(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755327
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】光電子素子に結合された光ファイバを位置合わせして固定する方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/42 20060101AFI20150709BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20150709BHJP
【FI】
G02B6/42
H01L31/02 C
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-517314(P2013-517314)
(86)(22)【出願日】2011年7月1日
(65)【公表番号】特表2013-530428(P2013-530428A)
(43)【公表日】2013年7月25日
(86)【国際出願番号】EP2011061104
(87)【国際公開番号】WO2012001143
(87)【国際公開日】20120105
【審査請求日】2013年2月26日
(31)【優先権主張番号】1055356
(32)【優先日】2010年7月2日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100128657
【弁理士】
【氏名又は名称】三山 勝巳
(74)【代理人】
【識別番号】100160967
【弁理士】
【氏名又は名称】▲濱▼口 岳久
(74)【代理人】
【識別番号】100170601
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 孝
(72)【発明者】
【氏名】シャルボニエール,フィリップ
【審査官】
奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−177606(JP,A)
【文献】
特開平03−282506(JP,A)
【文献】
特開2000−105324(JP,A)
【文献】
特開平11−202162(JP,A)
【文献】
特開2000−294835(JP,A)
【文献】
特開2000−199831(JP,A)
【文献】
特開2004−341535(JP,A)
【文献】
特開2002−267891(JP,A)
【文献】
特表2011−513774(JP,A)
【文献】
米国特許第5553182(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26− 6/27
G02B 6/30− 6/34
G02B 6/42− 6/43
H01L 31/00−31/0264
H01L 31/08
H01L 51/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの光学軸を光電子素子の光学軸と位置合わせして、前記光ファイバを、前記光電子素子に対して結果として生じる相対位置に固定する方法であって、
− 基部にスロットを切るステップと、
− 前記基部とは別個のものである光電子素子を用意するステップと、
− 前記光電子素子に面するように前記基部を用意するステップと、
− 前記スロットの内部に、光ファイバを、側面にも底面にも触れないように配置するステップと、
− 前記光ファイバ上に凝固性物質を堆積するステップと、
− 前記光電子素子の近くに、前記凝固性物質の限定された重合領域を画定するステップと、
− 前記光ファイバが限定された範囲で移動することを可能にするように、前記凝固性物質の一部分を凝固させるステップと、
− 前記凝固性物質の前記一部分を凝固させた後に、前記光ファイバの前記光学軸を前記光電子素子の前記光学軸に位置合わせするように、前記光ファイバを移動するステップと、
− 前記光ファイバを前記スロットの内部で固定するように、前記凝固性物質を完全に凝固させるステップとを特徴とする方法。
【請求項2】
前記凝固性物質が光重合性モノマーを含んでいる請求項1に記載の位置合わせして固定する方法。
【請求項3】
− 前記スロットの内部に配置された前記光ファイバの端部上に、少量の凝固性物質を堆積するステップと、
− 前記光ファイバが限定された範囲で移動することを可能にするように、前記堆積された凝固性物質の一部分を部分的に凝固させるステップと、
− 位置合わせが一旦完了すると、前記スロットの中で前記光ファイバを固定するように、前記スロットに凝固性物質を充填してから前記凝固性物質を完全に凝固させるステップとを含む請求項1または2に記載の位置合わせして固定する方法。
【請求項4】
− 前記スロットを凝固性物質で充填するステップと、
− 前記凝固性物質上にマスクを堆積するステップと、
− 前記光ファイバが限定された範囲で移動することを可能にするように、前記凝固性部分のマスクされていない部分を部分的に凝固させるステップと、
− 位置合わせが一旦完了すると、前記スロットの中で前記光ファイバを固定するように、前記マスクを除去して前記凝固性物質を完全に凝固させるステップとを含む請求項2に記載の位置合わせして固定する方法。
【請求項5】
前記物質が紫外線放射の作用の下で凝固可能である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の位置合わせして固定する方法。
【請求項6】
光ファイバの光学軸を光電子素子の光学軸と位置合わせして、前記光ファイバを、前記光電子素子に対して結果として生じる相対位置に固定するためのデバイスであって、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法を実施するために、基部にスロットおよび溝を切るステップであって、前記溝を前記スロットに対して垂直に、前記スロットより深く切るステップを行ない、前記光ファイバが一旦前記凝固性物質に浸漬されると、紫外線透過性プレートが前記スロットの上の前記基部上に設置されるデバイス。
【請求項7】
前記スロットと平行して2つの溝が付加的に切られ、付加的に切られた前記溝のそれぞれが前記スロットの両側に1つずつ配置される請求項6に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2010年7月2日出願のフランス特許出願第10 55 356号に基づくものであり、その開示の全体が参照によってここで組み込まれ、その優先権が米国特許法第119条の下でここで主張される。
【0002】
本発明は、光ファイバの光学軸を光電子素子の光学軸と位置合わせして、光ファイバを光電子素子と結合する位置に固定する方法に関する。この方法は、光電子素子が複数の光ファイバに結合される状況にも適合する。
【背景技術】
【0003】
本発明の関係する能動光電子素子は、集積回路の導体に結合され得る光生成素子または光検出素子である。この光電子素子は、具体的には、例えば半導体素子、レーザ・ダイオード、発光ダイオード、光ダイオード、または光トランジスタでよい。この光電子素子を光ファイバと最適に結合するためには、光ファイバの光学軸を光電子素子の光学軸に対して非常に精度よく位置合わせする必要がある。しかし、光電子素子の寸法が非常に小さいために、光ファイバと光電子素子の光学軸の位置合わせの調節は、場合によっては3つの軸のすべてにおいて1μm以上の精度が必要とされるので、非常に繊細な作業である。このため、この位置合わせは一般に動的に調節され、光エレクトロニクスデバイスの動作中に、光ファイバがマイクロマニピュレータで移動されて、所定の位置に調節される。
【0004】
光電子素子に対する光ファイバの終端の位置決めが十分に調節されていれば、入力結合の場合には、入力光ファイバによって伝達された信号に対する結合によって伝達された信号の比を意味する、結合によってもたらされる結合の質がより高いものになる。実際には、これは、光電子素子に対して光ファイバを非常に正確に位置決めする必要がある。そのとき、光電子素子に対する光ファイバの位置は、光ファイバを台の上に固定する最適な壁に存続していなければならない。
【0005】
知られている方法の1つは、光ファイバを、3つの直交軸に沿って移動することに基づくものであり、直交軸のうちの1つは、光電子素子の光学軸に対して平行であって、他の2つは同じ軸に対して垂直であり、したがって、その調節はデカルト座標のシステムで遂行される。位置合わせが達成されたとき、その部分がレーザ溶接によって所定の位置に固定される。この方法の難点は、精密に機械加工された滑らかな面が必要であって高くつくことである。
【0006】
この難点を改善するために、極座標を用いることが提案されている。光電子素子は、溝を備える基部上に固定され、それらの溝の上に置かれたプレートの間に光ファイバが保持される。
【0007】
この難点を改善するために、より低精度な部品を使用するデバイスを有して最適な結合を得るように、光ファイバを傾斜させ、かつ移動することも提案されている。光電子素子は、スロットを備える基部に固定され、光ファイバは、その先端がスロットの中に挿入される鍵穴形のペンチによって所定の位置に固定される。
【0008】
別の方法は、光電子素子に面して配置された光ファイバを、凝固性物質の中で移動させるステップから成る。この凝固性物質は、溶解された軟質のハンダまたは重合接着剤のいずれかである。光ファイバの位置は、伝達される信号が最大になるまで調節され、次いで、結合が最適になったとき物質が凝固され、こうして光ファイバが適切な位置に固定される。この方法の難点は、物質が凝固している間、光ファイバが収縮力によって移動して、時には壊れることさえあり得ることである。結合が低下しないように、光電子素子に対して光ファイバを位置決めするとき、収縮に起因する移動が予想される。それにもかかわらず、収縮は必ずしも予測可能ではなく、結果として、位置合わせに必要とされる精度が得られない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、光ファイバを光電子素子に結合するのは簡単な作業ではない。これは、光電子素子に対する光ファイバの位置合わせが、光電子素子と光ファイバの間の光結合を最大にする必要があるためである。さらに、この結合は、温度および湿度の変化にもかかわらず、長時間にわたって強固で最適な位置合わせを維持しなければならない。さらに、この結合は、取扱い上の耐性が必要であり、結合レベルの低下すら許容しなければならない。
【0010】
本発明の目的は、光ファイバの光学軸を光電子素子の光学軸に正確に位置合わせして固定する方法を提案することである。
【0011】
本発明の目的は、光ファイバの光学軸を光電子素子の光学軸と位置合わせして、光ファイバを、光電子素子に対して結果として生じる相対位置に固定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、この方法は、
− 基部にスロットを切るステップと、
− スロットの内部に、光ファイバを、側面にも底面にも触れないように配置するステップと、
− 光ファイバ上に凝固性物質を堆積するステップと、
− 光電子素子の近くに、凝固性物質の限定された重合領域を画定するステップと、
− 光ファイバが限定された範囲で移動することを可能にするように、凝固性物質の限定された重合領域に対応する部分を部分的に凝固させるステップと、
− 光ファイバの光学軸を光電子素子の光学軸に位置合わせするように、光ファイバを移動するステップと、
− 光ファイバをスロットの内部で固定するように、凝固性物質を完全に凝固させるステップとを含む。
【0013】
優先的に、凝固性物質は光重合性モノマーを含む。さらに優先的には、凝固性物質は、紫外線放射にさらされたとき凝固可能である。
【0014】
本発明の第1の実施形態によれば、この方法は、
− スロットの内部に配置された光ファイバの端部上に、少量の凝固性物質を堆積するステップと、
− 光ファイバが限定された範囲で移動することを可能にするように、前のステップで堆積された凝固性物質の部分を部分的に凝固させるステップと、
− 光ファイバの光学軸を光電子素子の光学軸に位置合わせするように、光ファイバを移動するステップと、
− 位置合わせが一旦完了すると、スロットの中で光ファイバを固定するように、スロットに凝固性物質を充填してから凝固性物質を完全に凝固させるステップとを含む。
【0015】
本発明の第2の実施形態によれば、この方法は、
− スロットに凝固性物質を充填するステップと、
− 凝固性物質上にマスクを堆積するステップと、
− 光ファイバが限定された範囲で移動することを可能にするように、凝固性物質のマスクされていない部分を部分的に凝固させるステップと、
− 光ファイバの光学軸を光電子素子の光学軸に位置合わせするように、光ファイバを移動するステップと、
− 位置合わせが一旦完了すると、スロットの中で光ファイバを固定するように、マスクを除去して凝固性物質を完全に凝固させるステップとを含む。
【0016】
この方法の利点は、光電子素子の近くの光ファイバの前に進んだ部分でスイベル・ジョイントを構成するために、限定された領域のポリマーを部分的に重合させることであり、これによって、光ファイバが、光電子素子に対して、より正確に位置合わせして固定される。このスイベル・ジョイントにより、光ファイバは、3次元に移動することができる。光ファイバの移動の完全な自由を保つために、光ファイバはスロットの底面または側面に接してはならない。光ファイバが側面と接触せずに固定されるので、完全な重合による縮小の可能性によってもたらされる問題を低減するために、光ファイバを囲む重合性物質の厚さを最小限にするのが好ましい。
【0017】
限定された領域は、重合性物質を、その領域を画定するのに必要とされる量だけしか堆積しないことにより、または豊富に堆積して重合されない部分をマスクすることによって得られてよい。それによって境界を定められた領域内の重合性物質は、部分的に重合される。
【0018】
本発明のさらなる目的は、上記で説明された方法を実施するために、光ファイバの光学軸を、基部に固定された光電子素子の光学軸に位置合わせして、光電子素子に対して結果として生じる相対的位置に光ファイバを固定するためのデバイスである。
【0019】
デバイスの内部で、基部にスロットおよび溝が切られ、溝はスロットに対して垂直であって、スロットより深い。
【0020】
縦軸に沿って縮むことの影響の平衡を保つために、光ファイバが一旦凝固性物質に浸漬されると、紫外線透過性プレートがスロットの上の基部上に設置される。次いで、光ファイバは、4つの側面で取り囲まれて所定の位置に保持される。
【0021】
一変形形態では、スロットと平行して2つの溝も切られ、それぞれがスロットの両側に配置される。
【0022】
本発明の他の特性および利点が、当然のことながら限定的でない実例として示されている以下の実施形態の説明および添付図面を読み取れば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】斬新な方法によって光ファイバを光電子素子に位置合わせする各ステップの第1の実施形態を示す概略図である。
【
図2】斬新な方法によって光ファイバを光電子素子に位置合わせする各ステップの第2の実施形態を示す概略図である。
【
図3】以前に完成した光エレクトロニクス素子に対する、光ファイバの斬新な方法による位置合わせを示す概略図である。
【
図4】斬新な方法によって光ファイバを光電子素子に位置合わせする各ステップの第3の実施形態を示す概略斜視図である。
【
図5】斬新な方法によって光ファイバを光電子素子に位置合わせする各ステップの第4の実施形態を示す概略斜視図である。
【
図6】斬新な方法による、光ファイバの光電子素子への位置合わせの変形形態を示す概略斜視図である。
【
図7】斬新な方法によって複数の光ファイバを光電子素子に対して同時に位置合わせする実施形態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1aは、例えば互いに結合する必要のあるレーザ・ダイオードおよび光ファイバ2といった光生成素子または光検出素子である光電子素子1を示す。光ファイバ2は、スロット4が切ってある基部3上に載っている。基部3は、光電子素子1も支持することができる。光ファイバ2は、スロット4の中で、底面の近くのどちらの側面にも触れないように、また、光電子素子1の隣接した端をわずかに過ぎて、さらに反対端を過ぎて延在するように設置される。マイクロマニピュレータ工具5は、光ファイバ2の、光電子素子1の反対側で外側に延在した終端を、基部3の近く(例えば1mmまたは2mm)で保持し、それによって光ファイバ2を移動させることができる。
【0025】
図1bでは、例えば紫外線放射にさらされたとき光重合され得る接着剤などの少量の凝固性物質6が、スロット4の中に堆積されている。光ファイバ2の端部上に少量の接着剤6を堆積すると、光ファイバ2を移動7させる。次いで、接着剤6は、マイクロマニピュレータ工具5によって加えられる力の効果によって光ファイバ2が移動することを可能にするために、凝固することなく濃くなるように、部分的に重合される。
【0026】
このようにして、一旦、スイベル・ジョイントが構成されると、光電子素子の近くに配置されたファイバの一部分は、空間内で3つの軸に沿った運動を描くことができ、この運動は、スロットの反対側の終端に設置されたマイクロマニピュレータ工具5によって与えられる運動に比例するものである。この結果は、ファイバの位置決めの精度に影響を及ぼすレバーである。
【0027】
光ファイバ2は、工具5の動作8により、
図1cに示されるように、その直前の移動7の反対方向9へ、光電子素子1の光学軸に対してその光学軸を位置合わせして光電子素子1との最適な結合を達成するまで移動される。
【0028】
光ファイバ2が、一旦所定の位置に来て、半重合した接着剤の少量6によってそこに保持されると、スロット4は、さらなる量の接着剤10で満たされる(
図1d)。次いで、すべての接着剤6、10が、紫外線放射の効果によって完全に重合される。光ファイバ2は、最適な結合の持続する位置に残され、基部3上にしっかりと固定される。
【0029】
図1aから
図1dに示された本発明の実施形態は、予期された収縮が実際に生じた収縮以下であった状況に対応する。
【0030】
図2aから
図2cは、予期された収縮が実際の収縮より大きかった状況の第2の実施形態を示す。光電子素子20および光ファイバ21は、どちらも、スロット23が切られた基部22上に載って示されている。少量の重合性物質24がスロット23の中に堆積され、これによって光ファイバ21を移動25させる。次いで、光ファイバ21がマイクロマニピュレータ工具26によって移動され得るように、凝固性物質24が部分的に重合される。
【0031】
光ファイバ21は、工具26の動作27により、
図2cに示されるように、その直前の運動25と同じ方向へ、光電子素子20の光学軸に対してその光学軸を位置合わせして光電子素子20との最適な結合が達成されるまで移動される。
【0032】
図3は、基部33の中に切られたスロット32の内部に配置された光ファイバ31に結合された光電子素子30を概略的に示す。ここで示された状況では、光電子素子30は、ファイバ31と同じ基部の上に載っている。
【0033】
図4aから
図4cは、斬新な方法の一実施形態によって基部41上に光ファイバ40を固定する各ステップを斜視図で示す。
【0034】
最初に(
図4a)、光ファイバ40は、基部41に切られたスロット42に堆積され、基部41は、光電子素子に隣接した光ファイバ40の終端が、わずかに光電子素子を過ぎて延在すること43を可能にするように、光電子素子(図示せず)も支持することができる。光ファイバ40は、光クラッドによって取り囲まれたコアから形成され、その直径Dは約125μmである。基部41の高さHは、約2mmである。セラミック、ポリマー材料、光基板材料(ホウ珪酸塩、シリコンなど)などの適切な材料から形成された基部41に、200μm程度の幅Lおよび深さPを有するスロット42が切られている。
【0035】
図4bに示されるように、紫外線放射で、または熱効果によって重合する材料を含んでいる少量の接着剤44がスロット42に堆積される。優先的に、重合中にいかなるガスも放出しない低収縮の接着剤が使用される。例えば、部分的(one−part)エポキシ接着剤が使用されてよい。接着剤は、濃いジャムに匹敵する粘性の濃度(viscous consistency)を与えるように部分的に重合され、これによって、光ファイバ40は、十分な力が加えられると限られた範囲で移動することができるが、自由に動くのを妨げられる。
【0036】
この少量の接着剤44が望ましくない方向に広がるのを防ぐために、溝45は、スロット42の深さPより大きな深さP’で、スロット42に対して垂直な方向に切られてよい。この溝45は、第1の少量の接着剤と後に付加された接着剤の残りの間の接合の中に切られる。この溝の機能は、スイベル・ジョイントを構成するために部分的に重合される予定の重合性物質のいくらかが堆積されることになる光電子素子に近い第1の領域と、一旦重合性物質が十分に重合されたとき、光ファイバを精密な位置合わせ位置に恒久的に固定するために、追加の重合性物質を受け取る光電子素子から遠い領域との、2つの別個の領域の境界を定めることである。
【0037】
図示されていない変形形態によれば、スロットの両側に2つの溝が平行に切られてよい。これらの側方の溝は、凝固可能物質が堆積される領域の境界を定めるのに寄与する。
【0038】
光ファイバ40は、一旦光電子素子との結合が最適な位置に設置されると、部分的に重合された少量の接着剤44によって所定の位置に保たれる。したがって、接着剤46は、
図4cに示されるように光ファイバを浸漬するようなやり方で付加されてよく、組立体は、第1の少量の接着剤44の重合を完了させ、その後付加された接着剤46も完全に重合させることになるUV放射にさらされてよい。
【0039】
次に、斬新な方法の別の実施形態によって基部51上に光ファイバ50を固定する各ステップを示す
図5aから
図5dを検討する。
【0040】
図5aでは、光ファイバ50は、基部51に切られているスロット52上に載っており、スロット52は凝固可能物質53で満たされている。
【0041】
次に、
図5bに示されるように、凝固可能物質53上にマスク54が堆積される。次いで、UV放射55が送られ、これは、光ファイバ50の限られた範囲の移動を可能にするために、この領域56の凝固可能物質53を部分的に凝固するように、マスク54で保護されない領域56に対して作用する。
【0042】
光ファイバ50は、ツール5の動作の下で、
図5cに示されるように、光電子素子57との最適な結合が達成されるまで、その光学軸を光電子素子57の光学軸と位置合わせするようなやり方で移動される。
【0043】
最後に、マスク54が除去され(
図5d)、送られるUV放射によって、光ファイバ50を所望の位置に固定するように凝固可能物質53の完全な凝固が可能になる。
【0044】
図6では、UV放射の影響下にある重合性接着剤に浸漬された光ファイバ63を含んでいるスロット62の上の基部61上に、UV透過性プレート60が配置されている。このプレート60は、縦軸に沿った収縮力を均衡させることができる。
【0045】
同一の光エレクトロニクス素子71に対して複数の光ファイバ70を結合する必要がある場合には、各光ファイバ70が固有のスロット72に堆積されるように、基部73には複数の平行なスロット72が切られる。次いで、各光ファイバ70は、前述の実施形態のうちの1つにより、光電子素子71に対して個々に位置合わせされる。
【0046】
当然のことながら、本発明は、説明された実施形態に限定されず、本発明の趣旨から逸脱することなく、当業者に利用可能な多くの変形形態の対象となる。具体的には、本発明の範囲から逸脱することなく、別の構造および性質の凝固性物質の利用を考えることができる。