特許第5755312号(P5755312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755312
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】林内運搬車
(51)【国際特許分類】
   B62D 11/04 20060101AFI20150709BHJP
   A01G 23/00 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   B62D11/04 Z
   A01G23/00 551F
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-232315(P2013-232315)
(22)【出願日】2013年11月8日
(65)【公開番号】特開2015-93514(P2015-93514A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2013年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】593041206
【氏名又は名称】松本 良三
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100065189
【弁理士】
【氏名又は名称】宍戸 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 良三
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−050082(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0185129(US,A1)
【文献】 米国特許第04782906(US,A)
【文献】 実開昭60−001630(JP,U)
【文献】 実開平06−051081(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 23/00
B62D 55/02−61/12
F16H 1/00−1/26
B60B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームの左右にそれぞれ4車輪を有し、該4車輪のうちの中間2車輪を常時地面に接する接地車輪とし、その外側の各1車輪を平地において地面から浮いた浮き車輪として車体フレームに装着した、林内運搬車において、車体フレームの一部をなす左右のチエーンボックス内に配置され、油圧モータを動力源とするチエーン動力伝達装置により回転駆動される回転軸に固定されたピニオンと各車輪に固定されたリング歯車との噛み合いによりそれぞれ4車輪を回転させるようにし、前記ピニオンと噛み合ったリング歯車は、前記チエーンボックスの側面に固定された軸受け支持体に回転自在に装着され、ピニオンとリング歯車の噛み合い点が、接地車輪についてはリング歯車の上方頂点で、浮き車輪については、前記上方頂点から角度的に隔たった点であるようにリング歯車をピニオンに対して位置決めしてなる、林内運搬車。
【請求項2】
車輪は,ホイール及びハブを有するゴムタイヤからなる、請求項1に記載の林内運搬車。
【請求項3】
中間の2車輪間にスチール製のクローラバンドを履かせてなる、請求項1に記載の林内運搬車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、林内において木材を運び出すのに用いられる車輪式林内運搬車に関し、特に、車体の左右それぞれに4車輪を有する林内運搬車に関する。
【背景技術】
【0002】
木材を運び出す運搬車両として、車体の左右それぞれに4車輪を有する木材運搬車両の使用が推奨される。これは、運搬車両の全ての車輪(合計8車輪)が地面に接地しているため接地面積が大きくなり、それにより、木材の審判状態において車両の安定性を確保するためである。(例えば、特許文献1(図1及び図2)、特許文献2(図1及び図2、段落 [0002])の記載)。しかしながら、反面、路上での車両の右回り、左回りの様な旋回、或いはターンは、左右の車輪の回転数の差をどんなに大きくしても大回りにならざるを得ない。このような問題点を解消するものとして、前後両端の左右の車輪を浮き車輪とし、中間の左右の車輪を常時接地する接地車輪とした車両が従来提案されている(引用文献3)。しかしながら、この提案は、その原理を開示するにとどまり、浮き車輪及び接地車輪の駆動系統については全く開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−285101号
【特許文献2】特開2011−31687号
【特許文献3】実開昭58−50082号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、狭い路幅の林道や林地でも十分小回りがきき、しかも傾斜地などに遭遇しても走行安定性が確保され、そのための接地車輪及び浮き車輪の設定を容易にすることができる、左右それぞれ4車輪の林内運搬車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のこの目的は、車体フレームの左右にそれぞれ4車輪を有し、該4車輪のうちの中間2車輪を常時地面に接する接地車輪とし、その外側の各1車輪を、平地において地面から浮いた浮き車輪として車体フレームに装着した、林内運搬車において、車体フレームの一部をなす左右のチエーンボックス内に配置され、油圧モータを動力源とするチエーン動力伝達装置により回転駆動される回転軸に固定されたピニオンと各車輪に固定されたリング歯車との噛み合いによりそれぞれ4車輪を回転させるようにし、前記ピニオンと噛み合ったリング歯車は、前記チエーンボックスの側面に固定された軸受け支持体に回転自在に装着され、ピニオンとリング歯車の噛み合い点が、接地車輪についてはリング歯車の上方頂点で、浮き車輪については、前記上方頂点から角度的に隔たった点であるようにリング歯車をピニオンに対して位置決めしてなる、林内運搬車を提供することによって達成される。
【0006】
本発明によれば、車輪は,ホイール及びハブを有するゴムタイヤからなり、沼地等に巧く順応するように、中間の2車輪間にスチール製のクローラバンドを履かせても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明による林内運搬車によれば、車体フレームに装着された4車輪のうちの中間2車輪を常時地面と接している接地車輪とし、その外側の各1車輪を、平地において地面から浮いた浮き車輪としたために、車両の通常の走行は中間の接地車輪で行われ、凸凹路や傾斜地或いは積み荷の状態などで地面に対して前または後に傾くと浮き車輪が地面に接地し、そのため、車両は安定性して走行することができ、また林道や林内地での車両の旋回又はターンは、地面に接地している車輪が中間2車輪だけであるから小回りができ極めて容易に行うことができる。接地車輪及び浮き車輪は、油圧モータを動力源とするチエーン動力伝達装置により回転駆動される回転軸に固定されたピニオンと、各車輪に固定されたリング歯車との噛み合いにより回転駆動されるように構成されているから、油圧モータの油圧系統を含めた車輪の駆動系統の構造を簡単化することができる。また接地車輪及び浮き車輪としての設定は、リング歯車のピニオンに対する噛み合い位置を変え、それにみあった軸受け支持体を使用することによって簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による林内運搬車の全体側面図である。
図2】その平面図である。
図3】その正面図である。
図4】その背面図である。
図5】本発明による林内運搬車の変形例を示す側面図である。
図6】本発明による林内運搬車の油圧モータ、チエーン動力伝達装置、歯車装置及び車輪を含む、林内運搬車の後方片側の一部を示す平面断面図である。
図7】浮き車輪を示す、図6のA−A線における側面断面図である。
図8】接地車輪を示す、その背面断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1乃至4を参照すると、本発明による林内運搬車の全体が示されている。林内運搬車は、車体フレーム1と、車体フレーム1上に装着される荷台2と、車体フレーム1の前方端から支持された運転台3と、油圧系統の油圧ポンプを駆動するエンジン(図示せず)を含むエンジン室4とを含む。車体フレーム1の左右にそれぞれ4車輪5を有し、該4車輪のうちの中間2車輪を常時地面に接する接地車輪5Aとし、その外側の各1車輪を、平地において地面から浮いた浮き車輪5Bとして車体フレーム1に装着さている。油圧系統と関連した一対の油圧モータ6,6が、図2に点線で示すように、車体フレーム1の略中央に設けられ,その各々が左側または右側の4車輪のための動力源として機能するようになっている。
【0010】
図6は、車体フレーム1の片側の後方2車輪だけを示し、前方2車輪が省略されていることを理解すべきである。さらに車体フレーム1の他方の側の詳細は説明上省略されているが向きの違いはあるものの図6と実質的に同じであることも理解すべきである。図6に詳細に示すように、各油圧モータ6は車体フレーム1の一部をなすチエーンボックス7の内側に固定して取り付けられ、その出力軸の一対のスプロケット8を含むチエーン動力伝達装置9がチエーンボックス7内に設けられている。
【0011】
チエーン動力伝達装置9は、チエーンボックス7の外側に固定して取り付けられた軸受け支持体10に回転自在に設けられた回転軸11と、これにキー止めされた各一対のスプロケット12と、回転軸11のスプロケット12、12間に掛け渡されたチエーン13と、回転軸11のスプケット12と油圧モータ6のスプロケット8の一方との間に掛け渡されたチエーン14と,を含む。油圧モータ6の他方のスプロケット8は、車体の後部と同様に、車体の前部における回転軸のスプロケットに同様に掛け渡される。かくして、エンジンによって駆動される油圧ポンプを含む油圧系統(図示せず)を経て油圧的に駆動される各油圧モータ6の回転は、チエーン動力伝達装置9を介して各回転軸11に伝達される。
【0012】
図6乃至8に示すように、各回転軸11には、その先端にピニオン15が固定して取り付けられている。本発明による車両の各車輪5は、ホイール20及びハブ21を含むゴムタイヤからなる。図5に示す別の実施態様において、中間の2車輪の接地面積を大きくして、運搬車が沼地等などに投入されるとき、接地車輪の沼地へのめり込み、又は沈み込みを防止するため、図示されているように、中間の2車輪5は、それらの間にスチール製のクローラバンド18を被せて使用されるのがよい。
【0013】
リング歯車17は、ピニオン15と噛み合った状態で軸受け支持体10に回転自在に設けられ、図6及び8に明瞭に示されているように、各車輪は、そのハブ21をリング歯車17に固定して取り付けられ、ピニオン15の回転がこれと噛み合ったリング歯車17に伝達され、各車輪5はリング歯車17によりこれと一緒に回転する。
【0014】
車輪5は、先に述べたように、車体フレーム1の左右の各中間2車輪が接地車輪として、またその両側の各1車輪が浮き車輪として設定される。接地車輪のかかる設定は、図6及び8から明らかなように、リング歯車17がピニオン15に対して下方にずらされて、リング歯車17がその上方頂点でピニオン15と噛み合うことによって行われるが、そのため、軸受け支持体10は、リング歯車17をその様な位置で回転自在に支持するような形態に設計される。浮き車輪の設定は、図6及び図7から明らかなように、リング歯車17がその上方頂点から所望角度、例えば90°隔たった点、即ちピニオン回転軸11に対して上方にずらされかつ回転軸11の軸線から水平方向にずらされた点でピニオン15に噛み合うことによって行われるが、そのため、軸受け支持体10は、リング歯車17をその様な位置で回転自在に支持するような形態に設計される。接地車輪と浮き車輪用のかかる軸受け支持体10は共に同一の形態に設計され、90°向き変えすることによって上記の使用目的に対処できるようにすることが望ましい。
【0015】
本発明による林内運搬車両によれば、油圧モータ6を動力源とするチエーン動力伝達装置9により回転軸11が回転駆動され、その回転は、ピニオン15と、各車輪5と関連したリング歯車17との噛み合わせにより構成される減速機構により減速回転速度で車輪5に伝達され、車輪5を回転させる。油圧ポンプの制御により、油圧モータが、車輪に求められる所望回転数又は回転速度で回転出力を提供することは、当業者により容易に理解されよう。林道や林内地で車両の旋回又はターンを行う場合、それは、左右の油圧モータと関連した油圧ポンプの制御により、油圧モータの回転出力の差、それによる左右車輪の回転数の差により行われるが、その際、地面に接地している車輪が中間2車輪だけであることから小回りにより極めて容易に行うことができる。車両の通常の走行は中間の接地車輪で行われるが、凸凹道や、傾斜地或いは積み荷の状態などで地面に対して前または後に傾くと浮き車輪も地面に接地し、そのため、車両は安定性して走行することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 車体フレーム
2 荷台
3 運転台
4 エンジン室
5 車輪
5A 接地車輪
5B 浮き車輪
6 一対の油圧モータ
7 チエーンボックス
9 チエーン動力伝達装置
11 回転軸
15 ピニオン
17 リング歯車
18 スチール製のクローラバンド18
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8