特許第5754781号(P5754781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5754781携帯電話端末および携帯電話端末の通信状態遷移方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5754781
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】携帯電話端末および携帯電話端末の通信状態遷移方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/04 20090101AFI20150709BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20150709BHJP
【FI】
   H04W76/04
   H04W52/02 111
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-550780(P2012-550780)
(86)(22)【出願日】2011年11月17日
(86)【国際出願番号】JP2011076477
(87)【国際公開番号】WO2012090615
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2014年10月15日
(31)【優先権主張番号】特願2010-290591(P2010-290591)
(32)【優先日】2010年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310006855
【氏名又は名称】NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】唯木 高志
【審査官】 深津 始
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−166627(JP,A)
【文献】 Ericsson, ST-Ericsson,Clarifications on Fast Dormancy ,3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #67bis R2-095713,2009年10月 6日,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/wg2_rl2/TSGR2_67bis/Docs/R2-095713.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 −H04W 99/00
H04B 7/24 −H04B 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークとRRC接続している状況下でパケット通信が行われない状況が所定時間継続すると、当該ネットワークとの通信状態をパケットアイドル状態にする旨の遷移要求を前記ネットワークに送信する遷移要求機能を有する携帯電話端末であって、
前記携帯電話端末の通信履歴、前記携帯電話端末での送信電力値、または、前記携帯電話端末での受信電界値に基づいて、前記遷移要求機能を制御する制御手段を含む携帯電話端末。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記携帯電話端末が閲覧したWebページ毎に当該Webページが閲覧されている状況でのパケット通信の無通信時間を示した通信履歴情報を保持する記録手段と、
前記通信履歴情報に示されたWebページが再度閲覧されている状況では、前記通信履歴情報に示された、当該Webページについての無通信時間に基づいて、前記所定時間を設定する設定手段と、を含む請求項1に記載の携帯電話端末。
【請求項3】
前記ネットワークとの通信状態としては、前記パケットアイドル状態以外に、Cell−DCH状態、Cell−FACH状態、および、Cell−PCH状態があり、
前記制御手段は、
前記通信状態毎に当該通信状態でのパケット通信の無通信時間を示した通信履歴情報を保持する記録手段と、
前記通信履歴情報に示された通信状態毎の無通信時間に重み付けを行い、重み付けされた通信状態毎の無通信時間に基づいて前記所定時間を設定する設定手段と、を含む請求項1に記載の携帯電話端末。
【請求項4】
前記制御手段は、前記携帯電話端末での送信電力値、または、前記携帯電話端末での受信電界値に基づいて、前記所定時間を設定する、請求項1に記載の携帯電話端末。
【請求項5】
前記制御手段は、前記携帯電話端末での送信電力値、または、前記携帯電話端末での受信電界値に基づいて、前記遷移要求機能を実行するか否かを決定する、請求項1に記載の携帯電話端末。
【請求項6】
ネットワークとRRC接続している状況下でパケット通信が行われない状況が所定時間継続すると、当該ネットワークとの通信状態をパケットアイドル状態にする旨の遷移要求を前記ネットワークに送信する遷移要求機能を有する携帯電話端末での通信状態遷移方法であって、
前記携帯電話端末の通信履歴、前記携帯電話端末での送信電力値、または、前記携帯電話端末での受信電界値に基づいて、前記遷移要求機能を制御する、通信状態遷移方法。
【請求項7】
前記制御することは、
前記携帯電話端末が閲覧したWebページ毎に当該Webページが閲覧されている状況でのパケット通信の無通信時間を示した通信履歴情報を保持し、
前記通信履歴情報に示されたWebページが再度閲覧されている状況では、前記通信履歴情報に示された、当該Webページについての無通信時間に基づいて、前記所定時間を設定する、ことを含む請求項6に記載の通信状態遷移方法。
【請求項8】
前記ネットワークとの通信状態としては、前記パケットアイドル状態以外に、Cell−DCH状態、Cell−FACH状態、および、Cell−PCH状態があり、
前記制御することは、
前記通信状態毎に当該通信状態でのパケット通信の無通信時間を示した通信履歴情報を保持し、
前記通信履歴情報に示された通信状態毎の無通信時間に重み付けを行い、重み付けされた通信状態毎の無通信時間に基づいて前記所定時間を設定する、ことを含む請求項6に記載の通信状態遷移方法。
【請求項9】
前記制御することは、前記携帯電話端末での送信電力値、または、前記携帯電話端末での受信電界値に基づいて、前記所定時間を設定することを含む請求項6に記載の通信状態遷移方法。
【請求項10】
前記制御することは、前記携帯電話端末での送信電力値、または、前記携帯電話端末での受信電界値に基づいて、前記遷移要求機能を実行するか否かを決定することを含む請求項6に記載の通信状態遷移方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話端末および携帯電話端末の通信状態遷移方法に関し、特には、ネットワークとRRC(RadioResource Control)接続している状況下でパケット通信が行われない状況が所定時間継続すると、ネットワークとの通信状態をパケットアイドル状態にする旨の遷移要求をネットワークに送信する携帯電話端末および携帯電話端末の通信状態遷移方法に関する。
【背景技術】
【0002】
W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式でのパケット通信では、無線リソースを確保することが必要となる。このため、W−CDMA方式でのパケット通信では、通信データ量または収容数(ユーザ数)に応じて無線リソースを有効活用する目的で、Cell−DCH状態、Cell−FACH状態、Cell−PCH状態およびパケットidle(アイドル)状態などの複数の通信状態が存在している。
【0003】
Cell−DCH状態は、高速データ通信が可能な通信状態である。Cell−DCH状態では、ユーザ毎に個別に通信チャネルが割り当てられる。そして、Cell−DCH状態では、携帯電話端末側とネットワーク(以下「NW」と称する)側とで、常に上りおよび下りの通信チャネルが確保される。携帯電話端末は、上りおよび下りの通信チャネルを維持するために、常に通信を行う必要がある。このため、Cell−DCH状態では、携帯電話端末の消費電流は、他の通信状態に比べ大きくなる。
【0004】
Cell−FACH状態では、携帯電話端末は、上りおよび下りの通信チャネルのそれぞれを、他の携帯電話端末と共に使用する。Cell−FACH状態では、データ通信速度はCell−DCH状態に比べ遅くなる。しかしながら、Cell−FACH状態では、上りの通信チャネルを常時維持することは必要なく、必要な時にRACH(RandomAccessChannel)と呼ばれる上り通信チャネルが確立されればよい。このため、Cell−FACH状態では、Cell−DCH状態に比べ携帯電話端末での消費電流は小さくなる。但し、Cell−FACH状態でも下りの通信チャンネルは常に維持(受信)されている。
【0005】
Cell−PCH状態は、通信されるパケットデータがない場合に適用される通信状態である。Cell−PCH状態は、通信されるパケットデータが発生するまで維持されるスタンバイ状態である。Cell−PCH状態では、下り通信チャネルが間欠的に確立される。このため、Cell−PCH状態では、Cell−FACH状態と比較すると、消費電流は非常に小さくなる。
【0006】
Cell−PCH状態では、下り通信チャネルも間欠的に確立されるため、Cell−PCH状態は、後述するパケットidle状態と非常に似た通信状態になる。しかしながら、Cell−PCH状態では、携帯電話端末側とNW側とでRRCの接続が確立されている。このため、携帯電話端末は、特定の基地局と準通信状態となる。よって、Cell−PCH状態では、通信されるパケットデータが発生してパケット通信が再開される場合の呼接続処理、具体的にはCell−PCH状態からCell−DCH状態への通信状態の遷移が、パケットidle状態からCell−DCH状態への通信状態の遷移に比べ早いというメリットがある。
【0007】
パケットidle状態は、上述のRRC接続が切れた通信状態である。パケットidle状態では、携帯電話端末とNWとの間の無線リソースが解放されているが、パケット通信プロトコルであるPacket Data Protocol Context(以下PDP Context)は維持されている。このため、パケット通信の再開時には、PDP Contextの再確立を実行する処理は不要となり、RRC接続のみが行われることになる。よって、一度パケットidle状態に遷移した後にパケット通信が実行されるまでに要する処理時間は、パケット通信起動時と比較して、若干短くなる。
【0008】
NW側は、無線リソースを効率的に利用するために、上述した各通信状態を活用する。具体的には、NW側は、パラメータに基づいて、各携帯電話端末の通信状態を、より無線リソースを消費しない通信状態へ遷移させる仕組みを持っている。パラメータとしては、パケット通信のデータ量、または、パケット通信が無通信となっている時間などが用いられる。
【0009】
通常、パケット通信が開始されると、携帯電話端末は、Cell−DCH状態でパケット通信を行う。その後、NWが、パケット通信のデータ量の減少に応じて、携帯電話端末の通信状態を、Cell−FACH状態、Cell−PCH状態、パケットidle状態へと遷移していく。
【0010】
逆に、パケット通信のデータ量が増加した場合、NWは、パケット通信のデータ量または通信時間に応じて、携帯電話端末の通信状態を、これらの通信状態のいずれかに遷移していく。この場合、一般には、通信状態はCell−DCH状態に遷移される。
【0011】
通信状態を遷移させるパラメータであるパケット通信のデータ量および通信時間は、NW側の固有値であり、例えばエリア別に別々の値を使用することも可能である。
【0012】
上述したように一般には、通信状態の遷移はNWにて行われ、携帯電話端末が通信状態の遷移を制御することができない。このため、携帯電話端末は、パケット通信を実施していない場合であっても、消費電流が他の通信状態より大きい通信状態を維持しなければならない。つまり、消費電流削減のために、携帯電話端末が、携帯電話端末の通信状態を、より消費電流が低い通信状態へ遷移させて、消費電流を削減することができないという問題があった。
【0013】
特許文献1には、携帯電話端末が上記通信状態を変更可能である通信システムが記載されている。特許文献1に記載の通信システムでは、携帯電話端末が、過去の通信履歴に基づいて、Cell−DCH状態とCell−FACH状態との間の通信状態の遷移を制御する。
【0014】
一方で、携帯電話端末が通信状態の遷移を行うFast Dormancy機能が、3rd Generation Partnership Program(以下3GPP)にて策定されている。
【0015】
Fast Dormancy機能は、パケット通信データがない状態が一定時間続いた場合、携帯電話端末からNWへRRC接続解放(RRC接続のみ切断、PDP Contextは維持)の契機を通知するという機能である。
【0016】
本機能により、各通信状態から一気にパケットidle状態への遷移を、携帯電話端末が行うことが可能となる。このため、携帯電話端末の消費電流削減を考慮した通信状態遷移制御の実現が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2007−214711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
現状のFast Dormancy機能では、パケット通信がない状態が一定時間経過した後、通信状態がパケットidle状態に遷移される。このため、現状のFast Dormancy機能は、ユーザ毎にそれぞれ異なる通信環境および携帯電話端末の使用方法に配慮した動作となっていない。さらに、現状のFast Dormancy機能は、通信状態を一気にパケットidle状態へ遷移させるため、パケット通信再開時に再度RRC接続を行う必要がある。よって、パケットidle状態に遷移した後にパケット通信が再開されるまでの時間が、他の通信状態からパケット通信が再開されるまでの時間よりも長くなり、ユーザの使用状況によっては電流削減のメリット以上に操作性等が悪くなるというデメリットが目立ってしまうという問題がある。
【0019】
この観点からも、パケット通信がない状態が一定時間経過した場合に通信状態をパケットidle状態に遷移させる、現状策定されているFast Dormancy機能は、柔軟性に乏しく、よりユーザの使用環境または使用状況に適応したFast Dormancy機能が必要とされるという課題があった。
【0020】
本発明の目的は、上述した課題を解決可能な携帯電話端末および携帯電話端末の通信状態設定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の携帯電話端末は、ネットワークとRRC接続している状況下でパケット通信が行われない状況が所定時間継続すると、当該ネットワークとの通信状態をパケットアイドル状態にする旨の遷移要求を前記ネットワークに送信する遷移要求機能を有する携帯電話端末であって、前記携帯電話端末の通信履歴、前記携帯電話端末での送信電力値、または、前記携帯電話端末での受信電界値に基づいて、前記遷移要求機能を制御する制御手段を含む。
【0022】
本発明の通信状態遷移方法は、ネットワークとRRC接続している状況下でパケット通信が行われない状況が所定時間継続すると、当該ネットワークとの通信状態をパケットアイドル状態にする旨の遷移要求を前記ネットワークに送信する遷移要求機能を有する携帯電話端末での通信状態遷移方法であって、前記携帯電話端末の通信履歴、前記携帯電話端末での送信電力値、または、前記携帯電話端末での受信電界値に基づいて、前記遷移要求機能を制御する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ユーザの使用環境または使用状況に応じて、Fast Dormancy機能を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態の携帯電話端末を示したブロック図である。
図2】Webページ毎の無通信時間の記録方法を説明するためのフローチャートである。
図3】履歴情報の例を示した図である。
図4】Fast Dormancy起動タイマの補正方法を説明するためのフローチャートである。
図5】通信状態遷移の異なるNWエリアの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の携帯電話端末を示したブロック図である。
【0027】
図1において、携帯電話端末は、W−CDMA方式の携帯電話端末であり、ユーザインターフェース部101と、制御部102と、無線部107と、を含む。
【0028】
携帯電話端末は、Fast Dormancy機能を有する。携帯電話端末が有するFast Dormancy機能は、携帯電話端末がNWとRRC接続している状況下でパケット通信が行われない状況が所定時間(以下「タイマ値」と称する)継続すると、NWとの通信状態をパケットidle状態にする旨の遷移要求をNWに送信する機能である。Fast Dormancy機能は、一般的に遷移要求機能と呼ぶことができる。
【0029】
携帯電話端末は、通信状態として、Cell−DCH状態と、Cell−FACH状態と、Cell−PCH状態と、パケットidle状態と、を有する。
【0030】
ユーザインターフェース部101は、ユーザがパケット通信に関する操作およびサイト閲覧時のページ更新等の操作を行うための操作機能と、サイト閲覧情報等を表示させるための表示機能と、を有している。
【0031】
制御部102は、一般的に制御手段と呼ぶことができる。制御部102は、携帯電話端末の通信履歴、携帯電話端末での送信電力値、または、携帯電話端末での受信電界値に基づいて、Fast Dormancy機能を制御する。
【0032】
制御部102は、データ処理部103と、データ格納部104と、チャネル遷移判定部105と、通信制御部106と、を含む。
【0033】
データ処理部103は、パケット通信データの有無を判断し、その判断結果に基づいて無通信時間を記録する。本実施形態では、データ処理部103は、通信制御部106から通知される通信状態の遷移情報に基づき、無通信時間を通信状態毎に分別して記録する。
【0034】
データ格納部104は、データ処理部103が記録した情報を用いて履歴情報(通信履歴情報)を作成し、その履歴情報を格納する。
【0035】
データ処理部103とデータ格納部104は記録部108に含まれる。記録部108は、一般的に記録手段と呼ぶことができる。記録部108は、履歴情報を保持する。履歴情報は、携帯電話端末が閲覧したWebページ毎にそのWebページが閲覧されている状況でのパケット通信の無通信時間を示す。また、履歴情報は、通信状態毎にその通信状態でのパケット通信の無通信時間を示す。
【0036】
チャネル遷移判定部105は、一般的に設定手段と呼ぶことができる。チャネル遷移判定部105は、Fast Dormancy機能の動作(例えば、起動およびタイマ値)の制御を実行する。
【0037】
例えば、チャネル遷移判定部105は、履歴情報に示されたWebページが再度閲覧されている状況では、履歴情報に示されたそのWebページについての無通信時間に基づいてタイマ値を設定する。この場合、例えば、チャネル遷移判定部105は、Webページについての無通信時間が長いほどタイマ値を小さくする。
【0038】
また、チャネル遷移判定部105は、履歴情報に示された通信状態毎の無通信時間に重み付けを行い、重み付けされた通信状態毎の無通信時間に基づいてタイマ値を設定する。例えば、チャネル遷移判定部105は、重み付けされた通信状態毎の無通信時間の合計が大きいほどタイマ値を小さくする。
【0039】
また、チャネル遷移判定部105は、携帯電話端末での送信電力値、または、携帯電話端末での受信電界値に基づいて、タイマ値を設定する。例えば、チャネル遷移判定部105は、携帯電話端末での送信電力値が大きいほどタイマ値を小さくし、携帯電話端末での受信電界値が小さいほどタイマ値を小さくする。
【0040】
通信制御部106は、パケット通信を含む通信全般の制御を実行する。
【0041】
無線部107は、NWとの無線通信を実行する。
【0042】
本実施形態のW−CDMA方式の携帯電話端末は、パケット通信に関して、特にブラウザでの閲覧等で通信データが発生しない場合に、ユーザの置かれている無線環境または使用状況または使用履歴に応じて、自発的に無線リソースを解放する。このため、効率的に消費電流を削減することが可能になる。
【0043】
本実施形態のW−CDMA方式の携帯電話端末は、閲覧ページ毎の過去の無通信時間の履歴情報またはパケット通信中の送信電力などの情報を用いて、Fast Dormancy機能を起動するためのタイマ値を調整することで、よりユーザの使用環境または使用状況にあったFast Dormancy機能を実現する。
【0044】
例えば、ニュース記事のWebページは、一般的にユーザが閲覧している時間が長いため、該Webページを受信するパケット通信が完了してから、パケット通信が無通信になっている時間が長くなる。そのようなWebページを受信した場合は、該Webページ受信後、タイマ値を小さくして、Fast Dormancy機能を早めに起動させ、消費電流を削減することで、大きな省電効果を得ることが可能となる。
【0045】
またNWでの通信状態の遷移の制御によって携帯電話端末がCell−DCH状態を長く維持するような設定になっているエリアまたはフリンジエリアなど、通信時により大きな送信電力が必要となるエリアなどにおいても、Fast Dormancy機能の起動を早めることで、消費電流を削減し、大きな省電効果を得ることが可能となる。
【0046】
このように、ユーザの使用状況または使用環境に応じてFast Dormancy機能を起動するためのタイマ値を調整することで、携帯電話端末の操作性を損なうことなく、各ユーザに適した効率的な消費電流の削減が可能となる。
【0047】
次に、本実施形態の動作の概要を説明する。
【0048】
(1)ユーザ操作によりWebページの閲覧等が開始されると、携帯電話端末はCell−DCH状態でパケット通信を実施する。その後、パケット通信のデータ量またはパケット通信が無通信である時間などのパラメータに従って、NWにて通信状態の遷移が実施される。
【0049】
(2)Webサイトの閲覧等のパケット通信のデータ受信が完了すると、携帯電話端末(データ処理部103)は、パケット無通信状態になったと見なし、無通信時間の集計を開始する。この集計は、携帯電話端末の通信状態毎に記録される。例えば、記録途中で通信状態がCell−DCH状態からCell−FACH状態に遷移した場合は、Cell−DCH状態中の記録結果と、Cell−FACH状態中の記録結果とが、個別に管理される。
【0050】
(3)パケット通信が開始された後に一定時間パケット通信の再開がない場合、携帯電話端末(データ処理部103)は、上述した無通信時間の集計を、通信状態の遷移に応じ、Cell−DCH状態から順次記録していくが、ユーザ操作による別Webサイトの閲覧またはFast Dormancyの起動等により、通信状態が遷移した場合には、データ処理部103は無通信時間の集計を停止し、その集計結果を、携帯電話端末内に設けられたデータ格納部104に出力する。データ格納部104は、集計結果を格納する際、過去に該Webサイトにアクセスした履歴があり、既に格納されている過去に集計された無通信時間があった場合、新しい集計結果と過去の集計結果との平均値を算出し、その算出結果を格納する。
【0051】
(4)データ処理部103およびデータ格納部104による動作と並行して、携帯電話端末(チャネル遷移判定部105)は、現在、携帯電話端末が閲覧しているWebサイトに関し、過去に携帯電話端末が閲覧した履歴がない場合には、現在の送信電力値のみから、過去に携帯電話端末が閲覧した履歴がある場合には、過去に記録された該Webサイトの平均無通信時間及び現在の送信電力値から、Fast Dormancyを起動するためのタイマ値の補正量を算出する。携帯電話端末(チャネル遷移判定部105)は、タイマ値の補正量を用いてタイマ値を補正する。
【0052】
(5)携帯電話端末(チャネル遷移判定部105)は、パケット無通信状態と判断した時点から、補正後のタイマ値のカウントを開始する。なお、送信電力値は、携帯電話端末の消費電流に影響し、かつ通信中は常に変動しているため、チャネル遷移判定部105は、タイマ値をカウント中であっても、送信電力値によって、タイマ値を補正してもよい。
【0053】
(6)以降、パケット無通信状態のままタイマ値のカウントが満了した場合、携帯電話端末(チャネル遷移判定部105)はRRC接続の解放をNWへ通知し、通信状態をパケットidle状態へ遷移させる。タイマ値のカウントが満了する前に、ユーザ操作などによりパケット通信が再開され、携帯電話端末の通信状態がパケット無通信状態でなくなった場合は、チャネル遷移判定部105はタイマ値のカウントを停止する。
【0054】
(7)以降、ユーザ操作によりWebページの閲覧等が終了されるまで、上述の(2)〜(6)の動作が繰り返される。
【0055】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0056】
以下では、本実施形態の動作を、(A)閲覧されているWebページ毎の無通信時間の記録方法と、(B)Fast Dormancy起動用のタイマ値の補正方法と、に分けて説明する。
【0057】
(A)閲覧されているWebページ毎の無通信時間の記録方法
図2は、(A)閲覧されているWebページ毎の無通信時間の記録方法を説明するためのフローチャートである。
【0058】
ユーザがWebサイトの閲覧開始等の操作を行うと(ステップS201)、ユーザインターフェース部101は、データ処理部103へサイト情報(例えば、URL等)を通知する(ステップS202)。
【0059】
データ処理部103は、ユーザインターフェース部101からサイト情報を受け付けると(ステップS203)、そのサイト情報に基づき、閲覧されるWebサイトを把握するとともに、通信制御部106から現在の通信状態とパケット通信データ量を入手し(ステップS204、S205)、以降、それらを監視する(ステップS206)。
【0060】
データ処理部103は、監視しているパケット通信データ量に基づいて、パケット無通信状態になったと判断した場合(ステップS207)、無通信時間の記録を開始する(ステップS208)。無通信時間の記録中、NWにより通信状態が遷移した場合(ステップS209、S204)、データ処理部103は、遷移前の通信状態と遷移後の通信状態とについて別々に無通信時間を記録する。
【0061】
なお、本実施形態では、パケット無通信状態をデータ処理部103が監視する場合を例として挙げているが、パケット無通信状態の判断は、通信制御部106で行い、通信制御部106がパケット無通信状態と判断した時点で、通信制御部106がデータ処理部103へその旨を通知するようにしてもよい。
【0062】
パケット通信データ量が0パケットの場合をパケット無通信状態と判断することもできるし、上り/下りのパケット通信のそれぞれに閾値を設け、上り/下りのパケット通信データ量がその閾値を下回った時点でパケット無通信状態と判断することもできる。その他も含め、無通信状態の判断方法については本実施形態では制限しないものとする。
【0063】
その後、ユーザインターフェース部101から新たなサイト情報が通知された場合(ステップS210)、データ処理部103は、無通信時間の記録を停止し(ステップS211)、データ格納部104へWebサイト情報と各通信状態での無通信時間を通知する(ステップS212)。
【0064】
ここで、無通信時間の記録を停止する契機は、パケット通信データの発生、もしくはパケット通信データの発生に伴い通信状態が遷移した場合などである。なお、無通信時間の記録を開始する契機として、電波環境の悪化等でパケット通信が切断された場合が用いられてもよい。
【0065】
データ格納部104は、データ処理部103より通知されたWebサイト情報と自身に格納されている過去の履歴を照合する。
【0066】
Webサイト情報が示すサイトと同一サイトの履歴がある場合は(ステップS213)、データ格納部104は、過去の無通信時間と今回記録した無通信時間とから平均無通信時間を算出し(ステップS214)、格納されている無通信時間の履歴情報が示す過去の無通信時間を平均無通信時間に更新する(ステップS215)。
【0067】
同一サイトの履歴がない場合は(ステップS213)、データ格納部104は、今回の記録情報をそのまま履歴情報として格納する(ステップS215)。
【0068】
データ格納部104で格納される履歴情報の例を図3に示す。
【0069】
本実施形態では、格納される履歴情報には、サイト情報(例えばURL)と、各通信状態での無通信時間の平均値と、更新回数とが示される。
【0070】
しかしながら、過去の閲覧履歴との照合のためのパラメータと平均値計算のためのパラメータが含まれていれば、データ格納部104に格納する情報は、どのような形式であっても構わない。
【0071】
格納されている履歴情報にデータ処理部103より通知されたサイト情報があった場合の無通信時間の平均値Taveは、過去の履歴である無通信時間平均値Tave_old、更新回数N、今回の無通信時間Tnewより、以下のとおり算出される。
【0072】
Tave=(Tave_oldxN+Tnew)÷(N+1)
(B)Fast Dormancy起動用のタイマ値の補正方法
図4は、(B)Fast Dormancy起動用のタイマ値の補正方法を説明するためのフローチャートである。
【0073】
チャネル遷移判定部105は、ユーザインターフェース部101より通知されるWebサイト情報(例えば、URL等)(ステップS401、S402、S403)を元にデータ格納部104へ履歴情報の問い合わせを行い、当該Webサイトの閲覧の履歴情報があった場合は、各通信状態の平均無通信時間の情報を入手する(ステップS404)。
【0074】
当該Webサイトの閲覧の履歴情報があった場合(ステップS405)、チャネル遷移判定部105は、各通信状態の平均無通信時間の情報に基づいてFast Dormancyを起動するためのタイマ値の補正計算を実行する(ステップS406)。当該サイトの履歴情報がなかった場合(ステップS405)、チャネル遷移判定部105は、各通信状態の平均無通信時間の情報に基づく補正計算を実施しない。
【0075】
補正計算は、通信状態毎にパケット無通信の基準時間をそれぞれチャネル遷移判定部105に設けておき、履歴情報の平均無通信時間が該基準時間を上回った場合、チャネル遷移判定部105は、その増分に応じてタイマ値を補正する。
【0076】
ここで、補正前のタイマ値をTとする。
【0077】
また、各通信状態でのパケット無通信の基準時間を、Cell−DCH状態では「Db」、Cell−FACH状態では「Fb」、Cell−PCH状態では「Pb」、パケットidle状態では「Ib」とする。
【0078】
また、履歴情報の平均無通信時間を、Cell−DCH状態では「Da」、Cell−FACH状態では「Fa」、Cell−PCH状態は「Pa」、パケットidle状態は「Ia」とする。
【0079】
各通信状態において、履歴情報の平均無通信時間が基準時間を上回った場合、各通信状態において、履歴情報の平均無通信時間からパケット無通信の基準時間を差し引いた値である差分は、いずれの通信状態でも正の整数であって、
Cell−DCH状態:Dd=Da−Db、但しDd>0
Cell−FACH状態:Fd=Fa−Fb、但しFd>0
Cell−PCH状態:Pd=Pa−Pb、但しPd>0
パケットidle状態:Id=Ia−Ib、但しId>0
で算出される。
【0080】
次に、各通信状態の重み付け係数を、Cell−DCH状態では「Dk」、Cell−FACH状態では「Fk」、Cell−PCH状態では「Pk」、パケットidle状態では「Ik」とすると、タイマ値の補正値T1は、
T1=T×(1−Dk×Dd−Fk×Fd×−Pk×Pd−Ik×Id)
で算出される。なお、各重み付け係数は、チャネル遷移判定部105に格納されている。
【0081】
各通信状態で重み付け係数を用いている理由は、各通信状態で消費される電流量が異なるためである。Dk>Fk>Pk>Ikとなるように重み付けすることで、消費電流の削減効果に対する各通信状態の影響を補正値に反映することが可能となる。
【0082】
すなわち、同じ時間であれば、Cell−DCH状態の場合が最も携帯電話端末の消費電流が大きく、Cell−FACH状態、Cell−PCH状態と遷移するに従い消費電流が小さくなり、パケットidle状態が最も消費電流が小さくなるという関係を、補正値に反映している。
【0083】
また、チャネル遷移判定部105は、通信制御部106から通知される現在の通信状態および送信電力値を監視し(ステップS407、S408)、送信電力値からタイマ値の補正計算を行う(ステップS409)。
【0084】
補正値は、チャネル遷移判定部105が送信電力の平均値を計算し、その送信電力の平均値を、チャネル遷移判定部105に予め設定されている複数の送信電力閾値と比較することで算出される。なお、送信電力値によるタイマ値の補正は、通信状態がCell−DCH状態、及びCell−FACH状態であるときに実行される。
【0085】
例えば、チャネル遷移判定部105は、送信電力の平均値が大きくなるほどタイマ値が小さくなるように、タイマ値を補正する。
【0086】
通信状態がCell−DCH状態の場合は、携帯電話端末からの上り通信チャネルを用いた送信は常に維持されているため、補正値の算出は、送信電力値の一定時間における平均値に基づいて行われる。
【0087】
これに対し、Cell−FACH状態の場合、携帯電話端末からの上り通信チャネルを用いた送信は共通チャネル(RACH)を用いて離散的に行われるため、補正値の算出は、RACH送信のInitial Powerを一定回数で平均した平均値に基づいて行われる。
【0088】
なお、タイマ値TがステップS406で無通信時間に基づいて補正されている場合、チャネル遷移判定部105は、その補正値、すなわちT1に対して本補正を実施する。また本補正は、タイマ値をカウント中でも継続して実施し、タイマ値を随時更新するという動作にしても良い。
【0089】
続いて、チャネル遷移判定部105は、通信制御部106からパケット通信データ量の情報(ステップS410)に基づいて、図2のステップS207と同様に、パケット無通信状態になったと判断した場合(ステップS411)、補正したタイマ値のカウントを開始する(ステップS412)。
【0090】
タイマ値のカウントが満了した場合(ステップS413、S414)、チャネル遷移判定部105は、通信制御部106へNWへのRRC接続の解放通知を指示し(ステップS415)、タイマ値を初期値Tにリセットする(ステップS416)。
【0091】
また、タイマ値のカウントが満了する前に、ユーザインターフェース部101から新たなサイト情報が通知された場合(ステップS413)、チャネル遷移判定部105は、タイマ値のカウントを停止し(ステップS416)、ステップS403に移行する。
【0092】
タイマ値のカウントを停止する契機は、パケット通信データの発生、もしくはパケット通信データの発生により通信状態が遷移した場合(ステップS417、S407)としても良い。
【0093】
但し、その場合サイト情報は変更されていないためステップS406へ移行する。
【0094】
次に、本実施形態の効果を説明する。
【0095】
本実施形態によれば、閲覧ページ毎に無通信時間を記録することにより、ユーザの使用状況(嗜好)を把握することができ、その履歴情報を用いてFast Dormancyを起動するためのタイマ値を補正することにより、各ユーザの使用状況(嗜好)に合わせた効果的な省電動作および不要なチャネル遷移の抑制を実現できる。
【0096】
例えば、ユーザが頻繁に閲覧するページがあり、その閲覧時間も経験上長くなるページがあった場合、本実施形態により、そのページ閲覧中のタイマ値は通常より短く設定されるため、パケットidle状態への遷移をより早く行え、消費電流を削減することが可能である。
【0097】
これに対し、履歴情報に示された閲覧時間が短いページに関しては、タイマ値を短縮しないことで、RRC接続の不必要な解放を行わず、ユーザの操作性を確保することが可能になる。
【0098】
また、通信状態毎に無通信時間を記録し、その履歴情報および通信状態による係数の重み付けを用いてタイマ値を補正することで、ユーザの活動エリアに応じた効率的な省電動作の実現が可能になる。
【0099】
例えばNWにて行われる通信状態の遷移時間は、エリアにより異なる場合がある。その場合、同じ無通信時間であっても、その間に携帯電話端末にて消費する電流には大きな差分が生じる。
【0100】
図5に示したように、ケース(X)のような通信状態遷移になるNWエリアと、ケース(Y)のような通信状態遷移になるNWエリアとが存在する場合、携帯電話端末がCell−DCH状態を維持する時間については、ケース(Y)はケース(X)よりも長い。このため、パケット通信データの発生タイミング、並びに無通信時間が同じであったとしても、ケース(Y)は、ケース(X)よりも、より多くの電流を消費することになる。
【0101】
本実施形態では、Fast Dormancyを起動するためのタイマ値を補正する際、通信状態に応じて重み付けを行う。このため、同じ無通信時間であっても、ケース(Y)での補正幅が大きくなり、ケース(X)より早くパケットidle状態へ遷移させることが可能となる。
【0102】
ケース(Y)では電流消費量が大きいCell−DCH状態が長いため、パケットidle状態への遷移を早めることでより大きな省電効果が期待できる。
【0103】
送信電力値によりタイマ値を補正することで、各ユーザの使用環境に応じた消費電流の削減が可能である。
【0104】
例えば、受信電界が悪い弱電界環境では、送信電力値が大きくなるため、受信電界が良い強電界環境に比べて消費電流が非常に大きくなる。そのため、送信電力値が大きい場合は、より早くRRC接続を解放しパケットidle状態へ移行するように、タイマ値を小さくすることで、効率の良い消費電流の削減を実現することが可能となる。
【0105】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の携帯電話端末を説明する。なお、第2実施形態の携帯電話端末は、第1実施形態の携帯電話端末のチャネル遷移判定部105の動作を変えたものである。
【0106】
第2実施形態では、第1実施形態で説明した(B)Fast Dormancy起動用のタイマの補正方法において、チャネル遷移判定部105が、送信電力値ではなく、携帯電話端末での受信電界値に基づいて、タイマ値を補正する。例えば、チャネル遷移判定部105は、受信電界値が小さいほど、タイマ値が小さくなるように、タイマ値を補正する。
【0107】
第1実施形態では、通信状態が、Cell−DCH状態またはCell−FACH状態であるときのみ、タイマ値が補正されたが、受信電界値でFast Dormancy起動タイマを補正することにより、Cell−PCH状態時にもタイマ値を補正することが可能となる。
【0108】
本実施形態でも、第1実施形態と同じ効果が実現できる。
【0109】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を説明する。なお、第3実施形態の携帯電話端末は、第1実施形態の携帯電話端末のチャネル遷移判定部105の動作を変えたものである。
【0110】
第3実施形態では、第1実施形態で説明した(B)のFast Dormancy起動用のタイマの補正方法において、チャネル遷移判定部105が、送信電力値を、タイマ値の補正計算に使用するのではなく、Fast Dormancy機能を実行するか否かの判断材料として用いる。
【0111】
例えば、チャネル遷移判定部105は、送信電力値が閾値以下である状況ではFast Dormancy機能自体を実施しないという動きを行う。
【0112】
上述したように、Fast Dormancy機能は、消費電流削減の効果の反面、RRC再確立によるパケット通信の再開時間などユーザ操作性とのトレードオフとなる。このため、送信電力値が低く消費電流が許容できるレベルであれば、ユーザ操作性を考慮しRRC接続を解放しない方が良い場合がある。この場合も、送信電力値の代わりに受信電界値の情報を用いても良い。この場合、チャネル遷移判定部105は、受信電界値が閾値以上ではFast Dormancy機能自体を実施しないという動きを行う。
【0113】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を説明する。なお、第4実施形態の携帯電話端末は、第1実施形態の携帯電話端末のデータ格納部104およびチャネル遷移判定部105の動作を変えたものである。
【0114】
第4実施形態では、データ格納部104は、第1実施形態で説明した(A)の無通信時間の記録をWebページ毎には行わず、単に通信状態別の無通信時間の履歴情報を格納し、チャネル遷移判定部105は、この履歴情報をタイマ値の補正に活用する。この場合でもユーザ固有の履歴情報が格納されるため、各ユーザの使用状況にあった省電力動作が可能となる。
【0115】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を説明する。なお、第5実施形態の携帯電話端末は、第1実施形態の携帯電話端末のデータ格納部104およびチャネル遷移判定部105の動作を変えたものである。
【0116】
第5実施形態では、データ格納部104は、第1実施形態で説明した(A)の無通信時間の記録を通信状態別には行わず、単にWebページ別の無通信時間の履歴情報を格納し、チャネル遷移判定部105は、この履歴情報をタイマ値の補正に活用する。この場合でもユーザ固有の履歴情報が格納されるため、各ユーザの使用状況にあった省電力動作が可能となる。
【0117】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0118】
この出願は、2010年12月27日に出願された日本出願特願2010−290591を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0119】
101 ユーザインターフェース部
102 制御部
103 データ処理部
104 データ格納部
105 チャネル遷移判定部
106 通信制御部
107 無線部
108 記録部
図1
図2
図3
図4
図5