【実施例】
【0014】
図1は、実施例に係る自動製氷機20の概略構成を示す説明図であって、該自動製氷機20は、一対の製氷板22,22からなる製氷部24,24,24が3つ並列に配設され、これら製氷部24,24,24は、図示しない冷凍回路から供給される冷媒により冷却または加熱されるようになっている。各製氷部24における一対の製氷板22,22の間には、前記冷凍回路から導出する蒸発管26が蛇行状に配設され、製氷運転に際して該蒸発管26に冷媒が循環供給されると共に、除氷運転に際して該蒸発管26にホットガスが循環供給される。各製氷部24の上方には、製氷水路28および除氷水路30が内部画成された2重管構造をなす散水手段32が配設されている。この散水手段32には、前記製氷水路28に製氷水を供給する製氷水供給管34と、前記除氷水路30に除氷水を供給する除氷水供給管36とが接続されている。そして、製氷水路28に供給された製氷水は、散水手段32に設けた製氷水噴射孔38を介して製氷水路28から製氷板22の表面に供給される。また、除氷水路30に供給された除氷水は、散水手段32に設けた除氷水噴射孔40を介して除氷水路30から製氷板22の裏面に供給される。なお、製氷部24には、前記蒸発管26の吐出側の温度を検知する製氷サーミスタ(図示せず)が配設され、該製氷サーミスタが製氷完了温度を検知すると、製氷運転が終了されるようになっている。
【0015】
前記製氷部24の下方には、製氷水を貯留する製氷水タンク42が上方に開口して設けられている。製氷水タンク42の容積は、設定されたサイズの氷を1回の製氷運転で製氷部24に製造するのに必要な水量よりも少なく設定されている(実施例では、必要な水量の約1/2に設定)。また、製氷水タンク42の内部には、該タンク42内の製氷水を前記製氷水供給管34を介して製氷部24へ圧送する循環ポンプ44が配設されている。更に、前記製氷水タンク42には、製氷水の水位に合わせて上下動するフロート46を備えたフロートスイッチ(水位検知手段)48が設けられている。前記フロートスイッチ48は、製氷水の上限水位に位置する上限スイッチ50と、製氷水の下限水位(所定水位)に位置する下限スイッチ52とを備えている。そして、フロートスイッチ48は、前記フロート46が上限スイッチ50と同レベルまで浮上すると、製氷水の上限水位を検知し、また、フロート46が下限スイッチ52と同レベルまで下降すると、製氷水の下限水位を検知するようになっている。
【0016】
前記製氷部24および製氷水タンク42の間には、除氷運転時に製氷部24から落下する氷を受止める氷案内板54が一方に傾斜した姿勢で配設されており、該氷案内板54で受止めた氷を製氷水タンク42の下方に配設した貯氷庫(図示せず)へ向けて案内するようになっている。この氷案内板54には、複数の戻り孔54aが開設され、製氷部24で氷結に至らなかった未氷結水が該戻り孔54aから製氷水タンク42へ滴下して該製氷水タンク42に回収される。なお、除氷運転に際しては、この戻り孔54aを介して除氷水が製氷水タンク42に回収貯留され、次回の製氷運転において製氷水として使用される。
【0017】
前記除氷水供給管36は、一端が前記散水手段32に接続されて前記除氷水路30に連通すると共に、他端が図示しない外部水源(補給水供給源)に接続されている。除氷水供給管36には、後述する制御装置56により制御される除氷水開閉弁58が設けられており、除氷運転時に除氷水開閉弁58が開放制御されて、外部水源から常温の水が除氷水供給管36を介して散水手段32に供給される。
【0018】
前記製氷水供給管34は、前記製氷水タンク42側の第1供給管34aと、前記製氷部24側の第2供給管34bとから構成されており、第1供給管34aおよび第2供給管34bは、後述する接続パイプ60により連結されている。前記第1供給管34aの下端部(一端)は、前記循環ポンプ44の吐出口44aに接続されると共に、第1供給管34aの上端部(他端)は、接続パイプ60に接続される。一方、第2供給管34bの上端部(一端)は、前記散水手段32に接続して前記製氷水路28に連通すると共に、第2供給管34bの下端部(他端)は、接続パイプ60に接続される。なお、第1供給管34aおよび第2供給管34bの内径寸法は、略同一に設定されている。
【0019】
前記除氷水供給管36における除氷水開閉弁58の上流側から補給水供給管62が分岐しており、該補給水供給管62は、前記製氷水供給管34に着脱自在に配設された接続パイプ60を介して該製氷水供給管34に連通接続されている。
図2,
図3に示すように、前記接続パイプ60は、上下の端部が開放した製氷水流通部64と、該製氷水流通部64から側方へ導出して一端が開放した補給水流通部66とから構成され、略T字型の三又パイプをなしている。前記製氷水流通部64は、第1供給管34aおよび第2供給管34bの間に介在して、第1および第2供給管34a,34bを連結している。すなわち、製氷水流通部64の下端部が前記第1供給管34aの上端部に接続されると共に、製氷水流通部64の上端部が前記第2供給管34bの下端部に接続され、製氷運転に際して、製氷水タンク42内の製氷水が製氷水流通部64を流通するようになっている。
図3に示すように、製氷水流通部64の内径寸法は、第1および第2供給管34a,34bの内径寸法と略同一に設定されている。
図2に示すように、前記補給水流通部66は、前記製氷水流通部64に連通すると共に、開放端部が前記補給水供給管62に接続されている。
【0020】
図1に示すように、前記補給水供給管62には、該補給水供給管62を開閉する補給水開閉弁68が配設されており、該補給水開閉弁68が補給水供給管62を開放すると、前記外部水源から常温の水(補給水)が補給水供給管62を流通する。すなわち、補給時には、補給水供給管62→補給水流通部66→製氷水流通部64を介して補給水が製氷水供給管34へ供給され、該製氷水供給管34を流通する製氷水と共に散水手段32へ送られる。そして、散水手段32の製氷水噴射孔38を介して補給水が製氷部24へ供給されるようになっている。
【0021】
実施例に係る自動製氷機20は、製氷水タンク42への給水制御を行う制御装置56を備えている。前記制御装置56は、
図1に示すように、前記フロートスイッチ48、除氷水開閉弁58および補給水開閉弁68に電気的に接続されている。そして、製氷運転において、前記製氷サーミスタが製氷完了温度を検知すると、制御装置56は、前記除氷水開閉弁58を開放制御して、除氷水を製氷部24へ供給するよう設定される。また、製氷運転において、前記フロートスイッチ48が下限水位を検知すると、前記制御装置56は、前記補給水開閉弁68を開放して、前記補給水供給管62に補給水を流通させるよう設定されている。そして、製氷水タンク42内の製氷水の水位が上昇して、前記フロートスイッチ48が上限水位を検知すると、前記制御装置56は補給水開閉弁68を閉成して、補給水供給管62への補給水の供給を停止するよう設定される。なお、実施例では、制御装置56は、製氷運転中での補給水の供給を一回のみ行うよう設定される。
【0022】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係る自動製氷機20の作用について説明を行なう。製氷運転では、冷凍回路から蒸発管26に冷媒が供給されて、製氷板22が冷却されると共に、循環ポンプ44が作動して、製氷水タンク42内の製氷水が製氷部24へ供給される。すなわち、循環ポンプ44に吸い上げられた製氷水は、前記第1供給管34aを流通して前記接続パイプ60に流入し、前記製氷水流通部64を通過して第2供給管34bへ送られる。そして、第2供給管34bから散水手段32の製氷水路28へ製氷水が流入し、製氷水噴射孔38を介して製氷水が製氷板22の表面へ噴射される。製氷板22へ供給された製氷水は、該製氷板22と熱交換して次第に冷却されて、製氷板22上で氷結し始める。また、製氷部24で氷結に至らなかった未氷結水は、製氷部24から落下して前記氷案内板54で受け止められ、前記戻り孔54aを介して製氷水タンク42へ戻される。このとき、未氷結水は、氷案内板54で受け止められて戻り孔54aを通過する際に落下速度が低下するので、未氷結水は、水はね等を殆ど生じさせることなく製氷水タンク42に回収される。
【0023】
製氷運転が進行して製氷板22に氷が形成されると、製氷水タンク42内の製氷水が減少し、前記フロートスイッチ48のフロート46が製氷水の水位と共に下降する。そして、フロート46が製氷水の下限水位まで下降すると、前記下限スイッチ52がフロート46に反応して、フロートスイッチ48が製氷水の下限水位を検知する。フロートスイッチ48が下限水位を検知すると、制御装置56は、前記補給水開閉弁68を開放制御して、補給水供給管62を開放させる。補給水供給管62が開放されると、外部水源から常温の水が補給水供給管62を流通し、前記接続パイプ60を介して製氷水供給管34に流入する。すなわち、補給水は、前記補給水流通部66を経て前記製氷水流通部64へ流入し、該製氷水流通部64内を流れる製氷水と合流する。そして、製氷水流通部64から第2供給管34bを経て補給水が散水手段32の製氷水路28へ送られ、製氷板22の表面に補給水が供給される。このように、実施例では、接続パイプ60を製氷水流通部64および補給水流通部66から構成して、補給水供給管62からの補給水を製氷水供給管34に確実に送出することができる。
【0024】
製氷板22の表面へ供給された補給水は、氷結することなく製氷板22を流下して、未氷結水と同様に製氷部24から落下する。そして、製氷板22から落下した補給水は、氷案内板54で受止められ、該氷案内板54の戻り孔54aを介して製氷水タンク42に回収さる。すなわち、補給水は、氷案内板54で受止められて戻り孔54aを介して製氷水タンク42へ滴下する間に落下速度が低減するので、製氷水タンク42に回収される際の衝撃は小さくなる。従って、補給水の供給時に製氷水タンク42内の水面が大きく変動したり、水はねが生じたりするのを好適に抑制することができる。
【0025】
製氷水タンク42に補給水が供給されると、フロートスイッチ48のフロート46が製氷水の水位と共に上昇する。そして、製氷水の水位が上限水位に到達すると、フロートスイッチ48が上限水位を検知する。上限水位が検知されると、制御装置56は、補給水開閉弁68を閉成制御して、補給水の供給を終了させる。なお、補給水の供給が終了されても、前記循環ポンプ44は作動して、製氷運転は継続される。
【0026】
このように、実施例に係る自動製氷機20によれば、補給水を製氷部24へ一旦供給した後に製氷水タンク42へ供給するようにしたから、通常の未氷結水と同様に、補給水を製氷水タンク42へ穏やかに供給することができる。従って、製氷水タンク42内の水面が大きく変動したり、水はねが生じるのを抑制して、フロートスイッチ48が誤検知を起こすのを防止することができる。また、製氷水タンク42内の水面が大きく変動しないことから、循環ポンプ44の吸い込み異常が生じ難くなって、いびつな形状の氷が製造される製氷異常が発生するのを抑制し得る。更に、補給水供給管62を製氷水タンク42まで延在させる必要がないので、補給水供給管62の配管作業を容易とし得る。しかも、製氷水タンク42のメンテナンス時に補給水供給管62を組外す必要がないから、メンテナンスの作業性が低下することもない。
【0027】
なお、製氷部24に所定サイズの氷が形成され、前記製氷サーミスタが製氷完了温度を検知すると、製氷運転が終了して除氷運転へ移行する。除氷運転に移行すると、前記蒸発管26に冷凍回路からホットガスが供給されて、製氷板22がホットガスにより加熱され、氷が融解され始める。また、前記制御装置56は、除氷水開閉弁58を開放制御して除氷水供給管36を開放させ、外部水源から除氷水を製氷部24へ供給させる。すなわち、除氷水供給管36を介して除氷水が散水手段32の除氷水路30へ供給され、除氷水が製氷板22の裏面へ供給される。製氷板22を流下した除氷水は、氷案内板54の戻り孔54aを介して製氷水タンク42に回収され、次回の製氷運転で製氷水として用いられる。
【0028】
〔別の実施例〕
次に、別の実施例に係る自動製氷機について説明する。
図1〜
図3に示す実施例では、製氷水流通部64の内径寸法が製氷水供給管34(第1供給管34aおよび第2供給管34b)と略等しく設定された接続パイプ60が採用されていた。これに対し、別の実施例では、
図4に示すように、製氷水流通部70の内径寸法が第1供給管34aおよび第2供給管34bより小さい部位を有する接続パイプ72が採用されている。具体的には、製氷水流通部70の内部に絞り部(内径寸法の小さい部位)74を形成し、当該絞り部74を設けた部位の内径寸法が第1供給管34aおよび第2供給管34bより小さくなっている。このように、製氷水流通部64に絞り部74を設けることで、製氷部へ供給される単位時間当たりの製氷水量を少なくすることができる。これにより、製氷板を流下する製氷水量が少なくなって、製氷サーミスタが製氷完了温度を検知したときに製氷板に形成されている氷のサイズを小さくすることが可能となる。なお、
図4において、
図1〜
図3に示す実施例と同一の部材については同じ符号が付してある。
【0029】
すなわち、製氷水流通部64に絞り部74を設けて内径寸法を変更することで、製氷板に形成される氷のサイズ調整を簡単に行うことが可能となる。従って、製氷水流通部64の内径寸法が異なる各種の接続パイプ60,72を用意し、製氷水供給管34に接続パイプ60,72を着脱交換するだけで、様々なサイズの氷を製造することが可能となる。しかも、接続パイプ60,72を交換するだけで氷のサイズ調整をなし得るので、製氷水の流量を抑制するオリフィス等の部材を別途設ける必要がなく、部品点数を抑制することができる。なお、別の実施例では、製氷水流通部70の一部に絞り部74を設けたが、製氷水流通部の内径全体が製氷水供給管の内径寸法より小さな構成の接続パイプを用いてもよい。
【0030】
なお、実施例では、補給水供給管を除氷水供給管から分岐させて製氷水供給管に接続する構成としたが、独立した補給水供給源から導出する補給水供給管を製氷水供給管に接続させてもよい。実施例では、補給水の供給を1回のみ行なう構成としたが、補給水の供給回数は、設定された氷のサイズと製氷水タンクの容量とに応じて適宜変更すればよい。また実施例では、流下式製氷機を例に説明したが、製氷運転中に製氷水を循環供給すると共に製氷水の補給を行うタイプの製氷機であれば、例えば、噴射式製氷機等、他の自動製氷機を採用してもよい。