(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記表装板が平板からなり、この平板が断面を連続するV字状に折り曲げられ、上記表装板の表面となる上記平板の表面が連続するV字状に折り曲げられてなる請求項2に記載の扉構造。
上記平板における表面を連続するV字状に折り曲げる折り曲げ角度が上記平板における折り曲げる前の表面に対して5度以上とされてなる請求項2または請求項3に記載の扉構造。
上記扉が下端部に車輪を有し、上記開口枠における下方側部が上記開口の間口方向に敷設されたレールを有し、このレール上を上記車輪が転動する請求項2,請求項3または請求項4に記載の扉構造。
上記扉に押し付け手段が設けられ、上記扉が上記開口を閉鎖するときに、上記扉の上端部および下端部が上記押し付け手段によって上記開口枠に押し付けられて上記開口を介しての上記外側の上記内側への連通を阻止しなる請求項2,請求項3,請求項4または請求項5に記載の扉構造。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、図示する扉構造にあっては、護衛艦などの船舶の舷側に設けられる大スパンとなる開口Oを開閉する扉1を有してなる。
【0017】
そして、この扉1は、引き戸構造に形成され、
図4および
図5に示すように、上端部1aが開口Oを形成する開口枠Fにおける上框などの上方側部Uに連結されて倒れが阻止され、この状態で開口Oの間口方向に、すなわち、
図1中での左右方向に移動可能とされる。
【0018】
ちなみに、
図2,
図4および
図5に示すところにあって、各図中の左側が船舶外たる外側とされ、各図中の右側が船舶内たる内側とされる。
【0019】
戻って、扉1の上端部1aは、開口Oを形成する開口枠Fの船舶内に面する部位に対向する態勢になるから必然的に外側への倒れが阻止される態勢になり、このことから、ここに言う扉1の倒れは、扉1の上端部1aが船舶内に倒れる状態である。
【0020】
そして、この発明にあって、扉1は、下端部1bが開口Oを形成する開口枠Fにおける下框などの下方側部Dに対して移動可能とされるとし、図示する実施形態では、
図4および
図5に示すように、下端部1bに車輪4を有する。
【0021】
そして、開口Oを形成する開口枠Fにおける下方側部Dは、開口Oの間口方向に敷設されるレールRを有し、このレールR上を扉1の下端部1bの車輪4が転動する。
【0022】
ちなみに、図示するところでは、レールRは、下方側部Dに形成の凹溝D1内、つまり、扉1の下端部1bを臨在させる凹溝D1の内底に敷設されてなるが、車輪4の転動を可能にする観点からすれば、下方側部Dの上端に敷設されて、下方側部Dの上端に突設される状態になるとしても良い。
【0023】
それゆえ、扉1にあっては、図示しないが、
図1中における左側部あるいは右側部のいずれか一方部に設けられる駆動機構たる牽引機構によって牽引されることで、開口Oの間口方向に移動し、開口Oを開閉する。
【0024】
ちなみに、扉1の上端部1aを開口枠Fにおける上方側部Uに連結して扉1の倒れを阻止する構成については、任意の構成を選択できるが、
図4および
図5に示すところでは、扉1の上端にガイド溝5を有し、このガイド溝5に上方側部Uに設けられた支持部U1に垂設されて、この扉1の軸線方向である開口Oの間口方向に延びるガイド板Gが案内される構成とされる。
【0025】
そして、このとき、枠体2の上端部2aにチェーンアーム6を設け、このチェーンアーム6の先端部に連結された牽引部材たるチェーン61が牽引機構で牽引されることによって
図1中で左右方向に移動するとしている。
【0026】
なお、牽引部材たるチェーン61は、図示しないが、エンドレスに設定されていて、牽引機構の駆動時に、チェーンガイドG1の上方にあって、
図1中で左右方向に移動する。
【0027】
また、扉1にあっては、ガイド板Gのガイド溝5に対する連結状態の下に車輪4がレールR上を転動して開口Oの間口方向に移動するから、扉1の移動時にこの扉1が開口Oの間口方向を横切る方向に移動、すなわち、揺れることを効果的に阻止でき、たとえば、外側からの強風が内側に向かって吹くような状況下でも開口Oの開閉を支障なく実践できる。
【0028】
一方、扉1は、図示する実施形態にあって、
図4および
図5に示すように、開口枠Fに対向して開口Oを閉鎖する遮蔽面(符示せず)を設定する枠体2と、この枠体2における遮蔽面に張られて開口Oを閉鎖する表装板3とからなる(
図1および
図2参照)。
【0029】
枠体2は、実質的に扉1を構成する構造部材とされ、所定の機械的強度に基づく自己支持性を有して、機械力を利用する扉1の開閉作動の際や、扉1で開口Oを閉鎖している際の外力作用、すなわち、波や風の力でいたずらに歪んだりしないように形成される。
【0030】
それに対して、表装板3は、開口Oを介して外側に対向する表面31を有し、この表面31は、連続するV字状に折り曲げられ、この表面31を連続するV字状に折り曲げる折り曲げ線が開口Oにおける間口方向に延在されてなるとする。
【0031】
そして、図示するところでは、表装板3が金属製の平板を断面が連続するV字状になるように折り曲げてなる折半構造に形成されてなるとし、これによって、表装板3の表面31が連続するV字状に折り曲げられてなるとする。
【0032】
そしてまた、この発明にあっては、表面31が連続するV字状に折り曲げられてなることが要件であるが、具体的には、表面31は、部材の表面として具現化され、したがって、図示するところにあっては、部材たる表装板3に具現化され、また、この表装板3は、枠体2に保持されてなるとする。
【0033】
戻って、枠体2が所定の自己支持性を有するようにするためには、任意の構成が選択されて良いが、図示するところでは、小枠体21を開口Oの間口方向に連続させて複数連結することで形成されるとする。
【0034】
このとき、この小枠体21は、開口Oの間口方向となる幅方向の寸法に対して、開口Oの高さ方向となる縦方向の寸法を大きくしてなり、縦方向に長尺に形成される小枠体21を横方向に複数連結させることで枠体2を形成し得るようにしている。
【0035】
したがって、図示するところでは、枠体2がいわゆる単体に形成される場合に比較して、小枠体21を複数連結して形成されることから、全体としてみるとき、枠体2の強度を大きくできる点で有利と言える。
【0036】
尤も、枠体2が小枠体21を複数連結して形成される場合には、枠体2が単体に形成される場合に比較すると、質量の面で不利になり易いとも言い得るが、小枠体21を形成する素材の選択や、その素材が複数の欠落部を有するなどとすることで、いたずらな質量の増加を抑えることが可能になる。
【0037】
また、枠体2が小枠体21を複数連結して形成される場合には、求める枠体1の大きさに応じるように小枠体21の数を選択することで足り、大きさ毎に枠体2を形成する場合に比較して、枠体2の形成が容易になり、手間を省ける点で有利となる。
【0038】
ちなみに、この発明の具現化にあって、枠体2が単体からなることを妨げるものでないことは、もちろんである。
【0039】
次に、表装板3であるが、上記したように、図示する実施形態では、金属製の平板が折半構造に折り曲げられて表装板3とされ、この表装板3の表面31を連続するV字状に折り曲げる折り曲げ線が開口Oの間口方向に延在されるとする。
【0040】
このことからすると、この発明にあっては、結果として、表装板3の表面31が連続するV字状に折り曲げられていれば良く、その限りには、表装板3の構成材料については任意で良く、また、表層板3にあって、図示しないが、表装板3の符示しない裏面、すなわち、枠体2に対向する裏面の形態については任意である。
【0041】
とは言え、表装板3の裏面を表装板3の表面31と異形にすることに格別の利点があるとは言えないことを鑑みると、表装板3は、上記したように金属製の平板からなるのが良いと言え、また、表装板3が金属製の平板からなる場合に、この平板を断面が連続するV字状に折り曲げることで、表装板3の表面31を連続するV字状に折り曲げることが可能になり、また、その作業についても容易になると言い得る。
【0042】
ちなみに、表装板3の表面31が設定通りに連続するV字状に折り曲げられてなる限りには、図示しないが、表装板3の裏面が表面31に対して異形とされていても、また、表装板3が帯状などに形成のいわゆる単体を上下方向に複数連続させてなる場合であっても、この発明の実施を妨げるものではない。
【0043】
また、図示するところにあって、表装板3は、基本的には、言わば周辺部が枠体2に連結され、中央部は、枠体2から離れているとするが、たとえば、
図2中に示すように、開口Oの間口方向に延在される補強板32が裏面に上下方向に適宜の間隔で連設され、また、図示しないが、中央部などの裏面が間仕切壁のように形成される繋ぎ材で枠体2に連結されてなる、すなわち、中央部などが凹状に窪まないように、補強されてなるとしても良い。
【0044】
以上のように、この発明にあっては、表装板3は、開口Oに対向する表面31が連続するV字状に折り曲げられてなるとするが、さらには、表装板3の表面31を連続するV字状に折り曲げる折り曲げ線が開口Oの間口方向に延在されてなるとする。
【0045】
すなわち、表装板3の表面31を連続するV字状に折り曲げるについては、
図1および
図2に示すように、複数本となる折り曲げ線、すなわち、山折り線31aおよび谷折り線31bが交互に利用される。
【0046】
ちなみに、山折り線31aは、表装板3の表面31を突出させる態様になり、谷折り線31bは、表装板3の表面31を凹ませる態様になる(
図2参照)。
【0047】
そして、この山折り線31aおよび谷折り線31bを表出させる表装板3における表面31の傾斜は、すなわち、表装板3たる平板における表面を連続するV字状に折り曲げる折り曲げ角度θ(
図3参照)は、基本的には、平板における折り曲げる前の表面に対して任意とされる。
【0048】
図3は、平板、すなわち、表装板3が枠体2の遮蔽面に張られて言わば起立した状態になっているときの表面31を示すが、この状態のとき、図示するところでは、表装板3の表面31の折り曲げ角度が垂直線に対して角度θとなる。
【0049】
この角度θは、基本的には任意であり、たとえば、レーダー波の正面反射を阻止し得るようにする場合には、5度から10度とされるのが良いが、これは例示であって、この発明の具現化の上で拘束される値ではない。
【0050】
戻って、この発明にあって、表装板3の表面31を連続するV字状に折り曲げる折り曲げ線、すなわち、複数となる山折り線31aおよび谷折り線31bは、開口Oの間口方向に延在されてなるとする。
【0051】
これにより、先ずは、表装板3にあって、表面31を連続するV字状に折り曲げる折り曲げ線が、すなわち、表装板3たる平板を連続するV字状に折り曲げる折り曲げ線が開口Oの間口方向に延在されるから、このことから、平板を連続するV字状に折り曲げる折り曲げ線が開口Oの上下方向に延在される場合に比較して、扉1を開閉操作するの際の操作力に対する扉1における強度を大きくでき、その分、表装板3の肉厚を薄くするなどで、扉1におけるコストと重量の一層の低減が可能になる。
【0052】
ちなみに、平板を連続するV字状に折り曲げる折り曲げ線が開口Oの上下方向に延在される場合には、扉1が言わばアコーデオンカーテンを有する態様に形成されることになり、扉1に対する横方向の強度を向上するには不利になる。
【0053】
次に、表装板3にあって、表装板3の表面31において、山折り線31aおよび谷折り線31bを形成する面が海面あるいは天空に対向する状態になり、したがって、たとえば、レーダー波を正面反射させないことが可能になる。
【0054】
車輪4は、図示するところでは、扉1の下端部1bを構成する枠体2の下端部2bに保持される、すなわち、枠体2の下端部2bがブラケット41を有し、このブラケット41が軸42を保持し、この軸42に車輪4が枢支されて開口Oの間口方向を横切る方向に移動可能とされている。
【0055】
この発明にあって、扉1は、後述するように、開口Oを内側から閉鎖するときに、開口Oを形成する開口枠Fに押し付けられるが、このとき、車輪4は、レールR上にあるため、扉1の開口Oの間口方向を横切る方向への移動時には車輪4が軸42を摺動してレールR上に残り、扉1の移動を保障する(
図5参照)。
【0056】
一方、この発明にあっては、扉1は、開口Oを閉鎖するとき、図示しないが、最終的には、押し付け手段によって、扉1を開口Oの間口方向を横切る方向に移動され、開口Oを形成する開口枠Fに押し付けられる。
【0057】
そして、この押し付け手段は、たとえば、油圧シリンダやジャッキシリンダからなり、扉1に設けられ、扉が開口Oを閉鎖するときに、たとえば、伸長作動して扉1の上端部1aおよび下端部1bを含む周辺部を開口枠Fに押し付けるとしている。
【0058】
このとき、扉1の周辺部にはシール部材7が設けられ、このシール部材7を開口枠Fに密着させる(
図5参照)ことで、外側からの海水や風の内側への浸入を阻止する。
【0059】
戻って、上記の扉1における下端部1bの動きに対して、扉1の上端部1aも同様に動作する。
【0060】
このとき、扉1の上端部1aも下端部1bと同様に押し付け手段を有してなるとしても良く、また、押し付け手段を有することで、枠体2の上端部2aも開口Oの間口方向を横切る方向に移動し、開口枠Fにおける上端部に押し付けられるとしている。
【0061】
そして、扉1が開口Oの間口方向を横切る方向に移動する際には、扉1の上端のガイド溝5に案内されるガイド板Gにあって、ガイド溝5の移動、つまり、開口Oの間口方向を横切る方向への扉1の移動を許容するように、いわゆる退避部g(
図5参照)を有してなるとし、開口Oの間口方向を横切る方向に扉1が移動するときに、ガイド板Gが言わば邪魔にならないように配慮している。
【0062】
以上のように形成された扉1は、前記したように、
図1中における左側部あるいは右側部のいずれか一方部に設けられる図示しない駆動機構たる牽引機構によって牽引されて、開口Oの間口方向に移動し、開口Oを開閉する。
【0063】
このとき、扉1にあっては、上端部1aが開口Oを形成する開口枠Fにおける上框などの上方側部Uに連結されて倒れが阻止され、また、下端部1bが開口Oを形成する開口枠Fにおける下框などの下方側部Dに対して移動可能とされるから、開口Oの開閉を円滑に実現する。
【0064】
また、扉1は、枠体2と表装板3とからなるから、その構成材料や構造が選択されることで、いたずらな重量の増大化を阻止でき、その移動に際の作動性を良くすることが可能になる。
【0065】
そして、この発明にあって、外側に対向する表面31が連続するV字状に折り曲げられ、この表面31を連続するV字状に折り曲げる折り曲げ線が開口の間口方向に延在されるから、この連続するV字状に折り曲げられる表面31を有する扉1が開口Oを閉鎖する場合には、扉1の表面が正面を向かなくなり、レーダー波の正面反射を阻止できる。
【0066】
そしてまた、連続するV字状に折り曲げられる表面31が折半構造の平板からなる場合には、この平板およびこの平板を保持する枠体2の構成が選択されることで、扉1の重量をいたずらに大きくさせないことが可能になり、建造費のコスト低下を図れる。
【0067】
そしてさらに、この発明にあっては、表装板3の外側に対向する表面31が連続するV字状に折り曲げられ、表面31を連続するV字状に折り曲げる折り曲げ線が開口Oの間口方向に延在されるから、この折り曲げ線が開口Oの上下方向に延在される場合に比較して、この表面31を有する表装板3の開口Oの間口方向に沿うことになる横方向力に対する強度を大きくし得る。
【0068】
このことから、たとえば、機械力利用で扉を開口Oの間口方向に移動する際に、扉1が歪んだりすることを阻止でき、扉1の開閉作動性を良くすることが可能になる。
【0069】
またさらに、この発明にあっては、開口Oを閉鎖するとき、扉1の上端部1aおよび扉1の下端部1bが船舶内側から押し付け手段によって開口Oを形成する開口枠Fに押し付けられるから、扉1による開口Oの遮蔽時における扉1の揺れ、すなわち、開口Oにおける間口方向を横切る方向となる揺れを阻止して、いわゆるカタツキを阻止するのはもちろんのこと、特に、海水や風の船舶内への浸入を阻止し得る。
【0070】
前記したところでは、この発明による扉1が船舶の舷側に設けられる開口Oを開閉するとしたが、これに代えて、この発明による扉1で船舶の甲板上に設けられる開口Oを開閉するとしても良いことはもちろんであり、その他の構築物などにおける開口Oを開閉する扉に利用されるとしても良い。
【0071】
そして、前記したところでは、扉1にあって、表装板3の表面を連続するV字状に折り曲げることで、扉1における横方向力に対する強度を大きくし得るとしたが、横方向力に対する強度を大きくする観点からすれば、連続するV字状に折り曲げられるのに代えて、連続する円弧状に、すなわち、波板状に折り曲げられるとしても良い。
【0072】
また、前記したところでは、扉1がレーダー波の正面反射を阻止することを目的として構成されるとしたが、これに代えて、扉1が他の用途に用いられるとしても良いことはもちろんで、たとえば、防火目的の場合には、耐火性能に優れる鋼鉄材などからなる枠体2に同じく鋼鉄板などからなる表装板3が張られるなどして構成され、遮熱や遮音さらには遮光目的の場合には、軽量鉄骨などからなる枠体2に断熱ボードや遮音ボードさらには遮光布などの表装板3が張られるなどして構成されるとしても良い。
【0073】
その際に、表装板3が連続するV字状に折り曲げられ、また、その折り曲げ線が開口Oの間口方向に延在される場合には、上記したように、扉1における横方向力に対する強度を大きくすることが可能になるのはもちろんである。