(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タンク内の液体還元剤を吸い上げて圧送するポンプと、前記液体還元剤を内燃機関の排気通路内に噴射する還元剤噴射弁と、前記ポンプにより圧送される前記液体還元剤を前記還元剤噴射弁に導く還元剤供給通路と、前記還元剤供給通路と前記タンクとの間に接続された還元剤リターン通路と、前記還元剤供給通路内の還元剤圧力を検出するための圧力センサと、を備え、前記還元剤圧力が所定の目標圧力となるように制御しながら前記還元剤噴射弁による前記液体還元剤の噴射制御が実行される還元剤供給装置において、
前記還元剤リターン通路に備えられて通電によって開度が制御される流路絞り弁と、
前記還元剤圧力と前記目標圧力との差分に基づいて前記ポンプの出力をフィードバック制御するポンプ制御手段と、
前記還元剤噴射弁の操作量の変化に応じて前記流路絞り弁の開度を制御する流路絞り弁制御手段と、
を備え、
前記流路絞り弁制御手段は、所定の基本開度で前記流路絞り弁を常時開弁しておき、前記還元剤噴射弁の操作量が大きく増加するときに前記流路絞り弁の開度を一時的に小さくし、前記還元剤噴射弁の操作量が大きく減少するときに前記流路絞り弁の開度を一時的に大きくすることを特徴とする還元剤供給装置。
前記流路絞り弁の開度を一時的に変更した場合に前記還元剤圧力が上限閾値を超えたとき又は下限閾値を下回ったときには、次回以降、前記還元剤圧力が前記上限閾値又は前記下限閾値内に収まるように、前記流路絞り弁の開度を変更するときの前記時間又は前記操作量を補正する補正手段を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の還元剤供給装置。
前記還元剤供給装置は、前記液体還元剤の噴射制御中に非通電状態とされて圧送される前記液体還元剤を前記還元剤噴射弁側に流通させる一方、前記液体還元剤の噴射制御終了時に通電状態とされて圧送される前記液体還元剤を前記タンク側に流通させる流路切換弁と、前記流路切換弁への通電制御を行う流路切換弁制御手段と、を備え、
前記ポンプ、前記流路絞り弁、及び前記流路切換弁は一つのユニットとして構成され、
前記流路切換弁制御手段及び前記流路絞り弁制御手段は一つの制御装置として構成され、
前記流路絞り弁の制御及び前記流路切換弁の制御は一本のハーネスを利用して行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の還元剤供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明にかかる還元剤供給装置及び内燃機関の排気浄化装置に関する実施の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
なお、それぞれの図中において同じ符号が付されているものは、特に説明がない限り同一の構成要素を示しており、適宜説明が省略されている。
【0025】
[第1の実施の形態]
1.排気浄化装置の全体的構成
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる還元剤供給装置20を備えた排気浄化装置10の構成を説明するために示す図である。
図1において、排気浄化装置10は、排気中のNO
Xを浄化するための装置であり、図示しないディーゼルエンジン等の内燃機関の排気通路3に設けられている。排気浄化装置10は、排気通路3の途中に介装されたNO
X浄化触媒13と、NO
X浄化触媒13よりも上流側の排気通路3内に液体還元剤を供給するための還元剤供給装置20とを備えている。
【0026】
NO
X浄化触媒13は、排気中のNO
Xの分解を促進する機能を有する触媒である。NO
X浄化触媒13としては、主にNO
X選択還元触媒やNO
X吸蔵触媒等が用いられる。NO
X選択還元触媒は、還元剤を吸着するとともに、流れ込むNO
Xを還元剤によって選択的に還元する触媒である。NO
X選択還元触媒を用いる場合においては、尿素水溶液や未燃燃料(HC)が液体還元剤として用いられる。
【0027】
また、NO
X吸蔵触媒は、排気の空燃比が燃料リーンの状態で排気中のNO
Xを吸蔵する一方、排気の空燃比が燃料リッチの状態でNO
Xを放出するとともに未燃燃料(HC)によって排気中のNO
Xを還元する触媒である。NO
X吸蔵触媒を用いる場合においては、未燃燃料(HC)が液体還元剤として用いられる。
【0028】
還元剤供給装置20は、液体還元剤が収容されるタンク21と、液体還元剤を吸い上げて圧送するポンプユニット30と、圧送される液体還元剤を排気通路3内に噴射する還元剤噴射弁25とを備えている。ポンプユニット30は、電磁ポンプ23と、流路切換弁33と、流路絞り弁35とを備えている。還元剤噴射弁25、電磁ポンプ23、流路切換弁33、及び流路絞り弁35は、電子制御装置40によって駆動制御が行われる。
【0029】
タンク21と電磁ポンプ23との間には第1の還元剤供給通路27が設けられ、電磁ポンプ23と還元剤噴射弁25との間には第2の還元剤供給通路28が設けられている。また、第2の還元剤供給通路28の途中には、他端がタンク21に接続された還元剤リターン通路29が分岐して設けられている。
【0030】
圧力センサ31は、還元剤噴射弁25に供給される還元剤の圧力を検出するために第2の還元剤供給通路28に設けられている。本実施の形態にかかる還元剤供給装置20においてはポンプユニット30内に圧力センサ31が設けられているが、第2の還元剤供給通路28のどの位置に設けられていても構わない。
【0031】
流路切換弁33は、電磁ポンプ23によって圧送される液体還元剤が流れる方向を、タンク21側から還元剤噴射弁25側に流れる正方向と、還元剤噴射弁25側からタンク21側に流れる逆方向とに切換える機能を有している。本実施の形態にかかる還元剤供給装置20において、流路切換弁33は、非通電状態で第1の還元剤供給通路27を電磁ポンプ23の入り口側に連通し、第2の還元剤供給通路28を電磁ポンプ23の出口側に連通する一方、通電状態で第1の還元剤供給通路27を電磁ポンプ23の出口側に連通し、第2の還元剤供給通路28を電磁ポンプ23の入り口側に連通する。
【0032】
すなわち、内燃機関の運転状態において、電子制御装置40は流路切換弁33への通電を遮断し、液体還元剤を還元剤噴射弁25に供給可能にする。一方、内燃機関の停止時において、電子制御装置40は流路切換弁33に通電し、還元剤供給装置20内の液体還元剤をタンク21に回収可能にする。
【0033】
なお、内燃機関の停止時に液体還元剤を回収するための構成は、流路切換弁33を設ける方法に限られない。例えば、電磁ポンプ23を逆回転することによって液体還元剤を回収可能に構成することができる。
【0034】
電磁ポンプ23は、電子制御装置40による通電制御によって、液体還元剤を所定の出力で圧送する。液体還元剤の噴射制御時においては、圧力センサ31によって検出される還元剤圧力Puがあらかじめ設定された所定の目標圧力Pu_tgtで維持されるように、電磁ポンプ23の出力がフィードバック制御される。具体的に、電子制御装置40は、液体還元剤の噴射制御時において、圧力センサ31によって検出される還元剤圧力Puと、あらかじめ設定された所定の目標圧力Pu_tgtとの差分ΔPuに基づいて電磁ポンプ23の出力をPID制御する。液体還元剤を回収する場合には、電子制御装置40は、あらかじめ定められた出力で電磁ポンプ23が駆動されるように制御を行う。
【0035】
還元剤噴射弁25は、通電制御によって開弁されて、液体還元剤を排気通路3内に噴射する。本実施の形態にかかる還元剤供給装置20において、電子制御装置40は、所定の演算式に基づいて目標噴射量Qdv_tgtを求めるとともに、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgtとなっていることを前提として、あらかじめ定められた噴射サイクルごとに、目標噴射量Qdv_tgtに応じた駆動デューティ比を決定して、還元剤噴射弁25の通電制御を行う。この場合、駆動デューティ比が還元剤噴射弁25の操作量に相当する。還元剤噴射弁25の駆動デューティ比とは、一噴射サイクル中の開弁時間の割合を意味する。
【0036】
流路絞り弁35は、通電制御によって弁の開度を調節可能な電磁流路絞り弁である。電子制御装置40は、液体還元剤の噴射制御時において、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比の変化に応じて流路絞り弁35の開度を制御する。また、電子制御装置40は、液体還元剤の噴射制御時において、あらかじめ定められた開度となるように流路絞り弁35を制御する。
【0037】
なお、本実施の形態にかかる還元剤供給装置20においては、還元剤リターン通路29を介して液体還元剤を循環させながら電磁ポンプ23の出力を制御して、還元剤圧力Puを目標圧力Pu_tgtに維持するものとなっている。すなわち、液体還元剤の噴射制御時において、流路絞り弁35は完全に閉じられることがなく、常時開かれた状態となっている。
【0038】
図2は、電子制御装置40の構成を機能的なブロックで表したものである。この電子制御装置40は、公知のマイクロコンピュータを中心に構成されたものであり、流路切換制御手段41と、ポンプ制御手段43と、還元剤噴射弁制御手段45と、流路絞り弁制御手段47とを備えている。具体的に、これらの各手段は、マイクロコンピュータによるプログラムの実行によって実現されるものとなっている。
【0039】
また、図示しないものの、電子制御装置40は、RAMやROM等の記憶素子からなる記憶手段を備えている。記憶手段には、制御プログラム及び種々の演算マップがあらかじめ記憶されているとともに、上記の各手段による演算結果等が書き込まれるようになっている。
【0040】
このうち、流路切換弁制御手段41は、内燃機関のイグニッションスイッチがオンにされた後、イグニッションスイッチがオフにされるまでの間は、流路切換弁33への通電を遮断し、イグニッションスイッチがオフにされた後、あらかじめ定められた期間だけ流路切換弁33に通電する。
【0041】
ポンプ制御手段43は、所定の演算周期ごとに圧力センサ31によって検出される還元剤圧力Puを読み込み、還元剤圧力Puとあらかじめ設定された目標圧力Pu_tgtとの差分ΔPuを求めて、電磁ポンプ23の出力のPID制御を実行する。本実施の形態において、ポンプ制御手段43は、目標出力としてのポンプ回転数を表す駆動デューティを演算により求めて、電磁ポンプ23の出力制御を行うようになっている。
【0042】
還元剤噴射弁制御手段45は、所定の演算周期ごとにNO
X濃度センサ又は内燃機関の運転状態等に基づいて得られるNO
X流量や、NO
X浄化触媒13の温度、その他の情報に基づいて液体還元剤の目標噴射量Qdv_tgtを求め、この目標噴射量Qdv_tgtに基づいて還元剤噴射弁25の駆動デューティ比を制御する。このとき求められる駆動デューティ比は、還元剤噴射弁25に供給されている液体還元剤の圧力が目標圧力Pu_tgtとなっているものとして、目標噴射量Qdv_tgtに基づいて決定される。
【0043】
流路絞り弁制御手段47は、現在の還元剤噴射弁25の駆動デューティ比と、所定回数前の演算周期における還元剤噴射弁25の駆動デューティ比との変化量に応じて流路絞り弁35の開度を制御する。所定回数前の演算周期は、演算周期の長さや圧力制御の要求精度等に応じて最適な値に設定することができる。本実施の形態にかかる還元剤供給装置20においては、流路絞り弁35の開度を三段階で切換可能になっている。具体的には、開度が、第1の開度Open State、第2の開度(基本開度)Default State、第3の開度Close Stateの三段階で切換可能になっており、その開度は、第1の開度Open State>第2の開度(基本開度)Default State>第3の開度Close State>0とされている。
【0044】
流路絞り弁制御手段47は、基本的には流路絞り弁35の開度を基本開度Default Stateに設定し、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比が大きく増加するときには、開度を一時的に第3の開度Close Stateに切換えて、還元剤圧力Puの低下が抑えられるようにする。一方、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比が大きく減少するときには、開度を一時的に第1の開度Open Stateに切換えて、還元剤圧力Puの上昇が抑えられるようにする。
【0045】
また、本実施の形態にかかる還元剤供給装置20においては、流路絞り弁35の開度を第3の開度Close Stateに切換える場合での、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比の増加量と、流路絞り弁35の開度を一時的に小さくしたまま維持する時間Tbf_closeとの関係をあらかじめ規定した第1の基本マップM1が記憶手段に記憶されている。また、流路絞り弁35の開度を第1の開度Open Stateに切換える場合での、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比の減少量と、流路絞り弁35の開度を一時的に大きくしたまま維持する時間Tbf_openとの関係をあらかじめ規定した第2の基本マップM2が記憶手段に記憶されている。
【0046】
これらの基本マップは、例えば、電磁ポンプ23のフィードバック制御を行いながら還元剤噴射弁25の駆動デューティ比を変化させたときに還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgtから大きく外れる時間をあらかじめ実験等によって求めて、この結果を基にして作成することができる。流路絞り弁制御手段47は、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比の変化量を求めた後、さらに第1の基本マップM1又は第2の基本マップM2を参照して流路絞り弁35の開度を変更する時間を求めて、流路絞り弁35の開度を切換えるようになっている。
【0047】
2.液体還元剤の圧力制御
次に、本実施の形態にかかる還元剤供給装置20において、還元剤噴射弁25に供給する圧力を目標圧力Pu_tgtで維持するために、電子制御装置40によって行われる制御の内容について詳細に説明する。
【0048】
(1)圧力変化
図3は、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比が変化する中で、電磁ポンプ23のフィードバック制御のみによって還元剤圧力Puを制御した場合の圧力変化を示している。また、
図4及び
図5は、電磁ポンプ23のフィードバック制御と併せて流路絞り弁35の開度を制御することで還元剤圧力Puを制御した場合の圧力変化を示しており、
図4が
図3中の一点鎖線で囲まれた領域Aの期間に対応し、
図5が
図3中の二点鎖線で囲まれた領域Bの期間に対応している。
【0049】
図3に示すように、電磁ポンプ23のフィードバック制御のみによって還元剤圧力Puを制御する場合、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比が0%から50%に急激に増加した場合(領域A)や、50%から0%に急激に減少した場合(領域B)において、直後の還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgtから大きく外れている。また、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比が0%から50%に急激に増加した場合(領域A)においては、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgtから大きく外れた後、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgtを中心に振幅を繰り返し、減衰しない状態となる。
【0050】
これに対して、
図4に示すように、電磁ポンプ23のフィードバック制御と流路絞り弁35の開度の制御とを併用した場合、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比が0%から50%に急激に増加する場合においては、流路絞り弁35の開度が時間Tbfv_closeの期間、第3の開度Close Stateに切換えられる。その結果、第2の還元剤供給通路28内の圧力低下が抑えられ、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgtから大きく外れることがなくなる。また、その後も、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgtに向けて速やかに減衰するようになる。
【0051】
また、
図5に示すように、電磁ポンプ23のフィードバック制御と流路絞り弁35の開度の制御とを併用した場合、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比が
50%から
0%に急激に
減少した場合においては、流路絞り弁35の開度が時間Tbfv_openの期間、第1の開度Open Stateに切換えられる。その結果、第2の還元剤供給通路28内の圧力上昇が抑えられ、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgtから大きく外れることがなくなる。
【0052】
(2)フローチャート
以下、本実施の形態にかかる還元剤供給装置20に備えられた電子制御装置40によって実行される流路絞り弁35の制御方法の一例を、
図6〜
図8のフローチャート図に沿って具体的に説明する。以下に説明するルーチンは、内燃機関の運転中において、常時実行されるようになっている。
なお、以下のフローチャート図に記載していないものの、流路絞り弁35の制御と並行して、電磁ポンプ23の出力のフィードバック制御が実行される。
【0053】
まず、
図6のステップS11において、電子制御装置40は、液体還元剤の噴射制御を開始した後、ステップS12において、流路絞り弁35の開度を第2の開度(基本開度)Default Stateに設定し、さらにステップS13において、流路絞り弁35の制御を開始する。
【0054】
次いで、電子制御装置40は、ステップS14において、現在の還元剤噴射弁25の駆動デューティ比とあらかじめ規定された所定回数前の演算周期の駆動デューティ比との差分ΔDVdutyを算出した後、ステップS15において、駆動デューティ比の差分ΔDVdutyが、あらかじめ設定された上限閾値未満となっているか否かを判別する。上限閾値は、液体還元剤の噴射量が急激に増加して還元剤圧力Puが大幅に低下しそうな状態を判定するための閾値であって、圧力制御の要求精度等を考慮して適宜の値に設定される。
【0055】
ステップS15において、差分ΔDVdutyが上限閾値以上となっている場合(No判定)には、ステップS17に進み、電子制御装置40は、還元剤圧力Puの低下を防ぐために、流路絞り弁35の開度をさらに絞る制御を実行してステップS13に戻る。
【0056】
図7は、ステップS17で実行する流路絞り弁35の開度を絞る制御の一例を具体的に示すフローチャート図である。この例では、まず、ステップS21において、電子制御装置40は、流路絞り弁35の開度を第3の開度Close Stateに設定する。次いで、ステップS22において、電子制御装置40は、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比の差分ΔDVdutyに基づいて、上述した第1の基本マップM1から、開度を第3の開度Close Stateで維持する継続時間Tbfv_closeを求めて設定する。
【0057】
次いで、ステップS23において、電子制御装置40は、流路絞り弁35の開度を絞る制御を開始してからの経過時間Tが継続時間Tbfv_closeに到達したか否かを判別する。このステップS23は、経過時間Tが継続時間Tbfv_closeに到達するまで繰り返され、経過時間Tが継続時間Tbfv_closeに到達したときにはステップS24に進み、電子制御装置40は、流路絞り弁35の開度を第2の開度(基本開度)Default Stateに戻した後に、流路絞り弁35の開度を絞る制御を終了する。
【0058】
図6に戻り、ステップS15において、差分ΔDVdutyが上限閾値未満となっている場合(Yes判定)には、ステップS16に進み、電子制御装置40は、差分ΔDVdutyが下限閾値を超えているか否かを判別する。下限閾値は、液体還元剤の噴射量が急激に減少して還元剤圧力Puが大幅に上昇しそうな状態を判定するための閾値であって、圧力制御の要求精度等を考慮して適宜の値に設定される。
【0059】
ステップS16において、差分ΔDVdutyが下限閾値以下となっている場合(No判定)には、ステップS18に進み、電子制御装置40は、還元剤圧力Puの上昇を防ぐために、流路絞り弁35の開度を拡大する制御を実行してステップS13に戻る。
【0060】
図8は、ステップS18で実行する流路絞り弁35の開度を拡大する制御の一例を具体的に示すフローチャート図である。この例では、まず、ステップS31において、電子制御装置40は、流路絞り弁35の開度を第1の開度Open Stateに設定する。次いで、ステップS32において、電子制御装置40は、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比の差分ΔDVdutyに基づいて、上述した第2の基本マップM2から、開度を第1の開度Open Stateで維持する継続時間Tbfv_openを求めて設定する。
【0061】
次いで、ステップS33において、電子制御装置40は、流路絞り弁35の開度を拡大する制御を開始してからの経過時間Tが継続時間Tbfv_openに到達したか否かを判別する。このステップS33は、経過時間Tが継続時間Tbfv_openに到達するまで繰り返され、経過時間Tが継続時間Tbfv_openに到達したときにはステップS34に進み、電子制御装置40は、流路絞り弁35の開度を第2の開度(基本開度)Default Stateに戻した後に、流路絞り弁35の開度を拡大する制御を終了する。
【0062】
図6に戻り、ステップS16において、差分ΔDVdutyが下限閾値を超えている場合には、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比の差分ΔDVdutyが所定範囲にあり(下限閾値<ΔDVduty<上限閾値)、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgtから大きく外れるおそれがないことから、そのままステップS13に戻る。その後は、これまで説明した手順に沿って同様の演算処理が繰り返される。
【0063】
3.第1の実施の形態による効果
以上説明した本発明の第1の実施の形態にかかる還元剤供給装置20は、電磁ポンプ23の出力のフィードバック制御と併せて、還元剤リターン通路29の途中に設けられた流路絞り弁35の開度を還元剤噴射弁25の駆動デューティ比の差分ΔDVdutyに応じて調節することとしているため、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgtから大きく外れる状態を低減することを可能にすることができる。その結果、還元剤圧力Puが目標圧力Pt_tgtとなっていることを前提に還元剤噴射弁25の制御を実行することで、液体還元剤が過不足なく排気通路3内に噴射されるようになる。また、還元剤噴射弁25の詰まり診断等、還元剤圧力Puを用いた種々の診断制御が実行される場合においては、診断精度の低下を防ぐことができる。したがって、排気浄化制御を精度良く実行可能な排気浄化装置10を提供することを可能にすることができる。
【0064】
また、第1の実施の形態にかかる還元剤供給装置20によれば、電子制御装置40の流路絞り弁制御手段47は、第2の開度(基本開度)Default Stateで流路絞り弁35を常時開弁しておき、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比が急激に増加するときに流路絞り弁35の開度を第3の開度Close Stateに設定して開度を一時的に小さくし、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比が急激に減少するときに流路絞り弁35の開度を第1の開度Open Stateに設定して開度を一時的に大きくすることとしている。したがって、液体還元剤の噴射量が大きく増加又は減少する場合に応じて還元剤リターン通路29を流れるリターン流量が変更され、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgtから大きく外れることを防ぐことができる。
【0065】
また、第1の実施の形態にかかる還元剤供給装置20によれば、電子制御装置40の流路絞り弁制御手段47は、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比の変化に応じた異なる時間で流路絞り弁35の開度を制御することとしている。したがって、比較的簡易な構成の流路絞り弁35を採用することができるようになり、圧力制御の精度を向上することができるとともに、コストを抑えることができる。
【0066】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態にかかる還元剤供給装置は、基本的な構成が第1の実施の形態にかかる還元剤供給装置の場合と同様である一方、電子制御装置による制御の内容が第1の実施の形態にかかる還元剤供給装置の場合とは異なっている。以下、基本的な構成については
図1を参照するとともに、電子制御装置以外の各構成要素については
図1の符号をそのまま用いて、本実施の形態にかかる還元剤供給装置について説明する。
【0067】
1.電子制御装置の構成
本実施の形態にかかる還元剤供給装置において、電子制御装置は、経時劣化や各構成部品の製造公差等を考慮して、還元剤圧力Puの制御が最適な状態で維持されるように、流路絞り弁35の開度を一時的に小さく又は大きくする継続時間Tbfv_close,Tbfv_openの補正を実行可能に構成されている。
【0068】
図9は、本実施の形態にかかる還元剤供給装置に備えられた電子制御装置50の構成を機能的なブロックで表したものである。この電子制御装置50は、公知のマイクロコンピュータを中心に構成されたものであり、流路切換制御手段41と、ポンプ制御手段43と、還元剤噴射弁制御手段45と、流路絞り弁制御手段47と、補正手段51とを備えている。具体的に、これらの各手段は、マイクロコンピュータによるプログラムの実行によって実現されるものとなっている。
【0069】
また、図示しないものの、電子制御装置50は、RAMやROM等の記憶素子からなる記憶手段を備えている。記憶手段には、制御プログラム及び種々の演算マップがあらかじめ記憶されているとともに、上記の各手段による演算結果等が書き込まれるようになっている。
【0070】
このうち、流路切換制御手段41と、ポンプ制御手段43と、還元剤噴射弁制御手段45と、流路絞り弁制御手段47とは、それぞれ第1の実施の形態にかかる還元剤供給装置の場合と同様に構成することができるために、詳細な説明を省略する。
【0071】
補正手段51は、流路絞り弁35の開度をさらに絞ったり拡大したりしたときの還元剤圧力Puの最大値又は最小値が許容範囲を超えるような場合において、以降、開度を変更する継続時間Close State,Open Stateを補正する。
【0072】
2.フローチャート
本実施の形態にかかる還元剤供給装置において実行される流路絞り弁の制御方法の基本的なルーチンは、第1の実施の形態にかかる還元剤供給装置の場合と同様に、
図6に示すフローチャート図に沿って実行される。ただし、流路絞り弁35の開度をさらに絞る制御を行うステップS17や、流路絞り弁35の開度を拡大する制御を行うステップS18の内容が、第1の実施の形態にかかる還元剤供給装置の場合とは異なる。
【0073】
まず、本実施の形態にかかる還元剤供給装置において実行される、流路絞り弁35の開度をさらに絞る場合の制御の一例について、
図10に示すフローチャート図に沿って具体的に説明する。
【0074】
この例では、まず、ステップS41において、電子制御装置50は、流路絞り弁35の開度を第3の開度Close Stateに設定する。次いで、ステップS42において、電子制御装置50は、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比の差分ΔDVdutyに基づいて、上述した第1の基本マップM1やこの時点での補正量に基づいて、開度を第3の開度Close Stateで維持する継続時間Tbfv_closeを求めて設定する。
【0075】
次いで、ステップS43において、電子制御装置50は、圧力センサ31によって検出される還元剤圧力Puが圧力最小値Pu_minを下回っているか否かを判別する。圧力最小値Pu_minは、今回、流路絞り弁35の開度を絞る制御を開始した後に還元剤圧力Puが最小値を示す度に更新される値である。ステップS43において、還元剤圧力Puが、記憶されている圧力最小値Pu_min以上となっている場合(No判定)にはステップS45に進む一方、還元剤圧力Puが、記憶されている圧力最小値Pu_min未満となっている場合(Yes判定)にはステップS44に進み、そのときの還元剤圧力Puを圧力最小値Pu_minとして更新した後にステップS45に進む。
【0076】
次いで、ステップS45において、電子制御装置50は、流路絞り弁35の開度を絞る制御を開始してからの経過時間Tが継続時間Tbfv_closeに到達したか否かを判別する。ステップS45において、経過時間Tが継続時間Tbfv_closeに到達していない場合(No判定)には、ステップS43に戻り、経過時間Tが継続時間Tbfv_closeに到達するまでステップS43〜ステップS45が繰り返される。
【0077】
一方、ステップS45において、経過時間Tが継続時間Tbfv_closeに到達している場合(Yes判定)には、ステップS46に進み、電子制御装置50は、流路絞り弁35の開度を第2の開度(基本開度)Default Stateに戻す。その後、ステップS47〜ステップS48において、ステップS43〜ステップS44と同様の手順に沿って圧力最小値Pu_minの更新を継続する。圧力最小値Pu_minの更新は、ステップS49において、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgt以上の値を示していると判定される(Yes判定)まで繰り返し行われる。
【0078】
そして、ステップS49において、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgt以上になっていると判定されたときには、ステップS50に進み、電子制御装置50は、記憶されている圧力最小値Pu_minが圧力下限閾値Pu_min_threを下回っているか否かを判別する。圧力下限閾値Pu_min_threは、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgtから大きく外れて低下した場合の許容範囲を定めるものであって、圧力制御の許容誤差等を考慮して最適な値に設定される。
【0079】
ステップS50において、記憶されている圧力最小値Pu_minが圧力下限閾値Pu_min_thre以上となっている場合(No判定)には、現在の設定において圧力制御が有効に機能していると見ることができるために、そのまま流路絞り弁35の開度を絞る制御を終了する。一方、ステップS50において、記憶されている圧力最小値Pi_minが圧力下限閾値Pu_min_threを下回っている場合(Yes判定)には、ステップS51に進み、流路絞り弁35の開度を絞る制御を実行する際の継続時間Tbfv_closeの補正量を求める。
【0080】
すなわち、現在の設定で求められる継続時間Tbfv_closeで流路絞り弁35の開度を絞った場合であっても、還元剤圧力Puの低下を抑えることができていないことから、継続時間Tbfv_closeが長くなるように継続時間Tbfv_closeの補正が行われる。
【0081】
補正量は、どのような形式で求めるようになっていてもよいが、例えば、第1の基本マップM1から求められる継続時間Tbfv_closeの値に対して乗算する係数(>0)とすることもできるし、第1の基本マップM1から求められる継続時間Tbfv_closeの値に加算する値とすることもできる。また、補正量は、記憶されている圧力最小値Pu_minと圧力下限閾値Pu_min_threとの差分ΔPu_minに応じて求めるようにすることもできるし、あらかじめ設定された所定量ずつ段階的に大きくするようにすることもできる。
【0082】
ステップS51において補正量が求められた後には、ステップS52において、電子制御装置50は補正を実行し、継続時間Tbfv_closeの演算に補正量が反映されるようにする。これにより、流路絞り弁35の開度を絞る制御を終了する。
【0083】
次に、本実施の形態にかかる還元剤供給装置において実行される、流路絞り弁35の開度を拡大する場合の制御の一例について、
図11に示すフローチャート図に沿って具体的に説明する。
【0084】
この例では、まず、ステップS61において、電子制御装置50は、流路絞り弁35の開度を第1の開度Open Stateに設定する。次いで、ステップS62において、電子制御装置50は、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比の差分ΔDVdutyに基づいて、上述した第2の基本マップM2やこの時点での補正量に基づいて、開度を第1の開度Open Stateで維持する継続時間Tbfv_Openを求めて設定する。
【0085】
次いで、ステップS63において、電子制御装置50は、圧力センサ31によって検出される還元剤圧力Puが圧力最大値Pu_maxを超えているか否かを判別する。圧力最大値Pu_maxは、今回、流路絞り弁35の開度を拡大する制御を開始した後に還元剤圧力Puが最大値を示す度に更新される値である。ステップS63において、還元剤圧力Puが、記憶されている圧力最大値Pu_max以下となっている場合(No判定)にはステップS65に進む一方、還元剤圧力Puが、記憶されている圧力最大値Pu_maxを超えている場合(Yes判定)にはステップS64に進み、そのときの還元剤圧力Puを圧力最大値Pu_maxとして更新した後にステップS65に進む。
【0086】
次いで、ステップS65において、電子制御装置50は、流路絞り弁35の開度を拡大する制御を開始してからの経過時間Tが継続時間Tbfv_openに到達したか否かを判別する。ステップS65において、経過時間Tが継続時間Tbfv_openに到達していない場合(No判定)には、ステップS63に戻り、経過時間Tが継続時間Tbfv_openに到達するまでステップS63〜ステップS65が繰り返される。
【0087】
一方、ステップS65において、経過時間Tが継続時間Tbfv_openに到達している場合(Yes判定)には、ステップS66に進み、電子制御装置50は、流路絞り弁35の開度を第2の開度(基本開度)Default Stateに戻す。その後、ステップS67〜ステップS68において、ステップS63〜ステップS64と同様の手順に沿って圧力最大値Pu_maxの更新を継続する。圧力最大値Pu_maxの更新は、ステップS69において、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgt以下の値を示していると判定される(Yes判定)まで繰り返し行われる。
【0088】
そして、ステップS69において、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgt以下になっていると判定されたときには、ステップS70に進み、電子制御装置50は、記憶されている圧力最大値Pu_maxが圧力上限閾値Pu_max_threを上回っているか否かを判別する。圧力上限閾値Pu_max_threは、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgtから大きく外れて上昇した場合の許容範囲を定めるものであって、圧力制御の許容誤差等を考慮して最適な値に設定される。
【0089】
ステップS70において、記憶されている圧力最大値Pu_maxが圧力下限閾値Pu_max_thre以上となっている場合(No判定)には、現在の設定において圧力制御が有効に機能していると見ることができるために、そのまま流路絞り弁35の開度を拡大する制御を終了する。一方、ステップS70において、記憶されている圧力最大値Pi_maxが圧力上限閾値Pu_max_threを上回っている場合(Yes判定)には、ステップS71に進み、流路絞り弁35の開度を拡大する制御を実行する際の継続時間Tbfv_openの補正量を求める。
【0090】
すなわち、現在の設定で求められる継続時間Tbfv_openで流路絞り弁35の開度を絞った場合であっても、還元剤圧力Puの上昇を抑えることができていないことから、継続時間Tbfv_openが長くなるように継続時間Tbfv_openの補正が行われる。
【0091】
補正量は、どのような形式で求めるようになっていてもよいが、例えば、第2の基本マップM2から求められる継続時間Tbfv_openの値に対して乗算する係数(>0)とすることもできるし、第2の基本マップM2から求められる継続時間Tbfv_openの値に加算する値とすることもできる。また、補正量は、記憶されている圧力最大値Pu_maxと圧力上限閾値Pu_max_threとの差分ΔPu_maxに応じて求めるようにすることもできるし、あらかじめ設定された所定量ずつ段階的に大きくするようにすることもできる。
【0092】
ステップS71において補正量が求められた後には、ステップS72において、電子制御装置50は補正を実行し、継続時間Tbfv_openの演算に補正量が反映されるようにする。これにより、流路絞り弁35の開度を拡大する制御を終了する。
【0093】
3.第2の実施の形態による効果
以上説明した本発明の第2の実施の形態にかかる還元剤供給装置は、第1の実施の形態にかかる還元剤供給装置20と同様の効果を得ることができるだけでなく、さらに、流路絞り弁35の開度を変更した結果としての還元剤圧力Puと目標圧力Pu_tgtとの差の状態に応じて流路絞り弁35の開度を変更する時間Tbfv_close,Tbfv_openが補正され、還元剤圧力Puが目標圧力Pu_tgtから大きく外れることを長期間に渡って防ぐことができるようになる。したがって、還元剤供給装置の個体差や経時劣化が生じた場合であっても、長期間に渡って排気浄化制御を精度良く実行可能な排気浄化装置を提供することを可能にすることができる。
【0094】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態にかかる還元剤供給装置は、基本的な構成が第1の実施の形態又は第2の実施の形態にかかる還元剤供給装置の場合と同様であるが、本実施の形態にかかる還元剤供給装置においては、流路絞り弁の制御と流路切換弁の制御とが一本のハーネスを利用して行われるように構成されたものとなっている。
【0095】
図12(a)〜(b)は、本実施の形態にかかる還元剤供給装置における電子制御装置40,50と、流路切換弁33と、流路絞り弁35とを接続する電気回路を概略的に示す図である。このうち、
図12(a)は、液体還元剤の噴射制御中の状態を示し、
図12(b)は、液体還元剤の回収制御中の状態を示している。
【0096】
電子制御装置40,50とポンプユニット30との間には、信号線37及びグランド線38が配設されている。信号線37の途中にはスイッチドライバ39が設けられており、信号線37の接続を流路切換弁33又は流路絞り弁35とで切換可能に構成されている。
【0097】
図12(a)に示すように、液体還元剤の噴射制御中には、信号線37が流路絞り弁35側に接続されて、電子制御装置40,50によって流路絞り弁35の制御が可能になっている。また、
図12(b)に示すように、液体還元剤の回収制御中には、信号線37が流路切換弁33側に接続されて、電子制御装置40,50によって流路切換弁33の制御が可能になっている。
【0098】
本実施の形態にかかる還元剤供給装置においては、非通電状態で第1の還元剤供給通路27を電磁ポンプ23の入り口側に連通し、第2の還元剤供給通路28を電磁ポンプ23の出口側に連通する一方、通電状態で第1の還元剤供給通路27を電磁ポンプ23の出口側に連通し、第2の還元剤供給通路28を電磁ポンプ23の入り口側に連通する流路切換弁33が用いられている。すなわち、内燃機関の停止時における液体還元剤の回収制御を実行する期間だけ流路切換弁33に信号線37を接続すれば足りるため、液体還元剤の噴射制御中に制御が行われる流路絞り弁35と同時に制御が行われることがない。
【0099】
したがって、還元剤リターン通路29の途中に流路絞り弁35を設ける場合において、流路切換弁33に信号を伝達するハーネスを用いて流路絞り弁35に信号を伝達することができ、追加のハーネスが不要となる。本実施の形態にかかる還元剤供給装置は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態にかかる還元剤供給装置と同様の効果を得ることができることに加え、コストを抑えることが可能になる。
【0100】
[その他の実施の形態]
以上説明した第1〜第3の実施の形態にかかる還元剤供給装置及び排気浄化装置は、本発明の一態様を示すものであってこの発明を限定するものではなく、実施の形態は本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。第1〜第3の実施の形態にかかる還元剤供給装置及び排気浄化装置は、例えば、以下のように変更することができる。
【0101】
(1)第1〜第3の実施の形態において説明した還元剤供給装置20及び排気浄化装置10を構成する各構成要素や、電子制御装置40,50の設定値、設定条件はあくまでも一例であって、任意に変更することが可能である。
【0102】
(2)第1〜第3の実施の形態にかかる還元剤供給装置20及び排気浄化装置10は、第1の基本マップM1及び第2の基本マップM2を用いて、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比の差分ΔDVdutyに応じた継続時間Tbfv_close,Tbfv_openで流路絞り弁35の開度を変更することとしているが、時間を一定として、流路絞り弁35の開度を還元剤噴射弁25の駆動デューティ比の差分ΔDVdutyに応じて異ならせるようにしてもよい。あるいは、継続時間及び開度を、ともに、還元剤噴射弁25の駆動デューティ比の差分ΔDVdutyに応じて異ならせるようにしてもよい。このように制御する場合においても、流路絞り弁35の開度を変更した結果に基づいて、以降の継続時間あるいは開度を補正するように構成することが好ましい。
【0103】
(3)第3の実施の形態にかかる還元剤供給装置及び排気浄化装置は、第1の基本マップM1及び第2の基本マップM2をそのまま使用しつつ、補正量として、乗算する係数や加算する値を用いて継続時間Tbfv_close,Tbfv_openの補正を行うこととしているが、補正の方法はこのような方法以外であっても適宜採用することができる。例えば、流路絞り弁35の開度をさらに絞る場合のマップ及び拡大する場合のマップをそれぞれ複数準備しておき、使用するマップを切換えることで補正を行うようにすることもできる。