(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施例のぱちんこ遊技機は、小当りまたは確変を伴う2ラウンド大当り(以下では単に「2R大当り」とも呼ぶ。)を契機として、小当り遊技または2R特別遊技終了後の通常遊技における演出モードを潜伏モードへ移行させる。このぱちんこ遊技機では、潜伏モードから一旦通常モードへ移行(以下「転落」とも呼ぶ。)させても、再び潜伏モードへ復帰させることがある。そして、最初に潜伏モードへ移行してから、図柄変動回数が31回に達する時点で演出モードが潜伏モードであれば、確変状態であることが遊技者に示唆される。言い換えれば、本実施例のぱちんこ遊技機は、遊技状態が確変状態であれば、最初に潜伏モードへ移行してから、図柄変動回数が31回に達する時点での演出モードが潜伏モードになるよう、潜伏モードと通常モード間の移行を制御する。
【0012】
このように、本実施例のぱちんこ遊技機では、小当りまたは2R大当り後、図柄変動回数が31回に達するまでの限定された期間(以下、「限定期間」とも呼ぶ。)において、潜伏モードによる演出と、通常モードによる演出を適宜切り替える。これにより、限定期間において、遊技状態が確変状態であることに対する遊技者の期待を煽る。具体的には、限定期間において大当りが発生すること、また、限定期間において潜伏モードが継続すること(31回目の図柄変動終了時点で潜伏モードが維持されていれば確変確定のため)を遊技者は期待することになる。変形例として、小当りまたは2R大当り後、32回目の図柄変動開始時に潜伏モードであれば、遊技状態が確変状態であることが遊技者に対して確定されてもよく、例えば確変を確定的に報知する内容の演出がなされてもよい。この変形例では、遊技状態が通常状態であっても、31回目の図柄変動終了時には潜伏モードが維持されることがあるが、その場合、32回目の図柄変動開始時には通常モードを示す演出がなされることになる。
【0013】
本実施例のぱちんこ遊技機は、潜伏モードと通常モード間の移行制御技術に関する以下の3つの特徴を備える。詳細は後述するため、ここでは概要を示す。
1.潜伏モードからの転落制御:
限定期間中に、所定の図柄変動回数に達するまでは転落の発生を規制する。ただし、特定の演出を表示させた場合には、その図柄変動回数に達していなくても、転落発生の規制を解除する。これにより、モード移行のランダム性を維持しつつも、モード移行における遊技の興趣の低下を抑制する。
【0014】
2.電断復帰時のモード制御:
小当りまたは2R大当りを契機として、サブ基板が演出モードの制御を開始する際に、メイン基板における変動パターン決定基準を限定期間以外における通常の基準とは異なる特殊基準へ切り替える。言い換えれば、限定期間では、メイン基板も、通常とは異なる変動パターンテーブル(以下、「特殊変動パターンテーブル」と呼ぶ。)を参照して変動パターンを決定するよう切り替える。メイン基板は、特殊変動パターンテーブルを参照して変動パターンを決定した回数をカウントすることにより、小当りまたは2R大当り後の図柄変動回数をカウントする。電断復帰時には、電断発生までにメイン基板がカウントしていた図柄変動回数を、メイン基板からサブ基板へ通知することにより、サブ基板において、電断発生までの図柄変動回数を引き継いだモード制御を実現させる。
【0015】
3.先読みによる潜伏モードへの復帰:
少なくとも限定期間においては、保留先読みによって将来時点の小当りまたは2R大当りの発生有無を確認する。限定期間における通常モード滞在中に、再度の小当りまたは2R大当りを示す抽選結果が保留された場合、その保留の変動前に通常モードから潜伏モードへ戻す。そして小当りまたは2R大当り発生後、それまでの演出で表示していた限定期間の情報を、リセットすることなく、引き継いで潜伏モード演出を継続させる。これにより、限定期間中の再度の小当りまたは2R大当りによって、限定期間が遊技者にとって実質的に延長されてしまうことを抑制する。
【0016】
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
【0017】
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等をする機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、後述する演出を制御する手段によって遊技状態などに応じた効果音が出力される。
【0018】
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
【0019】
始動口62は、遊技球の入球が当否抽選を実行する契機となる入球口であって、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62に設けられた拡開機構63(いわゆる電動チューリップ)を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。拡開機構63は、始動口62の開口部上部に設けられた二つの羽根部材で構成され、閉鎖時は始動口62の真上から落下する遊技球だけが入球できる程度の狭い開口幅となる。一方、拡開機構63が拡開された開放時は始動口62の開口幅が拡がることとなり、始動口62の真上だけでなくその近傍を落下する遊技球も始動口62へ誘導でき入球容易性が向上する。当否抽選は、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する抽選であり、始動口62へ入球があるたびに実行される。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。
【0020】
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
【0021】
大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を開放させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに開始される特別遊技において「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66は、例えばアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の設置個数としては、一つだけ設置する構成に限らず、複数個の大入賞口66を設置してそれぞれを遊技状態等に応じて使い分ける構成としてもよい。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
【0022】
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する。以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という。
【0023】
特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示装置である。特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄である。特別図柄192の変動表示が停止したときの図柄態様が、あらかじめ当りと定められた図柄であった場合に、その停止図柄が表示されたタイミングが大当り発生タイミングとなる。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。本実施例においてセグメントの組合せで表される特別図柄192は、必ずしも文字や数字の体をなしておらず、7セグメントLEDを構成する各セグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号であってよい。これらの記号が高速で次々に入れ替わって特別図柄表示装置61へ表示されることにより、特別図柄192の図柄変動表示が実現される。また、7セグメントLEDは、「8の字」を形成する7個のセグメントおよび「ドット」を表す1個のセグメントからなる8個のセグメントで構成されてもよい。この場合、8個のセグメントを組み合わせることにより8ビット分の数値を表現できる。さらに、特別図柄表示装置61を7セグメントLEDではないLEDドットアレーを用いて、その点灯パターンや点灯色の組合せで複数種類の特別図柄192を表現してもよい。
【0024】
演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイで構成される表示装置である。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄を変動させる動画像を画面の中央領域に表示する。本実施例においては、「0」〜「9」の数字で構成される図柄を3列に表示して変動させ、最終的に停止表示される3個の図柄組合せによって当りまたは外れを示す。装飾図柄190を構成する複数図柄のそれぞれは、色彩や模様の装飾が施された数字、文字、または記号で構成されるが、これら数字、文字、記号に対して全図柄に共通する絵柄または図柄ごとに異なる絵柄を加えて一体化させる形で構成されてもよい。この絵柄は、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連するモチーフが描かれた絵柄であり、例えば人物や動物のキャラクターが描かれた絵柄であってもよい。装飾図柄190は、絵柄が一体的に含まれる図柄が変動表示される場合と、絵柄が分離して数字、文字、記号の部分のみが変動表示される場合とが、演出の展開に沿って切り替えられる構成であってもよい。装飾図柄190の変動表示の背景には、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連する演出的効果を有する動画像が図柄変動と連動して表示される。
【0025】
演出表示装置60は、本実施例では液晶ディスプレイなどの高精細なドットマトリクス型表示装置で構成されるが、ドラム回転式などの機械的表示手段やLEDマトリクス式などの表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させる。ただし、特別図柄自体に演出的な役割をもたせることで装飾図柄を用いずに表現する手法を採用する場合には、特別図柄を7セグメントLEDではなく液晶ディスプレイに表示させる構成としてもよい。
【0026】
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は拡開機構63を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。したがって、開放抽選は「普通図柄抽選」とも呼ぶ。本実施例における普通図柄表示装置59は、便宜上、二つのランプで構成されるとともに、それらのうちいずれのランプが点灯しているかによって普通図柄の表示状態が表現される。例えば、第1のランプの点灯が外れを示し、第2のランプが当りを示すとき、それらが交互に点灯と消灯を繰り返すことによって普通図柄の変動表示が表現され、最終的にいずれかの点灯状態にて停止されることで普通図柄の停止図柄が表現される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。変動開始から所定時間の経過後に、普通図柄の変動表示が停止する。このとき、通常状態では例えば1/256程度の低確率にて普通図柄が当りの図柄で停止し、後述する入球容易状態では例えば250/256程度の高確率にて普通図柄が当りの図柄で停止する。普通図柄が当りの図柄で停止すると、拡開機構63が所定時間拡開される。拡開機構63の開放時間は、例えば通常状態では0.1秒間であり、入球容易状態では6秒間である。
【0027】
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。遊技領域52の左下部には、特別図柄保留表示装置20が設けられ、その対称位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に普通図柄保留表示装置22が設けられている。
【0028】
特別図柄保留表示装置20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。当否抽選の保留数が3個になると、遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が通常より短縮される(以下、「短縮変動」ともいう)。同様に、当否抽選の保留数が4個になると、さらに遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が上記3個の場合よりもさらに短縮される(以下、「超短縮変動」ともいう)。
【0029】
普通図柄保留表示装置22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
【0030】
演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作する操作入力手段であり、その操作入力の内容に応じて演出内容等に変化が加えられる。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。本実施例における操作ボタン82は一つのボタンで構成されるが、複数のボタンや十字キーなどの方向指示ボタンで構成されてもよい。可動役物140は、演出に連動して動作が制御される可動物であり、その動作によって演出的役割を果たす。例えば可動役物140は、遊技者による操作ボタン82を介した操作入力に応じて動作する。
【0031】
以上のような構成においてなされる遊技の方法および制御の流れを概説する。遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
【0032】
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動表示時間の経過後に停止される。特別図柄192は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動パターンにしたがって変動表示される。装飾図柄190は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示される。変動パターンおよび変動演出パターンはそれぞれ複数種ずつ用意され、それぞれが長短様々な変動時間をもつ。変動パターンにしたがって特別図柄192が変動表示される間、同じ変動時間をもつ変動演出パターンにしたがって装飾図柄190が変動表示される。変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄192および装飾図柄190の変動が停止される。
【0033】
装飾図柄190の変動表示としては、まず変動開始とともにスロットマシンのリール回転のように3列とも図柄を変動させ、変動終了タイミングへ近づいたときに一列ずつ停止させることで最終的な停止態様としての図柄組合せを表示する。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当りを示す停止態様となった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。大当りを示す装飾図柄190の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する組合せの態様である。
【0034】
変動演出パターンには、通常外れ演出パターン、リーチ外れ演出パターン、リーチ大当り演出パターンが含まれる。通常外れ演出パターンは、通常の外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ外れ演出パターンは、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態であるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ大当り演出パターンは、リーチ状態を経て大当りの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。
【0035】
特別遊技は、開始デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって開始される。開始デモ時間の画面表示後に大入賞口66が開放され、その開放が約30秒間続いた後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開放から閉鎖までが、基本的には単位遊技と呼ばれるが、1回の単位遊技の間に複数回の短時間の開放を繰り返す場合があってもよい。大入賞口66の開閉ないし単位遊技が所定の複数回数、例えば15回繰り返された後、終了デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって特別遊技が終了される。これに対し、当否抽選が小当りと呼ばれる結果に該当した場合は小当り遊技が実行される。小当りは、当否抽選の結果としては外れに含まれる結果である。小当り遊技は、一部の種類の特別遊技と類似の態様にて実行される単位遊技である。ただし、小当り遊技として実行される単位遊技は1回だけであり、複数回数の単位遊技が実行される特別遊技とは異なる。
【0036】
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである特別図柄192および装飾図柄190の変動時間短縮(以下、適宜「時短」という)が開始される。特別図柄192および装飾図柄190の時短は、特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が通常状態よりも短縮される状態である。特別図柄192および装飾図柄190の変動時間は、所定の変動回数、例えば100回の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻されるが、その変動回数に達する前に大当りが発生すれば時短も終了する。時短により特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が短縮されるため、通常の変動時間のまま図柄変動がなされる通常状態の場合と比べて、大当りが発生するまでの時間を短縮することができ、大当りの獲得容易性を相対的に高めることができる。
【0037】
特別図柄192および装飾図柄190の時短中は、特定遊技の一つである入球容易状態が実施される。入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、拡開機構63の開放延長が実施されることにより始動口62への入球容易性が高められる状態である。普通図柄の時短は、普通図柄の変動時間が通常状態より短縮される状態である。開放抽選の確率変動は、開放抽選の当り確率を通常状態より高める状態である。拡開機構63の開放延長は、拡開機構63の開放時間を通常状態よりも長くする状態である。このように、入球容易状態においては、一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、始動口62への入球容易性も増すため、始動口62への入球数が増加する可能性も高い。したがって、特別図柄192および装飾図柄190の時短および入球容易状態により、その期間中は始動口62への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさずに遊技し続けることが可能となる。
【0038】
なお、本実施例における入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、拡開機構63の開放延長という3つの機能を用いて始動口62への入球容易性を高める。ただし、変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて始動口62への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても始動口62への入球容易性を高めることは可能である。また、3つの機能のうち少なくともいずれかを、実施する期間と実施しない期間とで遊技状態に応じて切り替える構成としてもよい。
【0039】
特別遊技が発生した場合であってそのときの当り停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである当否抽選の確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)がさらに開始される。当否抽選の確変中は、通常の確率状態より当りの確率が高い当否抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生し得る。当否抽選の確変は次の大当りが発生するまで継続されるが、変形例として、所定の限定的な回数の図柄変動がなされたときに終了する構成であってもよい。本実施例においては、確変が開始されるときに同時に特別図柄192および装飾図柄190の時短や入球容易状態も開始されるが、変形例として時短や入球容易状態の開始を伴わない確変が実行される場合があってもよい。
【0040】
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。裏セット機構39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
【0041】
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
【0042】
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、小当り遊技制御手段121、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、電断制御手段126を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136、モード制御手段150、事前判定手段158を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
【0043】
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
【0044】
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
【0045】
当否抽選手段112は、始動口62への入球を契機に、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112が当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、所定の保留上限数を超えない範囲で当否抽選値が保留される。
【0046】
当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた大当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当りの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当りであるか否かを判定する。
【0047】
当否抽選手段112は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための開放抽選として抽選値を取得する。当否抽選手段112は、開放抽選の抽選値と当否結果の対応関係が定められた当否テーブルを保持し、その当否テーブルを参照して開放抽選の当否結果を決定する。通常状態においては1/256の確率で当りとなる当否テーブルを参照し、入球容易状態においては250/256の確率で当りとなる当否テーブルを参照する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
【0048】
当否抽選手段112は、当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定と、当否抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定を実行する。当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否判定テーブルと事前当否判定テーブルを保持する。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する当否判定を、特に事前当否判定と区別するために、適宜「本判定としての当否判定」とも呼ぶ。
【0049】
図4は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。当否抽選手段112は、本判定としての当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。当否抽選手段112による当否抽選においては、通常時には
図4(a)の通り、当否抽選値が0〜399の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には
図4(b)の通り、大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜399の範囲に該当する場合だけでなく、400〜2999の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。大当りに該当した場合、15R大当りと2R大当りのいずれとなるか、および、確変を伴うか否かは、特別図柄の停止図柄に応じて別途決定される。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよい。
【0050】
本実施例においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない、いわゆる外れとなった場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、当否抽選手段112が取得する当否抽選値が65000〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現している。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。
【0051】
図3に戻り、当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄のかたちで変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。当否抽選手段112は、図柄変動を開始するタイミングにおいて、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。
【0052】
当否抽選手段112は、始動口62への入球タイミングにおいては、事前判定処理として抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定を実行し、その判定結果を抽選結果として図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。事前判定処理の結果は一時的に保存された後、その抽選に対応する図柄変動表示が直ちに開始されるか否かにかかわらず図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信される。そのため、サブ基板104の側にとっては図柄変動開始の順番が巡ってくる前にあらかじめ当否結果を推測的に認識できる、いわゆる「先読み」と呼ばれる処理が実現される。先読みの処理としては、後述するように当否判定、図柄判定、パターン判定の判定結果のすべての情報をサブ基板104に送信して先読み処理として使用する構成としてもよい。または、サブ基板104が、受信した情報のうち一つまたは二つの判定結果のみを使用する構成としてもよい。その他、確変や時短、入球容易状態などの遊技状態に応じて、受信した情報の使用有無や使用する情報の種類を決定してもよい。また、メイン基板102での処理として、遊技の状態に応じて、事前判定の可否、事前判定結果送信の有無、事前判定または事前判定結果送信を行なう情報の種類を適宜設定してもよい。
【0053】
図5は、事前当否判定で参照される事前当否判定テーブルを模式的に示す図である。当否抽選手段112は、この事前当否判定テーブルを参照し、当否抽選値が「0〜399」の場合は大当りを示す「1」の値を判定結果としての当否範囲に設定する。当否抽選値が「400〜2999」の場合は通常状態であれば外れであるが確変状態であれば大当りであることを示す「2」の値を判定結果としての当否範囲に設定する。当否抽選値が「3000〜64999」の場合は外れを示す「3」の値を判定結果としての当否範囲に設定する。当否抽選値が「65000〜65535」の場合は小当りを示す「4」の値を判定結果としての当否範囲に設定する。当否抽選手段112は、以上のように当否範囲を設定するたびにその値を保留の個数とともに図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。なお、変形例として、当否抽選値の範囲と判定結果の対応関係として、一つの当否抽選値の範囲に複数の判定結果が対応付けられる関係が定義されてもよい。この場合、実際の当否結果とは異なる判定結果となる可能性があるが、必ずしも実際の当否結果とは一致しない不正確な判定結果を意図的に設定することがある対応関係としてもよい。
【0054】
図3に戻り、図柄決定手段114は、別途取得する図柄抽選値と当否判定の結果に基づいて、図柄の変動開始にあたってその停止図柄を決定するとともに、図柄抽選値がいずれの図柄範囲に該当するかの事前図柄判定を実行する。図柄決定手段114は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照する複数の図柄判定テーブルと事前図柄判定テーブルを保持する。図柄決定手段114は、当否判定結果に応じて異なる図柄判定テーブルを参照する。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する図柄判定を、特に事前図柄判定と区別するために、適宜「本判定としての図柄判定」とも呼ぶ。
【0055】
図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による開放抽選の結果に応じて決定する。図柄決定手段114は、開放抽選の結果を普通図柄のかたちで普通図柄表示装置59に変動表示させるために、開放抽選の結果に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が始動口62の拡開機構63を所定時間拡開する。
【0056】
図柄決定手段114は、決定した停止図柄を示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。
【0057】
図6は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。
図6(a)は当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、
図6(b)は当否判定結果が外れであった場合に参照するテーブルであり、
図6(c)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。図柄決定手段114は、本判定としての図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。図柄判定テーブルには、特別図柄の種類を示す「0」〜「10」の番号と図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、「0」〜「4」が大当りに対応し、「5」〜「9」が小当りに対応し、「10」が外れに対応する。各種類には複数の特別図柄、すなわちセグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号が複数割り当てられている。
【0058】
図6(a)に示す通り、特別図柄の種類「0」〜「4」が大当りに対応付けられている。そのうち、種類「0」は確変を伴う15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「0〜99」に対応付けられる。種類「1」は確変を伴う2R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられる。種類「2」〜「4」は確変を伴わない15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「150〜189」に種類「2」が対応付けられ、「190〜229」に種類「3」が対応付けられ、「230〜255」に種類「4」が対応付けられる。このように図柄抽選値の範囲の大きさによって大当り種類ごとの選択確率が定まる。
【0059】
図6(b)に示す通り、種類「10」は当否判定結果が外れの場合における全範囲の図柄抽選値に対応付けられている。
【0060】
図6(c)に示す通り、特別図柄の種類「5」〜「9」が小当りに対応付けられている。種類「5」は図柄抽選値の範囲「0〜49」に対応付けられ、種類「6」は図柄抽選値の範囲「50〜99」に対応付けられる。種類「7」は図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられ、種類「8」は図柄抽選値の範囲「150〜199」に対応付けられ、種類「9」は図柄抽選値の範囲「200〜255」に対応付けられる。
【0061】
図7は、事前図柄判定で参照される事前図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図柄決定手段114は当否抽選値が大当りに該当する場合にこの事前図柄判定テーブルを参照する。図柄抽選値が「0〜99」の場合はその旨を示す「1」の値を判定結果としての図柄範囲に設定し、図柄抽選値が「100〜149」の場合はその旨を示す「2」の値を判定結果としての図柄範囲に設定する。図柄抽選値が「150〜255」の場合はその旨を示す「3」の値を判定結果としての図柄範囲に設定する。図柄決定手段114は、以上のように図柄範囲を設定するたびにその値を保留の個数とともに図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。なお、当否抽選値が外れまたは小当りに該当する場合は本図のテーブルは参照せず、外れまたは小当りを示す値として例えば「4」の値を図柄範囲に設定してもよい。または、当否抽選値が外れまたは小当りに該当する場合でも本図のテーブルにより図柄範囲を設定し、のちにサブ基板104側で当否範囲の設定に基づいて判定結果を参酌すべきか判定してもよい。または、何も設定しないこととしてもよい。
【0062】
図3に戻り、変動パターン決定手段115は、特別図柄表示装置61および演出表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得するパターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定してメイン表示制御手段118へ送る。変動パターン決定手段115は、図柄変動を開始する際に変動パターンテーブルを参照してその図柄変動の変動パターンを決定する。また、変動パターン決定手段115は、パターン抽選値がいずれの変動パターン範囲に該当するかの事前パターン判定を実行する。変動パターン決定手段115は、変動パターンを決定するために参照する変動パターンテーブルと事前パターン判定テーブルを保持する。変動パターンには、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動時間が定められており、その種類によって長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する変動パターン判定を、特に事前パターン判定と区別するために、適宜「本判定としての変動パターン判定」とも呼ぶ。
【0063】
図8は、変動パターンテーブルを模式的に示す図である。変動パターン決定手段115は、本判定としての変動パターン判定において本図の変動パターンテーブルを参照する。変動パターン決定手段115は、当否判定結果が外れのときは
図8(a)に示される外れ用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が15R大当りのときは
図8(b)に示される15R大当り用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が2R大当りまたは小当りのときは
図8(c)に示される2R大当りおよび小当り用の変動パターンテーブルを参照する。
【0064】
図8(a)においては、パターン抽選値0〜10には「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値11〜20には「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値21〜255には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果が外れの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、外れ用の変動パターンテーブルにおいて、特に「リーチなし」の変動パターンを選択するとき、時短状態においては通常状態よりもさらに変動時間が概ね短い変動パターンが選択されるよう異なるテーブルを参照する。また、外れ用の変動パターンテーブルは保留数ごとに参照すべき欄が異なるように規定されるが、通常状態を例とするその詳細は後述する
図10において説明する。
【0065】
図8(b)においては、パターン抽選値0〜120には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値121〜240には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値241〜250には「ノーマル1」のリーチが対応付けられ、パターン抽選値251〜255には「ノーマル2」のリーチが対応付けられている。このように、当否判定結果が15R大当りの場合はリーチ付きの変動パターンが選択される。
【0066】
図8(c)においては、パターン抽選値0〜122には「スーパー3」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値123〜255には「ノーマル3」というノーマルリーチが対応付けられている。このように当否判定結果が2R大当りまたは小当りの場合は「スーパー3」または「ノーマル3」がそれぞれ約50%の確率で選択される。
【0067】
図9は、事前パターン判定で参照される事前パターン判定テーブルを模式的に示す図である。変動パターン決定手段115は、当否結果が外れの場合に
図9(a)のテーブルを参照し、パターン抽選値が「0〜10」の場合はその旨を示す「1」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。パターン抽選値が「11〜20」の場合はその旨を示す「2」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。パターン抽選値が「21〜255」の場合はその旨を示す「3」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。
【0068】
変動パターン決定手段115は、当否結果が15R大当りの場合に
図9(b)のテーブルを参照し、パターン抽選値が「0〜120」の場合はその旨を示す「4」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。パターン抽選値が「121〜240」の場合はその旨を示す「5」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。パターン抽選値が「241〜250」の場合はその旨を示す「6」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。パターン抽選値が「251〜255」の場合はその旨を示す「7」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。
【0069】
変動パターン決定手段115は、当否結果が2R大当りまたは小当りの場合に
図9(c)のテーブルを参照し、パターン抽選値が「0〜122」の場合はその旨を示す「8」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。パターン抽選値が「123〜255」の場合はその旨を示す「9」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。変動パターン決定手段115は、以上のようにパターン範囲を設定するたびにその値を保留の個数とともに図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。
【0070】
図10は、外れ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。本図の変動パターンテーブル210においては、保留数ごとにそれぞれ変動パターンに対応付けられたパターン抽選値の範囲が異なる。具体的には、保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンに割り当てられたパターン抽選値の範囲が広くされており、それら変動時間の長い変動パターンが選択される確率を高めている。そのため、保留制御手段116による保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなる。したがって、保留制御手段116による保留数が所定数、例えば1〜2個より少なくなった場合に、変動時間の長い変動パターンの選択確率が通常より高くなり、変動時間が比較的長くなりやすい。
【0071】
第1欄212には、保留制御手段116による当否抽選の結果保留数が1の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。同様に、第2欄214、第3欄216、第4欄218に、保留制御手段116による当否抽選の結果保留数がそれぞれ2、3、4の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。すなわち、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218が保留数ごとの変動パターンテーブルを示すと考えることができる。本図では、外れのときに選択され得る複数の変動パターンを変動時間別に5種類に分類した例を説明するが、実際にはそれらの分類ごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがその分類ごとの抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。なお、本図の第2欄214、第3欄216、第4欄218の各パターン抽選値範囲の割合と第1欄212におけるパターン抽選値範囲の割合を比較するために、第1欄212のパターン抽選値範囲の割合を示す破線を第2欄214、第3欄216、第4欄218に描いている。
【0072】
第1範囲222には、抽選値が0から10までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー1」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。第2範囲224には、抽選値が11から20までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー2」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。このように、抽選値が0から10までのパターン抽選値と抽選値が11から20までのパターン抽選値の場合には、保留数にかかわらず同じ変動時間の変動パターンが選択される。
【0073】
第3範囲226には、抽選値が21から255までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218にはそれぞれノーマルリーチである「ノーマル1」「ノーマル2」と「リーチなし外れ」の3種類の変動パターンが対応付けられる。ただし、それぞれの変動パターンが対応付けられるパターン抽選値の範囲は保留数によって異なる。第1欄212では、「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のそれぞれが対応付けられる抽選値範囲の大きさがそれぞれほぼ等しく、21から255をほぼ3等分した範囲が対応付けられている。これに対し、第2欄214では、「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさが「リーチなし」に対応付けられる抽選値範囲より小さい。また、第3欄216および第4欄218では「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさがさらに小さくなっている。
【0074】
「ノーマル1」「ノーマル2」の変動時間は「リーチなし外れ」の変動時間より長くてもよく、また「リーチなし外れ」のときは時短状態のように変動時間が短縮される場合もあるため、上記の第3範囲226の設定内容に応じて平均的な変動時間が異なることとなる。保留数が0から1、2、3、4と多くなるにつれて「ノーマル1」および「ノーマル2」のパターン抽選値範囲は小さくなり、逆に「リーチなし外れ」のパターン抽選値範囲が大きくなる。したがって、保留数が多いほど平均的な変動時間は短くなり、逆に保留数が少ないほど平均的な変動時間は長くなる。このように保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択されやすくなる制御を実現することができる。
【0075】
第3欄216に対応付けられた「リーチなし外れ」の変動パターンは、第1欄212、第2欄214に対応付けられた「リーチなし外れ」よりも変動時間が短い、いわゆる「短縮変動」の変動パターンである。また、第4欄218に対応付けられた「リーチなし外れ」の変動パターンは、第1欄212、第2欄214に対応付けられた「リーチなし外れ」よりも変動時間が短く、第3欄216の「短縮変動」よりもさらに変動時間が短い、いわゆる「超短縮変動」の変動パターンである。
【0076】
図3に戻り、変動パターン決定手段115は、普通図柄の変動表示時間を決定する。通常状態においては変動表示時間を60秒に決定し、入球容易状態においては変動表示時間を6秒に決定する。
【0077】
保留制御手段116は、始動口62へ新たな入球があって新たに当否抽選が実行されるときにそれ以前の入球ないし抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな入球に基づく当否抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では当否抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保留球として保持する。ここでいう当否抽選値は、当否抽選値、図柄抽選値、変動パターン抽選値を含む。保留制御手段116は、事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲の設定を保留球としてさらに保持してもよい。ただし、当否抽選値とは別の領域に事前判定の結果を保持してもよい。保留制御手段116はさらに、当否抽選手段112により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ特別図柄保留表示装置20、普通図柄保留表示装置22の点灯数または点滅数により表される。
【0078】
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、変動パターン決定手段115により決定された変動パターンにしたがって特別図柄192の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、それ以前になされた当否抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。メイン表示制御手段118は、特別図柄192の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、本判定として判定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値を変動開始コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄抽選の結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
【0079】
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口66を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、単位遊技を15回繰り返す15R大当りと、15R大当りより開放時間が短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りがある。15R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を原則として約30秒間開放させる。2R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を約0.5秒間だけ開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。なお、2R大当りとなった場合においても、所定の条件を満たした場合には、15R大当りと同様の開放態様で大入賞口66を開放させてもよい。
【0080】
小当り遊技制御手段121は、当否抽選手段112による当否抽選が小当りを示す結果となった場合、特別図柄192が所定の小当り態様で停止されたときに小当り作動条件が成立したと判定し、大入賞口66を開放させることにより小当り遊技を実行する。小当り遊技制御手段121は、小当り遊技として、大入賞口66を0.5秒、0.5秒の2回にわたって開放する単位遊技を1回だけ実行する。したがって、2R大当りに伴う特別遊技である2R特別遊技と小当り遊技は、いずれも大入賞口66の短期開放が2回なされるものであり、外観上酷似したものとなる。
【0081】
特定遊技実行手段122は、確変状態、時短状態、および入球容易状態における通常遊技を制御する。特定遊技実行手段122は、特別遊技の終了後に遊技状態を時短状態および入球容易状態へ移行させる。一方、特別遊技の終了後に確変状態へ移行させるのは、図柄決定手段114により決定された図柄が確変への移行を伴う大当り図柄であった場合に限られる。時短状態および入球容易状態は、特別図柄192の変動表示回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、例えば100回に達するまで継続される。ただし、同時に確変状態へ移行した場合は確変状態が続く限り時短状態および入球容易状態も継続される。すなわち、次の大当りが発生するまで継続される。このように時短状態および入球容易状態の終期は遊技状態に応じて定まる。時短状態においては、特別図柄192の変動表示時間が概ね短くなるよう、変動パターン決定手段115が変動時間の短い変動パターンを選択する。ただし、通常状態においては、保留制御手段116による当否抽選結果の保留数に応じた変動パターンテーブルを参照し、保留制御手段116による保留数が少なくなるほど変動時間の長い変動パターンが出現しやすくなる。入球容易状態においては、普通図柄の時短、普通図柄の確変、拡開機構63の開放延長が実施される。一方、確変状態は、次の大当りによる特別遊技が実行されるまで継続される。確変状態の間は当否抽選手段112による当否判定結果が大当りとなる確率が高い値のまま維持される。
【0082】
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
【0083】
一部既述したように、メイン基板102には、電源ユニット48から電源供給を受けて稼動する処理ユニットが実装されている。この処理ユニットは、演算処理を実行するCPU、遊技プログラムが格納されたROM、遊技プログラムを実行する上で作業領域として機能する揮発性の処理用RAM、遊技データをバックアップするための不揮発性のバックアップRAM等を備えている。電源が遮断されるとCPUが動作を停止し、処理用RAM上のデータも消失するが、バックアップRAMに格納された遊技データは保持される。
【0084】
一方、サブ基板104にも、電源ユニット48から電源供給を受けて稼動する処理ユニットが実装されている。この処理ユニットもCPU、ROM、処理用RAM等を備えている。ROMには、演出制御等の遊技プログラムが保持される。サブ基板104のパターン記憶手段130の機能は主としてROMにより実現され、その処理過程で用いられるフラグ等の情報が処理用RAMに記憶される。サブ基板104の他の手段の各機能は、主としてCPUが実行する遊技プログラムにより実現される。ただし、本実施例のサブ基板104はバックアップ機能を有しないため、電源が遮断されるとCPUが動作を停止し、処理用RAM上のデータは消失する。
【0085】
電断制御手段126は、電源遮断時に電断時処理を実行し、電源投入時に電源投入時処理を実行する。例えば、電源が遮断されると、
図2の電源ユニット48から処理ユニットへの供給電圧は徐々に低下する。電源ユニット48の電圧監視手段は、その供給電圧が所定の電断判定値を下回ると、電断信号をメイン基板102の処理ユニットに向けて送信する。電断制御手段126は、その電断信号を受信すると、各種の遊技データを退避するための電断時処理を実行する。具体的には、電断時処理として、処理用RAM上の遊技データ、当否抽選結果や決定された変動パターン、図柄変動の有無などの遊技状態を含む中途状態データの全部または一部を、不揮発メモリであるバックアップRAMへ退避する。
【0086】
また電断制御手段126は、電源が遮断された後に再投入されると、各種の遊技データを復元するための電源投入時処理を実行する。具体的には、電断制御手段126は、バックアップRAMから処理用RAMに各種遊技データおよび中途状態データをロードするとともに、電断復帰コマンドをサブ基板104へ送信する。電断復帰コマンドには、メイン基板102における電源復帰時の遊技状態を示す情報、当否抽選結果の保留状態、再開される図柄変動の情報等が含まれる。なお、供給電圧が閾値未満へ一旦低下後、自律的にその閾値以上に回復する場合も、電断制御手段126は同様の電断時処理および電源投入時処理を実行する。
【0087】
パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを変動表示の停止前に予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
【0088】
演出決定手段132は、当否抽選手段112から受け取る当否抽選の結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、変動パターン決定手段115により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータからいずれかを選択してパターン記憶手段130から読み出し、その変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。演出決定手段132は、変動演出パターンを選択するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
【0089】
各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。
【0090】
図柄態様決定手段131は、装飾図柄190の停止図柄の組合せとその配置を、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
【0091】
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、例えば当否抽選手段112による当否判定結果が15R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が15R大当りではない場合であって、リーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。
【0092】
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当り態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出がある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当りへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
【0093】
予告演出パターンには、装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
【0094】
演出決定手段132は、当否抽選の結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定して事前演出設定をするとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、当否抽選が当りの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当りへの期待度の高さを示唆することができる。
【0095】
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄を含む演出画像を変動表示させる。演出表示制御手段134は、装飾図柄190の変動開始コマンドを受け取ったときに新たな図柄変動を開始させる。
【0096】
演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を図柄変動の演出に重畳させる形で演出表示装置60へ表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
【0097】
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
【0098】
モード制御手段150は、演出表示装置60に表示される演出モードを複数種類のモードのうちのいずれかに制御する。本実施例のモード制御手段150は、限定期間における演出モードを、潜伏モードと通常モードのいずれかに制御する。パターン記憶手段130は、潜伏モードと通常のモードのそれぞれに対応する演出パターンデータ(変動演出パターンデータ、予告演出パターンデータ)を保持する。演出決定手段132は、限定期間において、モード制御手段150により決定された潜伏モードもしくは通常モードに応じた演出パターンデータを選択する。なお本実施例の予告演出には、演出モードに応じた内容の各種演出を含み、例えば演出モードの移行を示唆する演出を含む。
【0099】
潜伏モードは、遊技状態が通常状態と確変状態のいずれであるかが外観上特定困難な演出(以下、「潜伏演出」とも呼ぶ。)を表示させる演出モードである。潜伏演出は、現在確変状態の可能性があることを遊技者に示唆する態様の演出であってもよく、例えば「確変可能性30%」等のメッセージを演出表示装置60に表示させる演出であってもよい。潜伏モードは、確変状態の期待度が通常モードよりも高いことを外観上示唆する演出状態であると言える。
【0100】
通常モードは、遊技状態が通常状態であることを遊技者に示唆する態様の演出を表示させる演出モードであり、実際には確変状態であっても通常状態時と同じ態様(同じ画像やテキスト、表示時間)の演出を表示させる演出モードである。このように、限定期間において遊技機内部は確変状態であっても、通常モードへの制御中は、通常状態時と同様の演出を表示させる。したがって、遊技機内部が確変状態の場合の通常モードによる演出は「フェイク演出」であるとも言える。通常モードは、確変状態の期待度が潜伏モードよりも低いことを外観上示唆する演出状態であると言える。
【0101】
モード制御手段150は、潜伏モードへの移行条件として、特殊移行条件を保持する。特殊移行条件は、限定期間の始期を示す条件であるとも言え、当否抽選の結果が小当りまたは2R大当りとなり、かつ、小当りに伴う小当り遊技または2R大当りに伴う2R特別遊技が終了することを成立の条件とする。モード制御手段150は、当否抽選結果が小当りまたは2R大当りとなり、かつ、小当り遊技または2R特別遊技が終了した場合に、特殊移行条件が成立したと判定し、演出モードを潜伏モードへ移行させる。
【0102】
モード制御手段150は、転落制御手段152、復帰制御手段154、演出回数計数手段156、演出履歴記憶手段157を含む。転落制御手段152は、限定期間における演出モードが潜伏モードである場合、図柄変動が開始されるときに転落抽選を実行して予め定められた転落条件の成立有無を判定する。そして転落条件が成立した場合に、演出モードを通常モードへ移行させる。転落条件は、所定確率(例えば20%)で当選するよう定められた転落抽選が、当選を示す結果となることを成立の条件とする。転落制御手段152は、限定期間における遊技状態が確変状態か通常状態かで異なる当選確率の転落抽選を実行してもよい。例えば、確変状態であれば相対的に高い確率(例えば25%)で当選する転落抽選を実行してもよく、通常状態であれば相対的に低い確率(例えば15%)で当選する転落抽選を実行してもよい。
【0103】
復帰制御手段154は、限定期間における演出モードが通常モードである場合、図柄変動が開始されるときに復帰抽選を実行して予め定められた復帰条件の成立有無を判定する。そして復帰条件が成立した場合に、演出モードを潜伏モードへ移行させる。復帰条件は、所定確率(例えば15%)で当選するよう定められた復帰抽選が、当選を示す結果となることを成立の条件とする。復帰制御手段154は、限定期間における遊技状態が確変状態か通常状態かで異なる当選確率の復帰抽選を実行してもよい。例えば、確変状態であれば相対的に高い確率(例えば30%)で当選する復帰抽選を実行してもよく、通常状態であれば相対的に低い確率(例えば5%)で当選する復帰抽選を実行してもよい。
【0104】
このように、限定期間における遊技状態が確変状態であれば、潜伏状態から転落しやすいものの、潜伏状態へ復帰しやすい遊技性としてもよい。また、限定期間における遊技状態が通常状態であれば、潜伏状態から転落しにくいものの、一旦転落すると、潜伏状態へ復帰しにくい遊技性としてもよい。限定期間における遊技状態が確変状態であれば、モードを比較的頻繁に切り替えて、確変に対する遊技者の期待感と不安感を交錯させつつ、最終的には期待感を満足させることができる。また、限定期間における遊技状態が通常状態であれば、モード切替頻度を抑制し、通常モードから潜伏モードへ復帰させることで遊技者の期待感を高めた分、最終的に期待感を大きく損なってしまうことを抑制する。
【0105】
転落制御手段152は、遊技状態が通常状態であり、かつ、限定期間の最後の図柄変動、すなわち限定期間における31回目の図柄変動時に潜伏モードに滞在している場合は常に転落条件が成立したと判定し、演出モードを通常モードへ転落させる。例えば、限定期間の最後の図柄変動に際して当選確率100%の転落抽選へ切り替えることにより、必ず転落条件を成立させてもよい。変形例として、限定期間における最後の図柄変動より前の任意(例えば20回目)の図柄変動にて必ず転落条件を成立させてもよい。
【0106】
復帰制御手段154は、遊技状態が確変状態であり、かつ、限定期間の最後の図柄変動、すなわち限定期間における31回目の図柄変動時に通常モードに滞在している場合は常に復帰条件が成立したと判定し、演出モードを潜伏モードへ復帰させる。例えば、限定期間の最後の図柄変動に際して当選確率100%の復帰抽選へ切り替えることにより、必ず復帰条件を成立させてもよい。変形例として、限定期間における最後の図柄変動より前の任意(例えば25回目)の図柄変動にて必ず復帰条件を成立させてもよい。
【0107】
演出回数計数手段156は、限定期間における図柄変動の実行回数であり、その図柄変動に伴う演出回数を計数する。言い換えれば、潜伏モードでの演出回数と通常モードでの演出回数の合計をカウントする。具体的には、演出回数計数手段156は、限定期間において図柄変動が終了する都度、演出回数(初期値0)をインクリメントすることにより、限定期間における演出回数を算出する。演出回数計数手段156は、算出した演出回数をサブ基板104の処理用RAMに格納する。変形例として、演出回数計数手段156は、限定期間において図柄変動が終了する都度、予め定められた限定期間全体の演出回数(初期値31)をデクリメントすることにより、限定期間における残りの演出回数を算出してもよい。
【0108】
図11は、限定期間における演出モードの遷移を示すタイムチャートである。
図11(a)は、遊技状態が確変状態(以下、「内部確変」とも呼ぶ。)の場合の遷移例を示している。同図では、9回目の図柄変動時の演出で潜伏モードから通常モードへ転落し、13回目の図柄変動時の演出で通常モードから潜伏モードへ復帰し、20回目の図柄変動時の演出で潜伏モードから通常モードへ再度転落し、25回目の図柄変動時の演出で通常モードから潜伏モードへ再度復帰し、以降、限定期間の最後まで潜伏モードが維持されることを示している。
図11(b)は、遊技状態が通常状態(以下、「内部通常」とも呼ぶ。)の場合の遷移例を示している。同図では、18回目の図柄変動時の演出で潜伏モードから通常モードへ転落し、以降、潜伏モードへ復帰することなく限定期間の最後まで通常モードが維持されることを示している。なお一部既述したように、内部通常であっても、潜伏モードから通常モードへ転落後に、フェイク演出として潜伏モードへ復帰させてもよい。ただし、31回目の図柄変動終了時までには必ず通常モードへ再転落させる。
【0109】
潜伏モードから通常モードへの転落が決定された場合に、演出決定手段132は、図柄変動中の予告演出として、確変の可能性が小さくなる旨を示唆する態様のいわゆる転落演出を選択して表示させる。また通常モードから潜伏モードへの復帰が決定された場合に、演出決定手段132は、図柄変動中の予告演出として、確変の可能性が大きくなる旨を示唆する態様のいわゆる昇格演出を選択して表示させる。また演出決定手段132は、潜伏モードで限定期間が終了した場合に、例えば31回目の図柄変動の最後に表示させる予告演出として、確変が確定した旨の確変報知演出を選択して表示させてもよい。
【0110】
図12は、各演出モードでの演出内容を模式的に示す。
図12(a)は、潜伏モード時の潜伏演出を示している。潜伏演出では、確変の可能性があることを遊技者に示唆するメッセージである確変示唆アイテム160と、確変が確定的に報知されるまでの期間、すなわち限定期間の残り期間を示すメッセージである残り期間アイテム162が、装飾図柄190の変動とともに表示される。
図12(a)には不図示であるが、潜伏演出用の画像を含む予告演出が表示されてもよいことはもちろんである。
【0111】
演出決定手段132は、限定期間において潜伏モードであれば、
図12(a)に示す潜伏演出用の演出パターンを選択する。演出決定手段132は、変動パターン決定手段115が決定した変動パターンに応じた変動演出パターンおよび予告演出パターンを選択し、これらの変動演出パターンには、外れパターン、ノーマルリーチパターン、スーパーリーチパターン等が含まれる。また演出決定手段132は、予告演出パターンとして、限定期間の残り期間の長さに応じた態様の画像(異なる形状・模様・色彩の背景やキャラクタ等)を表示させてよく、例えば、残り期間が20回以上、10回以上、10回未満のそれぞれで異なる態様の画像を表示させてもよい。
【0112】
演出決定手段132は、限定期間全体の演出回数(31回)から、演出回数計数手段156が計数して処理用RAMに格納した演出回数を差し引いた値を、限定期間の残り期間として算出する。演出表示制御手段134は、限定期間の残り期間を、残り期間アイテム162に表示させる。
図12(a)では、限定期間における8回目の図柄変動において、演出回数計数手段156がカウントした演出回数7回にもとづいて、残り期間を図柄変動24回と表示した状態を示している。
【0113】
図11(a)の内部確変の場合、
図11(b)の内部通常の場合のいずれにおいても、限定期間における8回目の図柄変動時は潜伏モードへ制御されているため、どちらの例でも
図12(a)の潜伏演出が表示されてよい。変形例として、演出回数計数手段156が限定期間の残り回数を計数する場合は、その回数を残り期間アイテム162に表示させてもよい。また演出決定手段132は、残り期間アイテム162に代えて、限定期間における演出回数を示すメッセージを表示させてもよい。
【0114】
図12(b)は、通常モード時の演出を示している。この演出では、装飾図柄190の変動態様や、不図示の予告演出の内容は、限定期間以外の演出と同態様になる。一部既述したが、通常モード時の演出は、実際には内部確変であっても、確変の可能性は遊技者に提示されず、非確変状態である通常状態のときと同様の内容になるため、内部確変におけるフェイク演出とも言える。演出決定手段132は、限定期間において通常モードであれば、
図12(b)に示す通常の(フェイク演出用の)演出パターンを選択する。
【0115】
なお、通常モードから潜伏モードへ復帰した場合は、
図12(a)の潜伏演出が再度表示されるが、その場合の残り期間アイテム162には、通常モードでの図柄変動回数も差し引いた残り期間を表示する。例えば、
図11(a)で示すように限定期間における25回目の図柄変動にて潜伏モードへ復帰した場合、演出回数計数手段156がカウントした演出回数24回にもとづいて、残り期間アイテム162には残り7回と表示される。
【0116】
図12(c)は、潜伏モードに滞在中に限定期間が終了した後の演出を示している。この演出では、確変状態であることを遊技者に確定的に報知するためのメッセージである確変確定報知アイテム164が表示される。演出決定手段132は、限定期間が潜伏モードで終了した場合、言い換えれば、2R大当りを契機として開始された限定期間が、図柄変動回数が規定回数に達して終了する際に、
図12(c)で示す確変確定報知用の演出パターンを選択して表示させる。
【0117】
本実施例のぱちんこ遊技機10の特徴的な構成について説明する。本実施例では上述した3つの特徴を組み合わせたぱちんこ遊技機10を実現しているが、以下では、わかりやすさのため、各特徴の見出しを付すこととする。
【0118】
1.潜伏モードからの転落制御:
演出履歴記憶手段157は、限定期間の図柄変動において演出決定手段132が選択した演出パターンの履歴を示す情報(以下、「限定期間演出履歴」とも呼ぶ。)を所定の記憶領域に記録する。演出履歴記憶手段157は、限定期間演出履歴として、限定期間において演出が実行された順番と、演出種別(演出パターンの識別情報)とを対応づけて、演出がなされる都度記録していく。例えば限定期間演出履歴は、順番1と外れA、順番2と外れB、順番3とスーパーリーチA、・・・を対応づけた情報であってもよい。
【0119】
転落制御手段152は、限定期間における図柄変動回数が、予め定められた回数(以下、「転落規制閾値」とも呼ぶ。)に達するまでは転落条件の成立を規制する。本実施例では、転落抽選を非実行とすることとするが、変形例として、転落抽選を実行するもののその結果にかかわらず転落条件不成立と判定してもよい。転落規制閾値は、限定期間全体での図柄変動回数(31回)より短い期間であり、潜伏モードの継続に対して遊技者が期待感を抱くと想定される期間が設定される。本実施例における転落規制閾値は、図柄変動回数10回である。転落制御手段152は、限定期間突入後、11回目の図柄変動が開始されることを始期として、転落抽選にもとづく転落条件成立有無の判定を開始する。
【0120】
ただし転落制御手段152は、限定期間演出履歴を参照して、限定期間において所定の特殊演出パターンによる演出がなされたことを検出した場合、限定期間における図柄変動回数が転落規制閾値未満であっても転落条件成立の規制を解除する。すなわち転落抽選の実行を開始する。特殊演出パターンとしては、大当り発生に対する遊技者の期待感を高めると想定される演出パターンであり、例えば、大当り発生時に外れ時よりも高確率で選択される演出パターンが設定される。本実施例の特殊演出パターンは、所定時間以上の図柄変動表示(演出表示)がなされるスーパーリーチ演出パターンである。
【0121】
復帰制御手段154は、復帰当選の範囲の復帰抽選値と、復帰外れの範囲の復帰抽選値を定めた復帰判定テーブルとして、潜伏モードへの復帰確率、すなわち復帰当選確率が異なる複数種類の復帰判定テーブルを保持する。複数種類の復帰判定テーブルには、相対的に高い復帰確率を定めたテーブルと、相対的に低い復帰確率を定めたテーブルが含まれる。具体的には、内部通常用の復帰判定テーブルでは復帰確率5%、内部確変用の第1復帰判定テーブルでは復帰確率15%、内部確変用の第2復帰判定テーブルでは復帰確率30%が定められていることとする。
【0122】
既述したように、潜伏モードにおいてスーパーリーチ演出がなされなくても、図柄変動回数が転落規制閾値に達すると転落規制が解除される。復帰制御手段154は、内部確変状態の場合に、限定期間演出履歴を参照して、潜伏モードにおいてスーパーリーチ演出が未実行で、現在通常モードに滞在中か否かを判定する。すなわち、スーパーリーチ演出がなされないまま転落したか否かを判定する。例えば、転落制御手段152により通常モードへの転落が決定されたときの限定期間における演出回数と、復帰制御手段154が潜伏モードへの復帰を決定したときの限定期間における演出回数から、限定期間における潜伏モードの期間を特定し、限定期間演出履歴を参照することで、潜伏モードの期間においてスーパーリーチ演出がなされたか否かを判定してもよい。
【0123】
復帰制御手段154は、内部確変状態で、かつ、潜伏モードにおいてスーパーリーチ演出が未実行で、現在通常モードに滞在中の場合に、内部確変用の第2復帰判定テーブルにしたがって復帰判定を実行する。すなわち、相対的に高確率で復帰条件が成立したと判定し、潜伏モードへ復帰させる。その一方、復帰制御手段154は、内部確変状態で、かつ、潜伏モードにおいてスーパーリーチ演出を実行済で、現在通常モードに滞在中の場合は、内部確変用の第1復帰判定テーブルにしたがって復帰判定を実行する。すなわち、相対的に低確率で復帰条件が成立したと判定し、潜伏モードへ復帰させる。
【0124】
復帰制御手段154は、内部通常状態で、潜伏モードから通常モードへ転落した場合は、潜伏モードにてスーパーリーチ演出がなされたか否かにかかわらず、内部通常用の復帰判定テーブルにしたがって復帰判定を実行する。すなわち内部確変の場合よりも低確率で復帰条件が成立したと判定し、潜伏モードへ復帰させる。内部通常の場合、潜伏モードへ復帰させても、最終的には非確変が報知されることとなり、却って遊技者の期待感を損ねる可能性が想定されるため、本実施例では復帰しにくい構成としている。ただし変形例として、内部通常状態であっても、内部確変状態の場合と同様に、複数種類の復帰判定テーブルを使い分け、潜伏モードにてスーパーリーチ演出がなされないまま転落した場合に、潜伏モードへ復帰しやすくしてもよい。
【0125】
2.電断復帰時のモード制御:
変動パターン決定手段115は、複数種類の変動パターンテーブルを保持し、それらの中から遊技状態に応じた変動パターンテーブルを参照して、図柄変動の変動パターンを決定する。本実施例の変動パターン決定手段115は、限定期間において変動パターンを決定する際に参照すべき特殊変動パターンテーブルを保持する。特殊変動パターンテーブルは、小当りまたは2R大当りが発生後の所定期間に限定して参照されるテーブルである。また特殊変動パターンテーブルは、限定期間以外の遊技期間において変動パターンを決定する際に参照すべき変動パターンテーブル(以下、「通常の変動パターンテーブル」とも呼ぶ。)とは異なる変動パターンの決定基準を定めたものである。
【0126】
変動パターン決定手段115は、図柄決定手段114により特定態様の図柄、本実施例では小当り図柄または2R大当り図柄が決定された場合に、変動パターンの選択基準を、通常の変動パターンテーブルから、特殊変動パターンテーブルへ切り替える。変動パターン決定手段115は、小当りまたは2R大当りが発生した場合に特殊変動パターンテーブルへ切り替え、小当り遊技または2R特別遊技終了後から、31回の図柄変動の間、すなわち限定期間において、特殊変動パターンテーブルを参照して変動パターンを決定する。
【0127】
特殊変動パターンテーブルは、限定期間における潜伏モード時の変動パターン選択基準を定めた潜伏モード特殊変動パターンテーブルと、限定期間における通常モード時の変動パターン選択基準を定めた通常モード特殊変動パターンテーブルを含む。変動パターン決定手段115は、限定期間における潜伏モード時に潜伏モード特殊変動パターンテーブルを参照して変動パターンを決定し、限定期間における通常モード時に通常モード特殊変動パターンテーブルを参照して変動パターンを決定する。
【0128】
潜伏モード特殊変動パターンテーブルでは、選択候補の変動パターンとして転落規制の解除条件となる特殊演出パターン(本実施例ではスーパーリーチ演出パターン)を定め、その選択確率を通常の変動パターンテーブルより高確率に定めている。この構成は、上記の1.潜伏モードからの転落制御においても好適である。
【0129】
通常モード特殊変動パターンテーブルでは、選択候補の変動パターン、およびその選択確率として、通常の変動パターンテーブルと類似する内容を定めている。具体的には、通常モード特殊変動パターンテーブルでは、通常の変動パターンテーブルで選択される変動パターンと、変動時間が実質同一の変動パターンを定めている。変動時間が実質同一の変動パターンとは、変動時間が完全に同一の変動パターンに加えて、図柄変動の外観上、変動時間の差異を遊技者が認識することが困難な程度に小さく異ならせた(0.1秒長い、短い等)変動パターンも含む。また通常モード特殊変動パターンテーブルでは、上記の変動時間が実質同一の変動パターンの選択確率を、通常の変動パターンテーブルと実質同一に定めている。選択確率の実質同一も、選択確率が完全に同一であることに加えて、選択傾向の差異を遊技者が認識することが困難な程度に小さく異ならせたことも含む。
【0130】
演出決定手段132は、通常モード特殊変動パターンテーブルで選択された変動パターンに応じた演出パターン(変動演出パターン、予告演出パターン)として、通常の変動パターンテーブルで選択された変動パターンに応じた演出パターンと同様の外観のものを選択する。例えば、実質的に同一の演出内容、演出時間の演出パターンを選択する。
【0131】
変動パターン決定手段115は変動回数計数手段128を含む。変動回数計数手段128は、変動パターン決定手段115が、特殊変動パターンテーブルを参照して変動パターンを決定した回数(以下では「特殊変動回数」と呼ぶ。)を計数する。具体的には、変動パターン決定手段115が潜伏モード特殊変動パターンテーブルまたは通常モード特殊変動パターンテーブルを参照して変動パターンを決定し、その変動パターンによる図柄変動が終了する都度、変動回数計数手段128は、特殊変動回数をインクリメントし、メイン基板102の処理用RAMに格納する。特殊変動回数は、限定期間における図柄変動回数を示し、すなわちサブ基板104の演出回数計数手段156が計数する限定期間における演出回数と同じ値になる。
【0132】
電断制御手段126は、電源遮断時に、電断時処理として、処理用RAMに格納された特殊変動回数をバックアップ用RAMへ退避させる。電源が遮断された後に再投入されると、電源投入時処理として、特殊変動回数を電断復帰コマンドに含めてサブ基板104へ通知する。モード制御手段150は、電断復帰コマンドにて通知された特殊変動回数が30回以下を示す場合、遊技状態が確変状態か通常状態かにかかわらず演出モードを潜伏モードへ制御する。電断復帰コマンドにて通知された特殊変動回数が31回を示す場合、遊技状態が確変状態であれば演出モードを潜伏モードへ制御し、遊技状態が通常状態であれば演出モードを通常モードへ制御する。
【0133】
ただしモード制御手段150は、限定期間の残りが短い場合で、遊技状態が通常状態であれば、演出モードを通常モードへ制御する。限定期間の残りが短い場合とは、限定期間全体の長さと、電断復帰コマンドにて通知された特殊変動回数との差異が所定回数以下の場合であり、本実施例では特殊変動回数が25回以上を示す場合とする。潜伏モードへ制御しても短期間に転落するため、潜伏モードへ制御して遊技者の期待感を高めた分、遊技者の期待感を大きく損なってしまうことが想定されるため、この場合は、潜伏モードでの演出復帰を抑制する。
【0134】
電断復帰時にモード制御手段150が演出モードを潜伏モードへ制御した場合、演出決定手段132は、限定期間全体の演出回数(31回)から、電断復帰コマンドにて通知された特殊変動回数を差し引いた値を、限定期間の残り期間として算出する。そして演出表示制御手段134は、潜伏演出において、限定期間の残り期間を残り期間アイテム162に表示させる。また演出決定手段132は、限定期間の残り期間の長さに応じた態様の予告演出パターンを選択し、演出表示制御手段134は、その予告演出を潜伏演出で表示させる。
【0135】
例えば、演出回数計数手段156が計数した限定期間における演出回数(7回)にもとづいて残り回数24回を示す残り期間アイテム162(
図12(a))を表示させていたときに電断が発生したとする。この場合、電断復帰時には、変動回数計数手段128が計数して電断復帰コマンドにより通知された特殊変動回数(7回)にもとづいて、同じく残り回数24回を示す残り期間アイテム162(
図12(a))を表示させる。
【0136】
演出回数計数手段156は、電断復帰コマンドにて通知された特殊変動回数を、限定期間における演出回数としてサブ基板104の処理用RAMへ格納する。以降、図柄変動が終了する都度、その演出回数をインクリメントしていく。これにより、サブ基板104において電断発生時までの演出回数を電断復帰後に復元し、モード制御手段150は適切なモード制御を実行でき、演出決定手段132は適切な演出内容を決定できる。
【0137】
3.先読みによる潜伏モードへの復帰:
事前判定手段158は、先読み処理として、メイン基板102から通知された事前判定結果を参照し、将来時点の小当りおよび2R大当りの発生有無を判定する。言い換えれば、特殊移行条件を成立させる抽選結果を示す保留球(以下、「特殊保留」とも呼ぶ。)が保持されているか否かを、その抽選結果に対応する図柄変動の開始前に事前判定する。
【0138】
具体的には、事前判定手段158は、メイン基板102から通知されてサブ基板104の所定の記憶領域に格納された当否抽選手段112による事前当否判定の結果と、図柄決定手段114による事前図柄判定の結果とを参照する。そして、小当りまたは2R大当りを示す事前当否判定結果および事前図柄判定結果が存在するか否かを判定する。例えば、ある保留球に対する事前当否判定結果として「4」が通知された場合に、その保留球による小当りの発生を検出して、特殊保留が存在すると判定してもよい。また、ある保留球に対する事前当否判定結果として「1」、事前図柄判定結果として「2」が通知された場合に、その保留球による2R大当りの発生を検出して、特殊保留が存在すると判定してもよい。
【0139】
モード制御手段150は、限定期間において演出モードを通常モードに制御しているとき、事前判定手段158により特殊保留の存在が検出されて、所定の強制移行条件が成立した場合に、その特殊保留に対応する図柄変動表示が開始されるまでに、演出モードを潜伏モードへ移行させる。例えばモード制御手段150の復帰制御手段154は、特殊保留の保留順位が1番目、すなわち対応する図柄変動が次に実行される状態となる前に、演出モードを通常モードから潜伏モードへ強制的に移行させる。この場合に復帰制御手段154は、復帰抽選の実行をスキップしてもよく、復帰抽選の結果にかかわらず潜伏モードへ移行させてもよい。
【0140】
強制移行条件は、内部確変状態の限定期間、すなわち2R大当りを契機とした限定期間において小当りまたは2R大当りが発生すること、もしくは、内部通常状態の限定期間、すなわち小当りを契機とした限定期間において2R大当りが発生することを成立の条件とする。内部通常状態の限定期間において小当りが発生した場合は不成立となる。モード制御手段150は、強制移行条件が成立した場合に、処理用RAMの強制移行条件成立フラグをオンに設定する。
【0141】
演出回数計数手段156は、強制移行条件成立フラグがオンで、特殊保留に対応する図柄変動において特殊移行条件が成立した場合に、それまでの限定期間における演出回数を初期値(例えば0)へリセットすることなく、特殊移行条件成立時における演出回数を、特殊移行条件成立後の演出回数に引き継ぐ。演出決定手段132および演出表示制御手段134は、限定期間の演出回数が規定回数(本実施例では31回)に達すると、確変確定を報知する態様の演出を表示させ、遊技者もその規定回数に早期に達することを期待する。本実施例では、遊技者の期待感を削がないよう、当初の限定期間が実質的に延長となってしまうことを抑制する。
【0142】
また演出回数計数手段156は、強制移行条件成立フラグがオフで、特殊保留に対応する図柄変動において特殊移行条件が成立した場合は、それまでの限定期間における演出回数を初期値へリセットする。演出決定手段132および演出表示制御手段134は、限定期間の演出回数が規定回数に達すると、確変確定を報知する演出を表示させるため、この場合、後の特殊演出(小当り)から新たな限定期間が開始されることになる。
【0143】
演出決定手段132は、強制移行条件成立フラグがオンで、特殊保留に対応する図柄変動において特殊移行条件が成立した場合、特殊移行条件成立前の潜伏モードの演出内容を引き継いで、特殊移行条件成立後の潜伏モードの演出内容を決定する。具体的には、演出回数計数手段156が計数する限定期間の演出回数であり、特殊移行条件成立時の演出回数にもとづいて限定期間の残り期間を決定する。その一方、強制移行条件成立フラグがオフで、特殊保留に対応する図柄変動において特殊移行条件が成立した場合、新たに限定期間が開始されることを示す態様で、特殊移行条件成立後の潜伏モードの演出内容を決定する。具体的には、演出回数計数手段156がリセットした限定期間の演出回数であり、演出回数の初期値にもとづいて限定期間の残り期間を決定する。背景画像やキャラクタ画像等の予告演出についても同様に決定する。
【0144】
また演出決定手段132は、強制移行条件成立フラグがオフで、特殊移行条件が成立した場合に、限定期間突入を示す予告演出やデモ演出を表示させる一方、強制移行条件成立フラグがオンで、特殊移行条件が成立した場合は、これらの演出を非表示とすることを決定してもよい。このように演出決定手段132は、強制移行条件が成立した場合に、限定期間における新たな小当りや2R大当りによりその限定期間が外観上、中断することなく継続するよう演出内容を決定する。
【0145】
図13は、限定期間における演出モードの遷移を示すタイムチャートである。
図13(a)および(b)は、限定期間における17回目の図柄変動中に、保留順位2番目の抽選結果であり、すなわち限定期間における19回目の図柄変動に対応する保留が、特殊保留として検出されたことを示す。
【0146】
図13(a)は、強制移行条件が成立した状況を示している。同図では、特殊保留の図柄変動が始まる前である18回目の図柄変動時の演出において通常モードから潜伏モードへ復帰させている。以降、19回目の図柄変動時(特殊保留による図柄変動)、20回目の図柄変動時(小当り遊技または2R特別遊技終了後の図柄変動)では潜伏モードが継続する。例えば、18回目の図柄変動時には限定期間の残り期間「14回」、19回目の図柄変動時には限定期間の残り期間「13回」、20回目の図柄変動時には限定期間の残り期間「12回」が表示されることになる。
【0147】
図13(b)は、強制移行条件が不成立の状況を示しており、すなわち内部通常状態の限定期間において小当り保留が検出された状況を示している。同図では、特殊保留の図柄変動前に潜伏モードへの強制復帰はなされない。以降、19回目の図柄変動にて小当りとなって小当り遊技が終了すると、モード制御手段150は、演出モードを潜伏モードとして新たな限定期間を開始する。18回目の図柄変動時には限定期間の残り期間「14回」、19回目の図柄変動時(小当り保留による図柄変動)には限定期間の残り期間「13回」となり、小当り遊技終了後の図柄変動時には限定期間の残り期間が「31回」にリセットされることになる。
【0148】
なお本実施例では、限定期間において演出モードを潜伏モードに制御しているときは、特殊保留の先読みは実行しないこととする。潜伏モードにおいて新たに小当りまたは2R大当りが発生して特殊移行条件が成立した場合、モード制御手段150は潜伏モードを維持する。演出回数計数手段156は、上記と同様に、それまでの限定期間における演出回数を初期値(例えば0)へリセットすることなく、特殊移行条件成立時における演出回数を、特殊移行条件成立後の演出回数に引き継ぐこととする。
【0149】
図14は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず電断処理(S2)、電断復帰処理(S4)を実行する。そして遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入球した場合の処理を実行し(S10)、通常遊技中であれば(S12のY)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、通常遊技中でなければ(S12のN)、特別遊技の制御処理(S16)や、小当り遊技の制御処理を実行し(S17)、S10の入賞処理においてセットされた賞球数により各種の入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
【0150】
図15は、
図14におけるS2の電断処理を詳細に示すフローチャートである。電断制御手段126は、電源が遮断された旨が電源ユニット48から通知されると(S320のY)、電断時処理を開始する(S322)。電断時処理において、電断制御手段126は、それまで変動回数計数手段128が計数した特殊変動回数を不揮発のバックアップメモリへ退避させる(S324)。電源遮断が未発生であれば(S320のN)、S322およびS324をスキップする。
【0151】
図16は、
図14におけるS4の電断復帰処理を詳細に示すフローチャートである。電断制御手段126は、電源が遮断された後に電源の再投入がなされる、すなわち電力供給が復帰すると(S330のY)、電源投入時処理を開始する(S332)。電源投入時処理において、電断制御手段126は、ぱちんこ遊技機10の遊技状態や各種の遊技データを通知するための電断復帰コマンドをサブ基板104へ送信し、その電断復帰コマンドにて、電断発生時に退避させた特殊変動回数をサブ基板104へ通知する(S334)。
【0152】
電断復帰コマンドで通知された特殊変動回数が所定の範囲(例えば、0より大きく31未満の範囲)の値であれば(S336のY)、モード制御手段150は演出モードを潜伏モードへ制御する(S338)。演出回数計数手段156は、電断復帰コマンドで通知された特殊変動回数を、限定期間における演出回数(以下、「限定演出回数」とも呼ぶ。)としてサブ基板104の処理用RAMへ格納する(S340)。特殊変動回数が所定範囲内の値でなければ(S336のN)、S338以降をスキップし、電力供給が復帰しなければ(S330のN)、S332以降の処理をスキップする。
【0153】
図17は、
図14におけるS10の入賞処理を詳細に示すフローチャートである。始動口62に入球があった場合(S20のY)、始動口62に対応する賞球数をセットし(S22)、保留制御手段116による保留数が4未満であるか否かを参照してさらなる保留が可能な状態であれば(S24のY)、当否抽選値を取得する(S26)。その当否抽選値に基づいて当否判定する事前判定処理を実行し(S28)、当否抽選値を保留制御手段116に保留する(S30)。S20において始動口62への入球がない場合はS22からS30までの処理をスキップする(S20のN)。S24において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS26からS30までの処理をスキップする(S24のN)。
【0154】
一般入賞口72に入球があった場合は(S32のY)、一般入賞口72に対応する賞球数をセットし(S34)、一般入賞口72への入球がないときはS34をスキップする(S32のN)。大入賞口66に入球があった場合は(S36のY)、大入賞口66に対応する賞球数をセットし(S38)、大入賞口66への入球がないときはS38をスキップする(S36のN)。
【0155】
図18は、
図17におけるS28の事前判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、事前当否判定テーブルを参照して事前当否判定を実行し(S40)、その判定結果として当否範囲を示す値を設定し(S42)、事前図柄判定テーブルを参照して事前図柄判定を実行し(S44)、その判定結果として図柄範囲を示す値を設定し(S46)、事前パターン判定テーブルを参照して事前パターン判定を実行し(S48)、その判定結果としてパターン範囲を示す値を設定する(S50)。以上のように設定された事前判定結果の値が、保留の個数とともに一時的に保存され、サブ基板104の図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信される(S52)。
【0156】
図19は、
図14におけるS14の通常遊技制御処理の全体的な過程を示すフローチャートである。この通常遊技制御処理は、サブ基板104における先読み処理が実行され(S250)、メイン基板102における特別図柄変動処理の実行(S252)、サブ基板104における装飾図柄変動処理の実行(S254)が、繰り返し処理されることとなる。
【0157】
図20は、
図19におけるS250の先読み処理を詳細に示すフローチャートである。いわゆる先読みによって得られる情報に基づいてどのような演出をサブ基板104において実行するか、また事前判定結果がどのような結果の場合にその結果に応じた演出を実行するかといった基準は、ぱちんこ遊技機10における遊技性の設計に応じて種々考えられる。本実施例においては、将来時点の図柄変動での小当りまたは2R大当りの発生を事前判定処理の結果に基づいてあらかじめサブ基板104側でも認識し、通常モードから潜伏モードへ強制的に移行させる。
【0158】
サブ基板104がメイン基板102から事前判定結果を受信した場合(S260のY)、サブ基板104の事前判定手段158は、限定期間かつ通常モードであり(S262のY)、事前判定結果とともに受信した保留数が演出モード強制移行に必要な回数以上の図柄変動が確保される保留数(例えば2)以上である場合に(S264のY)、先読み処理を実行する。具体的には、事前判定結果とともに受信した当否範囲、図柄範囲の情報にもとづいて、事前判定により設定された当否範囲の値が「1」で図柄範囲の値が「2」の場合、すなわち確変移行を伴う2R大当りの場合(S266のY)、強制移行フラグをオンにする(S272)。一方、事前判定結果がこれと異なる値であっても(S266のN)、当否範囲の値が「4」の場合、すなわち小当りの場合に(S268のY)、内部確変状態であれば(S270のY)、強制移行フラグをオンにする(S272)。内部確変状態でなく、すなわち内部通常状態で小当りが発生する場合(S270のN)、S272をスキップする。
【0159】
S268において当否範囲の値が該当しない場合は(S268のN)、S270以降をスキップする。保留数が所定数に満たない場合は(S264のN)、S266以降をスキップする。限定期間でなく、または限定期間において潜伏モードの場合は(S262のN)、S264以降をスキップする。事前判定処理の結果を受信していない場合は本図のフロー全体をスキップする(S260のN)。本図の例では、事前判定により設定された当否範囲と図柄範囲に基づいて強制移行フラグをオンに設定すべきか否かを決定する。なお、事前判定結果として送られる当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のいずれか、もしくは任意の組み合わせを用いて他の演出の有無を決定してもよいことはもちろんである。
【0160】
図21は、
図19におけるS252の特別図柄変動処理を詳細に示すフローチャートである。まだ図柄変動表示が開始されていない場合(S60のN)、保留制御手段116により当否抽選値の保留がなされている場合(S70のY)、当否抽選手段112が保留制御手段116から当否抽選値を読み出してあらためて特別図柄192の当否を判定し(S72)、図柄決定手段114が特別図柄192を決定し(S74)、変動パターン決定手段115が特別図柄192の変動パターンを決定し(S76)、決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板104へ送信して特別図柄192の図柄変動を開始する(S77)。保留制御手段116により抽選値の保留がなされていない場合はS72からS77までの処理をスキップする(S70のN)。
【0161】
すでに図柄変動表示が開始されている場合(S60のY)、特別図柄の図柄変動表示を処理し(S78)、所定の変動時間が経過して図柄表示の停止タイミングに達したときは(S80のY)、変動停止コマンドをサブ基板104へ送信して表示中の図柄変動をあらかじめ決定された停止図柄にて停止する(S82)。
【0162】
停止された図柄変動における変動パターンが特殊変動パターンテーブルを参照して決定されていた場合、すなわち限定期間において(S84のY)、変動回数計数手段128は、特殊変動回数をインクリメントしてメイン基板102の処理用RAMへ格納する(S86)。例えば、変動パターン決定手段115が図柄変動開始前に選択した変動パターンの識別情報が、特殊変動パターンテーブルにて定められたものか否かを判定することにより、図柄変動における変動パターンが特殊変動パターンテーブルを参照して決定されたものかを判定してもよい。そして変動パターン決定手段115は、変動パターンテーブル切替処理を実行する(S88)。特殊変動パターンテーブルが参照中でなければ、すなわち限定期間でなければ(S84のN)、S86およびS88をスキップする。図柄表示の停止タイミングに達していない場合はS82以降の処理をスキップして本図のフローを終了する(S80のN)。
【0163】
図22は、
図21におけるS88の変動パターン切替処理を詳細に示すフローチャートである。図柄変動が小当りまたは2R大当りを示す結果となって小当り遊技または2R特別遊技が終了した場合、すなわち特殊移行条件が成立した場合に(S350のY)、変動パターン決定手段115は、変動パターン決定時に参照すべき変動パターンテーブルを、通常の変動パターンテーブルから、限定期間に限り参照すべき特殊変動パターンテーブルへ切り替える(S352)。特殊移行条件が不成立であれば(S350のN)、S352をスキップする。特殊移行条件が成立後、31回の図柄変動が終了した場合、すなわち限定期間が終了した場合(S354のY)、変動パターン決定手段115は、参照すべき変動パターンテーブルを、特殊変動パターンテーブルから通常の変動パターンテーブルへ戻す(S356)。また変動回数計数手段128は、特殊変動回数をリセットし、すなわち初期値0に戻す(S358)。限定期間が継続する場合は(S354のN)、S356およびS358をスキップする。
【0164】
図23は、
図19におけるS254の装飾図柄変動処理を詳細に示すフローチャートである。サブ基板104の演出決定手段132がメイン基板102から変動開始コマンドを受信した場合(S280のY)、受信した特別図柄の停止図柄、変動パターン、当否判定結果に応じて装飾図柄の停止態様を決定し(S282)、新たな変動演出パターンを決定する(S284)。例えば、変動パターン決定手段115が、潜伏モード特殊変動パターンテーブルを参照して変動パターンを決定する場合、変動パターンとしてスーパーリーチに対応した時間値の変動パターンの選択確率が高まる。そのため、演出決定手段132がスーパーリーチの演出パターンを選択する確率も高まり、潜伏モード演出としてスーパーリーチ演出が表示されやすくなる。その一方、変動パターン決定手段115が、通常モード特殊変動パターンテーブルを参照して変動パターンを決定する場合、限定期間以外の遊技期間の場合と同様の時間値(変動時間)の変動パターンが選択されやすい。そのため、演出決定手段132が限定期間以外の遊技期間と同様の時間値(演出時間)の演出パターンを選択する確率も高まり、通常モード演出として限定期間以外の遊技期間と同様の内容の演出が表示されやすくなる。
【0165】
ここで限定期間中であれば(S286のY)、限定期間処理を実行する(S288)。限定期間でなければ(S286のN)、S288をスキップする。その後、装飾図柄の変動表示を開始するとともに予告演出が決定されているときは予告演出を開始する(S296)。例えば、演出表示制御手段134は、潜伏モードに制御中の予告演出として、演出回数計数手段156がカウントした限定演出回数にもとづく限定期間の残り期間を示す潜伏演出を表示させる。メイン基板102から変動開始コマンドを受信しなかった場合はS282からS296をスキップする(S280のN)。
【0166】
すでに装飾図柄の変動表示が開始済みであれば(S298のY)、その図柄変動や予告演出の表示処理を実行し(S300)、メイン基板102から変動停止コマンドを受信したときは(S302のY)、S282で決定された停止態様にて装飾図柄を停止表示させることで変動表示を停止する(S304)。演出履歴記憶手段157は、当該変動で表示された演出種別を記録することで演出履歴を更新し(S306)、モード制御手段150は、演出モードの移行処理を実行する(S308)。変動停止コマンドをメイン基板102から受信していないときはS304以降をスキップし(S302のN)、変動表示が開始済みでないときはS300以降をスキップする(S298のN)。
【0167】
図24は、
図23のS308の演出モード移行処理を詳細に示すフローチャートである。演出回数計数手段156は、限定演出回数をインクリメントしてサブ基板104の処理用RAMへ格納する(S360)。図柄変動が小当りまたは2R大当りを示す結果となって小当り遊技または2R特別遊技が終了し、すなわち特殊移行条件が成立し(S362のY)、かつ、その時点において限定期間の潜伏モードに制御中であった場合(S364のY)、モード制御手段150は、強制移行フラグがオンであれば(S366のY)、強制フラグをオフにする(S368)。強制移行フラグがオフであれば(S366のN)、S368をスキップする。そして限定演出回数をリセットすることなく潜伏モードを維持する(S372)。
【0168】
特殊移行条件成立時に、潜伏モードに制御中でない場合、すなわち限定期間でなく、もしくは通常モードに制御中の場合(S364のN)、モード制御手段150は限定演出回数を初期値0にリセットして(S370)、潜伏モードへ移行させる(S372)。特殊移行条件が不成立であっても(S362のN)、強制移行フラグがオンであれば(S374のY)、モード制御手段150は潜伏モードへ移行させる(S372)。強制移行フラグがオフであれば(S374のN)、S372をスキップし、潜伏モードへは移行させない。
【0169】
限定期間における図柄変動回数が規定回数に達して限定期間が終了すると(S376のY)、モード制御手段150は演出モードの制御を終了し(S378)、限定演出回数を初期値0へリセットする(S380)。限定期間が継続する場合は(S376のN)、S378およびS380をスキップする。
【0170】
図25は、
図23のS288の限定期間処理を詳細に示すフローチャートである。潜伏モードに制御中の場合(S390のY)、転落制御手段152は転落処理を実行し(S392)、通常モードに制御中の場合(S390のN)、復帰制御手段154は復帰処理を実行する(S394)。演出決定手段132は、演出モードが潜伏モードに制御されているか、通常モードに制御されているかに応じて、現在の演出モードに則した内容の予告演出を決定する(S398)。例えば、潜伏モードに制御中であれば、確変の可能性を示唆する内容の予告演出パターンを選択し、通常モードに制御中であれば、限定期間以外の遊技期間と同内容の予告演出パターンを選択する。
【0171】
限定期間における最後の図柄変動であり(S400のY)、内部確変状態の場合は(S402のY)、演出決定手段132は予告演出として確変報知演出を選択する(S404)。限定期間の最後の図柄変動でなく(S400のN)、または、内部通常状態の場合は(S402のN)、S404をスキップする。
【0172】
図26は、
図25のS392の転落処理を詳細に示すフローチャートである。強制移行フラグがオフで(S410のN)、限定期間開始からの図柄変動回数が転落規制閾値に達し、原則として転落を規制すべき期間(例えば図柄変動回数が10回に達するまでの期間であり、ここでは「転落規制期間」と呼ぶ。)を経過していれば(S412のN)、転落制御手段152は、転落抽選を実行する(S414)。転落抽選に当選した場合(S418のY)、転落制御手段152は演出モードを通常モードへ移行させる(S420)。転落抽選の結果が外れであれば(S418のN)、S420をスキップする。
【0173】
転落規制期間内であり(S412のY)、限定期間においてスーパーリーチ演出を表示していなければ(S416のN)、S414以降をスキップし、すなわち転落抽選を実行せずに潜伏モードを維持する。一方、限定期間においてスーパーリーチ演出を表示済みであれば(S416のY)、転落抽選を実行する(S414)。強制移行フラグがオンであれば(S410のY)、S412以降をスキップして、すなわち転落抽選を実行せずに潜伏モードを維持する。これにより、特殊保留による小当りまたは2R大当りが発生するまでは潜伏モードが維持されることになり、その小当りまたは2R大当り前後で演出内容(限定期間の残り期間)を引き継いだ場合に、遊技者に違和感を抱かせることを抑制できる。
【0174】
図27は、
図25のS394の復帰処理を詳細に示すフローチャートである。復帰制御手段154は、内部確変状態であり(S430のY)、潜伏モードでスーパーリーチを未表示であれば(S432のY)、復帰当選確率が最も高い高確率復帰抽選を実行する(S434)。また内部通常状態であれば(S430のN)、復帰当選確率が最も低い低確率復帰抽選を実行する。また内部確変状態であるが(S430のY)、潜伏モードでスーパーリーチを表示済みであれば(S432のN)、復帰当選確率が高確率復帰抽選より低い一方、低確率復帰抽選より高い、中程度の当選確率に設定された中確率復帰抽選を実行する(S436)。復帰抽選に当選した場合(S440のY)、復帰制御手段154は演出モードを潜伏モードへ移行させる(S442)。復帰抽選の結果が外れであれば(S440のN)、S442をスキップする。
【0175】
図28は、
図14におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が大当りであった場合(S90のY)、すでに特別遊技が開始済みであって(S92のY)、大入賞口66が開放済でなければ(S98のN)、大入賞口66の開放処理を実行する(S100)。このとき、設定された大当り演出の表示も開始する。大入賞口66が開放済みであれば(S98のY)、大入賞口66の閉鎖処理を実行する(S102)。その結果、大入賞口66が閉鎖状態になっていれば(S104のY)、S106へ移行する。閉鎖状態でなければ(S104のN)、S106以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S92において特別遊技が開始済みでない場合は(S92のN)、特別遊技を開始して(S94)、その開始デモ演出の表示を開始し(S96)、本処理を一旦終了する。
【0176】
S106においては、特別遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。なお、ここでいう「デモ演出」は、開始デモ演出および終了デモ演出を含む。デモ演出中でなければ(S106のN)、後述する終了フラグを参照して特別遊技終了条件が満たされるか否かを判定し(S110)、特別遊技終了条件が満たされていれば(S110のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S112)、終了デモ演出の表示を開始する(S114)。特別遊技終了条件が満たされていなければ(S110のN)、本処理を一旦終了する。S106にてデモ演出中であると判定され(S106のY)、終了デモ演出が終了した場合(S116のY)、特別遊技を終了し(S118)、特定遊技、すなわち確変、時短、および入球容易状態を開始する(S120)。終了デモ演出が終了していない場合は(S116のN)、S118およびS120の処理をスキップする。大当りでない場合は(S90のN)、本図のS92以降のフローをスキップする。
【0177】
図29は、
図28におけるS100の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の開放タイミングとなったとき(S122のY)、開閉制御手段124は、通過フラグを一律にオフにするとともに開閉パターンの動作を設定し(S124)、大入賞口66を開放させる(S126)。また、現在の単位遊技の繰り返し回数に対応した大当り演出、または繰り返し回数が異なる回数になることに対応した大当り演出を設定して開始する。開放タイミングでないときは(S122のN)、S124およびS126の処理をスキップする。
【0178】
図30は、
図28におけるS102の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の閉鎖タイミングとなったとき、開閉制御手段124は大入賞口66を閉鎖させる。すなわち、特別遊技中において、入球数による終了条件が満たされるか(S130のY)、入球数による終了条件が満たされなくとも(S130のN)、開放時間による終了条件が満たされれば(S132のY)、大入賞口66を閉鎖する(S134)。開放時間による終了条件も満たされなければ(S132のN)、S134以降のフローをスキップする。
【0179】
なお、15R大当りにおける入球数による終了条件は大入賞口66への10球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口66の開放開始から開閉パターンに沿った設定時間の経過である。15R大当りの場合は、その開放開始から30秒の経過であり、2R大当りの場合は、その開放開始から0.5秒の経過である。ただし、0.5秒の開放は極めて短いため、10球以上の入球はもちろん、入球そのものが困難である。その大入賞口の開放と同時に遊技球を打ち出したとしても入球困難であるため、大入賞口66の極短開放が行われる2R大当りについては、大入賞口66の開放前にその開放を予測して遊技球を打ち出す必要がある。一方、15R大当りにおける入球数による終了条件は大入賞口への10球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口66の開放開始から30秒の経過である。このとき、継続上限回数に達していれば(S136のY)、終了フラグをオンにする(S138)。継続上限回数に達していなければ(S136のN)、S138の処理をスキップする。本実施例においてこの継続上限回数は15回である。入球数による終了条件および開放時間による終了条件のいずれも満たされていなければ(S130のN,S132のN)、S134以降の処理をスキップする。
【0180】
図31は、
図14におけるS17の小当り遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が小当りであった場合(S150のY)、既に小当り遊技が開始済みであって(S152のY)、大入賞口66が開放済でなければ(S158のN)、大入賞口66の開放処理を実行し(S160)、開放済みであれば(S158のY)、大入賞口66の閉鎖処理を実行する(S162)。その結果、大入賞口66が閉鎖状態になっていれば(S164のY)、S166へ移行する。閉鎖状態でなければ(S164のN)、S166以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S152において小当り遊技が開始済みでない場合は(S152のN)、小当り遊技を開始して(S154)、2R大当りと同様の開始デモ演出の表示を開始し(S156)、本処理を一旦終了する。
【0181】
S166においては、小当り遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。デモ演出中でなければ(S166のN)、小当り遊技終了条件が満たされたか否かを判定する。ここでは、後述する終了フラグがオンになっていれば、小当り遊技終了条件が満たされることになる。小当り遊技終了条件が満たされていれば(S170のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S172)、終了デモ演出の表示を開始する(S174)。小当り遊技終了条件が満たされていなければ(S170のN)、本処理を一旦終了する。S166にてデモ演出中であると判定され(S166のY)、終了デモ演出が終了した場合(S176のY)、小当り遊技を終了する(S178)。終了デモ演出が終了していない場合は(S176のN)、S178の処理をスキップする。小当りでない場合は(S150のN)、本図のS152以降のフローをスキップする。
【0182】
図32は、
図31におけるS160の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の開放タイミングとなったとき(S180のY)、開閉制御手段124は、開閉パターンの動作を設定し(S182)、大入賞口66の開放を開始する(S184)。開放タイミングでないときは(S180のN)、S182およびS184の処理をスキップする。
【0183】
図33は、
図31におけるS162の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の終了タイミングとなったとき(S190のY)、終了フラグをオンにし(S192)、大入賞口66を閉鎖する(S194)。なお、この閉鎖タイミングは、大入賞口66の開放開始から0.5秒の経過したタイミングである。閉鎖タイミングでなければ(S190のN)、S192およびS194の処理をスキップする。
【0184】
本実施例のぱちんこ遊技機10によると、一度もスーパーリーチ演出が表示されずに早期に通常モードへ転落することを防止し、(1)大当り発生への期待感、(2)潜伏モード継続への期待感、の少なくとも一方を高めやすくなる。例えば、スーパーリーチ演出を表示すれば、内部確変を期待させ、そのまま大当りとなることへの期待感を高めることができる。また、転落規制閾値までは潜伏モードを継続させることで、潜伏モードの継続により確変が確定することへの期待感を高めることができる。すなわち、一度もスーパーリーチ演出が表示されずに早期に通常モードへ転落することによる、大当り発生への期待感と潜伏モード継続への期待感の両方を毀損してしまうことを回避して、遊技の興趣の低下を抑制する。なお、スーパーリーチ演出の表示後に、転落規制を解除することにより、限定期間における演出モード切替のランダム性を高め、言い換えれば、演出モード切替の単調化を抑制しやすくなる。
【0185】
また、潜伏モードにてスーパーリーチ演出がなされないまま通常モードへ転落した場合に、潜伏モードへ復帰しやすくする。これにより、遊技者の内部確変への期待感を高め、大当り発生への期待感および潜伏モード継続への期待感を高めることができる。例えば、期待度が高い演出が表示されない場合でも、潜伏モードの継続による確変確定に対する遊技者の期待感を高めることができる。また、先の潜伏モードにおいて大当り発生の期待感を十分に抱けなかった遊技者に対する救済措置を提供しやすくなる。
【0186】
また、限定期間における潜伏モード時に図柄変動パターンの決定基準となる潜伏モード特殊変動パターンテーブルでは、スーパーリーチ演出の選択確率を、潜伏モードの限定期間以外の遊技期間、すなわち通常モードの限定期間および限定期間以外の遊技期間における選択確率よりも高確率に定める。これにより、限定期間における潜伏モード時に、スーパーリーチ演出が選択されやすくなり、限定期間において遊技者の大当り発生への期待感を高めやすくなる。
【0187】
また本実施例のぱちんこ遊技機10によると、小当りまたは2R大当りが発生して、サブ基板104が潜伏演出を開始する際に、メイン基板102も変動パターンテーブルを特殊変動パターンテーブルへ切り替える。そして特殊変動パターンテーブルによる変動パターンの決定回数を計数しておく。すなわち本実施例では、特殊変動パターンテーブルを活用して、限定期間における図柄変動回数をメイン基板102でも計数する。電断復帰時には、電断発生時までにメイン基板102で計数し、電断中は不揮発メモリに退避された限定期間の変動回数をサブ基板104へ通知する。これにより、バックアップ手段を持たないサブ基板104側でも演出の復元を可能にし、サブ基板104のモード制御手段150は、限定期間で消化された変動回数に応じて適切に潜伏モードへ復帰させることができる。例えば、内部通常で潜伏モード滞在中に電断が発生しても、特殊変動回数に応じて、電断復帰時に潜伏モードへ制御し、電断復帰後も遊技者の期待感を高めることができる。
【0188】
また、演出決定手段132は、原則として、演出回数計数手段156により計数された演出回数に対応した演出を決定する一方、電断復帰時には、メイン基板102から通知された限定期間の変動回数に対応した演出を表示させる。これにより、電断復帰時にも、電断発生までの演出回数を引き継いだ内容の演出を表示させることができる。このように本実施例では、メイン基板102で特殊変動パターンテーブルを使用し、サブ基板104側と同期した状態を記録しておくことで、電断を挟んでサブ基板104の状態を復元可能にする。
【0189】
また、限定期間における通常モード時に図柄変動パターンの決定基準となる通常モード特殊変動パターンテーブルでは、通常の変動パターンテーブルと類似する内容を定める。これにより、限定期間における通常モード時に、限定期間以外の通常遊技と同様の外観の図柄変動および演出を表示させ、内部確変時にフェイク演出として通常モードに転落させたことを遊技者に気付かせにくくする。例えば、限定期間における通常モード時に、限定期間以外の通常遊技と異なる外観(表示内容、時間)の図柄変動や演出を表示させてしまうことで、フェイク演出であることが遊技者に気付かれ、遊技の興趣を損なってしまう(遊技者を興醒めさせてしまう)ことを回避できる。
【0190】
ところで、限定期間中における新たな特殊移行条件の成立を契機として、それまでの限定期間の消化状況を顧みることなく、新たな限定期間を開始することは、遊技者からの見かけ上、当初の限定期間が延長したことと同義となり、遊技者にとって酷となる。例えば、それまで限定期間を消化する中で高まってきた確変確定への期待感を大きく損ねてしまう。そこで、新たな特殊移行条件の成立前後において演出内容を引き継ぐことが考えられる。しかしながら、通常モードでの演出後、新たな特殊移行条件の成立後に、それまでの限定期間の消化状況を引き継いだ潜伏モード演出を表示させると、中途半端な長さの限定期間が突然表示されることになり、遊技者にとっては違和感のある演出となってしまうことが想定される。
【0191】
そこで本実施例のぱちんこ遊技機10では、限定期間において通常モードに滞在中、特殊保留の存在を先読みにより検出すると、特殊保留の変動前に潜伏モードへ強制的に移行させる。これにより、特殊保留の変動前後に潜伏モードの演出が維持されることになり、演出の外観上、遊技者に違和感を抱かせることを抑制できる。また、特殊保留の変動前後で演出内容(例えば限定期間の残り期間)を引き継ぐことにより、限定期間中での新たな特殊移行条件の成立時に、それまでの限定期間の消化状況を反映した演出を表示し、限定期間が実質的に延長されることを回避して、確変確定に対する遊技者の期待感を維持させることができる。なお、内部通常時に小当りが発生した場合は、演出上、潜伏モードに復帰させても最終的には遊技者も非確変を認識するところとなるため、強制復帰の対象外として、遊技者の期待感を煽ることを抑制する。以下変形例を示す。
【0192】
第1の変形例を説明する。
上記実施例では特殊移行条件が成立した場合に、変動パターン決定手段115は一律に、変動パターン決定基準を特殊変動パターンテーブルへ切り替えることとした。変形例として、小当りおよび2R大当りを示す特別図柄の種類(ここでは「小当り図柄」「2R大当り図柄」と呼ぶ。)が複数設けられ、変動パターン決定手段115は、特殊移行条件を成立させた小当り図柄または2R大当り図柄の種類に応じて、変動パターン決定基準を特殊変動パターンテーブルへ切り替え、もしくは通常の変動パターンテーブルを維持してもよい。そして、小当り図柄または2R大当り図柄が、特殊変動パターンテーブルへの切替と対応づけられた種類であった場合に、上記実施例と同様に、変動回数計数手段128による特殊変動回数の計数と、モード制御手段150による電断復帰時の演出モード制御を実行してもよい。
【0193】
またモード制御手段150は、内部通常(小当り契機の限定期間)の場合に、通常モードへ一旦転落した場合に再度潜伏モードへ復帰させる第1演出と、通常モードへ一旦転落すると再度潜伏モードへは復帰させない第2演出のいずれかを、特殊移行条件を成立させた小当り図柄の種類もしくは所定の抽選結果に応じて選択してもよい。例えば、第1演出を選択した場合は、通常モードへ転落後、
図27の復帰抽選を実行しつつ、予め定められた期間(変動回数)、通常モードに滞在すると、当選確率100%の復帰抽選を実行して、潜伏モードへ復帰させてもよい。また第2演出を選択した場合は、そもそも復帰抽選を実行せず、もしくは復帰抽選の結果にかかわらず常に復帰条件不成立と判定してもよい。この場合に、特殊移行条件を成立させた小当り図柄の種類が、特殊変動パターンテーブルへの切替と対応づけられた種類であった場合に第1演出を選択してもよい。そして電断復帰時には、メイン基板102から通知された特殊変動回数に応じてモード制御を実行してもよい。その一方、特殊移行条件を成立させた小当り図柄の種類が、通常の変動パターンテーブルを維持すべきものであった場合は、第2演出を選択してもよい。
【0194】
第2の変形例を説明する。
上記実施例では言及していないが、電断復帰時にモード制御を実施する有効期間(以下、「制御有効期間」と呼ぶ。)が予め定められ、モード制御手段150は制御有効期間を保持してもよい。モード制御手段150は、電断復帰の時点から制御有効期間が経過するまでに、所定の遊技動作、具体的には遊技者により遊技されていることを示す動作であり、例えば図柄変動開始がなされたことを条件として、演出モードを潜伏モードへ制御してもよい。そして、電断復帰の時点から制御有効期間が経過するまでに、所定の遊技動作が検出されない場合、モード制御手段150は、演出モードを潜伏モードへ制御することをスキップしてよい。そして演出決定手段132は、次回の図柄変動時に、遊技状態(確変状態か通常状態か)に応じた演出を表示させてよい。
【0195】
電断復帰時点から制御有効期間に所定の遊技動作(図柄変動等)がなされない場合は、次の動作時(図柄変動時等)には遊技者が変わっている蓋然性が高く、電断前の状態を引き継いだ演出を表示させると、却って遊技者に違和感を抱かせてしまうからである。本変形例では、電断復帰からの経過期間に応じて、電断前の状態を引き継いだ演出を表示させるか否かを切り替える。これにより、同じ遊技者の場合には期待感の毀損を抑制しやすくなり、異なる遊技者の場合には演出内容への違和感を抑制しやすくなる。
【0196】
第3の変形例を説明する。
上記実施例では、特殊保留先読みによる潜伏モードへの強制復帰において、内部通常時に小当りが発生した場合は、強制復帰の対象外とした。変形例として、この場合にも所定の確率で潜伏モードへ復帰させてもよい。これにより、限定期間内に大入賞口66の短期開放がなされて潜伏モードへ復帰した場合にも内部通常の可能性があるため、遊技者が大入賞口66の短期開放に気付いても、実際の遊技状態(確変状態か通常状態か)を判別することを困難なものにできる。ただし復帰確率は、内部確変時に小当りまたは2R大当りとなる場合および内部通常時に2R大当りとなる場合の復帰確率(実施例では100%)よりも低く設定されることが好ましく、例えば30%程度であってもよい。
【0197】
第4の変形例を説明する。
上記実施例では、限定期間において転落抽選および復帰抽選を実行し、その抽選結果により、潜伏モードと通常モードを切り替えることとした。変形例として、モード制御手段150は、限定期間における演出モードの切替シナリオデータを保持してもよい。切替シナリオデータは、例えば、何回目の図柄変動で転落させるか、何回目の図柄変動で復帰させるかを定めたデータであってもよい。転落制御手段152および復帰制御手段154は、限定期間での図柄変動回数(演出回数)と切替シナリオデータにしたがって、通常モードへ転落させ、また潜伏モードへ復帰させる。この態様によると、限定期間における演出モード切替のランダム性は低下するものの、特定の図柄変動回数に至った場合の、演出モード切替の確実性を向上することができる。
【0198】
第5の変形例を説明する。
上記実施例では、特殊移行条件の成立条件を、確変移行を伴わない小当りの発生、または、確変移行を伴う2R大当りの発生とした。ただし、特殊移行条件の成立条件はこれに限られず、当否抽選が、大入賞口66の開放を伴うが確変移行を伴わない結果(ここでは「第1結果」と呼ぶ。)となること、または、大入賞口66の開放と確変移行を伴う結果(ここでは「第2結果」と呼ぶ。)となることであればよい。例えば第1結果は、確変移行を伴わない15R大当り、2R大当り、小当りであってもよく、第2結果は、確変移行を伴う15R大当り、2R大当りであってもよい。
【0199】
上記実施例および変形例に記載の技術思想は、以下に付記する構成として表すこともできる。
【0200】
(付記1)
遊技領域が形成された遊技盤と、
上記遊技領域において遊技球が入球可能に設けられた始動口と、
上記始動口への入球を契機に当否抽選を実行する当否抽選手段と、
上記当否抽選の結果を示す図柄を決定する図柄決定手段と、
上記図柄決定手段により決定された上記図柄の変動が表示される図柄表示装置と、
上記図柄の変動時間が定められた変動パターンを決定する変動パターン決定手段と、
決定された上記変動パターンにしたがって上記図柄を上記図柄表示装置へ変動表示させる表示制御手段と、
所定個数を上限に上記当否抽選の結果をその当否抽選に対応する上記図柄の変動表示開始まで保留する保留制御手段と、
上記遊技領域の所定位置において開放可能に設けられた大入賞口と、
上記当否抽選の結果が、上記大入賞口が開放される特別遊技への移行を示す結果であった場合に、上記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
所定の特定遊技移行条件を満たした場合、上記当否抽選の結果が上記特別遊技への移行を示す結果となる確率が通常状態より高められる確率変動状態に上記特別遊技の終了後移行させる特定遊技実行手段と、
演出内容が定められた演出パターンを決定するとともに、図柄変動表示にあわせて、上記決定した演出パターンにしたがった演出を所定の演出表示装置に表示させる演出制御手段と、
事前判定手段と、
を備え、
上記演出制御手段は、上記演出表示装置に表示される演出のモードを、遊技状態が上記通常状態と上記確率変動状態の何れに制御されているかが外観上特定困難な特殊モードであり、上記確率変動状態に制御されていることの期待度が通常モードよりも高い特殊モードを含む複数種類のモードのうちの何れかに制御する手段であって、少なくとも特殊移行条件が成立したことに基づいて上記特殊モードに制御するモード制御手段を備え、
上記特殊移行条件は、上記当否抽選の結果が、上記大入賞口が開放されるが上記確率変動状態に非移行となる所定の第1の結果となった場合、又は、上記当否抽選の結果が、上記特別遊技へ移行し且つ上記確率変動状態に移行する所定の第2の結果となった場合に成立するものであり、
上記モード制御手段は、
上記特殊モードにおいて予め定められた転落条件が成立したときに、演出のモードを上記通常モードに制御する転落制御手段と、
上記転落制御手段により上記通常モードに制御された後に上記特殊移行条件とは異なる予め定められた復帰条件が成立したときに、演出のモードを上記特殊モードに制御する復帰制御手段と、
上記特殊移行条件が成立して上記特殊モードに制御された後の図柄変動実行回数を計数する実行回数計数手段と、を備え、
上記モード制御手段は、上記確率変動状態であれば、上記実行回数計数手段により計数された実行回数が所定回数以上となったときに上記特殊モードとなるよう演出のモードを制御することにより、上記確率変動状態であることを示唆し、
上記事前判定手段は、上記保留制御手段に保持された抽選結果の中に、上記特殊移行条件が成立する抽選結果である特殊保留が存在するか否かを事前判定し、
上記モード制御手段は、演出のモードを上記通常モードに制御しているとき、上記事前判定手段により上記特殊保留が検出された場合、上記特殊保留に対応する図柄変動表示が開始されるまでに、演出のモードを上記特殊モードへ移行させることを特徴とする弾球遊技機。
【0201】
(付記2)
上記演出制御手段は、上記特殊保留に基づいて上記特殊移行条件が成立した場合に、その成立前の上記特殊モードにおける演出内容を引き継いで、その成立後の上記特殊モードにおける演出内容を決定することを特徴とする付記1に記載の弾球遊技機。
【0202】
尚、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜組合せにより種々の発明を形成しても良いし、上記実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。更に、複数の実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせることも可能である。