(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755902
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】電気自動車用充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20150709BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20150709BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20150709BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20150709BHJP
H02B 1/40 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/04 C
H02J7/00 Y
H01M10/44 Q
B60L11/18 C
H02B9/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-36332(P2011-36332)
(22)【出願日】2011年2月22日
(65)【公開番号】特開2012-175839(P2012-175839A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2013年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】水野 和人
【審査官】
坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−098420(JP,A)
【文献】
特開2010−187453(JP,A)
【文献】
特開2008−141924(JP,A)
【文献】
特開2010−187452(JP,A)
【文献】
特開平09−233720(JP,A)
【文献】
特開2008−136291(JP,A)
【文献】
特開2005−304234(JP,A)
【文献】
特開2003−309928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 11/18
H01M 10/44
H02B 1/40
H02J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用電源を供給電源として電気自動車を充電するための電気自動車用充電システムであって、
前記家庭用電源を管理する分電盤内に設置された主開閉器を流れる電流を測定して過電流を検知可能な過電流検知装置と、
前記電気自動車への電源供給をオン/オフする切替器と、
前記過電流検知装置と電気的に接続されているとともに、前記切替器のオン/オフ動作を制御する制御装置とを備えており、
前記制御装置は、時刻を計時する計時手段及び記憶手段を有し、所定の開始時刻に前記切替器をオン動作させて前記電気自動車の充電を開始し、所定の終了時刻に前記切替器をオフ動作させて前記電気自動車の充電を終了するとともに、
前記開始時刻において前記主開閉器を流れる電流量が所定の電流量を超えていると、前記切替器をオン動作させず、前記主開閉器を流れる電流量が前記所定の電流量よりも減ったことをもって前記切替器をオン動作させ、充電を開始するとともに、前記切替器をオン動作させようとしてから実際にオン動作させるまでの時間を計時し、その時間を前記記憶手段に記憶する一方、
充電中に前記過電流検知装置において過電流が検知されると、前記切替器をオフ動作させ、過電流の検知から所定の停止時間が経過するまで前記電気自動車への充電を停止するとともに、前記過電流が検知された時刻を前記記憶手段に記憶することを特徴とする電気自動車用充電システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記開始時刻から前記終了時刻までの間に、前記切替器をオフ動作させて前記電気自動車への電源供給をオフしていた時間があると、当該時間だけ前記終了時刻を延長することを特徴とする請求項1に記載の電気自動車用充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車を充電するための電気自動車用充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の普及に伴い、家庭用電源を供給電源として電気自動車を充電可能な充電システムが望まれており、たとえば特許文献1に開示されているような充電システムが考案されている。この充電システムは、たとえバッテリと家庭用電源とが電気的に接続されていたとしても、予め設定した時間帯でのみバッテリへの充電を許容する制御手段を備えており、電気代の安い深夜等といった使用者にとってメリットのある時間帯において自動的に充電させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−142025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
家庭用電源を供給電源として使用していると、たとえ深夜等であっても住戸における使用電力量が大きくなる状況が考えられ、そのような状況で充電を行うと過電流となってしまうことがある。しかしながら、上述したような従来の充電システムでは、そのような状況であっても予め設定した時間帯になると充電が開始されてしまい、最終的に主開閉器がオフ動作してしまうといった事態が起こり得るため、使い勝手の点で改善が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、家庭用電源を供給電源として使用しているものの、充電を起因として主開閉器が動作したりせず、使い勝手の良い電気自動車用充電システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、家庭用電源を供給電源として電気自動車を充電するための電気自動車用充電システムであって、前記家庭用電源を管理する分電盤内に設置された主開閉器を流れる電流を測定して過電流を検知可能な過電流検知装置と、前記電気自動車への電源供給をオン/オフする切替器と、前記過電流検知装置と電気的に接続されているとともに、前記切替器のオン/オフ動作を制御する制御装置とを備えており、前記制御装置は、時刻を計時する計時手段及び記憶手段を有し、
所定の開始時刻に前記切替器をオン動作させて前記電気自動車の充電を開始し、所定の終了時刻に前記切替器をオフ動作させて前記電気自動車の充電を終了するとともに、前記開始時刻において前記主開閉器を流れる電流量が所定の電流量を超えていると、前記切替器をオン動作させず、前記主開閉器を流れる電流量が前記所定の電流量よりも減ったことをもって前記切替器をオン動作させ、充電を開始するとともに、前記切替器をオン動作させようとしてから実際にオン動作させるまでの時間を計時し、その時間を前記記憶手段に記憶する一方、充電中に前記過電流検知装置において過電流が検知されると、前記切替器をオフ動作させ、過電流の検知から所定の停止時間が経過するまで前記電気自動車への充電を停止するとともに、前記過電流が検知された時刻を前記記憶手段に記憶することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の発明において
、前記制御装置は、前記開始時刻から前記終了時刻までの間に
、前記切替器をオフ動作させ
て前記電気自動車への電源供給をオフしていた時間があると、当該時間だけ前記終了時刻を延長することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、制御装置が、過電流が検知されていたり、使用電流量が充電を開始すると過電流となる所定の電流量を超えていたりすると、切替器をオフ動作させたり、切替器をオン動作させないといった制御を実行する。また、過電流が検知されたり、充電開始を遅らせたりした場合、その旨や充電を停止していた時間等を記憶手段に記憶するといった制御も実行する。したがって、電気自動車の充電に起因して主開閉器が動作してしまうといった事態が起こらないし、電気自動車への充電状況を記憶させておくことができるため、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電気自動車用充電システムにおけるブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる電気自動車用充電システム(以下、単に充電システムと称す)について、図面に基づき詳細に説明する。
【0010】
図1は、充電システム1におけるブロック構成図であって、図中の矢印は各種信号や電流の流れを示している。また、
図2は、EVタイマー11のブロック構成図である。
充電システム1は、家庭用電源を供給電源として電気自動車4を充電するものであって、商用電源に接続された電路を開閉する主開閉器2を流れる電流を測定するとともに該電路の過電流を検知可能な過電流警報器3と、電気自動車4への充電に係る動作を制御するEVタイマー11と、電気自動車4のバッテリ(図示せず)と電気的に接続可能であるとともにEVタイマー11の制御によりバッテリへの電源供給をオン/オフする切替器12とを備えてなる。過電流警報器3は、たとえば特開2003−348718号公報に記載されているような公知のものであって、主開閉器2を流れる電流を測定するための電流センサ5、5を備えており、家庭用電源を管理するホーム分電盤10内に主開閉器2と共に設置されている。また、該過電流警報器3は、EVタイマー11と電気的に接続されており、電流センサ5、5により検出される電流量が予め設定された最大電流量を超えると過電流が発生しているとして、過電流の発生を示す過電流信号をEVタイマー11へ送信するように構成されている。尚、過電流警報器3は、過電流の発生時以外にも、主開閉器2を流れる電流量を常時EVタイマー11へ送信している。また、ホーム分電盤10内には、たとえばリビングやキッチン、バス等の各居室に備えられている照明やコンセントが接続された多数のブレーカ6、6・・が設置されている。
【0011】
一方、EVタイマー11は、充電動作を制御するCPU21、時刻や時間を計時するタイマー22、充電動作の状況や充電が予定されている時間帯等を記憶するメモリー23、充電時刻や充電時間を設定したりするための操作部24、充電の状況等を表示するための表示部25、過電流警報器3や切替器12と電気的に接続するためのインターフェイス26を備えてなる。そして、EVタイマー11では、操作部24により予め所定の開始時刻から終了時刻までを充電時間帯として設定しておくと、その所定の開始時刻(たとえばPM11:00)になると切替器12をオン動作させてバッテリへの充電を可能な状態とする。また、所定の終了時刻(たとえばAM4:00)となり充電時間帯が終了すると、切替器12をオフ動作させ、たとえ充電が完了していないバッテリが切替器12に接続されたとしても充電が開始されないようにする。尚、EVタイマー11の操作部24による操作によっては、充電時間帯以外であっても切替器12をオン動作可能となっている。
【0012】
切替器12は、ホーム分電盤10内に設置されて商用電源と接続されたブレーカ7からのびる電路をオン/オフするものであって、電気自動車4のバッテリからのびるケーブルを接続すると、バッテリとブレーカ7とが電気的に接続されるようになっている。また、切替器12は、上記EVタイマー11と電気的に接続されており、EVタイマー11に動作電源を供給する。さらに、切替器12には、充電電流を測定するための電流測定手段が内蔵されており、EVタイマー11は、ブレーカ7からバッテリへと流れる充電電流量を測定可能となっている。
【0013】
ここで、本発明の要部となる過電流が発生した場合、及び過電流が発生するおそれがある場合における充電システム1の充電制御について説明する。
たとえば充電時間帯であって電気自動車4への充電中に、ホーム分電盤10が設置された住戸内で使用電流量が増えて過電流警報器3が過電流を検知すると、過電流信号が過電流警報器3からEVタイマー11へ送信される。そして、EVタイマー11では、過電流信号を受信すると、切替器12をオフ動作させてブレーカ7とバッテリとを繋ぐ電路を遮断し、電気自動車4への充電を停止させるとともに、表示部25において過電流の発生により電気自動車4への充電を停止している旨(たとえば、「充電待機中」等)を表示する。また、EVタイマー11は、停止してからの時間を計時し、予め設定された所定の停止時間(たとえば、30分)が経過すると、その際の時刻(停止時間が経過した後の時刻)が依然として充電時間帯内であるか否かを判断し、充電時間帯内である場合には再び切替器12をオン動作させ、電気自動車4への充電を再開させる。尚、EVタイマー11のCPU21は当該事態の発生をメモリー23に記憶しておき、充電時間帯の終了後、切替器12をオフ動作させて電気自動車4への充電を停止するとともに、上記事態により充電を停止していた旨、及び停止していた時刻(たとえば、「AM1:00からAM1:30にかけて過電流の発生により充電を停止しました」等)を表示部25に表示する。
【0014】
また、充電時間帯となり電気自動車4への充電を開始するに際して、EVタイマー11は、現時点での使用電流量から電気自動車4の充電を開始したとしても過電流にならないかを判断する。すなわち、使用電流量が所定の電流量を超えていないかを判断する(所定の電流量を予め設定してもよいし、前回充電した際の充電電流量をメモリー23に記憶しておき、使用電流量と充電電流量とから過電流を超えるか否かを判断するように構成してもよい)。そして、過電流になると判断すると、充電時間帯になっているにもかかわらず切替器12をオン動作させず、所定の停止時間(たとえば、30分)が経過するまで充電を開始させない。また、表示部25において充電を開始していない旨(たとえば、「充電待機中」等)を表示する。そして、所定の停止時間が経過した後に、切替器12をオン動作させ、電気自動車4への充電を開始させる。尚、EVタイマー11のCPU21は当該事態の発生をメモリー23に記憶しておき、充電時間帯の終了後、切替器12をオフ動作させるとともに、上記事態により充電開始時刻を遅らせた旨(たとえば、「過電流となりそうでしたので、PM11:30から充電を開始しました」等)を表示部25に表示する。
【0015】
以上のような構成を有する充電システム1によれば、EVタイマー11と過電流警報器3とを電気的に接続しており、電気自動車4への充電中に過電流が検知されると、EVタイマー11は、切替器12をオフ動作させ、所定の停止時間が経過するまで電気自動車4への充電を停止する。したがって、電気自動車4への充電中に住戸内での使用電流量が増えたとしても、電気自動車4への充電に起因して主開閉器2が動作するといった事態が起こらなく、使い勝手の向上を図ることができる。
【0016】
また、充電時間帯となり充電を開始するに際して、EVタイマー11は、使用電流量が所定の電流量を超えているか否かを判断することにより充電の開始により過電流になるかならないかを判断し、過電流になると判断すると、所定の停止時間が経過するまで切替器12をオン動作させず、電気自動車4への充電を開始させない。つまり、電気自動車4への充電を開始する時刻において住戸内での使用電流量が大きい状況にあった場合には、電気自動車4への充電を開始させない。したがって、電気自動車4への充電に起因して主開閉器2が動作するといった事態が起こらなく、使い勝手の向上を図ることができる。
【0017】
加えて、EVタイマー11は、上述したように充電を停止させたり、充電の開始時刻を遅らせたりした事態をメモリー23に記憶しておき、充電時間帯の終了後、表示部25に上記事態が発生した旨を表示する。したがって、使用者に充電の状況を正確に把握させることができ、使い勝手の一層の向上を図ることができる。
【0018】
なお、本発明に係る充電システムは、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、EVタイマーにおける充電の制御に係る構成を、必要に応じて適宜変更することができる。
【0019】
たとえば、上記実施形態では、充電を停止したり、充電開始時刻を遅らせたりした場合でも、充電時間帯の終了に伴い切替器をオフ動作させるように構成しているが、充電を停止した時間や充電開始時刻を遅らせた時間をメモリー23に記憶しておき、当該時間だけ充電時間帯の終了を延長させるように構成することも可能である。
また、上記実施形態では、過電流を検知したり、過電流になるであろう状況を検知すると、所定の停止時間が経過するまで切替器をオン動作させないように構成しているが、時間によるオン/オフ制御ではなく、使用電流量を常時監視し、充電を開始したとしても過電流とならないまでに使用電流量が減ったことをもって切替器をオン動作させるように構成してもよい。そして、この場合、充電を停止していた時間をメモリー23に記憶させておけば、充電時間帯の終了後に表示部にその旨を表示させる等して使用者に充電の状況を把握させることができる。尚、時間によるオン/オフ制御と、使用電流量の監視によるオン/オフ制御とを併用する(たとえば、充電中に過電流を検知してオフ動作させた場合には時間による制御を実行し、充電開始時刻を遅らせる際には使用電流量による制御を実行する等)ことも当然可能である。
さらに、EVタイマーにブザーやスピーカ等の報音手段を設け、過電流の検知に伴い報音手段を動作させるように構成しても何ら問題はない。
加えて、停止時間や充電時間帯についても上記実施形態に記載の時間に何ら限定されることはなく、使用者が操作部により適宜設定変更可能である。
【符号の説明】
【0020】
1・・充電システム、2・・主開閉器、3・・過電流警報器(過電流検知装置、電流量測定装置)、4・・電気自動車、10・・ホーム分電盤、11・・EVタイマー(制御装置)、12・・切替器、21・・CPU、22・・タイマー(計時手段)、23・・メモリー(記憶手段)、24・・操作部、25・・表示部。