【実施例】
【0034】
  実験方法
  処理方法
  アクリル系膜組成物は、ペレットまたは粉体形態の全ての成分をミキサー中でブレンドすることにより製造された。実施例において使用された市販の物質および供給者は以下に示される。
【0035】
【表1】
【0036】
  膜カレンダー成形
  膜はコリン(Collin)2本ロールミル(W.H.Collin  GmbH、Maschienefabrik、Aichach、ドイツ)を用いて製造された。フロントロールの温度は185℃に設定され、一方、リアロールの温度は183℃に設定された。110gの組成物が、2本ロールミルの近接した加熱ロール上に直接注がれた。それぞれの膜を製造するための全体の処理時間は300sであり、次のパラメータの2つの連続したフェーズに分割された。
【0037】
  フェーズ1
  フェーズ時間:280s
  ロール間の間隔:0.25mm
  フロントロール速度:26rpm
  摩擦:−23%
【0038】
  フェーズ2
  フェーズ時間:20s
  ロール間の間隔:0.15mm
  フロントロール速度:5rpm
  摩擦:−23%
【0039】
  処理後、フロントロールの周りに形成されたシートが、後述する一般的なテイクオフ法または低速テイクオフ法に従って、ロールから取り外された。
【0040】
  一般的なテイクオフ法
  一般的なテイクオフ法は次の6つの工程を含む:
  操作者は、ロール間の間隔が依然として閉じられている双方のロールの回転を停止させる。
  操作者は、操作者の前で木製ナイフを用いて横断方向に膜を切断する。
  操作者は、切断した膜の下半分のそれぞれの端部をその手に取る。
  第2の操作者が双方のロールの回転を再始動させる(5rpmの速度で設定)。
  操作者は、膜とロールとの間の接触前面を、米国特許第6,551,688号に記載されるような30°〜60°を含む好適な角度に保つように試みつつ、膜をテイクオフし引き伸ばす。
  全体が離れたら、操作者は膜を平らな金属面上に置き、その膜を応力なしに冷却させる。
【0041】
  低速テイクオフ法
  低速テイクオフ法は次の7つの工程を含む:
  操作者はロール間の間隔をあける。
  操作者は、ローリングバック(別名、フラックス)が操作者の前にあるときに、フロントロールの回転を停止させる。
  操作者は、木製ナイフを用いて横断方向に、そしてローリングバック(別名、フラックス)上で膜を切断する。
  操作者は、ローリングバック(別名、フラックス)のそれぞれの端部をその手に取る。
  第2の操作者がフロントロールの回転を再始動させる(5rpmの速度で設定)。
  操作者は、膜とロールとの間の接触前面を、米国特許第6,551,688号に記載されるような60°〜90°を含む好適な角度に保つように試みつつ、膜を引き伸ばすことなく、膜をゆっくりとテイクオフする。
  全体が離れたら、操作者は膜を平らな金属面上に置き、その膜を応力なしに冷却させる。
【0042】
  試験方法
  以下の試験方法および実施例においては、サンプル寸法(典型的には長さ)が測定ツールの正確さで測定された。実施例および明細書における全ての部、パーセンテージ、比率などは他に示されない限りは重量基準である。
【0043】
  熱収縮試験
  それぞれのサンプルについて、76.2mm×76.2mmの5つの標本が準備された。0.01mmの正確性を持つ電子キャリパー(Brown&Sharpe,Model  Digit−CAL  MM2000)を用いて、機械方向(MD)および横断方向(TD)の双方における初期厚みおよび長さが正確に測定された。5つの標本のそれぞれは、150℃の設定温度の通風オーブン中に30分間一緒に置かれた。
【0044】
  本明細書においては、熱収縮率(S)は、150℃のオーブン中30分後での、特定の一方向における長さの変化のパーセンテージとして定義され、次のように計算される:
【数1】
式中:
L
0:特定の一方向における標本の初期長さ(mm)
L:150℃の通風オーブン中30分後での、特定の一方向における標本の長さ(mm)。
5つの繰り返しの結果が平均化され、熱収縮率をもたらす。
【0045】
  日射反射率測定
  それぞれのサンプルについて、約76.2mm×76.2mmの標本1つが準備された。日射反射率は、Solar  Spectrum  Reflectometer  Model  SSR−ERを用いてASTM標準C1549−02に記載される方法に従って決定された。
  太陽光スペクトルの4つの波長(380nm、500nm、650nmおよび1220nm)における日射反射率(エアマス0)の平均値が、各標本の3つの異なる点において測定された。3つの測定の結果が平均化され日射反射率をもたらした。
【0046】
  膜特性試験
IEC61215:結晶シリコン太陽電池(PV)モジュールのための国際試験基準
温度サイクル試験:温度−40℃±2℃、および85℃±2℃
高温−高湿試験:温度85℃±2℃、相対湿度85%±5%
結露−凍結試験:温度−40℃±2℃、および85℃±2℃、85℃での相対湿度85%±5%
【0047】
  アクリル系ポリマーおよび粉体の形成
  米国特許第4,141,935号の実施例1の教示に従うが、変更された第3段階および第4段階組成、すなわち、25(MMA/BA:93/7)および25(MMA/BA/n−DDM:9.5/7/0.5)を有して作られたアクリル系エマルションコポリマー(ポリマーA)が製造された。このエマルションは次いで実験室的噴霧乾燥機(NIRO  Inc.、ソーバーグ、デンマーク)を用いて噴霧乾燥されて、ポリマーA粉体を生じた。
  米国特許第4,141,935号の実施例1の教示に従うが、変更された第3段階および第4段階組成、すなわち、25(MMA/EA/アルファ−メチルスチレン:71/4/25)//25(MMA/EA/アルファ−メチルスチレン/n−DDM:70.5/4/25/0.5)を有して作られたアクリル系エマルションコポリマー(ポリマーB)が製造された。このエマルションは次いで実験室的噴霧乾燥機(NIRO  Inc.、ソーバーグ、デンマーク)を用いて噴霧乾燥されて、ポリマーB粉体を生じた。
【0048】
  実施例1−4:アクリル系膜の形成および評価
  ポリマーAおよびB粉体は次いで様々な量のTiO
2と配合され、次いで処理された。それぞれの実施例について使用された組成物およびテイクオフ方法の詳細は表2.1に示される。
【0049】
【表2】
【0050】
  カレンダー成形後、得られた膜は次いで熱収縮について試験された。結果の詳細は表2.2に示される。
【0051】
【表3】
【0052】
  実施例3および4のアクリル系膜は、湿潤オーブン中にも配置され、上記条件下で、IEC61215(結晶シリコン太陽電池(PV)モジュールのための国際試験基準)によって必要とされる試験を行った。結果は表2.3にまとめられる。
【0053】
【表4】
【0054】
  実施例5−8:アクリル系膜の形成および評価
  ポリマーAは中空ガラス微小球体と配合され、次いで処理された。それぞれの実施例について使用された配合物およびテイクオフ方法の詳細は表5.1に示される。
【0055】
【表5】
【0056】
  カレンダ成形後、得られた膜は次いで熱収縮について試験された。結果の詳細は表5.2に示される。
【0057】
【表6】
【0058】
  実施例9−12および比較例A
  アクリル系膜の形成および評価
  ポリマーA粉体が様々な量のTiO
2と配合され、次いで上記方法に従って処理された。それぞれの実施例について使用された配合物およびテイクオフ方法の詳細は表9.1に示される。
【0059】
【表7】
【0060】
  カレンダー成形後、得られた膜は次いで、上記対応する試験方法に従って日射反射率について試験された。結果の詳細は表9.2に示される。
【0061】
【表8】
【0062】
  本発明の実施例9〜12のアクリル系膜は、太陽電池アレイ裏打ちシートにおける使用に有用な水準の日射反射率を示したが、比較例Aのアクリル系膜はそうではなかった。
【0063】
  比較例B:アクリル系膜の形成
  米国特許第4,141,935号の実施例1の教示に従うが、変更された第3段階および第4段階組成、すなわち、25(MMA/EA:96/4)//25(MMA/EA/n−DDM:95.5/4/0.5)を有して作られたアクリル系エマルションコポリマー(ポリマーC)が製造された。このエマルションは次いで実験室的噴霧乾燥機(NIRO  Inc.、ソーバーグ、デンマーク)を用いて噴霧乾燥されて、ポリマーC粉体を生じた。
  ポリマーCの粉体は次いで30mm二軸押出機および4mm3−ストランドダイ(Werner&Pfleiderer、ラムゼー、ニュージャージー)でペレット化された。バレル温度は200℃に設定され、供給速度は20  lbs/時に設定され、スクリュー速度は150rpmに設定された。
  ポリマーCのペレットは次いで、30mmダイを備えたインフレート膜ライン(Dr.Collin  GmbH、エバーズバーグ、ドイツ)を用いて処理され、単一層インフレート膜を生じさせた。
  インフレート膜押出後、得られた膜は次いで、上記対応する試験方法に従って熱収縮について試験された。
【0064】
【表9】
【0065】
  インフレート膜押出による比較例Bからのアクリル系膜の形成は、許容できない熱収縮率の結果をもたらした。
【0066】
  実施例13−17:アクリル系膜の形成および試験
  ポリマーA粉体は4重量%のPARALOID
商標K−130Dおよび0.5重量%のIRGANOX
商標245と配合された。組成物は次いで30mm二軸押出機および4mmの3−ストランドダイ(Werner&Phleiderer、ラムゼー、ニュージャージー)を用いてペレットにされた。この組成物は顔料を使用せずに製造されたが、本発明のアクリル系膜の処理を模倣すると考えられる。バレル温度は200℃に設定され、供給速度は50  lbs/時に設定され、スクリュー速度は210rpmに設定された。
  このペレットは次いで、3.5インチ一軸押出機(30:1L/D)および60インチ幅フラットダイを備えたキャスト膜ライン(Black  Clawson、フルトン、ニューヨーク)を用いて処理され、単一層膜を生じさせた。押出機は6つの加熱/冷却領域を有しており、これらはそれぞれ395F/425F/450F/450F/480F/480Fに設定された。さまざまな供給パイプエレメントの温度は490Fに設定された。ダイは横断方向に5つの異なる加熱領域を有しており、これらはそれぞれ490F/480F/470F/480F/490Fに設定された。チルロール温度は180Fに設定された。
  5つの膜が異なる処理パラメータで押し出された。「アウトプット」は1時間あたりに製造された膜の重量(kg単位)に対応する。スクリュー速度およびライン速度は所望のアウトプットを生じさせるために調節された。
【0067】
  「ドローダウン比率」(DDR)は次のように定義される:
【数2】
式中、
L
D:ダイのリップでの間隔(mm)
L
F:最終膜厚(mm)
【0068】
  「アニーリング温度」は、巻き取りの前に膜をアニーリングするために使用されるオンライン放射加熱システムの前を膜が通り過ぎた後の膜表面温度として定義される。「アニーリング温度」の値がNA(適用なし)の場合には、それはオンライン放射加熱システムが停止していたことを意味する。
  得られた膜は、次いで、試験時間が30分ではなく10分であったことを除いて、上記試験方法に従って熱収縮について試験された。処理パラメータおよび結果の詳細は表13.1に示される。
【0069】
【表10】
  実施例15−17の低いドローダウン比率(<2)は優れた熱収縮率の結果を提供する。
【0070】
  実施例18−21:太陽電池アレイ裏打ちシートの形成および試験
  約9”×12”のシートが、約0.003インチ厚のポリマーA膜から、および0.005インチ厚のポリエステル膜(MYLAR
商標A)から切り出された(アクリル系膜に顔料は存在しないが、本発明の裏打ちシートを形成するための方法を表すと考えられる)。ポリエステルのシートはコロナ処理された。ポリマーA膜のサンプルのいくつかはコロナ処理され、いくつかのサンプルは処理なしで試験された。ロームアンドハースの接着剤ADCOTE
商標76R36B−33がCoreactant9L7と、推奨比率100/3.3(重量部)で混合された。この接着剤は、#6ワイヤ巻きロッドを用いてポリエステル膜に適用され、塗布されたシートを80℃のオーブン中に1分間置くことにより溶媒を蒸発させた。塗布重量は1.5〜1.7ポンド/リームであった。ポリマーA膜はフラットベッド積層機において加熱されたロールを用いて、表18.1に示されたニップ温度で、ポリエステルに積層された。積層シートは試験前に室温で少なくとも3日間保持された。このシートから1インチ幅のストリップが切り出され、T−ピール試験が10”/分の速度で行われた。結果は表にまとめられる。
【0071】
【表11】
【0072】
  実施例22:太陽電池アレイ裏打ちの形成
  約9”×12”のシートが、8重量部のポリマーAおよび92重量部のTiO
2を含む0.003インチ厚のアクリル系膜から、および0.005インチ厚のポリエステル膜(MYLAR
商標A)から切り出される。アクリル系シートおよびポリエステルシートはコロナ処理される。接着剤ADCOTE
商標76R36B−33がCoreactant9L7と、比率100/3.3(重量部)で混合される。この接着剤は、#6ワイヤ巻きロッドを用いてポリエステル膜に適用され、塗布されたシートを80℃のオーブン中に1分間置くことにより溶媒を蒸発させる。塗布重量は1.5ポンド/リームである。ポリマーA膜はフラットベッド積層機において、175Fに加熱されたニップロールを用いてポリエステル膜に積層され、本発明の太陽電池アレイ裏打ちシートを提供する。