(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記充放電波形形成部は、前記充放電回路の少なくとも放電時に前記入力部に接続して、静電容量検出信号と抵抗値検出信号に応じた前記充放電波形を形成するよう構成した請求項2に記載の入力装置。
前記充放電波形演算部は、前記充放電波形形成部により形成された充放電波形における所定電圧間の放電時間を算出して、前記入力部における静電容量及び圧力の変化を検知し、操作対象の前記電極部における前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を形成するよう構成された請求項3に記載の入力装置。
前記充放電波形形成部は、前記充放電回路の少なくとも充電時に前記入力部に接続して、静電容量検出信号と抵抗値検出信号に応じた前記充放電波形を形成するよう構成した請求項2に記載の入力装置。
前記充放電波形演算部は、前記充放電波形形成部により形成された充放電波形における所定電圧間の充電時間を算出して、前記入力部における静電容量及び圧力の変化を検知し、操作対象の前記電極部における前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を形成するよう構成された請求項5に記載の入力装置。
前記充放電波形形成部は、前記充放電回路の充放電時に前記入力部に接続して、静電容量検出信号と抵抗値検出信号に応じた前記充放電波形を形成するよう構成した請求項2に記載の入力装置。
前記充放電波形演算部は、前記充放電波形形成部により形成された充放電波形における所定電圧間の充放電時間を算出して、前記入力部における静電容量及び圧力の変化を検知し、操作対象の前記電極部における前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を形成するよう構成された請求項7に記載の入力装置。
前記電極部及び前記感圧層が光透過性材料で形成され、前記電極部及び前記感圧層を通して、当該入力装置が設けられた表示装置の画面を目視して操作できるよう構成された請求項1乃至8のいずれか一項に記載の入力装置。
前記制御部は、前記複数の第1電極線において隣り合う所定数毎に纏めた複数の第1電極線群を第1検知電極として、前記第1駆動部における前記第1検知電極に対応するスイッチング素子をオンオフ制御して、前記複数の第1電極線群を駆動制御するとともに、前記複数の第2電極線を第2検知電極として駆動制御するよう構成された請求項10に記載のハイブリッドタッチパネル。
前記制御部は、前記複数の第2電極線から間引きした選択された第2電極線を第2検知電極として、前記第2駆動部における前記第2検知電極に対応するスイッチング素子をオンオフ制御して、前記選択された第2電極線を駆動制御するよう構成された請求項11に記載のハイブリッドタッチパネル。
前記制御部は、前記複数の第2電極線において隣り合う所定数毎に纏めた複数の第2電極線群を第2検知電極として、前記第2駆動部における前記第2検知電極に対応するスイッチング素子をオンオフ制御して、前記複数の第2電極線群を駆動制御するよう構成された請求項11に記載のハイブリッドタッチパネル。
充放電波形形成部は、前記充放電回路の少なくとも放電時に前記入力部に接続して、静電容量検出信号と抵抗値検出信号に応じた前記充放電波形を形成するよう構成した請求項14に記載のハイブリッドタッチパネル。
前記充放電波形演算部は、前記充放電波形形成部により形成された充放電波形における所定電圧間の放電時間を算出して、前記入力部における静電容量及び圧力の変化を検知し、操作対象の前記第1電極部における前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を形成するよう構成された請求項15に記載のハイブリッドタッチパネル。
充放電波形形成部は、前記充放電回路の少なくとも充電時に前記入力部に接続して、静電容量検出信号と抵抗値検出信号に応じた前記充放電波形を形成するよう構成した請求項14に記載のハイブリッドタッチパネル。
前記充放電波形演算部は、前記充放電波形形成部により形成された充放電波形における所定電圧間の充電時間を算出して、前記入力部における静電容量及び圧力の変化を検知し、操作対象の前記第1電極部における前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を形成するよう構成された請求項17に記載のハイブリッドタッチパネル。
充放電波形形成部は、前記充放電回路の充放電時に前記入力部に接続して、静電容量検出信号と抵抗値検出信号に応じた前記充放電波形を形成するよう構成した請求項14に記載のハイブリッドタッチパネル。
前記充放電波形演算部は、前記充放電波形形成部により形成された充放電波形における所定電圧間の充放電時間を算出して、前記入力部における静電容量及び圧力の変化を検知し、操作対象の前記第1電極部における前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を形成するよう構成された請求項19に記載のハイブリッドタッチパネル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の電子機器における入力装置においては、画面上に表示された特定の領域に対して入力手段の種類、例えば入力手段が指かスタイラスであるかに拘らず、簡単な操作により、より多くの情報を精度高く、素早く入力することが重要な課題となってきている。この課題を解決するものとして、入力手段の画面に対する押圧力を検出するために圧力検出素子を用いて、その圧力検出素子の検出結果(圧力情報)を情報の1つとするものが考えられている。しかしながら、このような圧力検出素子を電子機器における入力装置に用いるためには、圧力検出素子を設けるための特別な領域が必要になるとともに、特別な回路構成を構築する必要がある。
【0005】
本発明は、簡単な回路構成により静電容量、抵抗及び圧力を検出して位置情報を含む各種情報を電子機器に入力することができる入力装置の提供を目的とするものであり、簡単な入力手段の操作により各種情報を精度高く、且つ素早く入力することができる汎用性の高い入力装置の実現を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の態様の入力装置は、電気的に接続可能に対向して配置され、一方が
導電体の入力手段による操作対象となる電極を有する
1組の電極部と、
前記1組の電極部間に配設され、
前記入力手段による
操作対象となる電極に対する押圧力により、前記1組の電極部により挟着されて、当該挟着の圧力に応じて電気抵抗が変化する感圧層と、を備えた入力部、
少なくとも定電流源とスイッチング素子とキャパシタと抵抗とを有する充放電回路を含み、前記入力部
が電気的に接続されて前記充放電回路において充放電動作を繰り返すことにより充放電波形を形成する充放電波形形成部、
前記充放電波形形成部により形成された充放電波形に基づき、前記入力部における静電容量と圧力の変化を検出して、
前記操作対象の電極に対する前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を算出する充放電波形演算部、及び
前記充放電波形演算部において算出された前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を出力する出力部、を具備
し、
前記入力部は、前記入力手段と前記操作対象の電極との間における静電容量及び前記1組の電極部間における静電容量を示す静電容量検出信号、並びに前記1組の電極部が前記感圧層を挟着して前記感圧層を介して電気的に接続されたときの前記1組の電極部の間の電気抵抗値を示す抵抗値検出信号を前記充放電波形形成部に出力するよう構成されている。このように構成された本発明の第1の態様の入力装置は、簡単な回路構成により静電容量及び圧力の変化を検出して、操作状態、操作位置、及び操作圧力の情報を電子機器に入力することができる。
また、このように構成された本発明の第1の態様の入力装置は、検出された静電容量検出信号と抵抗値検出信号により充放電波形を形成して、当該充放電波形に静電容量及び圧力の変化が現れるように構成されている。
【0007】
本発明に係る第2の態様の入力装置においては、前記の第1の態様の
前記充放電波形形成部が、前記入力部からの前記静電容量検出信号と前記抵抗値検出信号が入力され、前記充放電回路の前記充放電波形における充電時間及び/又は放電時間を検出するよう構成され、
前記充放電波形演算部が、検出された充電時間及び/又は放電時間を基準時間と比較して、前記操作対象の電極に対する前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を形成するよう構成されている。このように構成された本発明の第2の態様の入力装置は、形成された充放電波形に基づいて充電時間及び/又は放電時間を検出し、入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を確実に検出するよう構成されている。
【0008】
本発明に係る第3の態様の入力装置においては、前記の第2の態様の前記充放電波形形成部が、前記充放電回路の少なくとも放電時に前記入力部に接続して、静電容量検出信号と抵抗値検出信号に応じた前記充放電波形を形成するよう構成されている。このように構成された本発明の第3の態様の入力装置は、充放電波形における放電時の波形において静電容量及び圧力の変化が現れるように構成して、操作状態、操作位置、及び操作圧力の検知することが可能となる。
【0009】
本発明に係る第4の態様の入力装置においては、前記の第3の態様の前記充放電波形演算部が、前記充放電波形形成部により形成された充放電波形における所定電圧間の放電時間を算出して、前記入力部における静電容量及び圧力の変化を検知し、操作対象の前記電極部における前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を形成するよう構成されている。このように構成された本発明の第4の態様の入力装置は、充放電波形における放電時の波形に基づいて、静電容量及び圧力の変化を検出して、操作状態、操作位置、及び操作圧力を精度高く検知することができる。
【0010】
本発明に係る第5の態様の入力装置においては、前記の第2の態様の前記充放電波形形成部が、前記充放電回路の少なくとも充電時に前記入力部に接続して、静電容量検出信号と抵抗値検出信号に応じた前記充放電波形を形成するよう構成されている。このように構成された本発明の第5の態様の入力装置は、充放電波形における充電時の波形において静電容量及び圧力の変化が現れるように構成して、操作状態、操作位置、及び操作圧力の検知することが可能となる。
【0011】
本発明に係る第6の態様の入力装置においては、前記の第5の態様の前記充放電波形演算部が、前記充放電波形形成部により形成された充放電波形における所定電圧間の充電時間を算出して、前記入力部における静電容量及び圧力の変化を検知し、操作対象の前記電極部における前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を形成するよう構成されている。このように構成された本発明の第6の態様の入力装置は、充放電波形における充電時の波形に基づいて、静電容量及び圧力の変化を検出して、操作状態、操作位置、及び操作圧力を精度高く検知することができる。
【0012】
本発明に係る第7の態様の入力装置においては、前記の第2の態様の前記充放電波形形成部が、前記充放電回路の充放電時に前記入力部に接続して、静電容量検出信号と抵抗値検出信号に応じた前記充放電波形を形成するよう構成されている。このように構成された本発明の第7の態様の入力装置は、充放電波形における充放電時の波形において静電容量及び圧力の変化が現れるように構成して、操作状態、操作位置、及び操作圧力の検知することが可能となる。
【0013】
本発明に係る第8の態様の入力装置においては、前記の第7の態様の前記充放電波形演算部が、前記充放電波形形成部により形成された充放電波形における所定電圧間の充放電時間を算出して、前記入力部における静電容量及び圧力の変化を検知し、操作対象の前記電極部における前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を形成するよう構成されている。このように構成された本発明の第8の態様の入力装置は、充放電波形における充放電時の波形に基づいて、静電容量及び圧力の変化を検出して、操作状態、操作位置、及び操作圧力を精度高く検知することができる。
【0014】
本発明に係る第9の態様の入力装置においては、前記の第1乃至第8の態様の前記電極部及び前記感圧層が光透過性材料で形成され、前記電極部及び前記感圧層を通して、当該入力装置が設けられた表示装置の画面を目視して操作できるよう構成されている。このように構成された本発明の第9の態様の入力装置は、表示装置に対して優れた操作性を有す装置を構築することができる。
【0015】
本発明に係る第10の態様の入力装置としてのハイブリッドタッチパネルは、感圧機能付き静電容量方式ハイブリッドタッチパネルであり、
平行な複数の第1電極線を有し、導電体の入力手段による操作対象となる第1電極部と、
前記複数の第1電極線に直交してマトリックス状に接離可能に配置され、前記第1電極部に対向する複数の第2電極線を有する第2電極部と、
前記対向する前記第1電極部と前記第2電極部との間に配設されて、前記第1電極部に対する前記入力手段の押圧力により前記第1電極部と前記第2電極部とにより挟着され、当該挟着の圧力に応じて電気抵抗が変化する感圧層と、を備える入力部、
前記入力部が
電気的に接続され、前記入力手段と
操作対象の前記第1電極部
との間における静電容量及び前記第1電極部と前記第2電極部
との間における静電容量を示す静電容量検出信号
、並びに前記第1電極部と前記第2電極部が前記感圧層
を挟着して前記感圧層を介して電気的に接続された
ときの前記第1電極部と前記第2電極部との間の電気抵抗値を示す抵抗値検出信号が前記入力部から入力され
て、充放電動作を繰り返すことにより充放電波形を形成し、当該充放電波形における充電時間及び/又は放電時間を検出して、検出された充電時間及び/又は放電時間を基準時間と比較して、操作対象の前記第1の電極部における前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を検知するよう構成された検出回路、
前記複数の第1電極線のそれぞれと前記検出回路との間を接離する複数のスイッチング素子を有する第1駆動部、
前記複数の第2電極線のそれぞれと前記検出回路との間を接離する複数のスイッチング素子を有する第2駆動部、及び
前記第1駆動部と前記第2駆動部を駆動制御する制御部、を具備する。このように構成された本発明に係る第10の態様のハイブリッドタッチパネルは、簡単な回路構成により静電容量及び圧力(抵抗値)の変化を検出することができ、入力部から静電容量検出信号と抵抗値検出信号が検出回路に入力されて、操作状態、操作位置、及び操作圧力を精度高く検知することができる。
【0016】
本発明に係る第11の態様の入力装置としてのハイブリッドタッチパネルにおいては、前記の第10の態様の前記制御部が、前記複数の第1電極線において隣り合う所定数毎に纏めた複数の第1電極線群を第1検知電極として、前記第1駆動部における前記第1検知電極に対応するスイッチング素子をオンオフ制御して、前記複数の第1電極線群を駆動制御するとともに、前記複数の第2電極線を第2検知電極として駆動制御するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第11の態様のハイブリッドタッチパネルは、静電容量及び圧力(抵抗値)の変化を精度高く検出して、操作状態、操作位置、及び操作圧力の情報を出力することができる。
【0017】
本発明に係る第12の態様の入力装置としてのハイブリッドタッチパネルにおいては、前記の第11の態様の前記制御部が、前記複数の第2電極線から間引きした選択された第2電極線を第2検知電極として、前記第2駆動部における前記第2検知電極に対応するスイッチング素子をオンオフ制御して、前記選択された第2電極線を駆動制御するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第12の態様のハイブリッドタッチパネルは、簡単な回路構成により精度の高い静電容量の検出が可能となる。
【0018】
本発明に係る第13の態様の入力装置としてのハイブリッドタッチパネルにおいては、前記の第11の態様の前記制御部が、前記複数の第2電極線において隣り合う所定数毎に纏めた複数の第2電極線群を第2検知電極として、前記第2駆動部における前記第2検知電極に対応するスイッチング素子をオンオフ制御して、前記複数の第2電極線群を駆動制御するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第13の態様のハイブリッドタッチパネルは、簡単な回路構成により精度の高い静電容量の検出が可能となる。
【0019】
本発明に係る第14の態様の入力装置としてのハイブリッドタッチパネルにおいては、前記の第10乃至第13の態様の前記検出回路が、少なくとも定電流源とスイッチング素子とキャパシタと抵抗とを有する充放電回路を含み、前記静電容量検出信号と前記抵抗値検出信号が入力され充放電波形を形成する充放電波形形成部、及び前記充放電波形形成部により形成された充放電波形に基づき、前記静電容量検出信号と前記抵抗値検出信号における静電容量及び圧力の変化を検出して、前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を算出する充放電波形演算部、を備えている。このように構成された本発明に係る第14の態様のハイブリッドタッチパネルは、入力部からの静電容量検出信号と抵抗値検出信号に基づく充放電波形を形成して、静電容量及び圧力の変化を検出し、操作状態、操作位置、及び操作圧力を精度高く検知することができる。
【0020】
本発明に係る第15の態様の入力装置としてのハイブリッドタッチパネルにおいては、前記の第14の態様の充放電波形形成部が、前記充放電回路の少なくとも放電時に前記入力部に接続して、静電容量検出信号と抵抗値検出信号に応じた前記充放電波形を形成するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第15の態様のハイブリッドタッチパネルは、充放電波形における放電時の波形において静電容量及び圧力の変化が現れるように構成して、操作状態、操作位置、及び操作圧力の検知することが可能となる。
【0021】
本発明に係る第16の態様の入力装置としてのハイブリッドタッチパネルにおいては、前記の第15の態様の前記充放電波形演算部が、前記充放電波形形成部により形成された充放電波形における所定電圧間の放電時間を算出して、前記入力部における静電容量及び圧力の変化を検知し、操作対象の
前記第1電極部における前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を形成するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第16の態様のハイブリッドタッチパネルは、充放電波形における放電時の波形に基づいて、静電容量及び圧力の変化を検出して、操作状態、操作位置、及び操作圧力を精度高く検知することができる。
【0022】
本発明に係る第17の態様の入力装置としてのハイブリッドタッチパネルにおいては、前記の第14の態様の充放電波形形成部が、前記充放電回路の少なくとも充電時に前記入力部に接続して、静電容量検出信号と抵抗値検出信号に応じた前記充放電波形を形成するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第17の態様のハイブリッドタッチパネルは、充放電波形における充電時の波形において静電容量及び圧力の変化が現れるように構成して、操作状態、操作位置、及び操作圧力の検知することが可能となる。
【0023】
本発明に係る第18の態様の入力装置としてのハイブリッドタッチパネルにおいては、前記の第17の態様の前記充放電波形演算部は、前記充放電波形形成部により形成された充放電波形における所定電圧間の充電時間を算出して、前記入力部における静電容量及び圧力の変化を検知し、操作対象の
前記第1電極部における前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を形成するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第18の態様のハイブリッドタッチパネルは、充放電波形における充電時の波形に基づいて、静電容量及び圧力の変化を検出して、操作状態、操作位置、及び操作圧力を精度高く検知することができる。
【0024】
本発明に係る第19の態様の入力装置としてのハイブリッドタッチパネルにおいては、前記の第14の態様の充放電波形形成部が、前記充放電回路の充放電時に前記入力部に接続して、静電容量検出信号と抵抗値検出信号に応じた前記充放電波形を形成するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第19の態様のハイブリッドタッチパネルは、充放電波形における充放電時の波形において静電容量及び圧力の変化が現れるように構成して、操作状態、操作位置、及び操作圧力の検知することが可能となる。
【0025】
本発明に係る第20の態様の入力装置としてのハイブリッドタッチパネルにおいては、前記の第19の態様の前記充放電波形演算部が、前記充放電波形形成部により形成された充放電波形における所定電圧間の充放電時間を算出して、前記入力部における静電容量及び圧力の変化を検知し、操作対象の
前記第1電極部における前記入力手段の操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を形成するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第20の態様のハイブリッドタッチパネルは、充放電波形における充放電時の波形に基づいて、静電容量及び圧力の変化を検出して、操作状態、操作位置、及び操作圧力を精度高く検知することができる。
【0026】
本発明に係る第21の態様の入力装置としてのハイブリッドタッチパネルにおいては、前記の第10乃至第20の態様の
前記第1電極部、第2電極部及び前記感圧層が光透過性材料で形成され、
前記第1電極部、第2電極部及び前記感圧層を通して、当該ハイブリッドタッチパネルが設けられた表示装置の画面を目視して操作できるよう構成されている。このように構成された本発明に係る第21の態様のハイブリッドタッチパネルは、表示装置に対して優れた操作性を有す装置を構築することができる。
【0027】
本発明に係る第22の態様の入力装置としてのハイブリッドタッチパネルにおいては、前記の第10乃至第20の態様の前記入力部がフィルム状の表示装置上に設けられ、表示装置を介して操作されるよう構成されている。このように構成された本発明に係る第22の態様のハイブリッドタッチパネルは、フィルム状の表示装置、例えば有機EL(OLED)の入力装置として操作状態、操作位置、及び操作圧力を精度高く検知することができるものとなる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、入力手段の簡単な操作により各種情報を精度高く、且つ素早く入力することができる汎用性の高い入力装置を実現することができ、簡単な回路構成により静電容量、抵抗及び圧力を確実に検出して、それぞれの検出結果に基づいて多くの情報を電子機器に入力することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の入力装置に係る具体的な実施の形態について添付の図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に記載した具体的な構成に限定されるものではなく、実施の形態において説明する技術的思想と同様の技術及び当技術分野における技術常識に基づいて構成される範囲を含むものである。
【0031】
《実施の形態1》
図1は、本発明に係る実施の形態1の入力装置における入力部の断面構成を模式的に示す図である。なお、実施の形態1の入力装置は、携帯型電子装置に設けられたタッチパネルであり、表示装置の液晶画面上に設けられている。この入力装置は、全体的に光透過性の材料で形成されている例で説明する。したがって、実施の形態1の入力装置は、液晶画面上に表示された特定の領域に対して、入力手段の種類、例えば入力手段が指かスタイラスであるかに拘らず、目視して操作できるよう構成されている。なお、実施の形態1においては、携帯型電子装置を例として説明するが、本発明は携帯型電子装置に限定されるものではなく、表示装置と一体的に用いられる入力装置を有する各種電子機器に適用可能である。
【0032】
図1において、実施の形態1の入力装置における入力部1は、対向して配置された1組の電極部である上部電極部10と下部電極部20、上部電極部10と下部電極部20との間に設けられた感圧層5、及び上部電極部10と下部電極部20を接離可能に固着する接着部9を備えている。したがって、上部電極部10が加圧(
図1における上方から下方への押圧)されていない無操作状態のとき、上部電極部10は下部電極部20に対して所定距離(隙間)を有して対向するように配置されている。一方、上部電極部10が加圧されている押下荷重状態のとき、上部電極部10は下部電極部20に対して感圧層5を介して電気的に接続状態となる。したがって、上部電極部10は、下部電極部20に対して接離可能となるように、柔軟性を有して構成されている。
【0033】
一方の電極部である上部電極部10は、入力手段、例えば指による操作対象面となる上部フィルム2、上部配線パターン3、及び上部検知電極4を有して構成されている。他方の電極部である下部電極部20は、下部検知電極6、下部配線パターン7、及び表示装置の基板(図示省略)に固定される下部フィルム8を有して構成されている。なお、実施の形態1においては、感圧層5が下部検知電極6における上部検知電極4と対向する面に形成した例で説明するが、
感圧層5としては、反対に、上部検知電極4における下部検知電極6と対向する面に形成しても良く、いずれの面に形成しても同様の効果を有する。
【0034】
上記のように構成された実施の形態1の入力装置における入力部1では、操作対象面となる上部フィルム2に指を近づけることにより、指と上部電極部10との間に形成される静電容量結合において静電容量変化が生じる。このとき、電極部間も静電容量結合しており静電容量を有する。さらに指を近づけて上部フィルム2の操作対象面を押圧することにより、上部検知電極4と下部検知電極6は感圧層5を介して電気的に接続状態となる。このとき、感圧層5は、押圧力に応じて抵抗値が変化する。
【0035】
感圧層5を構成する組成物は、外力に応じて電気抵抗値などの電気特性が変化する導電性の素材で構成されている。感圧層5の組成物は、上部電極部10と下部電極部20が接触して加圧されることにより、感圧層5の組成物の内部にある導電性の感圧粒子間で、直接的な接触の有無とは関係なく、トンネル電流が流れて、絶縁状態から通電状態に変化する。即ち、感圧層5は、押圧力に応じて電気抵抗値が変化し、押圧力が大きいほど電気抵抗値が小さくなる特性を有している。このような特性をもつ感圧層を構成する組成物としては、前記組成物として、例えば、英国のダーリントン(Darlington)のペラテック社(Peratech LTD)から商品名「QTC」、「QTC Clear」で入手可能な量子トンネル現象複合材料(Quantum Tunneling Composite)であるQTCインクなどを用いることができる。
【0036】
実施の形態1における入力部1の感圧層5は、塗布により下部検知電極6上における上部検知電極4に対向する面に形成されている。感圧層5は、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、又はフレキソ印刷などの印刷方法を用いて形成することができる。
【0037】
図2は、実施の形態1の入力装置の構成を示すブロック図である。前述のように、
図1に示した入力部1は、入力部1における静電容量の変化を検出する静電容量検出11と、入力部1における電気抵抗値の変化を検出する抵抗値検出12を兼ねるよう構成されている。また、実施の形態1の入力装置は、静電容量検出11による静電容量検出信号(Cd)と抵抗値検出12による抵抗値検出信号(Rd)とを利用して充放電波形(Va)を形成する充放電波形形成部13と、充放電波形形成部13において形成された充放電波形に基づいて入力部1における静電容量変化及び抵抗値変化(圧力変化)を検出して、操作対象面における指の動き(操作状態)、指の位置(操作位置)及び指の押圧力(操作圧力)を算出する充放電波形演算部14と、充放電波形演算部14からの信号に基づき操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を出力する出力部15と、を備えている(
図2参照)。
【0038】
以下、実施の形態1の入力装置における充放電波形形成部13について説明する。
図3は、充放電波形形成部13の回路構成を示す図である。
【0039】
図3において、可変静電容量(Cx)及び可変抵抗(Rx)が示す回路要素は、入力装置における入力部1の静電容量検出11及び抵抗値検出12において検出された静電容量及び抵抗に対応するものである。したがって、可変静電容量(Cx)には、入力手段、例えば指と上部電極部10との間の静電容量、上部電極部10と下部電極部20との間の静電容量、及び入力部1における回路が有する静電容量などが含まれる。また、可変抵抗(Rx)には、上部電極部10と下部電極部20との間の感圧層5を介しての電気抵抗、及び入力部1における回路が有する電気抵抗などが含まれる。
【0040】
図3に示すように、充放電波形形成部13は、スイッチング素子(SwA,SwB)の切替え動作により、定電流源30からの電流をキャパシタC及び入力部1に充電し、抵抗R及び入力部1において放電するよう構成されている。定電流源30は第2スイッチBを介してキャパシタCに接続されており、キャパシタCと抵抗Rとの間に第1スイッチAが設けられている。また、キャパシタCはコンパレータ31の一方の入力端子に接続されている。コンパレータ31の他方の入力端子には基準電圧(Vb)が入力されている。コンパレータ31は、キャパシタCの放電電圧が基準電圧(Vb)に達したとき放電終了検知信号を出力する構成である。
【0041】
実施の形態1の入力装置における充放電波形形成部13には、定電流源30、キャパシタC、抵抗R、及び2つのスイッチング素子(SwA,SwB)により構成された充放電回路を有している。なお、この充放電回路に対しては、入力部1が接続されて、可変静電容量(Cx)により形成される静電容量検出信号(Cd)、及び可変抵抗(Rx)による形成される抵抗値検出信号(Rd)が入力される構成である。
【0042】
図3に示す充放電波形形成部13の回路において、第1スイッチAがオフ状態、及び第2スイッチBがオン状態において、定電流源30からの電流がキャパシタC及び入力部1に流れて、キャパシタC及び入力部1には所定容量の電荷が充電される(充電動作)。なお、実施の形態1においては、充電時間が一定時間に到達したとき、キャパシタC及び入力部1に所定量の電荷が充電されたとして、充電動作を停止する制御方法を用いているが、キャパシタC及び入力部1の充電電圧(Va)が所定電圧(Vp)に達したことを検知したとき、充電動作を停止し、放電動作を開始する制御方法とする回路構成としても良い。
【0043】
キャパシタC及び入力部1に所定容量が充電されると、充電動作の停止とともに放電動作が開始する。放電動作は、第1スイッチAがオン状態、及び第2スイッチBがオフ状態において、キャパシタC及び入力部1に充電された電荷が抵抗Rに流れて放電される。このとき、充放電波形形成部13の回路は入力部1に接続されているため、放電状態は入力部1における可変静電容量(Cx)及び可変抵抗(Rx)の影響を受けることになる。キャパシタC及び入力部1の所定の電荷が放電されて所定電圧(基準電圧:Vb)に達すると、コンパレータ31からの出力信号(放電終了検知信号)により、放電動作の停止とともに充電動作が開始する。
【0044】
図4は充放電波形形成部13における各要素における波形図である。
図4において、充放電波形VaがキャパシタC及び入力部1からコンパレータ31に入力される電圧波形を示しており、SwA及びSwBが第1スイッチA及び第2スイッチBのオンオフ状態をそれぞれ示している。また、
図4におけるOutはコンパレータ31からの出力信号(放電終了検知信号)を示している。
【0045】
図4において、(a)は当該入力装置が操作されていない状態(無操作状態)の波形図であり、(b)は当該入力装置の操作対象面に対して入力手段である指が近接または接触した状態(近接状態)の波形図であり、(c)は当該入力装置の操作対象面が指により押圧されて上部検知電極4と下部検知電極6が感圧層5を介して電気的に接続した状態(押下荷重状態)の波形図である。
【0046】
図4の(a)に示すように、第1スイッチA及び第2スイッチBのオンオフによりキャパシタC及び入力部1は充電動作及び放電動作を断続的に繰り返している。したがって、第1スイッチAのオフ期間(Ta)は予め決められた期間であり、第1スイッチAのオン期間Tbは、入力部1の静電容量検出11による容量変化が微小な場合は、ほぼ同じ期間となり、この期間(Ta,Tb)において無操作状態においては、ほぼ同じ期間でオンオフを繰り返している。なお、第1スイッチAは、そのオン期間(Tb)(放電動作期間)において微小時間でオンオフ動作を断続的に繰り返す放電動作を行っている。したがって、第1スイッチAを介して抵抗Rにおいて放電する放電波形は微視的には階段状の波形となる。この第1スイッチAにおける微小時間でのオンオフ動作はカウントされており、放電時間の検出が行われている。この第1スイッチAのオンオフ動作のカウントは、充放電波形演算部14(
図2参照)において検出されて、カウント数の変化により操作状態情報、操作位置情報及び操作圧力情報を形成することが可能となる。
【0047】
図4の(b)に示す波形図は、当該入力装置の操作対象面に対して入力手段である指が近接または接触した状態であり、上部検知電極4と下部検知電極6が接触していない状態である。即ち、指が操作対象面に近づいて、指と上部電極部10が静電容量結合状態である。このとき、上部電極部10と下部電極部20との間も静電容量結合状態である。この結果、操作対象面に対して指が近接または接触した状態においては、
図4の(a)に示した無操作状態に比べて、入力部1における可変静電容量(Cx)(
図3参照)が変化している。静電容量の大きさは、指と操作対象面にある上部電極部10との間の距離に反比例するため、指が操作対象面に近づくほど、指と上部電極部10との間の静電容量は大きくなる。この結果、充放電波形(Va)における検出放電時間Tdは、
図4の(a)に示した無操作状態に比べて時間(Te)だけ長くなる。この検出放電時間(Td)は、第1スイッチAの微小時間のオンオフ動作のカウント数により検知される。このように、静電容量の変化に基づく検出放電時間(Td)の変化により、操作状態情報、及び指の操作対象面における操作位置情報を確定することができる。なお、
図4の(b)に示す近接状態においては、
図3に示す可変抵抗(Rx)は無限大であり、遮断状態である。
【0048】
図4の(c)に示す波形図は、当該入力装置の操作対象面が指により押圧されて押し下げられ、上部検知電極4と下部検知電極6が感圧層5を介して電気的に接続した押下荷重状態であることを示している。前述のように、感圧層5は、加圧されることにより、その圧力に応じて電気抵抗値が小さくなる特性を有している。
図4の(c)に示す押下荷重状態においては、
図4の(b)に示した近接状態のときのような静電容量結合状態はなく、入力手段である指と操作対象面の上部電極部10との間、及び上部電極部10と下部電極部20との間は確実に電気的に接続した状態である。したがって、
図4の(c)に示す押下荷重状態においては、
図3に示す可変静電容量(Cx)としては実質的に零となり、可変抵抗Rxに電流が流れる状態となる。但し、回路には浮遊容量などが存在するため、可変静電容量Cxは零とはならない。この結果、充放電波形(Va)において充電時間(Ta)の期間では、充電期間が不足して、所定電圧(Vp)まで充電できないこともある。その影響と放電電流の増加の影響により、充放電波形(Va)における検出放電時間(Td)は、
図4の(a)に示した無操作状態に比べて時間(Tn)だけ短くなる。このように、入力部1における電気抵抗の変化により、検出放電時間(Td)を検知して、指の操作対象面における操作状態情報、指の操作対象面における操作位置情報、及び指の操作対象面に対する操作圧力情報を確定することができる。なお、押下荷重状態とは上部電極部10と下部電極部20が電気的に単に接触した状態を含む。
【0049】
図5は、実施の形態1の入力装置において静電容量及び圧力の検出を行う検出シーケンスを示すフローチャートである。
【0050】
先ず、入力装置に電源が供給されることにより、入力装置においては検出シーケンスが開始する。検出シーケンスにおけるステップ1(S1)においては、前述のように充放電波形形成部13で充放電波形Vaが形成される。形成された充放電波形における検出放電時間Tdが基準時間(To)と比較される。ここで、基準時間(To)とは、当該入力装置において無操作状態(
図4の(a)参照)における放電時間Tbであり、無操作状態時に計測した時間を用いて設定される。ステップ2(S2)において、検出放電時間(Td)が基準時間(To)とほぼ同じであれば無操作状態であるとしてステップ1(S1)に戻る。
【0051】
ステップ3(S3)において、検出放電時間(Td)が基準時間(To)より一定期間以上長ければ近接状態であるとして、静電容量検出モード(S4)に移行する。一方、検出放電時間Tdが基準時間Toより一定期間以上短ければ押下荷重状態であるとして、抵抗値検出モード(S8)に移行する。
【0052】
静電容量検出モード(S4)においては、検出放電時間Tdに基づいて、静電容量(C+Cx:
図3参照)の変化を検出する静電容量検出処理(S5)を行い、検出された静電容量の変化に基づき静電容量検出出力(S6)を行う。即ち、当該入力装置が操作されたか否かの操作状態が検知される。静電容量検出出力(S6)を行った後、ステップ7(S7)においては、当該入力装置から入力手段である指が離れたか否かが検出(リリース検出)される。このリリース検出(S7)は、ステップ2(S2)において行われ、検出放電時間(Td)と基準時間(To)との比較により検出される。検出放電時間(Td)が基準時間Toとほぼ同じであればリリース検出となり、当該検出シーケンスが終了する。逆に、検出放電時間(Td)と基準時間(To)が異なる場合には、ステップ3(S3)に戻り、静電容量検出モード(S4)若しくは抵抗値検出モード(S8)に移行する。
【0053】
抵抗値検出モード(S8)においては、検出放電時間Tdに基づいて、抵抗値(R・Rx/
(R+Rx):
図3参照)の変化を検出して座標演算処理及び圧力演算処理(S9)が行われる。この座標演算処理の一例としては、対向する電極の一方の電極の一端を、充放電波形形成部13と充放電波形演算部14で構成される検出回路50の入力端に接続し、他方の電極の一端を接地させることにより、感圧層5の変化を含む抵抗値を計測することができる。この抵抗値計測において、検出回路50に接続する電極の一端と、接地する他方の電極の一端の接続状態の組合せを変更することにより、入力手段である指が操作した電極における座標位置(操作位置)を検知することが可能となる。これらの切替え制御は、駆動制御部60において行われる(
図2参照)。駆動制御部60は複数のスイッチング素子で構成されて、座標演算処理及び圧力演算処理において各電極の切替え制御を行っている。また、圧力演算処理においては、感圧層5が加圧された大きさ応じて抵抗値が変化するため、特定された座標位置における抵抗値の変化を検出して押圧力(操作圧力)を検知している。
【0054】
ステップ10(S10)においては、当該入力装置が設けられている携帯型電子装置の制御部(図示無し)に検知された座標位置(操作位置)及び押圧力(操作圧力)を示す信号を出力して、リリース検出へ移行する。
【0055】
ステップ11(S11)におけるリリース検出は、前述の静電容量検出モードにおけるリリース検出(S7)と同様に、検出放電時間(Td)と基準時間(Vo)とを比較し、検出放電時間(Td)が基準時間(Vo)と同じであればリリース検出となり、当該検出シーケンスが終了する。逆に、検出放電時間(Td)と基準時間(Vo)が異なる場合には、ステップ3(S3)に戻り、静電容量検出モード(S4)若しくは抵抗値検出モード(S8)に移行する。
【0056】
上記のように、実施の形態1の入力装置における検出シーケンスが実行されて、静電容量(操作状態)、座標位置(操作位置)及び押圧力(操作圧力)がそれぞれ検出されて、それぞれを示す信号が当該入力装置の設けられている携帯型電子装置の制御部(図示無し)に対して出力され、携帯型電子装置が制御される。
【0057】
実施の形態1の入力装置においては指を入力手段として用いた例で説明したが、本発明においては入力手段が指に限定されるものではなく導電体であれば用いることができる。
【0058】
なお、実施の形態1の入力装置においては、入力部1における静電容量検出11により検出された静電容量検出信号(Cd)、及び抵抗値検出12により検出された抵抗値検出信号(Rd)を、充放電波形(Va)における放電時の放電波形に用いた例で説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、静電容量検出11及び抵抗値検出12により検出された静電容量検出信号(Cd)及び抵抗値検出信号(Rd)を充電時の充電波形に用いることもできる。充電時において入力部1から出力された静電容量検出信号(Cd)及び抵抗値検出信号(Rd)を用いることにより、静電容量及び抵抗値に応じて充電波形の振る舞いが変化することを検出して、静電容量(操作状態)、座標位置(操作位置)及び押圧力(操作圧力)のそれぞれを検出することが可能となる。
【0059】
さらに、本発明においては、充放電波形(Va)における充電時の充電波形及び放電時の放電波形の両方を用いて、更に精度の高い静電容量(操作状態)、座標位置(操作位置)及び押圧力(操作圧力)のそれぞれを検出することも可能である。この場合においても、実施の形態1において説明した入力部(1)における静電容量検出11により検出された静電容量検出信号(Cd)、及び抵抗値検出12により検出された抵抗値検出信号(Rd)を用いることにより、静電容量(操作状態)、座標位置(操作位置)及び押圧力(操作圧力)のそれぞれに応じて、充電時の充電波形及び放電時の放電波形に変化が現れるため、その現象を用いることが可能となり、精度の高い検出が可能となる。
【0060】
なお、実施の形態1の入力装置における入力部1は、表示装置の液晶画面上に設けられて、全体的に光透過性の材料で形成されているため、液晶画面上を目視しつつ入力部1の操作対象面を入力手段である指により入力操作する構成である。したがって、入力部1における上部フィルム2、上部配線パターン3、上部検知電極4、感圧層5、下部検知電極6、下部配線パターン7、及び下部フィルム8は光透過性材料で形成されている。また、上部電極部10と下部電極部20が対向配置されている入力部1の内部空間(対向領域)には、実施の形態1の構成においては空気(屈折率:1)が存在する構成で説明したが、上部電極部10と下部電極部20などの光学特性を考慮して、液層で構成しても良い。液層としては、例えば、上部電極部10と下部電極部20の構成物における各材質の屈折率に近いもの、即ち空気以上の屈折率を有するものであり、流動性、光透過性、電気絶縁性、及び耐熱性を有する材質のものが用いることが好ましい。
【0061】
上部フィルム2及び下部フィルム8の材質としては、フレキシブル基板に使用可能な材質、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル系樹脂、若しくは、AN樹脂などの汎用樹脂を用いることができる。上部検知電極4及び下部検知電極6の厚みは、例えば、5μm〜25μmに設定されている。上部検知電極4及び下部検知電極6の材料としては、ITOや、CNT、Agワイヤインキなどの透明導電材料を使用することが好ましい。但し、金、銀、銅、若しくはニッケルなどの金属、あるいはカーボンなどの導電性を有するペーストを用いて形成することも可能である。これらの形成方法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、若しくはフレキソ印刷などの印刷法、フォトレジスト法などが挙げられる。また、上部検知電極4及び下部検知電極6は、銅若しくは金などの金属箔を貼り付けて形成することもできる。さらに、上部検知電極4及び下部検知電極6は、銅などの金属をメッキしたFPC(フレキシブル回路基板)の上にレジストで電極パターンを形成し、レジストで保護されていない部分の金属箔をエッチング処理することによって形成することもできる。
【0062】
なお、上部電極部10と下部電極部20との対向領域を確保するために、隙間保持部材としての接着剤9が設けられている。接着剤9は、粘着性を有して上部フィルム2と下部フィルム8とを接着するとともに、上部検知電極4と感圧層5との対向面間に隙間を保持するための絶縁性部材である。接着剤9としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの芯材の両面にアクリル系の接着糊などの粘着剤を形成した両面粘着テープである。接着剤9の厚みは、例えば、5〜20μmに設定されている。また、接着剤9としては、UV硬化樹脂や熱硬化樹脂などの各種接着剤で厚みを5〜20μmに設定しても良い。
【0063】
上記のように、本発明に係る実施の形態1の入力装置は、入力手段の種類、例えば入力手段が指かスタイラスであるかに拘らず、簡単な回路構成により静電容量、抵抗及び圧力を検出して操作状態情報、操作位置情報及び操作圧力情報を電子機器に入力することができるものであり、簡単な入力手段の操作により各種情報を精度高く、且つ素早く入力することができる汎用性の高い入力装置である。
【0064】
《実施の形態2》
以下、本発明に係る入力装置としてのハイブリッドタッチパネルに係る具体的な実施の形態について添付の図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態2に記載したハイブリッドタッチパネルの具体的な構成に限定されるものではなく、実施の形態2において説明する技術的思想と同様の技術及び当技術分野における技術常識に基づいて構成される範囲を含むものである。なお、本発明におけるハイブリッドタッチパネルとは、入力手段による操作、例えば指や、スタイラス等による操作(非接触、接触及び押圧の動作を含む)により、その操作状態、操作位置、及び操作圧力を検知して、検知した各種情報を出力できる構成のものをいう。
【0065】
本発明に係る入力装置としてのハイブリッドタッチパネルは、抵抗膜方式のデジタル(マルチ)型タッチパネルの構成と、静電容量方式のセルフ(Self)式タッチパネルの構成を併せ持つとともに、入力手段(指)の押圧力の圧力検出が可能な構成を有する感圧機能付き静電容量方式ハイブリッドタッチパネルを、後述の実施の形態2として説明する。
【0066】
なお、実施の形態2において説明する感圧機能付き静電容量方式ハイブリッドタッチパネルの構成は入力装置としての一例であり、その他の構成も本発明に含まれる。静電容量方式のタッチパネルとしては、送信側の複数の電極線と受信側の複数の電極線をマトリックス状(網目状)に配置して、それぞれの送信側電極線と受信側電極線との間における静電容量を検出し、その検出結果に基づいて、入力手段の操作状態(動作状態)及び操作位置(座標位置)を検知するミューチュアル(Mutual)式タッチパネルがある。本発明においては、ミューチュアル(Mutual)式タッチパネルにおける検出方法を、実施の形態2において説明するセルフ(Self)式タッチパネルにおける検出方法に代えて用いて、感圧機能付き静電容量方式ハイブリッドタッチパネルを構築することも可能である。即ち、入力手段の操作状態(動作状態)及び操作位置(座標位置)に応じて静電容量が変化し、その結果、後述する充放電波形の振る舞いが変化することを利用することにより、操作状態(動作状態)及び操作位置(座標位置)を検知することが可能となる。
【0067】
一般的な抵抗膜方式のデジタル型タッチパネルの構成は、X軸方向の位置を検出するためのX軸電極線と、Y軸方向の位置を検出するためのY軸電極線が、マトリックス状(網目状)に配置されている。一方、一般的な静電容量方式のセルフ式タッチパネルは、デジタル型タッチパネルの構成と同様に、X軸方向の位置を検出するためのX軸電極線と、Y軸方向の位置を検出するためのY軸電極線を有しているが、それぞれの電極線においては静電容量の検出感度を高めるため、ある程度の幅を有して構成されている。したがって、抵抗膜方式のデジタル型タッチパネルにおけるX軸電極線とY軸電極線の構成を、そのまま静電容量方式のセルフ式タッチパネルに利用した場合には、電極線の幅が狭く、検知感度が低下するという問題がある。また、X軸電極線とY軸電極線による検出対象(抵抗値と静電容量)が全く異なるため、検出回路及び制御回路等の回路構成が大きく異なり、これらを組み合わせてもタッチパネルを構成することはできなかった。
【0068】
また、静電容量式のミューチュアル式タッチパネルにおいては、相互干渉による感度低下を防止し、検出感度を向上させるために、受信側電極線の幅を広くし、送信側電極線の幅を狭くしている。抵抗膜方式のデジタル型タッチパネルの構成においては、X軸電極線とY軸電極線の幅が狭く、同じ幅であるため、ミューチュアル式タッチパネルとは異なる構成である。したがって、静電容量方式のミューチュアル式タッチパネルの構成においても、抵抗膜方式のデジタル型タッチパネルに使用した場合、分解能の低下や、検出座標確度の低下が予想されるため、容易に組み合わせることができない構成であった。
【0069】
本発明においては、抵抗膜方式のデジタル(マルチ)型タッチパネルの構成と、静電容量方式のセルフ(Self)式タッチパネルの構成を併せ持つ構成、若しくは抵抗膜方式のデジタル(マルチ)型タッチパネルの構成と、静電容量方式のミューチュアル(Mutual)式タッチパネルの構成を併せ持つ構成とするために、マトリックス状(網目状)に配置された複数の第1電極線(Y軸電極線、受信側電極線)を有する上部電極部10(第1電極部)と、複数の第2電極線(X軸電極線、送信側電極線)を有する下部電極部20(第2電極部)とを有し、上部電極部10及び下部電極部20のそれぞれの電極線に対して状況に応じて複数本纏める切替え操作、及び/又は間引く切替え操作を実行するよう構成されている。
【0070】
以下、実施の形態2の説明において、本発明に係る入力装置としての感圧機能付き静電容量方式ハイブリッドタッチパネルに関する具体的な構成、及び動作について説明する。
【0071】
以下、本発明に係る実施の形態2の感圧機能付き静電容量方式ハイブリッドタッチパネルについて添付の図面を参照しつつ説明する。
【0072】
図6は、本発明に係る実施の形態2の感圧機能付き静電容量方式ハイブリッドタッチパネルにおける入力部の断面構成を模式的に示した図である。なお、実施の形態2のハイブリッドタッチパネルは、携帯型電子装置に設けられたタッチパネルであり、表示装置の液晶画面上に設けられている。このハイブリッドタッチパネルは、全体的に光透過性の材料で形成された例で説明する。したがって、実施の形態2のハイブリッドタッチパネルは、液晶画面上に表示された特定の領域に対して指により目視して操作するよう構成されている。なお、実施の形態2においては、携帯型電子装置を例として説明するが、本発明は携帯型電子装置に限定されるものではなく、表示装置と一体的に用いられるタッチパネルを有する各種電子機器に適用可能である。また、本発明のハイブリッドタッチパネルとしては、フィルム状の表示装置(有機EL(OLED))等において裏面に配置する構成も可能である。
【0073】
図6において、実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおける入力部1は、X軸及びY軸のマトリックス上に配置(マトリックス状(網目状)に配置)された複数の対向する電極線である上部電極部10と下部電極部20、上部電極部10と下部電極部20との間に設けられた感圧層5、及び上部電極部10と下部電極部20を接離可能に保持(固着)する接着部9を備えている。したがって、操作対象領域(操作対象面)となる上部電極部10が加圧(
図6における上方から下方への押圧)されていない無操作状態のとき、上部電極部10は下部電極部20に対して所定距離(隙間:対向領域40)を有して対向するように配置されている。一方、上部電極部10が加圧されている押下荷重状態のとき、上部電極部10は下部電極部20に対して感圧層5を介して電気的に接続状態となる。したがって、上部電極部10は、下部電極部20に対して接離可能となるように、柔軟性を有して構成されている。なお、上部電極部10と下部電極部20における電極線としては直線状とは限るものではなく、波状のものや、太さが途中で変わるもの等を使用してもよい。
【0074】
一方の電極部である上部電極部10は、入力手段としての指による操作対象面となる上部フィルム2の裏面に設けられている。他方の電極部である下部電極部20は、表示装置の基板(図示省略)に固定される下部フィルム8上に設けられている。なお、実施の形態2においては、感圧層5を下部電極部20に形成した例で説明するが、感熱層5としては、反対に、上部電極部10に形成しても良く、いずれの面に形成しても同様の効果を有する。
【0075】
図7は、実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおける入力部1のマトリックス構成とスイッチング素子の構成を示す説明図である。
図7において、マトリックス状の上部電極部10及び下部電極部20は、説明を容易なものとするため、それぞれを8本の電極線(A〜H及び1〜8)で構成した例で説明する。
【0076】
図7に示すように、上部電極部10の各第1電極線(A〜H)にはスイッチング素子(SwA〜SwH)がそれぞれ設けられており、第1電極線(A〜H)のそれぞれはスイッチング素子(SwA〜SwH)を介して、後述する検出回路50に接続されている。また、下部電極部20の各第2電極線(1〜8)にはスイッチング素子(Sw1〜Sw8)がそれぞれ設けられており、第2電極線(1〜8)のそれぞれはスイッチング素子(Sw1〜Sw8)を介して、後述する検出回路50に接続されている。
【0077】
実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおいて、当該ハイブリッドタッチパネルの操作対象領域に対して入力手段である指が近接または接触した状態、即ち上部電極部10と下部電極部20が接触していない状態においては、以下のようなスイッチング制御動作(静電容量検出処理)が行われる。
【0078】
上部電極部10の電極線(第1電極線)における静電容量を感度高く検出するために、第1電極線(A〜H)において隣接する複数、例えば隣り合う3本の電極線を纏めて1つの電極線群となるように、各スイッチング素子(SwA〜SwH)の切替え制御が実行される。このように隣り合う複数の電極線を纏めて1つの電極群として動作させる切替え制御は、各第1電極線(A〜H)のそれぞれをオンオフ(接離)する複数のスイッチング素子(SwA〜SwH)を有する第1駆動回路60aに対して、制御部70からの駆動制御信号を送信することにより実行される。
【0079】
制御部70が駆動制御する切替え制御の具体例としては、例えば3本の第1電極線(A,B,C)を1つの第1電極線群Xとして、対応する3つのスイッチング素子(SwA,SwB,SwC)をオン状態として検出回路50に接続する。このように第1電極線群Xを検出回路50に接続して、第1電極線群Xにおける静電容量が検出される。このとき、第2電極線(1〜8)においては、第1電極線群Xへの静電容量の影響を低減するために、安定電圧(たとえばGND電位)に設定される。上記のように、上部電極部10においては複数の第1電極線を纏めて上部電極群Xを構成して、実質的な電極幅を広くし、検出感度を高めている。同様な動作を、第2電極線を検出回路に接続し、第1電極線を安定電圧に設定することで、下部電極の検出感度を高めることが可能となる。
【0080】
実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおいては、セルフ(Self)式の静電容量検出を行う構成であるため、入力手段である指の操作状態を検知するためには、上部電極部10と下部電極20の面積をスイッチング素子の切替え制御で最適化することにより検知感度の向上を図ることができる。
【0081】
なお、ミューチュアル(mutual)式で静電容量を検出するハイブリッドタッチパネルの場合においても、上部電極部である受信側電極部の受信電極幅を広くし、下部電極部である送信側電極部の送信電極幅を狭くすることにより、検知感度の向上を図ることが可能となる。
【0082】
次に、実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおいて、当該ハイブリッドタッチパネルの操作対象面が指により押圧されて押し下げられ、上部電極部10における対応する電極線が下部電極部20における対応する電極線が感圧層5を介して電気的に接続した押下荷重状態においては、以下のようなスイッチング制御動作(座標演算処理及び圧力演算処理)が行われる。
【0083】
ハイブリッドタッチパネルの検出回路50において押下荷重状態が検知されると、第1電極線(A〜H)に接続されたスイッチング素子(SwA〜SwH)、及び第2電極線(1〜8)に接続されたスイッチング素子(Sw1〜Sw8)が順次オンオフ操作される(抵抗値検出処理)。具体的には、例えば下部電極部20のための1つのスイッチング素子(Sw1)をオン状態として、第2電極線(1)を検知回路50に接続した状態において、上部電極部10のためのスイッチング素子(SwA〜SwH)に対して順次に一旦オン状態とする切替え制御を行い、上部電極部10における第1電極線(A〜H)を検出回路50に順次に接続する。このように、各第1電極線(A〜H)を検出回路50に接続することにより、第2電極線(1)に対する全ての第1電極線(A〜H)における抵抗値が検出回路50において検出される。
【0084】
上記のように、第2電極線(1)に対する全てのスイッチング素子(SwA〜SwH)の切替え制御が終了すると、次の第2電極線(2)に対するスイッチング素子(SwA〜SwH)の切替え制御が同様に順次実施される。このように全ての第2電極線(1〜8)に対するスイッチング素子(SwA〜SwH)の切替え制御が順次実施されることにより、操作対象領域における全ての座標位置(検出点)における抵抗値が検出回路50において検出されることになる。
【0085】
なお、前述の静電容量検出処理において行った切替え制御と同様に、複数の第1電極線を纏めて1つの電極線群とし、第2電極線を間引き動作を行いつつ各検出点における抵抗値検出処理を実行しても良い。このように抵抗値検出処理を行うことにより、検出点の減少による検出速度の高速化を図ることができる。
【0086】
実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおいては、制御部70が、複数の第2電極線(1〜8)において隣り合う所定数毎に纏めた複数の第2電極線群を第2検知電極として、第2駆動部60bにおける第2検知電極に対応するスイッチング素子をオンオフ制御して、当該複数の第2電極線群を駆動制御するよう構成されている。しかし、本発明は、このような制御方法に限定されるものではなく、他の制御方法も可能である。例えば、制御部70が、複数の第2電極線(1〜8)から間引きした選択された第2電極線(1,3,5,7)を第2検知電極として、第2駆動部60bにおける第2検知電極に対応するスイッチング素子(Sw1,Sw3,Sw5,Sw7)をオンオフ制御して、選択された第2電極線(1,3,5,7)を駆動制御するよう構成されている。
【0087】
また、他の制御方法として、複数の電極線(第1電極線及び/又は第2電極線)を纏めて1つの電極線群として検出処理する場合において、例えば直前の検知電極が第1電極線(A,B)であり、次の検知電極が第1電極線(B,C)、そして次の検知電極が第1電極線(C,D)というように、一部の電極線が重複するよう構成しても良い。このように複数の電極線を纏めるとともに、一部を重複させた電極線群を順次にオンオフ制御することにより、感度の向上を図りつつ、解像度の低下を防止することができるものとなる。
【0088】
以下、実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおける入力部1から出力される静電容量検出信号(Cd)と抵抗値検出信号(Rd)を用いて、入力手段である指による、操作対象面に対する操作状態、操作対象面における操作位置、及び操作対象面に対する押圧力である操作圧力を検知する検知方法について詳述する。
【0089】
上記のように構成された実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおける入力部1では、操作対象面となる上部フィルム2に指を近づけることにより、指と上部電極部10との間に形成される静電容量結合において静電容量変化が生じる。このとき、電極部間も静電容量結合しており静電容量を有する。さらに指を近づけて上部フィルム2の操作対象面を押圧することにより、上部電極部10と下部電極部20は感圧層5を介して電気的に接続状態となる。このとき、感圧層5は、押圧力に応じて抵抗値が変化する。
【0090】
感圧層5を構成する組成物は、外力に応じて電気抵抗値などの電気特性が変化する導電性の素材で構成されている。感圧層5の組成物は、上部電極部10と下部電極部20が接触して加圧されることにより、感圧層5の組成物の内部にある導電性の感圧粒子間で、直接的な接触の有無とは関係なく、トンネル電流が流れて、絶縁状態から通電状態に変化する。即ち、感圧層5は、押圧力に応じて電気抵抗値が変化し、押圧力が大きいほど電気抵抗値が小さくなる特性を有している。このような特性をもつ感圧層を構成する組成物としては、前記組成物として、例えば、英国のダーリントン(Darlington)のペラテック社(Peratech LTD)から商品名「QTC」、「QTC Clear」で入手可能な量子トンネル現象複合材料(Quantum Tunneling Composite)であるQTCインク等を用いることができる。
【0091】
実施の形態2における入力部1の感圧層5は、塗布により下部電極部20上における上部電極部10に対向する面に形成されている。感圧層5は、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、又はフレキソ印刷等の印刷方法を用いて形成することができる。
【0092】
図8は、実施の形態2のハイブリッドタッチパネルの構成を示すブロック図である。前述のように、
図6に示した入力部1は、入力部1における静電容量の変化を検出する静電容量検出11と、入力部1における電気抵抗値の変化を検出する抵抗値検出12を兼ねるよう構成されている。また、実施の形態2のハイブリッドタッチパネルは、静電容量検出11による静電容量検出信号(Cd)と抵抗値検出12による抵抗値検出信号(Rd)とを利用して充放電波形(Va)を形成する充放電波形形成部13と、充放電波形形成部13において形成された充放電波形に基づいて入力部1における静電容量変化及び抵抗値変化(圧力変化)を検出して、操作対象面における指の動き(操作状態)、指の位置(操作位置)及び指の押圧力(操作圧力)を算出する充放電波形演算部14と、充放電波形演算部14からの信号に基づき操作状態、操作位置及び操作圧力を示す信号を出力する出力部15と、を備えている(
図7参照)。ここで、充放電波形形成部13と充放電波形演算部14とにより検出回路50が構成されている。
【0093】
以下、実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおける充放電波形形成部13について説明する。
図9は、充放電波形形成部13の回路構成を示す図である。
【0094】
図9において、可変静電容量(Cx)及び可変抵抗(Rx)が示す回路要素は、ハイブリッドタッチパネルにおける入力部1の静電容量検出11及び抵抗値検出12において検出された静電容量及び抵抗に対応するものである。したがって、可変静電容量(Cx)には、入力手段である指と上部電極部10との間の静電容量、上部電極部10と下部電極部20との間の静電容量、及び入力部1における回路が有する静電容量等が含まれる。また、可変抵抗(Rx)には、上部電極部10と下部電極部20との間の感圧層5を介しての電気抵抗、及び入力部1における回路が有する電気抵抗等が含まれる。
【0095】
図9に示すように、充放電波形形成部13は、スイッチング素子(SwA,SwB,SwC)の切替え動作により、定電流源30からの電流をキャパシタC及び入力部1に充電し、抵抗R及び入力部1において放電するよう構成されている。定電流源30は第2スイッチBを介してキャパシタCに接続されており、キャパシタCと抵抗Rとの間に第1スイッチAが設けられている。また、キャパシタCはコンパレータ31の一方の入力端子に接続されている。コンパレータ31の他方の入力端子には基準電圧(Vb)が入力されている。コンパレータ31は、キャパシタCの放電電圧が基準電圧(Vb)に達したとき放電終了検知信号を出力する構成である。
【0096】
実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおける充放電波形形成部13には、定電流源30、キャパシタC、抵抗R、及び2つのスイッチング素子(SwA,SwB)により構成された充放電回路を有している。なお、この充放電回路に対しては、第1駆動部60a及び第2駆動部60bを介して入力部1が接続されており、可変静電容量(Cx)により形成される静電容量検出信号(Cd)、及び可変抵抗(Rx)による形成される抵抗値検出信号(Rd)が入力される構成である。
【0097】
図9に示す充放電波形形成部13の回路において、第1スイッチAがオフ状態、及び第2スイッチBがオン状態において、定電流源30からの電流がキャパシタC及び入力部1に流れて、キャパシタC及び入力部1には所定容量の電荷が充電される(充電動作)。なお、実施の形態2においては、充電時間が一定時間に到達したとき、キャパシタC及び入力部1に所定量の電荷が充電されたとして、充電動作を停止する制御方法を用いているが、キャパシタC及び入力部1の充電電圧(Va)が所定電圧(Vp)に達したことを検知したとき、充電動作を停止し、放電動作を開始する制御方法とする回路構成としても良い。
【0098】
キャパシタC及び入力部1に所定容量が充電されると、充電動作の停止とともに放電動作が開始する。放電動作は、第1スイッチAがオン状態、及び第2スイッチBがオフ状態において、キャパシタC及び入力部1に充電された電荷が抵抗Rに流れて放電される。このとき、充放電波形形成部13の回路は入力部1に接続されているため、放電状態は入力部1における可変静電容量(Cx)及び可変抵抗(Rx)の影響を受けることになる。キャパシタC及び入力部1の所定の電荷が放電されて所定電圧(基準電圧:Vb)に達すると、コンパレータ31からの出力信号(放電終了検知信号)により、放電動作の停止とともに充電動作が開始する。
【0099】
図10は充放電波形形成部13における各要素における波形図である。
図10において、充放電波形VaがキャパシタC及び入力部1からコンパレータ31に入力される電圧波形を示しており、SwA及びSwBが第1スイッチA及び第2スイッチBのオンオフ状態をそれぞれ示している。また、
図10におけるOutはコンパレータ31からの出力信号(放電終了検知信号)を示している。
【0100】
図10において、(a)は当該ハイブリッドタッチパネルが操作されていない状態(無操作状態)の波形図であり、(b)は当該ハイブリッドタッチパネルの操作対象面に対して入力手段である指が近接または接触した状態(近接状態)の波形図であり、(c)は当該ハイブリッドタッチパネルの操作対象面が指により押圧されて、上部電極部10と下部電極部20が感圧層5を介して電気的に接続した状態(押下荷重状態)の波形図である。
【0101】
図10の(a)に示すように、第1スイッチA及び第2スイッチBのオンオフによりキャパシタC及び入力部1は充電動作及び放電動作を断続的に繰り返している。したがって、第1スイッチAのオフ期間Taは予め決められた期間であり、第1スイッチAのオン期間Tbは、入力部1の静電容量検出11による容量変化が微小な場合は、ほぼ同じ期間となり、この期間(Ta,Tb)において無操作状態においては、ほぼ同じ期間でオンオフを繰り返している。なお、第1スイッチAは、そのオン期間(Tb)(放電動作期間)において微小時間でオンオフ動作を断続的に繰り返す放電動作を行っている。したがって、第1スイッチAを介して抵抗Rにおいて放電する放電波形は微視的には階段状の波形となる。この第1スイッチAにおける微小時間でのオンオフ動作はカウントされており、放電時間の検出が行われている。この第1スイッチAのオンオフ動作のカウントは、充放電波形演算部14(
図7参照)において検出されて、カウント数の変化により操作状態情報、操作位置情報及び操作圧力情報を形成することが可能となる。
【0102】
図10の(b)に示す波形図は、当該ハイブリッドタッチパネルの操作対象面に対して入力手段である指が近接または接触した状態であり、上部電極部10と下部電極部20が接触していない状態である。即ち、指が操作対象面に近づいて、指と上部電極部10が静電容量結合状態である。このとき、上部電極部10と下部電極部20との間も静電容量結合状態である。この結果、操作対象面に対して指が近接または接触した状態においては、
図10の(a)に示した無操作状態に比べて、入力部1における可変静電容量Cx(
図9参照)が変化している。静電容量の大きさは、指と操作対象面にある上部電極部10との間の距離に反比例するため、指が操作対象面に近づくほど、指と上部電極部10との間の静電容量は大きくなる。この結果、充放電波形(Va)における検出放電時間(Td)は、
図10の(a)に示した無操作状態に比べて時間(Te)だけ長くなる。この検出放電時間(Td)は、第1スイッチAの微小時間のオンオフ動作のカウント数により検知される。このように、静電容量の変化に基づく検出放電時間(Td)の変化により、操作状態情報、及び指の操作対象面における操作位置情報を確定することができる。なお、
図10の(b)に示す近接状態においては、
図9に示す可変抵抗Rxは無限大であり、遮断状態である。
【0103】
図10の(c)に示す波形図は、当該ハイブリッドタッチパネルの操作対象面が指により押圧されて押し下げられ、上部電極部10と下部電極部20が感圧層5を介して電気的に接続した押下荷重状態であることを示している。前述のように、感圧層5は、加圧されることにより、その圧力に応じて電気抵抗値が小さくなる特性を有している。
図10の(c)に示す押下荷重状態においては、
図10の(b)に示した近接状態のときのような静電容量結合状態はなく、入力手段である指と操作対象面の上部電極部10との間、及び上部電極部10と下部電極部20との間は確実に電気的に接続した状態である。したがって、
図10の(c)に示す押下荷重状態においては、
図9に示す可変静電容量(Cx)としては実質的に零となり、可変抵抗(Rx)に電流が流れる状態となる。但し、回路には浮遊容量等が存在するため、可変静電容量(Cx)は零とはならない。この結果、充放電波形(Va)において充電時間(Ta)の期間では、充電期間が不足して、所定電圧(Vp)まで充電できないこともある。その影響と放電電流の増加の影響により、充放電波形(Va)における検出放電時間(Td)は、
図10の(a)に示した無操作状態に比べて時間(Tn)だけ短くなる。このように、入力部1における電気抵抗の変化により、検出放電時間(Td)を検知して、指の操作対象面における操作状態情報、指の操作対象面における操作位置情報、及び指の操作対象面に対する操作圧力情報を確定することができる。なお、押下荷重状態とは上部電極部10と下部電極部20が電気的に単に接触した状態を含む。
【0104】
図11は、実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおいて各検出点における静電容量及び圧力の検出を行う検出シーケンスを示すフローチャートである。
【0105】
先ず、ハイブリッドタッチパネルに電源が供給されることにより、ハイブリッドタッチパネルにおいては操作対象領域における全ての検出点に対する検出シーケンスが順次開始する。
各検出点の検出シーケンスにおいて、ステップ101(S101)では、前述のように充放電波形形成部13で充放電波形(Va)が形成される。形成された充放電波形における検出放電時間(Td)が基準時間(To)と比較される。ここで、基準時間(To)とは、当該ハイブリッドタッチパネルにおいて無操作状態(
図10の(a)参照)における放電時間(Tb)であり、無操作状態時に計測した時間を用いて設定される。ステップ102(S102)において、検出放電時間(Td)が基準時間(To)とほぼ同じであれば無操作状態であるとしてステップ101(S101)に戻る。
【0106】
ステップ103(S103)において、検出放電時間(Td)が基準時間(To)より一定期間以上長ければ近接状態であるとして、静電容量検出モード(S104)に移行する。一方、検出放電時間(Td)が基準時間(To)より一定期間以上短ければ押下荷重状態であるとして、抵抗値検出モード(S107)に移行する。
【0107】
静電容量検出モード(S104)においては、検出放電時間(Td)に基づいて、静電容量(C+Cx:
図8参照)の変化を検出する静電容量検出処理(S105)を行い、検出された静電容量の変化に基づき静電容量検出出力(S106)を行う。即ち、当該検出点が操作されたか否かの操作状態が検知される。静電容量検出出力(S106)を行った後、操作対象領域における次の検出点に移行して同様の検出シーケンスが行われる。
【0108】
ステップ103において、検出放電時間Tdが基準時間Toより短い場合(Td<To)には、抵抗値検出モード(S107)が行われる。この抵抗値検出モード(S107)においては、検出放電時間(Td)に基づいて、抵抗値(R・Rx/R+Rx:
図8参照)の変化を検出して座標演算処理及び圧力演算処理(S108)が行われる。この座標演算処理の一例としては、対向する電極の一方の電極の一端を、充放電波形形成部13と充放電波形演算部14で構成される検出回路50の入力端に接続し、他方の電極の一端を接地させることにより、感圧層5の変化を含む抵抗値を計測することができる。この抵抗値計測においては、検出回路50に接続する電極の一端と、接地する他方の電極の一端の接続状態の組合せを変更することにより、入力手段である指が操作した電極における座標位置(操作位置)を検知することが可能となる。これらの切替え制御は、制御部70からの制御信号に基づいて第1駆動部60a及び第2駆動部60bにおいて行われる(
図7参照)。なお、圧力演算処理においては、前述のように感圧層5が加圧された大きさ応じて抵抗値が変化するため、操作対象領域の各検出点における抵抗値の変化を検出して押圧力(操作圧力)を検知している。即ち、ハイブリッドタッチパネルの検出回路50において押下荷重状態が検知されると、第1電極線(A〜H)に接続されたスイッチング素子(SwA〜SwH)、及び第2電極線(1〜8)に接続されたスイッチング素子(Sw1〜Sw8)が順次オンオフ操作される(抵抗値検出処理)。具体的には、例えば下部電極部20のための1つのスイッチング素子(Sw1)をオン状態として、第2電極線(1)を検知回路50に接続した状態において、上部電極部10のためのスイッチング素子(SwA〜SwH)に対して順次に一旦オン状態とする切替え制御を行い、上部電極部10における第1電極線(A〜H)を検出回路50に順次に接続する。このように、各第1電極線(A〜H)を検出回路50に接続することにより、第2電極線(1)に対する全ての第1電極線(A〜H)における抵抗値が検出回路50において検出される。
【0109】
ステップ109(S109)においては、当該ハイブリッドタッチパネルが設けられている携帯型電子装置の制御部(図示無し)に対して、検知された座標位置(操作位置)及び押圧力(操作圧力)を示す信号を出力する。このように、当該検出点に関する座標位置(操作位置)及び押圧力(操作圧力)を示す信号が出力されると、次の検出点のための検出シーケンスへ移行する。
【0110】
上記のように、操作対象領域における全ての検出点の検出シーケンスが終了すると、当該操作対象領域における全ての検出点におけるリリース検出が行われる。このリリース検出は、全ての検出点において、検出放電時間(Td)と基準時間(
To)とを比較し、検出放電時間(Td)が基準時間(
To)とほぼ同じであればリリース検出となり、当該ハイブリッドタッチパネルにおける検出シーケンスが終了する。逆に、検出放電時間(Td)と基準時間(
To)が異なる場合には、あらためて当該操作対象領域における全ての検出点における検出シーケンスが実行される。
【0111】
上記のように、実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおいて検出シーケンスが実行されて、操作対象領域の全ての検出点における静電容量(操作状態)、座標位置(操作位置)及び押圧力(操作圧力)のそれぞれが検出される。検出された各信号は、当該ハイブリッドタッチパネルの設けられている携帯型電子装置の制御部(図示無し)に対して出力され、携帯型電子装置が制御される。
【0112】
実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおいては指を入力手段として用いた例で説明したが、本発明においては入力手段が指に限定されるものではなく導電体であれば用いることができる。さらに、スタイラスなどの不導体の場合でも、抵抗膜デジタル方式の検出にて、座標と圧力を検出することができるので、入力方法を選ばない。
【0113】
実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおいては、入力部1における静電容量検出11により検出された静電容量検出信号(Cd)、及び抵抗値検出12により検出された抵抗値検出信号(Rd)を、充放電波形(Va)における放電時の放電波形に用いた例で説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、静電容量検出11及び抵抗値検出12により検出された静電容量検出信号(Cd)及び抵抗値検出信号(Rd)を充電時の充電波形に用いることもできる。充電時において入力部1から出力された静電容量検出信号(Cd)及び抵抗値検出信号(Rd)を用いることにより、静電容量及び抵抗値に応じて充電波形の振る舞いが変化することを検出して、静電容量(操作状態)、座標位置(操作位置)及び押圧力(操作圧力)のそれぞれを検出することが可能となる。
【0114】
さらに、本発明においては、充放電波形(Va)における充電時の充電波形及び放電時の放電波形の両方を用いて、更に精度の高い静電容量(操作状態)、座標位置(操作位置)及び押圧力(操作圧力)のそれぞれを検出することも可能である。この場合においても、実施の形態2において説明した入力部1における静電容量検出11により検出された静電容量検出信号(Cd)、及び抵抗値検出12により検出された抵抗値検出信号(Rd)を用いることにより、静電容量(操作状態)、座標位置(操作位置)及び押圧力(操作圧力)のそれぞれに応じて、充電時の充電波形及び放電時の放電波形に変化が現れるため、その現象を用いることが可能となり、精度の高い検出が可能となる。
【0115】
なお、実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおいては、抵抗膜方式のデジタル(マルチ)型タッチパネルの構成と、静電容量方式のセルフ(Self)式タッチパネルの構成を併せ持つハイブリッドタッチパネルについて説明したが、本発明としては、抵抗膜方式のデジタル(マルチ)型タッチパネルの構成と、静電容量方式のミューチュアル(Mutual)式タッチパネルの構成を併せ持つハイブリッドタッチパネルを構成することが可能である。ミューチュアル(Mutual)式であっても、入力部1における静電容量検出11により検出された静電容量検出信号(Cd)、及び抵抗値検出12により検出された抵抗値検出信号(Rd)を、充放電波形(Va)における波形の変化を検出して、入力手段の操作状態(動作状態)及び操作位置(座標位置)を検知することが可能となる。
【0116】
実施の形態2のハイブリッドタッチパネルにおける入力部1は、表示装置の液晶画面上に設けられて、全体的に光透過性の材料で形成されているため、液晶画面上を目視しつつ入力部1の操作対象面を入力手段である指により入力操作する構成である。したがって、入力部1における上部フィルム2、上部電極部10、感圧層5、下部電極部20、及び下部フィルム8は光透過性材料で形成されている。また、上部電極部10と下部電極部20が対向配置されている入力部1の内部空間(
対向領域40(
図6参照))には、実施の形態2の構成においては空気(屈折率:1)が存在する構成で説明したが、上部電極部10と下部電極部20等の光学特性を考慮して、液層で構成しても良い。液層としては、例えば、上部電極部10と下部電極部20の構成物における各材質の屈折率に近いもの、即ち空気以上の屈折率を有するものであり、流動性、光透過性、電気絶縁性、及び耐熱性を有する材質のものが用いることが好ましい。
【0117】
上部フィルム2及び下部フィルム8の材質としては、フレキシブル基板に使用可能な材質、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル系樹脂、若しくは、AN樹脂などの汎用樹脂を用いることができる。上部電極部10及び下部電極部20の厚みは、例えば、5μm〜25μmに設定されている。上部電極部10及び下部電極部20の材料としては、ITOや、CNT、Agワイヤインキなどの透明導電材料を使用することが好ましい。但し、金、銀、銅、若しくはニッケルなどの金属、あるいはカーボンなどの導電性を有するペーストを用いて形成することも可能である。これらの形成方法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、若しくはフレキソ印刷などの印刷法、フォトレジスト法などが挙げられる。また、上部電極部10及び下部電極部20は、銅若しくは金などの金属箔を貼り付けて形成することもできる。さらに、上部電極部10及び下部電極部20は、銅などの金属をメッキしたFPC(フレキシブル回路基板)の上にレジストで電極パターンを形成し、レジストで保護されていない部分の金属箔をエッチング処理することによって形成することもできる。
【0118】
なお、上部電極部10と下部電極部20との対向領域40を確保するため、隙間保持部材としての接着剤9が設けられている。接着剤9は、粘着性を有して上部フィルム2と下部フィルム8とを接着するとともに、上部電極部10と感圧層5との対向面間に隙間を保持するための絶縁性部材である。接着剤9としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの芯材の両面にアクリル系の接着糊などの粘着剤を形成した両面粘着テープである。接着剤9の厚みは、例えば、5〜20μmに設定されている。また、接着剤9としては、UV硬化樹脂や熱硬化樹脂などの各種接着剤で厚みを5〜20μmに設定しても良い。
【0119】
上記のように、本発明に係る入力装置としてのハイブリッドタッチパネルは、簡単な回路構成により静電容量、抵抗及び圧力を検出して操作状態情報、操作位置情報及び操作圧力情報を電子機器に入力手段の種類、例えば入力手段が指かスタイラスであるかに拘らず、入力することができるものであり、簡単な入力手段の操作により各種情報を精度高く、且つ素早く入力することができる汎用性の高い入力装置としてのハイブリッドタッチパネルである。
【0120】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、本発明の範囲から外れない限りにおいて、本発明に含まれるものである。