(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、海水淡水化プラントを併設した火力発電所が増加傾向にある。また、石炭等の化石燃料を燃焼することで発生する排ガス中に含有される硫黄分を除去するため脱硫装置が設けられている。発電所などでは大量の冷却水を必要とするため海に面した場所に建設される場合が多いこと、脱硫処理の稼動コストを低く抑えられることなどの観点から、海水を吸収液として利用して脱硫を行う海水脱硫が注目されている。
【0003】
この吸収液として海水を用いた排煙脱硫装置は、石灰‐石膏法に比べて低コストであるため、火力発電所などにおいて用いられている。また、ボイラの復水器で多量の海水を冷却水として用いるため、前記復水器から排出されて温められた海水排液の一部は脱硫装置に供給され、排ガス中のSO
2の除去が行われる。
【0004】
従来の海水を用いた海水処理装置の一例を
図26に示す。
図26は、従来の海水を用いた海水処理装置を備えた海水脱硫システムの構成を簡略に示す図である。
図26に示すように、従来の海水を用いた海水脱硫システム100は、予熱された空気11を用いて図示しないバーナにより燃焼させるボイラ12と、ボイラ12で熱交換され、排出される排ガス13中の煤塵を除去する集塵装置14と、排ガス13中の硫黄分を海水15に吸収させて脱硫し、生成される硫黄分を高濃度に含んだ硫黄分吸収海水16Aの水質回復処理を行う海水脱硫酸化処理装置101とからなるものである。この海水脱硫酸化処理装置101は、排ガス13中のSO
2を海水15に吸収させ亜硫酸(H
2SO
3)及び硫酸(H
2SO
4)として回収する排煙脱硫吸収塔20と、この排煙脱硫吸収塔20から排出される硫黄分を高濃度に含んだ硫黄分吸収海水16Aの水質回復処理を行う酸化槽102とからなるものである。
【0005】
そして、ボイラ12から排出される排ガス13を蒸気発生用の熱源として使用し、発生した蒸気を用いて蒸気タービンの発電機を駆動し、発電するようにしている。
【0006】
排ガス13は図示しない排煙脱硝装置に送給され脱硝した後、集塵装置14に送給され、排ガス13中の煤塵を除去する。そして、集塵装置14で除塵された排ガス13は誘引ファン21により排煙脱硫吸収塔20内に供給される。
【0007】
排煙脱硫吸収塔20では、海22からポンプ23を用いて汲み上げられた海水15のうち、ポンプ24により海水15の一部を海水15Aとして用いて排ガス13中の硫黄分の脱硫を行っている。即ち、化石燃料を燃焼させて生じる排ガス13には、SO
2などの形態で硫黄酸化物(SOx)である硫黄分が含有されている。海水脱硫では、排煙脱硫吸収塔20において排ガス13と海水供給ラインL1を介して供給される海水15Aとを気液接触させて、下記式に示すような反応が生じ、排ガス13中のSO
2などの形態で含有されている硫黄酸化物(SOx)などの硫黄分を海水15Aに吸収させ、脱硫を行っている。
SO
2 + H
2O → HSO
3- + H
+ ・・・(1)
【0008】
海水15Aと排ガス13との気液接触によりH
+が発生するため、海水15Aと排ガス13とを気液接触させた後の海水15Aは亜硫酸水素イオン(HSO
3-)の濃度が上昇すると共に、H
+の遊離によりpHが下がることになる。そして、多量の硫黄分を吸収させて生じる硫黄分吸収海水16AのpHは3〜6程度になる。なお、硫黄分吸収海水とは、排煙脱硫吸収塔20において硫黄分を吸収した海水の流下液のことをいう。
【0009】
そして、
排煙脱硫吸収塔
20で脱硫された浄化ガス25は浄化ガス排出ラインL2を通って煙突26より大気中に放出する。硫黄分吸収海水16Aは硫黄分吸収溶液排出ラインL3を介して排煙脱硫吸収塔20から排出される。
【0010】
排煙脱硫吸収塔20から排出される硫黄分吸収海水16Aは、海22へと放出または再利用する前にCOD成分となる亜硫酸の濃度を低減し、pH及び溶存酸素濃度を上昇させておく必要がある。そのため、硫黄分を高濃度に含んだ硫黄分吸収海水16Aは、硫黄分吸収海水排出ラインL3を介して酸化槽102に供給され、その酸化槽102の入口前流側において海水供給ラインL1により供給される海水15の一部を第一の海水分岐ラインL4により第一の希釈用海水15Bとして混合希釈させる。また、酸化槽102で硫黄分吸収海水16Aと第一の希釈用海水15Bとが混合した海水を硫黄分吸収海水16Bとする。
【0011】
この硫黄分吸収海水16BのpHを上昇させ酸化槽102におけるSO
2の再放散を防ぐと同時に酸化用空気ブロア28から空気29を散気管103を介して酸化空気用ノズル30から酸化槽102内に供給し、硫黄分吸収海水16Bと気液接触させて下記式のような反応を生じさせ、pH及び溶存酸素濃度を上昇させる。また、硫黄分吸収海水16Bを空気29と気液接触させた後の海水を硫黄分吸収海水16Cとする。
HSO
3- + 1/2O
2 → SO
42- + H
+ ・・・(2)
HCO
3- + H
+ → CO
2(g) + H
2O ・・・(3)
CO
32- + 2H
+ → CO
2(g) + H
2O ・・・(4)
【0012】
その後、第二の海水分岐ラインL5により残りの海水15を第二の希釈用海水15Cとして酸化槽102の下流側で硫黄分吸収海水16Cに混合希釈し、水質回復する。硫黄分吸収海水16Cを第二の希釈用海水15Cで希釈した溶液を水質回復海水31とする。そして、水質回復された水質回復海水31は、酸化槽102から排出され、海水排液として海水排出ラインL6を介して海22に排出される。
【0013】
このように、従来の海水脱硫システム100では、酸化槽102でSO
2の再放散の防止とpHを向上するため、硫黄分吸収海水16Aを第一の希釈用海水15Bと酸化槽102で混合希釈し、硫黄分吸収海水16Bを曝気処理することで硫黄分吸収海水16B中の亜硫酸イオン(HSO
3-)を酸化して無害化すると同時に溶存酸素濃度を向上させ、硫黄分吸収海水16Cとし、さらに硫黄分吸収海水16Cを希釈して硫黄分吸収海水16CのpHを向上させて水質回復海水31とし、海22に排出するようにしている(例えば、特許文献1〜特許文献5参照)。
【0014】
また、特許文献4では、散気管103を構成する管の一部に複数の孔を設け、酸化槽102内の硫黄分吸収海水16Bと散気管103から供給される空気29とを接触するようにした技術が開示されている。
【0015】
また、特許文献5では、散気管103の表面に多孔性膜を設け、酸化槽102内の硫黄分吸収海水16Bと散気管103の表面に設けた前記多孔性膜から供給される空気29とを接触するようにした技術が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0034】
[第一の実施の形態]
本発明による第一の実施の形態に係る第一の酸化槽を用いた海水処理装置を適用した海水脱硫システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本発明による第一の実施の形態に係る第一の酸化槽を用いた海水処理装置を適用した海水脱硫システムの構成を示す概略図であり、
図2は、本発明による第一の実施の形態に係る第一の酸化槽の構成を簡略に示す概略図であり、
図3は、通気管の構成を示す図である。図中、前記
図26に示した装置と同一構成には同一符号を付して重複した説明は省略する。
【0035】
図1に示すように、本実施の形態に係る第一の酸化槽を用いた海水処理装置を適用した海水脱硫システム40は、空気予熱器(AH)41で予熱された空気11を用いて図示しないバーナにより燃焼させるボイラ12と、ボイラ12から排出される排ガス13を蒸気発生用の熱源として使用すると共に、発生した蒸気42を用いて発電機43を駆動する蒸気タービン44と、この蒸気タービン44で凝縮した水45を回収し、循環させる復水器46と、ボイラ12から排出される排ガス13の脱硝を行う排煙脱硝装置47と、ボイラ12から排出される排ガス13中の煤塵を除去する集塵装置14と、排ガス13中の硫黄分を海水15を用いて海水脱硫し、海水脱硫することで生成される硫黄分を高濃度に含んだ硫黄分吸収海水16Aの水質回復処理を行う海水脱硫酸化処理装置48と、海水脱硫酸化処理装置48で排ガス13が脱硫された浄化ガス25を外部へ排出する煙突26とからなるものである。
尚、本実施の形態において、硫黄分吸収海水とは、排煙脱硫吸収塔20において硫黄分を吸収した海水の流下液のことをいう。
【0036】
外部から供給される空気11は押込みファン49により空気予熱器41に送給され予熱される。図示しない燃料と空気予熱器41で予熱された空気11とは前記バーナに供給され、前記燃料がボイラ12で燃焼され蒸気タービン44を駆動するための蒸気42を発生する。また、本実施の形態において用いられる図示しない燃料は、例えば油タンクなどから供給される。
【0037】
ボイラ12内で燃焼して発生する排ガス13は排煙脱硝装置47に送給される。このとき、排ガス13は復水器46から排出される水45と熱交換し、蒸気42を発生する熱源として使用され、発生した蒸気42は蒸気タービン44の発電機43を駆動している。そして、蒸気タービン44で凝縮した水45を再びボイラ12に戻し、循環させるようにしている。
【0038】
そして、ボイラ12から排出され、排煙脱硝装置47に導かれた排ガス13は排煙脱硝装置47内で脱硝され、空気予熱器41で空気11と熱交換した後、集塵装置14に送給され、排ガス13中の煤塵を除去する。そして、集塵装置14で除塵された排ガス13は、誘引ファン21により排煙脱硫吸収塔20内に供給される。この時、排ガス13は熱交換器50で排煙脱硫吸収塔20で脱硫され排出される浄化ガス25と熱交換された後、排煙脱硫吸収塔20内に供給される。また、排ガス13は熱交換器50で浄化ガス25と熱交換することなく、直接、排煙脱硫吸収塔20に供給するようにしてもよい。
【0039】
海水脱硫酸化処理装置48は、排ガス13中の硫黄酸化物(SOx)を亜硫酸(H
2SO
3)へ脱硫反応させ
、排ガス13中の硫黄分を海水15の一部の海水15Aと接触させて洗浄する排煙脱硫吸収塔20と、この排煙脱硫吸収塔20から排出される硫黄分吸収海水16A中の硫黄分を酸化すると共に脱炭酸し、水質回復を行う第一の酸化槽51−1と、海水15を排煙脱硫吸収塔20に供給する海水供給ラインL1と、硫黄分吸収海水16Aを第一の酸化槽51−1に排出する硫黄分吸収海水排出ラインL3と、海水15の一部を第一の希釈用海水15Bとして第一の酸化槽51−1の上流側に供給する第一の海水分岐ラインL4と、海水15の一部を第二の希釈用海水15Cとして
第一の酸化槽51−1の下流側に供給する第二の海水分岐ラインL5とを有するものである。
【0040】
本実施の形態においては、海水15のうち、排煙脱硫吸収塔20に送給する海水を海水15Aとし、第一の酸化槽51−1の上流側に供給する海水を第一の希釈用海水15Bとし、第一の酸化槽51−1の下流側に供給する海水を第二の希釈用海水15Cとする。
【0041】
排煙脱硫吸収塔20では、排ガス13中に含有されている硫黄分を海22から汲み上げられた海水15を用いて海水脱硫を行っている。排煙脱硫吸収塔20において排ガス13と海水供給ラインL1を介して供給される海水15Aとを気液接触させて、排ガス13中の硫黄分を海水15Aに吸収させ、海水脱硫を行っている。
【0042】
また、海22から汲み上げられた海水15は復水器46で熱交換して排出される排海水である海水15の一部を海水15Aとしてポンプ24で排煙脱硫吸収塔20に送給し、海水脱硫に用いているが、海22から汲み上げた海水15を直接用いるようにしてもよい。
【0043】
また、排煙脱硫吸収塔20において海水脱硫により海水15Aと排ガス13とを気液接触することにより発生したH
+が海水15A中に遊離するため、海水15AのpHが下がり、硫黄分吸収海水16Aには多量の硫黄分が吸収される。
【0044】
また、海水供給ラインL1から海水15の一部を第一の希釈用海水15Bとして第一の海水分岐ラインL4を介して第一の酸化槽51−1の上流側に送給し、第一の酸化槽51−1において硫黄分吸収海水16Aを第一の希釈用海水15Bと混合し、希釈している。この硫黄分吸収海水16Aを第一の希釈用海水15Bで混合し、希釈した海水を硫黄分吸収海水16Bとする。これにより、硫黄分吸収海水16BのpHを上昇させることができると共に、SO
2分圧を低減することでSO
2の飛散を防止することができる。
【0045】
また、第一の酸化槽51−1では、空気29を酸化用空気ブロア28から散気管52を介して第一の酸化槽51−1内に送り込み、第一の酸化槽51−1において硫黄分を空気29と接触させることで、酸化反応と脱炭酸反応とが生じている。
【0046】
図2に示すように、本実施の形態に係る第一の酸化槽51−1は、排ガス1
3中の硫黄分を海水15Aと接触させて海水脱硫することによって生じた硫黄分吸収海水16Aに空気29を供給する散気管52を有し、硫黄分吸収海水16Aの水質回復処理を行う酸化槽であって、第一の酸化槽51−1は、散気管52側に硫黄分吸収海水16Bを流入させる流入口53と散気管52から供給された空気29と接触させた硫黄分吸収海水16Cを流出させる流出口54とが設けられ、散気管52は、空気29を供給する本管61と、本管61から延びる通気管62とからなり、通気管62は、本管61と連結し一方向に延びる支管62aと、支管62aと連結し支管62aとは異なる方向に伸びる複数の枝管62bとからなり、枝管62bは硫黄分吸収海水16Bの流れ方向と略直交するように配設されるものである。また、通気管62は、本管61を軸に左右対称に配置されている。
【0047】
また、本実施の形態においては、流入口53は、第一の酸化槽51−1の本体51a内の硫黄分吸収海水16Bの供給側に設けられた流入板55に設けられ、流出口54は、第一の酸化槽51−1の本体51a内の硫黄分吸収海水16Bの排出側に設けられた流出板56に設けられている。
尚、
図2中、符号57は支管62a同士を連結するバルブを示す。
【0048】
また、
図3は、通気管の構成を示す図である。図3に示すように、散気管52の枝管62bは、管本体64と、この管本体64の表面を覆う多孔性膜65とからなるものであり、この管本体64の表面には複数の孔66が設けられている。
【0049】
また、
図4は、図3中の符号Aの部分を示す部分拡大図であり、多孔性膜の表面の部分拡大図である。図4に示すように、多孔性膜65の表面には微細孔67があり、通気管62の枝管62bの内部に供給された空気29は、管本体64の表面に設けられている複数の孔66を介して多孔性膜65の微細孔67から第一の酸化槽51−1内の硫黄分吸収海水16Bに供給することができる。
【0050】
このため、枝管62b全体から空気29を供給することができるため、硫黄分吸収海水16B中に空気29を更に効率良く供給することができ、硫黄分吸収海水16B中の亜硫酸水素イオン(HSO
3-)の酸化反応を更に促進することができる。
【0051】
また、通気管62は、本管61と連結し一方向に延びる支管62aと、支管62aと連結し支管62aとは異なる方向に伸びる複数の枝管62bとからなり、枝管62bは、硫黄分吸収海水16Bの流れ方向とが略直交するように配設されているため、第一の酸化槽51−1内の硫黄分吸収海水16Bの液流れに乱れを生じ易くすることができる。このため、通気管62の孔66から噴出する空気29と硫黄分吸収海水16Bとの接触効率を増加させ、硫黄分吸収海水16B中の亜硫酸水素イオンの酸化反応を更に促進することができる。
【0052】
また、
図4に示すように、多孔性膜65の表面の孔66の直径としては、例えば0.9mm以上1.1mm以下の範囲が好ましく、0.95mm以上1.05mm以下の範囲がより好ましく、更には1mm程度であるのが好ましい。これは、海水中で安定
して存在できる孔66の最低の気泡径は約1mm程度であり、孔66の大きさが例えば1.1mmよりも大きいと、枝管62bの単位通気量当たりの気液接触面積が小さくなり、酸素溶解の効率が低下するためである。一方、孔66の大きさが例えば0.9mmよりも小さいと、枝管62bの圧損が上昇し、気液接触面積を増加させ難くなるためである。
【0053】
また、多孔性膜65の材質としては、弾性体が好ましく、生産性、加工性の点でゴム製が好ましい。具体的なゴム製の材料としては、公知のものが適用され、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、シリコーンゴム、ポリウレタン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、パーフロロエラストマ等が適用される。中でも、強度等の点よりEPDMが好ましい。
【0054】
また、散気管52は、本管61を中心としてその両側に通気管62が設けられている。本管61を中心にその両側に通気管62を設けているため、通気管62の末端の枝管62bにまで空気29を安定して供給することができる。よって、本実施の形態に係る第一の酸化槽51−1に備えられている散気管52を用いれば、本管61の何れか一方の片側にのみ通気管62を設けている場合よりも、通気管62の末端にまで空気29を安定して供給することができる。このため、通気管62からの空気29を第一の酸化槽51−1内の硫黄分吸収海水16Bと従来よりも安定して接触させることができる。
【0055】
また、散気管52は本管61と通気管62とからなる管状部材で構成されているため、散気管52を容易に製造することができると共に、第一の酸化槽51−1への設置を容易にすることができる。
【0056】
また、
図3に示すように、通気管62は、円筒状の管であって通気管62の枝管62bの長手方向の形状は長方形であり、通気管62の長手方向に対して直交する断面形状を円形状としている。これに対し、従来では、空気供給設備として、例えば、平板状のプレート型の散気管や、略楕円形状とした扁平型の平板状の散気管などが用いられている。
【0057】
本実施の形態のように、枝管62bの長手方向の形状を長方形とし、枝管62bの長手方向に対して直交する断面形状を円形状とした枝管62bを用いることで、従来より用いられているような平板状のプレート型の散気管や、略楕円形状とした扁平型の平板状の散気管のような空気供給設備よりも通気管62に設けられる複数の
枝管62b同士の間隔Dを狭くして配置することができる。このため、
図2中では、枝管62b同士の間隔D
を広くしているが、枝管62b同士が接しない程度にまで間隔Dを狭くすることができる。
【0058】
本実施の形態においては、複数の枝管62b同士の各々の間隔Dは、400mm以上、1000mm以下であり、好ましくは450mm以上、490mm以下、更に好ましくは470mm程度とするのが最も好ましい。通気管62は海水中に設置して固定されているため、海水の流れの中にある通気管62は、海水からの力を受け、海水の流速に抗して、通気管62の周りの海水の流れが乱される。そのため、枝管62b同士の間隔が小さいと、下流側に位置する枝管62bは上流側に位置する枝管62bにより海水の流れの乱され具合が減り、流路抵抗が低減するため、設備コスト、ランニングコストを低減することができる。よって、枝管62b同士の間隔Dが400mmよりも小さくても上流側に位置する枝管62bが下流側に位置する枝管62bの流路抵抗となることはないが、メンテナンス性が低下するためである。また、枝管62b同士の間隔Dが1000mmよりも大きいと、枝管62b同士の間隔Dに余裕ができ、海水の流れの乱され具合が大きくなり、流路抵抗が増大するためである。
【0059】
複数の
枝管62b同士の間隔Dを狭くして配置することにより、第一の酸化槽51−1内に設置できる枝管62bの数を多くすることができるため、平板状のプレート型の散気管や、略楕円形状とした扁平型の平板状の散気管のような従来の空気供給設備に比べて散気管52から硫黄分吸収海水16Bに供給される空気量を増加させることができる。
【0060】
また、第一の酸化槽51−1内の面積当りの枝管62bの設置数を多くすることができるため、硫黄分吸収海水16Bの液流れをより乱し易くすることができ、枝管62bの多孔性膜65の微細孔67から供給される空気29と硫黄分吸収海水16Bとの接触効率を増加させることができる。
【0061】
また、本実施の形態においては、枝管62bの長手方向の形状を長方形とした矩形状のものを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、枝管62bの両端の形状を円弧状としたものを用いるようにしてもよい。円弧状としては、例えば、枝管62bの両端の形状が丸みをもつ矩形状、円形状または楕円形状などがある。
【0062】
また、本実施の形態においては、枝管62bの多孔性膜65から第一の酸化槽51−1内の硫黄分吸収海水16Bに空気29を供給するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、枝管62bの長手方向に複数の酸化空気用ノズルを設けるようにしてもよい。
【0063】
更に、枝管62bと直交する方向に更にはしご状に設けた空気29を供給する管を設け、この管も枝管62bと同様に多孔性膜65を設け、多孔性膜65の微細孔67から空気29を第一の酸化槽51−1内の硫黄分吸収海水16Bに供給するようにしてもよい。または、枝管62bと直交する方向に更にはしご状に設けた管に酸化空気用ノズルを設け、この酸化空気用ノズルから空気29を第一の酸化槽51−1内の硫黄分吸収海水16Bに供給するようにしてもよい。
【0064】
また、本実施の形態においては、
支管62aの表面に複数の孔を設け、支管62aから第一の酸化槽51−1内の硫黄分吸収海水16Bに空気29を供給するようにしてもよい。このとき、全ての通気管62に空気29が供給されるようにするため、酸化用空気ブロア28より通気管62の支管62a内に供給される空気29の圧力を調整する。
【0065】
また、本実施の形態においては、第一の酸化槽51−1の対向する壁面に、流入口53及び流出口54が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではな
い。図5、6は、酸化槽の他の構成を簡略に示す概略図である。図5、6に示すように、第一の酸化槽51−1の流入口53の設けられている壁面と隣接する何れかの壁面側に流出口54を設けるようにしてもよい。
【0066】
更に、流入口53及び流出口54は、第一の酸化槽51−1を構成する壁面ではなく、例えば、第一の酸化槽51−1の何れかの壁面の上部に、流入口53及び流出口54を設けるようにしてもよい。このとき、硫黄分吸収海水16Bは第一の酸化槽51−1の何れかの壁面の上部から流入口として第一の酸化槽51−1内に硫黄分吸収海水16Bを流入させ、硫黄分吸収海水16Bを流出させる側の壁面にはポンプを設け、第一の酸化槽51−1内の硫黄分吸収海水16Bを吸い出すようにしてもよい。
【0067】
第一の酸化槽51−1の上部に開口部として流入口及び流出口を設ける方が、第一の酸化槽51−1の壁面に流入口53及び流出口54を設ける場合より、大きい流入口及び流出口を設けやすい。このため、第一の酸化槽51−1内には、広範囲で硫黄分吸収海水16Bの流れを作り易いため、硫黄分吸収海水16Bの流れの生じない領域をでき難くすることができる。
【0068】
更に、流入口53及び流出口54の何れか一方は第一の酸化槽51−1の壁面に設け、他方は、第一の酸化槽51−1の壁面の上部に設け、硫黄分吸収海水16Bを第一の酸化槽51−1内に流入させ、第一の酸化槽51−1内の硫黄分吸収海水16Cを例えばポンプなどを用いて排出するようにしてもよい。
【0069】
また、本実施の形態においては、第一の酸化槽51−1内に枝管62bを硫黄分吸収海水16Bの流れ方向と直交するように配設しているが、本発明はこれに限定されるものではな
い。図7は、通気管の構成の一例を示す図である。図7に示すように、枝管62bを流入口53より流入してくる硫黄分吸収海水16Bの流入方向に支管62aに対して例えば45°以上、90°未満となるように傾けて配設してもよい。また、
図8は、通気管の構成の他の一例を示す図である。図8に示すように、枝管62bを流出口54に流出する硫黄分吸収海水16
Cの流出方向に支管62aに対して例えば45°以上、90°未満となる範囲で傾けて配設してもよい。このように、枝管62bを支管62aに対して所定角度傾けて設けるようにすれば、枝管62bから供給される空気29を硫黄分吸収海水16Bに更に効率良く供給することができる。
【0070】
そして、第一の酸化槽51−1で硫黄分吸収海水16B中の亜硫酸水素イオン(HSO
3-)の酸化反応、脱炭酸反応により、硫黄分吸収海水16Bは水質回復され、硫黄分吸収海水16Cとして流出板56の流出口54から排出される。
【0071】
また、海水供給ラインL1から海水15の一部を第二の希釈用海水15Cとして第二の海水
分岐ラインL
5を介して第一の酸化槽51−1の下流側に送給し、硫黄分吸収海水16Cに第二の希釈用海水15Cを混合し、硫黄分吸収海水16Cを更に希釈する。
【0072】
そして、硫黄分吸収海水16Cに第二の希釈用海水15Cを混合し、更に希釈した水質回復海水31は海水排出ラインL6を介して海水廃液として海
22に排出される。これにより、水質回復海水31のpHを上昇させると共に、CODを低減することができ、水質回復海水31のpH、CODを海水放流可能なレベルとして放出することができる。
【0073】
従って、本実施の形態に係る第一の酸化槽51−1によれば、硫黄分吸収海水16Bに空気29を供給する散気管52と、硫黄分吸収海水16Bの流入口53と流出口54とを有し、散気管52は、空気29を供給する本管61と、本管61から延びる通気管62とからなり、通気管62を、本管61と連結し一方向に延びる支管62aと、支管62aと連結し支管62aとは異なる方向に伸びる複数の枝管62bとで構成し、枝管62bを、硫黄分吸収海水16Bの流れ方向と略直交するように配設されている。硫黄分吸収海水16Bの流れ方向と通気管62の枝管62bとが略直交することで、液流れに乱れを生じ易くすることができ、通気管62から供給された空気29と硫黄分吸収海水16Bとの接触効率を増加させることができるため、空気29と硫黄分吸収海水16Bとを効率良く接触させることができ、硫黄分吸収海水16Bの酸化をより促進させることができる。
【0074】
また、通気管62の枝管62bは、管本体64とこの管本体64の表面を覆う多孔性膜65とからなり、通気管62内部に供給された空気29を多孔性膜65の微細孔67から第一の酸化槽51−1内の硫黄分吸収海水16Bに供給するため、通気管62全体から空気29を供給
することができる。このため、硫黄分吸収海水16B中に空気29を更に効率良く供給することができる。
【0075】
このように、本実施の形態に係
る第一の酸化槽51−1を用いた海水
脱硫酸化処理装置48を適用した海水脱硫システム40によれば、通気管62から供給された空気29と硫黄分吸収海水16Bとを効率良く接触させることができ、硫黄分吸収海水16Bの酸化をより促進させることができる。このため、水質回復海水31のpHを海水近くにまで上昇させ、水質回復海水31のpHの排水基準(pH6.0以上)を満たし、海洋への放出または再利用を行うことができると共に、酸化設備のコストを低減し、低コスト化を図ることができる。
【0076】
また、本実施の形態においては、第一の酸化槽51−1を
排煙脱硫吸収塔20で海水脱硫に用いた海水の処理を行う海水処理装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第一の酸化槽51−1は、例えば各種産業における工場、大型、中型火力発電所などの発電所、電気事業用大型ボイラ又は一般産業用ボイラ等から排出される排ガス中に含まれる硫黄酸化物を海水脱硫することで生じる硫黄分吸収海水中の硫黄分の除去に利用することができる。
【0077】
[第二の実施の形態]
次に、本発明による第二の実施の形態に係る第二の酸化槽を用いた海水処理装置を適用した海水脱硫システムについて、図面を参照して説明する。
海水脱硫システムの構成は、本発明の第一の実施の形態に係る第一の酸化槽を用いた海水処理装置を適用した海水脱硫システムと同様であるため、海水脱硫システムの全体の構成についての説明は省略し、本実施の形態に係る第二の酸化槽についてのみ説明する。上記第一の実施の形態に係る第一の酸化槽と同一構成については同一符号を付して重複した説明は省略する。
図9は、本発明による第二の実施の形態に係る第二の酸化槽の構成を簡略に示す概略図である。
図9に示すように、本実施の形態に係る第二の酸化槽51−2Aは、二つの散気管52−1、52−2を有し、散気管51−1が本管61と通気管62−1とを有し、散気管52−2が本管61と通気管62−2とからなる。通気管62−1は支管62a−1と枝管62b−1とを有し、通気管62−2は支管62a−2と枝管62b−2とを有する。また、枝管62b−1、62b−2の表面には、多孔性膜65(
図3、4参照)が設けられてなるものである。
【0078】
即ち、
図9に示すように、本実施の形態に係る第二の酸化槽51−2Aは、散気管52−1、52−2が支管62a−1、62a−2の軸方向に対して直交方向に所定間隔をもって並行に配置されているものである。
また、本実施の形態においては、支管62a−1、62a−2は本管61を共通にしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、支管62a−1、62a−2毎に本管61を別々に設けるようにしてもよい。
【0079】
本実施の形態に係る第二の酸化槽5
1−2Aのように、二つの散気管52−1、52−2が支管62a−1、62a−2の軸方向に対して直交方向に所定間隔をもって並行に配置することで、枝管62b−1、62b−2の各々の多孔性膜65の微細孔67から第二の酸化槽5
1−2A内の硫黄分吸収海水16Bに空気29を更に効率良く供給することができる。
【0080】
また、本実施の形態においては、第二の酸化槽52−2Aの対向する壁面に、流入口53及び流出口54が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではな
い。図10、11は、酸化槽の他の構成を簡略に示す概略図である。図10、11に示すように、第二の酸化槽51−2Aの流入口53の設けられている壁面と隣接する何れかの壁面側に流出口54を設けるようにしてもよい。
【0081】
また、本実施の形態に係る第二の酸化槽51−2Aにおいては、二つの通気管62−1、62−2の枝管62b−1、62b−2を支管62a−1、62a−2の軸方向に同列に等間隔で配置しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0082】
図12は、本実施の形態に係る第二の酸化槽の他の構成を簡略に示す概略図である。
図12に示すように、本実施の形態に係る第二の酸化槽51−2Bは、二つの通気管62−1、62−2同士を並列に配置し、それらの枝管62b−1、62b−2同士
がオフセットされている。即ち、本実施の形態に係る第二の酸化槽51−2Bは、
図9に示す第二の酸化槽51−2Aの枝管62b−1、62b−2の何れか一方又は両方の位置を支管62a−1、62a−2の軸方向にずらして枝管62b−1同士の間に枝管62b−2が位置するように設けている。
【0083】
枝管62b−1、62b−2同士がオフセットされていることで、枝管62b−1、62b−2の各々の多孔性膜65の微細孔67から第二の酸化槽5
1−2B内の硫黄分吸収海水16Bに空気29を効率良く供給することができると共に、ムラなく均一に供給することができる。
【0084】
また、第二の酸化槽51−2Bの対向する壁面に、流入口53及び流出口54が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではな
い。図13、14は、酸化槽の他の構成を簡略に示す概略図である。図13、14に示すように、第二の酸化槽51−2Bの流入口53の設けられている壁面と隣接する何れかの壁面側に流出口54を設けるようにしてもよい。
【0085】
また、本実施の形態に係る第二の酸化槽5
1−2A、5
1−2Bにおいては、散気管52−1、52−2を支管62a−1、62a−2の軸方向に対して直交方向に並列に設けるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、散気管52−1、52−2を支管62a−1、62a−2の軸方向に対して直交方向に所定間隔をもって並列に3つ以上設けるようにしてもよい。
【0086】
また、本実施の形態に係る第二の酸化槽5
1−2A、5
1−2Bにおいては、散気管52−1、52−2を支管62a−1及び62a−2の軸方向に一組設けるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、散気管52−1、52−2の何れか一方又は両方を支管62a−1、62a−2の軸方向に沿って2つ以上設けるようにしてもよい。
【0087】
また、本実施の形態においては、散気管52−1、52−2を支管62a−1、62a−2の軸方向、支管62a−1、62a−2の軸方向に対して直交方向の両方に所定間隔をもって二つ以上設けるようにしてもよい。
【0088】
[第三の実施の形態]
次に、本発明による第三の実施の形態に係る第三の酸化槽を用いた海水処理装置を適用した海水脱硫システムについて、図面を参照して説明する。
海水脱硫システムの構成は、本発明の第一の実施の形態に係る第一の酸化槽を用いた海水処理装置を適用した海水脱硫システムと同様であるため、海水脱硫システムの全体の構成についての説明は省略し、本実施の形態に係る第三の酸化槽についてのみ説明する。上記第一の実施の形態に係る第一の酸化槽及び上記第二の実施の形態に係る第二の酸化槽と同一構成については同一符号を付して重複した説明は省略する。
図15は、本発明による第三の実施の形態に係る第三の酸化槽の構成を簡略に示す概略図である。
図15に示すように、本実施の形態に係る第三の酸化槽51−3は、二つの通気管62−1、62−2の枝管62b−1、62b−2同士が櫛歯状に配置されてなるものであり、一方の通気管62−1の枝管62b−1同士の間に、隣接する他方の通気管62−2の枝管62b−2が交互に入り込みつつ配設されてなるものである。
【0089】
本実施の形態に係る第三の酸化槽51−3のように、一方の通気管62−1の枝管62b−1同士の間に隣接する他方の通気管62−2の枝管62b−2が交互に入り込みつつ配設することで、枝管62b−1、62b−2を介して多孔性膜65の微細孔67から第三の酸化槽51−3内の硫黄分吸収海水16Bに空気29を効率良く供給することができると共に、ムラなく均一に高密度で供給することができる。
【0090】
また、本実施の形態においては、第三の酸化槽51−3の対向する壁面に、流入口53及び流出口54が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではな
い。図16、17は、酸化槽の他の構成を簡略に示す概略図である。図16、17に示すように、第三の酸化槽51−3の流入口53の設けられている壁面と隣接する何れかの壁面側に流出口54を設けるようにしてもよい。
【0091】
[第四の実施の形態]
次に、本発明による第四の実施の形態に係る第四の酸化槽を用いた海水処理装置を適用した海水脱硫システムについて、図面を参照して説明する。
海水脱硫システムの構成は、本発明の第一の実施の形態に係る第一の酸化槽を用いた海水処理装置を適用した海水脱硫システムと同様であるため、海水脱硫システムの全体の構成についての説明は省略し、本実施の形態に係る第四の酸化槽についてのみ説明する。上記第一の実施の形態に係る第一の酸化槽乃至上記第三の実施の形態に係る第三の酸化槽と同一構成については同一符号を付して重複した説明は省略する。
図18は、本発明による第四の実施の形態に係る第四の酸化槽の構成を簡略に示す概略図であり、
図19は、
図18のA−A断面図である。
【0092】
図18に示すように、本実施の形態に係る第四の酸化槽51−4は、二つの散気管52−1、52−2同士の間を仕切る仕切り板68が設けられてなるものである。
即ち、本実施の形態に係る第四の酸化槽51−4は、二つの散気管52−1、52−2が設けられ、本体51aの軸方向に沿って設けられる散気管52−1、52−2同士の間に仕切り板68を有するものである。
また、二つの散気管52−1、52−2には本管61−1、61−2から各々空気29を供給するようにしている。
【0093】
本実施の形態に係る第四の酸化槽51−4のように、二つの散気管52−1、52−2同士の間に仕切り板68を設けることで、本体51a内に送給される硫黄分吸収海水16Bが各々の散気管52−1、52−2上を通過させることができ、枝管62b−1、62b−2の各々の多孔性膜65の微細孔67から第四の酸化槽51−4内の硫黄分吸収海水16Bに供給される空気29と長時間に亙って気液接触させることができるため、硫黄分吸収海水16Bに空気29を確実に供給することができる。
【0094】
また、本実施の形態に係る第四の酸化槽51−4においては、仕切り板68で二つの散気管52−1、52−2を仕切るようにしているが、本発明はこれに限定されるものでない。例えば、本体51a内に設置される散気管の数に応じて各々の散気管同士の間に仕切り板68を設けるようにしてもよい。
【0095】
また、本実施の形態においては、仕切り板68を介して両側に
図9に示す第二の実施の形態に係る
第二の酸化槽51−2Aのような散気管52−1、52−2を支管62a−1、62a−2軸方向に対して直交する方向に並列に所定間隔をもって二つ以上設けるようにしてもよい。また、仕切り板68を介して両方に設けられる散気管52−1、52−2の各々の数を異なるようにしてもよい。
【0096】
また、本実施の形態においては、散気管52−1、52−2を支管62a−1、62a−2の軸方向に所定間隔をもって2つ以上配置するようにしてもよい。
【0097】
また、本実施の形態に係る第四の酸化槽51−4においては、通気管62−1、62−2の枝管62b−1、62b−2同士を支管62a−1、62a−2の軸方向に沿って同じ位置となるように同列に配置しているが、
図12に示す第二の実施の形態に係る
第二の酸化槽51−2Bのように、枝管62b−1、62b−2同士をオフセットしつつ配置するようしてもよい。
【0098】
また、本実施の形態においては、第四の酸化槽51−4の同一の壁面側に、流入口53及び流出口54が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではな
い。図20、21は、酸化槽の他の構成を簡略に示す概略図である。図20、21に示すように、第
四の酸化槽51−
4の流入口53の設けられている壁面と隣接する何れかの壁面側に流出口54を設けるようにしてもよい。
【0099】
[第五の実施の形態]
次に、本発明による第五の実施の形態に係る第五の酸化槽を用いた海水処理装置を適用した海水脱硫システムについて、図面を参照して説明する。
海水脱硫システムの構成は、本発明の第一の実施の形態に係る第一の酸化槽を用いた海水処理装置を適用した海水脱硫システムと同様であるため、海水脱硫システムの全体の構成についての説明は省略し、本実施の形態に係る第五の酸化槽についてのみ説明する。上記第一の実施の形態に係る第一の酸化槽乃至上記第四の実施の形態に係る第四の酸化槽と同一構成については同一符号を付して重複した説明は省略する。
図22は、本発明による第五の実施の形態に係る第五の酸化槽の構成を簡略に示す概略図であり、
図23は、
図22のA−A断面図である。
図22に示すように、本実施の形態に係る第五の酸化槽51−5は、散気管52−1〜散気管52−4と散気管52−5〜散気管52−8との間に堰69が設けられてなるものである。
【0100】
即ち、
図22に示すように、本実施の形態に係る第五の酸化槽51−5は、堰69を介して片側に四つの散気管52−1〜52−4が設けられている。散気管52−1、52−2は、支管62a−1、62a−2の軸方向に対して直交方向に所定間隔を持って並列に配置されている。また、枝管62b−1、62b−2同士はオフセットされている。また、散気管52−3、52−4も、散気管52−1、52−2と同様に、支管62a−3、62a−4の軸方向に対して直交方向に所定間隔を持って並列に配置され、枝管62b−3、62b−4同士はオフセットされている。また、堰69を介して反対側に散気管52−5〜散気管52−8が散気管52−1〜52−4と同様に配置されている。散気管52−5、52−6は、支管62a−5、62a−6の軸方向に対して直交方向に所定間隔を持って並列に配置され、枝管62b−5、62b−6同士はオフセットされている。また、散気管52−7、52−8も支管62a−7、62a−8の軸方向に対して直交方向に所定間隔を持って並列に配置され、枝管62b−7、62b−8同士はオフセットされている。
また、二つの散気管52−1、52−2には本管61−1から空気29を供給し、二つの散気管52−3、52−4には本管61−2から空気29を供給し、二つの散気管52−5、52−6には本管61−3から空気29を供給し、二つの散気管52−7、52−8には本管61−4から空気29を供給するようにしている。
【0101】
また、散気管52−1〜52−4、散気管52−5〜52−8を堰69の片側に各々4つ
ずつ設けるようにしているが、これに限定されるものではなく、酸化槽の大きさに応じて散気管を設ける数量は適宜調整するようにする。
【0102】
本実施の形態に係る第五の酸化槽51−5のように、散気管52−1〜散気管52−4と散気管52−5〜散気管52−8との間に堰69を設けることで、
図23に示すように堰69の両側で対流を生じさせることができるため、硫黄分吸収海水16Bと空気29とを更に効率良く気液接触させることができる。
【0103】
また、本実施の形態に係る第五の酸化槽51−5においては、散気管52−1、52−2の支管62a−1、62a−2の軸方向に対して直交方向に2つの散気管52−1、52−2毎に堰69を設けるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各々の散気管52−1、52−2毎に堰69を設けるようにしてもよい。
【0104】
また、本実施の形態においては、第五の酸化槽51−5と同一の壁面に、流入口53及び流出口54が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではな
い。図24、25は、酸化槽の他の構成を簡略に示す概略図である。図24、25に示すように、第五の酸化槽51−5の流入口53の設けられている壁面と隣接する何れかの壁面側に流出口54を設けるようにしてもよい。