特許第5755280号(P5755280)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5755280道路切削機械のエッジカバー用の滑動体セグメント及び道路切削機械用のエッジカバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755280
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】道路切削機械のエッジカバー用の滑動体セグメント及び道路切削機械用のエッジカバー
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/088 20060101AFI20150709BHJP
【FI】
   E01C23/088
【請求項の数】18
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-88293(P2013-88293)
(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公開番号】特開2013-224577(P2013-224577A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2013年4月19日
(31)【優先権主張番号】10 2012 103 440.0
(32)【優先日】2012年4月19日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】301064954
【氏名又は名称】ヴィルトゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Wirtgen GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヘアベアト ライ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ フェアヘーレン
(72)【発明者】
【氏名】ツュルス バリマーニ
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター ヘーン
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−019006(JP,U)
【文献】 特開平06−065904(JP,A)
【文献】 特開昭63−032004(JP,A)
【文献】 実開平03−032607(JP,U)
【文献】 特開2001−323413(JP,A)
【文献】 特開2000−054315(JP,A)
【文献】 特開平01−113199(JP,A)
【文献】 特開2005−254409(JP,A)
【文献】 特開2005−254306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/088
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付け部分が間接的に又は直接的に一体に成形されている滑動部分(36)を備えた、道路切削機械又は同様の地面加工機械のエッジカバー(10)用の滑動体セグメントであって、
前記取付け部分は差込み突設部(38)として形成されていて
該差込み突設部(38)に、1つ又は複数の弾性的な機能部材(42)を有するクランプエレメント(40)が取り付けられていることを特徴とする、滑動体セグメント。
【請求項2】
前記差込み突設部(38)の差込み方向を規定する中心長手方向軸線に対して横方向に延びる、少なくとも1つのストッパ面(33)が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の滑動体セグメント。
【請求項3】
前記差込み突設部(38)は、差込み運動を制限可能であるストッパを有することを特徴とする、請求項1及び2記載の滑動体セグメント。
【請求項4】
前記差込み突設部(38)には、該差込み突設部(38)の自由端部の領域に、少なくとも1つの一体成形された導入センタリング部(38.1)が設けられていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の滑動体セグメント。
【請求項5】
前記差込み突設部(38)は、前記滑動体セグメント(30)の走行方向(L)に対して横方向に延びる支持側面(38.2)を相対して有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の滑動体セグメント。
【請求項6】
前記支持側面(38.2)は、互いに平行に延在しているか、又は前記差込み突設部(38)の差込み方向に収束する面領域を有することを特徴とする、請求項5記載の滑動体セグメント。
【請求項7】
前記支持側面(38.2)は、凸状又は凹状に一体成形されている面領域を有することを特徴とする、請求項5又は6記載の滑動体セグメント。
【請求項8】
前記差込み突設部(38)は、前記滑動体セグメント(30)の走行方向(L)に延びる側面(38.3)を相対して有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の滑動体セグメント。
【請求項9】
前記差込み突設部(38)は、該差込み突設部の中心長手方向軸線(M)を通って延在し、前記滑動体セグメント(30)の走行方向(L)に対して横方向に延びる中心横断面に対して、非対称的な形状を有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の滑動体セグメント。
【請求項10】
前記滑動体セグメント(30)の走行方向(L)に突出している少なくとも1つの突出部(32)が設けられていて、該突出部(32)は、前記走行方向(L)に又は前記走行方向(L)とは反対方向において前記差込み突設部(38)を超えていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の滑動体セグメント。
【請求項11】
前記差込み突設部(38)に、前記滑動部分(36)を有する突設部(31)が間接的に又は直接的に続いていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の滑動体セグメント。
【請求項12】
前記滑動部分(36)は、前記突設部(31)よりも大きな幅を有することを特徴とする、請求項11記載の滑動体セグメント。
【請求項13】
前記滑動部分(36)は、硬質材料エレメント(37)、例えば肉盛溶接部、硬質金属エレメント、硬質材料コーティング部等を有することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の滑動体セグメント。
【請求項14】
前記クランプエレメント(40)は、前記差込み突設部(38)の領域に保持されていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の滑動体セグメント。
【請求項15】
前記差込み突設部(38)は、前記クランプエレメント(40)が挿入されている切抜き部又は切欠きの形式の収容部(39)を有することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の滑動体セグメント。
【請求項16】
滑動体セグメント(30)を備えた道路切削機械又は同様の地面加工機械用のエッジカバー(10)であって、
前記エッジカバー(10)は縁部(12)に差込み収容部(14)を有し、該差込み収容部(14)はポケット状に形成されていて、かつ前記エッジカバー(10)の下面に向かって開放している、エッジカバー(10)において、
前記差込み収容部(14)に収容可能な取付け部分が直接的に又は間接的に一体に成形されている滑動部分(36)が設けられていて、前記取付け部分は差込み突設部(38)として形成されていることを特徴とする、エッジカバー。
【請求項17】
前記縁部(12)は櫛状に形成された切欠きを有していて、該切欠きは前記収容部を形成するように、互いに平行に離間されている壁部(16)でもって少なくとも部分的に閉鎖されていることを特徴とする、請求項16記載のエッジカバー。
【請求項18】
請求項1から15までのいずれか1項記載の1つ又は複数の滑動体セグメント(30)を備えた請求項16又は17記載のエッジカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付け部分が間接的に又は直接的に一体に成形されている滑動部分を備えた、道路フライス切削機械(Strassenfraesmaschine:以下、道路切削機械)又は同様の地面加工機械のエッジカバー(Kantenschutz)用の滑動体セグメント(Kufensegment)に関する。
【背景技術】
【0002】
道路切削機械は、道路工事及び道路建設に使用される。道路切削機械は、存在している走行路舗装を完全に又は好ましくは部分的に除去するために働く。この構成において、フライスボックスの内側において遮蔽されて収納されている回転フライス盤が使用される。回転フライス盤には、一般的に、走行路除去のために作業したい路床に係合するチゼルが装備されている。道路切削機械の走行方向に延在しているフライスボックスの側面に、カバーエレメントが使用されている。このカバーエレメントは、エッジカバーと称呼される。エッジカバーは、回転フライス盤を側方で覆い、これによりフライス運転中の回転フライス盤へのアクセスを一方では妨げる。また他方ではフライス切削除去された材料が周囲へ放出されることを防ぐ。エッジカバーは、下側の滑走スキッドでもって走行路表面に立っているので、回転フライス盤は完全に覆われている。さらに、滑走スキッドは、作業領域の外側にある、回転フライス盤に続いている作業されない走行路舗装に押し付けられている。したがってこれに応じて、エッジカバーは、フライス切削プロセス中に、側方に続いている走行路舗装の取去りを防ぐ対応受け部を形成する。滑走スキッドは、所定の摩耗にさらされていて、つまりは摩耗限界に到達した後に交換する必要がある滑動体セグメントから構成されている。このために、滑動体セグメントは取付け部分を有する。この取付け部分に滑動体セグメントがエッジカバーの側方でねじ止めされている。滑動体セグメントのねじ頭は、時折、除去された材料による摩耗性の侵食にさらされていて、次いですり減る。こうなるとねじ頭は、所定の工具でもってもはや取り外すことはできない。さらに、エッジカバーと滑動体セグメントとの接続面が摩滅するということが起こることがある。こうして滑動体セグメントは、もはや正確に再現可能に位置決めすることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、簡単なメインテナンスを可能にするエッジカバー用の滑動体セグメントを提供することである。
【0004】
さらに本発明の目的は、簡単なメインテナンスを促進する上記エッジカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る、取付け部分が間接的に又は直接的に一体に成形されている滑動部分を備えた、道路切削機械又は同様の地面加工機械のエッジカバー用の滑動体セグメントは、取付け部分が差込み突設部として形成されているようになっている。
【0006】
好ましくは、差込み突設部の、差込み方向を規定する中心長手方向軸線に対して横方向に延びる、少なくとも1つのストッパ面が設けられている。
【0007】
好ましくは、差込み突設部は、差込み運動を制限可能であるストッパを有する。
【0008】
好ましくは、差込み突設部には、差込み突設部の自由端部の領域に、少なくとも1つの一体成形された導入センタリング部が設けられている。
【0009】
好ましくは、差込み突設部は、滑動体セグメントの走行方向に対して横方向に延びる支持側面を相対して有する。
【0010】
好ましくは、支持側面は、互いに平行に延在しているか、又は差込み突設部の差込み方向に収束する面領域を有する。
【0011】
好ましくは、支持側面は、凸状又は凹状に一体成形されている面領域を有する。
【0012】
好ましくは、差込み突設部は、滑動体セグメントの走行方向に延びている側面を相対して有する。
【0013】
好ましくは、差込み突設部は、差込み突設部の中心長手方向軸線を通って延在している、滑動体セグメントの走行方向に対して横方向に延びている中心横断面に対して、非対称的な形状を有する。
【0014】
好ましくは、走行方向に突出している少なくとも1つの突出部が設けられていて、この突出部は、走行方向に又は走行方向とは反対方向において差込み突設部を超えている。
【0015】
好ましくは、差込み突設部に、滑動部分を有する突設部が間接的に又は直接的に続いている。
【0016】
好ましくは、滑動部分は突設部よりも大きな幅を有する。
【0017】
好ましくは、滑動部分は、硬質材料エレメント、例えば肉盛溶接部、硬質金属エレメント、硬質材料コーティング部等を有する。
【0018】
好ましくは、1つ又は複数の弾性的な機能部材を有するクランプエレメントが使用されている。
【0019】
好ましくは、クランプエレメントは、差込み突設部の領域に保持されている。
【0020】
好ましくは、差込み突設部は、クランプエレメントが挿入されている切抜き部又は切欠きの形式の収容部を有する。
【0021】
また、上記目的は、滑動体セグメントを収容するように形成されている縁部を備えた道路切削機械又は同様の地面加工機械用のエッジカバーであって、縁部が、滑動体セグメントを収容する差込み収容部を有することにより達成される。
【0022】
好ましくは、差込み収容部はポケット状に形成されていて、かつエッジカバーの下面に向かって開放している。
【0023】
好ましくは、縁部は櫛状に形成された切欠きを有していて、切欠きは収容部を形成するように、互いに平行に離間されている壁部でもって少なくとも部分的に閉鎖されている。
【0024】
好ましくは、1つ又は複数の滑動体セグメントを備えている。
【発明の効果】
【0025】
上記構成により差込み突設部を備えた滑動体セグメントを、エッジカバーの対応して構成された差込み収容部内に差し込むことができるので、滑動体セグメントは工事現場での厳しい状況下での運転中に簡単に交換することができる。差込み突設部は、摩耗保護されている領域において差込み収容部に配置されているので、エッジカバーに対する滑動体セグメントの再現可能な対応配置は支持されている。
【0026】
個々の滑動体セグメント相互の正確な対応配置を簡単に保証することができるように、差込み方向を規定する、差込み突設部の中心長手方向軸線に対して横方向に延びている少なくとも1つのストッパ面が設けられていてよい。したがって滑動体セグメントの差込み突設部はつまり、ストッパ面が挿入運動を限定的に制限するまで、エッジカバーに挿入することができる。
【0027】
特に好ましくはこの構成において、差込み突設部は差込み運動を制限可能であるストッパを有するようになっていてよい。したがってストッパは、差込み突設部の領域において摩耗保護されて収納されている。
【0028】
さらに組付けは、差込み突設部の自由端部の領域に、少なくとも1つの一体成形された導入センタリング部が設けられていることにより容易にすることができる。
【0029】
差込み突設部が、滑動体セグメントの走行方向に対して横方向に延びる支持側面(Stuetzflanke)を、向かい合う面に有するようになっていると、運転使用中に主力方向における形状接続による支持を、エッジカバーに達成することができる。
【0030】
特に好ましくは、この構成において支持側面は互いに平行に延在しているか、又は支持側面は差込み突設部の差込み方向で収束する。さらに収束する面領域においては、差込み収容部内への導入を容易にする、差込み突設部の先細りされた幾何学形状がもたらされる。さらに択一的な本発明の構成によれば、支持側面が、凸状又は凹状に成形されている面領域を有するようになっていてもよい。上記面領域は、比較的小さな面圧を考慮して大きな支持面領域(Abtragflaechenbreich)を提供する。
【0031】
運転使用中に、道路切削機械が主走行方向に対して横方向に移動するようになっていてもよい。この運転状態において、滑動体セグメントの確実な位置固定も維持するために、差込み突設部が、滑動体セグメントの走行方向に延びる側面を向かい合う面に有するようになっていてよい。この側面でもって、滑動体セグメントを、エッジカバーの対応する対向面において形状接続により支持することができる。
【0032】
道路切削機械は、運転使用中に頻繁に、主走行方向とは反対方向にも運動する。これにより滑動体セグメントにおいて、主走行方向における運転時の状況とは異なる荷重状況が発生する。この構成において、滑動体セグメントの荷重最適化された構成を達成することができるように、本発明のさらに別の構成によれば、差込み突設部は、この差込み突設部の中心長手方向軸線を通って延びていて、滑動体セグメントの走行方向に対して横方向に延びる中心横断面に対して非対称的な幾何学形状を有するようになっている。
【0033】
本発明の可能なさらに別の構成によれば、走行方向において突出している少なくとも1つの突出部が設けられているようになっていてよい。この突出部は、走行方向で又は走行方向とは反対に、差込み突設部を超えている、突出部は、個々の滑動体セグメントの間にあるエッジカバー領域間の橋渡しのために働き、したがって可能な限り間隔のない滑動体構成が可能になる。
【0034】
滑動体セグメントのコンパクトな構成は、差込み突設部に間接的に又は直接的に、滑動部分を持つ突設部が接続されていることにより助成される。
【0035】
この構成において特に、滑動部分は、突設部より大きな幅を有するようになっていてよい。上記横断面のずれをもって、差込み収容部内への入口のラビリンス状のオーバラップを達成することができる。これにより、差込み収容部への汚れの搬入は減じられる。
【0036】
滑動体セグメントの高い摩耗抵抗は、例えば肉盛溶接部(Auftragschweissung)といった硬質材料エレメント、硬質金属エレメント、硬質材コーティング等が、滑動部分に提供されていることにより達成することができる。
【0037】
本発明の特に有利な構成は、1つ又は2つの弾性的な機能部材を有するクランプエレメントが使用されている。クランプエレメントでもって、滑動体セグメントを簡単にエッジカバーに緊締することができる。この構成において、結合は機能部材の弾性に基づき簡単に形成できかつ解除することができる。特に好ましくは、クランプエレメントは、差込み突設部の領域に保持されていて、摩耗に対して保護されて収納されている。
【0038】
滑動体セグメントに対するクランプエレメントの特に簡単な対応配置は、差込み突設部が、クランプエレメントが挿入されている切抜き又は切欠きの形式の収容部を有していると達成することができる。この構成において、特にクランプエレメントの弾性を、収容部における緊締の達成のために使用してもよいので、付加的な固定手段を省略することができる。
【0039】
滑動体セグメントを収容するために形成されている縁部を備えた、道路切削機械又は同様の地面加工機械のためのエッジカバーに関する本発明の上記目的は、縁部が、滑動体セグメントを収容するための差込み収容部を有することにより達成されている。滑動体セグメントは、差込み収容部内に簡単に、好ましくは工具を用いずに導入することができる。差込み収容部内に滑動体セグメントの差込み突設部が摩耗に対して保護されて収納されており、滑動体セグメントを差込み収容部内に再現可能に導入することができる。これによりエッジカバーのメインテナンスは明らかに簡略化される。
【0040】
特に好ましくは、差込み収容部はポケット状に形成されていて、エッジカバーの下面に向かって開放している。エッジカバーの簡単な製造は、櫛状に形成された切欠きを縁部が有しているようになっていると可能である。櫛状に形成された切欠きは、収容部を形成するために、互いに平行に離間されている壁部でもって少なくとも部分的に閉鎖されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】道路切削機械用のエッジカバーの斜視図である。
図2図1に示した線II−IIの断面の詳細図である。
図3図1に示した線III−IIIの断面図である。
図4】滑動体セグメントの第1の実施の形態を示す斜視図である。
図5図4に示した線V−Vの延在部に沿った、図4に示した滑動体セグメントの断面図である。
図6】滑動体セグメントの第2の実施の形態を示す斜視図である。
図7図6に示した滑動体セグメントの側面図である。
図8】滑動体セグメントの第3の実施の形態を示す斜視図である。
図9図8に示した滑動体セグメントの線IX−IXに沿って延在する中心横平面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0043】
図1に、板状に形成されたベース部分10.1を備えた道路切削機械用のエッジカバー10を示す。このベース部分10.1は、フライスボックスの領域において、道路切削機械に連結するための固定面11を形成する。この固定面11に相対して、エッジカバー10は縁部12を有する。この縁部12には、ウェブ13を介して互いに離間されて配置されている切抜き部が設けられているので、櫛状の幾何学形状がもたらされる。ウェブ13の間に形成されている間隙に、金属薄板から成る複数の壁部16が挿入されている。この実施の形態において、各切抜き部内には夫々2つの壁部16が挿入されている。これらの壁部16は互いに平行に離間して配置されている。こうして、壁部16とウェブ13との間に、図2,3から分かるように、差込み収容部14が設けられる。壁部16は、溶接シーム結合部17を介して、エッジカバー10の縁部12に溶接されている。こうして互いに均等な間隔で離間して配置された複数の差込み収容部14が形成される。これらの差込み収容部14は、例えば図4〜9に詳細に示してある滑動体セグメント30を収容するために働く。これらの滑動体セグメント30は、基本構造においてほぼ類似して構成されている。滑動体セグメント30は、滑動部分36を有し、この滑動部分36の下面には、硬質材料エレメント37が被覆されている。硬質材料エレメント37としては、例えば金属粉末から成る外被層(Auftrag)が使用されていてよい。滑動部分に硬質金属エレメント又は装甲溶接部(Panzerschweisserung)が提供されている、ということも可能である。滑動部分36に突設部31が一体成形されている。この実施の形態において、突設部31は、道路切削機械の主運動方向に延びている走行方向Lに対して横方向に、滑動部分36よりも小さい幅を有する。こうして突設部31の両側に、当接面36.1を形成する段状の部分がもたらされる。突設部31は、差込み突設部38を超えて走行方向Lにおいて両側に突出している2つの突出部32を有する。これらの突出部32は、丸味移行部34を介して側壁35に移行しているストッパ面33を形成する。
【0044】
差込み突設部38は、走行方向Lに延びている2つの側面38.3によって画成される。この構成において、側面38.3は互いに平行である。側面38.3は、段差なく突設部31に移行する。
【0045】
図4,5における実施の形態が示すように、差込み突設部38は2つの支持側面38.2を有する。これらの支持側面38.2は、側面38.3に対して垂直を成していて、互いに平行に離間されて延びている。各支持側面38.2は、導入センタリング部38.1を介して端面38.4に移行する。
【0046】
差込み突設部38の領域にクランプエレメント40が取り付けられている。このクランプエレメント40は、図5から分かるように、主として積層板として構成されている弾性的な機能部材42を有する。ブロック状に形成されていて、弾性的な材料から形成されているクランプエレメントを使用することも考慮可能であり、このブロックの一部分又はブロック全体は、弾性的な特性を有する機能部材を形成する。積層板状の機能部材42は、互いに矢形に調整されているか若しくは立てかけられていて、差込み突設部の中央長手方向軸線Mを規定する差込み軸線に対して傾けられている。図5から分かるように、クランプエレメント40はベース部分41を有する。このベース部分41と一体に機能部材42が成形されている。差込み突設部38内にポケット状の収容部39が凹部として形成されている。クランプエレメント40のベース部分41は、上記収容部39内に挿入されている。この実施の形態において、クランプエレメント40は、ベース部分41でもって収容部の底部39.1において支持される。この実施の形態において、クランプエレメント40は、ベース部分41も弾性的な特性を有するように構成されている。こうしてクランプエレメント40は、収容部39内に締めしろを持って圧入することができるので、付加的な固定手段は必要とならない。択一的にはクランプエレメント40は、例えば収容部39に貼り付けられていてもよい。図5から分かるように、組み付けられた状態において、機能部材42は側面38.3から少し突出している。この突出量は図5においてaで示してある。図4,5に示した滑動体セグメント30を、図1に示したエッジカバー10に組み付けるために、まず滑動体セグメント30の差込み突設部38が、下方に開放している差込み収容部14に当て付けられる。この実施の形態において、導入センタリング部38.1は隣り合うウェブ13に沿って進入する(einfaedeln)ので、組付けは容易になっている。こうして滑動体セグメント30の差込み突設部38は、中心長手方向軸線Mに対して差込み収容部14内に押し込まれる。このことは、機能部材42が、壁部16の内面に係合するまで、差し当たり力を要せず又は小さな力の消費で行うことができる。滑動体セグメント30の押し込み時に、機能部材42は弾性的に変形する必要がある。差込み収容部14内への滑動体セグメント30の差込み運動は、突出部32のストッパ面33により制限される。これらの突出部は、ウェブ13の端面15に当接する。組み付けられた状態において、図3から分かるように、滑動部分36の当接面36.1は、壁部16の端面側の対向面19に対して少し間隔を置いている。端面38.4は、同様に差込み収容部14の相対する底面に対して間隔を持っている。択一的に対応配置は、滑動体セグメント30が端面38.4でもって差込み収容部14の底面において支持されるよう選択することができる。これに応じて、ストッパ面33はウェブ13の端面に対して小さな間隔を持っている。この実施の形態において、滑動体セグメント30と差込み収容部14との間の衝突ジオメトリ(形状)は、差込み収容部14内に遮蔽されて設けられている。クランプエレメント40は、択一的にベース部分10.1において、特に遮蔽されて差込み収容部14内に設けられていてもよい。
【0047】
運転使用中に、滑動体セグメント30の硬質材料エレメント37は路床上を移動し、連続的に摩耗していく。摩耗限界に達した後に、滑動体セグメント30は簡単に交換することができる。取り外しのために、窓状の開口18が外側の壁部16に設けられている。これらの開口18内に取外しスピンドル(Austreibdorn)21を備えた工具20を適合させることができる。この実施の形態において、取外しスピンドル21は滑動部分36の当接面36.1において支持される。ハンマによる衝撃により取外し力を、滑動体セグメント30に垂直方向下方に供給することができる。この実施の形態において、壁部16の内面と、クランプエレメント40との摩擦接続は、滑動体セグメント30の進出により離される。次いで滑動体セグメント30は完全に差込み収容部14から引き抜くことができ、新たな滑動体セグメント30と交換することができる。
【0048】
図6に滑動体セグメント30の択一的な実施の形態を示す。滑動体セグメント30の形態は、実質的に図4,5に示した滑動体セグメント30に相当するので、繰り返しを避けるために上記実施の形態を参照することができる。図4,5に示した滑動体セグメント30とは異なり、支持側面38.2は互いに平行になっているのではなく、V字形に調節されていて、差込み突設部38の自由端部に向かって収束している。相応にウェブ13は好ましくは、適切な角度を持ったストッパ面領域を形成するように構成されている。ストッパ面領域は、差込み収容部14において下面側の開口に向かって離反していく。これによりウェブ13と滑動体セグメント30との間に円錐形の支持側面対がもたらされる。このことは中心長手方向軸線Mの方向に少し取外し運動が導入された後に既に、支持側面38.2が、ウェブ13の対応する対向面との係合から外れるので、取外し時に摩擦力が発生しない、という利点を有する。
【0049】
図7に示すように、差込み突設部38には、図4,5に示した実施の形態に対応するポケット状の収容部39が2つ加工されている。この実施の形態において、収容部39は互いに走行方向Lにおいてずらされて配置されていて、クランプエレメント40の弾性的な機能部材42は、差込み突設部38の両側で突出している。こうして差込み収容部14において、差込み突設部38の両側でのクランピングが達成される。当然にこの種のクランプは、あらゆる滑動体セグメント30において可能である。図4,5に示した滑動体セグメント30とは異なり、滑動部分36、ひいては硬質材料エレメント37は、凸状に形成されている。図1に示したように、この滑動体セグメント30は、例えば好ましくはエッジカバー10の前方の端部に配置されているので、傾斜した乗上げ形状(Auflaufgeometrie)を形成する。
【0050】
図8,9には、滑動体セグメント30の別の実施の形態が示されている。この実施の形態においても、繰り返しを避けるために同じ符号に関しては上記実施の形態を参照されたい。以下に相違点のみを説明する。図8に示すように、差込み突設部38は相対する2つの支持側面38.2を有する。これらの支持側面38.2はまず、ストッパ面33に続いていて、互いに角度を成している面領域を有する。これらの面領域は、差込み突設部38の自由端部に向かって収束している。収束する面領域に続いて、支持側面38.2の無段状で凸状の面領域が続いている。支持側面38.2の凸状の領域は、同様に凸状の導入センタリング部を介して整合して互いに移行している。この形状でもって、ウェブ13の対応する対向面に対する、差込み突設部38の適合した簡単な対応配置が可能にもなる。
【0051】
図9に示すようにクランプエレメント40は、ベース部分41を有する。このベース部分41の両側で積層板状の弾性的な機能部材42が接続されている。弾性的な機能部材42は、差込み収容部14への差込み突設部38の簡単な導入のためにやはり矢形に調節されていて、両側で差込み突設部38の側面38.3から少し突出している。収容部39は、貫通部として差込み突設部38から切り抜かれている。エッジカバー10の差込み収容部14内への差込み突設部38の導入時に、機能部材42は両壁部16の内面に沿って滑動し、そこで変形する。
【符号の説明】
【0052】
10 エッジカバー、 10.1 ベース部分、 11 固定面、 12 縁部、 13 ウェブ、 14 差込み収容部、 15 端面、 16 壁部、 17 溶接シーム結合部、 18 開口、 19 対向面、 20 工具、 21 取外しスピンドル、 30 滑動体セグメント、 31 突設部、 32 突出部、 33 ストッパ面、 34 丸味移行部、 35 側壁、 36 滑動体セグメント、 36.1 当接面、 37 硬質材料エレメント、 38 差込み突設部、 38.1 導入センタリング部、 38.2 支持側面、 38.3 側面、 38.4 端面、 39 収容部、 39.1 底部、 40 クランプエレメント、 41 ベース部分、 42 機能部材、 L 走行方向、 M 中央長手方向軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9