特許第5755852号(P5755852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5755852-温度センサ及び温度センサの製造方法 図000002
  • 特許5755852-温度センサ及び温度センサの製造方法 図000003
  • 特許5755852-温度センサ及び温度センサの製造方法 図000004
  • 特許5755852-温度センサ及び温度センサの製造方法 図000005
  • 特許5755852-温度センサ及び温度センサの製造方法 図000006
  • 特許5755852-温度センサ及び温度センサの製造方法 図000007
  • 特許5755852-温度センサ及び温度センサの製造方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755852
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】温度センサ及び温度センサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/00 20060101AFI20150709BHJP
   G01K 7/22 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   G01K7/00 A
   G01K7/22 J
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-177786(P2010-177786)
(22)【出願日】2010年8月6日
(65)【公開番号】特開2012-37384(P2012-37384A)
(43)【公開日】2012年2月23日
【審査請求日】2013年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山中 一輝
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−223601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 7/00
G01K 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度を測定する温度素子部と、前記温度素子部とブラケットを一体とするモールド樹脂部とを備え、前記モールド樹脂部には、前記温度素子部を外部に開口する温度測定用窓部が設けられていることを特徴とする温度センサ。
【請求項2】
請求項1記載の温度センサであって、
前記ブラケットには、前記温度素子部と前記モールド樹脂部外に導き出される電線を仮保持する仮保持部が設けられていることを特徴とする温度センサ。
【請求項3】
温度を測定する温度素子部に電線を接続する工程と、
その後、前記温度素子部と前記電線をブラケットの仮保持部に仮保持する工程と、
その後、前記温度素子部と前記ブラケットを一体とし、且つ、前記温度素子部を外部に開口する温度測定用窓部を有するモールド樹脂部を形成するモールド樹脂成形を行う工程とを備えたことを特徴とする温度センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサ及び温度センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温度センサは、温度情報を得たい箇所(例えば、車両のトランスミッション内)に組み付けする必要があり、従来より種々のものが提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。図6及び図7に温度センサの一従来例が示されている。
【0003】
この温度センサ50は、図6に示すように、温度素子部であるサーミスタ51と、このサーミスタ51を収容するケース部60と、サーミスタ51の一対のリード線に各ジョイント部52を介してそれぞれ接続され、ケース部60の外部に導き出された2本の電線Wとから構成されている。温度センサ50は、図7に示すように、トランスミッション内のブラケット70に2本のインシュロック部材71を介して固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−279371号公報
【特許文献2】特開2008−1225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来例では、温度センサ50をブラケット70にインシュロック部材71を用いて組み付けする必要があるため、組み付け性が悪い。又、温度センサ50とブラケット70の他にインシュロック部材71を用いるため、部品点数が多く、重量化、コストアップ、レイアウトスペースの増大等になるという問題がある。
【0006】
尚、特許文献1には、一対のリード部を弾性変形させた状態で温度センサを圧力導入孔に配置する技術が開示されている。しかし、温度センサを圧力導入孔に所定の形態で挿入する必要があるため、組み付け性が悪い。その上、圧力導入孔のような特殊な取り付け箇所でなければ温度センサを設置できないため、取付箇所に汎用性がない。
【0007】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、組み付け性が良く、しかも、部品点数の削減による軽量化、コストダウン、レイアウトスペースの削減等が図れる温度センサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、温度を測定する温度素子部と、前記温度素子部とブラケットを一体とするモールド樹脂部とを備え、前記モールド樹脂部には、前記温度素子部を外部に開口する温度測定用窓部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
前記ブラケットには、前記温度素子部と前記モールド樹脂部外に導き出される電線を仮保持する仮保持部を設けることが好ましい。
【0010】
他の発明は、温度センサの製造方法であって、温度を測定する温度素子部に電線を接続する工程と、その後、前記温度素子部と前記電線をブラケットの仮保持部に仮保持する工程と、その後、前記温度素子部と前記ブラケットを一体とし、且つ、前記温度素子部を外部に開口する温度測定用窓部を有するモールド樹脂部を形成するモールド樹脂成形を行う工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、温度センサはブラケットと一体であるため、ブラケットを取り付けすれば、温度センサの組み付けが完了する。また、従来例のように温度センサをブラケットに組み付けするための部品が必要ない。以上より、組み付け性が良く、しかも、部品点数の削減による軽量化、コストダウン、レイアウトスペースの削減等が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態を示し、温度センサの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態を示し、(a)はブラケットの正面図、(b)はブラケットの底面部である。
図3】本発明の一実施形態を示し、(a)はサーミスタのリード線と電線間を接続した状態を示す正面図、(b)サーミスタのリード線と電線間を接続した状態を示す底面図である。
図4】本発明の一実施形態を示し、(a)はブラケットにサーミスタ等を仮保持した状態を示す正面図、(b)はブラケットにサーミスタ等を仮保持した状態を示す底面図である。
図5】本発明の一実施形態を示し、(a)はサーミスタとブラケットを一体にする樹脂モールド成形を行った状態を示す正面図、(b)はサーミスタとブラケットを一体にする樹脂モールド成形を行った状態を示す底面図である。
図6】従来例を示し、温度センサの斜視図である。
図7】従来例を示し、温度センサをブラケットに組み付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1図5は本発明の一実施形態を示す。図1に示すように、温度センサ1は、トランスミッション内に設置される。温度センサ1は、温度を測定する温度素子部であるサーミスタ2と、このサーミスタ2とブラケット20を一体とするモールド樹脂部10と、サーミスタ2の一対のリード線2aに各ジョイント部3(図2(b)に示す)を介してそれぞれ接続され、モールド樹脂部10の外部に導き出された2本の電線Wとから構成されている。
【0015】
サーミスタ2は、温度に応じて抵抗値が変化し、抵抗値の変化に基づく電気量を出力する。
【0016】
モールド樹脂部10は、モールド樹脂成形により形成されている。モールド樹脂部10は、ほぼ長方形状である。モールド樹脂部10内には、一対のリード線2aを含むサーミスタ2と各ジョイント部3と2本の電線Wの一端側とブラケット20の一部が配置されている。モールド樹脂部10には、サーミスタ2を外部に開口する温度測定用窓部10aが設けられている。
【0017】
図2(a)、(b)に示すように、ブラケット20は、トランスミッション内に取り付けるための取付部(図示せず)を有する。ブラケット20は、サーミスタ2を仮保持するサーミスタ仮保持部21とモールド樹脂部10外に導き出される電線Wを仮保持する一対の電線仮保持部22とを有している。
【0018】
次に、温度センサ1の製造方法を簡単に説明する。先ず、図3(a)、(b)に示すように、サーミスタ2の一対のリード線2aと2本の電線Wをジョイント部3で接続する。
【0019】
次に、図4(a)、(b)に示すように、ブラケット20のサーミスタ仮保持部21と一対の電線仮保持部22にサーミスタ2と一対のジョイント部3を仮保持する。
【0020】
次に、図5(a)、(b)に示すように、サーミスタ2とブラケット20を一体とするモールド樹脂部10をモールド樹脂成形によって形成する。以上で、製造が完了する。
【0021】
このように製造された温度センサ1は、ブラケット20をトランスミッション内の被取付部に取り付ければ、組み付けできる。
【0022】
以上説明したように、温度センサ1は、サーミスタ2と、サーミスタ2とブラケット20を一体とするモールド樹脂部10とを備えている。従って、温度センサ1を組み付けする箇所、つまり、トランスミッションの被取付位置にブラケット20を取り付けすれば、温度センサ1の組み付けが完了する。又、従来例のように温度センサ1をブラケット20に組み付けするための部品が一切必要ない。以上より、組み付け性が良く、しかも、部品点数の削減による軽量化、コストダウン、レイアウトスペースの削減等が図れる。
【0023】
また、この実施形態では、温度センサ1をトランスミッション内に取り付けるが、温度センサ1をブラケット20によって取り付けるため、温度センサ1の設置個所が限定されず、設置個所に汎用性がある。
【0024】
特に、トランスミッション内は、スペース制約が厳しく、従来例のようなインシュロック部材を含めた温度センサ用のクリアランス確保が非常に困難な状況である。本発明では、従来例と比較して、インシュロック部材の設置分が削減できるため、トランスミッション内の設置を可能とする。
【0025】
温度センサ1の製造とワイヤーハーネスの製造を一箇所で行う場合には、ワイヤーハーネス製造工程のライン側にモールド樹脂成形機を設置する。これによって、温度センサ1を備えたワイヤーハーネスを一連の製造工程で製造することができる。つまり、ワイヤーハーネスのフレキシブルな製造工程を実現できる。
【0026】
ブラケット20には、サーミスタ2を仮保持するサーミスタ仮保持部21とモールド樹脂部10外に導き出される電線Wを仮保持する電線仮保持部22が設けられている。従って、サーミスタ2と電線Wのブラケット20への仮保持を所定の位置に迅速に、且つ、確実に行うことができる。
【0027】
(変形例等)
前記各実施形態では、温度素子部は、サーミスタ2であるが、温度を電気信号に変換できるものであれば良い。
【0028】
前記各実施形態では、温度センサ1を車両のトランスミッション内に配置するが、温度センサ1の配置箇所はどこでも良い。
【符号の説明】
【0029】
1 温度センサ
2 サーミスタ(温度素子部)
10 モールド樹脂部
20 ブラケット
21 サーミスタ仮保持部(仮保持部)
22 電線仮保持部(仮保持部)
W 電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7