特許第5755871号(P5755871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755871
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】制流弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20150709BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20150709BHJP
   F16L 41/04 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   F16K27/00 C
   F16L55/00 C
   F16L41/04
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-264215(P2010-264215)
(22)【出願日】2010年11月26日
(65)【公開番号】特開2012-112505(P2012-112505A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2013年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100116757
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 英雄
(74)【代理人】
【識別番号】100123216
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 祐一
(74)【代理人】
【識別番号】100089336
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 佳直
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(72)【発明者】
【氏名】中里 謙介
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−245397(JP,A)
【文献】 特開2000−028072(JP,A)
【文献】 特開平10−220612(JP,A)
【文献】 特開2000−240880(JP,A)
【文献】 特開2002−286185(JP,A)
【文献】 特開平09−159087(JP,A)
【文献】 特開2007−170661(JP,A)
【文献】 特開2000−088173(JP,A)
【文献】 実開昭58−044589(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00−27/12
F16L 55/00−55/24
F16L 41/00−41/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂から成る流体管の外面を水密に被覆する筐体と、前記筐体に支持されるとともに該筐体内で不断流状態にて前記流体管径方向に穿設した略円形の穿孔を介して動作する弁体と、を有し、前記流体管の流路を開閉可能な制流弁であって、
前記筐体は、樹脂から成り前記流体管の外面に当接する当接部を有する分岐管と、該分岐管を閉塞する弁蓋と、前記当接部及び前記流体管の外面を加熱することで互いを熱融着させる加熱部と、を備え、
前記分岐管は、前記流体管の外面に前記穿孔の穿設方向に配置可能に形成されているとともに、
前記弁蓋若しくは前記分岐管の内周面には前記弁体の回転を規制するための溝部が設けられていることを特徴とする制流弁。
【請求項2】
前記当接部と対する側の前記流体管の外面を被覆するカバーが、前記筐体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の制流弁。
【請求項3】
前記カバーは樹脂から成り、前記筐体に熱融着により設けられていることを特徴とする請求項2に記載の制流弁。
【請求項4】
前記当接部を前記流体管の外面に向けて押圧するバンドが、該流体管の周方向に巻回されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の制流弁。
【請求項5】
前記筐体は、前記弁体の動作方向に沿って延設された金属から成る延設部を更に備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の制流弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂から成る流体管の外面を水密に被覆する筐体と、この筐体に支持されるとともに筐体内で流体管に穿設された穿孔を介して動作する弁体と、を有し、不断流状態で設置され流体管の流路を開閉可能な制流弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の制流弁には、管軸方向に所定長さに延設された樹脂製の管継手部を、流体管に接続するとともに加熱溶融し、流体管に対し融着させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−220612号公報(第2頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の制流弁にあっては、流体管の所定長さの延長部分を切除し、当該延長部分に替えて制流弁を設置するとともに、制流弁を流体管の管端部に接続する必要があり、大きな作業スペースを要するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、大きな作業スペースを要することなく設置できる制流弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の制流弁は、
樹脂から成る流体管の外面を水密に被覆する筐体と、前記筐体に支持されるとともに該筐体内で不断流状態にて前記流体管径方向に穿設した略円形の穿孔を介して動作する弁体と、を有し、前記流体管の流路を開閉可能な制流弁であって、
前記筐体は、樹脂から成り前記流体管の外面に当接する当接部を有する分岐管と、該分岐管を閉塞する弁蓋と、前記当接部及び前記流体管の外面を加熱することで互いを熱融着させる加熱部と、を備え、
前記分岐管は、前記流体管の外面に前記穿孔の穿設方向に配置可能に形成されているとともに、
前記弁蓋若しくは前記分岐管の内周面には前記弁体の回転を規制するための溝部が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、流体管径方向に穿孔を穿設するために要するスペースを、筐体を流体管の外面に対しアプローチし配置するためのスペースとして利用できるため、流体管の穿孔と対向する側のスペースを用いること無く省スペース化を達成した状態で制流弁を設置できるばかりか、加熱部により加熱された流体管の外面と当接部とが、熱融着で一体化することで水密性を高めることができる。
【0007】
本発明の制流弁は、
前記当接部と対する側の前記流体管の外面を被覆するカバーが、前記筐体に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、筐体に設けられたカバーが、当接部と対する側の流体管の外面を被覆していることで、筐体に支持された弁体が、穿孔を介し流体管の流路を閉状態にする際に、筐体に対し流体管と離間する側に反力を与えても、カバーによりこの反力に対抗できる。
【0008】
本発明の制流弁は、
前記カバーは樹脂から成り、前記筐体に熱融着により設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、カバーを筐体に対し一体化できるばかりか、カバー及び筐体の材料を共有できる。
【0009】
本発明の制流弁は、
前記当接部を前記流体管の外面に向けて押圧するバンドが、該流体管の周方向に巻回されていることを特徴としている。
この特徴によれば、流体管の周方向に巻回されたバンドにより当接部を流体管の外面に向けて押圧することで、当接部と流体管の外面とを確実に当接させて熱融着領域を確保できるとともに、筐体に支持された弁体が、穿孔を介し流体管の流路を閉状態にする際に、筐体に対し流体管と離間する側に反力を与えても、バンドによりこの反力に対抗できる。
【0010】
本発明の制流弁は、
前記筐体は、前記弁体の動作方向に沿って延設された金属から成る延設部を更に備えることを特徴としている。
この特徴によれば、金属から成る延設部が、弁体の動作方向に沿って延設されていることで、筐体の構造強度が高まり、弁体の動作により力が加わっても筐体の形状を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1における流体管に制流弁の分岐管を配置した状態を示す側断面図である。
図2】流体管を穿設している状態を示す一部断面の正面図である。
図3】操作体に弁体を取り付けた状態を示す一部断面の正面図である。
図4】弁体による流路開/閉状態を示す一部断面の正面図である。
図5図4と同じく側断面図である。
図6】実施例2における弁体による流路開/閉状態を示す一部断面の正面図である。
図7図6と同じく側断面図である。
図8】実施例3における弁体による流路開/閉状態を示す側断面図である。
図9】実施例4における弁体による流路開/閉状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る制流弁を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1に係る制水弁10につき、図1から図5を参照して説明する。以下、図1図5の紙面左側、図2図4の紙面手前側を制流弁の正面側(前方側)として説明する。図4,5に示されるように、本発明の制流弁としての制水弁10は、主として、内部を上水が流れ略水平方向に延設された流体管1の上部に穿設される穿孔Qに連通し流体管1の外周を水密に被覆した筐体としてのケース2と、回転ネジ4の回転によりケース2内にて上下動、すなわち回転ネジ4の軸方向に操作される仕切弁である弁体5と、流体管1の管路を遮断若しくは開放する。
【0014】
本実施例の流体管1は、断面視略円形状に形成された樹脂管である高密度ポリエチレン管から成る。尚、流体管の材質は高密度ポリエチレンに限らずその他ポリオレフィン樹脂或いは所定の樹脂から成る熱融着可能なものでもよい。また、本実施例では流体管1内の流体は上水であるが、流体管の内部を流れる流体は必ずしも上水に限らず、例えば工業用水であってもよいし、また気体や気液混合状態の流体が流れる流体管であっても構わない。
【0015】
図4,5に示されるように、流体管1の外周面に固定に取付けられるケース2は、流体管1の外面1aに当接する当接部12b及び流体管1の管軸と略直交する上下方向の内空部12cを備えた分岐管12と、内空部12cに連通する弁蓋3と、からなる。
【0016】
図1に示されるように、分岐管12の当接部12bは、樹脂である高密度ポリエチレン製であり、更に、流体管1の外面1aに当接する当接面12d近傍の当接部12b内部に、電流が流れることで発熱する加熱部としての電熱線13が、後述する流体管1に穿設される穿孔Qの周囲を囲うように、当接面12d略全面に亘り連続して延設されている。電熱線13の各端部は、外部電源線と電気的に接続可能に分岐管12の外面に設けた接続部15,15と繋がっている。尚、当接部の材質は高密度ポリエチレンに限らずその他ポリオレフィン樹脂或いは所定の樹脂から成る熱融着可能なものでもよいが、流体管と同じ材質の樹脂製であることが好ましい。
【0017】
制水弁10の設置工程順に説明すると、図1に示されるように、先ず分岐管12を、流体管1における後述する穿孔Qが穿設される上部上方のスペースから下方の流体管1に向けアプローチして、分岐管12を流体管1に配置させ、すなわち当接部12bを流体管1の外面1aに当接させる。次に、図示しない外部電源に繋がる電源ケーブルC,Cを各接続部15,15に接続し、前記外部電源から所定時間電源を供給する。電源供給された電熱線13が高温に発熱することで、樹脂からなる当接部12bの当接面12d、及び当接面12dに接触している流体管1の外面1aを加熱し次第に溶融する。
【0018】
溶融された当接部12bの当接面12d及び流体管1の外面1aは互いに混ぜ合わされ、図1の点線囲い部に示されるように、電熱線13による発熱を停止し常温に下がることで一体化して凝固した熱融着領域Wに変形する。このようにして、分岐管12は流体管1に対し水密に取付けられる。流体管1に分岐管12を取付けた後に、分岐管12内に水圧を加えることで、流体管1の外面と分岐管12との水密性を適宜確認してもよい。
【0019】
次に、図2に示されるように、分岐管12の上フランジ12aに、内部に作業弁36及び穿孔装置50を配設した上部ケース35を水密に接続する。穿孔装置50は、図示しない駆動手段に接続され分岐管12内を流体管1に向け軸方向に伸出する軸部材51と、軸部材51の先端に固設され流体管1を穿設する鋭利な穿孔刃52aを備えたカッタ部材52と、から主として構成されており、カッタ部材52を軸方向に伸出させて流体管1の外面にアプローチして外壁を穿孔し、流体管1の管壁に穿孔Qを穿設する。尚、軸部材を軸方向に伸出するとともに軸周りに回転するように構成し、カッタ部材を回転させることで流体管に穿孔を穿設するようにしてもよい。
【0020】
穿孔装置50による穿孔Qの穿設後は、穿孔装置50を上方に引き上げて上部ケース35内に配置させた後、作業弁36を操作して分岐管12の止水を行う。そして、穿孔装置50を上部ケース35の上端部から取り外すとともに、図3に示すように、上部ケース35の上端部に外カバー70を水密に接続する。この外カバー70は、側方に向けて一対の開口71,71を備えており、これら開口71,71は、蓋体72,72及びボルト・ナット73によって水密に閉塞されている。
【0021】
外カバー70の図示しない上端部からは、図示しないアームが上下動可能に取り付けられている。尚、該アームの下端部には、予め穿孔Qを介して流体管1の管路を遮断若しくは開放するための弁体5が内部に配設された弁蓋3が中間部材75を介して接続されており、前記アームを外カバー70の前記上端部に取り付ける際に弁蓋3が外カバー70内に配置される。尚、前記アームと外カバー70の前記上端部との間は、図示しないゴム体によって水密に保持されている。更に尚、中間部材75は筒状に形成されており、内部に後述する回転操作部4aが挿通配置されている(図4参照)。
【0022】
外カバー70を上部ケース35の上端部に水密に接続した後は、分岐管12と外カバー70とを開閉弁を有する図示しないホースやバイパス管等の連通部材によって接続する。そして、外カバー70の上端部に設けられた図示しない空気弁を開放するとともに、作業弁36を操作して分岐管12を開放することで、外カバー70内及び分岐管12内を流体管1内を流れていた上水で満たす。
【0023】
外カバー70内及び分岐管12内が上水で満たされた後は、前記空気弁を閉塞し、前記開閉弁を開放して分岐管12と外カバー70とを連通させることで、外カバー70内の水圧と分岐管12内の水圧とを常時一定に保つとともに、弁蓋3を外カバー70に予め取り付けた押圧手段(図示略)により不断水状態で押圧することで、分岐管12の上フランジ12aに弁蓋3を密封状に組付ける。
【0024】
このとき、分岐管12内と外カバー70内とは、流体管1内を流れる上水で満たされて同一の水圧となるので、弁蓋3を上フランジ12aに組み付ける際に流体管1内を流れる上水から弁蓋3が受ける抗力を小さく抑えることができる。弁蓋3を上フランジ12aに組み付けた後は、蓋体72,72を取り外し、開口71,71を介して弁蓋3から中間部材75を分離する。
【0025】
図4及び図5に示されるように、弁蓋3は、分岐管12の内径より小径の外径を有しており、弁蓋3の下部の外周に沿って設けられたOリング19により、分岐管12の内周面に沿って水密に嵌挿されている。また弁蓋3を定置させるよう固定ボルト16を螺挿することで弁蓋3の位置固定を行う。固定ボルト16は、弁蓋3に対して螺挿されることで、弁蓋3を上下方向に規制している。
【0026】
図5に示されるように、回転ネジ4は、弁蓋3の頂部に穿設された挿通孔32に回転自在に貫通して、上端部を弁蓋3の外部に突出して取り付けられている。押え板33は、弁蓋3の上端面にボルト34で固定され、回転ネジ4の抜出しを阻止する。上記構成により、回転ネジ4はケース2に対し正逆両方向に回転自在であるが上下動はしない。4bは、回転ネジ4の上端部を除いて略全長に亘ってその周面が螺設されたネジ部である。
【0027】
図4及び図5に示されるように、ネジこま63は、弁体5の上端部に形成されたガイド溝61に嵌合するとともに、ネジ部4bに螺合しており、回転ネジ4の上端部に形成された回転操作部4aの回転に応じネジ部4bが回転することで、ネジ部4bに沿って螺挿するネジこま63に追随して弁体5が上下動可能となる。
【0028】
図5に示されるように、弁体5には、回転ネジ4のネジ部4bを挿入する挿入孔64が形成されている。また、弁体5における上下流側の外面に、上下方向に沿った張出部62、62が、弁蓋3若しくは分岐管12の内面に設けられた溝部3aに沿って摺接可能に上下方向に延設されている。このように構成された張出部62、62が溝部3aに当接することで、回転ネジ4の回転に伴う弁体5の回転を規制できるようになっている。
【0029】
このように弁体5が取り付けられた弁蓋3を、作業弁36が開放された後に前記外カバーに予め取り付けた前記押圧手段により分岐管12に向けて不断水状態で押圧することで、流体管1内を流れる上水から弁蓋3が受ける抗力を小さく抑えながら弁蓋3を分岐管12の上フランジ12aに密封状に組付け、固定ボルト16を弁蓋3に螺挿する。更に、前記連通部材の開閉弁を閉塞するとともに、上フランジ12a上から上部ケース35及び外カバー70を取り外す。最後に、リング状のフランジ9を弁蓋3に挿入し、ボルト・ナット14でフランジ9と分岐管12とを締結する。
【0030】
以後、弁体5は、図4及び図5に示されるように、図示しないハンドルによる回転操作部4aの回転によって下方に移動することで流体管1の内周面に弾性変形しながら水密に当接して流体管1の管路を遮断するとともに、前記ハンドルによる回転操作部4aの回転によって上方に移動することで流体管1の管路を開放するようになる。
【0031】
以上、説明したように、筐体としてのケース2は、樹脂から成り流体管1の外面1aに当接する分岐管12の当接部12bと、当接部12b及び流体管1の外面1aを加熱することで互いを熱融着させる加熱部としての電熱線13と、を備えるとともに、流体管1の外面1aに穿孔Qの穿設方向に配置可能に形成されていることで、流体管1に穿孔Qを穿設するために要する流体管1の上方のスペースを、ケース2を流体管1の外面1aに対しアプローチし配置するためのスペースとして利用できるため、流体管1の穿孔Qと対する側である流体管1の下方のスペースを用いること無く省スペース化を達成した状態で制水弁10を設置できるばかりか、電熱線13により加熱された流体管1の外面1aと当接部12bとが、熱融着で一体化することで水密性を高めることができる。
【実施例2】
【0032】
次に、実施例2に係る制水弁20につき、図6及び図7を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0033】
流体管1の外周面に固定に取付けられるケース2’は、いわゆる割T字管であって、流体管1の管軸と略直交する上下方向の内空部を備えた分岐管12’及び弁蓋3と、流体管1の外周の下側を被覆するカバー22と、からなる。
【0034】
図6に示されるように、分岐管12’は、高密度ポリエチレン製であって、前記実施例における分岐管12と同様の上フランジ12a、当接部12b、内空部12c及び当接面12dに加え、当接部12bに連続した高密度ポリエチレン製である鍔部12eが流体管1の外径方向に突出しており、当接部12b内に延設された電熱線13が、鍔部12e内にも延びている。
【0035】
カバー22は、穿孔Qが穿設される流体管1の上側を被覆した分岐管12の当接部12bに対する、流体管1の下側を被覆しており、更に分岐管12’の鍔部12eに対向する鍔部22eが突出形成されている。また図7に示されるように、カバー22は、樹脂である高密度ポリエチレン製であって、流体管1の外面1aに当接する当接部22b内部に、電流が流れることで発熱する加熱部としての電熱線23が、当接面略全面に亘り連続して延設されている。電熱線23の各端部は、外部電源線と電気的に接続可能にカバー22の外面に設けた接続部25,25と繋がっている。尚、当接部22bの材質は高密度ポリエチレンに限らずその他ポリオレフィン樹脂或いは所定の樹脂から成る熱融着可能なものでもよいが、分岐管12’及び流体管1と同じ材質の樹脂製であることが好ましい。
【0036】
上記実施例1と同様に、図示しない外部電源に繋がる電源ケーブルを分岐管12’の各接続部15,15に接続し、前記外部電源から所定時間電源を供給する。電源供給された電熱線13が高温に発熱することで、図7に示されるように、樹脂からなる当接部12bの当接面12d、及び当接面12dに接触している流体管1の外面1aを加熱し次第に溶融するとともに、図6に示されるように、分岐管12’の鍔部12eとカバー22の鍔部22eとが溶融し一体化することで、カバー22が分岐管12’に対し設けられる。
【0037】
更に、各接続部25を介し電源供給された電熱線23が高温に発熱し、樹脂からなるカバー22の当接部22bの当接面、及び当接面に接触している流体管1の外面1aを加熱し次第に溶融することで、カバー22が流体管1の外面に対し熱融着される。
【0038】
このように、分岐管12’に設けられたカバー22が、当接部12bと対する側の流体管1の外面1aを被覆していることで、弁蓋3に支持された弁体5が、穿孔Qを介し流体管1の流路を閉状態にする際に、ケース2’に対し流体管1と離間する側に反力を与えても、カバー22によりこの反力に対抗できる。
【0039】
また、カバー22は樹脂から成り、分岐管12’に熱融着により設けられていることで、カバー22を分岐管12’に対し一体化できるばかりか、カバー22及び分岐管12’の材料を共有できる。
【実施例3】
【0040】
次に、実施例3に係る制水弁30につき、図8を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0041】
図8に示されるように、分岐管12の当接部12bの外面及び流体管1の外面1aに架けて、当接部12bを流体管1の外面1aに向けて押圧するバンド21,21が、管軸方向に穿孔Qを挟む両方の箇所において、それぞれ流体管1の周方向に巻回されている。
【0042】
このように、流体管1の周方向に巻回されたバンド21により当接部12bを流体管1の外面1aに向けて押圧することで、当接部12bと流体管1の外面1aとを確実に当接させて熱融着領域を確保できるとともに、弁蓋3に支持された弁体5が、穿孔Qを介し流体管1の流路を閉状態にする際に、ケース2に対し流体管1と離間する側に反力を与えても、バンド21によりこの反力に対抗できる。。
【実施例4】
【0043】
次に、実施例4に係る制水弁40につき、図9を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0044】
本実施例のケース2”は、分岐管26と弁蓋3との間に、弁体5の動作方向に沿って延設された金属から成る延設部27を更に備えている。延設部27は、流体管1の管軸と略直交する上下方向の内空部27cを有し、分岐管26との間に介設されたOリング28により、分岐管26の内側に水密に嵌挿されるとともに、分岐管26の上フランジ26aと、その上面に延びた延設部27の上フランジ27aと、弁蓋3に載置したリング状のフランジ9とに貫通挿入したボルト・ナット14により、分岐管26、延設部27及びフランジ9が締結されている。
【0045】
このように、金属から成る延設部27が、弁体5の動作方向に沿って延設されていることで、ケース2”の構造強度が高まり、弁体5の動作により力が加わってもケース2”の形状を維持できる。
【0046】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0047】
例えば、前記実施例では、実施例1に付加して実施例2でカバー22が構成され、実施例3でバンド21が構成され、また実施例4でバンド21及び延設部27が構成されているが、カバー22、バンド21及び延設部27は、適宜選択的に単独若しくは複数組合せて付加的に構成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 流体管
2,2’,2” ケース
3 弁蓋
4 回転ネジ
5 弁体
10 制水弁(制流弁)
12,12’ 分岐管
12b 当接部
12d 当接面
13 電熱線(加熱部)
20,30,40 制水弁(制流弁)
21 バンド
22 カバー
26 分岐管
27 延設部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9