特許第5754805号(P5754805)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5754805
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150709BHJP
【FI】
   A63F7/02 326Z
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2011-138079(P2011-138079)
(22)【出願日】2011年6月22日
(65)【公開番号】特開2012-125544(P2012-125544A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2014年4月14日
(31)【優先権主張番号】特願2010-261985(P2010-261985)
(32)【優先日】2010年11月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390031783
【氏名又は名称】サミー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(72)【発明者】
【氏名】山田 陛史
【審査官】 下井 功介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−082648(JP,A)
【文献】 特開2001−161891(JP,A)
【文献】 特開2010−234025(JP,A)
【文献】 特開2005−040377(JP,A)
【文献】 特開2010−051506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子基板を内包する基板ケースを構成する第1ケース及び第2ケースと、
前記基板ケースを封止する封止部材と、を備え、
前記第1ケースには、前記封止部材を貫通させる貫通孔が形成され、
前記第2ケース側には、前記封止部材を挿入する挿入穴が配置され、
該封止部材は、
前記貫通孔を貫通して前記挿入穴に挿入される略円柱状の本体部と、
該本体部の上部側において突出形成されたフランジ部と、
該本体部から側方に向けて拡張可能な拡張部と、を有し、
前記フランジ部が前記貫通孔の入口近傍に係合し、かつ、前記拡張部が前記挿入穴内部に形成された係合凹部に係合することにより、前記第1ケースと前記第2ケースとの封止が実現され、
前記拡張部が、前記本体部から側方に向けて拡張する複数の拡張片を有しており、
前記本体部が、該拡張片を収納する収納部を有しており、かつ、
前記本体部が前記挿入穴に挿入された際に、該複数の拡張片が放射方向に拡張することにより前記係合凹部に係合する基板ケースユニットと、
該基板ケースユニット内に内包される前記電子基板と、
遊技媒体を用いた遊技を実現する遊技装置体と、
該遊技装置体を保持する遊技機枠と、を有し、
前記封止部材が、更に前記本体部から側方に向けて進退可能に突出する突出ピンを、前記複数の拡張片と別に有し、
該突出ピンは、突出状態で前記係合凹部に係合するように構成されており、かつ、
前記突出ピンと前記係合凹部との係合状態においては、前記拡張片と前記係合凹部とが係合しないように構成されている、遊技機。
【請求項2】
前記拡張部が、前記本体部と別体として構成され、かつ、
前記本体部における上部側と反対側の下部側に配置され、
前記下部側から前記上部側に向かうに従い、少なくとも一部の前記拡張片の拡張幅が拡大している、請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記本体部の一部と前記拡張部の一部とが、前記下部近傍において結合されることにより前記本体部からの前記拡張部の脱落を防止している、請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記第2ケースに、該第2ケースと別体として構成された係合部材が設置され、
該係合部材に、前記係合凹部が形成された前記挿入穴が開口されている、請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に係り、特に、不正防止効果の高い遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機においては、弾球された遊技球が遊技領域(遊技盤面又はその近傍に形成された領域であって、遊技球の流下による遊技や演出を実現するための領域。)を流下して、その流下の過程で遊技球が遊技領域内の遊技釘や風車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技領域上に配置された各種入賞口に遊技球が入賞すれば所定の賞球の払出しがされ、一方いずれの入賞口にも入賞せずアウト口に遊技球が流入すれば賞球の払出しはされない。遊技者は、弾球における自らの技量を発揮して、又は遊技球の流下における偶然性を利用しつつ遊技球の入賞及び賞球の払出しを期待し、遊技を楽しむのである。
【0003】
このようなパチンコ機においては、年々遊技の態様や演出が複雑化・多様化してきており、それに伴い遊技機の動作や演出を制御するための電子回路基板の構造や機能も複雑化・多様化してきている。このような電子基板に対して不正な破壊や改造が行われると、遊技が適正に行われなかったり、一部の不正な遊技者に対して不当な利益が付与されてしまったりするおそれがある。そのため、電子基板を基板ケースによって内包し、外部からアクセスし難く構成している。
【0004】
このように基板ケースによって電子基板を内包することにより、電子基板へ不正アクセスをし難くすることができる。また、一般的に電子基板を内包する基板ケースは、本体ケースと蓋ケースとによって構成されており、内包する電子回路基板の実装面を透視し得るように蓋ケースを透明な材質によって構成している。
【0005】
そして、本体ケースと蓋ケースとは、いわゆるカシメ部材と呼ばれる封止部材によって開放(分離)不可能に封止されている。カシメ部材は、本体ケースと蓋ケースとに跨るように不可逆的に(すなわち、取り外し不可能に)設置される。カシメ部材で、一旦本体ケースと蓋ケースとを封止すると、その後は、カシメ部材を破壊するか、基板ケースを破壊しないと両ケースの開放ができない。そのため、万一、両ケースが開放されて電子基板に対して不正行為が行われると、その電子基板がたとえ元の位置に戻されていたとしても、カシメ部材や基板ケースに破壊の痕跡が残り、開放されたことの履歴が発見できるようになっている。
【0006】
例えば、特許文献1には、本体2と蓋3とをロックピン16によって封止する構造が開示されている。また、特許文献2には、封止ピン37の封止用係合部46が第1ケース体14のピン係止部35に係合されて、第1ケース体14と第2ケース体16とが封止される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−47402号公報
【特許文献2】特開平11−239650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、近年においては、基板ケースの不正開放はより巧妙に行われる。例えば、基板ケースにドリル等の不正工具を用いて穴を開け、その穴から針金等の工具を挿入してカシメ部材と基板ケースとの係合を解除し、カシメ部材を基板ケースから引き抜いて基板ケースを不正開放することが行われる場合がある。しかしながら、本来的には、基板ケースに不正に穴を開けたとしても、カシメ部材が基板ケースから引き抜けないようになっていることが好ましい。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、封止部材に対する不正行為を行い難くし、効果的に基板ケースに対する不正行為を予防することのできる基板ケースユニット及び遊技機を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての基板ケースユニットは、協働して電子基板を内包する基板ケースを構成する第1ケース及び第2ケースと、第1ケースと第2ケースとを実質的に分離不可能に封止する封止部材と、を備えた基板ケースユニットであって、第1ケースには、封止部材を貫通させる貫通孔が形成され、第2ケース側には、封止部材を挿入する挿入穴が配置され、封止部材は、貫通孔を貫通して挿入穴に挿入される略円柱状の本体部と、本体部の上部側において突出形成されたフランジ部と、本体部から側方に向けて拡張可能な拡張部と、を有し、フランジ部が貫通孔の入口近傍に係合し、かつ、拡張部が挿入穴内部に形成された係合凹部に係合することにより、第1ケースと第2ケースとの封止が実現され、拡張部が、本体部から側方に向けて拡張する複数の拡張片を有しており、かつ、本体部が挿入穴に挿入された際に、複数の拡張片が放射方向に拡張することにより係合凹部に係合する。
【0011】
拡張部が複数の拡張片を有しており、本体部が挿入穴に挿入された際に、それらが放射方向に拡張して係合凹部に係合するので、本体部周りの複数箇所で拡張片と係合凹部とが係合することとなる。したがって、1箇所の拡張片の係合を解除したとしても残りの拡張片が係合しているので、封止部材の基板ケースからの取り外しを非常に困難なものとすることができる。
【0012】
例えば、基板ケースに不正に穴を開けて拡張片を押し込んで係合を解除しようとする場合、封止部材を取り外すためには、本体部の全周に亘って複数箇所に穴を開けて同時的に拡張片を押し込む必要があり、実質的にその不正行為を不可能とすることができる。したがって、封止部材を不正に取り外して基板ケースを不正に開放(分離)する行為を効果的に予防することができ、ひいては基板ケース内の電子基板に対する不正な改造や交換を防止することができる。
【0013】
ここで、典型的には、封止部材は金属製であり、本体部は円柱形状である。もちろん、本体部は円柱形状以外の、例えば四角注形状や六角柱形状であっても問題はない。フランジ部は、本体部より大径の円盤部であって、第1ケースに係合する部分である。本体部から側方に向けて拡張する拡張片は、例えば、側方(すなわち、本体部の長手方向に直交する方向。)に向けて突出する突出片であってもよいし、弾性を有して側方に向けて撓む樹脂片であってもよいし、バネ鋼等の金属材料で形成されて側方に向けて撓む板バネ片であってもよい。複数の拡張片が放射方向に拡張する、とは、上記の突出片、樹脂片、板バネ片等が本体部から放射方向に、すなわち各々異なる方向に向けて突出することを意味する。
【0014】
拡張部が、本体部と別体として構成され、略円筒形状を呈してその円筒側面の一部が長手方向に沿って分離されていることによりその内径の拡縮が可能とされ、その中空内部に本体部が挿入可能とされており、かつ、円筒側面に長手方向に沿って形成された複数のスリットによって各々独立して弾性変形することにより拡張する複数の拡張片が構成されていてもよい。
【0015】
拡張部が本体部と別体として構成されているので、封止部材の本体部側を簡単な構造及び形状で形成することができる。そして、その別体とされた拡張部の径が拡縮可能とされているので、本体部を中空内部に挿入する際にもその挿入作業が簡単であり、また、本体部の径が多少バラついても適切にフィットする。
【0016】
拡張片が本体部に複数のスリットを形成することにより構成されているので、拡張片の形成が非常に簡易である。また、拡張部が樹脂やバネ鋼による弾性を有していれば、封止部材を貫通孔に通過させるときの径の縮小と、挿入穴内で例えば花弁状に弾性変形することにより拡張する際の径の拡大とを、塑性変形や損傷を伴うことなく繰り返し行うことができる。
【0017】
本体部の周面には、段差を介して小径とされた小径部と、その小径部の両側に小径部よりも大径とされた大径部とが形成されており、小径部の長手方向寸法は拡張部の長手方向寸法以上であり、大径部と小径部との段差寸法は円筒側面における拡張部の厚さ寸法以上であり、大径部の一部と拡張部の一部とが噛み合うことにより本体部に対する拡張部の回転が規制されていてもよい。
【0018】
本体部の小径部に拡張部が収納されるので、大径部に合わせて形成した貫通孔に、拡張部を取り付けた本体部を円滑に通過させることができる。そして、貫通孔を通過した後に、挿入穴内において拡張片が拡張し、確実な封止を実現する。なお、大径部の一部と拡張部の一部とが噛み合うような回転規制構造を有していれば、本体部に対して不用意に拡張部が中心軸周りに回転してしまうことが防止される。
【0019】
本発明の他の例示的側面としての遊技機は、遊技媒体を用いた遊技を実現する遊技装置体と、遊技装置体を保持する遊技機枠と、上記の基板ケースユニットと、基板ケースユニット内に内包される電子基板と、を有する。
【0020】
この遊技機によれば、基板ケースの不正開放が予防され、基板ケース内の電子基板への不正アクセスが予防されるので、電子基板に不正な改造が行われることにより、遊技者が不正に利益を得たり、遊技機ホール側が不測の不利益を被る虞が低減する。したがって、安全かつ安心な遊技提供に資することができる。ここで、遊技機としては、典型的にはパチンコ機であるが、もちろん電子基板を使用する種々の遊技機、例えばパチスロ機、スロットマシン、アーケードゲーム機等を概念することができる。
【0021】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡単な構成で基板ケースの不正開放を従来より一層効果的に予防し、ひいては基板ケース内の電子基板に対する不正な改造、交換等のアクセスを予防することができる。したがって、遊技者の不正な利益、ホール側の不測の不利益を防止し、安全かつ安心な遊技提供に資する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態1に係るパチンコ機の正面図である。
図2図1に示すパチンコ機の背面図である。
図3】主制御基板ケースの正面図である。
図4】主制御基板ケースの分解斜視図である。
図5図4に示す封止部材の分解図である。
図6図5に示す本体部に拡張部を取り付けた状態の封止部材の断面図である。
図7】本発明の変形例に係る封止部材の外観斜視図である。
図8】実施形態2に係る基板ケースユニットを有するパチンコ機の背面図である。
図9図8に示す基板ケースユニットの分解斜視図である。
図10図9に示す封止部材の分解図である。
図11図9に示す主制御基板ケースに封止部材を取り付けた状態を示す断面図である。
図12】実施形態3に係る封止部材の分解図である。
図13】主制御基板ケースに図12に示す封止部材を取り付けた状態を示す断面図である。
図14】変形例2に係る封止部材の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[実施形態1]
以下、本発明の実施形態1について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る基板ケースユニットを有する遊技機としてのパチンコ機2の正面図であり、図2は、図1に示すパチンコ機2の背面図である。このパチンコ機2は、遊技機枠3、遊技盤ユニット5、ガラス10、発射ユニット(不図示)、球皿14を有している。発射ユニットは、遊技盤ユニット5に構成される遊技領域16に向けて1球ずつ遊技球23を発射可能である。
【0025】
パチンコ機2は、遊技者が後述する発射装置ハンドル15を操作することによって、遊技領域16に向けて遊技球が発射ユニットによって発射され、遊技球の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機、スロットマシン、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体を用いた遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。
【0026】
なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施形態1においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技については後述する。
【0027】
パチンコ機2の遊技機枠3は、後述する遊技盤ユニット(遊技装置体)5を保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲側面及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。遊技機枠3の内部側には、遊技盤ユニット5の他にも後述する各種制御基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、遊技機枠3によって周囲側面及び前方又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
【0028】
パチンコ機2の周囲を囲む外枠4、その内側にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニット5を保持する前枠9、前枠9の前方にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されガラス10及びその周囲を装飾する装飾部材32を保持するガラス枠12、を有して遊技機枠3が構成される。なお、ガラス10は、遊技機枠3内部側に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。遊技機枠は、遊技盤ユニット5を保持する前枠9と、後述する主制御基板ケース(基板ケース)35と、を備えている。
【0029】
ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。ガラス10は、2枚の透明平板ガラスで形成されてガラス枠12の裏面側に保持され、遊技盤6との間に遊技球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者がガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないようにする不正アクセス防止機能、を発揮する。
【0030】
球皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施形態1においては上球皿14aと下球皿14bとを有している。上球皿14aは、球抜き部材14cを有して遊技盤6の下方、すなわちガラス枠12の下方部分に配置され、下球皿14bは、その上球皿14aの更に下方に配置されている。
【0031】
発射ユニットは、球送り装置(不図示)によって球皿14の一部としての上球皿14aから発射位置に送り出された遊技球23を遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニットは、例えば発射位置の遊技球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、前枠9に取り付けられている。その発射ユニットによる球発射のため、遊技者の操作に基づいて球発射のオンオフ及びその発射強度調整を実現する発射装置ハンドル15がパチンコ機2の前面下方に設けられている。
【0032】
遊技盤ユニット5は、遊技盤面6a側の略中央に遊技役物としてのセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘27も配置されている。センター役物7の中央部には、画像表示手段としての演出表示装置7aが配置されると共に、この演出表示装置7aの表示部7bを露出させるための表示開口部7dが形成されている。
【0033】
遊技盤6は、その表面側に遊技球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤6を前方から遊技者にとって視認可能となるように遊技機枠3(本実施形態1においては、遊技機枠3の一部としての前枠9。)に保持されている。その遊技盤6の表面には略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の外レール26aが遊技盤に対して立設するように配置されている。そして、レール飾り26の外レール26aによって画定され、外レール26aに面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
【0034】
遊技釘27は、遊技領域16を流下する遊技球23と衝突してその流下方向を変更させる流下変更部材であり、遊技領域16内に多数配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、始動入賞口29、大入賞口31等の入球部材及びアウト口30が配置されている。更に、遊技領域16には、ゲート33、風車25等が配置されており、流下する遊技球23が各入球部材に流入したり、ゲート33を通過したり、風車25を回転させたりすることによって、遊技球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
【0035】
センター役物7は、演出表示装置7aの周囲を覆うように構成されており、図柄変動遊技(1種遊技)を実現するものである。センター役物7の上部には、図柄表示手段としての第1図柄(特別図柄)表示装置17が配置されると共に、センター役物7の中央部には、演出表示装置7aが配置されている。
【0036】
第1図柄(特別図柄)表示装置17には、抽選手段の抽選結果である第1図柄の変動が表示される。第1図柄は、始動入賞口29への遊技球23の入球を契機として実行される第1抽選の結果に対応した図柄である。第1図柄の変動表示が所定の当選態様で停止することにより第1特別遊技としての大当りが発生する。
【0037】
演出表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示部7b上に映像表示を行うものである。この演出表示装置7aの表示部7bには、第1図柄に連動する第1装飾図柄の表示がなされる。第1装飾図柄は、第1抽選手段の抽選結果を視覚的に演出するための図柄であり、第1の遊技に対応する。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示部7b上に表示されるようになっている。演出表示装置7aには、遊技制御手段としての演出制御基板が中継基板を介して電気的に接続されており、演出制御基板によって画像表示が制御される。
【0038】
図2に示すように遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の全体の制御を行う電子基板としての主制御基板34を内包する主制御基板ケース35と、演出表示装置7aの画像表示等演出の制御等を行う演出制御基板(図示せず)を収容した演出制御基板ケース36と、賞球の払出しを制御する払出制御基板(図示せず)を収容した払出制御基板ケース37と、電源基板(図示せず)を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。
【0039】
図示しない球発射装置により遊技球23が発射されると、遊技球23はレール飾り26の外レール26aに沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、遊技球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、あるものはレール飾り26の外レール26aに沿って右側に移動し、あるものは遊技釘27に衝突しつつ遊技領域16内を下方に流下し、あるものは普通入賞口28に流入して一定数の賞球の払出し契機となり、あるものはいずれの入球装置にも流入せずに遊技領域16内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
【0040】
図柄変動遊技中に遊技球23が始動入賞口29に流入すると、その流入に起因して演出表示装置7aの表示図柄7cが回転表示(第1の特別遊技の抽選)を開始し、その表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当り(第1の特別遊技。以下、図柄変動大当りという。)が発生する。そして、大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の賞球が球皿14へと払い出されるようになっている。
【0041】
次いで、主制御基板34及びこの主制御基板34を内包する主制御基板ケース35について図3及び図4を用いて詳細に説明する。以下の説明においては、上下及び前後左右の方向は、遊技者からパチンコ機2を見た際の方向に基づいて定義し、図中に適宜図示する。なお、本実施形態1では、主制御基板34及び主制御基板ケース35について例示して説明するが、他の制御基板ケースについても同様の構造を採用することが可能である。
【0042】
図3は、主制御基板34を収容した主制御基板ケース35の正面図であり、図4は、主制御基板34及び主制御基板ケース35の分解斜視図である。
【0043】
主制御基板ケース35は、遊技盤の裏面に装着される本体ケース(第1ケース、基板ケースの一部)35aと、本体ケース35aに対して着脱自在に固定される蓋ケース(第2ケース、基板ケースの一部)35bとの2つの基板ケースを有し、これら両者が協働して主制御基板34を内部に内包する。主制御基板34は、蓋ケース35bの内面側に形成された開口部に固定されて、蓋ケース35bと本体ケース35aとが係合することにより、主制御基板ケース35の内部に収容されるようになっている。この収容された状態では、主制御基板34に対して外部から接触することはできない。
【0044】
主制御基板34は、板状の基板34aと、基板34aの表面(ここでいう表面は、パチンコ機2を正面から視認した状態において後面側となる。)34dに実装された電子部品と、を備えている。電子部品は、ROM、RAM、CPU等の集積回路34bと、接続コネクタ34cと、を有して構成されている。
【0045】
主制御基板34の周囲には、蓋ケースに固定するための固定穴34fが形成されている。主制御基板34の後側から固定穴34fに固定ネジを挿入して、この固定ネジと蓋ケース35bのネジ穴(図示せず)とをネジ止めすることにより、主制御基板34が蓋ケース35b内に固定されるようになっている。
【0046】
図4に示す主制御基板ケース35の下側部には、ヒンジ部が設けられている。ヒンジ部は、本体ケース35aの下側壁面に沿った軸部(図示せず)と、この軸部に係止される円弧状の弧状爪部35eと、を有して構成され、軸部は蓋ケース35bに形成され、弧状爪部35eは本体ケース35aに形成されている。蓋ケース35bは本体ケース35aに対して軸部を中心として揺動可能に支持されており、蓋ケース35bが本体ケース35aに対して回転移動することより、主制御基板ケース35の開口部を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを実現する。
【0047】
<封止部材の構造>
主制御基板ケース35の上側部には、封止部41が形成されている。封止部41は、本体ケース35aに形成された貫通孔42と、蓋ケース35bに形成された挿入穴43とに封止部材44が取り付けられて構成される(図6も参照)。この封止部材44と本体ケース35aと蓋ケース35bとを有して基板ケースユニット45が構成される。
【0048】
図5は、封止部材44の分解図である。この封止部材44は、本体部44aとフランジ部44bとを有しており、その本体部44aに対して別体とされた拡張部46が取り付けられて構成されている。本体部44aとフランジ部44bとは、本実施形態1においては一体で形成されている。本体部44a及びフランジ部44bは、大略円柱形状を呈する金属部材である。本体部44aの上部に本体部よりも大径とされたフランジ部44bが形成されている。
【0049】
本体部44aには、段差を介して小径とされた小径部47が形成されており、その小径部の両側には段差を介して小径部よりも大径とされた大径部48が形成されている。本体部44aは拡張部46の中空内部に挿入されて、この小径部47の周囲に巻き付けられるように拡張部46が取り付けられる。
【0050】
拡張部46は、本実施形態1においてはバネ鋼で形成されているが、樹脂で形成されてもよい。略円筒形状を呈しており、その円筒側面の一部が長手方向に沿って分離された分離部46aとされており、この分離部46aの存在によって、拡張部46の内径が拡縮可能とされている。そのため、若干分離部46aを押し広げながら本体部44aを挿入し、挿入後は、拡張部46のバネ性によって内径が縮小して、拡張部46は小径部47に密着する。
【0051】
図6は、本体部44aに拡張部46を取り付けた状態の封止部材44の断面図である。拡張部46は、拡張片49がフランジ部44b側に向けて開く(拡張する)ように取り付けられる。小径部47の長手方向寸法H1は、拡張部46の高さ寸法(長手方向寸法)H2以上とされている。したがって、拡張部46が大径部48にまでかかってしまうことなく長手方向において小径部47内に収まる。そして大径部48と小径部47との段差寸法D1は、拡張部46の厚さ寸法D2以上とされている。したがって、拡張片49が閉じた状態(図6における二点鎖線)においては、拡張部46の厚さを含めた本体部44aの外形寸法は、大径部48における寸法以下である。貫通孔42は、大径部48が挿入可能な寸法となっているので、小径部47に取り付けた拡張片49の貫通孔42を通過することができる。
【0052】
拡張片49は、拡張部46の円筒側面に長手方向(高さ方向)に沿って形成された複数のスリット52によって各々独立して弾性変形するように複数形成される。スリット52は、拡張部46の高さ方向における途中位置(略中央)まで形成され、その部分から複数の拡張片49が各々放射方向に切り起こされている。この拡張片49が複数の放射方向において実質的に封止機能を発揮する。
【0053】
また、大径部48の一部に長手方向の突出する突出部48aが形成され、拡張部46の一部であって、突出部48aに対応する位置に部分的に切り欠かれた切欠き部46bが形成されている。この切欠き部46bと突出部48aとが噛み合うことにより、本体部44aに対する拡張部46の回転が規制されている。したがって、本体部44aに対して拡張部46、すなわち拡張片49が不用意にクルクル回ってしまうことがない。
【0054】
<封止部材の取付け手順>
本体ケース35aと蓋ケース35bとを閉鎖した状態とすると、貫通孔42に対応して挿入穴43が配置される。その貫通孔42に封止部材44の本体部44aを通過させる。本体部44aの通過に伴って、拡張片49が貫通孔42入口に当接するが、本体部44aを押し込むことによって、拡張片49がその弾性によって閉じ(縮小し)、貫通孔42を通過する。
【0055】
拡張片49が閉じた状態で、拡張部46は本体部44aと共に貫通孔42から挿入穴43へと移動する。挿入穴43内部には、係合溝(係合凹部)43aが形成されている。この係合溝43aは、貫通孔42の直径よりも大径であって挿入穴43の内壁周面に沿って形成された溝であり、拡張片49の放射方向への拡張を許容する。
【0056】
拡張部46が貫通孔42を通過して挿入穴43内部の係合溝43aに到達すると、拡張片49はその弾性に基づき係合溝43a内部で花弁状に弾性変形して放射状に拡張する。その結果、拡張片49の上端部49aが係合溝43a内の上面43bに係合し、主制御基板ケース35の封止が実現される。複数の拡張片49が様々な方向(放射方向)に向けて拡張し、係合溝43aの上面43bに係合しているので、この複数の拡張片49のすべてを縮小方向に同時に移動させて封止部材44を取り外すことが実質的に不可能とされている。
【0057】
[変形例]
図7は、本発明の変形例に係る封止部材44の外観斜視図である。この封止部材44は、本体部44aとフランジ部44bとを有しており、本体部44aから四方向に向けて進退可能な突出ピン50が突出配置されている。突出ピン50はバネ等の付勢部材によって本体部44a内部から放射方向に突出しており、外側から手で押さえ込めば本体部44a内に退避可能である。
【0058】
突出ピン50の下側にはテーパ面51が形成されている。このテーパ面51が貫通孔42の入口部分を斜めに受けることにより、本体部44aを貫通孔42に挿入するに従い、自然と突出ピン50が本体部44a内に退避するようになっている。そして、突出ピン50が挿入穴43内部の係合溝43aに到達すると放射方向に突出し、封止部材44と蓋ケース35bとの係合が実現する。
【0059】
[実施形態2]
図8図11を用いて、実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付し、その説明を省略する。図8は、実施形態2に係る基板ケースユニット65を有するパチンコ機62の背面図である。図9は、基板ケースユニット65の分解斜視図である。基板ケースユニット65は、封止部材71、主制御基板ケース66を有して大略構成され、その主制御基板ケース66は、本体ケース(第1ケース)66aと蓋ケース(第2ケース)66bとを有している。なお、この実施形態2に係るパチンコ機62においては、遊技盤の裏面に蓋ケース66bが装着され、その蓋ケース66bに対して本体ケース66aが遊技機後面側から取り付けられるようになっている。
【0060】
この実施形態2においては、蓋ケース66bに主制御基板34をネジで締結する。そして、蓋ケース66bに対し本体ケース66aを右方向(図8,9において方向矢印で示す右方向であって、パチンコ機62における右方向)にずらした状態で後方から被せるように主制御基板34を収納する。その後、本体ケース66aを左方向にスライド移動させると、蓋ケース66bの係合フック67が本体ケース66aの係合穴68に係合し、両ケース66a,66bが閉鎖される。
【0061】
スライド移動後に、本体ケース66aに開口形成された貫通孔42と蓋ケース66b側に配置された挿入穴70とに封止部材71が挿入される。図10は、封止部材71の分解図である。図11は、図9に示す主制御基板ケース66に封止部材71を取り付けた状態を示す断面図である。
【0062】
<封止部材の構造>
主制御基板ケース66の上側部には、封止部74が形成されている。封止部74は、本体ケース66aに貫通孔42が開口形成され、蓋ケース66bに受け穴75が開口形成されてその受け穴75内に受け部材(係合部材)76が挿入され、貫通孔42から受け部材76の挿入穴70にかけて封止部材71が取り付けられて構成される。この封止部材71と本体ケース66aと蓋ケース66bとを有して基板ケースユニット65が構成される。
【0063】
封止部材71は、本体部72とフランジ部78とを有しており、その本体部72に対して別体とされた拡張部73が取り付けられて構成されている。本体部72とフランジ部78とは、本実施形態2においては一体で形成されている。
【0064】
本体部72及びフランジ部78は、大略円柱形状を呈して望ましくは鉄、真鍮等の金属部材で構成されており、その高強度により破断や変形に対して高い耐性を有している。したがって、本体部72を不正に破壊したり加工したりすることが困難となっている。本体部72の上部側(図10における矢印X側)に本体部72よりも大径とされたフランジ部78が形成されている。そして、フランジ部78は、本体ケース66aの貫通孔42に挿入され係合されるようになっている。
【0065】
本体部72の下方(−X方向)側に、段差を介して小径とされた小径部72aが形成されており、その小径部の周面72bに、周方向に沿って凹設された周溝72cが形成されている。この周溝72cに、後述する拡張部73側の屈曲部73aが係合するようになっている。
【0066】
拡張部73は、本実施形態2においてはバネ鋼で形成されているが、樹脂で形成されてもよい。拡張部73は、展開状態において、略六角形状平板とされた底部73bから放射方向に6つの拡張片73cが延設されており、大略雪結晶様の形状とされている。その6つの拡張片73cを略60°〜85°程度の角度に切り起こし、更に6つの拡張片73cのうちの2〜3つの拡張片73cの先端を内側に屈曲させて屈曲部73aとしている。
【0067】
拡張部73を、その底部73bを下方として本体部72の下部側から挿入すると、屈曲部73aが本体部72の下部側に形成されたテーパ部72eに沿って広げられ、周溝72cに係合するようになっている。したがって、挿入された拡張部73は、本体部72から取外し不能となる。
【0068】
例えば、フランジ部78の直径φ1=16mm、本体部の大径部72dの直径φ2=10mm、小径部72aの直径φ3=9mm、周溝における直径φ4=6mmである。このとき、例えば、拡張片73c(屈曲部73aのないもの)のX方向長さL1=5.5mm、複数の拡張片73c(屈曲部73aのないもの)の先端部が構成する仮想円の直径φ5=13mm、拡張片73c(屈曲部73aのあるもの)のX方向長さL2=5.0mm、屈曲部73aが構成する仮想円の直径φ6=6.5mmである。
【0069】
φ4<φ6<φ3となっているので、屈曲部73aは周溝72cに確実に係合され、かつその状態で本体部72に対して拡張部73が回転可能とされている。また、その係合状態において、拡張片73cを本体部72に沿うように折り畳んだ場合、拡張片73cは小径部72a内に収容可能とされる。すなわち、拡張片73cの先端は小径部72aと大径部72dとの間の段差部に到達せず、かつ拡張片73cの厚さは、大径部72dと小径部72aとの半径差以下とされている。
【0070】
拡張部73は、バネ鋼で形成されているので弾性を有している。本体部72と拡張部73との係合状態で、拡張片73cは、下部側(−X側)から上部側(X側)に向かうに従い拡張幅が放射方向に広がるようになっている。封止部材71を貫通孔42に挿入する際には、拡張片73cはその弾性によって本体部72に沿うように折り畳まれ、小径部72aに収容される。そして、挿入完了後には、拡張片73cはその弾性により挿入穴70内部で放射方向に拡張する。
【0071】
蓋ケース66bの受け穴75には受け部材76が挿入されている。本実施形態2においては、受け部材76は、蓋ケース66bと別体の部材であり、押え部材79によって蓋ケース66bに対して取外しが不可能又は困難に設置されている。蓋ケース66bに対する設置を実現する手段としては、図示しない係合手段や締結手段等であってもよい。
【0072】
受け部材76には、挿入穴70が開口形成されている。挿入穴70は、封止部材71が挿入された際に、拡張片73cが係合される穴である。図11に示すように、挿入穴70は、小径部70aと大径部(係合凹部)70bとを有している。小径部70aは、挿入穴70の入口近傍に配置され、貫通孔42と略同径とされている。小径部70aは、封止部材71の本体部72及び折り畳まれた拡張部73の通過を許容するが、拡張状態の拡張片73cの通過を阻止する。
【0073】
大径部70bは、小径部70aに続く奥側に配置され、小径部70aよりも大径とされている。小径部70aを通過した折り畳み状態の拡張片73cは、この大径部70bにおいて拡張が許容される。拡張状態の拡張片73cの先端部73dは、小径部70aよりも大径状態となっている。したがって、封止部材71を引き抜こうとしても、先端部73dは、上面70cに当接して小径部70aを通過することができず、封止部材71の引き抜きは不可能である。拡張片73cが拡張した結果、封止部材71は、フランジ部78と拡張片73cとにより、本体ケース66aと蓋ケース66bとを開放不能に封止する。
【0074】
なお、挿入穴70においては、例えば、φ2<小径部70aの直径φ7=貫通孔42の直径=11mm<φ3、φ7<大径部70bの直径φ8=15mmである。
【0075】
<封止部材の取付け手順>
封止部材71の取付け手順については、実施形態1と略同様であるので詳細な説明は省略する。すなわち、本体ケース66aと蓋ケース66bとを閉鎖した状態とし、封止部材71をその底部73b側から貫通孔42に挿入する。挿入が完了すると、拡張片73cが挿入穴70の大径部70b内で放射方向に拡張し、拡張状態となる。この拡張状態では、封止部材71が本体ケース66aと蓋ケース66bとを開放不可能に封止するので、内部に収容された主制御基板34に不正にアクセスすることができない。
【0076】
[実施形態3]
図12図13を用いて、実施形態3について説明する。なお、実施形態2と同様の構成については、同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
本体ケース66aに開口形成された貫通孔42と蓋ケース66b側に配置された挿入穴70とに封止部材81が挿入される。図12は、封止部材81の分解図である。図13は、主制御基板ケース66に封止部材81を取り付けた状態を示す断面図である。
【0078】
<封止部材の構造>
封止部材81と本体ケース66aと蓋ケース66bとを有して基板ケースユニット77が構成される。
【0079】
封止部材81の基本的な構造は、実施形態2における封止部材71の構造に近似している。実施形態2における封止部材71と異なる点として、封止部材81は、突出ピン82、収容部83、カシメ部84を有している点を列挙できる。また、本体部81aは、実施形態2における小径部70aに相当する小径とされた部分を有していない。
【0080】
突出ピン82は、本体部81aから側方(放射方向)に向けて進退可能に突出している。バネ等の付勢部材(不図示)によって突出方向(側方、放射方向)に向けて付勢されており、側方から本体部81aの円柱中心軸に向けて押し込むと、本体部81a内に退避可能とされている。
【0081】
収容部83は、拡張片73cを収容するためのものである。本実施形態3においては、収容部83は、本体部81aの周面85上に円柱中心軸方向に沿って凹設された4本の縦溝である。実施形態3における拡張部73は、4つの拡張片73cを有している。4つの拡張片73cは、屈曲部を有していない。
【0082】
4つの収容部83は、4つの拡張片73cに対応する位置に配置されており、拡張部73を本体部81aに取り付けた状態において、拡張片73cを本体部81aに沿うように折り畳むと、拡張片73cは収容部83内に収容される。そのため、封止部材81を本体ケース66aの貫通孔42に挿入する際、本体部81aの直径と略同径とされた貫通孔42を、本体部81a及び拡張片73cは通過することができる。
【0083】
拡張部73の底部73bには、小判形状のカシメ孔73eが開口され、本体部81aの下部側にカシメ凸部72fが突出形成されている。これらカシメ孔73eとカシメ凸部73fとを有してカシメ部84が構成される。
【0084】
カシメ凸部72fはカシメ孔73eに対応する位置に突出形成されている。カシメ凸部72fの外形形状は、カシメ孔73eに対応して小判形状とされている。カシメ孔73eにカシメ凸部72fを挿入して両者をカシメ結合することにより、本体部81aと拡張部73とが高強度に結合される。また、カシメ孔73eとカシメ凸部72fとが小判形状とされているので、本体部81aに対する拡張部73の位置決めが容易となる。その結果、収容部83に対する拡張片73cの正確な位置決めも容易となる。
【0085】
実施形態3における受け部材76は、実施形態2における受け部材76と略同様である。突出ピン82を本体部81a内に退避させつつ本体ケース66a側の貫通孔42を通して受け部材76の挿入穴70に封止部材81を挿入すると、拡張片73cが収容部83内に収容されつつ本体部81aが貫通孔42を通過する。挿入が完了すると、挿入穴70の大径部70b内で拡張片73cが放射方向に拡張する。更に、突出ピン82が大径部70b内で側方に突出する。これにより、本体ケース66aと蓋ケース66bとが封止部材81によって開放不能に封止される。
【0086】
ここで、図13に示すように、封止部材81を引き抜き方向(X方向)に引っ張ったときに、突出ピン82が大径部70bの上面70cと係合する位置Pは、突出ピン82がないとしたときに拡張片73cが上面70cと係合すべき位置(すなわち、先端部73d)よりもフランジ部78側に位置している。
【0087】
すなわち、突出ピン82と上面70cとの係合状態では、拡張片73cと上面70cとが係合しないように構成されている。したがって、封止部材81に引き抜き方向の外力が加わった場合には、まず突出ピン82と上面70cとの係合によりその引き抜きが強固に阻止されるようになっている。
【0088】
そして、万一、突出ピン82に破損や不具合が生じて上面70cとの係合ができなくなってしまった場合、又は、不正行為により突出ピン82と上面70cとの係合が解除された場合、今度は、4つの拡張片73cが上面70cと係合することにより、封止部材81の引き抜きが阻止されるようになっている。係合が二重に機能しており、1つの係合が解除されても2つ目の係合が主制御基板ケース66の開放を阻止するので、主制御基板34への不正アクセスが一層強固に防止される。
【0089】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【0090】
例えば、上記実施形態2の封止部材71においては、本体部72の周溝72cに対して拡張部73の屈曲部73aが係合され、本体部72に対して拡張部73が周方向に回転可能とされている。
【0091】
しかしながら、例えば、図14にその変形例2を示すように、拡張部73の底部73bにカシメ孔73eが開口され、本体部72の下部側の対応位置にカシメ凸部72fが突出形成され、カシメ孔73eにカシメ凸部72fを挿入した後に両者をカシメ結合してもよい。周溝72cと屈曲部73aとの係合に加え、カシメ孔73eとカシメ凸部72fとによるカシメ結合がされるので、本体部72と拡張部73との結合がより一層高強度となる。万一、屈曲部73aが周溝72cから脱落することがあっても、カシメ結合によって両者の分離が阻止される。
【0092】
また、本体部72と拡張部73とのカシメ結合により、本体部72に対して拡張部73を周方向に回転不可とすることもできる。
【0093】
なお、本発明は、以下の内容をも、その趣旨に含める。
【0094】
(1)電子基板を内包する基板ケースを構成する第1ケース及び第2ケースと、
前記基板ケースを封止する封止部材と、を備え、
前記第1ケースには、前記封止部材を貫通させる貫通孔が形成され、
前記第2ケース側には、前記封止部材を挿入する挿入穴が配置され、
該封止部材は、
前記貫通孔を貫通して前記挿入穴に挿入される略円柱状の本体部と、
該本体部の上部側において突出形成されたフランジ部と、
該本体部から側方に向けて拡張可能な拡張部と、を有し、
前記フランジ部が前記貫通孔の入口近傍に係合し、かつ、前記拡張部が前記挿入穴内部に形成された係合凹部に係合することにより、前記第1ケースと前記第2ケースとの封止が実現され、
前記拡張部が、前記本体部から側方に向けて拡張する複数の拡張片を有しており、かつ、
前記本体部が前記挿入穴に挿入された際に、該複数の拡張片が放射方向に拡張することにより前記係合凹部に係合する基板ケースユニットと、
該基板ケースユニット内に内包される前記電子基板と、
遊技媒体を用いた遊技を実現する遊技装置体と、
該遊技装置体を保持する遊技機枠と、を有する遊技機。
【0095】
(2)前記拡張部が、前記本体部と別体として構成され、かつ、
前記本体部における上部側と反対側の下部側に配置され、
前記下部側から前記上部側に向かうに従い、少なくとも一部の前記拡張片の拡張幅が拡大している、上記(1)に記載の遊技機。
【0096】
(3)前記本体部の周面には、周方向に沿って周溝が凹設され、かつ、
前記拡張片の少なくとも一部が、前記周溝と係合することにより前記本体部からの前記拡張部の脱落を防止している、上記(2)に記載の遊技機。
【0097】
(4)前記本体部の一部と前記拡張部の一部とが、前記下部近傍において結合されることにより前記本体部からの前記拡張部の脱落を防止している、上記(2)又は(3)に記載の遊技機。
【0098】
(5)前記第2ケースに、該第2ケースと別体として構成された係合部材が設置され、
該係合部材に、前記係合凹部が形成された前記挿入穴が開口されている、上記(1)から(4)のうちいずれかに記載の遊技機。
【0099】
本発明は、更に以下の内容をも、その趣旨に含める。
【0100】
(6)電子基板を内包する基板ケースを構成する第1ケース及び第2ケースと、
前記基板ケースを封止する封止部材と、を備え、
前記第1ケースには、前記封止部材を貫通させる貫通孔が形成され、
前記第2ケース側には、前記封止部材を挿入する挿入穴が配置され、
該封止部材は、
前記貫通孔を貫通して前記挿入穴に挿入される略円柱状の本体部と、
該本体部の上部側において突出形成されたフランジ部と、
該本体部から側方に向けて拡張可能な拡張部と、を有し、
前記フランジ部が前記貫通孔の入口近傍に係合し、かつ、前記拡張部が前記挿入穴内部に形成された係合凹部に係合することにより、前記第1ケースと前記第2ケースとの封止が実現され、
前記拡張部が、前記本体部から側方に向けて拡張する複数の拡張片を有しており、
前記本体部が、該拡張片を収納する収納部を有しており、かつ、
前記本体部が前記挿入穴に挿入された際に、該複数の拡張片が放射方向に拡張することにより前記係合凹部に係合する基板ケースユニットと、
該基板ケースユニット内に内包される前記電子基板と、
遊技媒体を用いた遊技を実現する遊技装置体と、
該遊技装置体を保持する遊技機枠と、を有する遊技機。
【0101】
(7)前記封止部材が、前記本体部から側方に向けて進退可能に突出する突出ピンを、前記複数の拡張片と別に有し、
該突出ピンは、突出状態で前記係合凹部に係合するように構成されており、かつ、
前記突出ピンと前記係合凹部との係合状態においては、前記拡張片と前記係合凹部とが係合しないように構成されている、上記(6)に記載の遊技機。
【0102】
(8)前記拡張部が、前記本体部と別体として構成され、かつ、
前記本体部における上部側と反対側の下部側に配置され、
前記下部側から前記上部側に向かうに従い、少なくとも一部の前記拡張片の拡張幅が拡大している、上記(6)に記載の遊技機。
【0103】
(9)前記本体部の一部と前記拡張部の一部とが、前記下部近傍において結合されることにより前記本体部からの前記拡張部の脱落を防止している、上記(7)又は(8)に記載の遊技機。
【0104】
(10)前記第2ケースに、該第2ケースと別体として構成された係合部材が設置され、
該係合部材に、前記係合凹部が形成された前記挿入穴が開口されている、上記(6)から(9)のうちいずれかに記載の遊技機。
【符号の説明】
【0105】
H1,H2:長手方向寸法
D1:段差寸法
D2:厚さ寸法
P:位置
X:矢印(方向)
2,62:パチンコ機(遊技機)
3:遊技機枠
4:外枠
5:遊技盤ユニット(遊技装置体)
6:遊技盤
6a:遊技盤面
7:センター役物
7a:演出表示装置
7b:表示部
7c:表示図柄
7d:表示開口部
9:前枠
10:ガラス
12:ガラス枠
14:球皿
14a:上球皿
14b:下球皿
14c:球抜き部材
15:発射装置ハンドル
16:遊技領域
17:第1図柄(特別図柄)表示装置
22:ヒンジ
23:遊技球
25:風車
26:レール飾り
26a:外レール
27:遊技釘
28:普通入賞口
29:始動入賞口
30:アウト口
31:大入賞口
32:装飾部材
33:ゲート
34:主制御基板(電子基板)
34a:基板
34b:集積回路
34c:接続コネクタ
34d:表面
34f:固定穴
35,66:主制御基板ケース(基板ケース)
35a,66a:本体ケース(第1ケース、基板ケースの一部)
35b,66b:蓋ケース(第2ケース、基板ケースの一部)
35e:弧状爪部
36:演出制御基板ケース
37:払出制御基板ケース
38:電源基板ケース
39:外部出力端子板
41,74:封止部
42:貫通孔
43,70:挿入穴
43a:係合溝(係合凹部)
43b,70c:上面
44,71,81:封止部材
44a,72,81a:本体部
44b,78:フランジ部
45,65,77:基板ケースユニット
46,73:拡張部
46a:分離部
46b:切欠き部
47,72a:小径部
48,72d:大径部
48a:突出部(大径部の一部)
49,73c:拡張片
49a:上端部
50:突出ピン
51:テーパ面
52:スリット
67:係合フック
68:係合穴
70a:小径部
70b:大径部(係合凹部)
72b,85:周面
72c:周溝
72e:テーパ部
72f:カシメ凸部
73a:屈曲部
73b:底部
73d:先端部
73e:カシメ孔
75:受け穴
76:受け部材(係合部材)
79:押え部材
82:突出ピン
83:収容部
84:カシメ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図12
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