特許第5755328号(P5755328)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5755328ディジタルマイクロ流体ベースのラボオンチップ内で廃棄物の減少を伴う希釈のためのアーキテクチャ的レイアウト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755328
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】ディジタルマイクロ流体ベースのラボオンチップ内で廃棄物の減少を伴う希釈のためのアーキテクチャ的レイアウト
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20150709BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20150709BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   G01N35/02 D
   G01N35/08 A
   G01N37/00 101
【請求項の数】17
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-519167(P2013-519167)
(86)(22)【出願日】2010年11月12日
(65)【公表番号】特表2013-531253(P2013-531253A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】IB2010002899
(87)【国際公開番号】WO2012007787
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2013年3月5日
(31)【優先権主張番号】770/KOL/2010
(32)【優先日】2010年7月15日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】513009174
【氏名又は名称】インディアン スタティスティカル インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109586
【弁理士】
【氏名又は名称】土屋 徹雄
(72)【発明者】
【氏名】ブハッタチャリャ,ブハーガブ,ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ロイ,スディップ
(72)【発明者】
【氏名】チャクラバルティ,クリシュネンドゥー
【審査官】 清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−500596(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0031688(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/077859(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディジタルマイクロ流体(DMF)ベースの複数の電極プラットフォームを配置した装置であって、各プラットフォームが流体液滴を保持し前記流体液滴を隣接プラットフォームに輸送するように構成されており、
混合モジュールを形成する複数のプラットフォームと、
流体試料を供給する2つ以上の試料リザーバと、
廃棄物液滴を収集する1つ以上の廃棄物リザーバと、
前記2つの試料リザーバのうちの一方と前記混合モジュールを形成する前記複数のプラットフォームのうちの1つとの間に延びるプラットフォームの第1試料経路と、
前記2つの試料リザーバのうちの他方と前記混合モジュールを形成する前記複数のプラットフォームのうちの1つとの間に延びるプラットフォームの第2試料経路と、
前記混合モジュールを形成する前記複数のプラットフォームのうちの1つと廃棄物リザーバとの間に延びるプラットフォームの廃棄物経路と、
前記混合モジュールを形成する前記複数のプラットフォームのうちの1つから延びるプラットフォームの出力経路と、
前記経路のうちの1つの前記プラットフォームのうちの1つへのアクセスをそれぞれが有する複数のストレージプラットフォームと
を含み、
前記混合モジュールを形成する前記複数のプラットフォームは、DMFロータリミキサを形成する概して円形のパターンで配置され、
第2DMFロータリミキサを形成する概して円形のパターンで配置された第2の複数のプラットフォームであって、
前記第1試料経路は、前記2つの試料リザーバの一方と前記第2ロータリミキサを形成する前記第2の複数のプラットフォームのうちの1つとの間にも延び、
前記第2試料経路は、前記2つの試料リザーバの他方と前記第2ロータリミキサを形成する前記第2の複数のプラットフォームのうちの1つとの間にも延び、
前記出力経路は、前記第2ロータリミキサを形成する前記第2の複数のプラットフォームのうちの1つからも延びる、
第2の複数のプラットフォームと、
第2廃棄物リザーバと、
前記第2ロータリミキサを形成する前記第2の複数のプラットフォームのうちの1つと前記第2廃棄物リザーバとの間に延びるプラットフォームの第2廃棄物経路と
をさらに含む、装置。
【請求項2】
前記複数のストレージプラットフォーム内に、前記ロータリミキサを形成する前記複数のプラットフォームより多数のストレージプラットフォームがあり、
前記複数のストレージプラットフォーム内に、前記第2ロータリミキサを形成する前記第2の複数のプラットフォームより多数のストレージプラットフォームがある
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ロータリミキサを形成する前記複数のプラットフォーム内のプラットフォームの個数は、前記第2ロータリミキサを形成する前記第2の複数のプラットフォーム内のプラットフォームの個数と等しい、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ロータリミキサを形成する前記複数のプラットフォーム内のプラットフォームの個数は、式
【数1】

によって表され、Nは、(i)1つ以上の後続の混合するステップの個数および(ii)4のうちの大きい方である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記複数のストレージプラットフォーム内のプラットフォームの個数は、式
2(N−2)
によって表される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
単一のディジタルマイクロ流体バイオチップ内に含まれる、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
液滴が、前記複数のストレージプラットフォームの各ストレージプラットフォームに格納される時に、前記格納された液滴のそれぞれを、前記経路のうちの1つの前記プラットフォームのうちの1つに輸送することができる、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
ディジタルマイクロ流体(DMF)バイオチップ上で流体試料を希釈する方法であって、前記バイオチップは、少なくとも(i)2つの試料リザーバのいずれかから2つの混合モジュールのうちの1つに流体液滴を輸送し、(ii)複数のストレージプラットフォームのそれぞれへおよびこれから流体液滴を輸送するために配置された、前記2つの混合モジュールおよび複数のDMFベースの電極プラットフォームを含む、方法において、
前記2つの試料リザーバのそれぞれから前記2つの混合モジュールのうちの1つへ、1つ以上の流体液滴を輸送することであって、前記輸送される流体液滴は、初期結果混合物を形成するために前記2つの混合モジュールのうちの前記1つ内で一緒に混合される、輸送することと、
1つ以上の後続の混合するステップであって、各所与の後続の混合するステップは、
(i)前記2つの試料リザーバまたは(ii)前記ストレージプラットフォームのうちの1つから前記2つの混合モジュールのうちの1つへ少なくとも1つの液滴を輸送することと、
前記少なくとも1つの輸送された液滴を、先行する混合するステップで生成された結果混合物の少なくとも1つの液滴と混合することと
を含み、前記所与の後続の混合するステップは、結果混合物を生成する、1つ以上の後続の混合するステップと
を含み、
前記2つの混合モジュールは、2つのDMFロータリミキサである、方法。
【請求項9】
前記初期結果混合物を2以上の液滴に分離することと、
前記2以上の液滴のうちの少なくとも1つを前記複数のストレージプラットフォームのうちの少なくとも1つに格納することと
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の後続の混合するステップの大多数の各混合するステップで、(i)前記2つの試料リザーバまたは(ii)前記ストレージプラットフォームのうちの1つから前記2つの混合モジュールのうちの1つへ少なくとも1つの液滴を輸送することは、
前記ストレージプラットフォームのうちの少なくとも1つから前記2つの混合モジュールのうちの1つへ少なくとも1つの液滴を輸送すること
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の後続の混合するステップのうちの少なくとも2つは、同時に異なる混合モジュールで行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記2つの混合モジュールのそれぞれは、式
【数2】

によって示される個数のプラットフォームを含み、Nは(i)前記1つ以上の後続の混合するステップの個数および(ii)4のうちの大きい方である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のストレージプラットフォーム内のプラットフォームの個数は、2(N−2)である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上の後続の混合するステップのうちの少なくとも1つは、
前記1つ以上の後続の混合するステップで生成された結果混合物液滴を2以上の結果液滴に分離することと、
前記2以上の結果液滴のうちの少なくとも1つを前記複数のストレージプラットフォームのうちの少なくとも1つに格納することと
をさらに含む、請求項8ないし13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の後続の混合するステップのうちの少なくとも1つは、先行する混合するステップで生成された前記結果混合物が生成された同一の混合モジュールで行われる、請求項8ないし13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上の後続の混合するステップのうちの少なくとも1つは、先行する混合するステップで生成された前記結果混合物が生成された混合モジュールとは異なる混合モジュールで行われる、請求項8ないし13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ディジタルマイクロ流体(DMF)装置であって、1つまたは複数の電極プラットフォームを含み、各プラットフォームが流体液滴を保持し前記流体液滴を隣接プラットフォームに輸送するように構成されており、
前記装置は、
前記流体液滴を混合させながら前記流体液滴を円を描くように移動させる、円形のロータリ混合モジュールを形成する複数のプラットフォームと、
流体液滴を供給する2つ以上の試料リザーバと、
廃棄物液滴を収集する1つ以上の廃棄物リザーバと、
前記2つの試料リザーバのうちの一方と前記混合モジュールを形成する前記複数のプラットフォームのうちの1つとの間に延びており、流体液滴を前記2つの試料リザーバのうちの前記一方から前記円形のロータリ混合モジュールに輸送するための、前記プラットフォームの第1試料経路と、
前記2つの試料リザーバのうちの他方と前記円形のロータリ混合モジュールを形成する前記複数のプラットフォームのうちの1つとの間に延びており、流体液滴を前記2つの試料リザーバのうちの前記他方から前記円形のロータリ混合モジュールに輸送するための、プラットフォームの第2試料経路と、
前記円形のロータリ混合モジュールを形成する前記複数のプラットフォームのうちの1つと廃棄物リザーバとの間に延びており、廃棄物液滴を前記円形のロータリ混合モジュールから前記廃棄物リザーバに輸送するための、プラットフォームの廃棄物経路と、
前記円形のロータリ混合モジュールを形成する前記複数のプラットフォームのうちの1つから延びるプラットフォームの出力経路と、
前記円形のロータリ混合モジュールに隣接するが前記円形のロータリ混合モジュールには含まれない位置に配置された複数のストレージプラットフォームとを備え、前記複数のストレージプラットフォームの各々は、流体液滴が前記複数のストレージプラットフォームと前記円形のロータリ混合モジュールの間で輸送可能となるように、前記経路の1つの前記プラットフォームの1つへのアクセスを有することを特徴とし、
前記混合モジュールを形成する前記複数のプラットフォームは、DMFロータリミキサを形成する概して円形のパターンで配置され、
前記装置は、
第2DMFロータリミキサを形成する概して円形のパターンで配置された第2の複数のプラットフォームであって、
前記第1試料経路は、前記2つの試料リザーバの一方と前記第2ロータリミキサを形成する前記第2の複数のプラットフォームのうちの1つとの間にも延び、
前記第2試料経路は、前記2つの試料リザーバの他方と前記第2ロータリミキサを形成する前記第2の複数のプラットフォームのうちの1つとの間にも延び、
前記出力経路は、前記第2ロータリミキサを形成する前記第2の複数のプラットフォームのうちの1つからも延びる、
第2の複数のプラットフォームと、
第2廃棄物リザーバと、
前記第2ロータリミキサを形成する前記第2の複数のプラットフォームのうちの1つと前記第2廃棄物リザーバとの間に延びるプラットフォームの第2廃棄物経路と
をさらに含む、ディジタルマイクロ流体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119(d)条の下で、参照によって本明細書に組み込まれている、2010年6月15日に出願した、インドで出願され出願番号第770/KOL/2010号を有する対応する特許出願に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、全般的にはディジタルマイクロ流体(DMF)ベースのバイオチップの設計に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓血管疾患、癌、糖尿病、HIVその他などの流行している病気に関連する検査診断の上昇するコストという課題に対処するために、「ラボオンチップ(Lab−on−a−Chip、LOC)と呼ばれる新しい技術が現れようとしている。LOCは、小さいチップ(たとえば、面積において2〜3平方センチメートルの)上で1つ以上の生化学検査プロトコルまたは生化学検査アッセイを実施する。伝統的なベンチトップ手順と比較して、これらのバイオチップは、多数の利益すなわち、少ない試料および試薬の消費、最小限の人間の介入に起因する誤りの可能性が小さいこと、ならびに高いスループットおよび高い感度を提供する。
【0004】
「ディジタルマイクロ流体(DMF)バイオチップ」と呼ばれる、ある特定のバイオチップは、検出などのアッセイ動作ならびに試料前処理および試料調製を1つのチップ上で統合するように設計される。試料の希釈などのフロントエンド診断機能を、オンチップでまたはチップの外部での試料調製中の前処理によって実行することができる。オフチップ試料処理および試料調製は、検査プロセスに要求される可能性がある長いリードタイムに起因して、全体的な生化学アッセイ時間に対する大きい障害を提示する可能性がある。したがって、高速で高スループットの応用について、試料希釈などの試料前処理ステップを、オンチップで自動化する、すなわち、バイオチップ自体に統合し、そこで完結することが望ましい可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
試料/試薬を希釈するためのディジタルマイクロ流体バイオチップの使用に関連する1つの課題は、廃棄物を最小にすると同時に、所望のターゲット濃度を達成するために相対的に少数の希釈ステップを必要とする、希釈アルゴリズムを使用することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、DMFベースの電極プラットフォームの装置が、提供され、混合モジュール、2つ以上の試料リザーバ、1つ以上の廃棄物リザーバ、および複数のストレージプラットフォームを含む。この装置は、混合モジュールとリザーバとの間に延びる経路ならびに混合モジュールから出る経路をも含む。
【0007】
もう1つの実施形態では、ディジタルマイクロ流体(DMF)バイオチップ上で試料/試薬流体を希釈する方法が提供される。この方法は、2つの試料リザーバのそれぞれから2つの混合モジュールのうちの1つへ1つ以上の流体液滴を輸送することと、1つ以上の液滴を2つの混合モジュールのうちの1つ内で一緒に混合することとを含む。この方法は、1つ以上の後続の混合するステップをさらに含み、各混合するステップは、(i)2つの試料リザーバのうちの1つまたは(ii)DMFベースのバイオチップ上に含まれる1つ以上のストレージプラットフォームのいずれかから2つの混合モジュールのうちの1つへ、1つ以上の液滴を輸送することを含む。各所与の混合するステップは、少なくとも1つ以上の輸送された液滴を、先行する混合ステップで生成された結果混合物の少なくとも1つの液滴と一緒に混合することをさらに含む。
【0008】
さらなる実施形態では、2つの入力CF流体からターゲットCF混合物を生成する混合ステップのシーケンスを判定するソフトウェア命令が提供される。ソフトウェア命令は、DMFベースの電極プラットフォームの装置が、判定された混合ステップのシーケンスを実行することを可能にする適当な作動シーケンスをさらに判定する。
【0009】
前述の要約は、例示的であるのみであって、いかなる形でも限定的であることは意図されていない。上で説明した例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、および特徴が、図面および次の発明を実施するための形態を参照することによって明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】DMFベースの電極プラットフォームの例を示す図である。
図1B】2つの別々の液滴を有するDMFベースの複数の電極プラットフォームの例示的な1×3アレイを示す図である。
図1C】1つの大きい液滴に混合される2つの液滴を有するDMFベースの複数の電極プラットフォームの例示的な1×3アレイを示す図である。
図2】3つの単位体積液滴を3つの別々の単位体積液滴に分離する例示的な16プラットフォームDMFロータリミキサを示す図である。
図3】ターゲット濃縮係数を有する流体を生成するのに使用される混合ステップのシーケンスを判定する例示的なアルゴリズムを示す流れ図である。
図4】特定のターゲット濃縮係数を有する流体を生成するのに使用される混合ステップの例示的なシーケンスを示す図である。
図5】符号(円の内部)が利用される単位体積の個数を示す、図4の混合ステップの例示的なシーケンスを示す図である。
図6】混合ステップのシーケンスを実行するDMFベースの複数の電極プラットフォームを配置した例示的な装置を示す図である。
図7】混合ステップのシーケンスを実行するDMFベースの複数の電極プラットフォームを配置したもう1つの例示的な装置を示す図である。
図8】本明細書に記載の1つ以上の方法を実行するソフトウェア命令を生成するように配置された例示的なコンピューティングデバイスを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付図面を参照する。図面では、別段文脈により示されない限り、通常、同様の記号が同様の構成要素を識別する。発明を実施するための形態、図面、および特許請求の範囲に記載の例示的実施形態は、限定的であることを意図されたものではない。本明細書で提示される主題の趣旨または範囲から逸脱せずに、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。全般的に本明細書で説明され、図面に図示される本開示の態様を、さまざまな異なる構成で配置し、置換し、組合せ、設計することができ、そのすべてが本開示で明示的に企図され、本開示の一部にされていることが、たやすく理解されるであろう。
【0012】
希釈ステップを実行するように設計されたディジタルマイクロ流体(DMF)バイオチップは、エレクトロウェッティング・オン・ディエレクトリック(electrowetting−on−dielectric)(EWOD)技術を利用することができる。EWOD技術は、液体を通る電位を変更することによって誘電表面上の液体の湿潤性を変更することを中心に展開する。たとえば、図1に、例示的なEWOD電極100(本明細書では「プラットフォーム」と称する)に乗っている液滴を示す。ワイヤ電極102および底電極106を介して印加される比較的低い電位は、液滴に、実線の曲線108によって示される丸い形状を形成させることができる。ワイヤ電極102および底電極106を介して印加される比較的高い電位は、液滴を、破線曲線110によって示されるように平らにすることができる。図1に示されたものなどのDMFベースの複数の電極プラットフォームを、プラットフォームへの電位の印加および除去によって液滴をプラットフォームからプラットフォームへ移動させることができるように、隣接して位置決めすることができる。さらに、複数の液滴の混合が、液滴を1つ以上のプラットフォームにまたがって組み合わせることによって実行される形で、プラットフォームをチップ上で位置決めすることができる。EWOD技術に加えて、弾性表面波またはオプトエレクトロウェッティング(optoelectrowetting)の利用など、液滴ベースのマイクロ流体バイオチップ上で混合ステップおよび分離ステップを実行する他の方法も存在し得る。
【0013】
DMFベースのバイオチップの例では、誘電体104および底電極106を、ホウ素アルミノケイ酸ガラス基板(図示せず)内にカプセル化することができる。クロム層(たとえば、5nmの)および金層(たとえば、100nmの)を、ガラス基板上に堆積し、標準的なフォトリソグラフィおよび湿式エッチングによってパターン形成することができる。底電極を、インジウムスズ酸化物から形成することができる。誘電層104を、パリレンCから形成し、フォトリソグラフィを使用してパターン形成することができる。追加層(図示せず)を誘電層104に追加して、表面を疎水性にすることができる(たとえば、30nm厚さの0.5%テフロン(登録商標)AF 1060層)。いくつかの実施形態で、ワイヤ電極102は、底電極106に似た、ガラス基板内にカプセル化されたプレート電極の形をとることができる。
【0014】
プラットフォームが保持できる例示的な液滴体積を、約1〜2nL程度とすることができるが、プラットフォームのサイズに依存して、他の体積も可能である。いくつかのDMFバイオチップでは、単一のプラットフォーム上に含まれる流体の体積を制御することが可能ではない場合がある。したがって、1つの混合ステップで混合できる流体の最小体積を、隣接するプラットフォームからの液滴と混合される、あるプラットフォームからの液滴とすることができる。したがって、「単位体積」は、特定のDMFバイオチップの1つのプラットフォーム上に含めることができる液滴の体積を指すものとすることができる。バイオチップは、チップの全体的なサイズに依存して、異なるプラットフォームサイズを有することができる。したがって、異なるバイオチップは、異なる単位体積に関連することができ、応用例に依存して、そのように選択しまたは設計することができる。
【0015】
特定のディジタルマイクロ流体(DMF)バイオチップは、図1Bおよび1Cに示された複数のプラットフォームの例示的な1×3アレイのいずれかなど、複数のプラットフォームのアレイを含むことができる。図1Bに、プラットフォーム112、114、および116を示し、プラットフォーム112および116は、それぞれの液滴118および120を保持する。プラットフォームが、隣接するプラットフォームとのあるオーバーラップを伴う単位体積の液滴を保持すると考えられ、あるいは、液滴の任意の部分が、たとえばその体積および応用例に依存して、プラットフォーム上に存在することができると留意されたい。プラットフォーム114への電圧の印加ならびにプラットフォーム112および116への電圧の非印加(de-application)は、液滴118および120をプラットフォーム114に引き付けさせることができる。プラットフォームにまたがるこの液滴122の組合せを、図1Cに示す。その後、組合せまたは結果液滴122は、個々の液滴118または120の体積の約2倍の体積を有する。プラットフォーム112および116への電圧の再印加およびプラットフォーム114への電圧の非印加は、組合せ液滴122を分離し、図1Bに示された構成をもたらすことができる。
【0016】
プラットフォームのアレイに印加され液滴にアレイの回りで移動させる電圧の順序を、作動シーケンスと呼ぶことができる。作動シーケンスを、ビットパターンとして表すことができ、1は、電圧の印加を表し、0は、電圧の非印加を表す。たとえば、プラットフォーム112、114、および116にまたがる液滴118および120の混合(図1Bおよび1Cに図示)をもたらす作動シーケンスを、表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
時間ステップ0では、プラットフォーム112および116はハイに駆動され、114はロウに駆動され、したがって、液滴118および120をそれぞれのプラットフォーム112および116に閉じ込める。時間ステップ1では、プラットフォーム112および116はロウに駆動され、プラットフォーム114はハイに駆動される。したがって、両方の液滴が、プラットフォーム114に引き付けられ、その結果、一緒に混合される。最後に、時間ステップ2では、プラットフォーム112および116は、もう一度ハイに駆動され、114はロウに駆動される。これは、分離する力を結果液滴122に印加し、したがって、液滴を2つの実質的に等しい体積の液滴に分割し、これらをそれぞれプラットフォーム112および116上に含める。
【0019】
図2に、19個のプラットフォームの例示的なアレイを示し、このプラットフォームのうちの16個は、ロータリミキサ200を形成するために概して円形パターンに配置されている。プラットフォーム17〜19は、ロータリミキサ200から出る経路として配置される。プラットフォーム2および17は、隣接する。ロータリミキサ200などのDMFロータリミキサを、DMFベースのバイオチップ内で使用することができる。というのは、ロータリミキサを使用して、同時に複数の液滴を一緒に混合し、複数の液滴の組合せから1つの液滴を分離することができるからである。そのような機能性は、応用例に依存して、バイオチップで望ましい可能性がある。図2に示されたロータリミキサ200は、16個のプラットフォームを有するが、他のロータリミキサは、異なる個数のプラットフォームを有することができる。
【0020】
図2には、3単位体積の流体液滴の組合せを有し、ロータリミキサ200のプラットフォーム1、2、および3にまたがる組合せ液滴202も示されている。表2の作動シーケンスが実行される時に、この組合せ液滴202を、それぞれ1単位体積の3つの実質的に等しい液滴に分離することができる。
【0021】
【表2】
たとえば、時間ステップ0では、プラットフォーム1〜3がハイに駆動され、したがって、この3つのプラットフォームにまたがって組合せ液滴202を保持する。時間ステップ1では、プラットフォーム2はロウに駆動され、プラットフォーム17および18はハイに駆動される。これは、組合せ液滴がプラットフォーム1、3、および17に向かって同時にまたはほぼ同時に引かれるので、3方向に分離する力を印加する。時間ステップ2では、プラットフォーム17がロウに駆動され、したがって、1つの液滴204がプラットフォーム1上に保持され、1つの液滴206がプラットフォーム206上に保持され、1つの液滴208がプラットフォーム18上に保持されることをもたらす。
【0022】
ディジタルマイクロ流体(DMF)バイオチップを使用して、希釈問題を解決するアルゴリズムのステップを実行することができる。希釈問題は、生の試料/試薬流体(100%濃度を有する)および中性緩衝液(0%濃度を有する)を与えられて、試料の所望の濃縮係数(CF)を得るための1対1(1:1)混合するステップおよび分離するステップのシーケンスを判定すること、と述べることができる。CFは、通常、パーセンテージ(たとえば、23%)または分数(たとえば、23/100)として表され、緩衝液と混合された後の希釈された試料の最終的な体積に対する生の試料の体積の比と考えることができる。100%のCFを有する例示的な試薬液は、ある体積の飽和塩水溶液とすることができ、0%のCFを有する例示的な緩衝液を、ある体積の蒸留水とすることができる。
【0023】
大規模希釈応用例では、初期流体試料(たとえば、緩衝液および試薬流体)が不足している場合がある。したがって、希釈ステップが、ディジタルマイクロ流体(DMF)バイオチップ上で実行されるように設計される時には、それらのステップが、比較的少量の初期流体試料を使用することが望ましい場合がある。さらに、バイオチップを、サイズにおいて2〜3平方センチメートル程度とすることができ、したがって、比較的少量の廃棄物をもたらす混合ステップおよび分離ステップのシーケンスが望ましい場合もある。
【0024】
比較的少量の廃棄物をもたらし、比較的少量の初期流体試料を使用する、混合/分離ステップのシーケンスを判定し、実行する、1つのそのような例示的なアルゴリズムを、図3の流れ図300に示す。図示のアルゴリズムは、供給される試薬流体が100%未満のCFを有し、緩衝液が0%を超えるCFを有する場合に加えて、供給される試薬流体(または生の試料)が100%のCFを有し、緩衝液が0%のCFを有する場合に適用可能である。どの場合でも、初期試薬流体の濃縮係数をCと表すことができ、緩衝液の濃縮係数をCと表すことができ、所望の濃縮係数(またはターゲット濃縮係数)をCと表すことができ、0%≦C<C<C≦100%である。
【0025】
流れ300は、ステップ302で始まり、ここで、混合/分離ステップの所望の個数を、選択し、整数Nとして表す。N個(以下)の混合/分離ステップの後に、±1/2に制限された誤差を有する所望のターゲット濃度を有する結果溶液が生成される。したがって、Nを、精度レベルと考えることもできる。というのは、Nが大きければ大きいほど、ターゲット濃度をより正確にすることができるからである。
【0026】
ステップ304で継続して、ターゲットCFを、2の分母を有する有理数として表す。たとえば、Nが10として選択される場合には、所望のターゲットCFを、
【0027】
【数1】
として表すことができる。分子Tを、応用例に依存して任意の整数として選択することができる。たとえば、T=313は、
【0028】
【数2】
のターゲットCFと等しいものとすることができる。
【0029】
ステップ306では、2つの初期試料(たとえば、試薬流体および緩衝液)のCFも、2の分母を有する有理数として表される。より小さいCFを有する初期試料に、Cとしてラベルを付け、より大きいCFを有する初期試料に、Cとしてラベルを付ける。たとえば、Nが10として選択され、より小さい入力試料が0%のCFを有し、より大きい入力試料が100%のCFを有する場合に、Cを、
【0030】
【数3】
として表すことができ、Cを、
【0031】
【数4】
として表すことができる。
【0032】
ステップ308では、CおよびCの濃縮係数を有する試料を、1:1体積比で混合する。1:1の比を、両方の反応物がほぼ等しい体積を有する任意の比とすることができることを理解されたい。したがって、1:1比は、2:2、3:3、またはk:k比(kは整数である)を含む。ステップ308の結果混合物は、C値とC値との平均値であり、
【0033】
【数5】
と表すことができるCFを有し、ここで、
【0034】
【数6】
である。たとえば、
【0035】
【数7】
として表されるCFを有する流体の単位体積が、
【0036】
【数8】
として表されるCFを有する流体の単位体積と混合される場合に、結果混合物は、
【0037】
【数9】
として表されるCFを有する2単位体積の流体になる。
【0038】
ステップ308での混合の後に、この流れは、ステップ310で継続し、ここで、結果混合物のCFを、ターゲットCFと比較する。当然、結果混合物のCFがCと等しい(またはCの約±1/2の許容可能な誤差以内である)場合には、この流れは終了する。結果CFがターゲットCFより大きい場合には、結果混合物を、直前の混合ステップで使用された2つのCFのうちのより小さい方と混合する。これは、この流れでは、ステップ312で、Cと等しくなるようにポインタCをリセットすることと、混合ステップ308でこの流れを継続することとによって示される。結果CFがターゲットCFより小さい場合には、結果混合物を、直前のステップで使用された2つのCFのうちのより大きい方と混合する。これは、この流れでは、ステップ314で、Cと等しくなるようにポインタCをリセットすることと、混合ステップ308でこの流れを継続することとによって示される。この形で、各混合ステップの結果混合物は、ターゲットCFに近づく。
【0039】
図4に、流れ図300に示されたアルゴリズムによる混合ステップの例示的なシーケンスを示す。この例では、10が、精度レベルとして選択され、したがって、すべてのCFが、210=1024の分母を用いて表される。この例では、初期試料は、CF 0/1024および1024/1024を有し、ターゲットCFは、313/1024である。したがって、混合ステップ1について、C=0/1024、C=1024/1024、およびC=512/1024である。混合ステップごとに、CおよびCが1:1比で混合されるので、Cの分子は、CおよびCの分子の平均をとることによって計算することができる。たとえば、混合ステップ1で、C分子512は、C分子0およびC分子1024の平均値である。
【0040】
混合ステップ1の結果混合物は、313/1024のターゲットCFより大きく、したがって、次の混合ステップでは、混合ステップ1の結果が、混合ステップ1で使用されたCおよびCのうちのより小さい方と混合されなければならない。これを混合ステップ2に見ることができる。というのは、512/1024混合物が、0/1024試料と混合されて、256/1024結果を生成するからである。この256/1024結果は、ターゲット313/1024より小さいCFを有し、混合ステップ3で512/1024(混合ステップ2で使用されたCおよびCのうちのより大きい方)と混合される。したがって、混合ステップ3は、384/1024のCFを有する結果を生成する。
【0041】
図4の混合ステップは、この形で進行し、混合ステップ4で320/1024、混合ステップ5で288/1024、混合ステップ6で304/1024、混合ステップ7で312/1024、混合ステップ8で316/1024、混合ステップ9で314/1024、および最後に混合ステップ10でターゲットCFすなわち313/1024のCFを有する結果を生成する。
【0042】
混合ステップのシーケンスから生じる廃棄物の量を減らす1つの方法は、各ステップで、ターゲットCFを生成するために後続ステップで必要な量の溶液だけ(またはそれに近い量)を一緒に混合することである。たとえば、図5に、符号(円の内部)が、混合ステップ10で2単位体積のターゲットCFを生成するために使用される各中間混合物の単位体積の個数を示す、図4の混合ステップおよび分離ステップのシーケンスを示す。応用例に依存して、ターゲットCFの単位体積の他の個数が望まれる場合もある(たとえば、4、6、8など)。図5の各混合ステップは、実質的に1:1の混合ステップなので、一緒に混合される溶液は、等しい体積を有するものとして示され、したがって、結果混合物単位体積は、2の倍数である。
【0043】
ある方法を使用して、混合/分離ステップのシーケンスの各混合ステップで必要な混合物の単位体積の個数を判定することができる。図5の例では、混合ステップ10で、ターゲットCF 313/1024の2単位体積が望まれることが判定された。したがって、これは、312/1024の1単位体積を314/1024の1単位体積と混合することを必要とする。混合ステップ9では、314/1024が、結果CFである。314/1024の何個の単位体積がこのステップで生成される必要があるのか(2単位体積が最小値である)を判定するために、後続の混合ステップで、314/1024の何個の単位体積が必要であるのかを判定する。この場合に、任意の後続ステップ(この例では混合ステップ10)で、314/1024の1個の単位体積だけが必要であり、したがって、混合ステップ9では、314/1024の最小値の2単位体積が生成されなければならない。したがって、これは、混合ステップ9で、反応物のそれぞれ(312/1024および316/1024)の1単位体積を必要とする。
【0044】
この方法は、混合ステップ8で316/1024の何個の単位体積が必要であるのかを判定することによって継続される。316/1024の1個の単位体積だけが、任意の後続の混合ステップ(この例では混合ステップ9)で必要なので、316/1024の最小値の2単位体積が、混合ステップ8で生成されなければならない。したがって、これは、混合ステップ8で、反応物のそれぞれ(312/1024および320/1024)の1単位体積を必要とする。
【0045】
この例示的な混合ステップ7では、312/1024の3単位体積が後続混合ステップで必要(混合ステップ8、9、および10のそれぞれで1単位体積)なので、312/1024の4単位体積が生成されなければならないことが判定される。したがって、これは、混合ステップ7で、反応物のそれぞれ(304/1024および320/1024)の2単位体積を必要とする。
【0046】
この方法は、所与の混合ステップごとに継続され、したがって、後続混合ステップで使用される結果溶液の単位体積を判定することによって、所与の各混合ステップの結果溶液の単位体積を判定する。各所与の混合ステップでの反応物の単位体積は、結果溶液の単位体積の個数を半分にする(および、丸める)ことによって判定される。図5の混合ステップの残りについてこの方法を実行することによって、初期CF 1024/1024の3単位体積が混合ステップ1で使用され、初期CF 0/1024の3単位体積が混合ステップ1で使用され、初期CF 0/1024の3単位体積が混合ステップ2で使用されることが判定された。したがって、この例では、9単位体積の初期反応物が要求される。混合ステップのシーケンスが実行された後に、2単位体積のターゲットCFが生成される。したがって、混合ステップの例示的なシーケンスは、9−2=7単位体積の廃棄物を生成する。
【0047】
図6に、アルゴリズム300によって説明される混合ステップのシーケンスを実行することができるディジタルマイクロ流体バイオチップを含むことができるEWODプラットフォームの例示的な装置600を示す。この装置は、試料リザーバ602、緩衝物リザーバ604(または第2試料リザーバ)、および廃棄物リザーバ606を含む。この装置は、混合ステップおよび分離ステップを実行する混合モジュールをも含む。混合モジュールは、装置600内のDMFロータリミキサ616として図示されているが、プラットフォームのマトリックスなど、他の混合モジュールを使用することもできる。
【0048】
装置600は、DMFロータリミキサ616を囲み、液滴がリザーバとの間で移動するための経路を形成する複数のプラットフォームをも含む。たとえば、複数のプラットフォームは、試料経路608を形成し、試料リザーバ602とロータリミキサ616との間で液滴を輸送することができる。試料経路610を形成する複数のプラットフォームは、試料リザーバ604とロータリミキサ616との間で液滴を輸送することができる。廃棄物経路612を形成する複数のプラットフォームは、ロータリミキサ616と廃棄物リザーバ606との間で液滴を輸送することができる。出力経路614を形成する複数のプラットフォームは、ロータリミキサ616からバイオチップの外部などの出力へ液滴を輸送することができる。
【0049】
装置600内のある種のプラットフォームを、ストレージプラットフォームとして指定することができる。ストレージプラットフォームは、中間混合ステップで生成され、後続混合ステップでもう一度必要になる結果液滴を保持することができる。装置600内でのストレージプラットフォームの可能な位置は、黒いドットによって識別される。流体制約を満足し、意図されない混合が行われないようにするために、その位置は、2つの斜めに、水平に、または垂直に隣接するストレージプラットフォームの間に少なくとも1つの電極ギャップを有して配置される。ストレージプラットフォームの位置を、流体制約が満足され、意図されない混合が発生し得ないようになる位置とすることができる。
【0050】
図5に示された例示的な混合ステップを、装置600内で実行することができる。試料リザーバ602は、1024/1024 CFを含むことができ、試料リザーバ604は、0/1024 CFを含むことができる。混合ステップ1は、0/1024の3液滴を1024/1024 CFの3液滴と混合することを要求する。したがって、第1ステップとして、1024/1024 CFの3液滴をリザーバ602からロータリミキサ616へ輸送させるために、経路608を含むプラットフォームを適当なシーケンスで作動させることができる。同時に、0/1024 CFの3液滴を試料リザーバ604から混合モジュール616へ輸送させるために、経路610を含むプラットフォームを適当なシーケンスで作動させることができる。混合ステップのために要求される液滴のすべてが、混合モジュール616のプラットフォームに含まれる時に、適当な作動シーケンスが、液滴を一緒に混合させることができ、混合に必要なある長さの時間の後に、512/1024のCFを有する6液滴の結果混合物を形成させることができる。
【0051】
図5に示された混合ステップのシーケンスは、512/1024の5液滴が、後続の混合するステップ(混合ステップ2で3液滴、混合ステップ3で2液滴)で必要であることを示す。したがって、6液滴混合物のうちの1液滴を破棄することができる。適当なプラットフォーム作動シーケンスは、ロータリミキサに、6液滴混合物から1液滴を分離させ、これを経路612を介して破棄させることができる。3液滴が、次の混合ステップ(混合ステップ2)のために必要であり、したがって、これらの3液滴は、混合モジュール内に留まることができ、2液滴は、ストレージプラットフォームのうちの2つに輸送される。適当な作動シーケンスが、残りの5液滴混合物から2液滴を分離し、液滴のそれぞれを経路の1つを介して異なるストレージプラットフォームに輸送することができる。
【0052】
混合ステップ2を、試料リザーバ604から0/1024 CFの3液滴を輸送し、これらを、以前の混合ステップの後にロータリミキサ616内に残った512/1024の3液滴と混合することによって実行することができる。混合ステップ2の結果は、256/1024の6液滴である。これらの液滴のうちの2つは、次の混合するステップで必要であり、4液滴は、後続の混合するステップで必要である(混合ステップ4で3液滴、混合ステップ5で1液滴)。したがって、適当な作動シーケンスは、4液滴を6液滴結果混合物から分離させ、4つの異なるストレージプラットフォームに輸送させることができる。
【0053】
混合ステップ3は、256/1024の2液滴を512/1024の2液滴と混合することを要求する。256/1024の2液滴は、前の混合ステップの後に混合モジュール616内に残っており、512/1024の2液滴は、2つの異なるストレージプラットフォームに格納されている。したがって、2つの512/1024液滴をストレージプラットフォームから混合モジュール616に輸送させることができる適当な作動シーケンスの適用の後に、混合ステップ3を、混合モジュール616で行うことができる。
【0054】
図5の混合ステップは、適当なシーケンスで装置600のプラットフォームを作動させることによって、この形で継続する。最後の混合ステップが行われる時に、混合モジュール616は、液滴を分離し、出力経路614を介して輸送することができる。
【0055】
装置600内のストレージプラットフォームの個数および混合モジュール616を形成するプラットフォームの個数は、応用例に基づいて決定することができる。たとえば、アルゴリズム300を使用すると、2液滴ターゲットCFについて、最大ストレージ需要は、アルゴリズムの所望の精度に基づき、
(N−2)
として表され、計算することができる。
【0056】
これを、Nが10として選択され、ターゲットCFがCF 513/1024の2液滴として選択され、初期CFが0/1024および1024/1024である例で見ることができる。表3に、513/1024のターゲットCFを生成する、10個のそのような混合ステップを示す。表3の各行は、その特定のステップで使用されるより大きいCFおよびより小さいCF、ならびにその特定のステップで使用されるより大きいCFおよびより小さいCFの液滴の個数を示す。
【0057】
【表3】
【0058】
結果CF 512/1024の10液滴を生成する表3の最初の混合ステップの後に、CF 512/1024の1液滴が、混合モジュール内に残って、混合ステップ2で混合される。CF 512/1024の8液滴は、後続の混合ステップで使用されるので(CF 512/1024の1液滴が、混合ステップ3〜10のそれぞれで使用される)、CF 512/1024のこれらの8液滴は、必要になるまで、DMFバイオチップのそれぞれのストレージプラットフォームに格納される。CF 512/1024の残りの1液滴は、必要でなく、破棄することができる。したがって、アルゴリズム300によるターゲットCFの2液滴を生成する混合ステップのシーケンスでの中間CFの最大液滴需要は、N−1である(これは、表3に示された例では、CF 512/1024の9液滴である)。また、アルゴリズム300によるN混合/分離ステップの後にターゲットCFの2液滴を生成するように設計されたDMFバイオチップ上のストレージプラットフォームの最大個数は、N−2である。
【0059】
同様に、DMFロータリミキサに必要なプラットフォームの個数も、応用例に依存する。上の例を使用すると、中間CF液滴の最大需要が(N−1)である場合には、(N−1)個の液滴を生成するために、成分のそれぞれからの
【0060】
【数10】
個の液滴が必要である。一例として、Nが10として選択される場合には、特定のCFの最大需要は、10−1=9液滴である。9液滴を生成するためには、成分のそれぞれの5液滴が必要とされる。これは、式
【0061】
【数11】
によって表される。したがって、混合される2つの成分の液滴の総数は、式
【0062】
【数12】
によって表される。
【0063】
【数13】
個の液滴が、1つのステップで一緒に混合される必要がある場合があるので、ロータリミキサは、少なくともその個数のプラットフォームを有しなければならず、
【0064】
【数14】
個の液滴の混合物を回転/攪拌し、効果的に混合できるようにするために、いくつかの追加のプラットフォーム(たとえば、6個の追加プラットフォーム)を含まなければならない。したがって、ロータリミキサを構成するプラットフォームの個数を、
【0065】
【数15】
として表すことができる。
【0066】
図7に、混合ステップのシーケンスを実行するように設計されたDMFベースの複数の電極プラットフォームのもう1つの例示的な装置700を示す。装置700は、装置700が試料リザーバ702、緩衝物リザーバ(または第2試料リザーバ)704、および廃棄物リザーバ706を含むという点で、装置600に似ている。装置600で使用される1つのロータリミキサではなく、装置700は、並列処理のために2つのDMFロータリミキサ720および722を使用する。2つのロータリミキサを使用することの主な目的は、並列処理を行い、ステップ間液滴輸送時間を減らすことである。一方のロータリミキサ、たとえば720が、CF 0/1024および1024/1024を使用する混合/分離ステップ1を実行し、結果CF 512/1024を生成しつつある間に、他方のロータリミキサ722に、CF 1024/1024の入力試料液滴を装填し、CF 512/1024の結果液滴がロータリミキサ720内で生成されるや否や、これを非常に高速でロータリミキサ722に輸送することができる。この利益は、後続の混合/分離ステップにも適用可能である。やはり、たとえば、並列処理を使用して、他方のロータリミキサを使用して、第2ターゲットCFを生成するために混合/分離ステップの第2シーケンスを同時に実行する間に、一方のロータリミキサで第1ターゲットCFを生成するために混合/分離ステップの第1シーケンスを実行することができる。
【0067】
代替案では、混合/分離ステップの同一のシーケンスを両方のロータリミキサで同時に実行して、ターゲットCFの3個以上の液滴(たとえば、4個、6個、8個など)を生成することができる。別のロータリミキサでターゲットCFの2液滴を生成するように設計された混合/分離ステップの同一のシーケンスを同時に実行しながら、あるロータリミキサでターゲットCFの2液滴を生成するように設計された混合/分離ステップのシーケンスを実行することは、シーケンスが単一のロータリミキサでターゲットCFの4液滴を生成するように設計される場合より高速に4つのターゲット液滴を生成することができる。さらに、チップ面積を犠牲にして、より高速の処理のために、3つ以上のロータリミキサを使用することができる。
【0068】
装置700は、試料リザーバ702とロータリミキサ720および722との間で液滴を輸送できる試料経路708を形成する複数のプラットフォームをも含む。試料リザーバ704とロータリミキサ720および722との間で液滴を輸送できる試料経路710も含まれる。廃棄物経路712を形成する複数のプラットフォームは、ロータリミキサ720と廃棄物リザーバ706との間で液滴を輸送することができ、廃棄物経路714を形成する複数のプラットフォームは、ロータリミキサ722と第2廃棄物リザーバ718との間で液滴を輸送することができる。出力経路716も含まれ、出力経路716は、ロータリミキサ718および720からバイオチップの外部などの出力に液滴を輸送することができる。
【0069】
装置700内のストレージプラットフォームの潜在的な位置は、黒いドットによって示される。装置700は、2つのロータリミキサ720および722と共に示されているので、最大
2(N−2)個
のストレージ位置が必要になる可能性がある。
【0070】
図8は、バイオチップに関連するものとすることができる例示的なコンピューティングデバイス800を示すブロック図である。コンピューティングデバイス800のすべてまたは一部を、バイオチップ内に埋め込むことができ、あるいは、バイオチップを、バイオチップの外部のコンピューティングデバイス800のすべてまたは一部と結合するように設計することができる(たとえば、命令を受け取るために)。
【0071】
非常に基本的な構成801では、コンピューティングデバイス800は、通常、1つ以上のプロセッサ810およびシステムメモリ820を含む。メモリバス830を、プロセッサ810とシステムメモリ820との間の通信に使用することができる。
【0072】
所望の構成に応じて、プロセッサ810を、マイクロプロセッサ(μP)、マイクロコントローラ(μC)、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、またはその任意の組合せを含むがこれらに限定されない任意のタイプとすることができる。プロセッサ810は、レベル1キャッシュ811およびレベル2キャッシュ812などのもう1レベルのキャッシング、プロセッサコア813、ならびにレジスタ814を含むことができる。プロセッサコア813は、算術論理ユニット(ALU)、浮動点少数ユニット(FPU)、ディジタル信号処理コア(DSPコア)、またはその任意の組合せを含むことができる。メモリコントローラ815を、プロセッサ810と共に使用することもでき、あるいは、いくつかの実施態様では、メモリコントローラ815を、プロセッサ810の内部部分とすることができる。
【0073】
所望の構成に応じて、システムメモリ820を、揮発性メモリ(RAMなど)、不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモリ、その他など)、またはその任意の組合せを含むがこれに限定されない任意のタイプのメモリとすることができる。システムメモリ820は、通常、オペレーティングシステム821、1つ以上のアプリケーション822、およびプログラムデータ824を含む。
【0074】
アプリケーション822は、開示されるアルゴリズムのすべてまたは一部を含むことができる。たとえば、アプリケーション822は、入力として、所望のターゲット濃縮係数、ターゲット濃縮係数の所望の単位体積、初期試薬および緩衝液の濃縮係数、ならびに精度レベルすなわちNの値を受け取ることができる。アプリケーション822は、ターゲット濃縮係数の所望の体積を達成するために適当な混合/分離ステップを責任を持って判定することができる。さらに、アプリケーション822は、判定された混合/分離ステップを実行する命令をも判定することができる。たとえば、コンピューティングデバイス800に関連するDMFデバイスでは、これらの命令は、DMFベースの複数の電極プラットフォームのアレイに、判定された混合/分離ステップを実行させる適当な作動シーケンスを含むことができる。そのような命令は、DMFベースの電極のアドレス可能アレイの作動シーケンスと呼ばれる、ビットパターン/ビットストリームの形をとることができる。
【0075】
DMFベースの複数の電極プラットフォームに混合ステップの判定されたシーケンスを実行させるために、適当な作動シーケンスを、1つ以上の周辺インターフェースに供給することができる。I/Oポート873は、プラットフォームに結合され、受け取られた作動シーケンスに基づいて、混合ステップの判定されたシーケンスが実行されるようにプラットフォームに電圧を印加することができる。
【0076】
コンピューティングデバイス800は、追加の特徴または機能性ならびに、基本的な構成801とすべての必要な装置およびインターフェースとの間の通信を容易にするための追加のインターフェースを有することができる。たとえば、バス/インターフェースコントローラ840を使用して、基本的な構成801と1つ以上のデータストレージ装置850との間のストレージインターフェースバス841を介する通信を容易にすることができる。データストレージ装置850は、取外し式ストレージ装置851、非取外し式ストレージ装置852、またはその組合せとすることができる。取外し式ストレージ装置および非取外し式ストレージ装置の例は、2〜3例を挙げると、フレキシブルディスクドライブおよびハードディスクドライブ(HDD)などの磁気ディスク装置、コンパクトディスク(CD)ドライブまたはディジタル多用途ディスク(DVD)ドライブなどの光ディスクドライブ、ソリッドステートドライブ(SSD)、およびテープドライブを含む。例示的なコンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報の格納のための任意の方法または技術で実施される、揮発性および不揮発性の、取外し式および非取外し式の媒体を含むことができる。
【0077】
システムメモリ820、取外し式ストレージ851、および非取外し式ストレージ852は、すべて、コンピュータ記憶媒体の例である。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または他のメモリ技術、CD−ROM、ディジタル多用途ディスク(DVD)、または他の光ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、または他の磁気ストレージ装置、あるいは所望の情報を格納するのに使用でき、コンピューティングデバイス800によってアクセスできる任意の他の媒体を含むが、これに限定はされない。そのようなすべてのコンピュータ記憶媒体を、デバイス800の一部とすることができる。
【0078】
コンピューティングデバイス800は、さまざまなインターフェース装置(たとえば、出力インターフェース、周辺インターフェース、および通信インターフェース)から基本的な構成801へのバス/インターフェースコントローラ840を介する通信を容易にするインターフェースバス842を含むこともできる。例示的な出力インターフェース860は、1つ以上のA/Vポート863を介してディスプレイまたはスピーカなどのさまざまな外部装置へ通信するように構成できる、グラフィックス処理ユニット861およびオーディオ処理ユニット862を含む。例示的な周辺インターフェース860は、1つ以上のI/Oポート873を介して入力装置(たとえば、キーボード、マウス、ペン、音声入力装置、タッチ入力装置など)または他の周辺装置(たとえば、プリンタ、スキャナなど)などの外部装置と通信するように構成できる、シリアルインターフェースコントローラ871またはパラレルインターフェースコントローラ872を含む。例示的な通信インターフェース880は、1つ以上の通信ポート882を介するネットワーク通信を介する1つ以上の他のコンピューティングデバイス890との通信を容易にするように配置できる、ネットワークコントローラ881を含む。通信接続は、通信媒体の1つの例である。通信媒体を、通常、搬送波または他のトランスポート機構などの変調されたデータ信号内のコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータによって実施することができ、通信媒体は、任意の情報配送媒体を含む。「変調されたデータ信号」は、信号内で情報を符号化する形でその特性のうちの1つ以上を設定されまたは変更された信号とすることができる。限定ではなく例として、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接配線接続などの有線媒体と、音響、ラジオ周波数(RF)、赤外線(IR)、および他の無線媒体などの無線媒体とを含むことができる。本明細書で使用される時に、(1つ以上の)コンピュータ可読媒体という用語は、記憶媒体と通信媒体との両方を含むことができる。
【0079】
コンピューティングデバイス800を、ディジタルマイクロ流体バイオチップの一部として実施することができる。コンピューティングデバイス800を、ラップトップコンピュータ構成と非ラップトップコンピュータ構成との両方を含むパーソナルコンピュータとして実施することもできる。
【0080】
本開示は、さまざまな態様の例示であることを意図された、本願に記載の特定の実施形態に関して限定されてはならない。当業者に明白であるように、多数の修正形態および変形形態を、その趣旨および範囲から逸脱せずに生成することができる。本開示の範囲内の機能的に同等の方法および装置は、本明細書に列挙された方法および装置に加えて、前述の説明から当業者に明白であろう。そのような修正形態および変形形態は、添付の特許請求の範囲の範囲に含まれることが意図されている。本開示は、添付の特許請求の範囲が権利を与えられる同等物の全範囲と一緒に、添付の特許請求の範囲の言葉によってのみ限定されなければならない。本開示が、特定の方法、試薬、化合物、合成物、または材料に限定されず、これらの方法、試薬、化合物、合成物、または材料が、もちろん変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語法が、特定の実施形態を説明するためのみのものであって、限定的であることを意図されていないことも理解されたい。
【0081】
本明細書における実質的にすべての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。さまざまな単数形/複数形の置き換えは、理解しやすいように、本明細書で明確に説明することができる。
【0082】
通常、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲(たとえば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、全体を通じて「オープンな(open)」用語として意図されていることが、当業者には理解されよう(たとえば、用語「含む(including)」は、「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むがそれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)。導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。
【0083】
たとえば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの(at least one)」および「1つ以上の(one or more)」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つ以上の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む実施形態に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではない(たとえば、「a」および/または「an」は、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(たとえば、他の修飾語なしでの「2つの記載(two recitations)」の単なる記載は、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。
【0084】
さらに、「A、BおよびC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(たとえば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。「A、B、またはCなどの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(たとえば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する事実上いかなる離接する語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方(one of the terms)、当該用語のいずれか(either of the terms)、または両方の用語(both terms)を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。たとえば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0085】
当業者によって理解されるように、書面を提供することに関してなど、すべてにおいて、本明細書で開示されるすべての範囲は、任意のすべての可能な部分範囲およびその部分範囲の組合せをも包含する。すべてのリストされた範囲を、少なくとも等しい半分、1/3、1/4、1/5、1/10などに分割された同一の範囲を十分に記述し、可能にするものとしてたやすく認めることができる。非限定的な例として、本明細書で述べられる各範囲を、下側1/3、中央1/3、および上側1/3などにたやすく分解することができる。やはり当業者によって理解されるように、「up to(まで)」、「at least(少なくとも)」、「greater than(より大きい)」、「less than(より小さい)」、および類似物などのすべての言葉は、具陳された数を含み、その後に上で述べたように部分範囲に分割され得る範囲に言及する。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は、各個々のメンバを含む。したがって、たとえば、1〜3個のセルを有する群は、1個、2個、または3個のセルを有する群に言及する。同様に、1〜5個のセルを有する群は、1個、2個、3個、4個、または5個のセルを有する群に言及するなどである。
【0086】
さまざまな態様および実施形態を本明細書で開示したが、他の態様および実施形態が、当業者に明白であろう。本明細書で開示されたさまざまな態様および実施形態は、例示のためのものであって、限定的であることは意図されておらず、真の範囲および趣旨は、次の特許請求の範囲によって示される。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8