特許第5755073号(P5755073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5755073鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755073
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/24 20060101AFI20150709BHJP
   E04F 13/21 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   E04F13/08 101G
   E04F13/08 101F
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-172847(P2011-172847)
(22)【出願日】2011年8月8日
(65)【公開番号】特開2013-36224(P2013-36224A)
(43)【公開日】2013年2月21日
【審査請求日】2014年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(72)【発明者】
【氏名】川井 達樹
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−156787(JP,A)
【文献】 実開平02−130929(JP,U)
【文献】 特開2003−278307(JP,A)
【文献】 特開平08−151764(JP,A)
【文献】 特開平01−178658(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第4228338(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/24
E04F 13/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側に立設した支柱やフレームの縦枠に鉱物質パネルを支持するために、該鉱物質パネルの背面の上下部に沿ってそれぞれ横長の上連結金具と下連結金具を取付けてなる鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造であって、前記鉱物質パネルの背面の上下部に沿ってそれぞれ2条の平行な溝を穿設し、縁部側の溝は深部が縁部に接近するように傾斜した傾斜溝であり、中央部側の溝は背面に直角な垂直溝であり、前記上連結金具と下連結金具は前記鉱物質パネルの背面に接合する基板を有し、該基板の縁部側に前記傾斜溝に係合する傾斜片を突設するとともに、前記基板の中央部側の端部を余して前記垂直溝に係合する垂直片を突設し、前記傾斜片と垂直片の間の基板に設けた第1接合部に塗布した接着剤で前記鉱物質パネルの背面に接着することを特徴とする鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造。
【請求項2】
前記鉱物質パネルの背面の上下部にそれぞれ形成した前記傾斜片と垂直片の対は、上下で対称である請求項1記載の鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造。
【請求項3】
前記上連結金具と下連結金具は、前記第1接合部による接着に加えて、前記垂直片よりも中央部側の基板の端部に設けた第2接合部に貼着した両面粘着テープで前記鉱物質パネルの背面に粘着する請求項1又は2記載の鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造。
【請求項4】
前記基板の第1接合部は、表面を粗面化処理してなるものである請求項1〜3何れか1項に記載の鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造。
【請求項5】
前記上連結金具には、前記支柱又は縦枠に取付けるために、前記基板の上端に連続し、前記鉱物質パネルの上端よりも上方に突出した取付片を有するとともに、該取付片の上方に受片を形成したものであり、前記下連結金具は、前記基板の背面下部に前記上連結金具の受片に係止する係止部を突設したものである請求項1〜4何れか1項に記載の鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造に係わり、更に詳しくは両側に立設した支柱やフレームの縦枠に鉱物質パネルを支持するための連結金具を該鉱物質パネルに取付ける構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、天然石板を用いた石パネル、人工大理石、タイルやセラミックスパネル(これらを以下「鉱物質パネル」と称する)を支柱やフレームに取付けて間仕切パネルを構成することは公知である。
【0003】
例えば、特許文献1には、石板の背面に形成した複数の挿入溝に、連結金具の挿入板部を挿入して、背面に連結金具を取付け、該連結金具を連結アングルにネジで取付ける構造が開示されている。具体的には、前記石板の背面に一対の挿入溝を奥部になるにつれて接近するように傾斜させて形成し、連結金具を二つの連結部材で構成し、それぞれの連結部材の挿入板部を挿入溝に挿入した後、両連結部材をボルト、ナットで接近する方向に締め付けて、両挿入板部で両挿入溝間の石板部分を挟み付けて保持する構造である。
【0004】
また、特許文献2には、石材タイルの背面に面ファスナーを貼設し、面ファスナーを壁、パネル等の施工部に貼設したファスナーシートに係着する構造が開示されている。
【0005】
一方、特許文献3には、鉱物質パネル上端の前縁に第1係止縁を上方へ突設するとともに、後縁に該第1係止縁よりも上方へ延びた固定片を突設し、前記鉱物質パネル上端と第1係止縁及び固定片とで上方へ開口した凹溝を形成し、鉱物質パネル下端の後縁部に前記固定片の前面側で前記凹溝内に係合し得る形状の脚片を下方へ突設し、前記フレームの両縦杆の前面側に分割パネルを沿わせて前記固定片を前方から前記縦杆にネジ止めし、下段の分割パネルの凹溝内に、第1係止縁の上方に空間部を残して上段の分割パネルの脚片下端部を上方から嵌合して保持する構造が開示されている。
【0006】
しかし、特許文献1に記載のものは、石板の少なくとも4箇所に傾斜方向が異なる一対の挿入溝を穿設する必要があり、またそれぞれに二つの連結部材からなる連結金具をボルト、ナットの締め付け具合を調節しながら取付ける必要があり、作業工程が多く、コスト高となる傾向がある。また、特許文献2に記載の面ファスナーを用いる取付構造は、取付強度に問題があり、支柱にブロックパネルを取付けるような一般的な間仕切パネルには適用することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平04−042416号公報
【特許文献2】実開平06−008576号公報
【特許文献3】特開2009−102850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、石パネル、人工大理石、タイルやセラミックスパネル等の鉱物質パネルの背面に、支柱やフレームの縦枠に該鉱物質パネルを支持するための連結金具を、簡単且つ強固に取付けることができる鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題解決のために、両側に立設した支柱やフレームの縦枠に鉱物質パネルを支持するために、該鉱物質パネルの背面の上下部に沿ってそれぞれ横長の上連結金具と下連結金具を取付けてなる鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造であって、前記鉱物質パネルの背面の上下部に沿ってそれぞれ2条の平行な溝を穿設し、縁部側の溝は深部が縁部に接近するように傾斜した傾斜溝であり、中央部側の溝は背面に直角な垂直溝であり、前記上連結金具と下連結金具は前記鉱物質パネルの背面に接合する基板を有し、該基板の縁部側に前記傾斜溝に係合する傾斜片を突設するとともに、前記基板の中央部側の端部を余して前記垂直溝に係合する垂直片を突設し、前記傾斜片と垂直片の間の基板に設けた第1接合部に塗布した接着剤で前記鉱物質パネルの背面に接着することを特徴とする鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造を構成した(請求項1)。
【0010】
ここで、前記鉱物質パネルの背面の上下部にそれぞれ形成した前記傾斜片と垂直片の対は、上下で対称であることが好ましい(請求項2)。
【0011】
更に、前記上連結金具と下連結金具は、前記第1接合部による接着に加えて、前記垂直片よりも中央部側の基板の端部に設けた第2接合部に貼着した両面粘着テープで前記鉱物質パネルの背面に粘着することがより好ましい(請求項3)。
【0012】
また、前記基板の第1接合部は、表面を粗面化処理してなるものであるとより好ましい(請求項4)。
【0013】
そして、前記上連結金具には、前記支柱又は縦枠に取付けるために、前記基板の上端に連続し、前記鉱物質パネルの上端よりも上方に突出した取付片を有するとともに、該取付片の上方に受片を形成したものであり、前記下連結金具は、前記基板の背面下部に前記上連結金具の受片に係止する係止部を突設したものである(請求項5)。
【発明の効果】
【0014】
以上にしてなる請求項1に係る発明の鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造は、両側に立設した支柱やフレームの縦枠に鉱物質パネルを支持するために、該鉱物質パネルの背面の上下部に沿ってそれぞれ横長の上連結金具と下連結金具を取付けてなる鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造であって、前記鉱物質パネルの背面の上下部に沿ってそれぞれ2条の平行な溝を穿設し、縁部側の溝は深部が縁部に接近するように傾斜した傾斜溝であり、中央部側の溝は背面に直角な垂直溝であり、前記上連結金具と下連結金具は前記鉱物質パネルの背面に接合する基板を有し、該基板の縁部側に前記傾斜溝に係合する傾斜片を突設するとともに、前記基板の中央部側の端部を余して前記垂直溝に係合する垂直片を突設し、前記傾斜片と垂直片の間の基板に設けた第1接合部に塗布した接着剤で前記鉱物質パネルの背面に接着するので、基板の上下に突設した傾斜片と垂直片を鉱物質パネルの背面の上下部に穿設した傾斜溝と垂直溝にそれぞれ係合するとともに、傾斜片と垂直片の間に設けた第1接合部に塗布した接着剤で鉱物質パネルの背面に接着するので、上連結金具と下連結金具の鉱物質パネルへの取付作業が極めて簡単であるにも係わらず、接着と機械的な係合とを併用するので取付強度が高く、また傾斜溝と垂直溝に傾斜片と垂直片を係合するので正確な位置に取付けることができる。特に、取付強度に対しては、傾斜溝と傾斜片の係合によって、鉱物質パネルから基板の引き剥がしに対して機械的な抵抗力を備え、また傾斜溝から傾斜片を抜くには、連結金具の基板を鉱物質パネルの背面に沿った方向に変位させる必要があるが、接着剤はもともと接着面に平行な方向に対する強度は高いので、基板を変位させることができず、従って強い取付強度が発現するのである。
【0015】
請求項2によれば、前記鉱物質パネルの背面の上下部にそれぞれ形成した前記傾斜片と垂直片の対は、上下で対称であるので、前記鉱物質パネルを上下反転させても前記上連結金具と下連結金具を取付けることができ、あるいは前記上連結金具と下連結金具を前記鉱物質パネルの上下部のどちらにも取付けることができ、接着工程で付け間違えがない。
【0016】
請求項3によれば、前記上連結金具と下連結金具は、前記第1接合部による接着に加えて、前記垂直片よりも中央部側の基板の端部に設けた第2接合部に貼着した両面粘着テープで前記鉱物質パネルの背面に粘着するので、接着剤が硬化するまでの間、両面粘着テープによって鉱物質パネルに連結金具の基板を粘着して互いの接合面の変位を規制しておくことにより、接着時間が長くても良好な接着状態を得ることができ、また接着剤が未硬化の状態でも鉱物質パネルを次の作業工程に移すことができ、作業効率が向上する。また、第1接合部による接着と、第2接合部による粘着との併用によって、鉱物質パネルのより広い面を用いて連結金具の基板を取付けることができ、また前記傾斜溝と傾斜片との係合箇所から最も離れた第2接合部で、鉱物質パネルと基板を両面粘着テープで粘着するので、傾斜片を中心とする基板の回転による引き剥がしに対して強い抵抗力を有している。
【0017】
請求項4によれば、前記基板の第1接合部は、表面を粗面化処理してなるものであるので、接着剤による接着強度が格段に高くなる。
【0018】
請求項5によれば、前記上連結金具には、前記支柱又は縦枠に取付けるために、前記基板の上端に連続し、前記鉱物質パネルの上端よりも上方に突出した取付片を有するとともに、該取付片の上方に受片を形成したものであり、前記下連結金具は、前記基板の背面下部に前記上連結金具の受片に係止する係止部を突設したものであるので、下部に取付けた鉱物質パネルの上連結金具の受片に、上部の鉱物質パネルの下連結金具の係止部を上方から落とし込んで係止するとともに、上連結金具の取付片を支柱又は縦枠に取付けることにより、複数の鉱物質パネルを順次上方へ取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造を適用したブロックパネルを用いて施工した間仕切パネルの部分正面図である。
図2】支柱にブロックパネルを取付ける構造を示す部分分解斜視図である。
図3】同じく支柱にブロックパネルを取付ける構造を示す分解側面図である。
図4】中段のブロックパネルを示し、(a)は部分背面図、(b)は側面図である。
図5】最下段のブロックパネルを示し、(a)は部分背面図、(b)は側面図である。
図6】最上段のブロックパネルを示し、(a)は部分背面図、(b)は側面図である。
図7】ブロックパネルを支柱の表裏両側に取付けて構成した間仕切パネルの縦断側面図である。
図8図1のX−X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1は本発明に係る鉱物質パネルにおける連結金具の取付構造を適用したブロックパネルを用いて施工した間仕切パネルを示し、図2図8はその要部を示し、図中符号1は地レール、2は天レール、3は支柱、4はブロックパネル、5は鉱物質パネル、6は上連結金具、7は下連結金具をそれぞれ示している。
【0021】
本実施形態の間仕切パネルは、床面Fに固定した地レール1と天井Sに固定した天レール2との間に複数の支柱3,…を所定間隔毎に立設し、隣接する両支柱3,3の表面側にブロックパネル4の両端部を取付けるとともに、上下方向に複数のブロックパネル4,…を配置した構造である。前記ブロックパネル4は、鉱物質パネル5の背面の上部に沿って横長の上連結金具6を取付けるとともに、下部に沿って横長の下連結金具7を取付け、下部のブロックパネル4の上連結金具6を両支柱3,3の表面側にネジ8にて取付け、上部のブロックパネル4の下連結金具7を下部のブロックパネル4の上連結金具6に係止するとともに、上連結金具6を両支柱3,3の表面側にネジ8にて取付けるといった手順で順次上方へ取付ける。本実施形態では、中段のブロックパネル4と、最下段のブロックパネル4Aと最上段のブロックパネル4Bとは、連結金具の構造が若干異なるが、発明の本質的な部分は共通である。
【0022】
前記支柱3は、図2に示すように、アルミ押出し型材で作製したものであり、表裏両面のそれぞれに、両側部と中央部に上下に渡る前記支持溝9,9Aを形成し、該支持溝9,9Aは横幅に対する深さのアスペクト比を2以上に設定している。ここで、前記支柱3の表面の両側部に支持溝9,9を形成し、中央部に支持溝9Aを形成している。これらの支持溝9,9Aには十分な締付力でネジ8を螺入できるようになっている。ここで、前記ネジ8としてタッピンネジを用いることが好ましい。また、前記支柱3の表面側の一面のみに支持溝9,9のみを設けてもよい。
【0023】
本発明は、石パネル、人工大理石、タイルやセラミックスパネル等からなる長方形状の鉱物質パネル5の背面の上下部に、上連結金具6と下連結金具7を簡単且つ強固に取付けることを特徴としている。前記上連結金具6及び下連結金具7は、アルミ押出し型材で作製したものであり、適宜な長さに切断するとともに、端部を所望形状に加工して用いることが好ましい。
【0024】
更に詳しくは、前記鉱物質パネル5は、図2図4に示すように、背面10の上下部に沿ってそれぞれ2条の平行な溝を穿設し、縁部側の溝は深部が縁部に接近するように傾斜した傾斜溝11であり、中央部側の溝は背面に直角な垂直溝12である。これらの傾斜溝11と垂直溝12は、鉱物質パネル5の横方向の全長に渡って形成すれば良い。上下部でそれぞれ対となった前記傾斜溝11と垂直溝12は、鉱物質パネル5の上下で対称となっており、該鉱物質パネル5を上下反転しても全く同じになる。
【0025】
前記上連結金具6は、前記鉱物質パネル5の背面10に接合する基板13を有し、該基板13の縁部側に上側の前記傾斜溝11に係合する傾斜片14(上向き傾斜)を突設するとともに、前記基板13の中央部側の端部を余して前記垂直溝12に係合する垂直片15を突設し、前記傾斜片14と垂直片15の間の基板13を第1接合部16とし、前記垂直片15よりも中央部側の基板13の端部に第2接合部17を設けている。そして、図3に示すように、前記上連結金具6の第1接合部16に接着剤18を塗布するとともに、第2接合部17に両面粘着テープ19を貼着した状態で、前記傾斜片14を前記鉱物質パネル5の傾斜溝11に係合に斜めから係合した後、背面10に基板13が接合するように回転させ、鉱物質パネル5と基板13とを接着剤18による接着と両面粘着テープ19による粘着によって取付ける。
【0026】
次に、前記下連結金具7を説明するが、基本構成は前記上連結金具6と同様であるので、同一構成には同一符号を付して説明する。つまり、前記下連結金具7は、前記鉱物質パネル5の背面10に接合する基板13を有し、該基板13の縁部側に下側の前記傾斜溝11に係合する傾斜片14(下向き傾斜)を突設するとともに、前記基板13の中央部側の端部を余して前記垂直溝12に係合する垂直片15を突設し、前記傾斜片14と垂直片15の間の基板13を第1接合部16とし、前記垂直片15よりも中央部側の基板13の端部に第2接合部17を設けている。そして、図示しないが、前記下連結金具7の第1接合部16に接着剤18を塗布するとともに、第2接合部17に両面粘着テープ19を貼着した状態で、前記傾斜片14を前記鉱物質パネル5の傾斜溝11に係合に斜めから係合した後、背面10に基板13が接合するように回転させ、鉱物質パネル5と基板13とを接着剤18による接着と両面粘着テープ19による粘着によって取付ける。
【0027】
ここで、前記基板13の第1接合部16は、表面を粗面化処理してなることが接着強度が高くなるので好ましく、具体的には微細な凹凸パターンを長手方向に形成している。
前記鉱物質パネルの背面に接着する。一般的に、速乾性の接着剤は脆く、接着強度に劣るが、接着強度が強い接着剤は硬化時間が長い傾向がある。本実施形態では、硬化時間が長い接着剤を用いても、前記両面粘着テープ19によって鉱物質パネル5と、上連結金具6及び下連結金具7の基板13とを粘着するので、移動させたりしても、接着面がずれることがないので、接着不良が発生しない。つまり、本発明では、鉱物質パネル5に上連結金具6及び下連結金具7を接着した後、静置することなく次の作業工程に移ることができるので、製造における作業効率が大幅に向上する。
【0028】
次に、前記ブロックパネル4を支柱3に取付けるとともに、上方へ順次積み上げ式に取付ける構造を説明する。そのため、前記上連結金具6には、前記基板13の上端に連続し、前記鉱物質パネル5の上端よりも上方に突出した取付片20を有するとともに、該取付片20の上方に受片21を形成している。前記取付片20は、基板13の上端に段折れ状に形成し、前記支柱3の表面に接合できるようになっており、また前記受片21は前記取付片20の上端から段折れ状に上方へ延設され、支柱3の表面と該受片21との間に隙間が形成されるようになっている。そして、前記受片21の背面側に沿ってブラシ状のシール材22が添設されている。更に、前記取付片20は、前記鉱物質パネル5の上方へ突出した部分を有し、この露出部の両側端部に前記ネジ8を挿通する横長孔23を形成している。本実施形態では、前記横長孔23は、それぞれの側部で左右に間隔を設けた対を上下に設け、合計4つ設けて、様々な取付態様に適用できるようにしている。上下に二対設けたのは、一つの横長孔23を用いてネジ8の螺入に失敗した場合、あるいは一旦螺入したネジ8を外して再度螺入する場合に、同じ位置にネジ8を螺入すると強度が低下するのを避けるために、他の横長孔23を用いて同じ支持溝9にネジ止めできるようにするためである。勿論、上下二箇所でネジ止めして取付強度を高める目的で使用する場合もある。また、本実施形態では、前記取付片20の左右中央部にも単又は複数のネジ止めのための孔を形成している。
【0029】
一方、前記下連結金具7は、前記基板13の背面10の下部に、前記上連結金具6の受片21に係止する係止部24を突設している。ここで、前記係止部24は、背面側が前記支柱3の表面に接合するようになっており、図3に示すように、下部のブロックパネル4の上連結金具6の受片21に落とし込み係合した状態で、前記シール材22に接触し、ガタツキを防止するとともに、気密性と防音性が保たれるのである。
【0030】
そして、前記鉱物質パネル5の周囲には、帯状のシール25を貼着している。図示しないが、前記鉱物質パネル5の周縁に浅い溝を形成し、該溝内に乾式のシール25の一部を埋め込んで貼着することが望ましい。
【0031】
次に、最下段のブロックパネル4Aと最上段のブロックパネル4Bを簡単に説明する。何れも鉱物質パネル5は共通のものを用いる。最下段のブロックパネル4Aは、図5に示すように、鉱物質パネル5の背面10の上部には前記上連結金具6を同様に取付け、下部には下連結金具26の基板27の上下部を両面粘着テープ28,28で鉱物質パネル5の背面10に貼着している。そして、前記下連結金具26の基板27の上縁には下向き係止片29を突設するとともに、基板27の下縁には前記地レール1の側面に接触するシール材30を全長に添設している。また、最下段のブロックパネル4Aでは、前記シール25を鉱物質パネル5の両側面と上面のみに添設している。このように、鉱物質パネル5の目地部が形成され縁部にシール25を設けることにより、コーキングしなくても目地部を塞ぐことができる。あるいは、目地部に位置するシール25の表側にコーキング剤を充填することにより、シール25が裏打ち材の作用をする。
【0032】
また、前記最上段のブロックパネル4Bは、図6に示すように、鉱物質パネル5の背面10の下部には前記下連結金具7を同様に取付け、上部には上連結金具31を前記同様に取付ける。つまり、前記上連結金具31は、前記上連結金具6の基板13と同じ構造を有し、該基板13の上端から上方へ延長部32を有し、前記鉱物質パネル5の上方へ突出した該延長部32の上方に前記支柱3へ取付けるための取付片33を段折れ状に形成し、該取付片33を含む露出部をカバー部材34で覆っている。前記上連結金具6と同一構成には同一符号を付してその説明は省略する。また、最上段のブロックパネル4Bでは、前記シール25を鉱物質パネル5の両側面と下面のみに添設している。
【0033】
そして、図1図3図7及び図8に示すように、先ず前記支柱3の下部で前記地レール1より上方に前記支持溝9を利用して受け金具35をネジ止めする。そして、最下段のブロックパネル4Aの下部に設けた下連結金具26の下向き係止片29を、前記受け金具35の上向き突片36に係止するとともに、上部に設けた上連結金具6の取付片20の両側部をネジ止めする。それから、ブロックパネル4の下連結金具7の係止部24を支柱3の表面に当接させて下方へ滑らして最下段ブロックパネル4Aの上連結金具6の受片21に係止した後、ブロックパネル4の位置を微調節しながら上連結金具6を前記同様に支柱3にネジ止めするのである。同様に、下部ブロックパネル4の上連結金具6の受片21に、上部ブロックパネル4の下連結金具7の係止部24を係止するとともに、上部ブロックパネル4の上連結金具6の両端部を前述のように両側の支柱3,3にネジ止めする。このようにして、両側の支柱3,3の表裏両面に複数のブロックパネル4,…を上下に取付ける。最後に、最上段のブロックパネル4Bの下部に設けた下連結金具7の係止部24を、下部のブロックパネル4に設けた上連結金具6の受片21に係止した後、上連結金具31の取付片33の両側部を前記天レール2にネジ止めする。それから、前記取付片33を含む露出部をカバー部材34で被覆する。
【0034】
前記ブロックパネル4の取付位置は、微調節することができる。その場合、前記ブロックパネル4では、前記支柱3の支持溝9と取付片20の横長孔23とが交差する位置にネジ8を螺入するので、調節範囲が広く、施工性に優れている。
【0035】
前記支柱3を介して両側に複数のブロックパネル4,4A,4B,…を取付けると、各鉱物質パネル5,5の間の目地部は、該鉱物質パネル5の周囲に添設したシール25,25が隙間を塞ぐように互いに接触する。
【0036】
尚、隣接する支柱3,3の間隔が広く、前記ブロックパネル4が表裏に撓む恐れがある場合には、図1及び図5に示すように、両支柱3,3の中間に中間支柱37を立設し、該中間支柱37の表裏両面に、前記上連結金具6の取付片20の左右中央部に設けた横長孔23に挿通したタッピンネジ38を螺合している。
【0037】
本実施形態では、前記支柱3の表裏両面にブロックパネル4を取付ける構造のものを示したが、支柱3の表面側のみにブロックパネル4を取付けるようにしたものでも良い。
【符号の説明】
【0038】
1 地レール、 2 天レール、
3 支柱、 4,4A,4B ブロックパネル、
5 鉱物質パネル、 6 上連結金具、
7 下連結金具、 8 ネジ、
9,9A 支持溝、 10 背面、
11 傾斜溝、 12 垂直溝、
13 基板、 14 傾斜片、
15 垂直片、 16 第1接合部、
17 第2接合部、 18 接着剤、
19 両面粘着テープ、 20 取付片、
21 受片、 22 シール材、
23 横長孔、 24 係止部、
25 シール、 26 下連結金具、
27 基板、 28 両面粘着テープ、
29 係止片、 30 シール材、
31 上連結金具、 32 延長部、
33 取付片、 34 カバー部材、
35 受け金具、 36 突片、
37 中間支柱、 38 タッピンネジ、
F 床面、 S 天井。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8