特許第5754593号(P5754593)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5754593
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】同軸コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/40 20110101AFI20150709BHJP
【FI】
   H01R24/40
【請求項の数】5
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2011-196629(P2011-196629)
(22)【出願日】2011年9月9日
(65)【公開番号】特開2013-58417(P2013-58417A)
(43)【公開日】2013年3月28日
【審査請求日】2014年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083909
【弁理士】
【氏名又は名称】神原 貞昭
(72)【発明者】
【氏名】橋本 善光
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−080262(JP,A)
【文献】 米国特許第05322453(US,A)
【文献】 特開平07−326415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38 − 24/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブルの中心導体との接続がなされる中心導体接続部と相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに接触接続される接触係合部とを有したコンタクト部材と、
相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトを包囲する外側コンタクトに嵌合接続される環状嵌合部と該環状嵌合部から折曲可能に伸びて上記同軸ケーブルの外側導体との接続がなされるシェル部とを有したグラウンドコンタクト部材と、
上記コンタクト部材と上記グラウンドコンタクト部材とを相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジング部材と、
を備えて構成され、
上記コンタクト部材が、固定部が設けられて該固定部により上記絶縁ハウジング部材に固定され、上記接触係合部が上記グラウンドコンタクト部材の環状嵌合部の内側に配されるとともに、上記中心導体接続部が上記グラウンドコンタクト部材の環状嵌合部の外側において上記接触係合部に近接して配されるものとされ、上記接触係合部が、上記固定部から相互対向して突出する一対の湾曲弾性腕状部を有し、該一対の湾曲弾性腕状部の夫々の自由端が相互係合せしめられて弾性変形可能な環状体を形成し、上記相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに上記環状体を嵌合させて押圧接触することを特徴とする同軸コネクタ装置。
【請求項2】
上記一対の湾曲弾性腕状部が、上記固定部からの突出長が等長とされたもとで上記環状体を形成することを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ装置。
【請求項3】
上記一対の湾曲弾性腕状部のうちの一方の自由端に係合凹部が設けられるとともに上記一対の湾曲弾性腕状部のうちの他方の自由端に係合凸部が設けられ、上記係合凹部と上記係合凸部とが相互係合せしめられることにより、上記環状体が形成されることを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ装置。
【請求項4】
上記環状体を形成する一対の湾曲弾性腕状部が、相互に近接する方向及び相互に離隔する方向の弾性変位が可能とされることを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ装置。
【請求項5】
上記絶縁ハウジング部材が、上記グラウンドコンタクト部材の環状嵌合部の内側において上記接触係合部を包囲する基部を有し、該基部と上記環状体を形成する一対の湾曲弾性腕状部の夫々との間に上記一対の湾曲弾性腕状部の弾性変位を許容する間隙が形成されることを特徴とする請求項4記載の同軸コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、中心導体とそれを内部絶縁体を介して包囲する外側導体とが外部絶縁体により被覆されて成る同軸ケーブルの中心導体及び外側導体が夫々接続される、互いに絶縁されたコンタクト部材及びグラウンドコンタクト部材を備えて成り、他の同軸コネクタ装置である相手方同軸コネクタ装置に嵌合連結される同軸コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電気部品,電気装置あるいは電子機器間等における高周波信号の伝送には、外部ノイズの影響を受け難い信号伝送路を形成する、中心導体とそれを内部絶縁体を介して包囲する外側導体とが外部絶縁体により被覆されて成る同軸ケーブルが用いられることが多い。例えば、同軸ケーブルが高周波信号を扱う回路基板に接続されて、当該回路基板からその外部への同軸ケーブルを通じた高周波信号の伝送、あるいは、当該回路基板への外部からの高周波信号の同軸ケーブルを通じた伝送が行われる。
【0003】
同軸ケーブルが回路基板に接続される際には、同軸ケーブルの中心導体が接続されるコンタクト部材と同軸ケーブルの外側導体が接続されるグラウンドコンタクト部材とを備えた同軸コネクタ装置が同軸ケーブルの一端に装着され、その同軸コネクタ装置が、回路基板において扱われる高周波信号が供給される中心コンタクトと中心コンタクトを包囲して配されてグラウンド電位が与えられる外側コンタクトとを備えて回路基板に取り付けられた相手方同軸コネクタ装置に連結されるようにされる。このような同軸コネクタ装置の相手方同軸コネクタ装置との連結は、例えば、同軸コネクタ装置のグラウンドコンタクト部材が相手方同軸コネクタ装置の外側コンタクトに嵌合接続されるもとで、同軸コネクタ装置のコンタクト部材が相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに接触接続される状態がとられて行われる。
【0004】
斯かる同軸コネクタ装置の相手方同軸コネクタ装置との連結が行われるにあたっては、回路基板に取り付けられた相手方同軸コネクタ装置が、それにおける中心コンタクトと外側コンタクトとを回路基板における部品等搭載面の上方に向かわせるものとされ、その相手方同軸コネクタ装置に対して、同軸ケーブルの一端に装着された同軸コネクタ装置が、回路基板における部品等搭載面の上方からその部品等搭載面に向かう方向をもって係合せしめられて、同軸コネクタ装置のグラウンドコンタクト部材が相手方同軸コネクタ装置の外側コンタクトに嵌合接続されるとともに、同軸コネクタ装置のコンタクト部材が相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに接触接続される。従って、相手方同軸コネクタ装置が取り付けられた回路基板上において、同軸コネクタ装置は、回路基板の部品等搭載面から突出する方向、即ち、回路基板の部品等搭載面に直交する方向の寸法を厚み寸法とするものとなる。
【0005】
従来、同軸コネクタ装置として様々なものが知られているが、それらのうちの一つとして、同軸ケーブルの一端への装着を適正かつ容易にすべく、それが備えるコンタクト部材と同軸ケーブルの中心導体との接続に半田付けを必要としないようにした同軸コネクタ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。斯かる特許文献1に開示されている同軸ケーブル用コネクタ(同軸コネクタ装置)は、胴部(環状嵌合部)(6) とその胴部(6 ) から伸びるホルダ部(7) とを有した外部導体シェル(グラウンドコンタクト部材)(1) と、前部(下部)接続部(3a)と後部(上部)接続部(3b)とを有してL字形を成す中心端子(コンタクト部材)(3) と、外部導体シェル(1) と中心端子(3) との間に配される誘電体(絶縁ハウジング部材)(2) とを備えて構成される。そして、中心端子(3) が誘電体(2) により支持され、その誘電体(2) が外部導体シェル(1) シェルにより支持されて、中心端子(3) の前部(下部)接続部(3a)が、外部導体シェル(1) の胴部(6) によって包囲されることになる位置に配される。
【0006】
斯かる同軸ケーブル用コネクタが同軸ケーブル(4) の一端に装着される際には、先ず、同軸ケーブル(4) の中心導体(15)に、中心端子(3) の後部(上部)接続部(3b)がその内面を当接させてかしめ圧着により取り付けられる。それにより、中心端子(3) の前部(下部)接続部(3a)が、同軸ケーブル(4) の中心導体(15)からその中心軸線に直交する方向に突出するものとされる。その後、同軸ケーブル(4) の中心導体(15)からその中心軸線に直交する方向に突出する中心端子(3) の前部(下部)接続部(3a)が、外部導体シェル(1) の胴部(6) 内に配された誘電体(2) の下部に設けられた内孔(2a)の挿入され、続いて、外部導体シェル(1) のホルダ部(7) が胴部(6) に向かって折曲げられ、それに伴って、誘電体(2) の上部が誘電体(2) の下部に向かって折曲げられて、中心端子(3) の後部(上部)接続部(3b)が取り付けられた同軸ケーブル(4) の中心導体(15)を押圧する。さらに、外部導体シェル(1) のホルダ部(7) が、誘電体(2) の上部を包囲する状態をもって同軸ケーブル(4) の外皮(外部絶縁体)(12) にかしめにより固定される。
【0007】
そして、同軸ケーブル(4) の一端に装着された同軸ケーブル用コネクタは、回路基板に取り付けられた相手方同軸コネクタ装置に、外部導体シェル(1) の胴部(6) を相手方同軸コネクタ装置の外側コンタクトに嵌合させるとともに、同軸ケーブル(4) の中心導体(15)に取り付けられた中心端子(3) の前部(下部)接続部(3a)を相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに接触接続させて連結される。
【0008】
このような特許文献1に開示された従来の同軸ケーブル用コネクタにあっては、同軸ケーブルの一端に装着されて回路基板に取り付けられた相手方同軸コネクタ装置に連結されたとき、同軸ケーブルの中心導体からその中心軸線に直交する方向に突出する中心端子の前部(下部)接続部が、相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトとの接触接続状態におかれるが、その際における接触接続状態は、中心端子の前部(下部)接続部が弾性力を中心コンタクトに作用させることによりとられる。それゆえ、同軸ケーブルの中心導体からその中心軸線に直交する方向に突出する中心端子の前部(下部)接続部が、中心コンタクトに接触接続を確実なものとするに足る弾性力を作用させるべく、同軸ケーブルの中心導体からの突出長を比較的大なるものとすることが必要とされる。それにより、中心コンタクトとその上方に配されることになる同軸ケーブルの中心導体との間隔が比較的大とされることになり、その結果、胴部とホルダ部とを有した外部導体シェルと、前部(下部)接続部と後部(上部)接続部(3b)とを有してL字形を成す中心端子と、外部導体シェルと中心端子との間に配される誘電体とを備えて構成される同軸ケーブル用コネクタが、相手方同軸コネクタ装置が取り付けられた回路基板の部品等搭載面に直交する方向の寸法である厚み寸法の低減を図ることが困難なものとなってしまう。
【0009】
そのため、同軸ケーブルの中心導体が接続されるコンタクト部材と同軸ケーブルの外側導体が接続されるグラウンドコンタクト部材とを備えたもとで、同軸ケーブルの中心導体が接続されたコンタクト部材の相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトとの接触態様を工夫することにより、厚み寸法の低減を図るようにした同軸コネクタ装置も従来提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0010】
斯かる特許文献2に開示されている同軸コネクタ(同軸コネクタ装置)にあっては、同軸ケーブル(26)の中心導体(26c) に、ばね性を有する金属からなり、リング状に形成されたばね接触部(33)を有したソケット(コンタクト部材)(23)が、かしめにより取り付けられ、そのソケット(23)がブッシング(絶縁ハウジング部材)(22)に設けられた嵌合凹部に挿入され、さらに、ブッシング(22)が金属性のハウジング(グラウンドコンタクト部材)(21)に設けられた筒状部(環状嵌合部)(24)に挿入される。そして、ソケット(23)がブッシング(22)に設けられた嵌合凹部に挿入され、そのブッシング(22)がハウジング(21)に設けられた筒状部(24)に挿入されたもとで、ブッシング(22)が有する折曲部及びハウジング(21)が有する折曲部が、ブッシング(22)の折曲部がソケット(23)を覆い、そのブッシング(22)の折曲部をハウジング(21)の折曲部が覆うようにして、折り重ねられる。ハウジング(21)の折曲部には、カシメ部(28)が形成されており、折り曲げられたハウジング(21)の折曲部におけるカシメ部(28)が、同軸ケーブル(26)の外導体(外側導体)(26a) に接続されるとともに、同軸ケーブル(26)を外皮(外部絶縁体)(26b) の外側からかしめる。それにより、同軸ケーブル(26)の中心導体(26c) がソケット(23)に接続されるとともに、同軸ケーブルの外側導体がハウジングに接続されて、同軸ケーブルの同軸ケーブルコネクタに対する接続がなされる。
【0011】
このような特許文献2に開示されている同軸コネクタにあっては、同軸ケーブルの一端に装着されて回路基板に取り付けられた相手方同軸コネクタ装置に連結されたとき、同軸ケーブルの中心導体に取り付けられたソケット(23)が、それが有するリング状に形成されたばね接触部(33)を、相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに嵌合させることにより、相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトとの接触接続状態におかれる。従って、相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトとその上方に配されることになる同軸ケーブルの中心導体との間隔を比較的小なるものとすることができ、それにより、同軸コネクタの厚み寸法の低減を図ることができることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平4−282580号公報(第3〜4頁及び図1図5
【特許文献2】特開平11−307189号公報(第3〜4頁及び図1図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述された特許文献2に開示された従来の同軸コネクタにあっても、以下に述べられるような、更なる改善が施されることが望まれる事柄が存在する。
【0014】
即ち、特許文献2に開示された従来の同軸コネクタにあっては、同軸ケーブルの一端に装着されて回路基板に取り付けられた相手方同軸コネクタ装置に連結されたとき、同軸ケーブルの中心導体に取り付けられたソケット(23)と相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトとの接触接続状態は、ソケット(23)が有するリング状に形成されたばね接触部(33)が相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに嵌合することによって行われるので、ソケット(23)が、相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに対して十分な接触圧を作用させるもとで堅固に接触するものとはされないことになる虞がある。即ち、特許文献2に開示された従来の同軸コネクタは、相手方同軸コネクタ装置が取り付けられた回路基板の部品等搭載面に直交する方向の寸法である厚み寸法の低減を図ることはできるが、同軸ケーブルの中心導体に接続されるコンタクト部材であるソケットと相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトとの接触接続が、確実かつ安定に行われない事態が生じる虞を伴うものとなってしまうのである。それゆえ、同軸ケーブルの中心導体に接続されるコンタクト部材であるソケットと相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトとの接触接続が、確実かつ安定に行われることになるような改善が望まれることになる。
【0015】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、同軸ケーブルの中心導体が接続されるコンタクト部材と、同軸ケーブルの外側導体が接続されるグラウンドコンタクト部材と、コンタクト部材とグラウンドコンタクト部材とを相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジング部材とを備えて構成されるもとで、相手方同軸コネクタ装置が取り付けられた回路基板の部品等搭載面に直交する方向の寸法である厚み寸法の低減を図ることができるとともに、コンタクト部材と相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトとの接触接続を確実かつ安定に行うことができる同軸コネクタ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項5までのいずれかに記載された発明に係る同軸コネクタ装置(以下、本願発明に係る同軸コネクタ装置という。)は、同軸ケーブルの中心導体との接続がなされる中心導体接続部と相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに接触接続される接触係合部とを有したコンタクト部材と、相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトを包囲する外側コンタクトに嵌合接続される環状嵌合部とそれから折曲可能に伸びて同軸ケーブルの外側導体との接続がなされるシェル部とを有したグラウンドコンタクト部材と、コンタクト部材とグラウンドコンタクト部材とを相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジング部材とを備えて構成され、コンタクト部材が、固定部が設けられてその固定部により絶縁ハウジング部材に固定され、接触係合部がグラウンドコンタクト部材の環状嵌合部の内側に配されるとともに、中心導体接続部がグラウンドコンタクト部材の環状嵌合部の外側において接触係合部に近接して配されるものとされ、接触係合部が、固定部から相互対向して突出する一対の湾曲弾性腕状部を有し、それらの夫々の自由端が相互係合せしめられて弾性変形可能な環状体を形成して、相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに環状体を嵌合させて押圧接触することを特徴とするものとされる。
【0017】
上述の本願発明に係る同軸コネクタ装置にあっては、コンタクト部材がそれに設けられた固定部により絶縁ハウジング部材に固定され、コンタクト部材の接触係合部が、グラウンドコンタクト部材の環状嵌合部の内側に配されるとともに、コンタクト部材の中心導体接続部が、中心導体接続部がグラウンドコンタクト部材の環状嵌合部の外側において接触係合部に近接して配されたもとで、同軸ケーブルの中心導体がコンタクト部材の中心導体接続部に接続されるとともに、同軸ケーブルの外側導体がグラウンドコンタクト部材のシェル部に接続されて、同軸ケーブルの一端部に装着される。そして、コンタクト部材の接触係合部が、コンタクト部材の固定部から相互対向して突出する一対の湾曲弾性腕状部を有し、それらの夫々の自由端が相互係合せしめられて弾性変形可能な環状体を形成するものとされる。
【0018】
コンタクト部材の接触係合部が有する一対の湾曲弾性腕状部は、例えば、コンタクト部材の固定部からの突出長が等長とされたもとで、環状体を形成する。また、コンタクト部材の接触係合部が有する一対の湾曲弾性腕状部は、例えば、そのうちの一方の自由端に係合凹部が設けられるとともに他方の自由端に係合凸部が設けられ、これらの係合凹部と係合凸部とが交互係合せしめられることにより環状体を形成する。
【0019】
さらに、コンタクト部材の接触係合部が有する一対の湾曲弾性腕状部は、例えば、環状体を形成したもとで、相互に近接する方向及び相互に離隔する方向の弾性変位が可能とされ、それに伴い、絶縁ハウジング部材が、グラウンドコンタクト部材の環状嵌合部の内側において接触係合部を包囲する基部を有し、その基部と環状体を形成する一対の湾曲弾性腕状部の夫々との間に一対の湾曲弾性腕状部の弾性変位を許容する間隙が形成されるものとされる。
【0020】
同軸ケーブルの一端部に装着された本願発明に係る同軸コネクタ装置は、例えば、回路基板に取り付けられた相手方同軸コネクタ装置に、グラウンドコンタクト部材の環状嵌合部を相手方同軸コネクタ装置の外側コンタクトに嵌合させるとともに、グラウンドコンタクト部材の環状嵌合部の内側に配されたコンタクト部材の接触係合部を相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに接触接続させて、連結される。その際、接触係合部は、それが有する一対の湾曲弾性腕状部の夫々の自由端が相互係合せしめられて形成する弾性変形可能な環状体を、相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに嵌合させて、その中心コンタクトに押圧接触するものとされる。
【発明の効果】
【0021】
このような本願発明に係る同軸コネクタ装置にあっては、グラウンドコンタクト部材の環状嵌合部の内側に配されるコンタクト部材の接触係合部が、相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに嵌合する弾性変形可能な環状体を形成するものとされ、斯かる環状体は、嵌合する相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに、相手方同軸コネクタ装置が取り付けられた回路基板の部品等搭載面に沿う方向をもって押圧接触することになり、また、同軸ケーブルの中心導体との接続がなされるコンタクト部材の中心導体接続部が、グラウンドコンタクト部材の環状嵌合部の外側において接触係合部に近接して配されるので、本願発明に係る同軸コネクタ装置は、相手方同軸コネクタ装置が取り付けられた回路基板の部品等搭載面に直交する方向の寸法である厚み寸法の低減を図ることができるものとなる。
【0022】
しかも、本願発明に係る同軸コネクタ装置にあっては、相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに接触接続されるコンタクト部材の接触係合部が、コンタクト部材の固定部から相互対向して突出する一対の湾曲弾性腕状部を有し、それらの夫々の自由端が相互係合せしめられて弾性変形可能な環状体を形成し、その弾性変形可能な環状体を相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに嵌合させて、その中心コンタクトに押圧接触するものとされるので、コンタクト部材の接触係合部の相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに対する押圧接触が、弾性変形可能な環状体を形成する一対の湾曲弾性腕状部の夫々が具える弾性力を伴って強固に行われる。従って、本願発明に係る同軸コネクタ装置によれば、コンタクト部材と相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトとの接触接続を確実かつ安定に行うことができることになる。
【0023】
特に、コンタクト部材の接触係合部が有する一対の湾曲弾性腕状部が、コンタクト部材の固定部からの突出長が等長とされたもとで環状体を形成するもの、あるいは、コンタクト部材の接触係合部が有する一対の湾曲弾性腕状部が、そのうちの一方の自由端に係合凹部が設けられるとともに他方の自由端に係合凸部が設けられ、これらの係合凹部と係合凸部とが交互係合せしめられることにより環状体を形成するものとされる場合には、相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに勘合する弾性変形可能な環状体を形成する一対の湾曲弾性腕状部の夫々が具える弾性力が、効率良く効果的に相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに作用することになり、コンタクト部材の接触係合部の相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに対する押圧接触がより強固に行われる。
【0024】
さらに、コンタクト部材の接触係合部が有する一対の湾曲弾性腕状部が、環状体を形成したもとで、相互に近接する方向及び相互に離隔する方向の弾性変位が可能とされ、それに伴い、絶縁ハウジング部材が、グラウンドコンタクト部材の環状嵌合部の内側において接触係合部を包囲する基部を有し、その基部と環状体を形成する一対の湾曲弾性腕状部の夫々との間に一対の湾曲弾性腕状部の弾性変位を許容する間隙が形成されるものとされる場合にも、相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに勘合する弾性変形可能な環状体を形成する一対の湾曲弾性腕状部の夫々が具える弾性力が、相手方同軸コネクタ装置が取り付けられた回路基板の部品等搭載面に沿う方向をもって効率良く効果的に相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに作用することになり、コンタクト部材の接触係合部の相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトに対する押圧接触がなお一層強固に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を同軸ケーブルの一部と共に示す平面図である。
図2】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を同軸ケーブルの一部と共に示す底面図である。
図3図1における III−III 線断面を示す断面図である。
図4】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が嵌合連結される相手方同軸コネクタ装置の一例を示す上面側から見た斜視図である。
図5】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が嵌合連結される相手方同軸コネクタ装置の一例を示す底面側から見た斜視図である。
図6】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が備える絶縁ハウジング部材を示す上面側から見た斜視図である。
図7】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が備える絶縁ハウジング部材を示す底面側から見た斜視図である。
図8】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が備える絶縁ハウジング部材を示す底面図である。
図9】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が備えるグラウンドコンタクト部材を示す上面側から見た斜視図である。
図10】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が備えるグラウンドコンタクト部材を示す底面側から見た斜視図である。
図11】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が備えるコンタクト部材を示す側面図である。
図12】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が備えるコンタクト部材を示す上面側から見た斜視図である。
図13】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が備えるコンタクト部材を示す底面側から見た斜視図である。
図14】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を示す上面側から見た斜視図である。
図15】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を示す底面側から見た斜視図である。
図16】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を示す断面図である。
図17】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が同軸ケーブルの一端部に装着される過程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願発明を実施するための形態は、以下に述べられる本願発明についての実施例をもって説明される。
【実施例】
【0027】
図1(平面図),図2(底面図)及び図3図1における III−III 線断面を示す断面図)は、本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を、それが一端部に装着された同軸ケーブルの一例と共に示す。
【0028】
図1図3に示される本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を成す同軸コネクタ装置10は、同軸ケーブル11の一端部に装着されており、同軸ケーブル11は、中心導体12と、中心導体12を密着包囲する内部絶縁体13と、内部絶縁体13を密着包囲する外側導体14と、外側導体14を密着包囲する表皮絶縁体15とを有している。斯かる同軸ケーブル11の一端部においては、表皮絶縁体15が部分的に切除されて外側導体14が露出するとともに、その外側導体14及び内部絶縁体13の夫々が部分的に切除されて中心導体12が露出する状態におかれている。
【0029】
同軸コネクタ装置10は、主要構成要素として、導電性材料により形成されて、同軸ケーブル11の中心導体12との電気的接続がなされるコンタクト部材20と、導電性材料により形成されて、同軸ケーブル11の外側導体14との電気的接続がなされるグラウンドコンタクト部材21と、合成樹脂材等の絶縁材料により形成されて、コンタクト部材20とグラウンドコンタクト部材21とを相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジング部材22とを備えている。
【0030】
絶縁ハウジング部材22は、外周面23が円錐筒面状を成すものとされ、中央部に矩形透孔24が形成されるとともに、矩形透孔24に連なる内部空間が形成された基部25を有しており、基部25は、コンタクト部材20を保持している。また、グラウンドコンタクト部材21が、絶縁ハウジング部材22の基部25を包囲する環状嵌合部26を有している。そして、これら絶縁ハウジング部材22の基部25とグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部26とは、同軸コネクタ装置10における嵌合連結部を構成しており、同軸ケーブル11の一端部に装着された同軸コネクタ装置10は、斯かる嵌合連結部をもって、相手方同軸コネクタ装置に嵌合連結される。
【0031】
図4(上面側から見た斜視図)及び図5(底面側から見た斜視図)は、同軸コネクタ装置10が嵌合連結される相手方同軸コネクタ装置の一例を成す相手方同軸コネクタ装置30を示す。相手方同軸コネクタ装置30は、回路基板(図示が省略されている。)に固定されるものとされており、合成樹脂材等の絶縁材料により形成されて、相手方同軸コネクタ装置30が固定される回路基板の部品等搭載面上に配される絶縁基体31を備えている。絶縁基体31は、相手方同軸コネクタ装置30が固定される回路基板の部品等搭載面に対接する底面側部分32とそれに対向する上面側部分33とを有しており、その中央部分に、底面側部分32と上面側部分33とを連通する透孔(図には現われていない。)が形成されている。
【0032】
また、相手方同軸コネクタ装置30は、導電材料により形成され、絶縁基体31の中央部分に形成された透孔を底面側部分32側から上面側部分33側へと貫通して、絶縁基体31に組み付けられる信号用接触導体34を備えている。信号用接触導体34には、絶縁基体31において底面側部分32側から透孔を貫通して上面側部分33側へと伸びる円柱状部を成す中心コンタクト35と、絶縁基体31の底面側部分32において中心コンタクト35から絶縁基体31の外部へと伸びる信号用接続部36とが設けられている。中心コンタクト35は、相手方同軸コネクタ装置30に嵌合連結される同軸コネクタ装置10におけるコンタクト部材20が接触接続されるものとされ、信号用接続部36は、絶縁基体31が配される部品等搭載面を有する回路基板に設けられた信号端子に、例えば、半田付けにより接続される。
【0033】
さらに、相手方同軸コネクタ装置30は、導電材料により形成され、絶縁基体31の上面側部分33側において、中心コンタクト35を、絶縁基体31が配される回路基板の部品等搭載面に沿って包囲する環状体を成すものとして、絶縁基体31に組み付けられた外側コンタクト37を備えている。外側コンタクト37には、それから絶縁基体31を貫通して絶縁基体31の底面側部分32側及び絶縁基体31の外部へと伸びる接地用接続部38が設けられている。外側コンタクト37は、相手方同軸コネクタ装置30に嵌合連結される同軸コネクタ装置10におけるグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部26が嵌合接続されるものとされ、接地用接続部38は、絶縁基体31が配される部品等搭載面を有する回路基板に設けられた接地端子に、例えば、半田付けにより接続される。なお、信号用接触導体34及び外側コンタクト37の絶縁基体31への組み付けは、例えば、インサート成形による一体組付けとしてもよい。
【0034】
同軸コネクタ装置10が備える絶縁ハウジング部材22は、図6図7及び図8に示されるように、基部25に加えて、基部25の一端から折曲可能に伸び、折り曲げられたときコンタクト部材20に当接するものとされる折曲当接部40と、基部25から伸び、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部26にその内側から係合してグラウンドコンタクト部材21を保持する保持部41とを有している。折曲当接部40は、全体として平板状部を成すものとされており、また、保持部41には、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部26に連なる部分に設けられた切欠き26a(図9)に挿入される突起部41aが設けられている。
【0035】
また、同軸コネクタ装置10が備えるグラウンドコンタクト部材21にあっては、図9及び図10に示されるように、環状嵌合部26に連なる部分に、絶縁ハウジング部材22の保持部41に設けられた突起部41aが挿入される切欠き26aが設けられている。そして、グラウンドコンタクト部材21は、環状嵌合部26に加えて、環状嵌合部26の一端から折曲可能に伸び、折り曲げられるとき、それに伴って絶縁ハウジング部材22の折曲当接部40を折り曲げるとともに、中心導体12がコンタクト部材20に接続された同軸ケーブル11の外側導体14との接続がなされることになるシェル部44と、環状嵌合部26から伸びて、中心導体12がコンタクト部材20に接続された同軸ケーブル11の外側導体14に接触して当該同軸ケーブル11を支持するケーブル支持部45とを有している。シェル部44は、それに沿って絶縁ハウジング部材22における折曲当接部40が伸びることになるものとされている。
【0036】
そして、シェル部44には、折り曲げられて、ケーブル支持部45に係合することになる一対の第1の折曲係合部46、及び、折り曲げられて、中心導体12がコンタクト部材20に接続された同軸ケーブル11の表皮絶縁体15に係合することになる一対の第2の折曲係合部47が設けられている。また、ケーブル支持部45の同軸ケーブル11の外側導体14に接触する内側部分には、複数の帯状突起45aが互いに平行に伸びるように設けられており、それにより、ケーブル支持部45の同軸ケーブル11の外側導体14との接触接続が確実に行われることになる。
【0037】
さらに、同軸コネクタ装置10が備えるコンタクト部材20は、図11図12及び図13に示されるように、絶縁ハウジング部材22における基部25に固定される固定部50と、同軸ケーブル11の中心導体12が接続される中心導体接続部51と、相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35に接触接続される接触係合部52とを有して構成されている。コンタクト部材20の固定部50には、係合突起部53が設けられており、この係合突起部53は、絶縁ハウジング部材22における基部25に矩形透孔24に隣接して形成された係合孔54に係合し、それにより、固定部50が絶縁ハウジング部材22における基部25に固定される。その際、コンタクト部材20の接触係合部52は、絶縁ハウジング部材22の基部25における矩形透孔24に連なる内部空間内に配される。
【0038】
また、コンタクト部材20の中心導体接続部51は、固定部50の一端部から伸びる固定平板状部55と、固定平板状部55から屈曲部56を介して折り返すように伸びる可動平板状部57とを有して構成されている。可動平板状部57は、屈曲部56を揺動支点として、固定平板状部55に近接する方向及び固定平板状部55から離隔する方向に弾性揺動可能とされており、可動平板状部57が固定平板状部55に近接する位置をとるものとされて、同軸ケーブル11の中心導体12が固定平板状部55と可動平板状部56とによって挟持され、それにより、コンタクト部材20の中心導体接続部51に同軸ケーブル11の中心導体12が接続された状態がとられる。
【0039】
さらに、コンタクト部材20の接触係合部52は、固定部50から相互対向して突出する一対の湾曲弾性腕状部58及び59を有して構成されている。一対の湾曲弾性腕状部58及び59は、固定部50からの突出長が実質的に等長とされており、湾曲弾性腕状部58の自由端に係合凹部60が形成されているとともに、湾曲弾性腕状部59の自由端に係合凸部61が形成されていて、湾曲弾性腕状部58の自由端に形成された係合凹部60と湾曲弾性腕状部59の自由端に形成されたは係合凸部61とが相互係合せしめられることにより、弾性変形可能な環状体を形成している。斯かる弾性変形可能な環状体を形成する一対の湾曲弾性腕状部58及び59は、環状体を形成したもとで、相互に近接する方向及び相互に離隔する方向の弾性変位が可能とされている。そして、接触係合部52が有する一対の湾曲弾性腕状部58及び59が形成する弾性変形可能な環状体は、相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35に嵌合し、当該中心コンタクト35との接触接続状態をとる。
【0040】
なお、接触係合部52が有する一対の湾曲弾性腕状部58及び59は、湾曲弾性腕状部58の自由端に、係合凹部60に代えて、係合凸部が形成されるとともに、湾曲弾性腕状部59の自由端に、係合凸部61に代えて、係合凹部が形成されたものとされてもよい。
【0041】
このような固定部50,中心導体接続部51及び接触係合部52を有したコンタクト部材20は、例えば、弾性金属板材に打抜き折曲げ加工が施されることにより一体的に形成される。そして、コンタクト部材20が、その中心導体接続部51に同軸ケーブル11の中心導体12が接続されて、グラウンドコンタクト部材21と共に、絶縁ハウジング部材22により支持された状態がとられる際には、コンタクト部材20の接触係合部52が、絶縁ハウジング部材22の基部25における矩形透孔24に連なる内部空間内に配され、従って、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部26の内側に配されるとともに、同軸ケーブル11の中心導体12が接続されたコンタクト部材20の中心導体接続部51が、絶縁ハウジング部材22の基部25の外部となるグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部26の外側において接触係合部52に近接して配される。
【0042】
上述の図11図13に示されるコンタクト部材20と図9及び図10に示されるグラウンドコンタクト部材21とが、図6図8に示される絶縁ハウジング部材22によって相互絶縁状態とされて支持されることにより、同軸コネクタ装置10が、図14図15及び図16に示されるように組み立てられる。このような図14図16に示される同軸コネクタ装置10の組立は、例えば、次のようにしてなされる。
【0043】
先ず、コンタクト部材20が、その固定部50に設けられた係合突起部53が、絶縁ハウジング部材22における基部25に矩形透孔24に隣接して形成された係合孔54に係合して、固定部50が絶縁ハウジング部材22に固定される状態をもって、絶縁ハウジング部材22に取り付けられ、それにより、絶縁ハウジング部材22により支持された状態におかれる。その際、コンタクト部材20の接触係合部52が、絶縁ハウジング部材22の基部25における矩形透孔24に連なる内部空間内に配されるとともに、コンタクト部材20の中心導体接続部51が、絶縁ハウジング部材22の基部25における内部空間外に配される。即ち、絶縁ハウジング部材22の基部25は、コンタクト部材20の接触係合部52を包囲しており、接触係合部52に固定部50を介して連なるコンタクト部材20の中心導体接続部51が、その外部に置かれるものとなる。
【0044】
絶縁ハウジング部材22の基部25における内部空間内に配されたコンタクト部材20の接触係合部52が有する弾性変形可能な環状体を形成する一対の湾曲弾性腕状部58及び59は、相互に近接する方向及び相互に離隔する方向の弾性変位が可能な状態におかれ、そのため、絶縁ハウジング部材22の基部25と一対の湾曲弾性腕状部58及び59の夫々との間に、上述の弾性変位を許容する間隙が形成されるようにされている。
【0045】
上述のように絶縁ハウジング部材22の基部25における内部空間内に配されたコンタクト部材20の接触係合部52は、それが有する一対の湾曲弾性腕状部58及び59が形成する弾性変形可能な環状体が、絶縁ハウジング部材22の基部25に設けられた矩形透孔24に対応する位置をとるものとされる。また、コンタクト部材20の中心導体接続部51は、固定平板状部55と屈曲部56と可動平板状部57とを有して構成されているが、これらは、絶縁ハウジング部材22の基部25の外部に配されていて、可動平板状部57が固定平板状部55に対する近接変位及び離隔変位を行い得るものとされる。
【0046】
続いて、グラウンドコンタクト部材21が、コンタクト部材20が取り付けられた絶縁ハウジング部材22に取り付けられ、それにより、絶縁ハウジング部材22により支持された状態におかれる。その際には、絶縁ハウジング部材22における基部25から伸びる保持部41が、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部26にその内側から係合するとともに、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部26に連なる部分に形成された切欠き26aに保持部41に設けられた突起部41aが挿入される。そして、絶縁ハウジング部材22の基部25から伸びる折曲当接部40が、図16に示されるように、グラウンドコンタクト部材21における環状嵌合部26から伸びるシェル部44に沿って伸びるものとされる。
【0047】
このようにして、コンタクト部材20及びグラウンドコンタクト部材21が絶縁ハウジング部材22に取り付けられて組み立てられた同軸コネクタ装置10にあっては、コンタクト部材20の接触係合部52が、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部26の内側に配されるとともに、コンタクト部材20の中心導体接続部51が、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部26の外側において接触係合部52に近接して配されることになる。
【0048】
そして、斯かる同軸コネクタ装置10が同軸ケーブル11の一端部に装着されるときには、図17に示されるように、同軸ケーブル11の一端部において、表皮絶縁体15が部分的に切除され、さらに、外側導体14と内部絶縁体13とが部分的に切除されて露出するものとされた中心導体12が、同軸コネクタ装置10におけるコンタクト部材20の中心導体接続部51を構成する固定平板状部55に載置される。その際、同軸ケーブル11の中心導体12は、固定平板状部55と固定平板状部55と共に中心導体接続部51を構成する可動平板状部57との間に位置するものとされる。
【0049】
その後、グラウンドコンタクト部材21におけるシェル部44が、図16において矢印αにより示される、グラウンドコンタクト部材21におけるケーブル支持部45に向かう方向に、絶縁ハウジング部材22における折曲当接部40を伴って折り曲げられて、グラウンドコンタクト部材21におけるケーブル支持部45と略平行となる位置をとるものとされる。そして、グラウンドコンタクト部材21におけるシェル部44に伴って折り曲げられた絶縁ハウジング部材22における折曲当接部40が、コンタクト部材20の中心導体接続部51を構成する可動平板状部57に当接して、可動平板状部57を固定平板状部55に向かって押圧変位させ、固定平板状部55に載置された同軸ケーブル11の中心導体12を可動平板状部57と固定平板状部55とによって挟持されたものとなす。それにより、同軸ケーブル11の中心導体12がコンタクト部材20の中心導体接続部51に接続された状態が得られる。斯かる際、コンタクト部材20の中心導体接続部51に同軸ケーブル11の中心導体12を半田付けすることは不要とされる。
【0050】
続いて、折り曲げられたグラウンドコンタクト部材21におけるシェル部44に設けられた一対の第1の折曲係合部46及び一対の第2の折曲係合部47が夫々折り曲げられて、一対の第1の折曲係合部46がグラウンドコンタクト部材21におけるケーブル支持部45に係合し、また、一対の第2の折曲係合部47が同軸ケーブル11の表皮絶縁体15に係合する状態がとられる。その結果、図1図3に示されるような、同軸ケーブル11の一端部に装着された同軸コネクタ装置10が得られる。
【0051】
上述のようにして、同軸ケーブル11の一端部に装着された同軸コネクタ装置10が、例えば、回路基板に取り付けられた相手方同軸コネクタ装置30に嵌合連結されるときには、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部26が、相手方同軸コネクタ装置30の外側コンタクト37に嵌合せしめられるとともに、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部26の内側に配されたコンタクト部材20の接触係合部52が、相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35に接触接続される。その際、接触係合部52は、それが有する一対の湾曲弾性腕状部58及び59が各々の自由端が相互連結されたもとで形成する弾性変形可能な環状体を、相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35に嵌合させて、その中心コンタクト35に押圧接触するものとされる。
【0052】
このような本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を成す同軸コネクタ装置10によれば、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部26の内側に配されるコンタクト部材20の接触係合部52が、相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35に嵌合する弾性変形可能な環状体を形成するものとされ、斯かる環状体は、嵌合する相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35に、相手方同軸コネクタ装置30が取り付けられた回路基板の部品等搭載面に沿う方向をもって押圧接触することになり、また、同軸ケーブル11の中心導体12との接続がなされるコンタクト部材20の中心導体接続部51が、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部26の外側において接触係合部52に近接して配されるので、相手方同軸コネクタ装置30が取り付けられた回路基板の部品等搭載面に直交する方向の寸法である厚み寸法の低減を図ることができる。
【0053】
しかも、同軸コネクタ装置10によれば、相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35に接触接続されるコンタクト部材20の接触係合部52が、コンタクト部材20の固定部50から相互対向して突出する一対の湾曲弾性腕状部58及び59を有し、それらの夫々の自由端が相互連結されて弾性変形可能な環状体を形成し、その弾性変形可能な環状体を相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35に嵌合させて、その中心コンタクト35に押圧接触するものとされるので、コンタクト部材20の接触係合部52の相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35に対する押圧接触が、弾性変形可能な環状体を形成する一対の湾曲弾性腕状部58及び59の夫々が具える弾性力を伴って強固に行われるので、コンタクト部材20と相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35との接触接続を確実かつ安定に行うことができる。
【0054】
また、コンタクト部材20の接触係合部52が有する一対の湾曲弾性腕状部58及び59が、コンタクト部材20の固定部50からの突出長が等長とされたもとで環状体を形成するものとされ、さらに、湾曲弾性腕状部58の自由端に設けられた係合凹部60と湾曲弾性腕状部59の自由端に設けられた係合凸部61とが相互係合せしめられることにより環状体を形成するものとされるので、相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35に嵌合する弾性変形可能な環状体を形成する一対の湾曲弾性腕状部58及び59の夫々が具える弾性力が、効率良く効果的に相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35に作用することになり、コンタクト部材20の接触係合部52の相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35に対する押圧接触がより強固に行われる。
【0055】
さらに、コンタクト部材20の接触係合部52が有する一対の湾曲弾性腕状部58及び59が、環状体を形成したもとで、相互に近接する方向及び相互に離隔する方向の弾性変位が可能とされ、それに伴い、絶縁ハウジング部材22が、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部26の内側において接触係合部52を包囲する基部25を有し、その基部25と環状体を形成する一対の湾曲弾性腕状部58及び59の夫々との間に一対の湾曲弾性腕状部58及び59各々の弾性変位を許容する間隙が形成されるものとされるので、相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35に嵌合する弾性変形可能な環状体を形成する一対の湾曲弾性腕状部58及び59の夫々が具える弾性力が、相手方同軸コネクタ装置30が取り付けられた回路基板の部品等搭載面に沿う方向をもって効率良く効果的に相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35に作用することになり、それによっても、コンタクト部材20の接触係合部52の相手方同軸コネクタ装置30の中心コンタクト35に対する押圧接触がなお一層強固に行われる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のような本願発明に係る同軸コネクタ装置は、同軸ケーブルの中心導体が接続されるコンタクト部材と、同軸ケーブルの外側導体が接続されるグラウンドコンタクト部材と、コンタクト部材とグラウンドコンタクト部材とを相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジング部材とを備えて構成されるもとで、厚み寸法の低減を図ることができるとともに、コンタクト部材と相手方同軸コネクタ装置の中心コンタクトとの接触接続を確実かつ安定に行うことができるものとして、各種の電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0057】
10・・・同軸コネクタ装置, 11・・・同軸ケーブル, 12・・・中心導体, 13・・・内部絶縁体, 14・・・外側導体, 15・・・表皮絶縁体, 20・・・コンタクト部材, 21・・・グラウンドコンタクト部材, 22・・・絶縁ハウジング部材, 24・・・矩形透孔, 25・・・基部, 26・・・環状嵌合部, 30・・・相手方同軸コネクタ装置, 31・・・絶縁基体, 34・・・信号用接触導体, 35・・・中心コンタクト, 36・・・信号用接続部, 37・・・外側コンタクト, 38・・・接地用接続部, 40・・・折曲当接部, 41・・・保持部, 44・・・シェル部, 45・・・ケーブル支持部, 46・・・第1の折曲係合部, 47・・・第2の折曲係合部, 50・・・固定部, 51・・・中心導体接続部, 52・・・接触係合部, 53・・・係合突起, 54・・・係合孔, 55・・・固定平板状部, 56・・・屈曲部, 57・・・可動平板状部、 58,59・・・湾曲弾性腕状部, 60・・・係合凹部, 61・・・係合凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17