(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子部品が組付けられた電子回路基板を特定の領域内に収容すると共に、前記電子回路基板への操作が制限されるように、前記特定の領域を閉塞する少なくとも2以上の閉塞部材が組み付けられて構成される回路基板ケースであって、
前記閉塞部材とは異なる2以上の補助部材であり、予め定めた着脱可能な取付手段によって組み付けられる補助部材アッセンブリと、
前記補助部材アッセンブリとして組み付けられた状態の前記補助部材間を跨ぐように貼り付けられた封印シールと、
前記電子回路基板を閉塞する閉塞部材が組み付けられるとき、2以上の前記閉塞部材によって形成されて、外部から遮断された空洞部と、
前記閉塞部材が組み付けられるとき、前記補助部材アッセンブリを前記空洞部へ収容することで前記封印シールを外部から遮断する封印シール閉塞手段と、
前記封印シールが跨っている少なくとも2つの補助部材のそれぞれを、前記封印シール閉塞手段で遮蔽したあとに、前記特定の領域を開放する動作に伴って分離される前記空洞部を構成する閉塞部材のそれぞれに固着する固着手段と、
を有する回路基板ケース。
前記空洞部を構成する閉塞部材には、前記取付手段の取付状態解除操作が可能な操作用貫通孔が設けられ、当該操作用貫通孔の開口部は、初期状態では閉栓されていることを特徴とする請求項1記載の回路基板ケース。
電子部品が組付けられた電子回路基板の一方の面と対峙するベース部と、前記電子回路基板の他方の面と対峙され、前記ベース部とによって被覆することで、特定の領域内に前記電子回路基板を閉塞する閉塞カバー部とを備えた回路基板ケースであって、
前記ベース部と前記閉塞カバー部とに設けられ、前記閉塞時に前記特定の領域とは別に空洞部を形成する一対の空洞構成部と、
2つの補助部材で構成され、ネジ締めにより組み付けられた状態で前記2つの補助部材間を跨ぐように封印シールが貼り付けられた補助部材アッセンブリと、
前記ベース部と前記閉塞カバー部が組み付けられるとき、前記補助部材アッセンブリを前記空洞部へ収容すると共に、この収容状態でそれぞれの補助部材をそれぞれの閉塞部に固着する固着手段と、
前記ベース部と前記閉塞カバー部の何れかに設けられ、前記ネジの頭部に対応して設けられた貫通孔、及びこの貫通孔の開口を塞ぐ閉栓部材とを備え、前記ベース部と閉塞カバーとの開放が必要なときに、前記閉栓部材を取り除き、ネジの頭部の操作によって、前記補助部材アッセンブリを分離する分離案内手段と、
を有する回路基板ケース。
前記固着手段が、前記空洞部を構成する閉塞部材の内周部と前記補助部材との接触部分を標的として、超音波振動と加圧によって溶融し接合する超音波溶着加工手段であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項記載の回路基板ケース。
入賞判定処理及び抽選処理を行ない、入賞判定結果及び抽選結果に基づいて遊技の進行を司る主制御部と、前記主制御部に基づく遊技の進行状況に応じて、遊技媒体の還元、並びに遊技の進行に同期した演出を制御する副制御部とを備え、少なくとも前記主制御部と前記副制御部とで電子部品が組み付けられた電子回路基板を物理的に分離されて装着される遊技機であって、
電子部品が組付けられた電子回路基板の一方の面と対峙するベース部と、前記電子回路基板の他方の面と対峙され、前記ベース部とによって被覆することで、特定の領域内に前記電子回路基板を閉塞する閉塞カバー部とを備えた回路基板ケースと、
前記ベース部と前記閉塞カバー部とに設けられ、前記閉塞時に前記特定の領域とは別に空洞部を形成する一対の空洞構成部と、
2つの補助部材で構成され、ネジ締めにより組み付けられた状態で前記2つの補助部材間を跨ぐように封印シールが貼り付けられた補助部材アッセンブリと、
前記ベース部と前記閉塞カバー部が組み付けられるとき、前記補助部材アッセンブリを前記空洞部へ収容すると共に、この収容状態でそれぞれの補助部材をそれぞれの閉塞部に固着する固着手段と、
前記ベース部と前記閉塞カバー部の何れかに設けられ、前記ネジの頭部に対応して設けられた貫通孔、及びこの貫通孔の開口を塞ぐ閉栓部材とを備え、前記ベース部と閉塞カバーとの開放が必要なときに、前記閉栓部材を取り除き、ネジの頭部の操作によって、前記補助部材アッセンブリを分離する分離案内手段と、
を有する遊技機。
前記固着手段が、前記空洞部を構成する閉塞部材の内周部と前記補助部材との接触部分を標的として、超音波振動と加圧によって溶融し接合する超音波溶着加工手段であることを特徴とする請求項5記載の遊技機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1のように、RFID機能を備えた封印シールにおいて、例えば、特殊な溶剤によって、封印シールを破ることなく剥がし、主制御基板の一部の電子部品を交換し、再度、剥がした封印シールを貼り直すといった手口に対しては、外観検査や照合プログラムでは不正を迅速に発見できない場合がある。
【0011】
本発明は上記事実を考慮し、電子回路基板を収容するための部材間を跨ぐように貼り付けられた封印シールを、直接触れることができない構造とすることで、当該封印シールが剥されることを防止することができ、電子回路基板の保護をより強固なものとすることができる回路基板ケース及び遊技機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、電子部品が組付けられた電子回路基板を特定の領域内に収容すると共に、前記電子回路基板への操作が制限されるように、前記特定の領域を閉塞する少なくとも2以上の閉塞部材が組み付けられて構成される回路基板ケースであって、前記閉塞部材とは異なる2以上の補助部材であり、予め定めた着脱可能な取付手段によって組み付けられる補助部材アッセンブリと、前記補助部材アッセンブリとして組み付けられた状態の前記補助部材間を跨ぐように貼り付けられた封印シールと、前記
電子回路基板を閉塞する閉塞部材が組み付けられるとき、2以上の前記閉塞部材によって形成されて、外部から遮断された空洞部と、前記閉塞部材が組み付けられるとき、前記補助部材アッセンブリを前記空洞部へ収容することで前記封印シールを外部から遮断する封印シール閉塞手段と、
前記封印シールが跨っている少なくとも2つの補助部材のそれぞれを、前記封印シール閉塞手段で遮蔽したあとに、前記特定の領域を開放する動作に伴って分離される前記空洞部を構成する閉塞部材のそれぞれに固着する固着手段と、を有している。
【0013】
第1の発明によれば、封印シール自体を空洞部に収容し、外部から遮断するので、封印シールを溶剤等で剥がすことができなくなり、不正行為の実行を未然に防止することができる。
【0014】
前記空洞部を構成する閉塞部材には、前記取付手段の取付状態解除操作が可能な操作用貫通孔が設けられ、当該操作用貫通孔の開口部は、初期状態では閉栓されていることを特徴としている。
【0015】
閉栓状態の開口部を開栓することで、操作用貫通孔を使って、取付手段の取付状態解除操作が可能となる。例えば、補助部材アッセンブリがネジ締めによって組み付けられているとき、このネジの頭が露出する位置に操作用貫通孔を設けておくことで、閉塞部材によって空洞部に収容された後に、当該操作用貫通孔からドライバを挿入し、ネジを回転させることができる。
【0017】
閉塞部材を一旦組み付けると、その後は補助部材が、固着手段によって閉塞手段と一体化されるため、封印シールが破れずに、閉塞部材が開放されることがなくなる。
【0018】
第2の発明は、電子部品が組付けられた電子回路基板の一方の面と対峙するベース部と、前記電子回路基板の他方の面と対峙され、前記ベース部とによって被覆することで、特定の領域内に前記電子回路基板を閉塞する閉塞カバー部とを備えた回路基板ケースであって、前記ベース部と前記閉塞カバー部とに設けられ、前記閉塞時に前記特定の領域とは別に空洞部を形成する一対の空洞構成部
と、2つの補助部材で構成され、ネジ締めにより組み付けられた状態で前記2つの補助部材間を跨ぐように封印シールが貼り付けられた補助部材アッセンブリと、前記ベース部と前記閉塞カバー部が組み付けられるとき、前記補助部材アッセンブリを前記空洞部へ収容すると共に、この収容状態でそれぞれの補助部材をそれぞれの閉塞部に固着する固着手段と、前記ベース部と前記閉塞カバー部の何れかに設けられ、前記ネジの頭部に対応して設けられた貫通孔、及びこの貫通孔の開口を塞ぐ閉栓部材とを備え、前記ベース部と閉塞カバーとの開放が必要なときに、前記閉栓部材を取り除き、ネジの頭部の操作によって、前記補助部材アッセンブリを分離する分離案内手段と、を有している。
【0019】
第2の発明によれば、まず、一対の空洞構成部に補助部材アッセンブリを対応させる。補助部材アッセンブリは予め2個の補助部材がねじ締めにより組み付けられ、例えば、ネジ締めされたネジの頭部も隠すように封印シールを、2個の補助部材を跨ぐように貼り付ける。
【0020】
この状態で、電子回路基板を挟むように、ベース部に閉塞カバー部を被せると、閉塞部によって形成される空洞部に前記補助部材アッセンブリが収容される。
【0021】
その後、一対の空洞構成部に対して、それぞれ補助部材を固着手段で固着することで、補助部材は、閉塞部と一体化、すなわち、ベース部及び閉塞カバー部と一体となり、次にベース部と閉塞カバー部とを開放するときには、補助部材のそれぞれが分離されなければ開放することができないことになる。
【0022】
このとき、閉栓部材を取り除き、例えば、ドライバを貫通孔へ差し込み、ネジ部材の頭部を回転操作することで、一対の補助部材を分離しておく。これにより、封印シールが破れながら、ベース部と閉塞カバー部とが開放される。
【0023】
前記固着手段が、前記空洞部を構成する閉塞部材の内周部と前記補助部材との接触部分を標的として、超音波振動と加圧によって溶融し接合する超音波溶着加工手段であることを特徴としている。
【0024】
固着手段として、超音波溶着加工を採用することで、閉塞部材の外部から、閉塞部材の内側における補助部材との接触部分を標的として、超音波振動と加圧によって溶融し接合することができる。
【0025】
第3の発明は、入賞判定処理及び抽選処理を行ない、入賞判定結果及び抽選結果に基づいて遊技の進行を司る主制御部と、前記主制御部に基づく遊技の進行状況に応じて、遊技媒体の還元、並びに遊技の進行に同期した演出を制御する副制御部とを備え、少なくとも前記主制御部と前記副制御部とで電子部品が組み付けられた電子回路基板を物理的に分離されて装着される遊技機であって、電子部品が組付けられた電子回路基板の一方の面と対峙するベース部と、前記電子回路基板の他方の面と対峙され、前記ベース部とによって被覆することで、特定の領域内に前記電子回路基板を閉塞する閉塞カバー部とを備えた回路基板ケースと、前記ベース部と前記閉塞カバー部とに設けられ、前記閉塞時に前記特定の領域とは別に空洞部を形成する一対の空洞構成部
と、2つの補助部材で構成され、ネジ締めにより組み付けられた状態で前記2つの補助部材間を跨ぐように封印シールが貼り付けられた補助部材アッセンブリと、前記ベース部と前記閉塞カバー部が組み付けられるとき、前記補助部材アッセンブリを前記空洞部へ収容すると共に、この収容状態でそれぞれの補助部材をそれぞれの閉塞部に固着する固着手段と、前記ベース部と前記閉塞カバー部の何れかに設けられ、前記ネジの頭部に対応して設けられた貫通孔、及びこの貫通孔の開口を塞ぐ閉栓部材とを備え、前記ベース部と閉塞カバーとの開放が必要なときに、前記閉栓部材を取り除き、ネジの頭部の操作によって、前記補助部材アッセンブリを分離する分離案内手段と、を有している。
【0026】
第3の発明によれば、まず、一対の空洞構成部に補助部材アッセンブリを対応させる。補助部材アッセンブリは予め2個の補助部材がねじ締めにより組み付けられ、例えば、ネジ締めされたネジの頭部も隠すように封印シールを、2個の補助部材を跨ぐように貼り付ける。
【0027】
この状態で、電子回路基板を挟むように、ベース部に閉塞カバー部を被せると、閉塞部によって形成される空洞部に前記補助部材アッセンブリが収容される。
【0028】
その後、一対の空洞構成部に対して、それぞれ補助部材を固着手段で固着することで、補助部材は、閉塞部と一体化、すなわち、ベース部及び閉塞カバー部と一体となり、次にベース部と閉塞カバー部とを開放するときには、補助部材のそれぞれが分離されなければ開放することができないことになる。
【0029】
このとき、閉栓部材を取り除き、例えば、ドライバを貫通孔へ差し込み、ネジ部材の頭部を回転操作することで、一対の補助部材を分離しておく。これにより、封印シールが破れながら、ベース部と閉塞カバー部とが開放される。
【0030】
前記固着手段が、前記空洞部を構成する閉塞部材の内周部と前記補助部材との接触部分を標的として、超音波振動と加圧によって溶融し接合する超音波溶着加工手段であることを特徴としている。
【0031】
固着手段として、超音波溶着加工を採用することで、閉塞部材の外部から、閉塞部材の内側における補助部材との接触部分を標的として、超音波振動と加圧によって溶融し接合することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明した如く本発明では、電子回路基板を収容するための部材間を跨ぐように貼り付けられた封印シールを、直接触れることができない構造とすることで、当該封印シールが剥されることを防止することができ、電子回路基板の保護をより強固なものとすることができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(パチンコ機の構成)
図1に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
【0035】
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
【0036】
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。一体皿24の
図1の右端部には、鍵穴27が設けられ、この鍵穴27にキーを差し込み、左右の内、一方に回すとガラス枠16が開放し、他方に回すと一体皿24が開放する。
【0037】
一体皿24には、上皿部28と、下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁壁部32には、上皿球抜きレバー34が設けられ、この上皿球抜きレバー34を操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
【0038】
上皿部28の周縁壁32における
図1の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
【0039】
また、一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(発射ハンドル)26が取り付けられ、左側下部には、灰皿46が取り付けられている。
【0040】
一体皿24における下皿部30の
図1の右側には受け皿スピーカ60Uが配置されている。
【0041】
ここで、一体皿24における上皿部28の周縁壁32には、遊技者が操作可能な操作ボタン50が設けられている。この操作ボタン50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
【0042】
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、アーチ状に遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による視覚的効果や、音声等による聴覚的効果等の演出効果を生み出す上部演出部52が配置されている。この上部演出部52の下端部は、一体皿24の周囲に略U字型に配置された下部演出部54の上端部と連結されている。
【0043】
この結果、上演出部52と下演出部54とで、遊技盤18の周囲を取り囲むように、演出部56が形成されている。
【0044】
この演出部56は、上演出部52及び下演出部54共に、照明部材(LED等)が取り付けられた基板(図示省略)と、この基板を覆うように、所定の意匠で形成されたレンズカバー58が取り付けられている。
【0045】
レンズカバー58は、前記照明部材が点灯する領域を区画するよう凹凸状にカットされており、区画された領域(以下、必要に応じて「レンズ部58」という)毎に照明部材の点灯制御がなされる。なお、照明部材は基本的にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に点灯するLEDが1組となっており、それぞれの点灯時の光量比により、様々な配色の点灯が可能となっている。また、ガラス枠の上部角部には、それぞれ三連表示62が設けられ、遊技状態の報知(エラー報知等を含む)に適用される。
【0046】
また、前記上演出部52における、ガラス枠16の上部円弧の約1/3に相当する領域の中央及び両端には、ガラス枠スピーカ60C、60L、60Rが内蔵され、照明と同時に、音声を出力する。
【0047】
なお、以下では、前述した受け皿スピーカ60Uと、このガラス枠スピーカ60C、60L、60Rを総称して、「スピーカ60」という。
【0048】
(遊技盤の構成)
図2に示される遊技盤18は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状のセルが貼着されてそのセルの表面が盤面となっており、盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられている。
【0049】
前記外レール102及び内レール104との間は、一定の間隔を持って球案内流路200が形成されている。球案内流路200は、発射装置165(
図4参照)から発射された遊技球PBを遊技盤18の円形状の領域(遊技領域)へ案内する役目を有している。なお、この球案内流路200の終端には、球逆流防止弁202が取り付けられている。球逆流防止弁202は、その基部が内レール104の先端部に取り付けられ、外レール102方向に延長されている。
【0050】
前記遊技盤18における、外レール102(並びに一部が内レール104)によって囲まれた円形状の領域は、発射装置165(
図4参照)から発射されて、前記球案内流路200を介して打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域とされている。
【0051】
遊技盤18の遊技領域には、遊技釘及び風車21が点在して打ち込まれている。また、遊技領域におけるほぼ中央には、センター役物105が配置されている。センター役物105は、各種演出等の映像を表示する液晶表示部(LCD表示部)106を備えている。
【0052】
LCD表示部106では、例えば、3列の図柄列が独立して変動し、最終的に3列の図柄列が同一図柄で停止した場合に特別図柄抽選の当選を報知するといった、図柄変動パターン演出が実行される。なお、3列の内、先に2列が同一図柄で停止(仮停止)して、残りの1列が変動中の場合を、「リーチ」という。
【0053】
センター役物105の下辺部は、ステージ105Sが形成されている。ステージ105Sには、釘等で跳ね返えることで受け入れた遊技球PB、或いは図示しないワープ路に案内されて受け入れた遊技球PBが送り込まれるようになっている。
【0054】
ステージ105Sは、傾斜面や突起部等が形成され、前記遊技球PBの移動が当該傾斜面や突起部等により不規則に変化し、最終的に下辺手前から遊技盤18へ戻されるようになっている。
【0055】
図2に示される如く、センター役物105の
図2に向かって左側には、普通図柄抽選の始動機能を持つ通過ゲート118が配置されている。
【0056】
また、センター役物105の下部には、特別図柄始動入賞口(A)130と特別図柄始動入賞口(B)134とが縦列に配置されている。
【0057】
特別図柄始動入賞口(A)130が常時入賞可能に上部が開口しており、一方、特別図柄始動入賞口(B)134の上部開口は、特別図柄始動入賞口(A)130が閉塞している。
【0058】
この特別図柄始動入賞口(B)134には、電動チューリップ136が取り付けられている。電動チューリップ136は、遊技盤18の裏面側に配設された電チューソレノイド138(
図4参照)の通電・非通電によって開閉する構成となっている。
【0059】
ここで、電動チューリップ136が開放状態になると、特別図柄始動入賞口(B)の入賞開口部へのパチンコ球PBの受け入れが可能となり、パチンコ球PBの入賞が可能となる。
【0060】
さらに、
図2に示される如く、前記特別図柄始動入賞口(B)134のさらに下部には、遊技領域の下端部付近に位置してアタッカー112が配置されている。
【0061】
アタッカー112には、開閉扉116が設けられている。この開閉扉116が、アタッカーソレノイド148(
図4参照)の通電・非通電によって開放又は閉塞する。すなわち、開閉扉116の開放時には、開閉扉116上に落下した遊技球PBが開閉扉116に案内されてアタッカー112へ入賞する。
【0062】
また、遊技領域の最下位置には、外れ球を遊技盤18の裏側へ排出するアウト口124が設けられている。
【0063】
さらに、センター役物105よりも下、かつ特別図柄始動入賞口(A)130と特別図柄始動入賞口(B)134の左右には、複数の一般入賞口120(本実施の形態では、
図2に向かって左側に2個の一般入賞口120A、120C、右側に1個の一般入賞口120Cとする。)が設けられている。なお、一般入賞口120は、3個の限られるものではなく、例えば、入賞率等の設計上の演算によってその数を決めればよい。
【0064】
また、この遊技領域に設けられたセンター役物105や盤面周縁には、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による演出効果を生み出す照明演出用の発光素子136(
図4参照)が多数設けられている。
【0065】
ここで、特別図柄始動入賞口(A)130又は特別図柄始動入賞口(B)134に遊技球PBが入賞すると、特別図柄抽選が実行され、この特別図柄抽選に当選すると、前記アタッカー112の開閉扉116が所定のパターンで開閉動作し、これを所定回数(所定ラウンド)繰り返すようになっている(「特別遊技状態」又は「大役処理」等と言う場合がある)。
【0066】
なお、前記特別図柄抽選の当選/落選は、主としてLCD表示部106の図柄変動表示演出において報知され、この図柄変動パターン演出中、或いは、前記大役処理中の場合は、抽選結果を保留し、順次報知していくようになっている。また、図柄変動表示演出と共に、動物などが擬人化されたキャラクタが表示され、抽選で当選した旨を暗示させることにより、遊技者に期待感を持たせるといった、視覚的な演出をすることがあり、その場合は効果音によって聴覚からも遊技者の興趣を増大させる。
【0067】
なお、本実施の形態では、1個の特別図柄始動入賞口に対して最大4個(本実施の形態では、特別図柄始動入賞口(A)130及び特別図柄始動入賞口(B)134の2個の特別図柄始動入賞口なので、8個となる。)の保留が可能となっている。なお、この保留球数に限定されるものではない。
【0068】
保留球数は、センター役物105における、
図2に向かって右下に配置され、主として特図表示部を備えた遊技進行ガイドランプユニット109の一部である保留ランプによって報知される他、LCD表示部106の一部を用いて、遊技者に見易く表示するようになっている。
(制御系の構成)
[配置構造]
次に、
図3及び
図4を用いてパチンコ機10の制御系について説明する。
【0069】
図3に示される如く、パチンコ機10、主として遊技盤18の裏面側には、複数の回路基板ケース(
図3では、4個の回路基板ケース210、212、214、216を図示したが、この数に限定されるものではない。)が配設されており、これらは互いに、図示しないケーブル等によって電気的に接続されている。
【0070】
回路基板ケース210、212、214、216は、透明の箱型であり、内部に特定の領域210A、212A、214A、216A(空間)が形成されるようになっており、複数の電子部品が搭載され、これらの電子部品が電気的に接続される配線パターンが施された電子回路基板218(
図6参照)が収容されている。
【0071】
電子回路基板218は、少なくとも、後述する主制御部150に属するものと、副制御部(演出制御部152、払出制御部154等)に属するものとに分類され、主制御部150に属する電子回路基板218は単一とされ、開閉するときに痕跡が残る工夫が施された回路基板ケース210に収容されている(詳細後述)。なお、この痕跡が残る工夫は、他の回路基板ケース212、214、216では必須ではない。また、各回路基板ケース210、212、214、216の大きさ、向き、取り付け位置等に制限はない。
【0072】
なお、遊技盤18の裏面には、前記複数の回路基板ケース210、212、214、216を囲むように球案内路兼用カバー220が取り付けられており、回路基板ケース210、212、214、216やその他の部品の間の空間をかいくぐるように、図示しない球案内路が形成されている。この球案内路には、例えば、パチンコ店の球回収貯留装置からパチンコ球が供給され、球案内路の途中に設けられたカウンタによってカウントされながら、賞球時の払い出しが実行されるようになっている。
【0073】
[制御構成]
図4に示されるように、本実施形態に係るパチンコ機10の制御系は、主制御部150を中心として構成されており、この主制御部150には、演出制御部152と払出制御部154とが接続されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150から演出制御部152及び払出制御部154に向かう一方向通信の命令信号に基づいて、これら演出制御部152及び払出制御部154に接続された各部の動作が制御されるようになっている。
【0074】
主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータ(図示省略)へ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号)が送信される。
【0075】
主制御部150には、入力系として、通過ゲート118を通過する遊技球PBを検出する通過ゲートセンサ118S、特
図A始動入賞口130への入賞球を検出する特
図A始動口センサ130S、特
図B始動入賞口134への入賞球を検出する特
図B始動口センサ134S、特別遊技状態の際に開放するアタッカー112への入賞球を検出するアタッカーセンサ112S、一般入賞口120A、120B、120Cへの入賞球を検出する一般入賞センサ120AS、120BS、120CSが接続されている。
【0076】
また、主制御部150には、出力系として、遊技情報をランプの点灯状態で報知するガイドランプユニット109、電動チューリップ136を開閉する電チューソレノイド138、アタッカー112の開閉扉116を開閉するためのアタッカーソレノイド148が接続されている。
【0077】
演出制御部152には、入力系として、操作ボタン50が接続されている。また、演出制御部152には、出力系として、パチンコ機10の各種遊技部品に設けられた照明演出用の発光素子136、スピーカ60が接続されている。
【0078】
さらに、演出制御部152には、図柄制御部156を介してLCD表示部106が接続されている。
【0079】
払出制御部154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置165が接続されている。この払出制御部154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160を作動させて、賞球又は貸し球の払い出し及び停止動作と払出数を制御する。また、発射制御部164は、遊技者によるグリップユニット26(
図1参照)の操作により発射装置165を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、グリップユニット26の操作量に応じた発射力を制御する。
【0080】
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータ(図示省略)へ送信するようになっている。
【0081】
(主制御部150用の回路基板ケース210の構成)
図5及び
図6には、主制御部150を構成する電子回路基板218を収容するための回路基板ケース210が示されている。
【0082】
回路基板ケース210は、閉塞カバー部222とベース部224とを備えている。閉塞カバー部222は、箱型でベース部224に装着するときに対向する面が開口された箱型となっている。この箱型の開口部には、前記電子回路基板218がビス226によって固定されるようになっている。
【0083】
ベース部224は、電子回路基板218の外形形状とほぼ同一の底面部224Aを有し、当該底面部224Aの周縁から、前記電子回路基板218の肉厚寸法よりも若干大きい寸法のリブ224Bが形成されている。ベース部224の底面部224Aには、前記閉塞カバー部222に取り付けられた電子回路基板218の裏面がほぼ密着するように配置されるようになっている。このとき、リブ224Bが案内壁となり、ガタツキが防止される。なお、電子回路基板218と底面部224Aとの間で凹凸状の嵌め合い部材を設け、位置決めするようにしてもよい。
【0084】
閉塞カバー部222の周縁は、前記ベース部224のリブ224Bを外側から覆うように形成され、この結果、閉塞カバー部222がベース部224に装着された状態では、電子回路基板218が完全に、閉塞カバー部222とベース部224との間に形成された特定の領域210A内に収容され、外部から手を触れることができない状態となる。
【0085】
なお、上記では、電子回路基板218を閉塞カバー部222にビス226で固定するようにしたが、ベース部224に装着してから閉塞カバー部222を被せるようにしてもよい。
【0086】
また、回路基板ケース210は、閉塞カバー部222とベース部224との2部材に限定されるものではなく、一部に特定の電子部品のみを対象として交換操作等を行う小カバーを設けたり、当初(組み付け前)は3個以上の部品であるが、圧着、嵌合、溶着、接着等により取り外し不可能に完全固着して、最終的に閉塞カバー部222とベース部224との2部材となるようにしてもよい。
【0087】
閉塞カバー部222の周囲の一部には、高さのない平坦部222Aが形成され、この平坦部222Aには、複数の矩形孔228が設けられている。この矩形孔228は、予め、或いは装着の段階で、電子回路基板218に取り付けられた配線コネクタ部230が貫通し、露出するようになっている。このため、電子回路基板218を閉塞カバー部222とベース部224とで特定の領域210Aに収容したとしても、配線作業が可能となる。
【0088】
また、閉塞カバー部222の天井部222Bの表層面には、天井部222Bの肉厚寸法よりも小さい深さ寸法の矩形溝222Cが形成されている。矩形溝222Cは、履歴記録シール(図示省略)の貼り付け案内溝としての役目を有している。なお、矩形溝222Cの代りに、履歴記録シールを貼り付けるガイドとなる、例えば略L字型、矩形型、一直線型等の突起部を設けるようにしてもよい。
【0089】
ここで、閉塞カバー部222とベース部224とには、それぞれ一度装着された後の開放時に、その開放の痕跡を残すための痕跡部232が設けられている。
【0090】
痕跡部232は、閉塞カバー部222側に設けられた筒状部232Aと、ベース部224側に設けられた螺合部232Bとで構成されている。
【0091】
筒状部232Aは、2連の円筒部234のそれぞれにビス(図示省略)が収容され、ベース部224と対向する面と反対側の面には、比較的薄肉で僅かな圧力で破断するカバー部材236が取り付けられている。
【0092】
カバー部材236には、略十字の切欠部が形成されており、工具としてのドライバ(図示省略)の案内溝として利用されるようになっている。
【0093】
一方、ベース部224に設けられた螺合部232Bは、2連の円溝部238が形成されている。円溝部238の底面には、小孔が形成されている。
【0094】
ここで、前記閉塞カバー部222とベース部224とが装着されると、前記2連の円筒部234のそれぞれが、2連の円溝部238のそれぞれ同軸となるように設定されている。この装着状態で、まず、一方の円筒部234に対して、前記工具としてのドライバをあてがい、カバー部材236を突き破って、内部にあるビスを前記円溝部238の小孔に向けて螺合する。これにより、閉塞カバー部222とベース部224とが固定され、次の開放時には、前記螺合作業済の円筒部234又は円溝部238の何れか、或いは両方を、工具としてニッパやカッター等で切り落とす必要が生じるため、確実に痕跡を残すことができる。
【0095】
ここで、本実施の形態では、前記閉塞カバー部222とベース部224との装着によって特定の領域210Aを形成し、電子回路基板218を収容しているが、この特定の領域210Aとは別に、前記閉塞カバー部222とベース部224とが装着されることで、空洞部240を形成するようになっている。この空洞部240は、前記閉塞カバー部222とベース部224との装着動作に伴って、これらの一部同士が突き合わされることで閉塞され、形成されるようになっている。以下、この閉塞カバー部222とベース部224のそれぞれ一部を、「カバー側空洞構成部242」、「ベース側空洞構成部244」と言い、総称する場合は、「一対の空洞構成部246」という。
【0096】
一対の空洞構成部246は、回路基板ケース210における、前記痕跡部232が設けられた短辺とは反対側の短辺に沿って設けられている。
【0097】
一対の空洞構成部246はそれぞれ矩形の箱型で一方の主面(互いに対向する面)が開口されている。また、カバー側空洞構成部242の底面には、貫通孔248が形成されると共に、この貫通孔248の開口面がビス蓋部250で閉塞されている。ビス蓋部250は、工具としてのニッパやカッター等で簡単に切断できる構造となっており、切断されると前記貫通孔248が露出するようになっている。この貫通孔248には、後述する閉塞カバー部222とベース部224との開放作業時に、工具としてのドライバが挿入されるようになっている。
【0098】
ここで、閉塞カバー部222とベース部224との装着時に、空洞部240には、補助部材アッセンブリ252が収容されるようになっている。
【0099】
補助部材アッセンブリ252が空洞部240に収容された状態で閉塞カバー部222とベース部224とが装着されると、補助部材アッセンブリ252は、一対の空洞構成部246に被覆されることで、外部から触れることができない状態となる。
【0100】
(補助部材アッセンブリ252の構成)
図7に示される如く、補助部材アッセンブリ252は、矩形ブロック状の一対の補助部材254、256と、一対の補助部材254、256を一体化するためのビス258と、一体化後に一対の補助部材254、256に跨るように貼り付けられる封印シール260と、を備えている。
【0101】
一対の補助部材254、256は、それぞれ1つの長辺を除いてリブ262が形成されている。
【0102】
一方の補助部材256には、突き合わせるときの対向面側に円筒部264が形成され、他方の補助部材254には、この円筒部264と同軸上の円孔266が形成されており、一対の補助部材254、256が突き合わせられた後、ビス258を円孔266に挿入し、円筒部264に螺合することで、両者が着脱可能に取り付けられる。また、前記封印シール260は、このビス258による取り付けが完了した後、前記リブ262がない長辺に巻き掛けられるように一対の補助部材254、256に跨って貼り付けられる。このため、ビス258は、封印シール260によって隠蔽されることになる。
【0103】
封印シール260は、一対の補助部材254、256を文字通り封印するときに貼り付けられ、開封時には破断することで開封の痕跡を残す役目を有している。本実施の形態の封印シール260は、前記主たる役目の他、RFID([Radio Frequency IDentification]/電波による固体識別)機能を備えている。すなわち、封印シール260の裏面側には、図示は省略したが、ICチップ268とアンテナ270とが設けられている(ICタグ272)。ICタグ272は、パッシングタグからなる場合、ICタグ272内部に整流回路(図示省略)が内蔵されており、外部(図示省略されたICタグリーダ)からアンテナ270で受けた電波を整流して直流に直し、それを電源としてICチップ268が起動され、ICチップ268に記憶されている情報が、アンテナ270によって一部反射される電波の反射波に乗せられて電波発信する役目を有している。
【0104】
本実施の形態では、上記ICタグリーダから発信されると、電波の一部がアンテナ270によって反射され、この反射波にはICチップ268に記憶されている識別情報等が乗せられた状態で電子回路基板218から電波発信すると、上記ICタグリーダでこの信号を受けて照合することで、封印シール260が、張り替えられた等の不正があったか否かを判定することができる。
【0105】
図8に示される如く、補助部材アッセンブリ252が前記空洞部240に収容されると、補助部材アッセンブリ252におけるビス258(封印シール260によって隠蔽状態)が、カバー側空洞構成部242に設けられた前記貫通孔248と同軸とされるようになっている。
【0106】
この状態で、補助部材254がカバー側空洞構成部242に、補助部材256がベース側空洞構成部244に、それぞれ固着されるようになっている。この固着するための手段は、超音波溶着加工が採用され、カバー側空洞構成部242及びベース側空洞構成部244の外側からこれらの内側面と一対の補助部材254、256との接触部を標的として、超音波振動と加圧によって溶融し接合している(超音波加工痕257参照)。
【0107】
なお、固着手段として超音波溶着に限定されるものではなく、接着剤を予め塗布して組み付ける、抜け止めが施された針状の固定片を打ち込んで埋設するといった固着手段でもよいが、迅速性、加工後の外観等を考慮することで、超音波溶着が最適である。
【0108】
ここで、前記痕跡部232の螺合されている側の円筒部234及び/又は円溝部238を切り落として、閉塞カバー部222とベース部224とを開放する場合、補助部材アッセンブリ252を構成する一対の補助部材254、256のそれぞれが閉塞カバー部222及びベース部224のそれぞれに、別々に固着されているため、これらも分離する必要がある。
【0109】
このため、カバー側空洞構成部242に設けられたビス蓋250を切り落とし、ドライバを貫通孔248に挿入すると、ドライバが封印シール260を突き破って、ビス258に到達するようになっている。このビス258の螺合を緩めることで、一対の補助部材254、256は分離され、封印シール260の貼り付け力だけで密着された状態となる。
【0110】
このため、閉塞カバー部222とベース部224とを開放すると、必然的に封印シール260が破れるようになっている。
【0111】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0112】
パチンコ機10による遊技では、遊技者がグリップユニット26を操作すると、一球ずつ発射装置165によって上方へ発射される。発射された遊技球PBは、外レール102に沿って遊技盤18の遊技領域19に打ち込まれ、遊技釘や風車に当たり方向を変えながら遊技領域19内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域19の下端部に至った遊技球PBはアウト口40からパチンコ機10内に回収される。
【0113】
また、遊技球PBが遊技領域19内に設けた始動入賞口20に入賞したり、通過ゲート22を通過すると、それぞれの遊技仕様に基づく処理(例えば、抽選等)が実行されると共に、LCD表示部106への画像表示演出、スピーカ60を用いた音演出等が実行される。また、図示は省略したが、普通入賞口に入賞すると、予め定めた賞球(払い出し)が実行される。
【0114】
(遊技仕様の概要)
まず、主制御部150における抽選処理を中心とした遊技制御について説明する。
【0115】
始動口(A)130又は始動口(B)134に、遊技球PBが入賞すると、有効始動入賞か否かが判断される。この有効始動入賞とは、保留球が満杯(例えば、1個の始動口に対して4個)ではなく、かつ始動口(A)130又は始動口(B)134へ遊技球PBが入賞したことを言い、これによって抽選権利を得ることになる。なお、無効始動入賞時は、抽選の権利は与えられないが、所定数(3〜5個程度)の賞球払出しがなされる場合もある。
【0116】
上記始動入賞が有効始動入賞であった場合には、乱数を取得し、予め記憶されている当り値を読み出し、双方を比較して、抽選が当りか外れかを判定する。
【0117】
なお、現在の遊技状態が大当たり処理中、或いは図柄変動パターン演出中の場合は、抽選の権利を保留にするべく、保留数を1つ加算(+1)し、現在の遊技状態が大当たり処理中ではなく、或いは図柄変動パターン演出中でもなくなったときに、保留数を1つ減算して抽選処理が実行される。
【0118】
この抽選の当り/外れに基づいて、図柄変動パターン演出時間を設定し、抽選結果、図柄変動パターン時間を含むコマンドを副制御部152へ送出する。
【0119】
副制御部152では、抽選の結果を、設定された演出時間を使って報知する。
【0120】
この報知後、抽選の結果が当たりの場合には、特別遊技状態(大当たり処理)が実行される。通常遊技状態では常に閉止状態のアタッカー112を所定のラウンド数(5R,10R,15R)だけ開閉する。なお、アタッカー112の開放時間は最大30秒であり、アタッカー112が開放中に所定数(例えば、8〜10個)の遊技球の入賞があった時点で閉止し、所定の閉止時間をおいて、次のラウンド(開放)に移行する。これにより、遊技者は短時間で多くの遊技球の賞球を受けることができる。
【0121】
ここで、上記遊技の進行は、遊技盤18の裏面に設けられた複数の電子回路基板218等の連携による制御によって実行される。複数の電子回路基板218等は、それぞれ回路基板ケース210、212、214、216に収容され、保護されている。特に、主制御部150に対応する電子回路基板210は、入賞判定処理及び抽選処理を行ない、入賞判定結果及び抽選結果に基づいて遊技の進行を司る重要な基板であり、このため、回路基板ケース210の開閉状態に痕跡を残す仕組みを設けている。
【0122】
(回路基板ケース210の組み付け)
主制御部150に対応する電子回路基板218を収容する回路基板ケース210の組み付け手順を説明する。
【0123】
まず、電子回路基板218を閉塞カバー部222の開口部にあてがい、ビス226によって固定する。この状態で、配線コネクタ部230が矩形孔228を貫通し、電子回路基板218の表面(複数の電子部品が取り付けられた面)が閉塞カバー部222の空間に面することになる。
【0124】
次に、一対の補助部材254、256を合わせて、ビス258によって固定する。その後、封印シール260を一対の補助部材254、256に跨るように、リブ262の内側に貼り付けて、補助部材アッセンブリ252を形成する。
【0125】
形成された補助部材アッセンブリ252を、カバー側空洞構成部242又はベース側空洞構成部244の何れかに載置する。このとき、ビス258の頭部は、カバー側空洞構成部254に形成された貫通孔248に対向させるようにする。
【0126】
補助部材アッセンブリ252がカバー側空洞構成部242又はベース側空洞構成部244に載置された状態で、閉塞カバー部222とベース部224とを突き合わせ、嵌め込む。なお、この嵌め込みは、閉塞カバー部222又はベース部224の一方に爪部を形成し、当該爪部が突き合わせ動作に伴って弾性変形し、定位置になると弾性変形が解除されて係合されるといった一般的な嵌め込み構造が適用可能である。また、ベス止め、リベット止め等、止め具を用いて固定するようにしてもよい。
【0127】
閉塞カバー部222とベース部224とが組み付けられると、同時に空洞部240が形成され、この空洞部240には、補助部材アッセンブリ252が外部から手を触れることができない状態で収容される。
【0128】
この補助部材アッセンブリ252の収容状態で、カバー側空洞構成部242と補助部材254、並びにベース側空洞構成部244と補助部材256を、それぞれ超音波溶着加工によって溶着する。すなわち、カバー側空洞構成部242、ベース側空洞構成部244の外側から超音波溶着用工具をあてがい、カバー側空洞構成部242、ベース側空洞構成部244の内側面と一対の補助部材254、256との接触部を標的として、超音波振動と加圧によって溶融し接合する。
【0129】
次に、痕跡部232の一方の円筒部234に設けられたカバー部材236を突き破るように工具としてのドライバを挿入し、円筒部234の内側にあるビスを円溝238の小孔に向けて螺合する。この螺合によって、筒状部232Aと螺合部232Bとが一体化される。
【0130】
以上で回路基板ケース210の組み付けが完了する。この組み付け状態において、本実施の形態では、封印シール260に設けたICタグ272に向けて、ICタグリーダから電波が発せられ、この電波に応じて電磁誘導によりICチップ268に電力が供給される。この電力によって起動するICチップ268からは、予め記憶した識別符号情報が発信される。ICタグリーダでは、この発信された識別符号情報を受信し、適否の照合を行う。すなわち、封印シール260が正規のものであれば、ICタグリーダに記憶された識別情報と一致し、不正なものであれば、ICタグリーダに記憶された識別情報と一致しない(或いは、ICタグリーダで識別符号情報を取得できない)。
【0131】
また、本実施の形態では、封印シール260を空洞部240に収容し、外部から手を触れることができない状態としたため、例えば、溶剤によりきれいに剥がし、内部の電子部品の交換、改ざん等を行って、再び封印シール260を貼り直すといった不正行為が不可能となる。
【0132】
さらに、封印シール260を貼り付けた、補助部材アッセンブリ252を構成する一対の補助部材254、256のそれぞれを、カバー側空洞構成部242とベース側空洞構成部244とに超音波溶着加工によって接合したため、閉塞カバー部222とベース部224とに対する封印シール260としての役目を持たせることができる。
【0133】
(回路基板ケース210の取り外し)
以下に、閉塞された回路基板ケース210を閉塞カバー部222とベース部224とを分離する手順を説明する。
【0134】
まず、前記痕跡部232におけるネジが螺合された側の円筒部234及び/又は円溝238を工具としてのニッパ又はカッターによって切り落とす。すなわち、円筒部234であれば閉塞カバー部222と分離し、円溝238であればベース部224と分離する。
【0135】
次に、カバー側空洞構成部242に取付けられているビス蓋250を工具としてのニッパ又はカッター等で切り落とす。ビス蓋250が切り落とされると貫通孔248が露出する。この貫通孔248に工具としてのドライバを挿入する。この挿入動作により、まず封印シール260を貫通する。すなわち、このドライバの挿入動作によって封印シール260の一部が破断することになる。
【0136】
ドライバの挿入をさらに継続すると、ビス258に到達する。この状態で、ビス258の螺合を解除すると、補助部材アッセンブリ252が、一対の補助部材254、256に事実上分離可能となる。この状態で、閉塞カバー部222及びベース部224の分離を開始すると、補助部材254、256が分離されていき、この分離に伴って、封印シール20が破れる。
【0137】
これにより、閉塞カバー部222及びベース部224そのものが不正なものと交換され、痕跡部232に痕跡が残らないような事態が生じても、封印シール260が外部から手で触れることができない空洞部240にあり、かつ分離時には必ず破れるため、封印シール260を溶剤で剥がすような不正行為を回避することができる。
【0138】
仮に、封印シール260まで不正品と交換されたとしても、ICチップの識別情報報知機能により、上記ICタグリーダ(図示省略)によって真の電子回路基板218の識別情報等の比較に基づく照合を行うことで、適正な封印シール260か否かを判定することができる。