出する裏面側突条7及び電熱ヒータ4とが一体的に鋳込み形成され、基準表面BAから基準裏面BRに貫通する貫通孔8を備えた調理プレート3を用いた加熱調理器として、焼き肉器、グリル鍋等に適用することができる。
【0063】
(2)上記実施形態においては、第1裏面側突条7a及び第2裏面側突条7bの基準裏面BRからの突出高さL1,L2を同等に設定し、また、電熱ヒータ4の被覆部3aの突出高さを露出部4aの基準裏面BRからの突出高さL4よりも大きく設定したが、露出部4aを貫通孔8が形成された領域から区画できる構成であれば、それら突出高さは、必要に応じて適宜変更することができる。
また、表面側突条6の基準表面BAからの突出高さについても、食品を適切に加熱調理できるのであれば、必要に応じて適宜変更することができる。
【0064】
(3)上記実施形態においては、調理プレート3の裏面側視で、被覆部3aに面する部位以外の露出部4aの周囲を、貫通孔非形成領域W内において基準裏面BRにより囲繞する構成としたが、露出部4aに貫通孔8からの液状物の付着を防止できる構成であれば、その他の構成を採用することもできる。例えば、被覆部3aに面する部位以外の露出部4aの周囲を、第1裏面側突条7aや第2裏面側突条7bで囲繞する構成としてもよい。
【0065】
(4)上記実施形態においては、表面側突条6及び第1裏面側突条7aを調理プレート3の長手方向に沿って配設したが、調理プレート3の短手方向に沿って配設することもできる。また、調理プレート3が、正方形である場合には、何れの辺に沿って配設する構成としてもよい。
【0066】
(5)上記実施形態においては、調理プレート3の形状を、平面視で概略矩形(四隅が曲線で形成され、丸みを帯びた長方形状)にした例を示したが、調理プレート3の形状は任意であり、例えば、円形、楕円形、矩形にすることもできる。その場合には、調理プレート3の形状に対応して、調理器本体1、水受け皿2等を略相似形状にしてもよい。
【0067】
(6)上記実施形態においては、隣接する表面側突条6同士を互いに並列に配設し、また、隣接する第1裏面側突条7a同士を互いに並列に配設し、隣接する第2裏面側突条7b同士を互いに並列に配設した例について説明したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、隣接する表面側突条6同士が所定の角度で傾斜するように配設してもよい。同様に、第1裏面側突条7a同士が所定の角度で傾斜し、また、第2裏面側突条7b同士が所定の角度で傾斜するように配設してもよい。