【文献】
石井 潤一郎,USB3.0の実力を探る,組込みプレス,日本,(株)技術評論社,2010年 5月25日,第19巻,p.70-77
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
USB3.0規格に対応したホスト装置との間でUSB3.0規格に準拠したUSBケーブルとUSB2.0規格に準拠したUSBケーブルとのいずれを用いても接続可能なUSBインターフェース部と、
前記USBインターフェース部の接続端子のうち前記USB2.0規格でのデータ通信にも電流の供給にも使用しない接続端子の電圧のレベルに基づいて、前記電流条件を変更する通電条件変更部とを備えることを特徴とする周辺装置。
前記USB2.0規格でのデータ通信にも電流の供給にも使用しない接続端子は、前記USBケーブルにより、前記USB3.0規格に対応したホスト装置の6番ピンまたは7番ピンと接続される接続端子であることを特徴とする請求項1に記載の周辺装置。
前記USBインターフェース部と前記USBケーブルとの端子接続状態に合った前記ホスト装置との通電条件に従って前記USBインターフェース部を介して前記ホスト装置から電流の供給を受け付ける電源部をさらに有し、当該電源部は、前記周辺装置の本体を駆動するための電源部を兼ねることを特徴とする請求項1または2に記載の周辺装置。
前記USBケーブルの両端のコネクタのうち、前記ホスト装置に接続される第1コネクタはUSB3.0規格に対応したコネクタであり、前記周辺装置に接続される第2コネクタはUSB2.0規格のミニタイプのコネクタまたはマイクロBタイプのコネクタであり、
前記電圧検知部が前記電圧を検知する前記端子は、前記第2コネクタの4番ピンであり、前記4番ピンは、前記USBケーブルによって前記第1コネクタの5番ピンないし9番ピンのいずれか1つに接続されていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の周辺装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施例1〕
図1は、本発明の実施形態に係るUSBバスパワーを電力源とするスキャナの概略構成を示すブロック図である。本発明の実施例として、ホスト装置としてPC1を採用し、負荷を備えた周辺装置としてスキャナ8(画像読み取り装置)を採用し、本発明を説明する。なお、周辺装置は、USBインターフェースを備えた装置であれば、画像形成装置やその他の装置であってもよい。
【0016】
PC1は、ホスト側コネクタとしてソケット型のUSBコネクタ2を備えている。上位規格のUSB3.0とその下位規格のUSB2.0とでは、USBコネクタ2の形状が異なっている。USBコネクタ2には、USBケーブル3の一端に取り付けられたプラグ型のコネクタが接続される。USBケーブル3の他端に取り付けられたプラグ型のコネクタは、スキャナ8が備えるソケット型のUSBコネクタ6に接続される。USBコネクタ6は、単一のケーブルを介してホスト装置と接続され、単一のケーブルを用いてデータの送信および受信を行うともに、ホスト装置が供給する電流を受給するインターフェース部の一例である。また、USBコネクタ6は、外部接続先であるホスト装置との間でそれぞれ種類の異なる複数のUSBケーブルのいずれを用いて接続可能なUSBインターフェース部の一例でもある。USBケーブル3の内部には、データの送受信を行うための信号線4と、USBバスパワーによる電力を供給するための電力供給線5が存在する。USBバスパワーにより供給可能な電流の上限値には制限がある。USB2.0規格の上限値は500mAであるが、USB3.0規格の上限値は900mAである。なお、電流制御部9は、USBインターフェース部とUSBケーブルとの端子接続状態に合ったホスト装置との通電条件に従ってUSBインターフェース部を介してホスト装置から電流の供給を受け付ける電源部として機能する。なお、電流制御部9は、周辺装置の本体を駆動するための電源部を兼ねる。
【0017】
USBケーブル3を介して供給された電流は、電流制御部9を介して負荷10に供給される。負荷10は、負荷変動が相対的に大きいデバイス11と、負荷変動が相対的に小さいデバイス12とを含む。つまり、デバイス12は、第2の負荷と比較して負荷変動の小さい第1の負荷の一例であり、デバイス11は、第1の負荷と比較して負荷変動の大きい第2の負荷の一例である。デバイス11としては、原稿を搬送するためのモータ13がある。また、デバイス12としては、原稿を照明するための光源であるLED15と、CISやCCD等の画像読み取りセンサ17と、アナログ信号をデジタル信号に変換するAFE(アナログ・フロント・エンド)16とが存在する。
【0018】
スキャン動作を説明する。モータ13によって、原稿の搬送が開始される。原稿がセンサ17の上部を通過するとき、LED15が発光し、原稿に光が当たる。原稿からの反射光をセンサ17が読取り、受光量応じたアナログ信号をAFE16へ出力する。センサ17から出力されたアナログ信号はAFE16でデジタルデータへ変換され、CPU14およびUSBケーブル3の信号線4を介してPC1へ送信される。CPU14は、モータ13の駆動時間および駆動力と、LED15の発光時間および発光量を制御する。
【0019】
インターフェース判別部7は、USBコネクタ6が上位規格のUSBコネクタ2に接続しているか、USBコネクタ6が下位規格のUSBコネクタ2’に接続しているかを判別する。たとえば、インターフェース判別部7は、PC1がUSB2.0規格に対応したPCか、USB3.0規格に対応したPCかを判別する。インターフェース判別部7は、判別結果を示す接続情報をCPU14へ送信する。CPU14はインターフェース判別部7から送信されてきた接続情報に応じて、スキャナ8の負荷10へ供給する電流の上限値を設定する。たとえば、USB2.0規格に対応したPCと接続したとことを接続情報が示していれば、CPU14は、負荷10へ供給する電流の上限値を500mAに設定する。一方、USB3.0規格に対応したPCと接続したことを接続情報が示していれば、CPU14は、負荷10へ供給する電流の上限値を900mAに設定する。
【0020】
電流制御部9は、スキャナ8の負荷10へ供給されている電流を測定し、測定結果を示す測定情報をCPU14へ送信する。CPU14は、インターフェース判別部7からの測定情報に基づいて算出した測定値と、設定された上限値とを比較する。測定値が上限値を上回っていれば、CPU14は、負荷10へ供給する電流を削減するか、電流の供給を完全に停止するよう電流制御部9に指示する。一方、測定値が上限値を下回っていれば、CPU14は、負荷10へ電流の供給を継続するよう電流制御部9を制御する。すなわち、CPU14は、USBコネクタ6に対するUSBケーブル3の端子接続状態に合わせてPC1との通電条件として供給電流条件を適宜変更する通電条件変更部として機能する。ここで、USBケーブル3の端子接続状態とは、例えば、USBケーブル3とUSBコネクタ6との接続がUSB3.0規格に対応した接続状態、あるいはUSB2.0規格に対応した接続状態であることを意味する。なお、本発明は、USB接続仕様に限定されず、外部接続先であるホスト装置と周辺装置との間で接続規格の仕様(端子仕様等)が異なる接続ケーブルを用いたデータ通信に対応するインターフェース部と、このインターフェース部に対する各接続ケーブルの端子接続状態に合わせてホスト装置との通電条件を変更する通電条件変更部とを備えるような周辺装置についても広く対象とする。このように本発明では、接続規格の仕様差を利用して接続状態を判断し、当該接続状態の判断結果に合わせて通電条件(データ通信、電流供給等)を変更することで、ホスト装置と周辺装置とのケーブル接続に伴う相互の相性を改善してユーザの利便性を向上することができる。
【0021】
上述したように負荷10には、負荷変動の小さいデバイス12と負荷変動の大きいデバイス11が存在する。例えば、モータ13が出力すべきトルクは、原稿の種類によって大きく変わる。そのため、モータ13は負荷変動の大きなデバイス11に含まれる。逆に、CPU14、LED15、AFE16およびセンサ17の負荷変動はモータ13の負荷変動の1/10程度にすぎない。よって、これらは、モータ13に比べ、負荷変動は小さい。
【0022】
このように、スキャナ8は、PC1からUSBバスパワーにより電力を受給し、負荷への電流が上限値未満となるように制限しながら、スキャン動作を行う。
【0023】
図2(A)は、PC1のUSBコネクタ2がUSB3.0規格に対応している場合についてのUSBケーブル3、PC1のUSBコネクタ2およびスキャナ8のUSBコネクタ6の接続端子を示している。
【0024】
図2(A)が示すピン配置によれば、1番ピン1pはV busである。2番ピン2pは、USB2.0差動信号D−である。3番ピン3pは、USB2.0差動信号D+である。4番ピン4pはGNDである。5番ピン5pはUSB3.0信号送信線(−)である。6番ピン6pは、USB3.0信号送信線(+)である。7番ピン7pはGND(接地電位)である。8番ピン8pはUSB3.0信号受信線(−)である。9番ピン9pはUSB3.0信号受信線(+)である。USBケーブル3のPC1側のUSBコネクタ2は、USB3.0規格に対応したスタンダードAを採用している。スキャナ8側のUSBコネクタ6はミニまたはマイクロBを採用している。このように、USBケーブル3の両端のコネクタのうち、ホスト装置に接続されるコネクタはUSB3.0規格に対応したコネクタであり、周辺装置に接続されるコネクタはUSB2.0規格のミニタイプのコネクタまたはマイクロBタイプのコネクタである。
【0025】
本実施例では、ミニもしくはマイクロBの4番ピン4pをUSB検出ポートとして使用する。USBケーブル3のPC1側の1番ピン1p、2番ピン2p、3番ピン3p、4番ピン4p、7番ピン7pが、スキャナ8側の1番ピン1p、2番ピン2p、3ピン番3p、5番ピン5p、4番ピンと接続するように配線されている。
【0026】
図2(B)は、PC1のUSBコネクタ2’がUSB2.0規格に対応している場合についてのUSBケーブル3、PC1のUSBコネクタ2’およびスキャナ8のUSBコネクタ6の接続端子を示している。
【0027】
図2(B)が示すピン配置によれば、1番ピン1pはV busである。2番ピン2pはUSB2.0差動信号D−である。3番ピン3pはUSB2.0差動信号D+である。2番ピンと3番ピンは通信用端子である。4番ピン4pはGNDである。PC1側のUSBコネクタ2’は、USB2.0規格のスタンダードAを採用している。スキャナ8側のUSBコネクタ6およびUSBケーブル3は、
図2(A)と同様である。
【0028】
図2(A)と
図2(B)とにおいて重要な点は、スキャナ8側のUSBコネクタ6の4番ピン4pが、PC1側の7番ピン7pに接続されていることである。スキャナ8がUSB3.0に対応したホスト装置に接続すると、USBケーブル3のホスト装置側の7番ピン7pはGNDとなる。一方、スキャナ8がUSB2.0に対応したホスト装置に接続すると、USBケーブル3のホスト装置側の7番ピン7pはオープンとなる。ホスト装置側の7番ピン7pは、周辺装置側の4番ピン4pに接続されている。よって、インターフェース判別部7は、周辺装置側の4番ピン4pに印加される電位によって、上位規格と下位規格のどちらに接続されているかを判別できる。このように、周辺装置側の4番ピン4pはUSB検出ポート(検出用端子)として使用できる。つまり、電圧検知部が電圧を検知する端子は、USB2.0規格における4番ピンであり、4番ピンは、USBケーブルによってUSB3.0規格に対応したコネクタの7番ピンに接続されている。
【0029】
図3(A)と
図3(B)のようにスキャナ8側のUSBコネクタ6の4番ピン4pが、PC1側の6番ピン6pもしくは6p以外のデータ転送信号端子である5p、8p、9pに接続されていても、同様の構成をとることができる。この際、PC1側が周辺装置との接続を検知すると、周辺装置が上位規格と下位規格どちらに対応しているかを調べるため、通信信号をデバイスへ送信する。この信号を利用し、インターフェース判別部7は、周辺装置側の4番ピン4pに印加される電位によって、上位規格と下位規格のどちらに接続されているかを判別できる。
【0030】
図4は、電流制御部9の電流制御に関与する部分の回路を示している。
図4が示すように、インターフェース判別部7は、プルアップ抵抗33とCPU14の検出ポート34によって構成されている。周辺装置側の4番ピン4pは、プルアップ抵抗33によってプルアップされてCPU14の検出ポート34と接続している。つまり、電流制御部9は、4番ピンと基準電圧源との間に接続されたプルアップ抵抗33を備えている。ただし、4番ピンがPC1側の6番ピン6pもしくは6p以外のデータ転送信号端子である5p、8p、9pに接続されている場合はプルアップ抵抗33の有無にかかわらず、上位規格と下位規格のどちらに接続されているかを判別することができる。
【0031】
PC1がUSB2.0規格に対応したホスト装置である場合、スキャナ8側のUSBコネクタ6の4番ピンはN.Cとなる。つまり、スキャナ8側の4番ピン4pの接続先であるCPU14の検出ポート34の電位は、プルアップによりHigh(Vcc)となる。一方、PC1がUSB3.0規格に対応したホスト装置である場合、スキャナ8側のUSBコネクタ6の4番ピンはGNDと接続することとなる。つまり、スキャナ8側の4番ピン4pの接続先であるCPU14の検出ポート34の電位は、Low(ゼロV)となる。このように、CPU14の検出ポート34に接続されたプルアップ抵抗33とCPU14の検出ポートがインターフェース判別部7として機能している。このように、プルアップ抵抗33は、インターフェース部が備える複数の端子のうちデータの送信および受信に使用されず、かつ、電流の受給にも使用されない端子(4番ピン4p)の電圧を検知する電圧検知部として機能する。
【0032】
また、スキャナ8側のUSBコネクタ6の4番ピン4pが、PC1側の6番ピン6pもしくは6p以外のデータ転送信号端子である5p、8p、9pに接続した場合はCPU14の検出ポートのみが、インターフェース判別部7として機能している。
【0033】
CPU14は、検出ポート34がHighのとき、CPU14を含む負荷10に供給される電流量の上限値を500mAに設定し、検出ポート34の電位がLowのとき、負荷10に供給される電流の上限値を900mAに設定する。このように、CPU14は、電圧検知部が検知した電圧が第1レベルであれば負荷に供給される電流の上限値を第1の値に設定し、電圧検知部が検知した電圧が第2レベルであれば負荷に供給される電流の上限値を第2の値に設定する上限値設定部として機能する。
【0034】
電流制御部9では、CPU14や負荷10に対して電力を供給する電力供給線と、USBコネクタ6の1番ピン1p(V bus)との間に検出抵抗32が挿入されている。検出抵抗32は、CPU14や負荷10に対して供給される電流を電圧に変換する。電流検知部として機能する電流制御部9は、USB2.0規格における1番ピンと負荷との間に挿入された電流・電圧変換抵抗である検出抵抗32を備えている。
【0035】
検出抵抗32によって測定された電圧の測定値は、CPU14に送信される。CPU14は、この電圧の測定値からスキャナ8の全体で消費されている電流を計算する。たとえば、測定値に所定の係数を乗算したり、測定値を所定の関数に代入したりすることで、測定値を消費電流に変換する。検出抵抗32は、負荷に供給される電流を検知する電流検知部として機能する。
【0036】
CPU14は、負荷10の消費電流の値と、設定した上限値とを比較する。負荷10の消費電流の値が上限値を下回っていれば、CPU14は、スイッチ31がONとなるように制御信号を送出し、消費電流の値が上限値を上回っていれば、スイッチ31がOFFとなるように制御信号を送出する。つまり、CPU14は、電流検知部が検知した電流が設定部により設定された上限値を超えていなければ負荷への電流の供給を継続し、電流検知部が検知した電流が設定部により設定された上限値を超えていなければ負荷へ供給される電流を削減する電流制御部として機能する。
【0037】
ここでは、極端な例として、負荷10への電流の供給をゼロにする構成を採用しているが、負荷10への電流が上限値を超えないように電流を削減する構成を採用してもよい。このように、本実施例では、ホスト装置がUSB3.0規格に対応しているか否かを判別し、判別結果に応じて周辺装置の負荷全体に供給される電流を制御している。
【0038】
図5は、本実施例の制御を示すフローチャートである。S501で、CPU14は、USBケーブル3を介してPC1とスキャナ8とが接続されたことを認識する。
【0039】
S502で、CPU14は、インターフェース判別部7を使用して、PC1がUSB2.0に対応したPCであるか、USB3.0に対応したPCであるかを判別する。PC1がUSB3.0に対応したPであれば、S503に進む。S503で、CPU14は、負荷10に供給される電流の上限値を900mAに設定する。一方、PC1がUSB2.0に対応したPであれば、S504に進む。S504で、CPU14は、負荷10に供給される電流の上限値を500mAに設定する。このように、CPU14は、4番ピンとプルアップ抵抗との接続点の電位がローレベルになると、上限値を900mAに設定し、4番ピンとプルアップ抵抗との接続点の電位がハイレベルになると、上限値を500mAに設定する上限値設定部として機能する。
【0040】
S505で、CPU14は、電流制御部9を用いて、負荷10に供給される電流(消費電流)を測定し、消費電流の測定値が上限値を超えているか否かを判定する。消費電流は、負荷10がどの程度の電流を必要とするかに依存して変動する。消費電流の測定値が上限値を超えると、S506に進む。S506で、CPU14は、負荷10へ供給する電流を削減する。たとえば、CPU14は、スイッチ31を切り替えて、負荷10への電流の供給を停止する。消費電流の測定値が上限値を超えていなければ、S507に進む。S507で、CPU14は、負荷10へ供給する電流を削減する。たとえば、CPU14は、スイッチ31がONを継続するよう制御信号をスイッチ31に送出する。
【0041】
本発明によれば、単一のケーブルを介してホスト装置と接続されたインターフェース部が備える複数の端子のうち、データの送信および受信に使用されず、かつ、電流の受給にも使用されない端子の電圧を検知し、検知した電圧が第1レベルであれば負荷に供給される電流の上限値を第1の値に設定し、電圧が第2レベルであれば負荷に供給される電流の上限値を第2の値に設定する。よって、本発明では、ホスト装置と周辺装置との双方で単一のケーブルを使用しつつ、電流供給に伴うコネクタスペースの増大を抑制し、かつ、周辺装置が準拠している規格上の上限値を超えて電流を受給可能となる。
【0042】
具体的に、本実施例によれば、インターフェース判別部7は、単一のUSBケーブル3を介してPC1と接続されたUSBコネクタ6が備える複数のピンのうち、データの送信および受信に使用されず、かつ、電流の受給にも使用されない4番ピンの電圧を検知する。CPU14は、検知した電圧がハイレベルであれば負荷10に供給される電流の上限値を500mAに設定し、電圧がローレベルであれば負荷10に供給される電流の上限値を900mAに設定する。よって、スキャナ8は、複数のUSBケーブルを使用せず、かつ、USB3.0規格用のコネクタを搭載せずに、USB3.0規格に対応したPC1からUSB2.0規格の上限値である500mAを超えた電流を受給可能となる。つまり、実施例1では、ホスト装置や周辺装置のUSBポートを複数使用することなく、かつ、周辺装置をUSB3.0規格に対応させずに、周辺装置の負荷へ供給される電流の上限値を増加することができる。
【0043】
〔実施例2〕
実施例2は、スキャナ8がUSBバスパワーだけでなく、ACアダプターなどの外部電源からも電力を受給できるケースである。実施例1と共通する部分については同一の参照符号を付与することで説明の簡潔化を図ることにする。
【0044】
図6は、実施例1に係るUSBバスパワーおよび外部電源からの電力により駆動されるスキャナの概略構成を示すブロック図である。ACアダプター20は、外部電源の一例である。外部電源は、充電式電源であってもよい。
【0045】
スキャナ8は電源コネクタ22を備え、電源コネクタ22はACアダプター20からの電源ケーブル21が接続されている。よって、スキャナ8は、USBバスパワーとACアダプター20とからの電力の供給を受けることができる。このように、電源コネクタ22は、ホスト装置とは異なる外部電源から供給される電流を受給する外部電源接続知部として機能する。スイッチ25、26は電源制御部24からの切り替え信号に応じてONとOFFとが切り替わるスイッチである。
【0046】
外部電源検知部23は、電源コネクタ22にACアダプター20が接続されたかを検知し、検知結果を電源制御部24へ送信する。たとえば、外部電源検知部23は、たとえば、電源コネクタ22が備える2つの端子間の電位がハイレベルかローレベルかに応じて電源コネクタ22にACアダプター20が接続されているか否かを検知する。外部電源検知部23は、外部電源接続部に外部電源が接続されているか否かを検知する外部電源検知部として機能する。
【0047】
電源制御部24は、外部電源検知部23から出力された検知結果を基にスイッチ25、26を切り替えて、負荷10へ供給される電力の電源経路を変更する。たとえば、電源コネクタ22にACアダプター20が接続されたことを外部電源検知部23が検知すると、電源制御部24は、スイッチ25をOFFとする切り替え信号と、スイッチ26をONとする切り替え信号を出力する。これにより、負荷変動の大きいデバイス11にはUSBバスパワーにより電力を供給し、負荷変動の小さいデバイス12にはACアダプター20から電力を供給するよう電源経路が変更される。このように、電源制御部24やスイッチ25、26は、外部電源検知部が外部電源接続部に外部電源が接続されていることを検知すると、外部電源から供給された電流を負荷のうち第1の負荷に供給し、かつ、ホスト装置から供給された電流を負荷のうち第2の負荷に供給するよう電流供給系統を切り替え、外部電源検知部が外部電源接続部に外部電源が接続されていないことを検知すると、ホスト装置から供給された電流を第1の負荷および第2の負荷に供給するよう電流供給系統を切り替える切替部として機能する。
【0048】
電源コネクタ22にACアダプター20が接続されていないことを外部電源検知部23が検知すると、電源制御部24は、スイッチ25をONとする切り替え信号を出力し、スイッチ26をOFFとする切り替え信号を出力する。これにより、負荷10へ供給される電力のすべてがUSBバスパワーにより供給されるよう電源経路が変更される。
【0049】
図7は、実施例に2に係る制御を示すフローチャートである。S701で、外部電源検知部23は、電源コネクタ22にACアダプター20が接続されているか否かを判定する。電源コネクタ22にACアダプター20が接続されていれば、S702に進む。S702で、電源制御部24は、スイッチ25をOFFとし、スイッチ26をONとする。これにより、PC1からUSBバスパワーにより供給される電力が負荷変動の大きいデバイス11へ供給され、ACアダプター20から供給される電力が負荷変動の小さいデバイス12へ供給されるように電源経路が切り替わる。
【0050】
一方、電源コネクタ22にACアダプター20が接続されていなければ、S703に進む。S703で、電源制御部24は、スイッチ25をONとし、スイッチ26をOFFとする。これにより、PC1からUSBバスパワーにより供給される電力が負荷変動の大きいデバイス11と、負荷変動の小さいデバイス12とへ供給されるように電源経路が切り替わる。
【0051】
その後の動作は、
図5を用いて説明したとおりである。ただし、スキャナ8に外部電源が接続されていれば、USBバスパワーは、負荷変動の大きなデバイス11への電力の供給に専念できるため、USBバスパワーによる電流が上限値を超える可能性が減少することになろう。
【0052】
本実施例によれば、外部電源とUSBバスパワーとから電力を受給可能な周辺装置が提供される。周辺装置に外部電源が接続されていなければ、USBバスパワーは、負荷変動の大きなデバイス11と負荷変動の小さなデバイス12へ電力を供給する。一方、周辺装置に外部電源が接続されていれば、USBバスパワーは、負荷変動の大きなデバイス11への電力の供給に専念できる。また、実施例1で説明したように、スキャナ8はUSB3.0規格に対応していなくても、USB3.0規格に対応した上限値での電流を受給できる。よって、実施例2では、USBバスパワーによる電流が上限値を超える可能性が、実施例1よりも減少することになる。つまり、実施例2では、ホスト装置や周辺装置のUSBポートを複数使用することなく、かつ、周辺装置をUSB3.0規格に対応させずに、周辺装置の負荷へ供給される電流の上限値をさらに増加することができる。
【0053】
なお、上記の実施例では、周辺装置側のコネクタはUSB2.0規格のコネクタであることを前提として説明したが、USB3.0規格のコネクタであってもよい。周辺装置側のコネクタをUSB3.0規格のコネクタにしてしまうと、周辺装置自体がUSB3.0規格で通信可能なようにユーザが誤解してしまうかもしれないが、これはそれほど問題とならないであろう。
【0054】
周辺装置側のコネクタをUSB3.0規格のコネクタにするということは、USBケーブル3のプラグと、周辺装置側のソケットとがUSB3.0規格となることを意味する。USB3.0規格のコネクタ群がUSB2.0規格に対して下位互換性を備えているため、本発明を適用できる。つまり、USBケーブル3のプラグ(第2コネクタ)の4番ピンと、周辺装置側のソケットにおける4番ピンを電圧検知の対象ピンとすればよい。4番ピンは、第2コネクタが備えるピンのうち通信にも電流の受給にも使用されないピンだからである。そして、USBケーブル3の周辺装置側のプラグの4番ピンが、ホスト装置側のプラグ(第1コネクタ)の5番ピンないし9番ピンのいずれか1つに接続されている。なお、周辺装置側のソケットが備えるピンのうち6番ピン以降のピンは不要となるが、これらのピンは開放されていてもよいし、他の用途として使用されてもよい。
【0055】
<画像読取装置の構成>
以下では、
図8及び
図9を参照して、本発明に係るスキャナ装置8の構成例について説明する。上述したモータは、スキャナ8が有する各種のローラを駆動するために使用される。
【0056】
図8に示すように、スキャナ8は、載置台81、給紙部82、分離部101、給紙ローラ(給紙手段の一例)102、退避部112、搬送路83、搬送部84、画像読取部85、排紙部86、検知センサ(第1検知手段)89、及び排出センサ(第2検知手段)100を備える。画像読取部85は、上述したセンサ17であり、たとえば、第1の画像読取部51及び第2の画像読取部52から構成される。
【0057】
載置台81には、読み取り対象となるシート媒体Sが載置される。給紙部82は、分離部101によって複数のシート媒体Sを1枚ずつ分離し、給紙ローラ102によってシート媒体を搬送部84に給送する。シート媒体Sが搬送される搬送路83には、屈曲部111が形成されている。このような屈曲部111は、スキャナ8を小型化するため形成されるものである。つまり、屈曲部111を設けずに搬送路83を形成するためには、装置を大型化する必要がある。なお、比較的剛性が低いシート媒体は、当該屈曲部111に沿って変形し、搬送される。また、搬送路83には、排紙部86から搬送部84を超えて延伸した搬送路83の一部であって、シートの先端部が侵入可能な退避部112が設けられる。なお、この退避部112は、本実施形態のように、その端部が装置本体の背面に開口していてもよいし、装置外に開口せず装置本体内だけに設けられていてもよい。
【0058】
搬送部84は、第1搬送ローラ対41を含む。また、排紙部86は、第2搬送ローラ対61を含み、搬送部84から送られてきたシート媒体Sを装置外に排出する。また、スキャナ8は、第1および第2搬送ローラ対41、61を正転/逆転に回転させる不図示の駆動部を備える。
【0059】
第1の画像読取部51および第2の画像読取部52は、第1搬送ローラ対41と、第2搬送ローラ対61との間に設けられ、通過する原稿の第1面の画像及び前記第1面の裏面となる第2面の画像を読み取ことができる。検知センサ89は、画像読取部85と、第1搬送ローラ対41との間に設けられ、通過するシート媒体の有無を検知する。排出センサ100は、排紙部86の近傍に設けられ、通過するシート媒体の有無を検知する。なお、本実施形態に係るスキャナ8によれば、給紙部82及び排紙部86のそれぞれからシートが給送可能である。排紙部86からシートを給送する場合は、使用者は排紙部86付近の開口部から装置内にシートを挿入する。
【0060】
また、
図9に示すように、本実施形態に係るスキャナ8は、搬送・読取部93の背部に、開口部96が形成されており、シート媒体Mの画像読取時に当該シート媒体Mを直線的に搬送し、開口部96からシート媒体Mを一時的に突出させる。これはスキャナ8のコンパクト化に寄与する。例えば、本実施形態では、スキャナ8の奥行き方向の長さ寸法Dは、シート媒体Mの長手方向の長さ寸法D´と略同等としている。また、シート媒体Mの搬送経路は、排出口92からシート媒体Mの搬送経路の一部を通って屈曲部111に開口する退避部(シート媒体M専用の搬送経路であって、本実施形態ではスイッチバックのための退避エリア)112に連通して形成された直進経路からなる。この退避部112は、例えば、本実施形態では、画像読取装置Aの背部(背面)に開口部96として開放されている。なお、シート媒体Mの搬送方法については、後述する第2搬送方法において詳細に説明する。
【0061】
<搬送駆動構成>
次に、
図10を参照して、スキャナ8の搬送駆動構成について説明する。
図10に示す121は、上述した、第1および第2搬送ローラ対41、61を正転/逆転に回転させるための駆動部を示す。122は、駆動部121と同軸上に固定された駆動ギアを示す。123は、駆動部121の回転方向や回転数を検知するローラ対回転検知部を示す。
【0062】
71は、駆動ギア122にギア列を介して接続する第1搬送ギアを示す。第1搬送ギア71には、同軸上に第1駆動ローラ42が固定されている。したがって、第1駆動ローラ42と、第1駆動ローラ42に接することにより回転する第1従動ローラ43とからなる第1搬送ローラ対41が第1搬送ギア71に接続されていることとなる。
【0063】
72は、駆動ギア122にギア列を介して接続される第2搬送ギアを示す。第2搬送ギア72には、同軸上に第2駆動ローラ62が固定されている。したがって、第2駆動ローラ62と、第2駆動ローラ62に接することにより回転する第2従動ローラ63からなる第2搬送ローラ対61が第2搬送ギア72に接続されていることとなる。また、73は、第1搬送ギア71と第2搬送ギア72を連結する連結ギアを示す。
【0064】
なお、本実施形態で示す構成は一例であり、この限りではない。例えば、本発明には、ギア列を構成するギアの数が異なる構成、或いは、タイミングベルトによって連結するなどの構成を適用することができる。また、ローラ対回転検知部123は、駆動部121によって回転する要素であればどこに設置しても検知することが可能である。
【0065】
例えば、本実施形態のスキャナ8は、DCモータ(駆動モータ)等からなる駆動部121が1個設けられている。そして、この駆動部121の駆動力は、各ギア71、72、73を介して、駆動系の一例である給紙ローラ102、第1駆動ローラ42、第2搬送ローラ対61に回転駆動として伝達される。すなわち、スキャナ8の駆動部121は、給紙ローラ102と、第1駆動ローラ42と、第2搬送ローラ対61とをそれぞれ同一駆動条件で駆動させるようになっている。なお、本実施形態では、駆動部を1つのモータで構成した例を説明したが、複数のモータで各ローラを別駆動できるようにしてもよいが、給紙手段と搬送手段と排紙手段とをそれぞれ同時駆動条件で制御することも可能である。
【0066】
<第1搬送方法>
本実施形態に係るスキャナ8は、以下で説明する2種類の原稿搬送方法で原稿を読み取ることができる。まず、
図11を参照して、第1搬送方法におけるスキャナ8の動作について説明する。第1搬送方法は、載置台81から原稿(シート媒体S)が給紙され、当該原稿が搬送路83を経由して排紙部86から装置外に排出される搬送方法である。また、
図9に示すように、第1搬送方法においては、複数の第1搬送ローラ対41、41’と、複数の第2搬送ローラ対61、61’が回転することにより、シート媒体Sを搬送する。
【0067】
まず、使用者が原稿となるシート束を載置台81上に載置する。そして、不図示の読取制御部を介して、使用者から読取開始の指示を受け付ける。この読取制御部は、例えば、スキャナ8に設けられた操作部や、スキャナ8にネットワークを介して接続されたコンピュータとなる。
【0068】
読取開始指示を受けると、スキャナ8は、第1搬送方法で原稿の搬送を開始する。原稿の搬送が開始されると、載置台81に載置されたシート媒体Sは、
図11に示す正転搬送で装置内部に搬送される。具体的には、給紙部82でシート束が1枚ずつ分離されて搬送され、屈曲部111を経て第1搬送ローラ対41へと送られ、第1搬送ローラ対41により画像読取部85に送られる。この際、検知センサ89によって画像読取部85にシート媒体Sの先端が到達するタイミングを検知し、画像読取を開始する。そして、画像読取を終了した後、正転方向に駆動する第2搬送ローラ対61を経て排紙部86から装置外へと順次排出される。
【0069】
<第2搬送方法>
次に、
図9、
図11及び
図12を参照して、第2搬送方法におけるスキャナ8の動作について説明する。第2搬送方法は、排紙部86からシート媒体Mが給紙され、当該シート媒体Mが、各ローラが逆転駆動することにより退避部112に向けて搬送され、その後、各ローラが正転駆動することにより再び排紙部86に向けて搬送され、当該排紙部86から排出される搬送方法である。なお、第2搬送方法では、原稿(シート媒体M)として例えば比較的剛性の高いカードも適用できる。以下の説明では、原稿(シート媒体M)としてカードが使用された場合を想定して説明する。なお、本発明は、これに限定されず、原稿として任意のシート媒体が選択されてもよい。また、
図9に示すように、第2搬送方法においては、上記第1搬送ローラとは異なり、第1搬送ローラ対41’と、第2搬送ローラ対61’のみが回転することにより、シート媒体Mを搬送する。即ち、シート媒体Mの短手方向の幅に合わせて必要なローラ対のみが駆動される。しかし、本発明はこれに限らず、第2搬送方法においても、複数のローラ対が使用されてもよい。
【0070】
まず、排出センサ100でカードが挿入されたことを検出すると、スキャナ8は、第2搬送方法で原稿の搬送を開始する。カードは、
図12に示すように各ローラが逆転駆動され、逆転方向に回転する第2搬送ローラ対61によって画像読取部85に送られた後、画像の一方面が読み取られ、第1搬送ローラ対41へと送られる。次に、第1搬送ローラ対41へと送られたカードの先端は屈曲部111を回避して、退避部112へと送られていく。退避部112は、
図8に示すように、排紙部86と搬送部84を結んだ直線上に位置し、かつ、給紙部82と搬送部84との間に位置する屈曲部111を回避して設けられる。退避部112を設けることにより、装置搬送路が長くなり、装置が大型化することを防ぐことができる。さらに、退避部112は、装置後方に貫通していてれば、退避部112自体を小さくすることができ、さらに装置の小型化にとって望ましい。
【0071】
その後、カードの後端が画像読取部85を通過したことを検知センサ89にて検知すると、
図11に示すように、第1および第2搬送ローラ対41、61は、駆動部121により正転駆動され、カードの搬送方向が正転方向、即ち、排紙部86方向に変更される。その後、カードは、再び画像読取部85を通過する際に、他方面が読み取られ、再び排紙部86から装置外へと排出される。
【0072】
上記の過程において、排紙部86から搬送されるカードの厚みが比較的大きい場合には、紙等の厚みの小さい媒体である場合と比較してモータの負荷が大きくなってしまう。モータの負荷が大きくなれば、それだけ消費電力も増大してしまい、画像読取へ供給できる電力が低減してしまう。そこで、カードの往路・復路と2度、画像読取部85上を通過する本構成においては、表/裏面の画像を往路、復路で別々に読み取ることにより、装置における瞬間最大消費電力を少なくすることができる。これは、前述のようにUSB等のI/Fから電力が供給されるような場合に有効である。
【0073】
ここで、
図9を参照して、本実施形態に係る小型化を図ったスキャナ8での第2搬送方法についてより詳細に説明する。
図9に示すように、スキャナ8において、排出口92からカードを導入した後に、カードの先端がスキャナ8の後端部に到達する状態では、スキャナ8内部にカードの全体が一時的に収容される。その後、カードの後端部が検知センサ89を通過した時点で、カードが退避部112に突入すると共に、各ローラが逆転駆動される。このとき、カードの先端部側は、一時的に開口部96から突出することになる。
【0074】
なお、カードは、その後部側が規制壁部SWに案内されるので、幅方向の移動が実質的に規制される。これにより、カードのスイッチバック搬送時においてもカードの斜行を有効に防止することができる。このように、本実施形態に係るスキャナ8には、カードの斜行防止のための規制壁部として、カードの搬送経路における少なくとも搬送・読取部93の排出口92側及びその反対側(開口部96側)に対応する部分にそれぞれ各壁部(媒体Mの搬送ガイド)が設けられている。これにより、本実施形態のスキャナ8は、
図8に示すシート媒体Sの搬送(後述する第1搬送方法)を可能としながらも、一部の搬送経路を兼用してシート媒体M(カード)のスイッチバック搬送(第2搬送方法)を実現しつつ、シート媒体Mの斜行を有効に防止することができて、画像読取の品質を向上することができる。
【0075】
図8以降に記載したスキャナ8は非常にコンパクトな画像読取装置であり、電源もUSBバスパワーで供給できるようにすれば、携帯性の観点からも有利である。それゆえ、
図1ないし
図7を用いて説明した給電方式を採用すれば、より一層ユーザビリティを増すことができる。