(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755877
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】身体上の対象を体外から見るためのビデオシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/04 20060101AFI20150709BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20150709BHJP
A61B 19/00 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
A61B1/04 370
A61B1/00 A
A61B1/00 300A
A61B19/00 508
A61B19/00 509
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-511209(P2010-511209)
(86)(22)【出願日】2008年6月6日
(65)【公表番号】特表2010-528762(P2010-528762A)
(43)【公表日】2010年8月26日
(86)【国際出願番号】US2008007160
(87)【国際公開番号】WO2008153969
(87)【国際公開日】20081218
【審査請求日】2011年2月7日
【審判番号】不服2013-23656(P2013-23656/J1)
【審判請求日】2013年12月2日
(31)【優先権主張番号】11/758,962
(32)【優先日】2007年6月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500023831
【氏名又は名称】カール シュトルツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(72)【発明者】
【氏名】バーチ,ジョージ
【合議体】
【審判長】
尾崎 淳史
【審判官】
松本 隆彦
【審判官】
三崎 仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−118457(JP,A)
【文献】
特開2006−255001(JP,A)
【文献】
特開平6−30896(JP,A)
【文献】
特開2007−133175(JP,A)
【文献】
特開2004−147777(JP,A)
【文献】
特開2006−305156(JP,A)
【文献】
特開2005−110940(JP,A)
【文献】
特開2001−61776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B1/00-1/32
G02B23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体上の対象を身体の外側から見るためのビデオシステムであって、
光学イメージを受け取り、処理し及び送信するために、チューブの内部に一連のロッド・レンズとスペーサを備えたレンズ配列を有し、チューブの近位端部に内視鏡アイピースを有する細長のレンズチューブと、
前記内視鏡アイピースに着脱可能に取り付けられて前記イメージを送信する内視鏡カメラ・ヘッドと、
前記内視鏡カメラ・ヘッドに取り付けられて前記送信されたイメージを受信するカメラ制御ユニットと、
前記レンズチューブに取り付けられて、前記レンズチューブの遠位端部を、前記身体上の対象から180mmと300mmとの間の距離だけ離れた位置で前記身体の外側に保持すべく制御手段により制御されるアームと、
を含んで構成され、
前記レンズ配列は、前記レンズチューブの遠位端部が前記身体上の対象から180mmと300mmとの間の距離だけ離れた位置で前記身体の外側に保持されたときに、
被写界深度が8mmから20mmまでの間をもって前記身体上の対象に焦点が合うものであり、かつ、前記身体上の対象を捉える視野を有するものである、
ビデオシステム。
【請求項2】
前記アームがロボット制御式のアームである、ことを特徴とする請求項1に記載のビデオシステム。
【請求項3】
前記アームが調整可能である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のビデオシステム。
【請求項4】
前記アームがプログラム可能な制御手段により制御される、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のビデオシステム。
【請求項5】
前記カメラ制御ユニットがディスプレイと通信し、前記ディスプレイが前記レンズ配列から送信されたイメージを表示する、ことを特徴とする請求項1に記載のビデオシステム。
【請求項6】
前記レンズ配列が、対物レンズ、ファインダーレンズ、前記対物レンズと前記ファインダーレンズとの間のリレー・レンズ、ロッド・レンズ及びスペーサを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のビデオシステム。
【請求項7】
前記レンズ配列の被写界深度が10mmから15mmまでの間である、ことを特徴とする請求項1に記載のビデオシステム。
【請求項8】
前記被写界深度が12mmである、ことを特徴とする請求項7に記載のビデオシステム。
【請求項9】
前記アームが、前記レンズチューブの遠位端部を前記身体上の対象から180mmと220mmの間の距離だけ離れた位置に保持する、ことを特徴とする請求項1に記載のビデオシステム。
【請求項10】
前記アームが、前記レンズチューブの遠位端部を前記身体上の対象から200mmの距離だけ離れた位置に保持する、ことを特徴とする請求項9に記載のビデオシステム。
【請求項11】
前記レンズチューブが光導波ファイバーをさらに含んで構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のビデオシステム。
【請求項12】
前記レンズチューブが装着可能な光源をさらに含んで構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のビデオシステム。
【請求項13】
前記レンズ配列が1つ以上の調節可能なレンズを備えていて、それにより前記レンズ配列が光学イメージを受け取る角度を変えることができる、ことを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のビデオシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロサージェリーの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
内科医や外科医は伝統的に、身体の上及び内の外科領域を視覚化するために光学システムを使用する。外科医は裸眼で多くの手術を行うが、外科医が手術を行うために外科領域の拡大像を要求する手術も多数存在する。外科医が手術又は検査を行っている最中に参照用の詳細図を得るために、外科領域のイメージを拡大することが知られている。画像拡大技術を用いて外科領域を見る外科手術は、マイクロサージェリーと呼ばれる。マイクロサージェリーは一般的に、神経外科医や整形外科医が行う脳外科や脊髄外科を含む神経外科で使用される。マイクロサージェリーの別の用途は、直径が通常1mm以下の血管や神経の吻合、すなわち人為的な接続である。マイクロサージェリーのさらに別の例には、耳鼻咽喉科医による内耳や声帯の手術、及び精管切除や卵管結紮を元に戻すための泌尿器科医や婦人科医による手術がある。
【0003】
外科用顕微鏡は、身体の外側から見える外科領域の拡大図を得るのに使用される公知の装置である。この外科用顕微鏡により、外科医は、身体の外側から見える外科領域の拡大図を観察することができる。この種の顕微鏡は、外科領域の光学イメージを受け取り、拡大し及び表示するのに光学レンズ系を使用する。この外科用顕微鏡は、イメージを見るための、比較的小さいひとみを有する単眼鏡又は双眼鏡を備えている。たいていの外科用顕微鏡は、第2の単眼鏡又は双眼鏡、及び外科医のアシスタントにイメージを見る手段を提供するために光ビームを分割する手段をさらに備えている。既知の外科用顕微鏡は、身体の外側から見える外科領域を照射するために外部の光源に接続された光学グローブ(optical globe)又は可撓性光ケーブルをさらに備えている。
【0004】
外科用顕微鏡により、外科医は、身体の外側から見える外科領域の拡大像を観察することができるが、この外科用顕微鏡には、多くの短所や欠点がある。
【0005】
外科用顕微鏡に関する欠点の一つは、寸法が比較的大きいことである。この外科用顕微鏡は、手術台に隣り合うスタンドに置いて、外科領域の上方で支持する必要がある大きな装置である。外科用顕微鏡が大きいために、手術台の周りの作業空間が制限される。外科用顕微鏡は、外科領域の上方において、扱い難いカウンターバランスを用いてスタンド上で片持ちにする必要がある。さらに、手術の前、その間及びその後に外科用顕微鏡を操作し及び保守するために、専任のアシスタントを必要とする。その上、外科用顕微鏡は無菌フィールド(sterile field)の一部ではなく、使用する前にはドレープで覆い、さらに使用後はドレープを取り去る必要があるので、保守時間、費用及び移動性に関する制約が増加する。
【0006】
外科用顕微鏡に関する別の欠点は、外科医及び/又はアシスタントが、外科領域の拡大像を見るために双眼鏡のひとみ(binocular pupils)を覗く必要があることである。絶えずひとみを覗き込むことは、顕微鏡を使用する外科医やアシスタントを疲労させることになる。その理由は、彼らは長時間にわたって自身の目を観察用ひとみに極めて接近させておく必要があるからである。この要求事項は、外科医やアシスタントがひとみを覗き込むために手術台の上方に乗り出し、同時に下方で手術を行う必要があることからも疲労の原因になる。上述のように、多くの外科用顕微鏡は、複数組の双眼鏡が設けられて、複数のユーザが外科領域の拡大像を同時に見ることができるようにされている。ビームスプリッタが使用されて、受け取られた光学イメージが分割され及び各組の双眼鏡に向けられるため、複数ののぞき窓により、イメージの輝度が双眼鏡の数に等しい倍率で減少する。
【0007】
外科用顕微鏡の他の欠点は、被写界深度が約1〜2mmと極めて浅いことである。この制約は、焦点の前に約1mmの焦点深度を、さらに焦点の後ろに約1mmの深度を維持することしかできないことを意味している。1〜2mmの被写界深度は、手術中に焦点を調整せずにマイクロサージェリーによる多くの処置を行うには十分ではない。外科領域全体を適切に見るには、外科医又はアシスタントは、外科領域に焦点を合わせておくために顕微鏡の焦点を絶えず再調整しなければならない。
【0008】
外科用顕微鏡の他の欠点は、イメージを提供するために高輝度の光源を必要とすることである。外科用顕微鏡は、必要な光量を生じさせるために、外部の光源に接続された光学グローブ又は可撓性光源のいずれかを備えることができる。この光源により、外科用顕微鏡の重量及び大きさが増大する。
【0009】
外科用顕微鏡の他の欠点は、その費用である。新しい外科用顕微鏡の費用は、約230,000ドルと250,000ドルとの間である。いったん購入すると、その外科用顕微鏡には、操作し、配置し及び保守するための専任の技術者がさらに必要となる。顕微鏡は、その上、手術室の中又は周りに極めて大きな保管領域を必要とする。外科器具の数及び大きさが増え続ける一方で、手術室の中及び周りの保管領域は減少するため、このことは、今日の手術室ではますます大きな欠点になる。
【0010】
上記の外科用顕微鏡に関する欠点を克服するために開発された1つの装置は、Berciに対する米国特許第4,987,488号である。この‘488号特許は、被写界深度を改善して外科領域を視覚化するためのビデオシステムを開示している。この開示内容は、外科領域のイメージを視察及び拡大するための改良されたシステムに関連している。このシステムは、高解像度ビデオカメラに接続された可変焦点ズームレンズを使用している。このカメラは、手術台の上方に取り付けられたビデオモニタなどの、手術室内で外科領域のイメージを表示する手段にさらに接続されている。
【0011】
‘488号特許に開示されたビデオシステムに関する考えられる欠点は、特殊なカメラ、すなわち特定のセンサ領域を有する高解像度カラー・ビデオカメラを必要とすることである。このため、別のカメラを‘488号特許に開示された高解像度カメラと交換することができない。
【0012】
さらに、カメラ制御ユニット(「CCU」)は一般的に、限られた数のカメラ・ヘッドと互換可能である。CCUのハードウェアは通常、様々な種類のカメラ・ヘッドとの適切な通信用に構成することが困難である。その理由は、カメラ・ヘッドは、ピクセル解像度、タイミング要求(すなわち、PAL、NTSC、プログレッシブ及び他のフォーマット)、信号出力形式(すなわち、アナログ又はディジタル)、物理的寸法及び他の特性が異なり得る、様々な種類のイメージング装置を使用するためである。CCUは、選ばれた数のカメラ・ヘッドと互換性を有するのが一般的であるため、カメラ・ヘッドを交換することは通常、CCUもまた交換する必要があり、逆の場合も同様であることを意味している。
【0013】
このビデオシステムに関するさらに別の欠点は、病院の手術室スタッフが新しいレンズと新しいカメラとを保管及び保守することが必要となることである。この要求事項は、ビデオシステムの経費をさらに増加させる。病院は、新しい機材を保守するための手順書を作成及び設置し、次にこれらの手順書に従うようにスタッフを訓練しなければならない。病院はさらに、すでに混雑している手術室にこの装置用の保管領域を確保する必要がある。
【0014】
身体を検査するための別の光学システムは、内視鏡検査システムである。このシステムでは、外科医は、例えば胃や子宮など、身体の外側からは見えない外科領域を見て、手術することができる。内視鏡は、一般的には、身体の内部を照らし及び視覚化するためにファイバー光学素子や強力な(ROD)レンズ系を用いた細長い装置である。身体の外側からは見えない外科領域の光学イメージを受け取るために、内視鏡の一部が身体の小さい切開部に挿入される。
【0015】
ビデオシステムの別の欠点は、身体の外側から外科領域を視覚化するために既存の手術室設備を利用しないで、1つの仕事に専用の装置について特別な出費を要求することである。
【0016】
図1には、身体の外側からは見えないイメージを受け取る従来技術のビデオシステムが示されている。このシステムは、内視鏡カメラ・ヘッドに接続されたテレスコープ・レンズを備えている。このテレスコープ・レンズの遠位端部が身体の切開部に挿入され、身体の外部からは見えない外科領域のイメージを受け取る。一般的には、このテレスコープ・レンズの遠位のイメージ受信端部が外科領域の近傍又は極めて接近した位置にあるため、ほとんど外科領域を拡大しない。
【0017】
内視鏡による処置が増加した結果として、多くの手術室は、そのような内視鏡処置を行うための各種の機器を備えるようになっている。例えば、たいていの病院は、テレスコープ・レンズと結合して身体の外側からは見えないイメージを受け取るための、1つ以上の内視鏡カメラ・ヘッドをすでに所有している。この内視鏡カメラ・ヘッドは、内視鏡レンズと着脱可能に結合して、身体の内部からイメージを得るように設計されている。広く使用されている内視鏡ツールの別の例は、内視鏡カメラ・ヘッドに接続されるカメラ制御ユニットである。カメラ制御ユニットは、特定のカメラ・ヘッドと一緒に動作するように設計されている。1つ以上の内視鏡カメラ・ヘッドを所有する病院は、このカメラ制御ヘッドを操作するための、関連するカメラ制御ユニットも所有している。
【0018】
一般的には、特定のブランドの製造業者は、自分たちの製品ラインに互換性を持たせるように努めるので、病院の内視鏡カメラのうちの全て又はたいていのものは、全ての関連したカメラ制御ユニットとの互換性がある。病院は、外科医や管理者がブランドに慣れるに従って、内視鏡装置の一部を1つの納入業者又は製造業者から購入しがちである。従って、複数のカメラ制御ヘッドの1つが複数のカメラ制御ユニットの1つと互換可能であるため、外科用器具を使用する際の融通性が高い。このため、複数のカメラ・ヘッドの1つをマイクロサージェリー用レンズに接続して使用し、さらに複数のカメラ・ヘッドの1つを複数のカメラ制御ユニットの1つに接続することができるのが望ましい。
【0019】
さらに、多くの手術室は、内視鏡装置とのインターフェースのために、ますます多くの高解像度オーディオ・ビデオ機器を備えるようになっている。例えば、内視鏡処置用に設計された手術室は、手術を観察するための高解像度モニタを備えている。これらの手術室は、内視鏡装置から得られた信号を受信し、モニタし及び配信するためのコンピュータ装置をさらに備えている。
【0020】
従って、望ましいことは、外科用顕微鏡及び‘488号特許の欠点を克服しつつ、視野内の対象を見ることを可能とする方法である。他の要望は、簡単な方法で視野内の対象を見ることを可能とする方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従って、本発明の目的は、身体の外部に完全に配置されるビデオシステムを提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、既存の手術室設備を利用して外科領域のイメージを受け取り、拡大し、送り及び表示するビデオシステムを提供することである。
【0023】
本発明の他の目的は、既存の手術室のオーディオ・ビデオ機器とのインターフェースが可能なビデオシステムを提供することである。例えば、このビデオシステムは、高解像度ディスプレイ、ディジタル記録装置及び他の既存のオーディオ・ビデオ機器とのインターフェースが可能である。
【0024】
本発明の他の目的は、カメラ及びレンズを、これらがオートクレーブ可能に備えるビデオシステムを提供することである。
【0025】
本発明の他の目的は、カメラ及びレンズを、これらが外科領域の上方で支持されるように備えるとともに、このカメラ及びレンズを外科領域の上方で支持する手段により、外科医が外科処置中に様々な位置及び角度からイメージを得ることを可能とするビデオシステムを提供することである。
【0026】
本発明の幾つかの実施形態に関する他の目的は、当該視野のみに専用の付加的な光源によらず、標準的な手術室の照明のもとで、外科領域のイメージを受け取り、拡大し及び送ることができるビデオシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明に関するこれら及び他の目的は、身体上の対象を
身体の外側から見るためのビデオシステムによって達成され、このビデオシステムは、
光学イメージを
受け取り
、処理し及び送信するために、チューブの内部に一連のロッド・レンズとスペーサを備えたレンズ配列を有し、チューブの近位端部に内視鏡
アイピースを有する細長のレンズ
チューブ、この内視鏡
アイピースに着脱可能に取り付けられてイメージを送る内視鏡カメラ・ヘッド、及びこの内視鏡カメラ・ヘッドに取り付けられて前記送られたイメージを受信するカメラ制御ユニットとを備える。
レンズ配列は、対象
を捉え、また被写界深度が約
8mmから約
20mmまでの間である視野を有している。このシステムは、
レンズチューブに取り付けられて、この
レンズチューブの遠位端部を
身体上の対象から約180mmと約
300mmとの間の距離だけ離
れた位置で前記身体の外側に保持す
べく制御手段により制御されるアームも備えている。
【0028】
幾つかの実施形態では、アームはロボット
制御式のアームである。別の実施形態では、アームは調整可能である。さらに別の実施形態では、アームはプログラム可能
な制御手段により制御される。
【0029】
ビデオシステムはディスプレイと通信し、このディスプレイは内視鏡レンズから送られたイメージを表示する。必要に応じて、内視鏡レンズは、対物レンズ、ファインダーレンズ(viewing lens)、対物レンズとファインダーレンズとの間のリレー・レンズ(relay lens)、ロッド・レンズ及びスペーサを備えている。
【0030】
他の実施形態では、身体上の対象を見るためのビデオシステムは、イメージを取り込むテレスコープ・レンズ、それぞれがテレスコープ・レンズに装着可能な複数のカメラ・ヘッド、及びそれぞれが複数のカメラ・ヘッドのそれぞれに装着可能な複数のカメラ制御ユニットを備えている。このシステムは、テレスコープ・レンズに取り付けられて、このテレスコープ・レンズを視野から約180mmと約220mmとの間の距離だけ離して保持するアームも有しており、ユーザによって複数のカメラ・ヘッドのうちの1つと複数のカメラ制御ユニットのうちの1つとが選択されて、テレスコープ・レンズと一緒に使用される。
【0031】
幾つかの実施形態では、テレスコープ・レンズは、身体の外側に配置されて、身体の外側からイメージを取り込む。さらに別の実施形態では、テレスコープ・レンズは、約10mmから約15mmまでの間の被写界深度を有する。別の実施形態では、テレスコープ・レンズは、約12mmの被写界深度を有する。必要に応じて、テレスコープ・レンズは、光導波ファイバー・ケーブルを介して外部の光源に取り付けられた光導波ファイバー又は装着可能な二重コンデンサ・レンズをさらに備えている。
【0032】
本発明の他の態様では、身体上の対象を見る方法は、内視鏡レンズを準備するステップ、内視鏡カメラ・ヘッドをこの内視鏡レンズに接続するステップ、内視鏡レンズを用いて約200mmの距離から対象を見るステップ、約12mmの被写界深度をもって内視鏡レンズの焦点を合わせるステップ、及び内視鏡カメラ・ヘッドを用いてカメラ制御ユニットにイメージを送るステップ、を含む。
【0033】
幾つかの実施形態では、この方法は、内視鏡レンズ及び内視鏡カメラ・ヘッドを身体の外側に配置する。別の実施形態では、この方法は、内視鏡レンズ及び内視鏡カメラ・ヘッドの両方を、機械的アームを用いて支持する。
【0034】
技術者は、カメラ制御ユニットを用いて、受け取られるイメージ、すなわち内視鏡カメラ・ヘッドの種々のパラメータを調整して、このイメージを1つ以上の宛先に転送することができる。カメラ制御ユニットを用いて内視鏡カメラ・ヘッドの焦点及びズーム(拡大率)を調整することが可能である。内視鏡カメラ・ヘッドには、内視鏡カメラ・ヘッドのズームレンズを制御するためのボタンをさらに設けることができる。カメラ制御ユニットが手術室の中又は周りの高解像度モニタにイメージを転送して、外科医及びアシスタントのうちの少なくとも一方に対して、外科領域の拡大イメージを見る手段を提供するのが好ましい。このカメラ制御ユニットは、イメージ記録用の装置にイメージをさらに転送することができる。幾つかの手術室では、受け取られたイメージを世界中のあらゆる場所に向けて手術室及び病院の外部に転送することができる。幾つかの実施形態では、カメラ制御ユニットは、イメージをまずデータ・ハブ(data hub)に転送するのが好ましく、ここに、イメージは、多くの異なる宛先に向けることができる。
【0035】
本発明は、新たな結果を達成するための新しい方法で既存の手術室設備を用い、また新しい方法及び装置の組合せを用いることで、従来技術に対する多くの利点を達成する。具体的には、ビデオシステムは、身体の外部からは見えない外科領域のイメージを受け取るように設計及び構築された内視鏡装置を使用して、身体の外部から見える外科領域のイメージを受け取る。上述のように、多くの手術室は現在、内視鏡処置を行うように装備されており、外科医は、内視鏡を用い、身体内の小さい切開部に内視鏡を挿入して身体の外側からは見えない外科領域を見て手術することで、最低限の侵襲手術を実行する。
【0036】
本発明、ならびにその特定の特徴及び利点は、添付の図面を参照して検討された以下の詳細な説明から一層明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】内視鏡カメラ・ヘッド及びテレスコープ・レンズの従来技術の使用方法を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示されたテレスコープ・レンズの作動距離を示す側面図である。
【
図3A】対物レンズの配列が示された、テレスコープ・レンズの内部を示す側面図である。
【
図4】マイクロサージェリーでの使用における、
図1に示された本発明の斜視図である。
【
図5】
図1に示されたビデオシステムを提供するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図2を参照すると、本発明によるビデオシステムの1つの実施形態が示されている。ビデオシステム10は、内視鏡アイピース26が付いたテレスコープ・レンズ20を備えている。ビデオシステム10は、テレスコープ・レンズ20の内視鏡アイピース26に対して光学的に接続された内視鏡カメラ・ヘッド50をさらに備えている。ここで、テレスコープ・レンズ20は、身体100の外側から見える光学イメージを受け取り、この光学イメージを内視鏡カメラ・ヘッド50に伝送する。内視鏡カメラ・ヘッド50は、光学イメージをディジタル・イメージに変換し、このイメージをカメラ制御ユニット60に送信する。カメラ制御ユニット60は、手術室110の中及び外のうちの少なくとも一方における種々の場所に、受信したイメージを配信又は送信する。カメラ制御ユニット60は、内視鏡カメラ・ヘッド50の種々のパラメータを制御し、例えば、内視鏡カメラ・ヘッド50のズーム機能を制御する。
【0039】
図2を参照すると、テレスコープ・レンズ20が示されている。このテレスコープ・レンズ20は、光学イメージを受け取り、処理し及び伝送するためにチューブ21の内部にレンズが配置された細長いチューブ21である。テレスコープ・レンズ20は、遠位端部22(対物端部(objective end)と呼ばれることもある)及び近位端部24を有している。1つ以上のレンズが、テレスコープ・レンズ20の内部に配列されて、光学イメージを受け取り、処理し及び伝送する。本発明の1つの実施形態では、テレスコープ22の遠位端部に、光学イメージを受け取り、処理し及び伝送するための対物レンズ30又は対物レンズ・アセンブリ30が設けられる。この対物レンズ・アセンブリ30は、受け取った光学イメージを操作するための、例えばイメージに焦点を合わせ、視野角を広げ又はズーミングするための、1つ以上の可動レンズを備えている。幾つかの実施形態では、テレスコープ・レンズ20の遠位端部24に、ファインダーレンズ48も設けられる。多くの異なる種類のレンズ配列により、光学イメージの望ましい受け取り、伝送及び操作を達成し得ることが理解される。
【0040】
一般的な内視鏡検査では、対物レンズの配列30は、複数のレンズセットを備えて、テレスコープ・レンズ20の遠位端部22に極めて近い外科領域102の光学イメージを受け取ることができる。観察すべき対象は、視野の中に置かれ、ここに、視野とは、外科領域102と同義である。外科領域102とテレスコープ・レンズ20の遠位端部22との間の距離は、作動距離70と呼ばれる。レンズ又はレンズセットは、作動距離70に配置された当該対象に焦点が合うように配列される。従って、一般的な内視鏡検査では、テレスコープ・レンズ20が身体100の内部に挿入されたときに、外科領域102がテレスコープ・レンズ20の遠位端部22に極めて近接するので、種々の対物レンズ30のセットを配列して、極めて短い作動距離70で焦点を合わせるのが好ましい。これに対し、本発明の対物レンズ・セット30は、テレスコープ・レンズ20の全体が身体100の外部に配置されるので、テレスコープ・レンズ20の遠位端部22から約200mmの作動距離70での外科領域102の光学イメージを受け取るように配列される。この作動距離70により、テレスコープ・レンズ20の遠位端部22と外科領域102との間で外科医が手又は器具を動かす際の融通性が増す。またこれにより、テレスコープ・レンズが外科領域102のより広い視野で光学イメージを受け取ることを可能とする。幾つかの実施形態では、作動距離70は、約180mmと約220mmとの間である。別の実施形態では、作動距離70は、約150mmと約250mmとの間である。さらに別の実施形態では、作動距離70は、約100mmと約300mmとの間である。
【0041】
対物レンズ・セット30は、作動距離70に等しい距離で焦点を合わせるように配列することが必要である。
図3を参照すると、対物レンズの配列30は、レンズセットA32、B34及びC36の3つのレンズセットを備えており、レンズセットA32は、外科領域102と内視鏡カメラ・ヘッド50との間の光路において、テレスコープ・レンズ20の遠位端部22にある。レンズセットB34は、レンズセットA32と内視鏡カメラ・ヘッド50との間で光路に置かれ、さらにレンズセットC36は、レンズセットB34と内視鏡カメラ・ヘッド50との間で光路に置かれている。例えば、レンズセットA32とレンズセットC36との間の距離が固定されている場合は、対象に焦点が合うレンズ配列30の有効作動距離70は、中間のレンズセットB34の位置を変えることによって変化させることができる。レンズセットB34をレンズセットC36に極めて近接させることで、有効作動距離70が減少し、テレスコープ・レンズ20の遠位端部22に近い対象に焦点が合う。他方、レンズセットB34をレンズセットA32の極めて近くに移動させることで、有効作動距離70が増大し、本発明では好ましいことに、テレスコープ・レンズ20の遠位端部22からより離れた対象に焦点が合う。幾つかの実施形態では、異なる大きさ及び形状のレンズ、異なる数のレンズセット及び間隔を空ける距離を含む様々なレンズ配列があることが理解される。さらに、レンズは様々な種類の材料から作られるが、このことは、レンズの屈折性に影響を与える。これらの特性のそれぞれは、相互に関係付けられ、約200mmの望ましい作動距離70を実現するための多くの可能な配列を提供する。
【0042】
本発明の幾つかの実施形態では、テレスコープ・レンズ20は、リレー・レンズ40、すなわち対物レンズ30又は対物レンズの配列30とファインダーレンズ48との間の光路においてテレスコープ・レンズの内部に配置されたレンズをさらに備えている。このリレー・レンズ40は、対物レンズ30とファインダーレンズ48との間の光路に沿って最小限のイメージ歪みで光学イメージを伝送する。リレー・レンズ40は、一連のロッド・レンズ42と、これらのロッド・レンズ42の間のスペーサ40とを備えている。リレー・レンズは、テレスコープ・レンズ20の遠位端部22で受け取られる、身体100内部の位置からの光学イメージを、テレスコープ・レンズ20の近位端部24における身体100外部の位置に、光学イメージに対する最小限の歪みをもって伝送することを可能とするので、内視鏡検査に使用される多くのテレスコープ・レンズ20は、リレー・レンズ40を備えている。外科医は、テレスコープ・レンズ20を患者の身体100に挿入して、特に身体100の外側から通常は見ることのできない外科領域102を外科医に見えるように身体100が完全に開口されていた従来の外科的方法と比べて、組織の損傷を最小限にしつつ、身体100の外側からは見えない外科領域102を見ることができる。
【0043】
本発明のテレスコープ・レンズ20は、その近位端部24にアイピース26をさらに備えている。このアイピース26は、テレスコープ・レンズ20の直径には関係なく標準的な寸法であるのが好ましい。アイピース26は、テレスコープ・レンズ20の近位端部24を内視鏡カメラ・ヘッド50に接続する。アイピース26は、ファスナー、スナップ又は技術的に知られている他の手段により、内視鏡カメラ・ヘッド50に着脱可能に接続される。テレスコープ・レンズ20が内視鏡カメラ・ヘッド50に着脱可能に接続されると、テレスコープ・レンズ20は、その遠位端部22で受け取った光学イメージを内視鏡カメラ・ヘッド50の受光領域52に伝送する。内視鏡アイピース26が標準寸法であることで、様々な直径のテレスコープ・レンズ20を同じ内視鏡カメラ・ヘッド50に容易に接続することができる。
【0044】
本発明では、テレスコープ・レンズ20の外径は10mmであることが好ましいが、テレスコープ・レンズ20は、様々な直径で設計及び製造され、さらに本発明は、様々な直径及び長さのテレスコープ・レンズ20を用いて実施し得ることが理解される。テレスコープ・レンズ20の長さは、その遠位端部22から近位端部24までを測定したときに100mmであるのがさらに好ましいが、これらのテレスコープ・レンズ20は、様々な長さで設計及び製造され、さらに本発明は、様々な長さ及び大きさのテレスコープ・レンズ20を用いて実施し得ることが理解される。
【0045】
さらに
図2を参照すると、本発明の幾つかの実施形態では、テレスコープ・レンズ20は、テレスコープ・レンズ20に光源を取り入れるための光ポート(light port)28を備えている。テレスコープ・レンズ20は、光ポート28からテレスコープ・レンズ20の遠位端部22に光を伝達させるための光導波ファイバーを備えるのが好ましい。本発明は、身体100の外部から見える外科領域102のイメージを受け取るために特別な手術室光源を必要としないことが理解される。テレスコープ・レンズ20の実施形態の中には、光ポート28、すなわち光導波ファイバー・ケーブルを介して外部光源に取り付けられた光導波ファイバー又は装着可能な二重コンデンサ・レンズを備えていないものもあることがさらに理解される。例えば、幾つかの実施形態では、一般的な手術室光源により、光学イメージの伝送に十分な照明を提供することもできる。本発明の幾つかの実施形態では、特別な光源が必要となることが理解される。本発明の幾つかの実施形態では、テレスコープ・レンズ20が、受け取ったイメージの中継用チャネルとは別のチャネルを備えていることが理解される。例えば、テレスコープ・レンズ20は、洗浄(irrigation)用のチャネル、すなわち身体100に器具を挿入するためのチャネルを備えている。
【0046】
テレスコープ・レンズ20の遠位端部22と外科領域102との間の距離は、作動距離70と呼ばれる。内視鏡外科手術では、テレスコープ・レンズ20の遠位端部22が患者の身体100に挿入され、身体100の外側からは見えない外科領域102の光学イメージを受け取り、身体100の外部に配置されたテレスコープ・レンズ20の近位端部24に伝送する。テレスコープ・レンズ20内に配置されたレンズ、具体的には対物レンズ30又は対物レンズの配列30は、外科領域102がテレスコープ・レンズ20の遠位端部22に比較的近いため、作動距離70が比較的短くなるように配列される。例えば、内視鏡外科手術では、外科領域102は、テレスコープ20の遠位端部22から1cm未満の位置に置かれる。
【0047】
しかしながら、本発明では、テレスコープ・レンズ20の全体が、身体100の外部に配置される。さらに、ビデオシステム10の目的は、身体100の外側から見える外科領域102のイメージを受け取ること、そしてこのイメージを拡大及び伝送して、外科医に外科領域102の詳細なイメージを提供することである。本発明の作動距離70は、約200mmであるのが好ましい。この距離によれば、テレスコープの遠位端部22と外科領域102との間に、外科医が手及び器具を操作するのに十分な距離を確保することができる。この作動距離はさらに、外科領域102の十分な視野を提供する。
【0048】
本発明の被写界深度74は、焦点76の前方に6mm及び焦点76の後方に6mmの約12mmであるのが好ましい。この被写界深度74は、レンズ又は作動距離70を調整しなくとも焦点が合っているように見える、焦点76の前方及び後方の距離を指す。200mmの作動距離70において、被写界深度は約12mm、すなわち焦点76の前方に6mm及び焦点76の後方に6mmであるのが好ましい。外科医が作動距離70の調整なしに外科領域102の全体を見ることができるため、被写界深度74の深いことが好ましい。例えば、浅い被写界深度74では、2又は3mmでしか焦点が合わない。その結果、外科医又はアシスタントは、外科領域102に焦点を合わせ続けるために顕微鏡の焦点を絶えず再調整しなければならない。しかしながら、本発明のように深い被写界深度74によれば、外科領域102の全体に焦点が合い続けるため、退屈な焦点合わせを行う必要がない。幾つかの実施形態では、被写界深度74は、約10mmと約15mmとの間である。別の実施形態では、被写界深度74は、約8mmと約20mmとの間である。多くの異なるレンズ配列及びパラメータが本発明について採用可能であることが理解される。
【0049】
上述のように、テレスコープ・レンズ20は、光学イメージをその遠位端部22で受け取り、そのイメージを近位端部24に伝送する。レンズを操作して、テレスコープ・レンズ20の遠位端部22が光学イメージを受け取る角度を変えられることが理解される。例えば、幾つかの実施形態では、テレスコープ・レンズ20は、その遠位端部22の真正面から光学イメージを受け取るように配列され、又はこれに代えて別の実施形態では、遠位端部22が光学イメージを斜めに受け取るように配列される。幾つかの実施形態では、テレスコープ・レンズ20が様々な焦点レンズを有し、これらのレンズの焦点は、テレスコープ・レンズ20の遠位端部22から様々な距離に合わせられることがさらに理解される。
【0050】
図2及び
図4には、本発明による内視鏡カメラ・ヘッド50が示されている。内視鏡カメラ・ヘッド50は、光学イメージを受信するためのカメラ・ヘッドであり、ここに、内視鏡カメラ・ヘッド50は、身体に挿入される内視鏡機器、例えばテレスコープ・レンズ20から光学イメージを受信するように特別に設計される。具体的には、内視鏡カメラ・ヘッド50は、内視鏡機器、例えばテレスコープ・レンズ20のアイピース26に対する着脱可能な連結用の標準的な光カプリング56を備えている。テレスコープ・レンズ20のアイピース26は、内視鏡カメラ・ヘッド50の標準光カプリング56に着脱可能に連結される。幾つかの実施形態では、この光カプリング56は、テレスコープ・レンズのアイピース26よりもわずかに内径が大きいカップである。このカップは、オス・メス接続の形式でアイピース26を受け入れる。幾つかの実施形態では、このカプリングは、テレスコープのアイピース26の位置を固定して、テレスコープ・レンズ20から内視鏡カメラ・ヘッド50への光学イメージの伝送を容易にするねじ又はカップをさらに備えている。標準光カプリング56が広範囲の内視鏡機器を受け入れるように設計されるのが好ましい。
【0051】
内視鏡カメラ・ヘッド50の具体例は、Karl Storz社製のImage 1(登録商標)である。
図2を参照すると、内視鏡カメラ・ヘッド50の実施形態、すなわちImage 1(登録商標)が示されている。この内視鏡カメラ・ヘッド50は、テレスコープ・レンズ20から光学イメージを受信するための受光領域52を備えている。この受光領域52は、標準光カプリング56の中心に配置されて、内視鏡カメラ・ヘッド50に向けて光学イメージを通過可能とする。内視鏡カメラ・ヘッド50は、光学イメージを受信し、それをディジタル信号に変換するためのCCD感知チップをさらに備えている。内視鏡カメラ・ヘッド50は、テレスコープ・レンズ20又は他の機器を内視鏡カメラ・ヘッド50に着脱可能に結合するための標準光カプリング56をさらに備えている。多くの種類の内視鏡カメラ・ヘッド50を本発明について採用可能であることが理解される。
【0052】
Image 1(登録商標)内視鏡カメラ・ヘッド50は、光学イメージ受光領域52とCCD感知チップとの間に配置されたパラフォーカル・ズームレンズをさらに備えている。内視鏡カメラ・ヘッド50は、その側面に、内視鏡カメラ・ヘッド50の種々のパラメータを制御するためのプログラマブル・ボタン54を備えている。例えば、このボタンは、内視鏡カメラ・ヘッド50のズームを制御することができる。
【0053】
また図示された内視鏡カメラ・ヘッド50は、完全にオートクレーブ可能であり、手術中は無菌フィールドに置かれる。さらに、前述されたテレスコープ・レンズ20も完全にオートクレーブ可能である。内視鏡カメラ・ヘッド50及びテレスコープ・レンズ20の両方が無菌フィールドに置かれて、外科手術中は外科医によって触られるため、このことは有益である。内視鏡カメラ・ヘッド50又はテレスコープ・レンズ20は、オートクレーブ可能である必要はないことが理解される。本発明の幾つかの実施形態では、内視鏡カメラ・ヘッド50は、高解像度カメラ・ヘッドであって、最高の画質を提供する。
【0054】
図2を参照すると、内視鏡カメラ・ヘッド50は、カメラ制御ユニット60に電子的に接続されている。幾つかの実施形態では、この接続は有線であり、別の実施形態では、無線である。電子的接続によって内視鏡カメラ・ヘッド50に電力が供給されるのがさらに好ましい。カメラ制御ユニット60は、内視鏡カメラ・ヘッド50から受信したディジタル信号を処理し、さらにこのディジタル信号を手術室110内外の様々な装置に配信する手段を備えている。例えば、本発明の幾つかの実施形態では、カメラ制御ユニット60は、ディジタル信号を手術室内の受信ユニットに転送し、ここに、この受信ユニットは、ディジタル信号を種々の装置に配信するためのハブとして動作する。別の実施形態では、カメラ制御ユニット60は、内視鏡カメラ20の内部に収納される。
【0055】
上述のように、カメラ制御ユニット60は、様々な受信装置にディジタル信号を送信する。ディジタル・イメージ信号が手術室110内に配置された高解像度テレビ66に送信されて、手術を行っている最中に外科医が外科領域102のイメージを見得るのが好ましい。内視鏡カメラ・ヘッド50は、外科領域102のビデオが作成されるようにディジタル・イメージを受信及び送信するのが好ましい。ディジタル信号は、記録装置、別の病院又は教室に送信することもできる。
【0056】
図4に示されるように、内視鏡カメラ・ヘッド50は、カメラ制御ユニット60に接続されている。このカメラ制御ユニット60は、外科医の参照用に手術室に取り付けられたディスプレイ画面66に接続されている。
図4では、ディスプレイ画面66は、手術台の上方で、外科医及び手術チームのディスプレイ画面66に対する見通しがきくように手術台上に取り付けられている。カメラ制御ユニット60は、ディスプレイ画面66にディジタル信号を送り、このディスプレイ画面は、内視鏡カメラ・ヘッド50が受け取った外科領域のイメージを表示する。ディスプレイ画面66は、外科医が双眼鏡又は双眼アイピースを覗き込むことなく外科領域の表示を見ることを可能とするので、好適である。従って、ディスプレイ画面66は、外科医の疲労を軽減する。本発明の幾つかの実施形態では、
図4に示されるように、複数のディスプレイ画面66が設けられて、複数の位置から画面を見ることができる。幾つかの実施形態では、ディスプレイ画面66は、手術室の天井に直接又はブームを用いて取り付けられる。別の実施形態では、ディスプレイ画面は、手術中に患者の上に直接置かれる。本発明の幾つかの実施形態では、ディスプレイ画面66は、高解像・高分解能のモニタである。本発明の幾つかの実施形態では、カメラ制御ユニットは、データ・ルーティング・システムに接続され、ここに、ディジタル出力信号は、手術室内外の種々の場所に送られる。
【0057】
図2及び
図4を参照すると、内視鏡カメラ・ヘッド50及びテレスコープ・レンズ20は、身体の外部に配置されている。テレスコープ・レンズ20の遠位端部22は、身体100の外側から見える外科領域102のイメージを受け取り、この光学イメージをカメラ制御ユニット60に伝送する。内視鏡カメラ・ヘッド50及びテレスコープ・レンズは、機械的アーム80によって外科領域102のイメージを受け取る位置に支持されている。この機械的アーム80は、空気圧制御及び磁気的制御のいずれか一方によるのが好ましい。機械的アーム80により、外科医又はアシスタントは、テレスコープ・レンズ20の遠位端部22を外科領域102の真上に位置させることができる。機械的アーム80によりさらに、外科医又はアシスタントは、内視鏡カメラ・ヘッド50及びテレスコープ・レンズ20の位置を調整して、外科領域102を見る角度を所望に設定することができる。磁気的制御又は空気圧制御により、内視鏡カメラ・ヘッド50の位置を正確に制御することができる。幾つかの実施形態では、1つ以上の内視鏡カメラ・ヘッド50及びテレスコープ・レンズ20が手術台に隣接したスタンドによって支持され、別の実施形態では、天井に連結された支持ブームによって支持され、さらに他の実施形態では、外科医もしくはアシスタントの手、又は他の手段によって支持されることが理解される。
【0058】
図4を参照すると、複数の自由度を有するロボット制御式の機械的アーム80が示されている。このロボット式機械的アーム80は、遠位端部82及び近位端部84を備えている。このアームは、ボールジョイント88、ヒンジ又は他の知られた手段に連結された、2つ以上の剛性リンク部材86をさらに備えている。アームの近位端部84は、テーブル104に連結され、またアームの遠位端部82は、1つ以上のテレスコープ・レンズ20及び内視鏡カメラ・ヘッド50に連結されて、これらの組合せを外科領域102の上方で支持している。幾つかの実施形態では、アーム80は、空気圧手段、磁気的手段又は他の何らかの手段によって制御されて、アームの遠位端部の位置を正確に制御する。
【0059】
アームの制御要素87は、制御ソース89、例えば、加圧空気ソース又は電源に接続される。制御要素87は、機械的アーム80を定位置に保持したり、アームの位置を変化させたりするのに使用される。制御ソース87は、プロセッサ、及びキーボード90又はジョイステック92などの入力手段にさらに接続されて、オペレータが制御要素87を動かして、内視鏡カメラ・ヘッド50及びテレスコープ・レンズ20の位置を外科領域102に対して変化させることを可能とする。プロセッサをプログラムして、外科手術中に所定のルーチンを実行させることも可能である。例えば、手術前に、ユーザがキーボード90又はプロセッサを用いて所定の制御シーケンスをプロセッサにプログラムする。この制御シーケンスは、手術中にアーム80を制御するための特定のパラメータを定義する。幾つかの実施形態では、アームは、ある位置に留まり、そして外科医の命令に応じて第2の所定の位置に移動する。プログラムは、記憶して1つ以上の手術で使用することができる。多くの他の機械的アームの設計が可能であり、またこれらの設計が本発明の範囲にあることが理解される。
【0060】
本発明の1つの実施形態では、内視鏡カメラ・ヘッド50及びテレスコープ・レンズ20は、三鷹光器株式会社(Mitaka Company)製の空気圧−磁気式機械的アーム80を用いて、手術台104の上方で支持及び制御される。この機械的制御アーム80により、テレスコープ・レンズ20の遠位端部22位置の正確な制御が可能となる。この三鷹光器社製のアームは、複数の自由度を有して、テレスコープ・レンズ20の遠位端部22を外科領域102上方の様々な位置に移動させるのが好ましい。例えば、外科医又は技術者は、内視鏡カメラ・ヘッド50が外科領域102の様々な光学イメージを受信するように、テレスコープ・レンズ20の外科領域102に対する角度をプログラムする。
【0061】
図5は、身体上の対象を見る方法200を示しており、この方法200は、内視鏡レンズを準備するステップ204、この内視鏡レンズに内視鏡カメラ・ヘッドを接続するステップ208、約200mmの距離から内視鏡レンズを用いて対象を見るステップ212、約12mmの被写界深度で内視鏡レンズの焦点を合わせるステップ220、及び内視鏡カメラ・ヘッドを用いてカメラ制御ユニットにイメージを送るステップ226、を含んでいる。
【0062】
幾つかの実施形態では、方法200は、内視鏡レンズ及び内視鏡カメラ・ヘッドを身体の外部に配置する(232)。別の実施形態では、方法200は、内視鏡レンズ及び内視鏡カメラ・ヘッドの両方を機械的アームによって支持する(236)。
【0063】
本発明について特定の部品の配置や特徴などを参照して説明したが、これらの説明は、全ての可能な配置又は特徴を説明し尽くすことを意図したものではなく、当業者であれば多くの他の修正例や変形例を考えつくであろう。