(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755754
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】溶融プラントのための金属装入物を予熱するための装置及びそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
F27D 13/00 20060101AFI20150709BHJP
F27B 3/18 20060101ALI20150709BHJP
F27B 3/08 20060101ALI20150709BHJP
C21C 5/52 20060101ALN20150709BHJP
【FI】
F27D13/00 F
F27D13/00 D
F27B3/18
F27B3/08
!C21C5/52
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-542613(P2013-542613)
(86)(22)【出願日】2010年12月10日
(65)【公表番号】特表2014-502336(P2014-502336A)
(43)【公表日】2014年1月30日
(86)【国際出願番号】IB2010003197
(87)【国際公開番号】WO2012076917
(87)【国際公開日】20120614
【審査請求日】2013年8月5日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510152666
【氏名又は名称】ダニエリ アンド シー.オフィス メカニケ エスピーエー
【氏名又は名称原語表記】DANIELI&C.OFFICINE MECCANICHE SPA
(74)【代理人】
【識別番号】100117042
【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 正志
(72)【発明者】
【氏名】ナーホルツ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレミン ベルナルド
【審査官】
田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−157930(JP,A)
【文献】
特表2002−538295(JP,A)
【文献】
特開2000−205751(JP,A)
【文献】
実開平07−044364(JP,U)
【文献】
実開平06−035892(JP,U)
【文献】
特開平08−285477(JP,A)
【文献】
特開2008−002736(JP,A)
【文献】
特開平07−027489(JP,A)
【文献】
特表2014−502717(JP,A)
【文献】
特許第5658832(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 13/00
F27D 17/00
F27B 3/08
F27B 3/18
F27B 3/26
C21C 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属装入物(13)を予熱して溶融プラント(11)のコンテナ又は溶融炉(12)に搬送するための装置であって、
少なくとも1つのコンベア通路(21)を備え、
前記コンベア通路(21)に沿って、前記金属装入物(13)が、前記コンテナ又は溶融炉(12)に運搬されるように進むことが可能であり、
前記コンベア通路(21)の上方に、少なくとも1つのフード(17)が配設され、
前記フード(17)がトンネル(17a)を規定し、
前記トンネル(17a)の内部で、前記コンテナ又は溶融炉(12)から出た前記排ガスの少なくとも一部が進むことが可能であり、
前記排ガスが、前記金属装入物(13)の上部に当たる装置において、前記コンベア通路(21)が、底壁(22)と、2つの側壁(23、24)とを備え、
前記底壁(22)と、前記2つの側壁(23、24)とが、略U字形の断面を規定し、
前記コンテナ又は溶融炉(12)内への前記コンベア通路(21)の進入部付近の前記トンネル(17a)の区域に対応する前記フード(17)の少なくとも1つの区域が、膨張チャンバ(18)を備え、
前記膨張チャンバ(18)が、前記金属装入物(13)の少なくとも一部分の上に位置し、前記膨張チャンバ(18)の内部で前記排ガスを膨張させることで排ガスの流速を低下させて、前記排ガスが前記金属装入物(13)と接触する前に前記排ガスの燃焼が完了する程度に前記排ガスを前記膨張チャンバ(18)の内部に留めることが可能であり、
前記装置がさらに、
前記コンテナ又は溶融炉(12)を前記膨張チャンバ(18)に接続する接続パイプ(28)又は側方アパーチャ(55)のいずれかを備え、
前記側壁(23、24)の側部に吸引パイプ(25、26)が提供され、
前記吸引パイプ(25、26)に向けて前記排ガスを放出するために、少なくとも前記コンベア通路(21)の長手方向部分に、前記側壁(23、24)に沿って位置決めされた排ガス排出アパーチャ(30)が設けられる
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記排ガスが、少なくとも前記最短所望時間にわたって前記膨張チャンバ(18)の内部に留まるように、前記膨張チャンバ(18)の内部体積が、少なくとも、前記コンテナ(12)内で生成された排ガスの量に応じることを特徴とする請求項1に記載のコンベア装置。
【請求項3】
前記膨張チャンバ(18)の体積が、1.5秒〜6秒の間に含まれる時間にわたって、前記膨張された排ガスを前記膨張チャンバ(18)の内部に保つようにサイズ設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンベア装置。
【請求項4】
前記膨張チャンバ(18)の体積が、200m3〜600m3の間に含まれることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のコンベア装置。
【請求項5】
前記膨張チャンバ(18)の内部に複数の要素又はパーディション(16)が提供され、前記要素又はパーディション(16)が、前記排ガスの長手方向移動に対する機械的な障壁及び/又は段階的な膨張を規定することが可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のコンベア装置。
【請求項6】
前記膨張チャンバ(18)の前記内面(19、20)の少なくとも1つが断熱されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のコンベア装置。
【請求項7】
前記膨張チャンバ(18)の前記表面(19、20)の少なくとも1つが、冷却手段(35)を設けられることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のコンベア装置。
【請求項8】
前記膨張チャンバ(18)の内部に、霧化された水を運搬するための手段(34)が存在することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のコンベア装置。
【請求項9】
前記吸引パイプ(25、26)が、前記コンベア通路(21)に接続されるが、前記コンベア通路(21)から独立していることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のコンベア装置。
【請求項10】
前記吸引パイプ(25、26)が、吸引手段(37、39、40)に結合されることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のコンベア装置。
【請求項11】
振動部材(32、33)が、前記吸引パイプ(25、26)に結合されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のコンベア装置。
【請求項12】
溶融プラント(11)のコンテナ又は溶融炉(12)に向かう金属装入物(13)を予熱するための方法であって、
コンベアステップを含み、
前記コンベアステップにおいて、前記金属装入物(13)が、少なくとも1つのコンベア通路(21)に沿って前記コンテナ又は溶融炉(12)に向けて進むようにされ、
それと同時に、上方のトンネル(17a)内で、前記コンテナ(12)から出た前記高温排ガスが、前記金属装入物(13)の進行方向とは逆方向に前進するようにされた方法において、
前記高温排ガスの少なくとも1つの膨張ステップを含み、
前記膨張ステップにおいて、前記高温排ガスが、長手方向で前記コンテナ又は溶融炉(12)の近くで、前記金属装入物(13)の少なくとも一部の上で機能する膨張チャンバ(18)内で速度低下するとともに膨張し、
前記排ガスが、前記金属装入物(13)と衝突する前に、前記膨張チャンバ(18)内部で膨張し、前記排ガスの燃焼が完了する程度に前記膨張チャンバ(18)内部に留まり、
前記膨張チャンバ(18)に入るときの1300℃〜1400℃の前記排ガスの温度から、前記排ガスが前記金属装入物に接触するときの800℃〜1000℃の温度への低下、及び40m/sから6m/s〜18m/sへの前記排ガスの速度の減少を実現する
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
少なくとも前記膨張チャンバ(18)の入口での前記排ガスが、未燃焼ガスを燃焼させるために、バーナ(34)の炎と協働するようにされることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記膨張チャンバ(18)内の前記排ガスが、運搬手段(34)によって霧化された水と協働するようにされることを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記排ガスが前記膨張チャンバ(18)内に留まる時間が、調整手段(43、45)によって調整されることを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記膨張チャンバ(18)内の前記排ガスが、前記パーディション(16)の存在によって少なくとも2倍に膨張することを特徴とする請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気アーク炉などの溶融炉であることがあるコンテナの内部に装入される鉄屑、高温又は低温海綿鉄(DRI)、銑鉄などの金属装入物を搬送及び予熱するための装置、及びそれに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融プラントのコンテナ(例えば溶融炉でよい)に金属装入物を搬送するための装置として振動又は揺動タイプのものが知られている。
【0003】
かかる既知の装置は、金属装入物を搬送しながら、炉から出る排ガスによって金属装入物を十分に予熱するのに十分に長い区間を提供する。
【0004】
既知の装置はそれぞれ、略U字形の断面を有するコンベア通路が取り付けられる支持構造を備える。
【0005】
コンベア通路の少なくとも一部が、1つ又は複数のフードによって上部でカバーされ、フードはトンネルを規定し、溶融炉から出た排ガスが、トンネル内へ、金属装入物が進行する方向と逆方向に流れて予熱を行う。
【0006】
しかし、これらの既知の装置は、排ガスの大部分がコンベア通路を覆うトンネルに1300℃〜1400℃の範囲内の比較的高温で導入されるにも関わらず、金属装入物の上層、すなわち排ガスの流れに直接当たる層しか適切に加熱することができないという欠点を有する。下の部分は、低温、又はかなり低い温度のままである。
【0007】
したがって、排ガスのエネルギー容量のかなりの割合が、金属装入物を加熱するために適切には使用されず、したがって、排ガスは依然かなり高い温度で予熱トンネルから出、金属装入物はその上層がより高い温度に達する可能性があるにせよ、100℃未満の平均温度でコンベア通路から排出される。
【0008】
また、例えば国際公開第94/09332A号又はイタリア特許第1359081B号から、排ガスの分散、したがって金属装入物の高さ全体にわたる熱の分散を促進するために、排ガスの一部を取り込む吸引手段がコンベア通路の下壁又は側壁に配設される装置も知られており、排ガスが上部から底部へ金属装入物を通過するよう強制する。これらの既知の解決策では、次いで、取り込まれた排ガスが、主放出パイプに向かう。
【0009】
特開平8−157930号公報及び独国特許出願公開DE10−2008−037111 A1号明細書は、溶融炉に装入される金属装入物のためのコンベア通路の他の解決方法を開示している。
【0010】
しかし、既知の解決策では、トンネルを規定する通常のフードが、コンベア通路を覆うように配設され、スクラップ(未反応の金属装入物)のかたまりの上部とコンベア通路の内面との間を排ガスが通る空間を区画する。
【0011】
そのようにして区画された通気空間は、溶融炉の内部体積、及び生成される排ガスの平均量とは無関係の体積を有し、したがって、排ガスは高速で通過し、金属装入物と短時間しか接触しない。
【0012】
金属装入物に排ガスが衝突することを企図する解決策でさえ、金属装入物が炉内に導入される区域に限定された金属装入物の過熱を伴うので、この問題を解決しない。実際、過熱は、装入物の局所的な溶融を生じることがあり、又は高温及び排ガスの不完全な燃焼によって引き起こされる爆発の可能性を生じることがある。
【0013】
局所的な溶融は、特に溶融炉内に装入物が導入される区域で生じる場合には、金属装入物の小塊の形成を伴うことがあり、かかる小塊はコンベア通路の閉塞を引き起こし、その結果、プラントへの長期にわたって手間のかかる保守介入が必要となる。
【0014】
既知の解決策の別の欠点は、排ガスに存在する何らかのガス、例えば一酸化炭素(CO)が燃焼されず、したがって、雰囲気中に送り込む前にさらなる処理を必要とすることである。
【0015】
さらに、トンネル内を通過中の排ガスが高速であることを考慮すると、排ガス中に存在する微粒子のほとんどが排ガスの流れの中に残り、したがって微粒子及び懸濁粉末がトンネルを通過し、出口で、特有のフィルタリング作用及び場合によっては回収を必要とし、プラントの製造、管理、及び保守のためのコスト及び時間の両方が増加する。
【0016】
さらに、トンネル内部で排ガスが金属装入物に衝突する際の高温が、スクラップ自体の酸化を引き起こし、スクラップを溶融炉内で溶融するためにより大きなエネルギー消費を必要とする。これはまた、材料の損失を生じ、金属装入物の歩留まりを減少させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の1つの目的は、溶融プラント内に金属装入物を搬送し、それと同時に予熱するための装置であって、高い歩留まりを有し、すなわち、排ガスによって金属装入物に与えられる熱エネルギーができるだけ高くなり、それと同時にスクラップを均一に加熱することができ、そのスクラップの酸化をできるだけ防ぐ装置を実現することである。
【0018】
本発明の別の目的は、金属装入物を搬送及び予熱するための装置であって、実質的に、未燃焼ガスを完全に燃焼できるようにし、有利にはまた、溶融炉から到達する排ガス中に存在する微粒子及び粉末を金属装入物上に沈殿させることができるようにする装置を実現することである。
【0019】
本発明の別の目的は、従来技術に比べて管理費及び維持費が削減される装置を実現することである。
【0020】
さらなる別の目的は、環境への影響がより少なく、外部に送られるガスから粉末が既に大部分フィルタ除去されている装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
独立クレームが、本発明を記載して特徴付け、従属クレームが、本発明の他の特徴、又は本発明の主要な着想に対する変形形態を表す。
【0022】
本発明による搬送及び予熱装置は、一般に知られているように、毎分8トンに達し、それを超える量で、溶融装置のコンテナに向けて金属装入物を搬送する働きをする。装置は、少なくとも1つのコンベア通路を備え、コンベア通路に沿って金属装入物が溶融装置に向けて進められる。
【0023】
コンベア通路は、金属装入物が載置される底壁と、収容側壁とを含む。
【0024】
既知の様式で、コンベア通路の上方に少なくとも1つのフードが配設され、フードはトンネルを規定し、トンネル内部で、溶融装置又は溶融炉によって生成された排ガスが既知の様式で搬送されて、金属装入物を予熱する。
【0025】
一実施形態では、コンベア通路の少なくとも1つの区間又は区域、有利には金属装入物の入口を区画する区域において、側壁に対応して、装置には排ガスを放出するための手段が設けられ、それにより、排ガスは金属装入物を通過し、金属装入物の高さの実質的に大部分にわたって予熱を行う。
【0026】
少なくとも、コンベア通路の側壁を通して排ガスが取り込まれる区間又は区域に、トンネル又は膨張チャンバが設けられ、異なる位置で金属装入物の上に配設され、トンネルと連通する。したがって、排ガスは、膨張チャンバ内部に搬送され、かなり速度低下する。なぜなら、排ガスは、排ガスの燃焼が略完了するように、少なくとも所望最短時間にわたって膨張チャンバ内に留まるようにされるからである。
【0027】
本発明による膨張チャンバの内部体積は、溶融炉の内部体積及び/又は溶融炉によって生成される排ガスの量に相関され、それにより、排ガスは、膨張チャンバ内部に入ると膨張して、所望の一貫した速度低下を生じ、この速度低下により、微粒子及び粉末の解放が容易になり、微粒子及び粉末は、金属装入物上に落ちて、金属装入物と共に溶融炉内部に戻る。
【0028】
一例を与えると、排ガスは、金属装入物に衝突して金属装入物を通過する前に、1.5秒〜6秒の間に含まれる時間、有利には少なくとも2/3秒にわたって膨張チャンバ内部に留まる。
【0029】
また、本発明による膨張チャンバの体積、及び膨張チャンバの内部で生じる排ガスの膨張は、金属装入物の温度を安定させて均一にするために、金属装入物の大きな区間の上で排ガスの質量を予め均一に分散させることを可能にし、したがって、金属装入物を通る排ガスの均一な通過を可能にして、金属装入物の広範かつ相当な加熱をもたらす。
【0030】
本発明の一変形形態は、膨張チャンバの区域が長手方向で変化し、排ガスの進行方向に対して逆方向に向かって減少することを企図する。
【0031】
一例を与えると、膨張チャンバによって決定される膨張により、排ガスの温度は、チャンバへの流入時の約1300℃〜1400℃から、金属装入物との接触時の約800℃〜1000℃に低下する。やはり一例として、膨張チャンバ内での速度は、約40m/sから、約6m/s〜18m/sの間、有利には約10m/s〜約14m/sの間に含まれる速度になる。本発明によるこれらの速度はまた、金属装入物を通過するための因子として維持することもできる。
【0032】
これらの温度及び減少された速度、並びに、進行する金属装入物を排ガスが通過することが、金属装入物の均質な加熱を決定する。低下された温度は、金属装入物に生じ得る局所的な溶融を劇的に減少させる。
【0033】
このようにして、金属装入物の均質な加熱を実現することができ、金属装入物を約600℃〜750℃にする。
【0034】
温度の低下は、金属装入物の酸化効果の加速も減少させる効果があり、その結果、金属装入物を溶融するためのプラントのエネルギー消費が減少し、金属装入物の歩留まりが増加する。
【0035】
単に一例を与えると、本発明による装置によって、平均で約30kWh/tから約60kWh/tの電気エネルギーを節約することができる。
【0036】
本発明による解決策により、少なくとも、排ガスが大気中に放出される前の排ガスのフィルタリング及び処理の必要性が、大幅に減少される。
【0037】
また、本発明は、排ガスと共に通過する微粒子及び粉末中に存在するいくつかの不活性元素、例えば亜鉛(Zn)が、金属装入物上への沈殿によって回収され、溶融炉内部に戻されることを可能にする。
【0038】
フィルタリング、排ガスの処理、及び酸化の減少により、プラントの製造、管理、及び保守の費用及び時間の両方が減少する。
【0039】
本出願人は、本発明による解決策によって回収されるエネルギーが、タップツータップ時間(tap−to−tap time)を約4〜5分短縮できるようにし、その結果、プラントの生産性が高まることを見出した。
【0040】
一変形形態によれば、膨張チャンバの体積は、200m
3〜約600m
3の間に含まれる。
【0041】
しかし、この体積は、コンテナの内部体積及び/又は内部で生成される排ガスの量、並びに所望の膨張の度合いに応じて変化することがあることを想起しなければならない。
【0042】
別の変形形態によれば、プラントは、側方装入アパーチャを設けられた少なくとも1つの溶融炉を備え、コンベア通路が、溶融炉内部に金属装入物を導入するように側方装入アパーチャに向いている。この変形形態では、溶融炉は、典型的には、排ガスを放出するために上側出口を有し、本発明は、排ガス放出出口と膨張チャンバの間に流体接続パイプを具備し、それにより、溶融炉内部で生成された排ガスが膨張チャンバ内に直接導入され、コンベア通路を通る流れを実質的になくす。
【0043】
この変形形態の解決策では、少なくとも排ガスが膨張チャンバによって区画される膨張を受けるまでは、金属装入物は、実質的に、溶融炉から出る高温の排ガスの範囲外にある。
【0044】
この変形形態の解決策は、金属装入物の局所的な溶融を減少させることができるようにし、コンベア通路の閉塞をもたらすことがある金属装入物の塊の形成を防止する。
【0045】
別の変形形態によれば、膨張チャンバの内部に、複数の"パーディション"、又は他の同様の部材若しくは同等の部材が設けられ、それらのパーディションは、排ガスの移動に対する機械的な障壁を規定することができ、それにより、膨張ステップ、並びに微粒子及び粉末の飛散を調整する。
【0046】
別の変形形態によれば、少なくとも1つの側壁及びカバー壁の内面が、例えば耐火材料からなる断熱層によってライニングされ、膨張後の排ガスの温度の変動を調整する。
【0047】
別の変形形態によれば、膨張チャンバの内面の少なくとも一部分に、冷却部材、例えばコイルが設けられて、膨張後の排ガスの温度の変動を調整する。
【0048】
別の変形形態によれば、少なくとも1つのバーナが設けられ、バーナは、膨張チャンバの内部に配設されて、ガスの事後燃焼を引き起こし、又は加速させ、有利には排ガス進入区域と協働する。
【0049】
別の変形形態によれば、1つ又は複数のノズルが設けられ、ノズルは、膨張チャンバに入る排ガスに所望の量の水を噴霧することができ、入口で、排ガスの温度の能動制御を行う。この解決策は、排ガスの生じ得る熱的ピークを減少及び制御できるようにする。熱的ピークは、溶融サイクルの様々なステップで生じる。
【0050】
別の変形形態によれば、側方排ガス放出手段は、コンベア通路の側壁に外側から結合された少なくとも1つの吸引パイプを備え、少なくとも1つの吸引パイプは、コンベア通路の側壁を備えた一つの部材からなる。
【0051】
別の実施形態では、少なくとも1つの排ガス吸引パイプは、コンベア通路に接続されるが、コンベア通路から独立しており、それにより、金属装入物の移送ステップ中にコンベア通路を自律的に振動させることができる。
【0052】
場合によっては吸引調整手段を設けられる吸引手段は、有利には吸引パイプに結合されて、排ガスの流れを促進及び調整し、したがって金属装入物の温度を調整する。
【0053】
側壁の少なくとも1つは、有利には、少なくとも1つのアパーチャ又はスリットが設けられ、アパーチャ又はスリットが、排ガスを放出するために、コンベア通路を対応する吸引パイプと連絡させる。
【0054】
また、一変形形態によるアパーチャ又はスリットは、排ガスが内部に留まっている時間をより良く制御するために、膨張チャンバの底壁の一部に影響を及ぼすことがある。
【0055】
別の変形形態によれば、振動部材が吸引パイプに結合され、振動部材は、それぞれの側方区室の内部での粉末及び他の不純物の堆積を制限することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明のこれら及び他の特徴は、添付図面を参照して非限定的な例として与えられる以下の説明から明らかになろう。
【0057】
【
図1】本発明による搬送及び予熱装置が適用される溶融プラントの概略側面図である。
【
図5】一変形形態による
図1の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
添付図面において、可能であれば、実質的に同一の共通の要素を識別するために同じ参照番号が使用されている。一実施形態の要素及び特性は、さらなる説明がなくても、他の実施形態に簡便に組み込むことができることを理解されたい。
【0059】
添付図面を参照すると、参照番号10は、全体として、本発明による搬送及び予熱装置を表す。
【0060】
図1を参照すると、装置10は、例えば電気アークタイプの溶融炉12を設けられた実質的に既知のタイプの溶融プラント11内に設置され、コンテナ又は溶融炉12(以下、単に溶融炉12と言う。)は、例えば鉄屑、高温又は低温海綿鉄、低温銑鉄などの金属装入物13を、装入アパーチャ14を通して側方から供給される。
【0061】
本発明による装置10は、金属装入物13を輸送し、金属装入物13が溶融炉12内に導入される前に金属装入物13を予熱することができるようにする。
【0062】
この場合、プラント10は、金属装入物13を堆積することができる装入モジュール15を備える。装入モジュール15の下流に、搬送及び予熱装置10が配設され、搬送及び予熱装置10内で、金属装入物13は、溶融炉12内に導入される前に予熱される。
【0063】
装置10は、装入アパーチャ14と協働するように適合されたコンベア通路21を備える。
【0064】
コンベア通路21は、略水平な底壁22と、2つの側壁23及び24とを備え、これらの壁は、この場合、略U字形の断面を規定する(
図2及び
図3)。
【0065】
金属装入物13は、この場合、既知の振動装置によって発生される、コンベア通路21の長手方向での振動又は揺動運動によって進む。
【0066】
また、装置10は、コンベア通路21の上に配設された1つ又は複数のフード17を備え、それにより、膨張チャンバ18として機能する予熱トンネル17aを規定する。
【0067】
特に、トンネル17aの最終区域、すなわち溶融炉12内へのコンベア通路21の入口に近い区域に対応して、フード17は、この場合、側壁20及びカバー壁19を有し、それにより、コンベア通路21の上に膨張チャンバ18を規定する。
【0068】
膨張チャンバ18は、製造技法及び利用可能な空間に応じて異なる断面を有することがある。また、金属装入物13が進む方向とは逆方向に向かって面積が減少する断面を有することもできる。
【0069】
膨張チャンバ18は、排ガスを膨張させ、排ガスの速度を遅くし、また排ガスの温度を低下させるような体積を有する。
【0070】
膨張チャンバ18の内部に、1つ又は複数の分割障壁16が存在することがあり、これらの分割障壁16は、排ガスの膨張及び加速を生み出し、それに続いてさらなる膨張を生み出して、粉末の堆積を強める。
【0071】
膨張チャンバ18内部の排ガスの膨張の結果、速度が、約40m/sから約10m/s〜14m/sに減少し、排ガスの温度が、コンテナ又は溶融炉12からの出口での約1300℃〜1400℃から、排ガスが金属装入物13に接触するときの約800℃〜1000℃に低下する。
【0072】
さらに、排ガスが金属装入物13を通過する際の低い速度は、金属装入物13との排ガスの均質な接触を促進し、局所的な過熱を防止する。
【0073】
例えば
図6に示されるように、冷却水が通される複数の管からなる冷却パネル35が、膨張チャンバ18の側壁20及びカバー壁19に結合される。
【0074】
他の実施形態では、膨張チャンバ18を構成するために、側壁20及びカバー壁19は、互いに隣接する管状部材と、管状要素の長さに沿って溶接されたシールとからなる。この場合、管状要素は、冷却機能を有するだけでなく、排ガスを封止及び搬送する機能も有する。
【0075】
他の実施形態では、側壁20及びカバー壁19は、熱交換面を向上させるために、それぞれの外面に設けられた強力なフィンによって冷却される。
【0076】
図6に示される解決策では、側壁20の1つに、1つ又は複数の安全ドア47が設けられ、膨張チャンバ18内で生じ得る爆発後のエネルギー排出を可能にする。
【0077】
同様に(
図6、
図8、及び
図9)、膨張チャンバ18内に作業の手が届くようにする検査ドア49が、カバー壁19に設けられる。
【0078】
膨張チャンバ18(
図1)の内部で、バーナ(概略的にのみ示す)が協働して、溶融炉12から出る未燃焼排ガスの燃焼を可能にする。
【0079】
同様に、排ガスの温度を能動的に調整するために、霧化された水を運搬するための運搬ランス34が設けられ、膨張チャンバ18に沿って配設された温度センサによって排ガスを制御する。
【0080】
装置10は、溶融炉12の第4の穴を膨張チャンバ18と接続するように配設された
接続パイプ28を備える。
【0081】
接続パイプ28は、装入アパーチャ14が閉じられているとき、溶融炉12内部で生成された排ガスの略全てを膨張チャンバ18内部に直接搬送することを可能にする。
【0082】
接続パイプ28の使用可能な経路表面と、膨張チャンバ18の断面の面積との比率は、上述したように膨張チャンバ18内部で排ガスの膨張条件が得られる範囲内にある。
【0083】
別の実施形態(
図5)によれば、
接続パイプ28を使用するのではなく、溶融炉12のカバーに側方アパーチャ55が設けられ、側方アパーチャ55は、膨張チャンバ18の第1の部分56に直接接続される。特に、膨張チャンバの第1の部分56は、溶融炉12から出る排ガスを所期の通りに膨張させるように、金属装入物13の進行方向とは逆方向に向かって略末広がりであり、また、コンベアチャンバ21の末端放出部分のすぐ上に配設される。
【0084】
図6を参照して述べる第1の部分56は、冷却パネル35を有し、部分56の外面で部分56の表面を冷却する。
【0085】
この実施形態は、溶融炉12とコンベア通路21との他のタイプの接続よりも有利である。なぜなら、排ガスが膨張チャンバ18内に直接進み、溶融炉12内に装入される直前の金属装入物に直接当たるということを考慮すると、湾曲したパイプや狭い区域などによる負荷の損失がかなり減少され、放熱が制限されるからである。
【0086】
有利には、トンネル17aの全長に沿って、コンベア通路21の側壁23及び24の側部に、吸引パイプ25及び26が設けられ(
図2、
図3、
図5、及び
図6)、側壁23及び24は、吸引パイプ25及び26の間に、金属装入物13の中央コンベア通路区室を規定する。
【0087】
さらに、吸引パイプ25及び26は、側壁23及び24を備える。
【0088】
図2及び
図3及び
図9に示される実施形態では、吸引パイプ25及び26は、コンベア通路21と一つの部材で形成される。
【0089】
図6及び
図9に示される実施形態では、吸引パイプ25と26は、コンベア通路21と別々に結合される。
【0090】
この場合、吸引パイプ25と26を互いに接続するために、既知のタイプの適切な液圧シール50が設けられる。
【0091】
一実施形態(
図8)において、吸引パイプ25及び26は、装置10全体の底部にしっかりと取り付けられ、一方、コンベア通路21は、上述したように、材料を輸送するために揺動又は振動を受ける。この解決策は、2つの吸引パイプ25及び26を実質的に静止して保つことができるようにし、コンベア通路21の移動による機械的な応力を制限する。
【0092】
有利には、各吸引パイプ25及び26は、適切な検査ドア36を設けられ、ドア36は、吸引パイプ25及び26の選択的な検査を可能にするように、及び/又は内部保守及び洗浄を行うように適合される。
【0093】
吸引パイプ25及び26の側壁23及び24は、側方で間隔を空けて通気アパーチャ30又はスリット(
図4)を有し、通気アパーチャ30又はスリットは、中央コンベア通路区室38から吸引パイプ25及び26に向けて側方に排ガスを放出できるようにする。
【0094】
図4及び
図7に示される解決策では、通気アパーチャ30は、排ガスが出られるようにするが、それと同時に金属装入物が詰まるのを防止する手段として適合されるか、又はそのような手段を備える。
【0095】
通気アパーチャ30は、側壁23、24(
図6)に形成され、他の実施形態では、底壁22にも少なくとも一部にわたって形成することができる。
【0096】
この場合、振動部材32及び33が設けられ、吸引パイプ25及び26と協働し(
図3)、粉末又は他の不純物が吸引パイプ25及び26の内部に沈殿するのを防止するか、又は少なくとも制限する。
【0097】
別の実施形態(
図9)では、コンベア通路21と吸引パイプ25及び26との接続は、機械的なラビリンス式シール51によって得られ、シール51は、2つの分離体要素53を備え、分離体要素53は、コンベア通路21の側壁23及び24に略平行に延び、各吸引パイプ25及び26の底部に堅固に結合され、側方区室27及び29よりも低い。
【0098】
この実施形態では、側壁23及び24は、既に述べたように通気アパーチャ30を有することができ、又は側壁23及び24の全長にわたって、側壁23及び24の下部のみに延在する連続的なアパーチャを備えることができる。
【0099】
吸引されてスクラップを通過させられた排ガスは、強制的にラビリンスタイプの経路を辿らされ、この経路は、排ガスの速度を低下させて、粉末及びより小さな金属装入物断片をコンベア通路21の底壁22に堆積し、したがって、排ガスが処理される前に排ガスの第1のフィルタリングを行う。
【0100】
各吸引パイプ25及び26が、それぞれの排ガス放出パイプ37、39に接続される。
【0101】
ここで図示されるこの場合には、放出パイプ37、39は、出口パイプ40に連通し、出口パイプ40は、実質的に既知のタイプの排ガス吸引プラントに接続された。
【0102】
また、出口パイプ40は、膨張チャンバ18を吸引プラントと接続して、排ガスを取り込むために所望の負圧を決定する。
【0103】
各放出パイプ37及び39の内部に弁要素43が配設され、放出パイプ37及び39を通して取り込まれる排ガスの量を調整するように選択的に作動させることが可能である。
【0104】
このようにすると、放出パイプ37及び39を通る排ガスの所望の吸引を保証することができ、それにより、使用される金属装入物13のタイプに応じて、金属装入物13の予熱温度を調整できるようになる。
【0105】
また、出口パイプ40は適切な弁要素45を設けられ、弁要素45は、排ガスと金属装入物13の間の熱交換を調整するように選択的に作動させることが可能である。
【0106】
弁要素43及び45の選択的な開放により、様々なスクラップ加熱モードを有する装置10を使用できるようになり、場合によっては、金属装入物13内への進入を調整し、又は単に排ガスを膨張チャンバ18の内部に通す。
【0107】
また、装置10は、金属装入物13がトンネル17aの内部に入る区域に対応して、既知のタイプの静的シーリング装置46、及び/又は動的タイプのシーリング装置を備える。
【0108】
ここまで述べた装置10は、以下のように機能する。
【0109】
出口パイプ40の上流で吸引プラントを作動させることによって、溶融炉12内で生成された排ガスが膨張チャンバ18内部に達するまで、排ガスの流れが接続パイプ28内部で発生される。
【0110】
排ガスは、膨張チャンバ18に達するとき、速度が減少し、温度が低下する。
【0111】
吸引作用は、コンベア通路21の底壁22に近接してトンネル17aに沿って設けられる通気アパーチャ30を通して排ガスを通過させ、それにより、排ガスは、移動する金属装入物13を上部から底部へ通過する。
【0112】
使用される金属装入物13のタイプに応じて弁要素43及び45の開放を調整することによって、金属装入物13自体の加熱温度を調整することが可能である。
【0113】
金属装入物13の断面を通して排ガスを通過させることによって、排ガスの熱エネルギーを最適に使用して、金属装入物13の略均一な加熱が確認される。
【0114】
ここまで述べた装置10に対する各部の修正及び/又は追加を行うことができ、特許請求の範囲に記載した特徴を有する溶融プラント内で鉄屑を搬送するための搬送及び予熱装置の多くの他の均等形態を実現することが当業者には当然可能であり、したがってそれらがすべて、特許請求の範囲によって定義される保護範囲内に入ることは明らかである。
【0115】
例えば、別の変形形態によれば、通気アパーチャ30は、提供される金属装入物13のタイプに応じて調節可能な大きさを有することができ、又は、吸引パイプ25及び26の内部に金属装入物13の一部が入るのを防止するために保護グリッドを備えることができる。