(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1次側キャパシタンスが、電流制御スイッチの第1の寄生キャパシタンスを含み、前記2次側キャパシタンスが、前記2次スイッチング素子電圧を有する2次スイッチング素子の第2の寄生キャパシタンスを含む、請求項1に記載の方法。
(i)前記1次側キャパシタンスが、前記第1の寄生キャパシタンスと、前記電流制御スイッチの両端に接続されているのと電子的に等価なように前記DC−DCコンバータに接続された第1の少なくとも1つのコンデンサの第1の実効キャパシタンスとを含み、
(ii)前記2次側キャパシタンスが、前記第2の寄生キャパシタンスと、前記2次スイッチング素子の両端に接続されているのと電子的に等価なように前記DC−DCコンバータに接続された第2の少なくとも1つのコンデンサの第2の実効キャパシタンスとを含む、請求項2に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0017]
図1は、本発明の1つ又は複数の実施形態による、無損失コミュテーションのために構成された電力変換システム100のブロック図である。電力変換システム100は、DC電圧源102、及びDC−DCコンバータ104を備える。直流電圧源102は、直流電圧を供給するための、先行変換段からの出力、バッテリ、又は再生可能エネルギー源(例えば、ソーラパネル、風力タービン、水力発電システム、若しくは類似の再生可能エネルギー源)などの任意の適切な直流源とすることができる。DC−DCコンバータ104は、
図1に示すようなDC−DC電力変換のためのスタンドアロン構成で利用することができる。代わりに、DC−DCコンバータ104は、DC−ACインバータなど他の電力変換デバイスの構成要素とともに、又はそうした電力変換デバイスの構成要素として利用されてもよい。例えば、DC−DCコンバータ104は、光起電性(PV)パネルなど1つ又は複数の再生可能エネルギー源からの直流電力を交流電力に変換するDC−ACインバータ内の電力変換段とすることができる。
【0009】
[0018]一実施形態では、DC−DCコンバータ104は、理想変圧器108としてモデル化できる変圧器と、磁化インダクタンス及び漏れインダクタンスのような変圧器の非理想的側面をモデル化する外部インダクタンスとを備えるフライバックコンバータ(すなわちスイッチモードコンバータ)である。DC−DCコンバータ104の1次側は、入力コンデンサ106と、変圧器108の1次巻線108pと、1次巻線108pの両端に接続され、変圧器磁化インダクタンスを表すインダクタLMと、電流制御スイッチ112とを備える。変圧器108の漏れインダクタンスは、1次巻線108pと直列のインダクタLKとして表されるが、代わりに、インダクタLKは、1次巻線108pと直列に接続されているのと電子的に等価なようにDC−DCコンバータ104に接続されてもよい(例えば、インダクタLKは、漏れインダクタンスを表すように2次巻線108sと直列に接続されてもよい)。(実効1次側キャパシタンスを表す)コンデンサCPは、電流制御スイッチ112と並列に接続されるが、代わりに、コンデンサCPは、電流制御スイッチ112の両端に接続されているのと電子的に等価なようにDC−DCコンバータ104に接続されてもよい(例えば、コンデンサCPは、1次巻線108pの両端に接続されてもよい)。いくつかの実施形態では、コンデンサCPは、電流制御スイッチ112の寄生キャパシタンスを表すことができる。入力コンデンサ106は、直流電圧源102から入力電圧Vinを受け取るためにDC−DCコンバータ104の2つの入力端子をまたいで接続され、さらに、1次巻線108p、インダクタLK、及び電流制御スイッチ112の直列の組合せをまたいで接続される。
【0010】
[0019]いくつかの代替実施形態では、インダクタLKは、1次巻線108p及び/又は2次巻線108sに直列の変圧器漏れインダクタンスと1つ又は複数の追加のインダクタンスとの組合せを表すことができ、すなわち、LKは、1次側を基準とした全実効直列インダクタンスを表し、意図的及び/又は非意図的に1次及び/又は2次側に配置されたインダクタンスを具体化することができる。例えば、LKは、変圧器108の寄生漏れインダクタンスプラスに加えて、1つ若しくは複数の他の構成要素の(1つ又は複数の)寄生インダクタンス、並びに/又はDC−DCコンバータ104に接続された1つ若しくは複数のインダクタの(1つ若しくは複数の)インダクタンスを表すことができる。さらに又は代わりに、CPは、制御スイッチ112の寄生キャパシタンスと、1つ又は複数の追加のキャパシタンス、例えば、1つ又は複数の他の構成要素の(1つ又は複数の)寄生キャパシタンス、及び/或いは制御スイッチ112の両端に又は制御スイッチ112の両端に接続されているのと電子的に等価なようにDC−DCコンバータ104に接続された1つ又は複数のコンデンサの(1つ又は複数の)キャパシタンスなどの組合せを表すことができる。一部のそのような代替実施形態では、追加のインダクタ及び/又はコンデンサのうちの1つ又は複数が、調整可能であり及び/又はDC−DCコンバータ104内へ若しくはDC−DCコンバータ104外へ作用可能に切り替えられることが可能でありうる。(例えば、インダクタは、インダクタと並列のスイッチによって回路内へ又は回路外へ切り替えられてもよく、コンデンサは、コンデンサと直列のスイッチによって回路内へ又は回路外へ切り替えられてもよい)。
【0011】
[0020]DC−DCコンバータ104の2次側は、変圧器108の2次巻線108sと、ダイオード114と、出力コンデンサ118とを備える。2次巻線108sは、ダイオード114(すなわち2次スイッチング素子)及び出力コンデンサ118の直列の組合せの両端に接続され、ダイオード114のアノード端子は、2次側巻線108sの第1の端子に接続され、ダイオード114のカソード端子は、出力コンデンサ118の第1の端子に接続され、出力コンデンサ118の第2の端子は、2次側巻線108sの第2の端子に接続される。いくつかの代替実施形態では、2次整流のために異なる構成を利用することができる。例えば、第2のダイオードが、2次巻線108sの第2の端子とコンデンサ118の第2の端子との間に接続されてもよく、ダイオード114が、2次巻線108sの第2の端子と出力コンデンサ118の第2の端子との間に接続されてもよく、又はダイオードではない適切な制御装置によって制御されるスイッチにより、2次整流(例えば「同期整流」)が行われてもよい。
【0012】
[0021]DC−DCコンバータ104の2つの出力端子は、出力電圧Voutを供給するために出力コンデンサ118の両端に接続される。(実効2次側コンデンサを表す)コンデンサCSは、ダイオード114と並列に接続されるが、代わりに、コンデンサCSは、ダイオード114の両端に接続されているのと電子的に等価なようにDC−DCコンバータ104に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、コンデンサCPと同様に、コンデンサCSは、ダイオード114の寄生キャパシタンスを表すことができ、また、いくつかの代替実施形態では、コンデンサCSは、ダイオード114の寄生キャパシタンス、並びに1つ又は複数の他の構成要素の(1つ又は複数の)寄生キャパシタンス、及び/或いはダイオード114の両端に接続された又はダイオード114の両端に接続されているのと電子的に等価なようにDC−DCコンバータ104に接続された1つ又は複数の追加のコンデンサの(1つ又は複数の)寄生キャパシタンスの組合せを表すことができる。一部のそのような代替実施形態では、追加のコンデンサのうちの1つ又は複数が、調整可能であり及び/又はDC−DCコンバータ104内へ若しくはDC−DCコンバータ104外へ作用可能に切り替えられることが可能でありうる(例えば、特定のコンデンサが、コンデンサと直列のスイッチによって回路内へ又は回路外へ切り替えられてもよい)。
【0013】
[0022]DC−DCコンバータ104は、電流制御スイッチ112を制御する(すなわち、作動状態及び非作動状態にする)ための、電流制御スイッチ112の端子に接続されたDC−DC変換制御モジュール120をさらに備える。
【0014】
[0023]DC−DCコンバータ104は、直流電圧源102から入力電圧Vinを受け取り、電流制御スイッチ112の作動及び非作動に基づき、入力電圧Vinを出力電圧Voutに変換する。電流制御スイッチ112が作動状態にされると(すなわち、閉じられると)、線形に上昇する1次電流IpがインダクタLMを流れ、インダクタLM及びインダクタLK内にエネルギーを蓄積する。1次電流Ipのピークレベル(すなわち、Ippeak)において、電流制御スイッチ112が非作動状態にされて(すなわち、開かれて)、インダクタLMに蓄積されたエネルギーが2次巻線108sに伝達され、ダイオード114を介する線形に減衰する2次電流Isが生成される。電流制御スイッチ112の開閉サイクルを通した出力コンデンサ118の結果の帯電/放電により、所望の出力電圧Voutが生成される。
【0015】
[0024]電流制御スイッチ112が開かれた時点で、インダクタLKに蓄積されたエネルギーがある。しかし、インダクタLKと2次巻線108sの間に結合がないため、そうしたエネルギーを2次巻線108sに伝達することができない。本発明の1つ又は複数の実施形態によれば、また以下に説明するように、ピーク電流Ippeak、コンデンサCP及びCS、並びにインダクタLKは、インダクタLKに蓄積されたエネルギーがコンデンサCP及びCSに伝達されるように確定される。次いで、伝達されたエネルギーはDC−DCコンバータ104のソフトスイッチングの際に回収することができ、したがって、1次巻線108pと2次巻線108sの間のエネルギー伝達の際の電流制御スイッチ112のドレイン−ソース電圧のリンギングを取り除き、変圧器108におけるエネルギーの無損失コミュテーションをもたらすことができる。
【0016】
[0025]1つ又は複数の代替実施形態では、DC−DCコンバータ104内の1つ又は複数の追加の要素、例えば、(例えば、コンデンサCP及び/若しくはコンデンサCSの両端に接続され、並びに/又は、CP及び/若しくはCSの両端に接続されているのと電子的に等価なようにDC−DCコンバータ104に接続された)1つ又は複数のコンデンサ、並びに/或いは(例えば、インダクタLKと直列に接続され、及び/又は、LKと直列に接続されているのと電子的に等価なようにDC−DCコンバータ104に接続された)1つ又は複数のインダクタなどを利用して、無損失コミュテーションを達成することができる。いくつかの実施形態では、これらの追加の要素のうちの1つ又は複数が、調整可能であり及び/又はDC−DCコンバータ104内へ若しくはDC−DCコンバータ104外へ作用可能に切り替えられることが可能でありうる。
【0017】
[0026]1つ又は複数の代替実施形態では、DC−DCコンバータ104は、昇圧型コンバータ、昇降圧型コンバータ、フォワードコンバータ、フルブリッジコンバータ、又は同様のコミュテーションを有するコンバータとすることができる。
【0018】
[0027]
図2は、本発明の1つ又は複数の実施形態による、電流制御スイッチ112が非作動状態にされたときの等価回路200の概略図である。等価回路200は、
図1に示された理想変圧器モデルを利用しており、実際の変圧器が理想変圧器108としてモデル化され、インダクタLM及びLKがそれぞれ、磁化インダクタンス及び漏れインダクタンスをモデル化している。回路200は、インダクタLM、インダクタLK、及びコンデンサCPの直列結合を備え、インダクタLMのインダクタンスは、インダクタLKのインダクタンスよりもかなり大きい。電圧Vinは、LM、LK、及びCPの直列結合の両端の電圧である。電流制御スイッチ112を表す理想スイッチ202は、コンデンサCPの両端に接続される。コンデンサCS−reflectedは、変圧器108の1次側に反射されるコンデンサCSを表す。コンデンサCS−reflected及びダイオード114は、並列に接続され、ダイオード114のアノード端子は、インダクタLMとインダクタLKの間にLMの第1の端子で接続される。電圧Vout−reflectedは、LMの第2の端子とダイオード114のカソード端子にわたる電圧である。
【0019】
[0028]本発明の1つ又は複数の実施形態によれば、1次及び2次側キャパシタンス(それぞれ、Ccp及びCcs)、LKのインダクタンス(Llk)、ピーク電流(Ippeak)、並びにコンバータ入力及び出力電圧(それぞれ、Vin及びVout)は、以下に説明されるように、スイッチ202が開かれたとき、無損失コミュテーションを達成するために相互に依存する。
【0020】
[0029]無損失コミュテーションを達成するために、第1の条件として、コンデンサCP及びCS−reflectedのキャパシタンスは等価でなければならいことが要求され、すなわち、コンデンサCP及びCSのキャパシタンスは、以下のように、変圧器108の巻線比に基づいて整合しなければならない。
【0022】
[0031]上式において、Ccp=コンデンサCPのキャパシタンス、Ccs=コンデンサCSのキャパシタンス、Np=1次巻線108pの巻数、Ns=2次巻線108sの巻数、及びCmatch=整合した1次及び2次側キャパシタンスである。いくつかの実施形態では、Ccp及びCcsのキャパシタンスは線形でないことがあり、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)又はダイオードの寄生キャパシタンスは、電圧とともにかなり変動しうる。このような実施形態では、ここで提示する式が変わる可能性があるが、非線形キャパシタンスは特定の動作点で実効キャパシタンスを有し、本発明の方法が成立する。例えば、本発明の結果を達成するための値は、数値解析、シミュレーション、又は類似の手法を利用して決定することができる。
【0023】
[0032]いくつかの代替実施形態では、コンデンサCP及び/又はCSは、寄生キャパシタンス、並びに、それぞれ、電流制御スイッチ112の両端に接続された(又は電流制御スイッチ112の両端に接続されているのと電子的に等価なようにDC−DCコンバータ104に接続された)、及びダイオード114の両端に接続された(又はダイオード114の両端に接続されているのと電子的に等価なようにDC−DCコンバータ104に接続された)1つ又は複数のコンデンサの組合せを表す。そのような実施形態では、CPの全キャパシタンス(すなわち、CPで表される全てのコンデンサのキャパシタンス)とCSの全キャパシタンス(すなわち、CSで表される全てのコンデンサのキャパシタンス)とが、変圧器巻線比に鑑みて整合する。一部のそのような実施形態では、任意特定の時点の整合した1次及び2次側キャパシタンスを達成するために、追加のコンデンサが、調整される及び/又は回路内へ及び回路外へ作用可能に切り替えられることが可能である。
【0024】
[0033]1次電流IpがDC−DCコンバータ104の動作中にピーク値Ippeakに達すると、スイッチ202(すなわち、電流制御スイッチ112を表す理想スイッチ202)が非作動状態にされ、インダクタLKに蓄積されたエネルギーが、正弦漏れインダクタンス電流llkと呼ばれる1次電流Ipの継続的流れ(すなわち、スイッチ202の開放に続く1次電流Ip)をもたらす。コンデンサCP及びコンデンサCS−reflectedのそれぞれ両端の電圧Vcp及びVcsrが上昇し始める。無損失コミュテーションを達成するために、漏れインダクタンス電流llkの谷(すなわち、llkがゼロであり、ゼロ勾配dllk/dt=0を有するとき)は、Vcsrのゼロ交差(すなわち、Vcsのゼロ交差)と一致しなければならず、さらに、この点で、電圧Vcpは、Vin+(Np/Ns)×Voutの値と交差する。それ以降、漏れインダクタンス電流llkはゼロであり、電圧Vcpは、Vin+(Np/Ns)×Voutの定常値であり、Vcsr(及びVcs)は、ゼロの定常値である。
【0025】
[0034]スイッチの開放に続いて、(1次電流Ipとも呼ぶことができる)漏れインダクタンス電流llkは、漏れインダクタンス電流llkの谷が、共振周期
【数2】
に基づき下記のような規則的間隔の遷移時間TTRのうちの1つでVcsrのゼロ交差(及びVcpのVin+(Np/Ns)×Vout交差)と一致できるように、ピーク値Ippeakとゼロの間で振動する。
【0027】
[0036]上式において、n=任意の奇数の整数(1、3、5など)、Llkは、インダクタLKのインダクタンス(すなわち、1次側を基準とした全実効直列インダクタンス)、Cmatchは、整合した1次及び2次側実効キャパシタンスである。前述のように、LKは、1次側を基準とした全実効直列インダクタンスを表し、意図的又は非意図的に1次及び/又は2次側に置かれた1つ又は複数のインダクタンスを具体化することができる。
【0028】
[0037]そして、無損失コミュテーションは、llk=0でありllkがゼロ勾配を有し、また遷移点の1つにおいてVcsr=0であるように、DC−DCコンバータ104の1つ又は複数のパラメータを適切に設定することによって達成することができる。そのような点において、電圧Vcp=Vin+(Np/Ns)×Voutである。
【0029】
[0038]いくつかの実施形態では、無損失コミュテーションは、遷移時間TTRに基づき、またVcsrのゼロ交差及びVcpのVin+(Np/Ns)×Vout交差と一致する漏れインダクタンス電流llkの谷をもたらす、下記のようなピーク電流Ippeakで、DC−DCコンバータ104を動作させることによって達成することができる。
【0031】
[0040]上式において、n=任意の奇数の整数(1、3、5など)、Cmatchは、整合した1次及び2次側実効キャパシタンス、Llkは、1次側を基準とした全実効直列インダクタンス、Np=1次巻線108pの巻数、Ns=2次巻線108sの巻数、Vinは、コンバータ入力電圧、Voutは、コンバータ出力電圧である。
【0032】
[0041]DC−DCコンバータピーク電流が式(3)に基づいて決定されるかかる実施形態では、Cmatch、Llk、Vin、及びVoutのうちの1つ又は複数が、DC−DCコンバータ104の動作中に固定されても動的に変化してもよく、それに応じてIppeakの新しい値が決定される。例えば、Vin及びVoutが変動する間、Cmatch及びLlkを固定することができ、Vin及びVoutが変動するのに応じてピーク電流Ippeakが変化する。いくつかの実施形態では、無損失コミュテーションを各々がもたらす異なるピーク電流IppeakでDC−DCコンバータ104を動作させることによって、所与の入力電圧Vinに対して、所望の出力電圧Voutを達成することができる。例えば、DC−DCコンバータ104は、無損失コミュテーションのための第1のピーク電流Ippeak(1)を利用する1つ又は複数の開閉サイクルで、次いで無損失コミュテーションのための第2のピーク電流Ippeak(2)を利用する1つ又は複数の開閉サイクルで動作させることが可能であり、この場合、そのような第1のピーク電流と第2のピーク電流の間のディザリングが平均ピーク電流をもたらして、所与のVinに対して所望の出力電圧Voutを生成するとともに、無損失コミュテーションを達成する。
【0033】
[0042]他の実施形態では、無損失コミュテーションは、漏れインダクタンス電流llkの谷がVcsrのゼロ交差及びVcpのVin+(Np/Ns)×Vout交差と一致するように計算される下記のようなCmatchの値に基づいて、第1及び第2の側の実効キャパシタンス(すなわち、Ccp及びCcs)を設定することによって達成することができる。
【0035】
[0044]上式において、n=任意の奇数の整数(1、3、5など)、Ippeakはピーク電流、Llkは、インダクタLKのインダクタンス(すなわち、1次側を基準とした全実効直列インダクタンス)、Np=1次巻線108pの巻数、Ns=2次巻線108sの巻数、Vinは、コンバータ入力電圧、Voutは、コンバータ出力電圧である。
【0036】
[0045]式(4)のように計算されるCmatchの値に基づいてCcp及びCcpが設定されるかかる実施形態では、Llk、Ippeak、Vin、及びVoutのうちの1つ又は複数が、DC−DCコンバータ104の動作中に固定されても動的に変化してもよく、それに応じてCcp/Ccsが設定される。例えば、上記のパラメータのそれぞれは、固定値とすることができ、電流制御スイッチ112及びダイオード114は、式(1)及び(4)によって指定される寄生キャパシタンスを有するように選択される。別の例として、それらのパラメータの1つ又は複数は、DC−DCコンバータ104の動作中に変化することができ、(1つ又は複数の)パラメータが変化するにつれて、新しいCmatch値が計算され、これに応じてCcp及び/又はCcsの新しい値が、例えば、構成要素を調整し又は構成要素をDC−DCコンバータ104内へ/外へ作用可能に切り替えることによって、実装される。
【0037】
[0046]いくつかの実施形態では、CP及び/又はCSは、(寄生キャパシタンスに加えて)、全キャパシタンスCcp(すなわち、CPで表される全てのコンデンサの全キャパシタンス)とCcsの全キャパシタンス(すなわち、CSで表される全てのコンデンサの全キャパシタンス)とが式(1)及び(4)を満たすように調整され又はDC−DCコンバータ104内へ/外へ切り替えられる1つ又は複数のコンデンサを表すことができる。例えば、ピーク電流Ippeakは、DC−DCコンバータ104の開閉サイクル中に変化することができ、ある開閉サイクルから別の開閉サイクルへのIppeakの変化に基づいて、CP及び/又はCSによって表される1つ又は複数のコンデンサが調節されて(すなわち、調整され又は回路内へ/外へ作用可能に切り替えられて)無損失コミュテーションのための式(1)及び(4)を満たすキャパシタンスCcp及びCcsを達成することができる。
【0038】
[0047]さらに他の実施形態では、無損失コミュテーションは、漏れインダクタンス電流llkの谷がVcsrのゼロ交差及びVcpのVin+(Np/Ns)×Vout交差と一致するように決定された値に、インダクタンスLlkを設定することによって達成することができる。
【0040】
[0049]上式において、n=任意の奇数の整数(1、3、5など)、Cmatchは、整合した1次及び2次側実効キャパシタンス、Ippeakはピーク電流、Np=1次巻線108pの巻数、Ns=2次巻線108sの巻数、Vinは、コンバータ入力電圧、Voutは、コンバータ出力電圧である。
【0041】
[0050]無損失コミュテーションが式(5)で指定されるLlkを設定することによって達成されるかかる実施形態では、Cmatch、Ippeak、Vin、及びVoutのうちの1つ又は複数が、DC−DCコンバータ104の動作中に固定されても動的に変化してもよく、それに応じてLlkが設定される。例えば、上記のパラメータのそれぞれは、固定値とすることができ、そのとき、変圧器108は、式(5)によって指定される漏れインダクタンスを有するように選択される。別の例として、パラメータの1つ又は複数は、DC−DCコンバータ104の動作中に変化することができ、(1つ又は複数の)パラメータが変化するにつれて、これに応じて新しいLlk値が、例えば、構成要素を調整し及び/又は構成要素をDC−DCコンバータ104内へ/外へ切り替えることによって、計算され設定される。いくつかの実施形態では、LKは、変圧器108、並びに式(5)によって指定されるインダクタンスを達成するように、調整され又はDC−DCコンバータ104内へ/外へ作用可能に切り替えられる(例えば、1次巻線108p及び/又は2次巻線108sと直列の)1つ又は複数のインダクタの漏れインダクタンスを表すことができる。例えば、ピーク電流Ippeakは、DC−DCコンバータ104の開閉サイクル中に変化することができ、そうした変化に基づいて、LKによって表される1つ又は複数のインダクタが調節されて(すなわち、調整され又は回路内へ/外へ作用可能に切り替えられて)無損失コミュテーションのための式(5)を満たす全インダクタンスを達成することができる。
【0042】
[0051]一般的に、無損失コミュテーションは、前述の式を満たすパラメータCcp、Ccs、Llk、Ippeak、Vin、又はVoutの任意の組合せについて、DC−DCコンバータ104の動作中に達成することができる。
【0043】
[0052]
図3は、本発明の1つ又は複数の実施形態による、第1の遷移時間に基づいて無損失コミュテーションが達成されたときのDC−DCコンバータ104の電流波形及び電圧波形を示す複数のグラフ
図300である。第1の遷移時間TTR1は、n=1の値を有する式(2)に基づいて決定される。DC−DCコンバータ104は、n=1として前述の式(3)、(4)、又は(5)のいずれかに基づいて無損失コミュテーションを達成するように動作させることが可能である。
【0044】
[0053]グラフ
図300は、スイッチ制御電圧を経時的に示す波形312(「スイッチ制御波形312」)の
図302と、1次電流を経時的に示す波形314(「Ip波形314」)の
図304と、コンデンサCPの両端の電圧を経時的に示す波形316(「Vcp波形316」)の
図306と、コンデンサCSの両端の電圧を経時的に示す波形318(「Vcs波形318」)の
図308と、漏れインダクタンス電流llkを経時的に示す波形320(「llk波形320」)の
図310とを含む。漏れインダクタンス電流llkは、1次電流Ipと等価であるが、スイッチ112の開放に続いて、1次巻線108pを通る電流の流れがインダクタLKに蓄積されたエネルギーから生じることを強調するために別に示している。
【0045】
[0054]いくつかの代替実施形態では、Vcs波形318は、代替の2次スイッチング素子(例えば、2次整流を行うために適切な制御装置によって制御されるスイッチ)の両端の電圧を示す。
【0046】
[0055]スイッチ制御波形312は、電流制御スイッチ112を作動状態及び非作動状態にするためのDC−DC変換制御モジュール120によって生成される。スイッチ制御波形312が高いとき、電流制御スイッチ112が作動状態(すなわちオン)にされ、スイッチ制御波形312が低いとき、電流制御スイッチ112が非作動状態(すなわちオフ)にされる。時刻TOから時刻T1まで、スイッチ制御波形312は高く、電流制御スイッチ112を作動状態に維持する。Ip波形314及び(Ip波形314と同一の)llk波形320は、Ippeakのピーク値に向かって線形に上昇する。Vcp波形316は、作動状態の電流制御スイッチ112のため基本的にゼロであり、ダイオード114は、−(Vout+(Ns/Np)×Vin)におけるVcs波形318で逆バイアスされる。
【0047】
[0056]時刻T1で、スイッチ制御波形312は、降下して低くなり、電流制御スイッチ112を非作動状態にする。Ip波形314は、1次巻線108pを通る電流の流れが低下するのに伴い、ピーク値Ippeakからゼロへ(1/2)×Ippeakの直流オフセットを有する余弦波の形で低下し始める。漏れインダクタンス(すなわち、インダクタLKで表されるインダクタンス)の存在により、Vcp波形316は、線形ランプ関数と併せられる正弦波の形で急速に上昇し始める。Ip波形314と同じく、llk波形320は、リンギングを始めると正弦波状に低下する。1次巻線108pに蓄積されたエネルギーが2次巻線108sに伝達されると、Vcs波形318は、線形ランプ関数と併せられる余弦関数の形で上昇する。
【0048】
[0057]遷移時間TTRは、時刻
【数7】
でスイッチ開放後に発生する。遷移時間TTRでは、スイッチ制御波形312は低いままであり、Ip波形314は、ゼロ勾配を有しゼロにある。さらに、Vcp波形316が、Vin+(Np/Ns)×Voutの定常値(TTRにおいてdVcp/dt=0)に達し、Vcs波形318が、ゼロの定常値に達し、(Ip波形314と同一の)llk波形320が、ゼロの定常値(TTRにおいてdllk/dt=0)に達する。
【0049】
[0058]時刻T2において、スイッチ制御波形312は、高いレベルに戻って、電流制御スイッチ112を作動状態にする。Ip波形314及びllk波形320は、全く同様に線形に上昇する。Vcp波形316は、作動状態の電流制御スイッチ112のため基本的にゼロであり、ダイオード114は、−(Vout+(Ns/Np)×Vin)におけるVcs波形318で逆バイアスされる。
【0050】
[0059]
図4は、本発明の1つ又は複数の実施形態による、第2の遷移時間に基づいて無損失コミュテーションが達成されたときのDC−DCコンバータ104の電流波形及び電圧波形を示す複数のグラフ図である。第2の遷移時間TTR2は、n=2の値を有する式(2)に基づいて決定される。DC−DCコンバータ104は、n=2として前述の式(3)、(4)、又は(5)のいずれかに基づいて無損失コミュテーションを達成するように動作させることが可能である。
【0051】
[0060]グラフ
図400は、スイッチ制御電圧を経時的に示す波形412(「スイッチ制御波形412」)の
図402と、1次電流を経時的に示す波形414(「Ip波形414」)の
図404と、コンデンサCPの両端の電圧を経時的に示す波形416(「Vcp波形416」)の
図406と、コンデンサCSの両端の電圧を経時的に示す波形418(「Vcs波形418」)の
図408と、漏れインダクタンス電流llkを経時的に示す波形420(「llk波形420」)の
図410とを含む。漏れインダクタンス電流llkは、1次電流Ipと等価であるが、スイッチ112の開放に続いて、1次巻線108pを通る電流の流れがインダクタLKに蓄積されたエネルギーから生じることを強調するために別に示している。
【0052】
[0061]いくつかの代替実施形態では、Vcs波形418は、代替の2次スイッチング素子(例えば、2次整流を行うために適切な制御装置によって制御されるスイッチ)の両端の電圧を示す。
【0053】
[0062]スイッチ制御波形312と同様に、スイッチ制御波形412は、電流制御スイッチ112を作動状態及び非作動状態にするためのDC−DC変換制御モジュール120によって生成される。スイッチ制御波形412が高いとき、電流制御スイッチ112が作動状態(すなわちオン)にされ、スイッチ制御波形412が低いとき、電流制御スイッチ112が非作動状態(すなわちオフ)にされる。時刻TOから時刻T1まで、スイッチ制御波形412は高く、電流制御スイッチ112を作動状態に維持する。Ip波形414及びllk波形420は、全く同様にIppeakのピーク値に向かって線形に上昇する。Vcp波形416は、作動状態の電流制御スイッチ112のため基本的にゼロであり、ダイオード114は、−(Vout+(Ns/Np)×Vin)におけるVcs波形418で逆バイアスされる。
【0054】
[0063]時刻T1で、スイッチ制御波形412は、降下して低くなり、電流制御スイッチ112を非作動状態にする。Ip波形414は、Ippeakから低下し、(1/2)×Ippeakの直流オフセットを有する余弦関数の形でゼロとIppeakの値の間でリンギングし始め、Ip波形414は、第1の遷移時間
【数8】
でゼロ勾配を有する第1のゼロ点(すなわち谷)に達する。
【0055】
[0064]漏れインダクタンス(すなわち、インダクタLKで表されるインダクタンス)の存在により、時刻T1で、Vcp波形416は、線形ランプ関数と併せられる正弦波の形で急速に上昇し始める。ランプ関数の勾配は、正弦関数の最小勾配と等しく且つ逆であり、結果として第1の遷移時間TTR1におけるゼロ勾配がもたらされる。
【0056】
[0065]時刻T1において、Ip波形414と同一のllk波形420は、ゼロに向かって低下し、(1/2)×Ippeakの直流オフセットを有する余弦関数の形でゼロとIppeakの値の間で正弦波状にリンギングし始め、llk波形420は、第1の遷移時間TTR1でゼロ勾配を有する第1のゼロ点(すなわち谷)に達する。インダクタLKに蓄積されたエネルギー(すなわち、実際の変圧器の1次巻線に蓄積されたエネルギー)が2次巻線108sに伝達されると、Vcs波形418は、線形ランプ関数と併せられる余弦関数の形で上昇する。ランプ関数の勾配は、余弦関数の最小勾配と等しく且つ逆であり、結果として、第1の遷移時間TTR1から90度離れたゼロ勾配のフラットスポットをもたらす。
【0057】
[0066]スイッチ制御波形412は低いままであり、第2の遷移時間TTR2が、時刻
【数9】
に発生する。第2の遷移時間TTR2において、Ip波形414は、ゼロ勾配を有する第2のゼロ点(すなわち谷)に達し、ゼロにとどまる、さらに、Vcp波形416が、Vin+(Np/Ns)×Voutの定常値(TTR2においてdVcp/dt=0)に達し、Vcs波形418が、ゼロの定常値に達し、(Ip波形414と同一の)llk波形420が、ゼロの定常値(TTR2においてdllk/dt=0)に達する。
【0058】
[0067]時刻T2において、スイッチ制御波形412は、高いレベルに戻って、電流制御スイッチ112を作動状態にする。Ip波形414及びllk波形420は、全く同様に線形に上昇し始める。Vcp波形416は、作動状態の電流制御スイッチ112のため基本的にゼロであり、ダイオード114は、−(Vout+(Ns/Np)×Vin)におけるVcs波形418で逆バイアスされる。
【0059】
[0068]
図5は、本発明の1つ又は複数の実施形態による、第3の遷移時間に基づいて無損失コミュテーションが達成されたときのDC−DCコンバータ104の電流波形及び電圧波形を示す複数のグラフ図である。第3の遷移時間TTR3は、n=3の値を有する式(2)に基づいて決定される。DC−DCコンバータ104は、n=3として前述の式(3)、(4)、又は(5)のいずれかに基づいて無損失コミュテーションを達成するように動作させることが可能である。
【0060】
[0069]グラフ
図500は、スイッチ制御電圧を経時的に示す波形512(「スイッチ制御波形512」)の
図502と、1次電流を経時的に示す波形514(「Ip波形514」)の
図504と、コンデンサCPの両端の電圧を経時的に示す波形516(「Vcp波形516」)の
図506と、コンデンサCSの両端の電圧を経時的に示す波形518(「Vcs波形518」)の
図508と、漏れインダクタンス電流llkを経時的に示す波形520(「llk波形520」)の
図510とを含む。漏れインダクタンス電流llkは、1次電流Ipと等価であるが、スイッチ112の開放に続いて、インダクタLMを通る電流の流れ(すなわち、実際の変圧器の1次巻線を通る電流の流れ)がインダクタLKに蓄積されたエネルギーから生じることを強調するために別に示している。
【0061】
[0070]いくつかの代替実施形態では、Vcs波形518は、代替の2次スイッチング素子(例えば、2次整流を行うために適切な制御装置によって制御されるスイッチ)の両端の電圧を示す。
【0062】
[0071]スイッチ制御波形312及び412と同様に、スイッチ制御波形512は、電流制御スイッチ112を作動状態及び非作動状態にするためのDC−DC変換制御モジュール120によって生成される。スイッチ制御波形512が高いとき、電流制御スイッチ112が作動状態(すなわちオン)にされ、スイッチ制御波形512が低いとき、電流制御スイッチ112が非作動状態(すなわちオフ)にされる。時刻TOから時刻T1まで、スイッチ制御波形512は高く、電流制御スイッチ112を作動状態に維持する。Ip波形514及びllk波形520は、全く同様にIppeakのピーク値に向かって線形に上昇する。Vcp波形516は、作動状態の電流制御スイッチ112のため基本的にゼロであり、ダイオード114は、−(Vout+(Ns/Np)×Vin)におけるVcs波形518で逆バイアスされる。
【0063】
[0072]時刻T1で、スイッチ制御波形512は、降下して低くなり、電流制御スイッチ112を非作動状態にする。Ip波形514は、Ippeakから低下し、(1/2)×Ippeakの直流オフセットを有する余弦関数の形でゼロとIppeakの値の間でリンギングし始め、Ip波形514は、第1の遷移時間
【数10】
及び第2の遷移時間
【数11】
でゼロ勾配を有する第1のゼロ点(すなわち谷)に達する。
【0064】
[0073]漏れインダクタンス(すなわち、インダクタLKで表されるインダクタンス)の存在により、時刻T1で、Vcp波形516は、線形ランプ関数と併せられる正弦波の形で急速に上昇し始める。ランプ関数の勾配は、正弦関数の最小勾配と等しく且つ逆であり、結果として第1及び第2の遷移時間TTR1及びTTR2におけるゼロ勾配がもたらされる。
【0065】
[0074]時刻T1において、(Ip波形514と同一の)llk波形520は、ゼロに向かって低下し、(1/2)×Ippeakの直流オフセットを有する余弦関数の形でゼロとIppeakの値の間で正弦波状にリンギングし始め、llk波形520は、第1及び第2の遷移時間TTR1及びTTR2でゼロ勾配を有するゼロ点(すなわち谷)に達する。インダクタLKに蓄積されたエネルギー(すなわち、実際の変圧器の1次巻線に蓄積されたエネルギー)が2次巻線108sに伝達されると、Vcs波形518は、線形ランプ関数と併せられる余弦関数の形で上昇し始める。ランプ関数の勾配は、余弦関数の最小勾配と等しく且つ逆であり、結果として、第1及び第2の遷移時間TTR1及びTTR2のそれぞれから90度離れたゼロ勾配のフラットスポットをもたらす。
【0066】
[0075]スイッチ制御波形412は低いままであり、第3の遷移時間TTR3が、時刻
【数12】
に発生する。第3の遷移時間TTR3において、Ip波形514は、ゼロ勾配を有する第3のゼロ点(すなわち谷)に達し、ゼロにとどまる。さらに、Vcp波形516が、Vin+(Np/Ns)×Voutの定常値(TTR3においてdVcp/dt=0)に達し、Vcs波形518が、ゼロの定常値に達し、(Ip波形514と同一の)llk波形520が、ゼロの定常値(TTR3においてdllk/dt=0)に達する。
【0067】
[0076]時刻T2において、スイッチ制御波形512は、高いレベルに戻って、電流制御スイッチ112を作動状態にする。Ip波形514及びllk波形520は、全く同様に線形に上昇する。Vcp波形516は、作動状態の電流制御スイッチ112のため基本的にゼロであり、ダイオード114は、−(Vout+(Ns/Np)×Vin)におけるVcs波形518で逆バイアスされる。
【0068】
[0077]
図6は、本発明の1つ又は複数の実施形態による、DC−DCコンバータの動作中に無損失コミュテーションを達成するための方法600の流れ図である。DC−DCコンバータは、直流電圧源から直流入力電圧Vinを受け取り、入力電圧を直流出力電圧Voutに変換する。以下に説明するようないくつかの実施形態では、DC−DCコンバータは、変圧器を備えるフライバックコンバータであって、1次側が変圧器の1次巻線を含み、2次側が変圧器の2次巻線を含むDC−DCコンバータ(例えば、DC−DCコンバータ104)である。DC−DCコンバータは、1次巻線を通る電流の流れを制御するための、1次巻線と直列に接続された電流制御スイッチ(例えば、電流制御スイッチ112)と、2次巻線と直列に接続された2次整流ダイオード(すなわち2次スイッチング素子)(例えばダイオード114)とをさらに備える。いくつかの代替実施形態では、2次整流のために異なる構成を利用することができる。例えば、2次整流ダイオードが、異なる構成で2次巻線に接続されてもよく、第2のダイオードが、2次巻線に接続されてもよく、又はダイオードではない適切な制御装置によって制御されるスイッチにより、2次整流(例えば「同期整流」)が行われてもよい。
【0069】
[0078]コンバータ変圧器は、1次巻線と直列のインダクタ、又は代わりに1次巻線と直列に接続されているのと電子的に等価なようにインダクタとしてモデル化することができる(例えば、漏れインダクタンスは、2次巻線と直列のインダクタLKとしてモデル化されてもよい)寄生インダクタンス(すなわち漏れインダクタンス)を有する。1次コンデンサ(例えば、実効1次側キャパシタンスCcpを表すCP)は、電流制御スイッチの両端に接続され、又は電流制御スイッチの両端に接続されているのと電子的に等価なようにDC−DCコンバータに接続され(例えば、コンデンサは1次巻線の両端に接続されてもよい)、いくつかの実施形態では、1次コンデンサは、電流制御スイッチの寄生キャパシタンスを表すことができる。2次コンデンサ(例えば、実効2次側キャパシタンスCcsを表すCS)は、2次整流ダイオードの両端に、又は2次整流ダイオードの両端に接続されているのと電子的に等価なように接続され、いくつかの実施形態では、2次コンデンサは、2次整流ダイオードの寄生キャパシタンスを表すことができる。
【0070】
[0079]DC−DCコンバータは、DC−DC電力変換のためのスタンドアロン構成で利用することができ、代わりに、DC−DCコンバータは、DC−ACインバータなど他の電力変換デバイスの構成要素とともに、又はそうした電力変換デバイスの構成要素として利用されてもよい。1つ又は複数の代替実施形態では、DC−DCコンバータは、昇圧型コンバータ、昇降圧型コンバータ、フォワードコンバータ、フルブリッジコンバータ、又は同様のコミュテーションを有するコンバータとすることができる。
【0071】
[0080]方法600は、ステップ602で開始しステップ604に進む。ステップ604で、1次側キャパシタンス及び2次側キャパシタンスは、変圧器の1次及び2次巻線の巻線比に基づいて整合され、すなわち、1次側キャパシタンスの2次側キャパシタンスに対する比は、(Ns/Np)
2に等しくなり、ここで、Nsは2次巻線の巻数、Npは1次巻線の巻数である。
【0072】
[0081]いくつかの実施形態では、1次及び2次側キャパシタンスは、適切な構成要素を選択することによって整合される。例えば、1次側及び2次側キャパシタンスはそれぞれ、電流制御スイッチ及び2次整流ダイオードの寄生キャパシタンスとすることができ、電流制御スイッチ及び2次整流ダイオードは、電流制御スイッチ及び2次整流ダイオードの寄生キャパシタンスが変圧器巻線比に基づいて整合されるように選択される。これら1次及び2次側キャパシタンスは、線形であることもないこともあり、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)又はダイオードの寄生キャパシタンスは、電圧とともにかなり変動しうる。1次側及び/又は2次側キャパシタンスが非線形であるかかる実施形態では、(1つ又は複数の)非線形キャパシタンスは、特定の動作点で実効キャパシタンスを有し、電流制御スイッチ及び2次整流ダイオードは、電流制御スイッチ及び2次整流ダイオードの実効キャパシタンスが適切に整合されるように選択されうる。例えば、本発明の結果を達成するための値は、数値解析、シミュレーション、又は類似の手法を利用して決定することができる。
【0073】
[0082]他の実施形態では、1次及び2次側キャパシタンスは、1つ又は複数のコンバータ構成要素を動的に調整、追加、及び/又は除去することによって整合されうる。そのような実施形態において、1次側キャパシタンスは、スイッチ寄生キャパシタンスに加えて、スイッチ及び任意の電子的に等価な位置の両端に接続された任意のコンデンサの全キャパシタンスであり、2次側キャパシタンスは、2次整流ダイオード寄生キャパシタンスに加えて、ダイオード及び任意の電子的に等価な位置の両端に接続された任意のコンデンサの全キャパシタンスである。1次及び2次側キャパシタンスは、コンデンサの1つ又は複数を調整し及び/又は回路内へ若しくは回路外へ切り替えることによって(例えば、追加のコンデンサは、コンデンサと直列のスイッチを作動状態/非作動状態にすることによって、回路内へ/外へ切り替えられる)、整合されうる。例えば、整合したキャパシタンスを達成するために、1つ又は複数のコンデンサを、電流制御スイッチの両端及び/又は2次整流ダイオードの両端に追加することができ、代わりに、1つ又は複数のコンデンサを、電流制御スイッチ及び/又は2次整流ダイオードの両端に接続されているのと電子的に等価なようにDC−DCコンバータ104に追加してもよい。
【0074】
[0083]方法600は、ステップ606に進む。ステップ606で、電流制御スイッチが非作動状態にされ1次巻線に蓄積されたエネルギーが2次巻線に伝達されるときに無損失コミュテーションを達成するための可能な遷移時間が決定される。無損失コミュテーションを達成するために、漏れインダクタンス電流(すなわち、1次巻線を通る電流llk)は、電流制御スイッチの両端の電圧(Vcp)及びダイオード又は代替の2次スイッチング素子の両端の電圧(Vcs)がそれぞれ定常値のVin+(Np/Ns)×Vout及びゼロに達するのと同時に、谷(すなわち、ゼロ勾配dllk/dt=0を有するゼロの値)に達しなければならない。そのような条件は、電流制御スイッチの開放の後の規則的間隔の1つで(すなわち遷移時間で)発生することができる。これらの遷移時間は、
【数13】
の間隔で発生し、式中、nは、奇数の整数(例えば、1、3、5など)、Llkは、1次側を基準とした全実効直列インダクタンス、Cmatchは、整合した1次及び2次側実効キャパシタンスである。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のインダクタは、インダクタンスLlkがこれらのインダクタによって調節されるように1次巻線及び/又は2次巻線と直列に追加されうる。そのような実施形態では、追加されたインダクタの1つ又は複数は、インダクタンスLlkを所望の量で調節するために、(例えば、スイッチをインダクタと並列に動作させることによって)調整され及び/又は回路内へ又は回路外へ切り替えられる。
【0075】
[0084]方法600は、ステップ608に進み、無損失コミュテーションを達成しながら単一のピーク電流値Ippeakを使用してDC−DCコンバータが動作させられることが可能であるかどうかを決定する。無損失コミュテーションを達成するために、Ippeak値の値は、式(3)を満たすとともに、所与のVinから所望のVoutをもたらすものでなければならない。そうした条件を満足することができる場合、方法600はステップ610に進む。ステップ610で、式(3)を満たすとともに入力電圧Vinに対して所望のVoutを生成する、DC−DCコンバータを動作させるためのピーク電流Ippeakが決定される。方法は、ステップ612に進み、DC−DCコンバータが、開閉のための計算されたピーク電流レベルを利用して動作させる。
【0076】
[0085]方法600は、ステップ615に進む。ステップ615で、DC−DCコンバータの動作を継続するかどうか決定が行われる。ステップ615の決定の結果が、はいの場合、方法600はステップ612に戻り、ステップ615の決定の結果が、いいえの場合、方法600はステップ620に進んでそこで終了する。
【0077】
[0086]ステップ608で単一のIppeakを利用できないことが決定された場合、方法600は、ステップ614に進む。ステップ614では、それぞれが式(3)を満たししたがって無損失コミュテーションをもたらす2つの異なるピーク電流値でDC−DC変換モジュールを動作させることによって無損失コミュテーションを達成するための解が、決定される。無損失コミュテーションを達成するための可能な遷移時間に基づいて、第1のピーク電流及び対応する第1の数の開閉サイクルが、第2のピーク電流及び対応する第2の数の開閉サイクルとともに決定される(すなわち、DC−DCコンバータが、第1の数の開閉サイクルにわたって第1のピーク電流で切り替えをし、次いで、第2の数の開閉サイクルにわたって第2のピーク電流で切り替えをするように動作させられる)。第1及び第2のピーク電流並びに対応する開閉サイクルは、ピーク電流間のディザリングが入力電圧Vinに対して所望の出力電圧Voutを生成する平均ピーク電流をもたらすように決定される。例えば、DC−DCコンバータは、無損失コミュテーションを達成する第1のピーク電流を利用して42マイクロ秒間動作し、次いで無損失コミュテーションを達成する第2のピーク電流を利用して126マイクロ秒間動作し、次いで第1のピーク電流を利用する42マイクロ秒に戻り、以下同様に動作することができる。そのような第1のピーク電流値と第2のピーク電流値の間のディザリングは、ダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)機能、シグマデルタ変調、又は平均電流を制御するための任意の適切なタイプの変調を使用して行うことができる。いくつかの代替実施形態では、無損失コミュテーションのための3つ以上のピーク電流、及びピーク電流のそれぞれで動作するための対応する開閉サイクルの数が、所望の平均ピーク電流を達成するために利用されてもよい。
【0078】
[0087]方法600は、ステップ616に進み、DC−DC電力変換中に無損失コミュテーションを達成するために、第1及び第2のピーク電流値並びに対応する第1及び第2の数の開閉サイクルに基づいて、DC−DCコンバータを動作させる。ステップ619で、DC−DCコンバータの動作を継続するかどうか決定が行われる。ステップ619の決定の結果が、はいの場合、方法600はステップ616に戻り、ステップ619の決定の結果が、いいえの場合、方法600はステップ620に進んでそこで終了する。
【0079】
[0088]いくつかの代替実施形態では、DC−DCコンバータ動作パラメータVin、Vout、Cmatch、又はLlkのうちの1つ又は複数が、DC−DCコンバータの動作中に変化することがある。そのような実施形態では、方法600は、ステップ606に戻り、DC−DCコンバータ動作パラメータのうちの1つ又は複数を、DC−DCコンバータが無損失コミュテーションで動作するのを継続するように動的に調節することができる。
【0080】
[0089]
図7は、本発明の1つ又は複数の実施形態による、DC−DCコンバータの動作中に無損失コミュテーションを達成するために1次及び2次キャパシタンスを設定するための方法の流れ図である。方法700のDC−DCコンバータは、方法600に関連して前述したDC−DCコンバータと類似している。
【0081】
[0090]方法700は、ステップ702で開始し、ステップ704に進み、入力電圧を所望の出力電圧に変換するようにDC−DCコンバータを動作させるためのピーク電流を決定する。ステップ706で、無損失コミュテーションを達成するために、1次及び2次側コンデンサについての必要な整合した実効キャパシタンスが決定される。
【0082】
[0091]整合した実効キャパシタンスは、電流制御スイッチが非作動状態にされた後、それぞれの定常値のVin+(Np/Ns)×Vout及びゼロに達している電流制御スイッチの両端の電圧Vcp及び2次整流ダイオード(又は代替の2次スイッチング素子)の両端の電圧(Vcs)と一致する谷に、漏れインダクタンス電流(すなわち、1次巻線を通る電流llk)が達するように、決定されなければならない。このような条件は、前述の式(4)によって定義されるCmatchの複数の値について発生する(すなわち、奇数の整数nが変化するのに伴って、Cmatchの異なる適切な値がもたらされる)。式(4)によって定義されるようなCmatchの適切な値は、1次側を基準とした全実効直列インダクタンス(例えば、DC−DCコンバータで使用されることになる変圧器の測定された漏れインダクタンス)及び決定されたピーク電流に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、Cmatchの適切な値は、DC−DCコンバータの構成要素選択(例えば、電流制御スイッチ選択、ダイオード選択、又は追加のコンデンサの選択など)に基づいて選択されてもよい。
【0083】
[0092]方法700は、ステップ708に進む。ステップ708で、1次側キャパシタンスCcp及び2次側キャパシタンスCcsが、前述の式(1)が満たされるようにCmatchの選択された値に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1次側キャパシタンスCcpは、電流制御スイッチの寄生キャパシタンスであり、2次側キャパシタンスCcsは、2次整流ダイオードの寄生キャパシタンスである。他の実施形態において、1次側キャパシタンスは、電流制御スイッチ寄生キャパシタンスに加えて、電流制御スイッチ及び任意の電子的に等価な位置の両端に接続された任意のコンデンサの全キャパシタンスであり、並びに/又は、2次側キャパシタンスは、2次整流ダイオード寄生キャパシタンスに加えて、ダイオード及び任意の電子的に等価な位置の両端に接続された任意のコンデンサの全キャパシタンスである。
【0084】
[0093]方法700は、ステップ710に進み、1次及び2次側キャパシタンスが必要値に設定される。いくつかの実施形態では、1次及び2次側キャパシタンスは、電流制御スイッチ及び2次整流ダイオードの設計上の選択によって、必要値に設定されうる、すなわち、電流制御スイッチ及び2次整流ダイオードは、電流制御スイッチ及び2次整流ダイオードの寄生キャパシタンスが必要な1次側及び2次側のキャパシタンスとそれぞれ等しくなるように選択されうる。いくつかの実施形態では、これらの寄生キャパシタンスは線形でないことがあるが、非線形キャパシタンスが特定の動作点において実効キャパシタンスを有し、電流制御スイッチ及び/又は2次整流ダイオードは、1つ又は複数のそのような動作点で必要な1次及び2次側キャパシタンスを達成するように選択されうる。例えば、本発明の結果を達成するための値は、数値解析、シミュレーション、又は類似の手法を利用して決定することができる。
【0085】
[0094]他の実施形態では、1次及び/又は2次側キャパシタンスは、1つ又は複数のコンバータコンデンサを調整、追加、及び/又は除去することによって動的に設定されうる。そのような実施形態において、1次側キャパシタンスは、電流制御スイッチ寄生キャパシタンスに加えて、スイッチ及び任意の電子的に等価な位置の両端に接続された任意のコンデンサの全キャパシタンスであり、2次側キャパシタンスは、2次整流ダイオード寄生キャパシタンスに加えて、ダイオード及び任意の電子的に等価な位置の両端に接続された任意のコンデンサの全キャパシタンスである。これらのコンデンサは、必要な1次及び2次側キャパシタンスが達成されるように、(例えば、コンデンサと直列のスイッチを作動状態/非作動状態にすることによって)調整され、及び/又は回路内/外に切り替えられることが可能である。
【0086】
[0095]方法700は、ステップ712に進み、必要なピーク電流及び整合したキャパシタンスに基づいてDC−DCコンバータを動作させて、DC−DC電力変換中に無損失コミュテーションを達成する。
【0087】
[0096]ステップ714で、DC−DCコンバータの動作を継続するかどうか決定が行われる。そのような決定の結果が、はいの場合、方法700はステップ712に戻り、そのような決定の結果が、いいえの場合、方法700はステップ716に進んでそこで終了する。
【0088】
[0097]いくつかの代替実施形態では、方法700で説明したように1次及び2次側キャパシタンスを設定するのに加えて、(例えば、方法600に関して先に説明したように)DC−DCコンバータを異なるピーク電流で動作させるためにディザリング手法を利用することによって、無損失コミュテーションを達成することができる。
【0089】
[0098]他の代替実施形態では、DC−DCコンバータ動作パラメータVin、Vout、ピーク電流Ippeak、又は1次側を基準とした全実効直列インダクタンスのうちの1つ又は複数のが、DC−DCコンバータの動作中に変化することがある。そのような実施形態では、方法700は、ステップ704に戻り、DC−DCコンバータ動作パラメータのうちの1つ又は複数を、DC−DCコンバータが無損失コミュテーションで動作するのを継続するように動的に調節することができる。
【0090】
[0099]
図8は、本発明の1つ又は複数の実施形態による、DC−DCコンバータの動作中に電流制御スイッチに対するピークストレスを低減するための方法800の流れ図である。方法800のDC−DCコンバータは、方法600に関連して前述したDC−DCコンバータと類似している。
【0091】
[00100]DC−DCコンバータは、所与の時間における入力電圧に基づいて所与の時間で所望の出力電圧を達成するために、ピーク電流値(すなわち、電流制御スイッチが非作動状態にされる値)の範囲にわたって動作させることができる。例えば、所望の出力電圧を維持するために、電流制御スイッチを切り替えるためのピーク電流値を、入力電圧が変化するのに伴って調節することができる。
【0092】
[00101]方法800は、ステップ802で開始しステップ804に進む。ステップ804で、動作範囲にわたるDC−DCコンバータのための主要動作パラメータが計算される。そのようなキー動作パラメータは、入力電圧(Vin)、出力電圧(Vout)、電流制御スイッチの両端の電圧(Vcp)2次整流ダイオード若しくは代替の2次スイッチング要素の両端の電圧(Vcs)、並びに/又は1次電流(Ip)/漏れインダクタンス電流(llk)を含むことができる。さらに又は代わりに、DC−DCコンバータの他の動作パラメータが計算されてもよい。いくつかの実施形態では、動作マップが、測定された主要パラメータを動作範囲に対してマッピングするために生成されてもよい。
【0093】
[00102]方法800は、ステップ806に進み、電流制御スイッチに対する最大ストレスの点を決定する。いくつかの実施形態では、最大ストレス点は、電流制御スイッチの両端の電圧Vcpがその最高レベルにあるときに生じるものとして識別されうる。ステップ808で、最大スイッチストレスの点に対応するピーク1次電流(「最大ストレスピーク電流」)を決定する。いくつかの実施形態では、最高ピーク1次電流は、最大ストレス点に対応する。次いで、方法800はステップ810に進む。
【0094】
[00103]ステップ810で、最大ストレスピーク電流で切り替えをしたときに無損失コミュテーションを達成することができるように、必要な整合した1次及び2次側実効キャパシタンス値(すなわちCmatch)が決定される。Cmatchの値は、式(4)が満たされるように、最大ストレスピーク電流と1次側を基準とした全実効直列インダクタンスとに基づいて決定される。変圧器漏れインダクタンスのみからもたらされるとき、1次側を基準とした全実効直列インダクタンスは、例えば、DC−DCコンバータで使用されることになる特定の変圧器の漏れインダクタンスを測定することによって、決定されうる。
【0095】
[00104]方法800は、ステップ812に進み、Cmatchの値がスイッチング素子の寄生キャパシタンス(例えば、電流制御スイッチ112及び整流ダイオード114の寄生キャパシタンス)よりも大きいかどうかを決定する。そのような決定の結果が、いいえの場合、方法はステップ814に進み、例えば、構成要素の設計上の選択、或いは1つ若しくは複数のインダクタを調整し及び/又はDC−DCコンバータ内/外へ切り替えることによって、コンバータの1次側を基準とした全実効直列インダクタンス(例えばLK)を増大させる。次いで、方法800はステップ810に戻る。
【0096】
[00105]ステップ812の決定の結果が、はいの場合、方法800はステップ816に進む。ステップ816で、必要な実効1次及び2次側キャパシタンスは、式(1)が満たされるように確定され、ここでは、1次側キャパシタンスは、電流制御スイッチ寄生キャパシタンスに加えて、電流制御スイッチ及び任意の電子的に等価な位置の両端に接続された任意のコンデンサの全キャパシタンスであり、2次側キャパシタンスは、2次整流ダイオード寄生キャパシタンスに加えて、ダイオード及び任意の電子的に等価な位置の両端に接続された任意のコンデンサの全キャパシタンスである。いくつかの実施形態では、実効1次側キャパシタンス及び/又は実効2次側キャパシタンスはそれぞれ、電流制御スイッチ及び/又は2次整流ダイオードの設計上の選択によって増大されてもよい。さらに又は代わりに、1つ又は複数のキャパシタンスは、前述のように、調整され、DC−DCコンバータに追加され、及び/又はDC−DCコンバータから除去されてもよい。
【0097】
[00106]方法800は、ステップ818に進み、DC−DCコンバータを動作させる。整合した1次及び2次側キャパシタンスの結果として、DC−DCコンバータが最大ストレスピーク電流で切り替えをするとき無損失コミュテーションが発生して、そうでなければ最大ストレスピーク電流での切り替え中に発生したであろうリンギングを取り除く。このように、電流制御スイッチに対するストレスレベルは、無損失コミュテーションを達成することなく切り替えをするときに生じるであろう値よりも低い値に抑えられる。
【0098】
[00107]方法800は、ステップ820に進み、DC−DCコンバータの動作を継続するかどうか決定する。そのような決定の結果が、はいの場合、方法800はステップ818に戻り、そのような決定の結果が、いいえの場合、方法800はステップ822に進んでそこで終了する。
【0099】
[00108]
図9は、本発明の1つ又は複数の実施形態による、DC−DCコンバータの動作中に無損失コミュテーションを達成するためにインダクタンスを設定するための方法900の流れ図である。方法900のDC−DCコンバータは、方法600に関連して前述したDC−DCコンバータと類似している。
【0100】
[00109]方法900は、ステップ902で開始しステップ904に進み、方法600に関連して先に述べたように1次側キャパシタンス及び2次側キャパシタンスを、1次及び2次巻線の巻線比に基づいて整合させる。ステップ906で、ピーク電流が、入力電圧を所望の出力電圧に変換するようにDC−DCコンバータを動作させるためのピーク電流が決定される。方法900は、ステップ908に進み、無損失コミュテーションを達成することになる全実効直列インダクタンスの値を式(5)に基づいて決定する。いくつかの実施形態では、全実効直列インダクタンスは、変圧器の漏れインダクタンスを含む。他の実施形態では、全実効直列インダクタンスは、意図的及び/又は非意図的に1次及び/又は2次側に配置されたインダクタンスを含む。例えば、全実効直列インダクタは、変圧器の寄生インダクタンスに加えて、1つ若しくは複数の他の構成要素の(1つ若しくは複数の)寄生インダクタンス、並びに/又は1次巻線と直列に接続されているのと電子的に等価なようにDC−DCコンバータに接続された1つ若しくは複数のインダクタの(1つ若しくは複数の)インダクタンスを含むことができる。
【0101】
[0110]方法900は、ステップ910に進み、全実効直列インダクタンスをDC−DCコンバータに設定する。いくつかの実施形態では、全実効直列インダクタンスは、DC−DCコンバータの1つ又は複数の構成要素の設計上の選択によって設定されてもよく、例えば、変圧器は、変圧器の寄生インダクタンスが全実効直列インダクタンスと等しくなるように選択されうる。他の実施形態では、全実効直列インダクタンスは、1つ又は複数のインダクタを調整すること、及び/又は1つ又は複数のインダクタをDC−DCコンバータ内/外へ切り替えることによって、動的に設定されうる。
【0102】
[00111]方法900は、ステップ912に進み、整合した1次及び2次側キャパシタンス、決定されたピーク動作電流、並びに全実効直列インダクタンスを用いて、DC−DCコンバータを動作させる。ステップ916で、DC−DCコンバータの動作を継続するかどうか決定が行われる。ステップ916の決定の結果が、はいの場合、方法900はステップ912に戻り、ステップ916の決定の結果が、いいえの場合、方法900はステップ918に進んでそこで終了する。
【0103】
[00112]いくつかの代替実施形態では、DC−DCコンバータ動作パラメータである入力電圧、所望の出力電圧、又はピーク電流のうちの1つ又は複数が、DC−DCコンバータの動作中に変化することがある。そのような実施形態では、方法900は、ステップ908に戻り、DC−DCコンバータ動作パラメータのうちの1つ又は複数を、DC−DCコンバータが無損失コミュテーションで動作するのを継続するように動的に調節することができる。
【0104】
[00113]
図10は、本発明の1つ又は複数の実施形態による、1つ又は複数のDC−DCコンバータ動作パラメータを決定するためのコンピュータ1002のブロック図である。それぞれが中央処理装置(CPU)1004に接続されたサポート回路1006及びメモリ1008を備える。
【0105】
[00114]CPU1004は、1つ又は複数の従来のより入手可能なマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラを含むことができる。代わりに、CPU1004は、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでもよい。サポート回路1006は、CPU1004の機能性を促進するために使用される周知の回路である。そのような回路には、キャッシュ、電源装置、クロック回路、バス、ネットワークカード、及び入出力(I/O)回路などが含まれるが、これらに限定されない。コンピュータ1002は、特定のソフトウェアを実行したときに、本発明の様々な実施形態を実施するための特定用途のコンピュータとなる汎用コンピュータを用いて実装されうる。いくつかの実施形態では、コンピュータ1002は、ラップトップ又はデスクトップコンピュータなどのスタンドアロンコンピュータとすることができる。他の実施形態では、コンピュータ1002は、DC−DC変換システムの部分とすることができ、例えば、コンピュータ1002は、DC−DC変換制御モジュール120の構成要素とすることができる。
【0106】
[00115]メモリ1008又はコンピュータ可読媒体には、ランダムアクセスメモリ、読出し専用メモリ、リムーバブルディスクメモリ、フラッシュメモリ、及び/又はこれらのタイプのメモリの種々の組合せを含むことができる。メモリ1008は、メインメモリと呼ばれることがあり、キャッシュメモリ又はバッファメモリとして部分的に使用されることがある。メモリ1008は、一般的に、コンピュータ1002のオペレーティングシステム(OS)1010を格納する。オペレーティングシステム1010は、以下に限定されないが、SUN Microsystems,Inc.のSOLARIS、IBM Inc.のAIX、Hewlett Packard CorporationのHP−UX、Red Hat SoftwareのLINUX、Microsoft CorporationのWindows 2000など、多くの市販のオペレーティングシステムのうちの1つとすることができる。
【0107】
[00116]メモリ1008は、DC−DCコンバータ(例えばDC−DCコンバータ104)が前述のように無損失コミュテーションで動作するために1つ又は複数の動作パラメータを決定するためのパラメータ設計モジュール1012などの様々な形態のアプリケーションソフトウェアを格納することができる。パラメータ設計モジュール1012は、1つ又は複数のDC−DCコンバータ動作パラメータ値を決定するための前述の方法600〜900のいずれかのステップの1つ又は複数を実施するために実行されうる。例えば、パラメータ設計モジュール1012は、その後にDC−DCコンバータが決定された動作パラメータに基づいて構成され動作させられる方法800のステップ804〜816を実施するために実行されうる。
【0108】
[00117]メモリ1008は、本発明に関連するデータを格納するためのデータベース1014のような様々なデータベースをさらに含むことができる。
【0109】
[00118]本発明の実施形態の以上の説明は、説明したように様々な機能を実施するいくつかの要素、デバイス、回路、及び/又は組立体を含んでいる。これらの要素、デバイス、回路、及び/又は組立体は、それぞれ説明された機能を実施するための手段の例示的な実装形態である。
【0110】
[00119]以上は本発明の実施形態に関するが、本発明の他の更なる実施形態を本発明の基本的範囲から逸脱せずに考えることもでき、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって決定される。
[発明の例]
[例1]
DC−DCコンバータを動作させるための方法であって、
前記DC−DCコンバータの変圧器の巻線比に基づいて、前記DC−DCコンバータの1次側キャパシタンスと前記DC−DCコンバータの2次側キャパシタンスとを整合させて、結果として整合したキャパシタンスをもたらすステップと、
少なくとも1つの動作パラメータセットを用いて前記DC−DCコンバータを動作させて、1次電流の谷が2次スイッチング素子電圧のゼロ交差と一致するように、1次電流をピーク値とゼロの間で振動させるステップと
を含む方法。
[例2]
前記1次側キャパシタンスが、電流制御スイッチの第1の寄生キャパシタンスを含み、前記2次側キャパシタンスが、前記2次スイッチング素子電圧を有する2次スイッチング素子の第2の寄生キャパシタンスを含む、例1に記載の方法。
[例3]
(i)前記1次側キャパシタンスが、前記第1の寄生キャパシタンスと、前記電流制御スイッチの両端に接続されているのと電子的に等価なように前記DC−DCコンバータに接続された第1の少なくとも1つのコンデンサの第1の実効キャパシタンスとを含み、
(ii)前記2次側キャパシタンスが、前記第2の寄生キャパシタンスと、前記2次スイッチング素子の両端に接続されているのと電子的に等価なように前記DC−DCコンバータに接続された第2の少なくとも1つのコンデンサの第2の実効キャパシタンスとを含む、例2に記載の方法。
[例4]
前記第1次側キャパシタンス及び前記第2次側キャパシタンスを整合させるステップが、前記DC−DCコンバータのキャパシタンスを動的に調節するサブステップを含む、例1に記載の方法。
[例5]
前記キャパシタンスを動的に調節するサブステップが、
(i)少なくとも1つのコンデンサのうちの1つ又は複数を調整すること、
(ii)前記少なくとも1つのコンデンサのうちの1つ又は複数を前記DC−DCコンバータ内へ切り替えること、又は
(iii)前記少なくとも1つのコンデンサのうちの1つ又は複数を前記DC−DCコンバータ外へ切り替えること
のうちの少なくとも1つを含む、例4に記載の方法。
[例6]
少なくとも1つのピーク電流値を決定するステップをさらに備え、
前記少なくとも1つの動作パラメータが前記少なくとも1つのピーク電流値である、例1に記載の方法。
[例7]
前記少なくとも1つのピーク電流値を決定するステップが、第1のピーク電流値及び第2のピーク電流値を決定するサブステップを含み、
前記DC−DCコンバータを動作させるステップが、第1の数のサイクルにおいて前記第1のピーク電流値で電流制御スイッチを切り替えるサブステップと、第2の数のサイクルにおいて前記第2のピーク電流値で前記電流制御スイッチを切り替えるサブステップとを含む、例6に記載の方法。
[例8]
ピーク電流、実効インダクタンス、入力電圧、及び出力電圧に基づいて、前記整合したキャパシタンスの値を決定するステップをさらに含み、
前記1次側のキャパシタンスと前記2次側のキャパシタンスが、前記値に基づいて整合される、例1に記載の方法。
[例9]
前記整合したキャパシタンスに基づいて前記DC−DCコンバータのインダクタンスを設定するステップをさらに含む、例1に記載の方法。
[例10]
前記インダクタンスが、前記DC−DCコンバータの1次側を基準とした全実効直列インダクタンスである、例9に記載の方法。
[例11]
前記インダクタンスを設定するステップが、前記DC−DCコンバータの少なくとも1つのインダクタを動的に調節するサブステップを含む、例9に記載の方法。
[例12]
前記少なくとも1つのインダクタを動的に調節するサブステップが、
(i)少なくとも1つのインダクタのうちの1つ又は複数を調整すること、
(ii)前記少なくとも1つのインダクタのうちの1つ又は複数を前記DC−DCコンバータ内へ切り替えること、又は
(iii)前記少なくとも1つのインダクタのうちの1つ又は複数を前記DC−DCコンバータ外へ切り替えること
のうちの少なくとも1つを含む、例11に記載の方法。
[例13]
動作範囲にわたって前記DC−DCコンバータを動作させるための前記DC−DCコンバータの少なくとも1つの電圧及び少なくとも1つの電流を計算するステップと、
前記計算された少なくとも1つの電圧及び前記計算された少なくとも1つの電流に基づいて、前記DC−DCコンバータのスイッチに対する最大ストレスの点に対応するピーク電流を決定するステップと、
前記ピーク電流に基づいて、前記整合したキャパシタンスの値を決定するステップであって、前記1次及び2次側キャパシタンスが、前記整合したキャパシタンスの前記値に基づいて整合される、ステップと
をさらに含む、例1に記載の方法。
[例14]
前記測定された少なくとも1つの電圧及び少なくとも1つの電流を前記動作範囲に対してマッピングして、動作マップを生成するステップをさらに含む、例13に記載の方法。
[例15]
前記ピーク電流が、前記動作範囲上に発生する最大ピーク電流に対応する、例13に記載の方法。