(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の端末は、複数の組に分けられており、同じ組に属する端末に対して、前記変更履歴データを追加する前であっても、前記変更履歴データが前記同じ組に属する端末で表示可能なように当該変更履歴データを送信することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の図面管理サーバ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)実施形態の概要
管理サーバ2(
図1)は、設計図面を構成する図面データ4を記憶しており、端末3a〜3cから要求があると、図面データ4から端末表示用の端末用の図面データを生成して端末3a〜3cに送信する。
例えば、端末3aで設計図面に手書き修正が行われると、端末3aは、筆跡を特定する筆跡データを含む属性情報5a1を管理サーバ2に送信する。
【0011】
管理サーバ2では、管理者が属性情報5a1による筆跡を図面データ4に重畳して見ることができ、管理者が承認すると、管理サーバ2は、属性情報5a1を属性ファイル6に追加する。
属性ファイル6に属性情報5a1が追加されると、端末3a〜3cで、属性情報5a1による筆跡を図面データ4に重畳して表示することができる。
属性ファイル6に端末3a〜3cの属性を追加していくことにより、端末3a〜3cでの手書き修正の内容を追加していくことができる。
なお、端末3a〜3cは、通常オフラインとなっており、ユーザである作業者が管理サーバ2に接続して図面データ4や属性ファイル6をダウンロードして表示することができる。
【0012】
(2)実施形態の詳細
図1は、図面管理システム1の構成を説明するための図である。
図面管理システム1は、管理サーバ2、端末3a、3b、3c、・・・、タイムスタンプサーバ8などから構成されている。以下では、端末3a、3b、3c、・・・、を特に区別しない場合は、単に端末3と記す。
【0013】
管理サーバ2は、図面データを管理するサーバであって、「図面データの記憶」、「端末用の図面データの送信」、「属性情報の承認」などの機能を有している。以下、これらの機能について説明する。
【0014】
「図面データの記憶」
管理サーバ2は、図面DB(データベース)で図面データ4を記憶している。
図面データ4は、設計図面(設計図書)を表示、印刷するためのデータであり、例えば、PDF(Portable Document Format)データやCADデータによって構成されている。
図面データ4は、属性ファイル6の属性情報5(以下、属性情報5a1などを特に区別しない場合は、属性情報5と記す)を表示するレイヤを備えており、当該レイヤにて属性情報5a1、属性情報5b1、・・・などにより手書き修正を表示することができる。
なお、この実施形態では、端末3での図面データ4に対する変更は、手書き入力による筆跡を例に説明するが、本発明は、これに限られない。例えば、マウスなどの入力装置により、一覧から所定の図形やマークを選択して貼り付けるといった変更も可能である。
【0015】
図面データ4は、識別情報として図面番号を有しており、図面ファイル名やその他の属性が付与されている。
本実施の形態の図面データ4は、家屋や集合住宅などの設計図面を対象とするが、高層建築の設計図面、プラント建設図面、機械の組立図面など、複数の作業者が同一の図面を用いて作業するものに広く適用することができる。
【0016】
「端末用の図面データの送信」
管理サーバ2は、オフラインとなっている端末3からアクセスがあり、図面データ4の送信要求があった場合、図面データ4を、所定の大きさの所定の形式の端末用の図面データを端末用の図面データに変換し、即ち、解像度を下げた端末用の図面データに変換して)、属性ファイル6と共に送信する。
【0017】
このように図面データ4を変換して送信する理由は以下の通りである。
一般に図面データ4は、A0サイズ、A1サイズなどの大判サイズのものがあり、また、PDFデータやCADデータで構成されている。
これをそのまま送信して端末3で使用すると、データ量が多くて送信に時間がかかるうえ、これらPDFデータやCADデータを操作するプログラムを端末3に実装しなければならず、端末3に大きな情報処理負荷をかけてしまう。
【0018】
また、後述するように、端末3では、手書きで変更を入力してその筆跡(手書きの軌跡)を得ればよいため、設計図面は表示さえできればよい。
更に、手書き入力するためには、設計図面の表示解像度は150dpi程度で可能である。
管理サーバ2は、端末3で適切に図面が表示されるように、端末3の表示能力に応じた解像度に変更した図面データ4を送信するようになっている。
なお、これは一例であって、図面データ4を端末3に送信するように構成することも可能である。例えば、図面データ4がA4サイズのJPEGデータの場合、管理サーバ2から端末3に図面データ4をそのまま送信することが可能である。
【0019】
「属性情報の承認」
管理サーバ2では、管理者が属性情報5の中身を見ることができ、承認するか否か判断する。
そして、管理者が承認した場合、管理サーバ2は、属性情報5を、最も新しい属性情報5の後ろに追加して属性ファイル6のバージョンアップを図る。
これにより、更新(バージョンアップ)された属性ファイル6をダウンロードする端末3は、最も新しい属性情報5による手書き修正を表示することができる。
【0020】
図1の例では、まず、端末3aによる属性情報5a1が属性ファイル6に追加され、次に、端末3bによる属性情報5b1が追加される。続いて、端末3aによる新たな属性情報5a2が追加されていく。このように、何れかの端末3にかかわらず、属性情報5が追加されることにより、手書き修正の履歴を記録することができる。
【0021】
次に、端末3について説明する。
端末3は、ネットワーク接続可能な携帯端末(モバイル端末)であって、作業者が作業現場に携行する。
端末3は、オフライン端末として使用され、作業者が端末3を操作して管理サーバ2にアクセスすることにより、管理サーバ2から端末用の図面データと属性ファイル6をダウンロードする。なお、端末3をオンライン端末としてもよい。
【0022】
端末3は、設計図面を表示して書込を行うのに十分な大きさの表示画面と、当該表示画面に重ねて設置されたタッチパネルを備えている。
作業者は、タッチパネルを指先やスタイラスペンなどで触れることにより筆跡の入力や端末3の操作を行うことができる。
表示された設計図面は、例えば、タッチパネルを指先で触れて所定の動きを行うことにより拡大したり、移動したりすることができる。
【0023】
端末3は、端末用の図面データと属性ファイル6を受信し、端末用の図面データで設計図面を表示すると共に、属性ファイル6による手書き修正を設計図面に重畳して表示する。
なお、管理サーバ2が属性ファイル6によって設計図面に手書き修正を重畳した画像で端末用の図面データを作成するように構成することもできる。この場合、属性情報5による手書き修正が端末用の図面データに含まれるため、端末3は、端末用の図面データだけをダウンロードすればよい。
【0024】
また、表示された設計図面は、手書き入力用のレイヤを備えており、作業者が、指先やスタイラスペンなどで設計図面上で筆記すると、筆跡が当該レイヤに入力され、表示画面に表示される。
例えば、手書きによって、設計図面上の「棚:メラミン合板(造作)」なる記載に×印を記し、更に「シナ合板+CLに変更」なる記載を行い、当該記載の周りを曲線で囲むことができる。
作業者は、手書き入力が完了すると、端末3を操作して、管理サーバ2に属性情報5を送信する。
【0025】
次に、タイムスタンプサーバ8について説明する。
タイムスタンプサーバ8は、デジタルデータに対して日時刻証明を行うサーバである。
タイムスタンプサーバ8は、正確に時刻調整された時計装置と自身の秘密鍵を有している。
タイムスタンプサーバ8は、管理サーバ2から管理者の電子署名を受信すると、これに時計装置の日時刻を付与して秘密鍵で署名することによりタイムスタンプを生成し、管理サーバ2に送信する。
【0026】
当該タイムスタンプは、タイムスタンプサーバ8の秘密鍵に対応する公開鍵でのみ復号化できるため、当該公開鍵でタイムスタンプを検証することにより日時刻とハッシュ値が改竄されていないことを確認でき、日時刻とハッシュ値が改竄されていないことにより属性情報5がその日時刻に確かに存在したことを証明することができる。
【0027】
図2(a)は、管理サーバ2の構成を示した図である。
管理サーバ2は、CPU21、ROM22、RAM23、通信装置24、表示装置25、入力装置26、記憶装置27などを備えている。
CPU21は、各種プログラムに従って情報処理を行ったり、管理サーバ2の各部を制御する中央情報処理装置である。
ROM22は、管理サーバ2が動作するための基本的なプログラムやパラメータを記憶した読み取り専用のメモリである。
RAM23は、CPU21が図面管理処理などを行う際にワーキングメモリを提供する読み書きが可能なメモリである。
【0028】
通信装置24は、管理サーバ2をインターネットなどのネットワークに接続するインターフェースである。
管理サーバ2は、通信装置24を介して、端末3に図面データ4の端末用の図面データや属性ファイル6を送信したり、端末3から属性情報5を受信したりする。
【0029】
表示装置25は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示デバイスを備えており、図面データ4による設計図面を表示したり、端末3から送信されてきた属性情報5の内容を表示したり、承認を行うための画面を表示したりする。
入力装置26は、例えば、キーボードやマウスなどの入力デバイスを備えており、作業者からの操作を受け付ける。
【0030】
記憶装置27は、例えば、ハードディスクなどの大容量の記憶媒体を備えており、図面データ4の管理を行うための図面管理プログラム、端末3を管理するための端末DB、図面データ4や図面データ4の属性ファイル6を記憶する図面DB、端末3を使用する作業者を認証するための作業者DBなどを記憶している。
図面DBと端末DBについては、後ほど説明する。また、管理サーバ2が記憶する作業者DBには、作業者の社員番号、氏名、ユーザIDやパスワードなどの認証情報、操作を担当する端末3の端末IDなどが記憶されている。
【0031】
図2(b)は、端末3の構成を示した図である。
端末3は、CPU31、ROM32、RAM33、通信装置34、表示装置35、画面入力装置36、記憶装置37などを備えている。
【0032】
CPU31は、各種プログラムに従って情報処理を行ったり、端末3の各部を制御する中央情報処理装置である。
ROM32は、端末3が動作するための基本的なプログラムやパラメータを記憶した読み取り専用のメモリである。
RAM33は、例えば、CPU31が設計図面を表示したり、手書きによる変更を受け付ける際にワーキングメモリを提供する読み書きが可能なメモリである。
【0033】
通信装置34は、端末3をインターネットなどのネットワークに接続するインターフェースである。
端末3は、通信装置34を介して、管理サーバ2から図面データ4の端末用の図面データを受信したり、管理サーバ2に属性情報5を送信したりすることができる。
【0034】
表示装置35は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示デバイスを備えており、図面データ4の端末用の図面データによる設計図面を表示したり、作業者の手書きによる筆跡を表示したり、操作用のアイコンなどを表示したりする。
画面入力装置36は、タッチパネルを備えており、作業者からの手書きによる入力を受け付ける。
タッチパネルと表示画面は、座標軸によって対応づけられており、端末3は、タッチパネルでタッチされた箇所の座標値に設定された画素を駆動することにより手書きによる筆跡を表示する。
【0035】
記憶装置37は、例えば、ハードディスクやEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)などの大容量の記憶媒体を備えており、図面を表示したり、手書きによる修正を受け付けたりするための図面利用プログラムなどを記憶している。
【0036】
図3は、管理サーバ2の図面DBに記憶されている図面データ4と属性ファイル6の構成を説明するための図である。なお、図面DBには、異なる図面内容の図面データ4と属性ファイル6の組が複数記憶されている。
図面データ4は、CADデータなどで構成されており、ファイル名として図面ファイル名と拡張子(拡張子Aとする)が付与されている。
【0037】
属性ファイル6は、属性情報5a1、属性情報5b1など、端末3から送られてくるたびに追加される属性情報5から構成されている。
属性ファイル6には、当該属性ファイル6に係る図面データ4と同じファイル名と、図面データ4と異なる拡張子(拡張子B)が付与されている。
【0038】
このように、図面データ4と属性ファイル6は、同じファイル名を付与することにより対応づけられており、拡張子によって図面データ4と属性ファイル6の区別がなされている。
なお、これは一例であって、図面データ4と属性ファイル6のファイル名を同じにする必要はなく、何らかの方法で図面データ4と属性ファイル6が対応づけられていればよい。
【0039】
属性ファイル6を構成する属性情報5は、端末ID、担当者情報、筆跡データ、修正コメント、署名情報などから構成されており、端末3から新たな属性情報5が送信されてくると、管理サーバ2は、管理者の承認の下に、属性ファイル6に属性情報5を順次追加することによって属性ファイル6を更新する。このように、属性ファイル6には、各端末3で行われた変更履歴が記録される。
【0040】
端末IDは、属性情報5の送信元である端末3のID情報である。
担当者情報は、手書き修正を行う作業者に関する情報であり、例えば、所属部署、氏名などにより構成されている。
【0041】
筆跡データは、作業者が設計図面に対してタッチパネル上で手書きした筆跡を特定する情報であり、設計図面に対する変更内容(修正追加内容)に該当するものである。筆跡データは、ビットマップデータ、ベクトルデータ、筆跡上のサンプリングした点の座標値などで構成することができる。
【0042】
修正コメントは、作業者が入力した設計図面の変更に対するコメントである。
署名情報は、端末3から送信されてきた属性情報(端末ID、筆跡データ、修正コメントなど)のハッシュ値に対して管理者が自身の秘密鍵で行った電子署名と、当該電子署名に対してタイムスタンプサーバ8が発行したタイムスタンプを用いて構成されている。
【0043】
図4は、図面管理システム1による図面の変更処理の手順を説明するためのフローチャートである。
以下の処理は、端末A、Bに関しては、端末A、BのCPU31が図面利用プログラムに従って行い、管理サーバ2に関しては、CPU21が図面管理プログラムに従って行うものである。
【0044】
まず、作業者Aは、作業現場において、端末Aをオフラインからオンラインに設定して管理サーバ2にアクセスし、管理サーバ2から認証を受ける。この認証は、ユーザID、パスワード、及び端末3の端末IDなどを用いて行われ、管理サーバ2は、作業者Aと端末Aを特定する。
【0045】
認証が成功すると、管理サーバ2は、端末Aからのアクセスを受け付ける。そして、端末Aが設計図面を要求すると(ステップ5)、管理サーバ2は、当該設計図面の端末用の図面データを作成して属性ファイル6と共に端末Aに送信する。
端末Aは、管理サーバ2から端末用の図面データと属性ファイル6を受信すると、これを用いて設計図面を属性ファイル6による手書き修正と共に表示する(ステップ15)。そして、端末Aは、再びオフラインに戻る。
【0046】
次に、作業者Aが端末Aにおいて設計図面を手書き修正して変更したとする(ステップ35)。
作業者Aが変更を完了すると(例えば、作業者Aが終了ボタンをタッチする)、端末Aは、オンラインとなって、属性情報5を管理サーバ2に送信する(ステップ40)。
【0047】
管理サーバ2は、端末Aから属性情報5を受信すると、これをRAM23に記憶して承認待ちとする。
管理者が属性情報5を閲覧して承認すると(例えば、承認ボタンをクリックするなどすると)(ステップ45)、管理サーバ2は、タイムスタンプサーバ8にアクセスして、属性情報5に対するタイムスタンプを取得する(ステップ50)。
次に、属性情報5を属性ファイル6に追加して属性ファイル6を変更(更新)する(ステップ55)。
【0048】
属性ファイル6が更新された後、端末B(端末Aでもよい)が、当該設計図面を要求すると(ステップ60)、管理サーバ2は、端末用の図面データを生成すると共に更新後の属性ファイル6を端末Bに送信する(ステップ65)。
端末Bは、更新後の属性ファイル6によって、設計図面と共に、端末Aでなされた手書き修正を表示する(ステップ70)。
【0049】
以上のようにして、端末Aで手書きによる変更が行われると、端末Aによる属性情報5のアップロードと、その後の管理者による承認によって当該変更が速やかに設計図面に反映される。
また、属性ファイル6による手書きによる筆跡を反映した図面データ4を紙媒体に印刷すれば、原本設計図面となる。
【0050】
(変形例)
変形例に係る図面管理システム1では、端末3にサブグループを設定し、サブグループ内の端末3では、属性ファイル6のレビジョンアップによって変更内容を閲覧できるようにし、バージョンアップによって、全ての端末3で閲覧できるようにするものである。
これにより、例えば、電気配線を行う複数の作業者の端末3でサブグループを設定し、これら密接にかかわる作業を行う者の間では、承認前の変更を迅速に参照することができる。
【0051】
図5(a)は、レビジョンアップを説明するための図である。
端末3a〜3cは、サブグループAに、端末3d〜3fは、サブグループBに、端末3g〜3iは、サブグループCに設定されている。
例えば、端末3a〜3iは、ある家屋について、同じ図面データ4を利用する端末3であり、そのうち、端末3a〜3cは、複数の電気配線作業者がそれぞれ所持し、端末3d〜3fは、複数の配管作業者がそれぞれ所持し、端末3g〜3iは、複数の内装作業者がそれぞれ所持している。
【0052】
今、端末3aで加筆修正が行われたとする。この場合、端末3aは、属性情報5を管理サーバ2に送信する。
管理サーバ2では、承認を経ずに、属性情報5によって属性ファイル6をレビジョンアップする。
【0053】
すると、同じサブグループAの端末3b、3cでは、属性情報5による手書き修正を閲覧することができる。
一方、サブグループB、Cの端末3d〜3iでは、レビジョンアップ前の属性ファイル6による手書き修正が表示され、レビジョンアップによって更新された属性ファイル6は、閲覧することができない。
【0054】
なお、サブグループAのうち、端末3aに手書き修正の権限と閲覧の権限を与え、端末3b、3cには、閲覧のみの権限を与えるなど、手書き修正できる端末3を限定するように構成することもできる。
【0055】
図5(b)は、バージョンアップを説明するための図である。
端末3aが送信した属性情報5が管理者によって承認され、属性ファイル6が属性情報5によって正式にバージョンアップされると、サブグループB、Cに属する端末3d〜3iも端末3aで行われた手書き修正を閲覧することができるようになる。
【0056】
図6は、変形例に係る図面管理システム1による図面の変更処理の手順を説明するためのフローチャートである。
作業者A1、A2、Bが操作する端末A1、A2、Bは、同じグループに属しており、このうち、端末A1、A2は、同じサブグループに属し、端末Bは、異なるサブグループに属している。
まず、端末A1は、端末用の図面データを表示しているものとする(ステップ105)。
【0057】
このとき、端末A1で手書き修正が行われ(ステップ120)、端末A1が管理サーバ2に属性情報5を送信したとする(ステップ125)。
すると、管理サーバ2は、属性情報5を受信して属性ファイル6をレビジョンアップして仮属性ファイルとする(ステップ130)。
【0058】
同じサブグループに属する端末A2が設計図面を要求すると(ステップ135)、管理サーバ2は、端末用の図面データと仮属性ファイルを送信する(ステップ140)。
端末A2は、端末用の図面データによって設計図面を表示すると共に、仮属性ファイルを用いて端末A1で行われた手書き修正を表示する(ステップ145)。
なお、異なるサブグループの端末Bが設計図面を要求したとしても、管理サーバ2は、レビジョンアップ前の属性ファイル6のみを送信し、端末A1による手書き修正は表示されない。
【0059】
その後、管理者の操作によって、端末A1による属性情報5を承認すると(ステップ150)、管理サーバ2は、属性ファイル6をバージョンアップする(ステップ155)。
他のサブグループに属する端末Bが設計図面を要求すると(ステップ160)、管理サーバ2は、端末用の図面データとバージョンアップした属性ファイル6を送信する(ステップ165)。
そして、端末Bは、端末A1で行われた手書き修正を表示する(ステップ170)。
【0060】
(解像度の調節について)
以上では、図面管理システム1の構成、及び動作について説明したが、次に、大判図面(A0、A1、長尺)を端末3で手書きにより加筆修正する際の技術的内容について説明する。
実施の形態で説明したように、大判の図面データ4をそのまま端末3に送信して使用することは困難である。
【0061】
例えば、管理サーバ2に、CADデータをPDFソフトでPDF化したり、紙図面をスキャナーで読み込んでラスター化(JPEG化やTIFF化)したりしたA0サイズの図面データ4を記憶させ、端末3として現行で最も普及しているタブレット端末を用いると、無線通信回線を使ったモバイル運用の場合、送信にかなりの時間がかかるうえ、CPU21の能力により設計図面を表示できなかったり、又は、表示時間が10秒以上かかるなどする。そのため、多忙な作業現場で用いるのは実用的でない。
【0062】
このような場合の対策として、端末3での閲覧に耐える程度に画像の解像度を低下させることが考えられる。
例えば紙の印刷用には400dpiのJPEGが必要でも、端末3では150dpiあれば閲覧用として実用になる。このように、図面データ4の解像度を下げた端末用の図面データを用いることにより、データ送信、及び設計図面の表示を高速化することができる(端末3で数秒程度)。
【0063】
ところが、作業者が低解像度の端末用の図面データに直接手書きして管理サーバ2に送信し、管理サーバ2がこれを大判に変換すると、元の設計図面の解像度までが下がってしまうという問題がある。
【0064】
そこで、端末3では、設計図面とは別のレイヤに手書きによる筆跡を記録し、筆跡データを管理サーバ2に送信し、管理サーバ2では、元の高解像度の図面データ4に筆跡データによる筆跡を追加するという方法を採用した。
【0065】
即ち、管理サーバ2が記憶する図面データ4は、例えば、400dpiの高解像度データとし、端末3で使用する端末用の図面データは、例えば、150dpiの低解像度データとする。
【0066】
端末3で追加修正が行われた場合、管理サーバ2は、追加修正部分のみを筆跡データとして管理サーバ2に送信する。
管理サーバ2は、座標管理を行うことによって、筆跡データによる筆跡を高解像度の図面データ4と重ねることにより、高解像度の図面データ4を損なうことなく、追加修正を反映することができる。
【0067】
ところで、この方法によると、元の設計図面は高解像度に保つことができるが、作業者の筆跡は低解像度のままであるという問題が生じる。
即ち、作業者が行った筆跡を端末用の図面データに合わせた低解像度(例えば、150dpi)で記録して、そのまま図面データ4に反映すると、筆跡が粗い解像度のまま図面データ4に反映されるため、線の太さや曲線の表現などが損なわれ、紙に印刷するデータとしては不十分な場合が生じる。
【0068】
そこで、端末用の図面データは、低解像度(例えば、150dpi)であっても、端末3で管理する表示用、及び手書き入力用の座標は仮想的に高解像度(例えば、400dpi)とする。
そして、端末3は、高解像度で管理された座標系に、低解像度の端末用の図面データを演算しながら表示を行う。演算上端数が出る場合は、四捨五入などの規則により、高解像度仮想座標への表示をするかしないかを決定する。
【0069】
手書き入力用のレイヤも、表示用の座標系と同じく仮想的に高解像となっており、手書き入力の際は、設計図面を拡大して入力を受け付ける。
このように、端末3は、高解像度の筆跡データを生成して管理サーバ2に送信する。
これにより得られた筆跡データを管理サーバ2内の図面データ4と結合すれば、紙媒体への印刷に十分な品質を確保することができる。
【0070】
なお、手書きデータの低解像度から高解像度への変換処理は、管理サーバ2で行うように構成することも可能である。
この場合、管理サーバ2は、低解像度の筆跡データを仮想的な高解像度の座標系上に展開して高解像化を図る。
【0071】
また、筆跡データをビットマップデータによる高解像度データ空間のまま保持すると、端末3のメモリを多く消費し、筆跡を表示するのに時間がかかったり、あるいは表示できなかったりすることが考えられる。
そこで、筆跡データを、高解像度の座標系で表現するベクトルデータとすると、データ量を少なくしてメモリの消費を節約することができる。
ベクトルデータの生成は、例えば、高解像度の座標系上で筆跡上の離散点をサンプリングし、これを直線や曲線で補完するなどして生成することができる。
【0072】
ベクトルデータによる筆跡データを管理サーバ2に送信し、図面データ4と結合すれば、高解像度の設計図面に高解像度の手書き修正を重ねることができる。
なお、手書き修正が非常に多くなれば、端末3での表示に時間がかかることも考えられるが、一般に手書き修正量は少ないことや、仮に手書き修正が大量にある場合でも、手書き修正途中で端末3での作業を自動的に一端中断して管理サーバ2に送信し、管理サーバ2で手書き修正が反映されてから作業を再開するなどの運用を行えば、端末3では一定量のデータに抑えることが可能となる。
【0073】
以上に説明した実施の形態、及び変形例により、次のような構成を得ることができる。
(1)作業現場において、端末3に表示された設計図面への変更を手書きにて行うことができる。
(2)図面データ4の他に属性ファイル6を用いることにより、端末3での手書き修正やその他の情報を、図面データ4を変更することなく当該図面データ4に対応づけることができる。
(3)属性ファイル6を更新することにより、他の端末3と共に変更を共有することができる。
(4)属性ファイル6により変更履歴が残るため、作業者は、変更履歴を確認することにより誤作業を防止することができる。
(5)属性情報5に対してタイムスタンプを付与するため、変更履歴の改竄を防止することができる。
(6)属性情報5に変更を担当した作業者と管理者の情報がタイムスタンプ付きで残るため、変更担当者及び承認者の責務の明確化と否認の防止を図ることができる。
(7)電子化された電子図面を管理サーバ2より複数の端末3にコピー配信し、それぞれの端末3にて同時並行的に追記・修正が可能となる。この追記・修正内容を管理サーバ2にアップロードし、複数の作業者による同時並行的な追記・修正内容を同一図面として閲覧が可能となる。
【0074】
以上に説明した実施の形態、及び変形例によって、次の構成を得ることができる。
管理サーバ2は、図面DBに図面データ4を記憶しているため、図面データを記憶した図面データ記憶手段を備えている。
また、管理サーバ2は、ユーザが使用する複数の端末3に対して、図面データ4に基づく端末用の図面データ、あるいは、可能な場合は図面データ4を送信して図面を表示させるため、ユーザ(例えば、作業現場で作業者)が使用する複数の端末3に前記記憶した図面データ4に基づく表示用のデータを送信するデータ送信手段を備えている。
また、管理サーバ2は、端末3で入力操作(例えば手書きされた)変更履歴(例えば筆跡)を特定する変更履歴データを含む属性情報5を受信するため、前記端末3で表示した図面に対してユーザが当該端末を介して行った変更操作に応じた変更履歴を特定する変更履歴データを当該端末3から受信する変更履歴データ受信手段を備えている。
また、管理サーバ2は、受信した属性情報5による変更履歴を属性ファイル6に追加するため、前記受信した変更履歴データによる変更履歴を前記記憶した当該図面データ4とは別のデータとして追加する追加手段を備えている。
このように、管理サーバ2は、これらの手段を備えた図面管理サーバとして機能している。
【0075】
管理サーバ2のデータ送信手段は、前記表示用のデータを送信する端末3の表示能力に応じて、記憶した図面データに所定のデータ変換処理を施すことで前記表示用のデータを生成する。
また、管理サーバ2は、属性ファイル6に属性情報5を順次追加していくため、前記追加手段は、前記受信した変更履歴データを順次追加する。
【0076】
また、管理サーバ2は、管理者に対しては、属性ファイル6を更新する前の属性情報5を表示して、修正に対する承認を受け付けるため、前記受信した変更履歴データを前記追加する前に表示する追加前表示手段と、前記表示した変更履歴データに対する承認を受け付ける承認受付手段と、を備え、管理サーバ2は、承認を受け付けた場合に属性情報5を追加するため、前記追加手段は、前記承認を受け付けた場合に前記変更履歴データを追加する。
【0077】
また、変形例において、管理サーバ2は、端末3をサブグループに区分し、レビジョンアップに関しては、同じサブグループ内の端末3で属性情報5が表示可能となるように送信するため、前記複数の端末3は、複数の組に分けられており、同じ組に属する端末3に対しては、追加前でも前記履歴変更データによる変更を表示可能に送信する。
【0078】
管理サーバ2が記憶する図面管理用プログラムは、図面データ4を記憶した図面データ記憶機能と、ユーザ(例えば、作業現場で作業者)が使用する複数の端末3に前記記憶した図面データに基づく表示用のデータを送信するデータ送信機能と、前記端末3で表示した表示用のデータに対してユーザが当該端末を介して行った変更操作に応じた変更履歴を特定する変更履歴データを当該端末から受信する変更履歴データ受信機能と、前記受信した変更履歴データによる変更履歴を前記記憶した当該図面データ4とは別のデータとして追加する追加機能と、をコンピュータに実現させる図面管理プログラムとして機能している。
【0079】
管理サーバ2は、例えば、400dpiの解像度の図面データ4を記憶するため、所定の解像度の図面データを記憶した図面データ記憶手段を備えている。
また、管理サーバ2は、図面データ4から、例えば、150dpiの端末用の図面データを生成して取得するため、前記記憶した図面データから前記所定の解像度よりも低い解像度の表示用データを取得するデータ取得手段を備えている。
また、管理サーバ2は、端末用の図面データを端末3に送信するため、前記取得した表示用のデータをユーザが使用する端末に送信するデータ送信手段を備えている。
また、管理サーバ2は、端末3から変更履歴データを受信するため、前記端末で表示した表示用のデータに対してユーザが当該端末を介して行った変更操作に応じた変更履歴を特定する変更履歴データを当該端末から受信する変更履歴情報受信手段を備えている。
また、管理サーバ2は、変更履歴データが、図面データ4と同じ解像度(例えば、400dpi)で構成されている場合は、変更履歴データの変更履歴を図面データ4に追加し、図面データ4の解像度よりも低い解像度(例えば、150dpi)で構成されている場合は、図面データ4の解像度と同じ解像度に変換した上、変更履歴に適当な成形を施すなどして図面データ4に追加するため、前記受信した変更履歴データによる変更履歴を前記記憶した図面データに追加する追加手段を備えている。
【0080】
管理サーバ2は、変更履歴データが図面データ4の解像度よりも低い解像度で構成されている場合は、図面データ4の解像度と同じ解像度に変換した上、変更履歴に適当な成形を施して図面データ4に追加するため、前記追加手段は、前記受信した変更履歴データによる変更履歴を前記所定の解像度に変換してから追加するように構成されている。
【0081】
端末3は、管理サーバ2から端末用の図面データを受信するため、図面データを管理する管理サーバから前記図面データに基づく表示用のデータを受信するデータ受信手段を備えている。
また、端末3は、端末用の図面データを用いて図面を表示するため、前記受信した表示用のデータを用いて図面を表示する図面表示手段を備えている。
また、端末3は、例えば、図面の表示を150dpiで行い、仮想的に解像度を400dpiとしたレイヤで手書きによる変更を受け付けるため、と、前記表示用のデータの解像度よりも高い解像度が設定されたレイヤにおいて、前記端末で表示した図面に対してユーザが入力作業をした変更履歴を取得する変更履歴取得手段を備えている。
また、端末3は、取得した変更履歴を変更履歴データとして管理サーバ2に送信するため、前記取得した変更履歴を特定する変更履歴データを前記管理サーバに送信する変更履歴情報送信手段を備えている。
【0082】
また、端末3は、ユーザの筆跡をベクトルデータとして取得することも可能であるため、前記変更情報取得手段は、ベクトルデータによって入力作業による変更履歴を取得するように構成することもできる。