(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755736
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】クロマトグラフィーカラムの保守を行う方法
(51)【国際特許分類】
G01N 30/60 20060101AFI20150709BHJP
B01D 15/08 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
G01N30/60 Q
B01D15/08
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-516525(P2013-516525)
(86)(22)【出願日】2011年6月16日
(65)【公表番号】特表2013-529782(P2013-529782A)
(43)【公表日】2013年7月22日
(86)【国際出願番号】SE2011050746
(87)【国際公開番号】WO2011162678
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2014年6月11日
(31)【優先権主張番号】1457/DEL/2010
(32)【優先日】2010年6月23日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ラマクリシュナ,マノジ・クマール
(72)【発明者】
【氏名】サロモンソン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ユセリウス,パー
【審査官】
清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−515271(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/093952(WO,A1)
【文献】
特表2008−519270(JP,A)
【文献】
特開2009−079896(JP,A)
【文献】
特表2010−513873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/60
B01D 15/08−15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフィーカラム(1、1’、41)の保守を行う方法であって、
a)保守が必要とされるとき、前記クロマトグラフィーカラムの底板(5、53)と、前記クロマトグラフィーカラムが設けられるスタンド(3、43)との間の着脱可能な継手(7、7’、63)を取り外し、
b)クロマトグラフィーシステムに設けられたアダプタ(15、15’、59)を、前記アダプタ(15、15’、59)により前記底板(5、53)を前記スタンド(3、43)から持ち上げられるようにする前記クロマトグラフィーカラム(1、1’、41)の任意の部分に取り付け、
c)前記底板(5、53)の下で保守を行うことができるように前記アダプタ(15、15’、59)とそれによってさらに前記底板(5、53)とを引き上げる
段階を含む方法。
【請求項2】
段階a)の前に、
・前記クロマトグラフィーカラム(41)のカラム管(45)を前記クロマトグラフィーカラムの蓋(51)及び前記底板(53)から解放し、
・前記カラム管(45)を前記蓋(51)及び前記底板(53)から外に回転させる
段階をさらに含み、
段階b)が、
・前記アダプタ(59)を前記底板(53)に取り付ける
段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
d)引き上げた位置で前記アダプタ(15、59)及び前記底板(5、53)をロックする
段階をさらに含む、請求項1又は請求項2記載の方法。
【請求項4】
クロマトグラフィーカラム(1、1’、41)と、前記クロマトグラフィーカラムが設けられるスタンド(3、43)とを含むクロマトグラフィーシステムであって、前記クロマトグラフィーカラムの底板(5、53)が着脱可能な継手(7、7’、63)によって前記スタンド(3、43)に着脱可能に取り付けられ、前記クロマトグラフィーカラムの保守の間、前記クロマトグラフィーシステムのアダプタ(15、15’、59)を、前記底板が前記スタンドから解放されるとき前記アダプタ(15、15’、59)を持ち上げることによって前記底板(5、53)を前記スタンド(3、43)から同様に持ち上げることができるようにする前記クロマトグラフィーカラム(1、1’、41)の任意の部分にロックすることができるロック手段(16、16’、61)が設けられることを特徴とするクロマトグラフィーシステム。
【請求項5】
前記クロマトグラフィーカラム(41)のカラム管(45)が、保守の間、前記クロマトグラフィーカラム(41)の蓋(51)及び前記底板(53)から外に回転されるように構成され、前記ロック手段(61)が前記アダプタ(59)を前記底板(53)にロックするように構成される、請求項4記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項6】
引き上げた位置で前記アダプタ(15、59)及び前記底板(5、53)をロックするように構成されたロックスプリント(22、65)をさらに備える、請求項4又は請求項5記載のクロマトグラフィーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフィーカラムの保守を行う方法と、クロマトグラフィーシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィーカラムのいくつかの部品は定期的に清浄にするか、又は取り替える必要がある。例えば、クロマトグラフィーカラムの底板の下に設けられたバルブを交換するには底板の下にアクセスする必要がある。通常、クロマトグラフィーカラムの全高をできるだけ小さく保つことが好ましいので、底板とフロアとの間に空間は少ししかない。底板より下の限定された空間のために、アクセスする必要のあるボルト及びバルブにアクセスしにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は先行技術に関して上述した問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これは、請求項1に記載の方法及び請求項4に記載のクロマトグラフィーシステムで達成される。
【0005】
これによって、オペレータは底板の下側に良好にアクセスすることになり、同時に、クロマトグラフィーカラムの全高を最小に保つことができる。
【0006】
好適な実施形態については従属請求項で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1a-1c】3つの異なる位置における本発明の一実施形態によるクロマトグラフィーシステムを概略的に示す図である。
【
図2】底板をスタンドに固定するナットの1つの例を概略的に示す図である。
【
図3】
図1a〜1cのクロマトグラフィーシステムに対して実施することができる本発明の一実施形態による方法の流れ図である。
【
図4a-4d】本発明の一実施形態による方法の異なる位置における本発明の別の実施形態によるクロマトグラフィーシステムを、概略的に示す図である。
【
図5】
図4a〜4dに示したクロマトグラフィーシステムに対して実施することができる本発明の一実施形態による方法の流れ図である。
【
図6】本発明の別の実施形態によるクロマトグラフィーシステムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1aは、本発明の一実施形態によるクロマトグラフィーシステムを概略的に示す。すべての部品をここで言及するわけではないが、それらはクロマトグラフィーシステムの従来の部品である。クロマトグラフィーカラム1はスタンド3上に設けられる。本発明によれば、クロマトグラフィーカラムの底板5は、着脱可能な継手7によりスタンド3に着脱可能に固定される。この実施形態では、着脱可能な継手7は、底板5をスタンド3に固定する2つのボルト7として示される。着脱可能な継手の1つの例がより詳細に
図2に示される。クロマトグラフィーカラム1は、底端部で底フランジ11、分配板13、及び底板5に接続されるカラム管9をさらに含む。カラム管9は、その上部端部で上部フランジ14に接続される。さらに、アダプタ15がクロマトグラフィーシステムに設けられる。本発明によれば、アダプタ15はロック手段16でクロマトグラフィーカラム1に固定することができる。アダプタ15は、アダプタロッド17、ウォームギヤ19、アダプタ受板21、及びアダプタストップ23を含む。アダプタ受板21がカラム管9より上に持ち上げられないことを保証するためにアダプタストップ23が設けられる。本発明のこの実施形態では、ロック手段16は上部フランジ14に設けられ、アダプタ15が引き上げられるとアダプタストップ23に係合するように構成され、その結果、着脱可能な継手7が解除されたときカラム全体をスタンドから引き上げることができる。アダプタストップ23が設けられない別の実施形態では、その代りに、ロック手段16は、カラムの下の保守が必要な場合、アダプタ15が引き上げられるときアダプタ受板21に直接係合するように構成することができる。ロック手段16は着脱可能であり、アダプタをカラム管9の内部に下げる必要があるとき取り除かれることになる。ロック手段16の設計は、当然、変更することができる。さらに、クロマトグラフィーシステム構造体を支持し、保守を支援するために、蓋27及び蓋担体29がカラム管9及び上部フランジ14の上に設けられ、スタンド3に接続される。これはクロマトグラフィーシステムの従来のモデルに従っている。
【0009】
図1bでは、
図1aのクロマトグラフィーシステムは、蓋27及び蓋担体29が第2の位置まで持ち上げられた第2の位置で概略的に示される。底板5をスタンド3に固定するボルト7(着脱可能な継手)はさらに次に解除される。
【0010】
図1cでは、
図1aのクロマトグラフィーシステムは、アダプタ15が引き上げられた第3の位置で概略的に示される。ロック手段16がアダプタストップ23、したがって、アダプタ受板21をクロマトグラフィーカラム1の上部フランジ14に固定しているので、かつ底板5とスタンド3の間の着脱可能な継手7が解除されているので、クロマトグラフィーカラム1はアダプタ15と一緒にスタンド3の上に引き上げられることになる。これによって、システムの保守を行うためにクロマトグラフィーカラム1の下側へのアクセスが必要とされるときに使用することができる底板より下の空間があることになる。
【0011】
さらに引き上げた位置にアダプタ及びクロマトグラフィーカラムを固定するために、場合によってロックスプリント(lock sprint)22が設けられる。
【0012】
図2は本発明の一実施形態による着脱可能な継手7を概略的により詳細に示す。底板5及びスタンド3がこの図では部分的に示される。着脱可能な継手7は、ボルト31、ロックナット33、及びナット35を含む。着脱可能な継手7は、当然、異なるように設計することができる。
【0013】
図3は、
図1a〜1cに示したシステムに対して実施することができる本発明の一実施形態による方法の流れ図である。方法段階が以下で順を追って説明される。
【0014】
S1:蓋27及び蓋担体29を第2の位置まで持ち上げる。
【0015】
S3:底板5とスタンド3との間の着脱可能な継手7を取り外す。
【0016】
S5:クロマトグラフィーカラムに、ここではクロマトグラフィーカラムの上部フランジ14に、アダプタ15を固定する(まだ行われていない場合)。
【0017】
S7:クロマトグラフィーカラム1のレスト(rest)と一緒にアダプタ15を持ち上げる。
【0018】
S8:引き上げた位置でアダプタ15及びクロマトグラフィーカラム1を固定するために、場合によってロックスプリントを設ける。
【0020】
図4a〜4dは、本発明の一実施形態による方法の異なる位置における本発明の別の実施形態によるクロマトグラフィーシステムを概略的に示す。
図4a〜4dにおいて、クロマトグラフィーシステムには、上部蓋51及び底板53から分離し、次に、これらの部品から外に回転することができる回転開き式フィーチャ、すなわち、上部フランジ47及び底フランジ49と一緒のカラム管45をもつスタンド43上のクロマトグラフィーカラム41が含まれる。底板53は、ここで、やはり分配板54を含む。カラム管45はいつでもスタンド43に支持されている。
【0021】
図5は、
図4a〜4dに示したクロマトグラフィーシステムに対して実施することができる本発明の一実施形態による方法の流れ図である。方法段階が、以下で順を追って、対応する
図4a〜4dを参照しながら説明される。
【0022】
S31:カラム管45が上部蓋51及び底板53から解放される。
【0023】
S33:カラム管45が上部蓋51及び底板53から外に回転される。これが
図4bに示される。
【0024】
S35:クロマトグラフィーカラム41のアダプタ59が分配板54及び底板53までほとんど完全に下げられる。これが図に4c示される。
【0025】
S37:アダプタ59がロック手段61によって底板53にロックされる。これが図に4c示される。ロック手段61は様々な方法で設計することができる。この図示の実施形態では、ロック手段のうちのある部品がボルトによってアダプタに取り付けられ、ロック手段のうちの別の部品が別のボルトによって底板に取り付けられる。
【0026】
S39:底板53とスタンド43との間の着脱可能な継手63が解除される。
【0027】
S41:適宜、人がクロマトグラフィーカラム41の傍らに座り、クロマトグラフィーカラム41の下側のバルブのボルト取り外し及び交換などの必要な保守を好都合に行うのに十分な高さまで、アダプタ59が底板53と一緒に持ち上げられる。これが図に4d示される。
【0028】
S43:場合によって、ロックスプリント65(
図4dに示した)が、引き上げた位置でアダプタ59及び底板53をロックするために設けられる。
【0029】
S44:カラムの底板の下の保守を行う。
【0030】
本発明による1つの利点は、底板の下面へのアクセスがクロマトグラフィーシステムの全高を増加させることなく行われることである。
【0031】
図6は、本発明の別の実施形態によるクロマトグラフィーシステムを概略的に示す。ここでのほとんどの部品は
図1a〜1cで説明した部品と同じであり、これらの部品はここで言及されない。この実施形態での差はロック手段16’の設計である。この実施形態では、アダプタストップ23’は、
図1a〜1cのアダプタストップ23の設計と同じように設計される。アダプタストップ23’は、クロマトグラフィーカラムより下の保守が必要とされる場合にアダプタ15’を上方に移動させるとき、クロマトグラフィーカラム1’に固定されているロック手段16’に係合するように構成される。代替として、ロック手段16’は、アダプタストップなしの構造でアダプタに直接係合するように構成することができる。保守の間アダプタでカラムを持ち上げるために、着脱可能な継手7’は、やはり、
図1a〜1cに関して説明したように取り外す必要がある。ロック手段16’は着脱可能な部品である。