(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の建物にそれぞれ設置されて監視対象の設備機器の異常が検出されると異常情報を発報する端末装置と、これら複数の端末装置と通信回線を介して接続され前記異常情報発報の配信先を指定する自社の監視サーバ装置と、前記配信先の候補である1つ以上の自社監視センタおよび1つ以上の他社監視センタとを備えた遠隔監視システムにおいて、
前記他社監視センタに配信された異常情報発報の未対応件数がそれ以上になると過剰とみなされる所定数を設定し、この所定数が前記監視サーバ装置に記憶されていると共に、この監視サーバ装置に、前記他社監視センタの未対応件数を把握する未対応件数管理部と、前記未対応件数が前記所定数以上のときに該当する前記他社監視センタ向けの異常情報発報の配信先を前記自社監視センタに変更して対応支援を指令する他社センタ対応指令部とを設け、前記他社センタ対応指令部が、前記他社監視センタ向けの複数の異常情報発報を前記自社監視センタへ配信する際に、異常対応の緊急度に応じた優先順に該異常情報発報を配信するようにしてあることを特徴とする遠隔監視システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の遠隔監視システムは、自社の監視サーバ装置によって、自社監視対象の設備機器に関する異常情報発報は自社監視センタへ配信し、他社監視対象の設備機器に関する異常情報発報は他社監視センタへ配信するというものであるが、他社監視センタの中には、規模が小さくて配信された異常情報発報を処理する能力がさほど高くないものもある。そのため、監視サーバ装置から特定の他社監視センタへ異常情報発報が集中して配信された場合などに、この他社監視センタにおいて対応処理が停滞してしまうことが予想されるが、こうした事態を想定しての対策について、従来の遠隔監視システムでは特別な配慮はなされていなかった。しかしながら、監視対象の設備機器の異常情報が発報されたにも拘らず、監視センタ側の対応の遅れによって、例えばエレベータのかご内に乗客が長時間閉じ込められてしまったり、あるいは停電の復旧に長時間を要してしまう等の不手際が発生すると、遠隔監視システムの態勢不備を糾弾されかねず、異常対応の遅れによって設備機器の利用者が危険に晒されることもありうる。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、異常情報発報の配信先の他社監視センタで異常対応に不所望な遅れが生じないように支援できる遠隔監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、複数の建物にそれぞれ設置されて監視対象の設備機器の異常が検出されると異常情報を発報する端末装置と、これら複数の端末装置と通信回線を介して接続され前記異常情報発報の配信先を指定する自社の監視サーバ装置と、前記配信先の候補である1つ以上の自社監視センタおよび1つ以上の他社監視センタとを備えた遠隔監視システムにおいて、前記他社監視センタに配信された異常情報発報の未対応件数がそれ以上になると過剰とみなされる所定数を設定し、この所定数が前記監視サーバ装置に記憶されていると共に、この監視サーバ装置に、前記他社監視センタの未対応件数を把握する未対応件数管理部と、前記未対応件数が前記所定数以上のときに該当する前記他社監視センタ向けの異常情報発報の配信先を前記自社監視センタに変更して対応支援を指令する他社センタ対応指令部とを設け
、前記他社センタ対応指令部が、前記他社監視センタ向けの複数の異常情報発報を前記自社監視センタへ配信する際に、異常対応の緊急度に応じた優先順に該異常情報発報を配信するように構成した。
【0007】
このように異常情報発報を自社監視センタと他社監視センタへ選択的に配信する自社の監視サーバ装置が、他社監視センタでの未対応な異常情報発報の件数を把握していると共に、この他社監視センタの未対応件数が過剰と判断された場合に、他社監視センタ向けの異常情報発報を自社監視センタに配信して対応支援できるようにしてあると、他社監視センタで異常情報発報の処理に支障をきたす状況が発生したときに、自社監視センタによる代行監視へ円滑に移行させることができる。
しかも、監視サーバ装置の他社センタ対応指令部が、他社監視センタ向けの複数の異常情報発報を自社監視センタへ配信する際に、異常対応の緊急度に応じた優先順に該異常情報発報を配信するようにしてあるため、自社監視センタによる対応支援の実効性が高まる。それゆえ、他社監視センタに異常情報発報が集中した場合や、他社監視センタの規模が小さい場合にも、この他社監視センタで異常対応に不所望な遅れが生じる前に自社監視センタで対応支援が行えることになり、他社監視センタに対する支援態勢が強化できる。
【0009】
また、上記の遠隔監視システムにおいて、複数の他社監視センタの規模に応じて、異常情報発報の未対応件数がそれ以上になると過剰とみなされる所定数がそれぞれ設定されていると、他社監視センタ毎に未対応件数が過剰か否かの判定が適正に行えるようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の遠隔監視システムによれば、他社監視センタの未対応件数が過剰と判断された場合に、この他社監視センタ向けの異常情報発報を自社監視センタに配信して対応支援できるようにしてあるため、他社監視センタで異常情報発報の処理に支障をきたす状況が発生したときに、自社監視センタによる代行監視へ円滑に移行させることができる。それゆえ、他社監視センタに異常情報発報が集中した場合や、他社監視センタの規模が小さい場合にも、この他社監視センタで異常対応に不所望な遅れが生じる前に自社監視センタで対応支援が行えるようになる。したがって、例えばエレベータのかご内に乗客が長時間閉じ込められてしまったり、あるいは停電の復旧に長時間を要してしまう等の重大な対応遅れに至る可能性が極めて低くなる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態に係る遠隔監視システムについて
図1〜
図4を参照しながら説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施形態例に係る遠隔監視システムにおいて、監視エリア1A,1B,1Cには、図示せぬ建物内に設置されて監視対象の設備機器の動作状態を監視センタへ自動発報するための端末装置11A〜12A,11B〜12B,11C〜12Cがそれぞれ配備されている。前記設備機器は、エレベータや空調設備、電気設備、防犯装置、防災装置などであり、各端末装置は監視対象の設備機器と電気的に接続されているため、電気信号の変化に基づいて設備機器の異常や復旧状態等が端末装置によって検知されるようになっている。これらの端末装置11A〜12A,11B〜12B,11C〜12Cは、電話回線8を介して自社の監視サーバ装置2と接続されており、この監視サーバ装置2によって、各端末装置から送信された異常情報発報が指定の監視センタへ配信される。
【0015】
監視サーバ装置2は、通信回線6を介して自社監視センタ3の監視卓31,32や自社監視センタ4の監視卓41,42と接続されていると共に、通信回線7を介して複数の他社監視センタ5等と接続されている。自社監視センタ3は、端末装置11A〜12Aを介して、監視エリア1A内の複数の建物に設置されている監視対象の設備機器を遠隔的に監視している。同様に、自社監視センタ4は、端末装置11B〜12Bを介して、監視エリア1B内の複数の建物に設置されている監視対象の設備機器を遠隔的に監視している。また、他社監視センタ5等は、端末装置11C〜12Cを介して、監視エリア1C内の複数の建物に設置されている監視対象の設備機器を遠隔的に監視している。
【0016】
なお、監視卓31,32や監視卓41,42には、監視サーバ装置2から送信されてくる情報を表示可能な表示装置が備えられている。また、他社監視センタ5等は、通信回線7に接続可能な通信機能を有する汎用パソコンなどで構成されている。
【0017】
監視サーバ装置2には、端末装置11A〜12A,11B〜12B,11C〜12C等との接続を制御する回線制御装置21と、送受信データを管理するための演算処理等を行う制御装置22と、制御装置22の指定したデータを記憶する記憶装置23と、自社監視センタ3,4や他社監視センタ5等との送受信を制御する送受信制御装置24とが備えられている。また、制御装置22に他社センタ対応指令部22Aが設けられていると共に、記憶装置23に未対応件数管理部23Aが設けられている。
【0018】
回線制御装置21によって受信された異常情報発報は制御装置22へ送られ、この制御装置22が記憶装置23に格納されているデータを参照して各異常情報発報の配信先を指定する。つまり、記憶装置23には、自社監視対象の設備機器や端末装置11A〜12A,11B〜12Bや自社監視センタ3,4等に関する自社情報と、他社監視対象の設備機器や端末装置11C〜12Cや他社監視センタ5等に関する他社情報とが記憶されている。また、送受信制御装置24は、制御装置22で指定された配信先へ異常情報発報を送信する。
【0019】
この監視サーバ装置2は、端末装置11C〜12Cから通報されて他社監視センタ5等に配信された異常情報発報の未対応件数がそれ以上になると過剰とみなされる所定数N(例えば10件)を設定しており、この所定数Nも記憶装置23に記憶されている。この所定数Nは、他社監視センタの規模に応じた件数に設定されている。
【0020】
記憶装置23に設けられた未対応件数管理部23Aは、他社監視センタ毎に異常情報発報の未対応件数を常時把握している。また、制御装置22に設けられた他社センタ対応指令部22Aは、他社監視センタ5等における未対応件数が前記所定数N以上のときに、該当する他社監視センタ向けの異常情報発報の配信先を自社監視センタ3,4のいずれかに変更して対応支援を指令するという信号を出力する。
【0021】
次に、監視サーバ装置2が端末装置からの異常情報発報の配信先を決定する際に行う処理手順を、
図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0022】
監視対象の設備機器(例えばエレベータ)に異常が発生し(ステップS1)、端末装置がその異常を検出すると(ステップS2)、この端末装置から電話回線8を介して監視サーバ装置2へ異常情報が自動発報される(ステップS3)。
【0023】
監視サーバ装置2では、この異常情報発報を回線制御装置21が受信する(ステップS4)。そして、制御装置22が、この異常情報発報に関するデータを記憶装置23が有する発報情報管理テーブルFに書き込んだ(ステップS5)後、同じく記憶装置23が有するビルマスターテーブルを参照して、この異常情報発報の配信先を指定するための対応コードF6を取得する(ステップS6)。発報情報管理テーブルFの内容については後述するが、ビルマスターテーブルには、建物別に監視対象の設備機器や端末装置に関するデータが記憶されているため、受信した異常情報発報をどの監視センタへ配信すべきかが判定できる。
【0024】
次に、制御装置22は、受信した異常情報発報の対応コードF6を参照して、配信先が自社監視センタ3,4であるか、それとも他社監視センタ5であるかを判定する(ステップS7)。監視サーバ装置2が監視エリア1A,1B内の端末装置からの異常情報発報を受信した場合、ステップS7において配信先は自社監視センタ3,4と判定されるため、ステップS9へ進む。これに対して、監視サーバ装置2が監視エリア1C内の端末装置からの異常情報発報を受信した場合は、ステップS7において配信先は他社監視センタ5等と判定されるため、ステップS8へ進む。
【0025】
まず、ステップS7からステップS9へ進んだ場合の処理手順について説明する。ステップS9において、例えば端末装置11A〜12Aから通報された異常情報発報の場合、対応コードF6は自社監視センタ3を示す「001」となるため、制御装置22は自社監視センタ3(監視卓31,32)向けの送信データを作成する。また、端末装置11B〜12Bから通報された異常情報発報の場合は、対応コードF6が自社監視センタ4を示す「002」となるため、制御装置22は自社監視センタ4(監視卓41,42)向けの送信データを作成する。ただし、端末装置11A〜12Aから通報された異常情報発報であっても監視卓31,32が受信不能なときは、自社監視センタ4へ送信するため対応コードF6は「002」と書き込む。同様に、端末装置11B〜12Bから通報された異常情報発報であっても監視卓41,42が受信不能なときは、自社監視センタ3へ送信するため対応コードF6は「001」と書き込む。
【0026】
ここで、記憶装置23が有する前記発報情報管理テーブルFの内容について、
図3を参照しながら説明する。この発報情報管理テーブルFには、受信コードの項目F1と、ビル名の項目F2と、異常発生時刻の項目F3と、監視設備名の項目F4と、異常状態の項目F5とが用意されており、ステップS5では受信した異常情報発報のデータを各項目に書き込む。
【0027】
発報情報管理テーブルFの各項目の内容について説明すると、項目F1の受信コードは、異常情報発報を受信する度に新規に採番されるコード番号(例えば9桁の通し番号)である。項目F2のビル名は、異常情報を発報した端末装置が設置されているビルの名称である。項目F3の異常発生時刻は、異常情報発報を受信した時刻である。項目F4の監視設備名は、異常が発生した監視対象の設備機器の名称である。項目F5の異常状態は、その設備機器の異常状態の内容ならびに対応優先度を示す緊急度ランクであり、異常状態の内容が緊急な対応を要する場合は対応優先度がランクAに指定され、以下、ランクB、ランクCとなる。
図3に示すように、発報情報管理テーブルFは、異常対応の緊急度に応じた優先順に配列させることができる。
【0028】
図2のフローチャートへ戻り、ステップS9で制御装置22により作成された自社監視センタ向けの送信データは、送受信制御装置24および通信回線6を介して、自社監視センタ3の監視卓31,32または自社監視センタ4の監視卓41,42へ送信される(ステップS12)。
図4は、自社監視センタ向けの送信データを受信コードF1の番号順に配列させた配信先管理テーブルFAの一例を示すものである。自社監視センタの監視卓は、このような送信データ(異常データ)を受信すると(ステップS13)、送信データの受信コードF1と対応コードF6をチェックし、自身が配信先であることを示す対応コードと組み合わされた受信コードF1を監視サーバ装置2へ送信する(ステップS14)。例えば、監視卓31が送信データを受信した場合は、対応コードが「001」である受信コードF1を監視サーバ装置2へ返信する。また、監視卓41が送信データを受信した場合は、対応コードが「002」である受信コードF1を監視サーバ装置2へ返信する。
【0029】
こうして自社監視センタの監視卓から通信回線6を介して返信された受信コードF1を監視サーバ装置2が受信すると(ステップS15)、監視サーバ装置2は、まず、その受信コードF1に対応する異常情報発報の詳細データを記憶装置23から取得する(ステップS16)。そして、この詳細データを、監視サーバ装置2は通信回線6を介して再び配信先の監視卓へ送信する(ステップS17)。
【0030】
配信先である自社監視センタの監視卓は、監視サーバ装置2から送信された異常情報発報の詳細データを受信すると(ステップS18)、この詳細データを該監視卓の表示装置に表示させる(ステップS19)。つまり、自社監視センタ3(または4)の監視卓31,32(または41,42)に、監視対象である監視エリア1A(または1B)内の設備機器で発生した異常に関する詳細データが表示されるため、自社監視センタ3(または4)では、この詳細データに基づいて適切な異常対応を迅速に行うことができる。
【0031】
次に、前記ステップS7において配信先が他社監視センタ5等と判定された場合の処理手順について説明する。すなわち、監視エリア1C内の端末装置から異常情報発報が通報された場合は、ステップS7からステップS8へ進んで、配信先の他社監視センタ5等における異常情報発報の未対応件数が所定数N以上か否かが判定される。前述したように、この所定数Nは、配信された異常情報発報の未対応件数がそれ以上になると過剰とみなされる件数であり、他社監視センタの規模に応じて予め設定されている。
図2のフローチャートでは、便宜上、所定数Nが10件の場合を例示しているが、実際には配信先の他社監視センタの規模に応じた所定数NがステップS8の判定基準として採用される。
【0032】
ステップS8で未対応件数が所定数N未満と判定された場合は、制御装置22が他社監視センタ向けの送信データを作成し(ステップS10)、この送信データを通信回線7を介して該当する他社監視センタへ送信する(ステップS12)。その後の手順(ステップS20,S21,S15,S16,S17,S22,S23)は、前述したステップS13〜ステップS19と基本的に同じであり、最終的にステップS23において、配信先である他社監視センタのモニタに監視サーバ装置2から通信回線7を介して送信された異常情報発報の詳細データが表示される。
【0033】
例えば、配信先が他社監視センタ5で所定数Nが10件であり、ステップS8で他社監視センタ5の未対応件数が10件未満と判定された場合の処理について説明すると、まず、対応コードF6が「003」である他社監視センタ5向けの送信データが作成されて(ステップS10)、この送信データが監視サーバ装置2から通信回線7を介して他社監視センタ5へ送信される(ステップS12)。他社監視センタ5は、この送信データ(異常データ)を受信すると(ステップS20)、自身が配信先であることを示す対応コード「003」と組み合わされた受信コードF1を監視サーバ装置2へ返信する(ステップS21)。監視サーバ装置2は、他社監視センタ5から返信された受信コードF1を受信すると(ステップS15)、その受信コードF1に対応する異常情報発報の詳細データを記憶装置23から取得した(ステップS16)後、この詳細データを再び他社監視センタ5へ送信する(ステップS17)。こうして他社監視センタ5は、監視対象である監視エリア1C内の設備機器で発生した異常に関する詳細データを受信して(ステップS22)、この詳細データを汎用パソコン等のモニタに表示させる(ステップS23)ことができるため、適切な異常対応を迅速に行うことが可能となる。
【0034】
しかるに、ステップS8において、配信先である他社監視センタの未対応件数が所定数N以上と判定された場合は、この他社監視センタに新たに異常情報発報を配信しても迅速な対応は困難であると予想されるため、自社監視センタによる代行監視に切り替えるべくステップS11へ進む。このステップS11で監視サーバ装置2は、自社監視センタ3,4のいずれかに対応支援を指令するため、代行監視用の送信データを作成する。そして、この送信データを該当する自社監視センタへ送信した(ステップS12)後、前述したステップS13〜ステップS19の処理を順次行う。
【0035】
例えば、ステップS8において、配信先である他社監視センタ5の未対応件数が所定数N(10件)以上と判定され、監視サーバ装置2が自社監視センタ3に対応支援を指令した場合、ステップS11において、対応コードが「001」と書き替えられた代行監視用の送信データが作成され、この送信データが通信回線6を介して監視卓31,32へ送信される(ステップS12)。この送信データを監視卓31が受信すると(ステップS13)、自身が配信先であることを示す対応コード「001」と組み合わされた受信コードF1を監視サーバ装置2へ返信する(ステップS14)。監視サーバ装置2は、監視卓31から返信された受信コードF1を受信すると(ステップS15)、その受信コードF1に対応する異常情報発報の詳細データを記憶装置23から取得した(ステップS16)後、この詳細データを再び監視卓31へ送信する(ステップS17)。したがって、監視卓31は、他社監視センタ5の監視対象である監視エリア1C内の設備機器で発生した異常に関する詳細データを受信して(ステップS18)、この詳細データを表示装置に表示させる(ステップS19)ことができる。それゆえ、この詳細データに基づいて、自社監視センタ3は適切な対応支援を迅速に行うことができる。
【0036】
なお、制御装置22の他社センタ対応指令部22Aは、代行監視のために他社監視センタ向けの複数の異常情報発報を自社監視センタへ配信する際に、異常対応の緊急度に応じた優先順に異常情報発報を配信するように制御される。すなわち、
図3に示すように、発報情報管理テーブルFは異常対応の緊急度に応じた優先順に配列させることができるため、他社監視センタ5等に対する対応支援が必要となった際には、発報情報管理テーブルFの項目F5(異常状態の内容)と項目F3(異常発生時刻)とに基づき、緊急度の高い異常情報発報から順次、自社監視センタ3(または4)へ配信するようにしてある。こうすることによって、自社監視センタ3,4による対応支援の実効性を高めることができる。
【0037】
また、
図2のフローチャートでは省略しているが、他社監視センタ5等の未対応件数が所定数N(例えば10件)以上から余裕件数n(例えば5件)まで減った段階で、この他社監視センタに対する対応支援が他社センタ対応指令部22Aによって解除されるようにしておいてもよい。ここで、余裕件数nとは、他社監視センタに配信された異常情報発報の未対応件数がそれ以下になると余裕ありとみなされる件数のことであり、所定数Nだけでなく余裕件数nも監視サーバ装置2の記憶装置23に記憶しておけば、他社監視センタが異常対応に支障をきたす虞がなくなった段階で対応支援を解除できるようになるため、この他社監視センタにゆとりが生まれて異常対応が冷静に行いやすくなる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態例に係る遠隔監視システムでは、他社監視センタ5等の未対応件数が過剰と判断された場合に、この他社監視センタ向けの異常情報発報を自社監視センタ3(または4)に配信して対応支援できるようにしてあるため、他社監視センタ5等で異常情報発報の処理に支障をきたす状況が発生したときに、自社監視センタ3(または4)による代行監視へ円滑に移行させることができる。それゆえ、他社監視センタに異常情報発報が集中した場合や、他社監視センタの規模が小さい場合にも、この他社監視センタで異常対応に不所望な遅れが生じる前に自社監視センタで対応支援が行えることになり、他社監視センタに対する支援態勢が強化できる。すなわち、この遠隔監視システムにおいては、自社の監視サーバ装置2が異常情報発報を配信している他社監視センタ5等で対応処理が停滞し始めると、自動的に自社監視センタ3(または4)による代行監視に切り替えられるようにしてあるため、例えば、エレベータのかご内に乗客が長時間閉じ込められてしまったり、あるいは停電の復旧に長時間を要してしまう等の重大な対応遅れに至る可能性が極めて低くなっている。
【0039】
また、この遠隔監視システムでは、複数の他社監視センタの規模に応じて、異常情報発報の未対応件数がそれ以上になると過剰とみなされる所定数Nがそれぞれ設定されているため、他社監視センタ毎に未対応件数が過剰か否かの判定が適正に行えるようになっている。