【実施例】
【0069】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
(ポリ乳酸系樹脂のD体またはL体の乳酸含有量)
ポリ乳酸系樹脂中におけるD体またはL体の乳酸含有量は以下の方法によって測定することができる。ポリ乳酸系樹脂を凍結粉砕し、ポリ乳酸系樹脂の粉末200mgを三角フラスコ内に供給した後、三角フラスコ内に1Nの水酸化ナトリウム水溶液30mLを加える。そして、三角フラスコを振りながら65℃に加熱してポリ乳酸系樹脂を完全に溶解させる。しかる後に、1N塩酸を三角フラスコ内に供給して中和し、pHが4〜7の分解溶液を作製し、メスフラスコを用いて所定の体積とする。次に、分解溶液を0.45μmのメンブレンフィルタで濾過した後、液体クロマトグラフィを用いて分析し、得られるチャートに基づいてD体およびL体由来のピーク面積から面積比を存在比としてD体量およびL体量を算出する。そして、前記と同様の要領を5回繰り返して行い、得られるD体量およびL体量をそれぞれ相加平均して、ポリ乳酸系樹脂のD体量およびL体量とする。
【0070】
液体クロマトグラフィの測定条件
HPLC装置(液体クロマトグラフィ):日本分光社製 製品名PU−2085 Plus型システム
カラム:住友分析センター社製 製品名SUMICHIRAL OA5000(4.6mmφ×250mm)
カラム温度:25℃
移動相:2mM CuSO
4水溶液と2−プロパノールとの混合液(CuSO
4水溶液:2−プロパノール(体積比)=95:5)
移動相流量:1.0mL/分
検出器:UV 254nm
注入量:20μL
【0071】
(ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量)
各実施例および比較例において発泡剤を用いないこと以外は同様の要領にてポリ乳酸系樹脂粒子を作製し、得られるポリ乳酸系樹脂粒子約30mgをクロロホルム10mLに溶解し、非水系0.45μmクロマトディスクでろ過後、HPLC装置(液体クロマトグラフ)(Water社製 製品名「Detector484、Pump510」)を用いてポリスチレン換算重量平均分子量を測定する。
【0072】
なお、測定条件としては、
カラム:昭和電工社製 製品名「Shodex GPC K−806L」(φ8.0mm×300mm)2本
カラム温度:40℃
移動相:クロロホルム
移動相流量:1.2mL/分
注入・ポンプ温度:室温
検出:UV254nm
注入量:50mL
検量線用標準ポリスチレン:
昭和電工社製 製品名「Shodex」重量平均分子量1,030,000
東ソー社製 重量平均分子量5,480,000、3,840,000、355,000、102,000、37,900、9,100、2,630、495
【0073】
(ポリ乳酸系樹脂発泡体の体積抵抗率)
図2は体積固有抵抗測定に用いた容器を示す模式図である。(a)は容器を上から見た図であり、(b)は容器の側面図である。
図2中、符号20は内径50mm×高さ15mmのポリスチレン製の容器、21aは銅板、21bはクッション材および銅板、22は21aと21bとをつなぐ銅製の接続部、23はテフロン(登録商標)テープである。
図2に示す測定容器は、試験装置((株)アドバンテスト製デジタル超高抵抗/微少電流計R8340およびレジスティビティ・チェンバR12702A)の表面電極の内円の外径と一致する。21a上に任意のポリ乳酸系樹脂発泡体を入れ、表面電極を陽気にはめ込み、測定を行う。符号20のポリスチレン製の容器の内側側面に符号23のテフロンテープを貼ってあるのは側面に電流を通すことを防止するためである。また、符号21bでポリスチレンの容器と銅版の間にクッション材を複合させているのはポリ乳酸系樹脂発泡体と表面電極との接触面積を大きくするためである。
【0074】
これらの装置を用い、JIS K6911:1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」記載の方法により測定した。即ち、試験装置((株)アドバンテスト製デジタル超高抵抗/微少電流計R8340およびレジスティビティ・チェンバR12702A)を使用し、試料サンプルに、約30Nの荷重にて電極を圧着させ500V1分間充電後の抵抗値を測定し、次式により算出する。試料サンプルは、前記容器に20mLのポリ乳酸系樹脂発泡体を入れる。この時、次式に使用する試料厚みは20mLに計量したポリ乳酸系樹脂発泡体の質量をあらかじめ計測しておき、容器の体積より高さを換算する。この測定をそれぞれのサンプルでn=3で行い、得られた測定値の平均値を用いる。
【0075】
ρv=πd
2/4t×Rv
ρv:体積抵抗率(Ωcm)
d:表面電極の内円の外径(cm)
Rs:表面抵抗(Ω)
t:試料の厚み(cm)
【0076】
本発明においては、
(1)体積抵抗率が1×10
11Ωcm以下の場合:合格(○)
(2)体積抵抗率が1×10
11Ωcmより高い場合:不合格(×)
と判定する。
【0077】
(ポリ乳酸系樹脂発泡体の帯電防止性評価)
帯電防止剤で表面を被覆されたポリ乳酸系樹脂発泡体をポリプロピレン製のタフクロス袋(内容積120L)に袋詰した際にタフクロス袋に付着した発泡粒の数で評価する。
【0078】
本発明においては、
(1)タフクロス袋に付着した発泡体の数が0〜50個の場合:合格(○)
(2)タフクロス袋に付着した発泡体の数が50個より多い場合:不合格(×)
と判定する。
【0079】
(ポリ乳酸系樹脂発泡体の嵩密度)
ポリ乳酸系樹脂発泡体の嵩密度は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されるものをいう。即ち、JIS K6911に示される見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいて試料の嵩密度を測定する。
試料の嵩密度(g/cm
3)
=〔試料を入れたメスシリンダーの質量(g)−メスシリンダーの質量(g)〕
/〔メスシリンダーの容量(cm
3)〕
【0080】
(ポリ乳酸系樹脂発泡体の平均粒子径)
ポリ乳酸系樹脂発泡体の平均粒子径は、各ポリ乳酸系樹脂発泡体の最も長い直径(長径)および最も短い直径(短径)を、ノギスを用いて測定し、ポリ乳酸系樹脂発泡体の長径、短径および長さの相加平均値をポリ乳酸系樹脂発泡体の平均粒子径とする(試料数50の平均値)。
【0081】
(ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面抵抗率)
JIS K6911:1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」記載の方法により測定した。即ち、試験装置((株)アドバンテスト製デジタル超高抵抗/微少電流計R8340およびレジスティビティ・チェンバR12702A)を使用し、試料サンプルに、約30Nの荷重にて電極を圧着させ500V1分間充電後の抵抗値を測定し、次式により算出する。試料サンプルは、縦100mm×横300mm×高さ10mmの直方体形状のサンプルより縦100mm×横100mm×高さ10mmを切り出し、それぞれについて測定を行い、得られた測定値の平均値を用いる。
【0082】
ρs=π(D+d)/(D−d)×Rs
ρs:表面抵抗率(Ω/□)
D:表面の環状電極の内径(cm)
d:表面電極の内円の外径(cm)
Rs:表面抵抗(Ω)
【0083】
本発明においては、
(1)表面抵抗率が1×10
13Ω/□以下の場合:合格(○)
(2)表面抵抗率が1×10
13Ω/□より高い場合:不合格(×)
と判定する。
【0084】
(ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の強度測定(剛性評価))
縦100mm×横300mm×高さ10mmの直方体形状のサンプルを縦100mm×横150mm分測定台座からはみ出させ、台座接触部を固定する。はみ出た部分の端より横方向10mm内側部分で縦全長の半分である50mm部分との交差点に印をし、この部分をプッシュプルゲージ(今田製作所社製、製品名「PSS」)にて押し、サンプル破壊時の圧縮強度を測定する。
【0085】
本発明においては、
(1)強度が0.5kgf以上の場合:合格(○)
(2)強度が0.5kgfより低い場合:不合格(×)
と判定する。
【0086】
(ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の密度)
ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の密度は、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体から直方体を切り出し、ノギスを用いて縦、横、高さを測定して体積を算出し、そのサンプルの重量を体積で除して算出する。
【0087】
(ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の外観評価)
ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の外観評価は、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体の外観を目視観察して以下の基準に基づいて評価した。発泡成形体表面に存在する発泡体同士の距離が1mm以下である、好ましくは発泡体同士の距離が0.5mm以下であり、さらに好ましくは発泡体同士の距離がほぼ無く発泡体同士が密着している発泡成形品が良い。
【0088】
本発明においては、
(1)発泡成形体表面に存在する発泡体同士の距離が1mm以下である場合:合格(○)
(2)発泡成形体表面に存在する発泡体同士の距離が1mmより広い場合:不合格(×)
【0089】
(実施例1)
ポリ乳酸系樹脂発泡体を製造した。先ず、結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製、製品名「TERRAMAC HV−6250H」(融点(mp):169.1℃、D体比率:1.2モル%、L体比率:98.8モル%、重量平均分子量:2.5×10
4)、100質量部および気泡調整剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末(旭硝子社製、製品名「フルオンL169J」)0.1質量部、マスターバッチ化したカーボンブラック0.01質量部(40%マスターバッチ、基材:ポリ乳酸樹脂、カーボンブラック量:0.004質量部)を口径が65mmの単軸押出機に供給して溶融混練し、上記押出機の前端に取り付けたノズル金型からポリ乳酸系樹脂押出物を押出し、このポリ乳酸系樹脂押出物を発泡させながら、上記ノズル金型の前端面に接触しながら2000〜10000rpmの回転数で回転する回転刃によって切断し、発泡粒子を製造した。なお、単軸押出機内において、ポリ乳酸系樹脂を始めは190℃にて溶融混練した後に220℃まで昇温させながら溶融混練した。
【0090】
続いて、単軸押出機の途中から、イソブタン35質量%およびノルマルブタン65質量%からなるブタンをポリ乳酸系樹脂100質量部に対して1.0質量部となるように溶融状態のポリ乳酸系樹脂に圧入して、ポリ乳酸系樹脂中に均一に分散させた。
【0091】
しかる後、押出機の先端部において、溶融状態のポリ乳酸系樹脂を200℃に冷却した後、単軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型の各ノズルから剪断速度7639秒
-1でポリ乳酸系樹脂を押出発泡させた。なお、マルチノズル金型の温度は200℃に維持されていた。
【0092】
なお、マルチノズル金型は、直径が1.0mmのノズルを20個有しており、直径が139.5mmの仮想円上に等間隔毎に配設されていた。
【0093】
そして、回転軸の後端部外周面には、四枚の回転刃が回転軸の周方向に等間隔毎に一体的に設けられており、各回転刃はマルチノズル金型の前端面に常時、接触した状態で仮想円上を移動するように構成されていた。
【0094】
金型の周囲に内径が315mmの円筒状の冷却ドラムを備えており、その内部を冷却水が螺旋状に流れている。
【0095】
そして、マルチノズル金型の前端面に配設した回転刃を4800rpmの回転数で回転させてあり、マルチノズル金型の各ノズルから押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出物を回転刃によって切断して略球状のポリ乳酸系樹脂発泡体を製造した。
【0096】
このポリ乳酸系樹脂発泡体は、回転刃による切断応力によって外方あるいは前方に向かって飛ばされ、冷却ドラムの内面に沿って流れている冷却水に衝突して直ちに冷却された。
【0097】
冷却されたポリ乳酸系樹脂発泡体は、冷却ドラムの排出口を通じて冷却水と共に排出された後、脱水機にて冷却水と分離された。得られたポリ乳酸系樹脂発泡体は、その平均粒子径が2.2〜2.6mmであり、嵩密度が0.21g/cm
3であった。
【0098】
得られたポリ乳酸系樹脂発泡体を撮影した写真を
図1に示した。ポリ乳酸系樹脂発泡体の表面は、表皮層で全面的に被覆されていた。表皮層には気泡断面は存在していなかった。
【0099】
次に、10Lの内容積を有する密閉容器内に上記のポリ乳酸系樹脂発泡体を4000L該容器中へ投入した。二酸化炭素(CO
2)を圧力調整弁を介して密閉容器内に圧入し二酸化炭素を1.0MPaの圧力にて圧入して20℃にて24時間に亘って放置して密閉容器内の圧力を大気圧とした後、二酸化炭素が含浸したポリ乳酸系樹脂発泡体を取出した。なお、密閉容器内は20℃に保って含浸を行った。
【0100】
この二酸化炭素が含浸したポリ乳酸系樹脂発泡体を、温風発生装置に投入し、熱風温度60℃で3分間加熱し、ポリ乳酸系樹脂発泡体を二次発泡させた。
【0101】
得られたポリ乳酸系樹脂発泡体は、その平均粒子径が4.0〜4.5mmであり、嵩密度が0.05g/cm
3であった。
【0102】
次にブレンド用タンブラーに前記ポリ乳酸系樹脂発泡体に、濃度調整された第四級アンモニウム塩(帯電防止剤)の水溶液(第一工業製薬社製カチオーゲンESL;一般式(1)中、Rが(CH
2)
11CH
3のアルキル基の塩を含む;濃度1質量%)をポリ乳酸系樹脂100質量部に対して0.05質量部入れ、10分間ブレンドした。これにより表面の少なくとも一部が第四級アンモニウム塩で被覆されたポリ乳酸系樹脂発泡体を得た。表面に第四級アンモニウム塩の付着した該ポリ乳酸系樹脂発泡体を、タンブラーからからポリプロピレン製のタフクロス袋(内容積120リットル)に袋詰したが、タンブラーの内面およびタフクロス袋の側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は全く付着しなかった。
【0103】
次に、前記ポリ乳酸系樹脂発泡体を密閉容器内に入れ、この密閉容器内に二酸化炭素を0.6MPaの圧力にて圧入して20℃にて24時間に亘って放置してポリ乳酸系樹脂発泡体に二酸化炭素を含浸させた。
【0104】
続いて、ポリ乳酸系樹脂発泡体をアルミニウム製の金型のキャビティ内に充填した。なお、金型のキャビティの内寸は、縦100mm×横300mm×高さ10mmの直方体形状であった。また、金型に、この金型のキャビティ内と金型外部とを連通させるために、直径が8mmの円形状の供給口を20mm間隔毎に合計100個、形成した。なお、各供給口には、開口幅が1mmの格子部を設けてあり、金型内に充填したポリ乳酸系樹脂発泡体がこの供給口を通じて金型外に流出しないように形成されている一方、金型の供給口を通じて金型外からキャビティ内に水を円滑に供給することができるように構成されていた。
【0105】
そして、加熱水槽内に95℃に維持された水を溜め、この加熱水槽内の水中にポリ乳酸系樹脂発泡体を充填した金型を完全に1分間に亘って浸漬して、金型の供給口を通じて金型のキャビティ内のポリ乳酸系樹脂発泡体に水を供給し、ポリ乳酸系樹脂発泡体を加熱、発泡させてポリ乳酸系樹脂発泡体同士を熱融着一体化させた。
【0106】
次に、加熱水槽内から金型を取り出した。そして、別の冷却水槽に20℃に維持された水を溜め、この冷却水槽内に金型を完全に5分間に亘って浸漬して、金型内のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を冷却した。
【0107】
金型を冷却水槽から取り出して金型を開放して直方体形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、非常に優れた外観を有していた。その密度は0.05g/cm
3であった。
【0108】
(実施例2)
濃度調整された第四級アンモニウム塩(帯電防止剤)の水溶液(第一工業製薬社製カチオーゲンESL;一般式(1)中、Rが(CH
2)
11CH
3のアルキル基の塩を含む;濃度1質量%)をポリ乳酸系樹脂100質量部に対して0.5質量部とした以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0109】
(実施例3)
濃度調整された第四級アンモニウム塩(帯電防止剤)の水溶液(第一工業製薬社製カチオーゲンESL;一般式(1)中、Rが(CH
2)
11CH
3のアルキル基の塩を含む;濃度1質量%)をポリ乳酸系樹脂100質量部に対して1質量部とした以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0110】
(実施例4)
濃度調整された第四級アンモニウム塩(帯電防止剤)の水溶液(第一工業製薬社製カチオーゲンESL;一般式(1)中、Rが(CH
2)
11CH
3のアルキル基の塩を含む;濃度1質量%)をポリ乳酸系樹脂100質量部に対して5質量部添加したこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0111】
(実施例5)
濃度調整された第四級アンモニウム塩(帯電防止剤)の水溶液(第一工業製薬社製カチオーゲンESL;一般式(1)中、Rが(CH
2)
11CH
3のアルキル基の塩を含む;濃度10質量%)をポリ乳酸系樹脂100質量部に対して1質量部添加したこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0112】
(実施例6)
濃度調整された第四級アンモニウム塩(帯電防止剤)の水溶液(第一工業製薬社製カチオーゲンESL;一般式(1)中、Rが(CH
2)
11CH
3のアルキル基の塩を含む;濃度10質量%)をポリ乳酸系樹脂100質量部に対して5質量部添加したこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0113】
(実施例7)
マスターバッチ化したカーボンブラックを7.5質量部(40%マスターバッチ、基材:ポリ乳酸樹脂、カーボンブラック量:3質量部)添加したこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0114】
(実施例8)
マスターバッチ化したカーボンブラックを7.5質量部添加したこと以外は実施例2と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0115】
(実施例9)
マスターバッチ化したカーボンブラックを7.5質量部添加したこと以外は実施例3と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0116】
(実施例10)
マスターバッチ化したカーボンブラックを7.5質量部添加したこと以外は実施例4と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0117】
(実施例11)
マスターバッチ化したカーボンブラックを7.5質量部添加したこと以外は実施例5と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0118】
(実施例12)
マスターバッチ化したカーボンブラックを7.5質量部添加したこと以外は実施例6と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0119】
(実施例13)
帯電防止剤としてポリエチレングリコール(日本油脂社製PEG♯300、平均分子量:300)をポリ乳酸系樹脂100質量部に対して0.01質量部添加したこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0120】
(実施例14)
ポリエチレングリコールの添加量を0.05質量部とした以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0121】
(実施例15)
ポリエチレングリコールの添加量を1質量部とした以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0122】
(実施例16)
マスターバッチ化したカーボンブラックを7.5質量部添加したこと以外は実施例13と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0123】
(実施例17)
マスターバッチ化したカーボンブラックを7.5質量部添加したこと以外は実施例14と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0124】
(実施例18)
マスターバッチ化したカーボンブラックを7.5質量部添加したこと以外は実施例15と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は美麗な外観を有し、その密度は0.05g/cm
3であった。
【0125】
(比較例1)
帯電防止剤を添加しないこと以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際に、タンブラーの内面およびタフクロス袋の側面にポリ乳酸系樹脂発泡体の多くが付着した。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は発泡成形体表面に存在する発泡体同士の距離が0.5mmであった。
【0126】
(比較例2)
濃度調整された第四級アンモニウム塩(帯電防止剤)の水溶液(第一工業製薬社製カチオーゲンESL;一般式(1)中、Rが(CH
2)
11CH
3のアルキル基の塩を含む;濃度10質量%)をポリ乳酸系樹脂100質量部に対して50質量部添加したこと以外は実施例7と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかったが、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体の強度は0.3kgfとなった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は発泡成形体表面に存在する発泡体同士の距離が1mmより広かった。
【0127】
(比較例3)
ポリエチレングリコールの添加量を5質量部とした以外は実施例7と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体は付着しなかったが、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体の強度は0.2kgfとなった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は発泡成形体表面に存在する発泡体同士の距離が1mmより広かった。
【0128】
(比較例4)
帯電防止剤として濃度調整されたアニオン系帯電防止剤水溶液(日本油脂社製パーソフトEK:濃度30%)をポリ乳酸系樹脂100質量部に対して0.03質量部添加したこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体が付着した。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は発泡成形体表面に存在する発泡体同士の距離が0.3mmであった。
【0129】
(比較例5)
マスターバッチ化したカーボンブラックを7.5質量部添加したこと以外は比較例4と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体が付着した。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は発泡成形体表面に存在する発泡体同士の距離が0.5mmであった。
【0130】
(比較例6)
帯電防止剤として濃度調整されたアニオン系帯電防止剤水溶液(日本油脂社製パーソフトEK:濃度30%)をポリ乳酸系樹脂100質量部に対して1質量部添加したこと以外は比較例5と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡体およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造した。ポリ乳酸系樹脂発泡体製造の際にタンブラーの内面およびタフクロスの側面にポリ乳酸系樹脂発泡体が付着した。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は発泡成形体表面に存在する発泡体同士の距離が0.5mmであった。
【0131】
表1に実施例および比較例の原材料種、評価結果等を示す。
【0132】
【表1】
【0133】
表1中、「>1」は1より高い数値を意味する。また、カーボンブラックおよび帯電防止剤の最終添加量は基材樹脂として使用したポリ乳酸系樹脂100質量部に対する量である。
【0134】
表1に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の評価結果から、実施例で得られたものはカチオン系帯電防止剤及びノニオン系帯電防止剤を使用しなかったものと比べて帯電防止性に優れていることが分かる。
【0135】
また、比較例2および3のような所定量以上のカチオン系帯電防止剤またはノニオン系帯電防止剤を使用した場合と比べて、本発明によれば、強度に優れたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができる。また、比較例2および3の場合、実施例で得られたような外観の美麗なポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることはできなかった。
【0136】
よって、本発明のポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、従来のものと比べて、帯電防止性、剛性および外観に優れたポリ乳酸系樹脂発泡成形体である。
【0137】
このため、本発明のポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、ヘルメット用衝撃緩衝材として好適に使用することができる。