特許 5755053 封緘付きネジキャップ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】5755053

(24)【登録日】2015年6月5日

(45)【発行日】2015年7月29日

(54)【発明の名称】封緘付きネジキャップ

(51)【国際特許分類】

   B65D 41/34 20060101AFI20150709BHJP

【ＦＩ】

   B65D41/34

【請求項の数】3

【全頁数】13

(21)【出願番号】特願2011-145750(P2011-145750)

(22)【出願日】2011年6月30日

(65)【公開番号】特開2013-10554(P2013-10554A)

(43)【公開日】2013年1月17日

【審査請求日】2013年12月26日

(73)【特許権者】

【識別番号】000006909

【氏名又は名称】株式会社吉野工業所

(74)【代理人】

【識別番号】100186358

【弁理士】

【氏名又は名称】齋藤 信人

(74)【代理人】

【識別番号】100163980

【弁理士】

【氏名又は名称】柴沼 雅樹

(72)【発明者】

【氏名】篠崎 夏夫

【審査官】 谿花 正由輝

(56)【参考文献】

【文献】 特開２００４−００１８２８（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００６−１８２３５７（ＪＰ，Ａ）

【文献】 米国特許第０６０５３３４４（ＵＳ，Ａ）

【文献】 特開２００４−１４２８２７（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｂ６５Ｄ ４１／３４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

容器本体の口筒部に螺着される封緘付きのネジキャップにおいて、
容器本体の口筒部の外周には、係止段部を形成した係合凹部が配設され、
キャップは、キャップ本体と、キャップ本体の下端に連設される封緘帯とからなり、
封緘帯は、所定の間隔を設けて円状に形成した帯体と、帯体の両端部を連設する破断可能な弱化部によりリング状に形成され、
キャップ本体の外周壁と封緘帯は、外周壁の下面と帯体の上面とを、等間隔に複数配設された破断可能な弱化片と、帯体の開蓋方向の反対側の端部付近に配設され、弱化片より太く比較的強固な連結弱化片とにより連結され、
封緘帯の帯体の連結弱化片付近を除く内周には、下方から、先端が容器本体の口筒部の係合凹部に係合する係止爪片が等間隔に複数配設され、連結弱化片付近の内周には、下方から、係止爪片より低い高さに形成される短係止爪片が配設されていることを特徴とする封緘付きのネジキャップ。

【請求項2】

キャップ本体の外周壁の下端部の所定の箇所に係止凹部が複数配設され、
係止凹部には、上平面と、上平面の開蓋方向側から下方に延びる係止面を形成し、
封緘帯の帯体の上面には、所定の箇所に係止凸部が複数配設され、
係止凸部には、係止凹部の上平面と係止面に当接する上面と係止面が形成されていることを特徴とする請求項１記載の封緘付きのネジキャップ。

【請求項3】

キャップ本体の外周壁の下端部の所定の箇所に係止垂下部が複数配設され、
係止垂下部の閉蓋方向側に、係止面が形成され、
封緘帯の帯体の上面には、所定の箇所に係止部が複数配設され、
係止部には、閉蓋時に、係止垂下部の係止面に当接する係止面が形成されていることを特徴とする請求項１記載の封緘付きのネジキャップ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、キャップ、とくに不正を防止するための封緘帯を具えた封緘付きネジキャップに関するものである。

【背景技術】

【0002】

ピルファープルーフ機能を有するキャップとして、容器本体の口筒部外周に螺合するキャップ本体の下端に、複数の細い接続片を介して、口筒部外周の係止部に抜け出し不能に係止する封緘リングを連結して構成され、開蓋時のキャップの開蓋操作により接続片を破断させて、口筒部の下部に残る封緘リングと、開蓋されるキャップ本体とに分離し、これによりキャップが開蓋されたことを判別できるようにした不正開封を防止する封緘付きキャップが広く使用されている（例えば、特許文献１参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開平８−８０９５６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、上記特許文献１記載の封緘付きキャップでは、開蓋後に、容器本体の口筒部に封緘リング（ＰＰリング）が残ってしまうため、キャップと容器本体とを構成する材質が異なる場合、廃棄物のリサイクル利用の観点からみて、容器使用後に容器本体の口筒部から封緘リングを外して分別廃棄する必要があった。

【0005】

しかも、封緘リングが口筒部から抜け出し不能に係止されているので、封緘リングを口筒部から外すことが容易にできないという問題があった。

【0006】

本発明は、上記問題を解決することを課題とし、開蓋時のキャップの開蓋操作により、キャップが開蓋されたことを判別できるとともに、構成する材質が異なるキャップと容器本体とを簡単かつ確実に分別廃棄できるようにした封緘付きネジキャップを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明は、上記課題を解決するため、封緘付きネジキャップとして、容器本体の口筒部に螺着される封緘付きのネジキャップにおいて、容器本体の口筒部の外周には、係止段部を形成した係合凹部が配設され、キャップは、キャップ本体と、キャップ本体の下端に連設される封緘帯とからなり、封緘帯は、所定の間隔を設けて円状に形成した帯体と、帯体の両端部を連設する破断可能な弱化部によりリング状に形成され、キャップ本体の外周壁と封緘帯は、外周壁の下面と帯体の上面とを、等間隔に複数配設された破断可能な弱化片と、帯体の開蓋方向の反対側の端部付近に配設され、弱化片より太く比較的強固な連結弱化片とにより連結され、封緘帯の帯体の連結弱化片付近を除く内周には、下方から、先端が容器本体の口筒部の係合凹部に係合する係止爪片が等間隔に複数配設され、連結弱化片付近の内周には、下方から、係止爪片より低い高さに形成される短係止爪片が配設されていることを特徴とする構成を採用する。

【0008】

キャップ本体と封緘帯との別実施例として、キャップ本体の外周壁の下端部の所定の箇所に係止凹部が複数配設され、係止凹部には、上平面と、上平面の開蓋方向側から下方に延びる係止面を形成し、封緘帯の帯体の上面には、所定の箇所に係止凸部が複数配設され、係止凸部には、係止凹部の上平面と係止面に当接する上面と係止面が形成されていることを特徴とする構成を採用する。

【0009】

さらに、キャップ本体と封緘帯との別実施例として、キャップ本体の外周壁の下端部の所定の箇所に係止垂下部が複数配設され、係止垂下部の閉蓋方向側に、係止面が形成され、封緘帯の帯体の上面には、所定の箇所に係止部が複数配設され、係止部には、閉蓋時に、係止垂下部の係止面に当接する係止面が形成されていることを特徴とする構成を採用する。

【発明の効果】

【0010】

本発明の封緘付きネジキャップは、開蓋時のキャップの回転により、まず、キャップ本体と封緘帯を連結している弱化片を切断し、次に、リング状の封緘帯が変形し、封緘帯の帯体の両端部を連結する弱化部が切断され、帯状となり、連結弱化片を介して封緘帯をキャップ本体に連設したまま容器本体からキャップを外すことができる。
キャップのキャップ本体と封緘帯とを連設する弱化片と、封緘帯の弱化部とが切断されると、その跡が残るので、キャップの不正開封を確認することができる。

【0011】

また、キャップ本体に帯状に垂れ下がった封緘帯が連設されたままなので、再び閉蓋する際に、封緘帯が閉蓋の妨げとなる。
開蓋により、連結弱化片自体が変形させられ、強度が弱くなっているので、簡単に連結弱化片を切断してキャップ本体から封緘帯を外すことができ、キャップ本体を容器本体の口筒部に閉蓋することができる。

【0012】

開蓋時に、封緘帯がキャップ本体に連設したままで容器本体から外されて残らないので、容器使用後に、構成する材質が異なる容器本体とキャップを簡単に分別廃棄することができる。

【図面の簡単な説明】

【0013】

【図1】本願発明の第１実施例の容器の説明図で、（ａ）は正面図、（ｂ）は断面側面図である。

【図2】キャップの説明図で、（ａ）は正面図、（ｂ）は断面側面図、（ｃ）は（ｂ）のＸ−Ｘ線で切断した封緘帯の上面図である。

【図3】開蓋時の封緘帯の要部拡大図で、（ａ）は係止爪片の当接時、（ｂ）は短係止爪片の当接時である。

【図4】開蓋時の説明図で、（ａ）は開蓋初期の弱化片切断時、（ｂ）は開蓋回転時の弱化部切断時である。

【図5】開蓋後のキャップの説明図で、（ａ）は開蓋直後のキャップ、（ｂ）は封緘帯取外し後の閉蓋時のキャップ。

【図6】本願発明の第２実施例の容器の説明図で、（ａ）は正面図、（ｂ）は断面側面図である。

【図7】キャップの説明図で、（ａ）は断面側面図、（ｂ）は（ａ）のＸ−Ｘ線で切断した封緘帯の上面図、（ｃ）は（ａ）のＸ−Ｘ線で切断したキャップ本体の下面図である。

【図8】本願発明の第３実施例の容器の説明図で、（ａ）は正面図、（ｂ）は断面側面図である。

【図9】キャップの説明図で、（ａ）は断面側面図、（ｂ）は（ａ）のＸ−Ｘ線で切断した封緘帯の上面図、（ｃ）は（ａ）のＸ−Ｘ線で切断したキャップ本体の下面図である。

【発明を実施するための形態】

【0014】

次に、本発明の封緘付きネジキャップについて、実施例をあげ、図面を参照して説明する。

【実施例1】

【0015】

図１において、Ａは容器本体、Ｂは容器本体Ａの口筒部に螺着される封緘付きのキャップ、ＰはキャップＢとともに容器本体Ａに開閉蓋されるパッキンである。

【0016】

容器本体Ａは、口筒部１と肩部２と胴部（図示しない）とを具えている。

【0017】

口筒部１の外周には、上部に、ネジ３が螺設され、中程から、内方に向かう係止段部４を形成し、下方に向かって他の外周より縮径される係合凹部５と、係合凹部５の下端から外方に向かって他の外周より拡径されるネックリング６が配設されている。

【0018】

キャップＢは、図１、２に示すように、キャップ本体Ｂ１と、キャップ本体Ｂ１の下端に連設される封緘帯Ｂ２とからなっている。

【0019】

キャップ本体Ｂ１は、頂壁１０と外周壁１１とからなり、外周壁１１の内周の中央部には、容器本体Ａの口筒部１のネジ３に螺合するネジ１２が突設されている。
また、外周壁１１の外周には、滑り止めのために、複数のローレット等を設けてもよい。

【0020】

封緘帯Ｂ２は、所定の間隔１３を設けて円状に形成した帯体１４と、帯体１４の端部１４ａ、１４ｂ間の間隔１３側面の内側下端を連設する破断可能な弱化部１５とによりリング状に形成されている。
帯体１４の端部１４ａは、間隔１３を挟んで、開蓋方向に対して反対側にあり、端部１４ｂは、開蓋方向にある。

【0021】

キャップ本体Ｂ１の外周壁１１と封緘帯Ｂ２は、外周壁１１の下面と帯体１４の上面とを、端部１４ｂから端部１４ａ近傍を残して等間隔に複数配設された破断可能な弱化片１６と、封緘帯Ｂ２の帯体１４の端部１４ａ付近に配設され、弱化片１６より太く比較的強固な連結弱化片１７とにより連結されている。

【0022】

封緘帯Ｂ２の帯体１４の内周には、下方から上方内側に傾斜して延びる係止爪片１８が端部１４ｂから等間隔に複数配設され、端部１４ａ付近には、下方から上方内側に傾斜して延びるとともに、係止爪片１８より低い高さに形成される短係止爪片１９が配設されている。

【0023】

係止爪片１８は、閉蓋時に、先端が容器本体Ａの口筒部１の係合凹部５に入り、開蓋時の回転初期に、先端が係止段部４に当接するように形成されている。
短係止爪片１９は、閉蓋時に、先端が容器本体Ａの口筒部１の係合凹部５に入り、開蓋時のキャップＢをある程度回転して上昇させた後に、先端が係止段部４に当接するように形成されている。

【0024】

次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
まず、図１に示すように、キャップＢを螺着方向に回転させ、容器本体Ａの口筒部１に装着し、閉蓋する。

【0025】

キャップＢを回転させ、容器本体Ａの口筒部１に対して降下させていく際には、封緘帯Ｂ２の帯体１４の内周に設けられた係止爪片１８および短係止爪片１９の先端部付近が、口筒部１のネジ３および口筒部１の外周に当接するが、係止爪片１８および短係止爪片１９が、先端部が外側に変形するので、キャップＢの回転および下降の抵抗にならない。

【0026】

キャップＢの閉蓋が終わるころには、係止爪片１８および短係止爪片１９の先端は、容器本体Ａの口筒部１の係合凹部５内に入り、変形による口筒部１との当接が解除され、元の状態に復元する。

【0027】

閉蓋が終了した際には、容器本体Ａの口筒部１の内周および上端面にパッキンＰが密着し、容器内を密封する。

【0028】

キャップＢを開蓋する際には、キャップＢを容器本体Ａに対して開蓋方向に回転させる。
キャップＢを回転させ、キャップＢが上昇し始めると、まず始めに、図３（ａ）に示すように、封緘帯Ｂ２の帯体１４の内周の係止爪片１８の先端が容器本体Ａの口筒部１の係止段部４に当接する。

【0029】

容器本体Ａの口筒部１の係止段部４に係止爪片１８の先端が当接した後、さらに、キャップＢを回転させると、キャップ本体Ｂ１の上昇に対して、封緘帯Ｂ２の上昇が阻止される。

【0030】

その際、封緘帯Ｂ２の帯体１４の内周の係合爪片１８に対して、帯体１４の端部１４ａ付近の内周に設けた短係止爪片１９の先端は、まだ係止段部４に当接していないので、キャップ本体Ｂ１が上昇すると、連結弱化片１７を介して帯体１４の端部１４ａ付近のみがキャップ本体Ｂ１の上昇とともに上昇する。

【0031】

キャップ本体Ｂ１が上昇していくと、封緘帯Ｂ２の帯体１４の端部１４ａ付近以外が係合爪片１８の係合により上昇を阻止されているので、図４（ａ）に示すように、キャップ本体Ｂ１と封緘帯Ｂ２とを連設する弱化片１６は、端部１４ｂ側から端部１４ａ側を残して切断されていく。

【0032】

さらに、キャップ本体Ｂ１および封緘帯Ｂ２の帯体１４の端部１４ａ付近が上昇し、帯体１４の端部１４ａと端部１４ｂとの高さの差が大きくなり、図４（ｂ）に示すように、帯体１４の端部１４ａと端部１４ｂとを連設する弱化部１５が切断される。

【0033】

弱化部１５が切断されることによって、封緘帯Ｂ２の帯体１４の保形性が弱くなり、端部１４ｂ側から、係止爪片１８の先端を支点として、下側が外側に向かって捻れていき、係止爪片１８と容器本体Ａの係止段部４との係合が外され、帯体１４は、端部１４ａ付近が上方、端部１４ｂ側が下方となるように変形していくとともに、端部１４ｂ側から、容器本体Ａの口筒部１から離されていく。

【0034】

さらに、キャップ本体Ｂ１の回転を続けると、図３（ｂ）に示すように、封緘帯Ｂ２の帯体１４の端部１４ａ付近の内周に設けた短係止爪片１９の先端が、容器本体Ａの口筒部１の係止段部４に当接し、帯体１４の端部１４ａ付近の上昇が阻止される。

【0035】

さらに、キャップ本体Ｂ１の上昇が続くと、封緘帯Ｂ２の端部１４ａ付近が下方に引っ張られる。
また、封緘帯Ｂ２とキャップ本体Ｂ１とを連設しているのが連結弱化片１７のみであるので、短係止爪片１９の先端および連結弱化片１７を支点として、封緘帯Ｂ２の端部１４ａ付近の下側が外側に向かって捻れていき、短係止爪片１９の先端と容器本体Ａの係止段部４との当接が外され、封緘帯Ｂ２はキャップ本体Ｂ１とともに完全に容器本体Ａの口筒部１から外されて上昇し、図５（ａ）に示すように、キャップＢは容器本体Ａから開蓋される。

【0036】

本実施例の封緘付きネジキャップは、最初の開蓋で、キャップＢのキャップ本体Ｂ１と封緘帯Ｂ２とを連設する弱化片１６と、封緘帯Ｂ２の弱化部１５とが切断されるので、不正開封を視認することができる。
また、最初の開蓋で、封緘帯Ｂ２の片方の端部側が下がった帯状となり、再び閉蓋しようとしても、閉蓋の妨げとなる。

【0037】

キャップ本体Ｂ１を容器本体Ａの口筒部１に閉蓋する際には、封緘帯Ｂ２の帯体１４の端部１４ｂに指を掛け、キャップ本体Ｂ１に対して引っ張り、連結弱化片１７を切断して封緘帯Ｂ２をキャップ本体Ｂ１から外して使用する。

【0038】

連結弱化片１７は、最初の開蓋時に、封緘帯Ｂ２の短係止爪片１９の先端が、容器本体Ａの口筒部１の係止段部４に当接することにより、封緘帯Ｂが下方に引っ張られるとともに、連結弱化片１７自体が支点として変形させられるので、元の状態に比べ、連結弱化片１７自体の強度が劣化しているので、簡単に切り離すことができる。

【0039】

本実施例の封緘付きネジキャップは、キャップ本体Ｂ１から封緘帯Ｂ２を取り外した後に閉蓋すると、図５（ｂ）に示すように、キャップとしての外観が変わるとともに、キャップ本体Ｂ１の外周壁１１の下端に弱化片１６と連結弱化片１７の切断跡が残るので、不正開封を確認することができる。

【0040】

また、封緘帯Ｂ２が、キャップ本体Ｂ１とともに容器本体Ａから外されるので、封緘帯Ｂ２が容器本体Ａに残らないので、容器使用後に、構成する材質が異なる容器本体ＡとキャップＢを簡単に分別廃棄することができる。

【実施例2】

【0041】

次に、第１実施例のキャップの構成を変えた第２実施例について、説明する。
本実施例の第１実施例と同一の構成部分には、同一の符号を付して図示して、詳しい説明を省略し、相違点を中心に説明する。

【0042】

図６において、Ａは容器本体、Ｂａは容器本体Ａの口筒部に螺着される封緘付きのキャップ、ＰはキャップＢａとともに容器本体Ａに開閉蓋されるパッキンである。

【0043】

キャップＢａは、図６、７に示すように、キャップ本体Ｂａ１と、キャップ本体Ｂａ１の下端に連設される封緘帯Ｂａ２とからなっている。

【0044】

キャップ本体Ｂａ１は、頂壁１０と外周壁２０とからなり、外周壁２０の内周の中央部には、容器本体Ａの口筒部１のネジ３に螺合するネジ１２が突設され、外周壁２０の下端部には、所定の箇所に係止凹部２１が複数配設されている。

【0045】

係止凹部２１には、上平面２１ａと、上平面２１ａの開蓋方向側から下方に延びる係止面２１ｂと、上平面２１ａの開蓋方向の反対側から傾斜して延びる傾斜面２１ｃとが形成されている。

【0046】

封緘帯Ｂａ２は、所定の間隔１３を設けて円状に形成した帯体２５と、帯体２５の端部２５ａ、２５ｂ間の間隔１３側面の内側下端を連設する破断可能な弱化部１５によりリング状に形成されている。

【0047】

帯体２５の上面には、所定の箇所に、キャップ本体Ｂａ１の係止凹部２１に係合する係止凸部２６が複数配設されている。

【0048】

係止凸部２６には、係止凹部２１の上平面２１ａ、係止面２１ｂ、傾斜面２１ｃにそれぞれ係合する上面２６ａ、係止面２６ｂ、傾斜面２６ｃが形成されている。

【0049】

キャップ本体Ｂａ１の係止凹部２１およびそれに係合する係止凸部２６は、封緘帯Ｂａ２の帯体２５の端部２５ａと端部２５ｂの近傍から離れた箇所に配設されている。

【0050】

キャップ本体Ｂａ１の外周壁２０と封緘帯Ｂａ２は、外周壁２０の下面と帯体２５の上面とを、端部２５ｂと端部２５ａ近傍とを残すとともに、係止凹部２１およびそれに係合する係止凸部２６の近傍の箇所を残して、複数配設された破断可能な弱化片１６と、封緘帯Ｂａ２の帯体２５の端部２５ａ付近に配設され、弱化片１６より太く比較的強固な連結弱化片１７とにより連結されている。

【0051】

封緘帯Ｂａ２の帯体２５の内周には、下方から上方内側に傾斜して延びる係止爪片１８が端部２５ｂから等間隔に複数配設され、端部２５ａ付近には、下方から上方内側に傾斜して延びるとともに、係止爪片１８より低い高さに形成される短係止爪片１９が配設されている。

【0052】

次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
まず、キャップＢａを螺着方向に回転させ、容器本体Ａの口筒部１に装着し、図６に示すように、閉蓋する。
キャップＢａを回転させ、容器本体Ａの口筒部１に対して降下させていく際には、キャップ本体Ｂａ１の外周壁２０に設けた係止凹部２１の上平面２１ａと、封緘帯Ｂａ２の帯体２５に設けた係止凸部２６の上面２６ａとが係合するとともに、係止凹部２１の係止面２１ｂと係止凸部２６の係止面２６ｂとが当接する。

【0053】

上平面２１ａと上面２６ａとが当接することによって、キャップ本体Ｂａ１の下降に対して封緘帯Ｂａ２を下方に押し、また、係止面２１ｂと係止面２６ｂとが当接することによって、キャップ本体Ｂａ１の回転力で封緘帯Ｂａ２全体をダイレクトに回転させる。

【0054】

キャップ本体Ｂａ１の回転に対して、封緘帯Ｂａ２が一緒に回転することにより、キャップ本体Ｂａ１と封緘帯Ｂａ２とを連設する弱化片１６および連結弱化片１７と弱化部１５に負担を掛けないようにすることができ、最初の閉蓋時に、弱化片１６および連結弱化片１７と弱化部１５が切れてしまうことを防止することができる。

【0055】

キャップＢａを開蓋する際には、キャップ本体Ｂａ１の回転による上昇に対して、容器本体Ａの係止段部４と封緘帯Ｂａ２の係止爪片１８の当接により、封緘帯Ｂａ２の上昇が阻止されるとともに、封緘帯Ｂａ２の回転が阻止され、キャップ本体Ｂａ１の外周壁２０に設けた係止凹部２１の傾斜面２１ｃが、封緘帯Ｂａ２の帯体２５に設けた係止凸部２６の傾斜面２６ｃに当接する。

【0056】

さらに、キャップ本体Ｂａ１を回転させると、傾斜面２１ｃが傾斜面２６ｃ上で摺動し、キャップ本体Ｂａ１の回転に対して、係止凸部２６を押し下げていく。

【0057】

封緘帯Ｂａ２の上昇を阻止する力とともに、係止凸部２６が押し下げられることにより、封緘帯Ｂａ２をキャップ本体Ｂａ１から引き離す力を強くすることができ、キャップ本体Ｂａ１を回転させる時に、より弱い力でキャップ本体Ｂａ１と封緘帯Ｂａ２とを連設する弱化片１６を切断していくことができる。
その他の作用効果は、実施例１と同じである。

【実施例3】

【0058】

次に、第１実施例のキャップの構成を変えた第３実施例について、説明する。
本実施例の第１実施例と同一の構成部分には、同一の符号を付して図示して、詳しい説明を省略し、相違点を中心に説明する。

【0059】

図８において、Ａは容器本体、Ｂｂは容器本体Ａの口筒部に螺着される封緘付きのキャップ、ＰはキャップＢｂとともに容器本体Ａに開閉蓋されるパッキンである。

【0060】

キャップＢｂは、図８、９に示すように、キャップ本体Ｂｂ１と、キャップ本体Ｂｂ１の下端に連設される封緘帯Ｂｂ２とからなっている。

【0061】

キャップ本体Ｂｂ１は、頂壁１０と外周壁３０とからなり、外周壁３０の内周の中央部には、容器本体Ａの口筒部１のネジ３に螺合するネジ１２が突設され、外周壁３０の下端部には、所定の箇所に係止垂下部３１が複数配設されている。

【0062】

係止垂下部３１には、閉蓋方向側に係止面３１ａが形成されている。

【0063】

封緘帯Ｂｂ２は、所定の間隔１３を設けて円状に形成した帯体３５と、帯体３５の端部３５ａ、３５ｂ間の間隔１３側面の内側下端を連設する破断可能な弱化部１５によりリング状に形成されている。

【0064】

帯体３５の上面には、所定の箇所に、閉蓋時に、キャップ本体Ｂｂ１の係止垂下部３１と係合する係止部３６が複数配設されている。

【0065】

係止部３６には、閉蓋時に、係止垂下部３１の係止面３１ａに当接する係止面３６ａが形成されている。

【0066】

キャップ本体Ｂｂ１の係止垂下部３１およびそれに係合する係止部３６は、封緘帯Ｂｂ２の帯体３５の端部３５ａと端部３５ｂの近傍から離れた箇所に配設されている。

【0067】

キャップ本体Ｂｂ１の外周壁３０と封緘帯Ｂｂ２は、外周壁３０の下面と帯体３５の上面とを、端部３５ｂと端部３５ａ近傍とを残すとともに、係止垂下部３１およびそれに係合する係止部３６の近傍の箇所を残して、複数配設された破断可能な弱化片１６と、封緘帯Ｂｂ２の帯体３５の端部３５ａ付近に配設され、弱化片１６より太く比較的強固な連結弱化片１７とにより連結されている。

【0068】

封緘帯Ｂｂ２の帯体３５の内周には、下方から上方内側に傾斜して延びる係止爪片１８が端部３５ｂから等間隔に複数配設され、端部３５ａ付近には、下方から上方内側に傾斜して延びるとともに、係止爪片１８より低い高さに形成される短係止爪片１９が配設されている。

【0069】

次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
まず、図８に示すように、キャップＢｂを螺着方向に回転させて容器本体Ａの口筒部１に装着し、閉蓋する。
キャップＢｂを回転させ、容器本体Ａの口筒部１に対して降下させていく際には、キャップ本体Ｂｂ１の外周壁３０に設けた係止垂下部３１の係止面３１ａと、封緘帯Ｂｂ２に設けた係止部３６の係止面３６ａが当接する。

【0070】

係止面３１ａと係止面３６ａとが当接することによって、キャップ本体Ｂｂ１の回転力で封緘帯Ｂｂ２全体をダイレクトに回転させる。

【0071】

キャップ本体Ｂｂ１の回転に対して、封緘帯Ｂｂ２が一緒に回転することにより、キャップ本体Ｂｂ１と封緘帯Ｂｂ２とを連設する弱化片１６および連結弱化片１７と、弱化部１５に負担を掛けないようにすることができ、最初の閉蓋時に、弱化片１６および連結弱化片１７と、弱化部１５が切れてしまうことを防止することができる。
その他の作用効果は、実施例１と同じである。

【産業上の利用可能性】

【0072】

本発明の封緘付きネジキャップは、最初の開蓋時にキャップ本体と一緒に封緘帯が容器本体から確実に外されるので、キャップと容器本体とを分別廃棄することを簡単にできるキャップとして広く利用することができる。

【符号の説明】

【0073】

Ａ 容器本体
Ｂ、Ｂａ、Ｂｂ キャップ
Ｂ１、Ｂａ１、Ｂｂ１ キャップ本体
Ｂ２、Ｂａ２、Ｂｂ２ 封緘帯
Ｐ パッキン
１ 口筒部
２ 肩部
３、１２ ネジ
４ 係止段部
５ 係合凹部
６ ネックリング
１０ 頂壁
１１、２０、３０ 外周壁
１３ 間隔
１４、２５、３５ 帯体
１４ａ、１４ｂ、２５ａ、２５ｂ、３５ａ、３５ｂ 端部
１５ 弱化部
１６ 弱化片
１７ 連結弱化片
１８ 係止爪片
１９ 短係止爪片
２１ 係止凹部
２１ａ 上平面
２１ｂ、２６ｂ、３１ａ、３６ａ 係止面
２１ｃ、２６ｃ 傾斜面
２６ 係止凸部
２６ａ 上面
３１ 係止垂下部
３６ 係止部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】