(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された油漏れ検知器は、その原理上、油に限らず、光ファイバのコアより屈折率の高い液体であれば検知することができるが、検知対象液体が複数存在する場合には、光ファイバに付着した液体が何であるか識別することはできなかった。液漏れの可能性のある液体(検知対象液体)が複数存在するケースでは、実際に漏れた液体の種類によって作業員がとるべき対応策が異なるため、漏れた液体が何であるかを識別することは極めて重要である。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、検知対象液体が複数存在する場合であっても光ファイバに付着した液体の識別が可能な液体検知器及び液体識別システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、液体検知器に係る第1の解決手段として、屈曲部が設けられた複数の光ファイバと、前記光ファイバの各々に個別に設けられ、外部入力される電気信号に応じた光を前記光ファイバの一端に入射する発光素子と、前記光ファイバの各々に個別に設けられ、前記光ファイバの他端から出射される光に応じた電気信号を外部出力する受光素子とを具備し、各光ファイバの屈曲部の曲げ半径は、それぞれが担当する検知対象液体の屈折率に応じて設定されているという手段を採用する。
既に述べたように、光ファイバは、光の伝播路となる高屈折率のコアと、該コアを覆う低屈折率のクラッドとの2重構造となっている。このような光ファイバを屈曲させても、その屈曲部のコアを伝播する光の反射角が臨界角より小さければ、光はコア外部に漏れることなくコア内部を伝播する。しかしながら、光ファイバを大きく屈曲させて、その屈曲部のコアを伝播する光の反射角が臨界角より大きくなると、光はコア外部に漏れ出す。
本願発明者は、上記のような光ファイバの特性に着目し、光ファイバに屈曲部を設け、その屈曲部に液体を付着させる前と付着させた後との透過光量を測定することにより、複数種類の液体について屈曲部の曲げ半径と透過光量の変化率(つまり液体の付着による光漏れ量)との関係を鋭意検証した。
その結果、屈曲部の曲げ半径が小さい程、液体の付着による光漏れ量は大きくなり、屈折率がコアより低い液体、或いは屈折率がコアに近い液体であっても検知可能であることがわかった(勿論、屈折率がコアより高い液体でも検知可能)。
しかしながら、仮に光ファイバを1本だけ用い、屈折率がコアより低い液体に合わせて屈曲部の曲げ半径を設定したと仮定すると、その液体だけでなく、その液体より屈折率の高い液体であれば透過光量に変化が生じる(光漏れが生じる)ため、検知対象の液体が複数存在する場合には、付着した液体が何であるか識別することはできない。
そこで、本願発明者は、液体検知器の構成として屈曲部が設けられた複数の光ファイバを用い、各光ファイバの屈曲部の曲げ半径を検知対象液体の屈折率に応じて設定するという手段を採用することにより、上記課題を解決した。
例えば、検知対象液体として、屈折率がコアより低い液体A、屈折率がコアに近い液体B、屈折率がコアより高い液体Cとの3種類の液体が存在し、第1の光ファイバの屈曲部の曲げ半径は液体Aの屈折率に応じて設定され、第2の光ファイバの屈曲部の曲げ半径は液体Bの屈折率に応じて設定され、第3の光ファイバの屈曲部の曲げ半径は液体Cの屈折率に応じて設定されていると仮定する。
この場合、第1の光ファイバでは、液体A以上の屈折率を有する液体(つまり、液体A、B、C)が付着すると透過光量の変化が生じる。また、第2の光ファイバでは、液体B以上の屈折率を有する液体(つまり、液体B、C)が付着すると透過光量の変化が生じる。また、第3の光ファイバでは、液体C以上の屈折率を有する液体(つまり、液体C)が付着すると透過光量の変化が生じる。
従って、3つの光ファイバの内、第1の光ファイバのみに透過光量の変化が生じた場合には、液体Aが付着したと判断できる。また、第1及び第2の光ファイバのみに同時に透過光量の変化が生じた場合には、液体Bが付着したと判断できる。さらに、第1〜第3の光ファイバの全てにおいて同時に透過光量の変化が生じた場合には、液体Cが付着したと判断できる。つまり、光ファイバに付着した液体の識別が可能となる。
【0008】
また、本発明では、液体検知器に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記屈曲部は、前記光ファイバの各々に複数設けられているという手段を採用する。
これによると、1つの光ファイバに設ける屈曲部の数を増やす程、光漏れ量は大きくなるため、液体の検知精度が向上する。しかしながら、あまりに光漏れ量が大きくなると、光ファイバの出射光量が大幅に低下してしまい、逆に検知精度が低下する虞がある。そのため、1つの光ファイバに設ける屈曲部の数は、2〜3個程度とすることが望ましい。
【0009】
また、本発明では、液体検知器に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記屈曲部の各々には、それぞれが担当する検知対象液体を吸収する吸収材が装着されているという手段を採用する。
これによると、屈曲部に付着する検知対象液体の量が増大するため、液体の検知精度が向上する。例えば、上記の例を用いると、第1の光ファイバの屈曲部には液体Aを吸収する吸収材を装着し、第2の光ファイバの屈曲部には液体Bを吸収する吸収材を装着し、第3の光ファイバの屈曲部には液体Cを吸収する吸収材を装着すれば良い。
【0010】
一方、本発明では、液体識別システムに係る解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段を有する液体検知器と、前記液体検知器に設けられた前記発光素子の各々に対して基準光量を有する光が発生するような電気信号を出力すると共に、前記液体検知器に設けられた前記受光素子の各々から入力される電気信号に基づいて各受光素子の受光光量を各光ファイバの透過光量として求め、各光ファイバの透過光量の変化を基に前記検知対象液体の識別を行う識別装置とを具備することを特徴とする。
このような液体識別システムによれば、液体検知器の光ファイバに付着した液体の識別を自動的に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検知対象液体が複数存在する場合であっても光ファイバに付着した液体の識別が可能な液体検知器及び液体識別システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における液体識別システムの構成概略図である。この
図1に示すように、本実施形態における液体識別システムは、液体検知器1及び識別装置2から構成されている。なお、本実施形態では、検知対象液体として、屈折率が後述の光ファイバのコアより低い液体A(例えば水)、屈折率がコアに近い液体B(例えばケロシン系燃料)、屈折率がコアより高い液体C(例えば油)との3種類の液体が存在するケースを想定する。
【0014】
液体検知器1は、第1の光ファイバ11A、第1の発光素子12A及び第1の受光素子13Aを備える第1の検知ユニット1Aと、第2の光ファイバ11B、第2の発光素子12B及び第2の受光素子13Bを備える第2の検知ユニット1Bと、第3の光ファイバ11C、第3の発光素子12C及び第3の受光素子13Cを備える第3の検知ユニット1Cとから構成されている。
【0015】
第1の光ファイバ11A、第2の光ファイバ11B及び第3の光ファイバ11Cは、それぞれ光の伝播路となる高屈折率(例えば1.492)のコアと、該コアを覆う低屈折率(例えば1.417)のクラッドとの2重構造となっていると共に、それぞれ検知対象液体の屈折率に応じた曲げ半径を有する屈曲部が設けられている。
【0016】
第1の光ファイバ11Aに設けられた屈曲部の曲げ半径は、液体Aの屈折率(例えば1.33)に応じて設定されており、他の光ファイバと比べて最も小さい値に設定されている。
第2の光ファイバ11Bに設けられた屈曲部の曲げ半径は、液体Bの屈折率(例えば1.44)に応じて設定されており、他の光ファイバと比べて中間程度の値に設定されている。
第3の光ファイバ11Cに設けられた屈曲部の曲げ半径は、液体Cの屈折率(例えば1.50)に応じて設定されており、他の光ファイバと比べて最も大きい値に設定されている。
【0017】
第1の発光素子12Aは、第1の光ファイバ11Aに対して個別に設けられた発光ダイオードであり、識別装置2から外部入力される電気信号に応じた光を第1の光ファイバ11Aの一端に入射するものである。
第2の発光素子12Bは、第2の光ファイバ11Bに対して個別に設けられた発光ダイオードであり、識別装置2から外部入力される電気信号に応じた光を第2の光ファイバ11Bの一端に入射するものである。
第3の発光素子12Cは、第3の光ファイバ11Cに対して個別に設けられた発光ダイオードであり、識別装置2から外部入力される電気信号に応じた光を第3の光ファイバ11Cの一端に入射するものである。
【0018】
第1の受光素子13Aは、第1の光ファイバ11Aに対して個別に設けられたフォトダイオードであり、第1の光ファイバ11Aの他端から出射される光に応じた電気信号を識別装置2に対して外部出力するものである。
第2の受光素子13Bは、第2の光ファイバ11Bに対して個別に設けられたフォトダイオードであり、第2の光ファイバ11Bの他端から出射される光に応じた電気信号を識別装置2に対して外部出力するものである。
第3の受光素子13Cは、第3の光ファイバ11Cに対して個別に設けられたフォトダイオードであり、第3の光ファイバ11Cの他端から出射される光に応じた電気信号を識別装置2に対して外部出力するものである。
【0019】
識別装置2は、液体検知器1に設けられた第1の発光素子12A、第2の発光素子12B及び第3の発光素子12Cの各々に対して基準光量を有する光が発生するような電気信号を出力する。また、詳細は後述するが、この識別装置2は、液体検知器1に設けられた第1の受光素子13A、第2の受光素子13B及び第3の受光素子13Cの各々から入力される電気信号に基づいて各受光素子の受光光量を、第1の光ファイバ11A、第2の光ファイバ11B及び第3の光ファイバ11Cのそれぞれの透過光量として求め、各光ファイバの透過光量の変化を基に検知対象液体の識別を行い、その識別結果を外部装置に提供する機能を有している。
【0020】
続いて、
図2及び
図3を参照しながら、上述した第1の光ファイバ11A、第1の発光素子12A及び第1の受光素子13Aを備える第1の検知ユニット1Aの詳細構成について説明する。なお、
図2及び
図3では、第1の検知ユニット1Aを代表的に図示しているが、第2の検知ユニット1B及び第3の検知ユニット1Cも同様の構成である。
【0021】
これら
図2及び
図3に示すように、第1の検知ユニット1Aは、第1の光ファイバ11A、第1の発光素子12A及び第1の受光素子13Aに加えて、ケーシング31、蓋体32、ファイバコネクタ33、34、ケーブルコネクタ35、信号ケーブル36、回路基板37及び保護カバー38から構成されている。
【0022】
ケーシング31は、上端にフランジ31aが設けられていると共に、下端に底部31bが設けられた円筒形状をなす樹脂製筐体であり、内部に第1の発光素子12A、第1の受光素子13A及び回路基板37を収容している。蓋体32は、ケーシング31のフランジ31aと同一の径を有する円板形状部材であって、不図示のOリングを挟んだ状態でフランジ31aにボルト締めされている。
【0023】
ファイバコネクタ33は、第1の光ファイバ11Aの一端を蓋体32の上面に機械的に接続すると共に、ケーシング31に内包された第1の発光素子12Aから出射される光を第1の光ファイバ11Aの一端に導入する役割を担っている。ファイバコネクタ34は、第1の光ファイバ11Aの他端を蓋体32の上面に機械的に接続すると共に、第1の光ファイバ11Aの他端から出射された光をケーシング31に内包された第1の受光素子13Aに導入する役割を担っている。
【0024】
第1の光ファイバ11Aは、一端がファイバコネクタ33に接続され、他端がファイバコネクタ34に接続された状態で、ケーシング31の側壁面に設けられたガイド部材31cに案内されながらケーシング31の外周を一周するように配置されている。
図2(b)は、ケーシング31の底部31bを視た図であるが、この図に示すように、第1の光ファイバ11Aは、ケーシング31の底部31bにおいて2つの屈曲部が形成されるように屈曲して配置されている。これら2つの屈曲部の曲げ半径は、液体Aの屈折率に応じて設定されている。
なお、
図1では、第1の光ファイバ11Aに1つの屈曲部が設けられているように図示されているが、これは図面の記載を容易にするために便宜上そのように図示したに過ぎず、実際には
図2に示すように2つの屈曲部が設けられている。
【0025】
ケーブルコネクタ35は、信号ケーブル36の一端を蓋体32の上面に機械的に接続すると共に、ケーシング31に内包された回路基板37と信号ケーブル36とを電気的に接続する役割を担っている。信号ケーブル36は、一端がケーブルコネクタ35を介して回路基板37と接続されていると共に、他端が識別装置2と接続されており、識別装置2から出力される電気信号を回路基板37へ伝達すると共に、回路基板37から出力される電気信号を識別装置2へ伝達する役割を担っている。
【0026】
回路基板37は、信号ケーブル36を介して識別装置2と接続されており、その上面には第1の発光素子12A及び第1の受光素子13Aが配置されていると共に、第1の発光素子12Aに電力を供給する電源回路や、第1の受光素子13Aの出力を増幅する増幅回路などが形成されている。第1の発光素子12Aは、この回路基板37を介して識別装置2から入力される電気信号に応じた光を発生する。また、第1の受光素子13Aは、第1の光ファイバ11Aの他端から出射される光に応じた電気信号を、回路基板37を介して識別装置2に出力する。
保護カバー38は、上述したファイバコネクタ33、34及びケーブルコネクタ35を覆うように蓋体32の上面に設置されて各コネクタ類を保護するものである。
【0027】
このように構成された第1の検知ユニット1Aは、検知対象液体が液漏れする可能性のある場所において、漏れた液体が第1の光ファイバ11Aの屈曲部に付着するような姿勢で固定設置される。また、第2の検知ユニット1B及び第3の検知ユニット1Cも同様な状態で固定設置される。
【0028】
以上が本実施形態における液体検知器1を備えた液体識別システムの構成に関する説明であり、以下では液体識別システムによる液体検知・識別動作について詳細に説明する。
【0029】
まず、液体識別システムによる液体検知・識別動作の説明に入る前に、その前提として本実施形態で採用する液体検知・識別原理について説明する。
前述のように、光ファイバは、光の伝播路となる高屈折率のコアと、該コアを覆う低屈折率のクラッドとの2重構造となっている。このような光ファイバを屈曲させても、その屈曲部のコアを伝播する光の反射角が臨界角より小さければ、光はコア外部に漏れることなくコア内部を伝播する。しかしながら、
図4(a)に示すように、光ファイバを大きく屈曲させて、その屈曲部のコアを伝播する光の反射角が臨界角より大きくなると、光はコア外部に漏れ出す。
【0030】
本願発明者は、上記のような光ファイバの特性に着目し、光ファイバに屈曲部を設け、その屈曲部に液体を付着させる前と付着させた後との透過光量を測定することにより、複数種類の液体について屈曲部の曲げ半径と透過光量の変化率(つまり液体の付着による光漏れ量)との関係を鋭意検証した。
その結果、屈曲部の曲げ半径が小さい程、液体の付着による光漏れ量は大きくなり、屈折率がコアより低い液体、或いは屈折率がコアに近い液体であっても検知可能であることがわかった(勿論、屈折率がコアより高い液体でも検知可能)。
【0031】
しかしながら、仮に光ファイバを1本だけ用い、屈折率がコアより低い液体に合わせて屈曲部の曲げ半径を設定したと仮定すると、その液体だけでなく、その液体より屈折率の高い液体であれば透過光量に変化が生じる(光漏れが生じる)ため、検知対象の液体が複数存在する場合には、付着した液体が何であるか識別することはできない。
そこで、本願発明者は、液体検知器の構成として屈曲部が設けられた複数の光ファイバを用い、各光ファイバの屈曲部の曲げ半径を検知対象液体の屈折率に応じて設定するという手段を採用した。
【0032】
本実施形態においては、液体検知器1の第1の光ファイバ11Aに設けられた屈曲部の曲げ半径は、屈折率がコアより低い液体Aの屈折率に応じて設定されているため、液体A以上の屈折率を有する液体(つまり、液体A、B、C)が付着すると透過光量の変化が生じる(
図4(b)参照)。
また、液体検知器1の第2の光ファイバ11Bに設けられた屈曲部の曲げ半径は、屈折率がコアに近い液体Bの屈折率に応じて設定されているため、液体B以上の屈折率を有する液体(つまり、液体B、C)が付着すると透過光量の変化が生じる(
図4(b)参照)。
さらに、液体検知器1の第3の光ファイバ11Cに設けられた屈曲部の曲げ半径は、屈折率がコアより高い液体Cの屈折率に応じて設定されているため、液体C以上の屈折率を有する液体(つまり、液体C)が付着すると透過光量の変化が生じる(
図4(b)参照)。
【0033】
従って、3つの光ファイバの内、第1の光ファイバ11Aのみに透過光量の変化が生じた場合には、液体Aが付着した(液体Aが漏れている)と判断できる。
また、第1の光ファイバ11A及び第2の光ファイバ11Bのみに同時に透過光量の変化が生じた場合には、液体Bが付着した(液体Bが漏れている)と判断できる。
さらに、第1の光ファイバ11A、第2の光ファイバ11B及び第3の光ファイバ11Cの全てにおいて同時に透過光量の変化が生じた場合には、液体Cが付着した(液体Cが漏れている)と判断できる。つまり、各光ファイバに付着した液体の識別が可能となる。
【0034】
さて、上述した液体検知・識別原理を前提として、液体識別システムによる液体検知・識別動作を説明すると以下の通りである。
まず、識別装置2は、液体検知器1に設けられた第1の発光素子12A、第2の発光素子12B及び第3の発光素子12Cの各々に対して基準光量を有する光が発生するような電気信号を出力する。
【0035】
これにより、第1の発光素子12Aから出射された光は、第1の光ファイバ11A内を伝播した後、第1の受光素子13Aによって受光される。また、第2の発光素子12Bから出射された光は、第2の光ファイバ11B内を伝播した後、第2の受光素子13Bによって受光される。さらに、第3の発光素子12Cから出射された光は、第3の光ファイバ11C内を伝播した後、第3の受光素子13Cによって受光される。
第1の受光素子13A、第2の受光素子13B及び第3の受光素子13Cは、それぞれ受光光量に応じた電気信号を識別装置2に出力する。
【0036】
識別装置2は、第1の受光素子13A、第2の受光素子13B及び第3の受光素子13Cの各々から入力される電気信号に基づいて各受光素子の受光光量を、第1の光ファイバ11A、第2の光ファイバ11B及び第3の光ファイバ11Cのそれぞれの透過光量として求め、各透過光量の時間的推移を監視する。
【0037】
ここで、第1の検知ユニット1A、第2の検知ユニット1B及び第3の検知ユニット1Cが設置された場所において液漏れが発生していない場合、第1の光ファイバ11A、第2の光ファイバ11B及び第3の光ファイバ11Cのそれぞれに設けられた屈曲部に液体が付着していないため、各透過光量はほぼ一定の値を示す。
【0038】
一方、液漏れが発生した場合、第1の光ファイバ11A、第2の光ファイバ11B及び第3の光ファイバ11Cのそれぞれに設けられた屈曲部に漏れた液体が付着するため、その液体の屈折率によって第1の光ファイバ11A、第2の光ファイバ11B及び第3の光ファイバ11Cのいずれかに透過光量の変化が生じる。
【0039】
この時、識別装置2は、第1の光ファイバ11Aのみに透過光量の変化が生じた場合には、各光ファイバに液体Aが付着した(つまり液体Aが漏れている)と判断する。
また、識別装置2は、第1の光ファイバ11A及び第2の光ファイバ11Bのみに同時に透過光量の変化が生じた場合には、各光ファイバに液体Bが付着した(つまり液体Bが漏れている)と判断する。
また、識別装置2は、第1の光ファイバ11A、第2の光ファイバ11B及び第3の光ファイバ11Cの全てにおいて同時に透過光量の変化が生じた場合には、各光ファイバに液体Cが付着した(つまり液体Cが漏れている)と判断する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態における液体検知器1を備えた液体識別システムによれば、検知対象液体が複数存在する場合であっても光ファイバに付着した液体の識別が可能となる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が挙げられる。
(1)上記実施形態では、1つの光ファイバに2つの屈曲部を設けた場合を例示して説明したが、屈曲部の数はこれに限定されず、1個、或いは3個以上設けても良い。なお、1つの光ファイバに設ける屈曲部の数を増やす程、液体の付着巾は増すが、あまりに光漏れ量が大きくなり、光ファイバの出射光量が大幅に低下してしまい、逆に検知精度が低下する虞がある。そのため、1つの光ファイバに設ける屈曲部の数は、2〜3個程度とすることが望ましい。
【0042】
(2)
図5に示すように、各光ファイバに設けられた屈曲部の各々に、それぞれが担当する検知対象液体を吸収する吸収材41を装着しても良い。これによると、屈曲部に付着する検知対象液体の量が増大するため、液体の検知精度が向上する。例えば、第1の光ファイバ11Aの屈曲部には液体Aを吸収する吸収材を装着し、第2の光ファイバ11Bの屈曲部には液体Bを吸収する吸収材を装着し、第3の光ファイバ11Cの屈曲部には液体Cを吸収する吸収材を装着すれば良い。
【0043】
(3)上記実施形態では、液体検知器1が第1の検知ユニット1A、第2の検知ユニット1B及び第3の検知ユニット1Cの3つの検知ユニットから構成されている場合を例示して説明したが、これに限らず、液体検知器1を1つのユニットとして構成しても良い。
【0044】
(4)上記実施形態では、検知対象液体が3種類存在する場合を例示して説明したが、本発明は検知対象液体が2種類、或いは4種類以上存在する場合にも適用することができる。
【0045】
(5)上記実施形態では、コアをクラッドで覆った状態で光ファイバを屈曲させて屈曲部を設けたが、屈曲部のみクラッドを剥離しても良い。これにより、屈曲部における光漏れ量が大きくなるため、液体の検知精度が向上する。