特許第5755936号(P5755936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755936
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】端局装置および端局装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20150709BHJP
【FI】
   H04L12/46 100B
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-109357(P2011-109357)
(22)【出願日】2011年5月16日
(65)【公開番号】特開2012-244224(P2012-244224A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100084010
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 秀利
(74)【代理人】
【識別番号】100094695
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 憲七
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 覚
【審査官】 宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−015392(JP,A)
【文献】 特開2009−290746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00−12/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポートと、
各前記ポートとの間で送受信可能に設けられた処理装置とを備え、
前記処理装置は、前記ポートを介して、イーサネットヘッダ、IPヘッダおよびTCPヘッダを含むMACフレームを受信し、前記イーサネットヘッダの中の宛先MACアドレスに対応する前記ポートへ前記MACフレームを送信するレイヤ2スイッチ装置を有した端局装置であって、
前記レイヤ2スイッチ装置は、前記TCPヘッダの中のチェックサムの値をFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えて、前記MACフレームを前記ポートに送信することを特徴とする端局装置。
【請求項2】
前記処理装置は、RFC1624の規定に基づいて前記チェックサムの値を算出するTCPチェックサム算出装置をさらに有し、
前記レイヤ2スイッチ装置は、前記TCPヘッダの中の前記チェックサムの値がFFFF(HEX)であり、かつ、前記TCPチェックサム算出装置が算出した前記チェックサムの値が0000(HEX)である場合にのみ、前記TCPヘッダの中の前記チェックサムの値をFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えることを特徴とする請求項1に記載の端局装置。
【請求項3】
複数のポートと、
各前記ポートとの間で送受信可能に設けられた処理装置とを備え、
前記処理装置は、前記ポートを介して、イーサネットヘッダ、IPヘッダおよびTCPヘッダを含むMACフレームを受信し、前記イーサネットヘッダの中の宛先MACアドレスに対応する前記ポートへ前記MACフレームを送信するレイヤ2スイッチ装置を有した端局装置であって、
前記処理装置は、RFC1624の規定に基づいて前記チェックサムの値を算出するTCPチェックサム算出装置をさらに有し、
前記レイヤ2スイッチ装置は、前記TCPヘッダの中の前記チェックサムの値がFFFF(HEX)である場合にのみ、前記TCPヘッダの中の前記チェックサムの値を前記TCPチェックサム算出装置が算出した前記チェックサムの値に入れ替えて、前記MACフレームを前記ポートに送信することを特徴とする端局装置。
【請求項4】
複数のポートと、
各前記ポートとの間で送受信可能に設けられた処理装置とを備え、
前記処理装置は、前記ポートを介して、イーサネットヘッダ、IPヘッダおよびTCPヘッダを含むMACフレームを受信し、前記イーサネットヘッダの中の宛先MACアドレスに対応する前記ポートへ前記MACフレームを送信するレイヤ2スイッチ装置を有した端局装置であって、
前記処理装置は、RFC1624の規定に基づいて前記チェックサムの値を算出するTCPチェックサム算出装置をさらに有し、
前記レイヤ2スイッチ装置は、前記TCPヘッダの中の前記チェックサムの値を前記TCPチェックサム算出装置が算出した前記チェックサムの値に入れ替えて、前記MACフレームを前記ポートに送信することを特徴とする端局装置。
【請求項5】
イーサネットヘッダ、IPヘッダおよびTCPヘッダを含むMACフレームを受信し、受信した前記イーサネットヘッダの中の宛先MACアドレスに対応するポートへ前記MACフレームを送信するレイヤ2スイッチ装置を有した端局装置の制御方法であって、
前記TCPヘッダの中のチェックサムの値をFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えるチェックサム入替工程と、前記チェックサム入替工程の後に、前記MACフレームを前記ポートに送信するMACフレーム送信工程とを備えたことを特徴とする端局装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、MACフレームを受信し、MACフレームに含まれるイーサネットヘッダの中の宛先MACアドレスに対応する外部の機器へMACフレームを送信する端局装置および端局装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イーサネット(登録商標)を用いて光通信を行うレイヤ2スイッチ装置を備え、レイヤ2スイッチ装置を介してMACフレームを加入者側光送受信装置に送信する光端局装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−200956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、RFC793(Network Working Group Reqest for Comments:793 1981年9月)に基づくTCP/IPにおけるTCPヘッダの中のチェックサムの計算方法は、1の補数の和の1の補数をとるようになっている。したがって、チェックサムの計算結果が0の場合には、チェックサムの値は、0000(HEX)またはFFFF(HEX)となる。一方、RFC1624(1994年5月)に基づくTCP/IPにおけるTCPヘッダの中のチェックサムの計算方法は、チェックサムの計算結果が0の場合には、チェックサムの値がFFFF(HEX)とならないようになっている。したがって、RFC793が適用された機器によりチェックサムの値がFFFF(HEX)となったMACフレームが、RFC1624が適用された機器に送信されると、その機器は、受信したMACフレームを破棄する。その結果、通信の切断が発生するという問題点があった。
【0005】
この発明は、通信の切断が発生することを低減させることができる端局装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る端局装置は、複数のポートと、各前記ポートとの間で送受信可能に設けられた処理装置とを備え、前記処理装置は、前記ポートを介して、イーサネットヘッダ、IPヘッダおよびTCPヘッダを含むMACフレームを受信し、前記イーサネットヘッダの中の宛先MACアドレスに対応する前記ポートへ前記MACフレームを送信するレイヤ2スイッチ装置を有した端局装置であって、前記レイヤ2スイッチ装置は、前記TCPヘッダの中のチェックサムの値をFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えて、前記MACフレームを前記ポートに送信する。
【0007】
この発明に係る端局装置の制御方法は、イーサネットヘッダ、IPヘッダおよびTCPヘッダを含むMACフレームを受信し、受信した前記イーサネットヘッダの中の宛先MACアドレスに対応するポートへ前記MACフレームを送信するレイヤ2スイッチ装置を有した端局装置の制御方法であって、前記TCPヘッダの中のチェックサムの値をFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えるチェックサム入替工程と、前記チェックサム入替工程の後に、前記MACフレームを前記ポートに送信するMACフレーム送信工程とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る端局装置によれば、レイヤ2スイッチ装置は、レイヤ2スイッチ装置が受信したMACフレームに含まれるTCPヘッダの中のチェックサムの値をFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えて、MACフレームをポートに送信するので、RFC793が適用された機器によりチェックサムの値がFFFF(HEX)となったMACフレームが端局装置に送信されると、チェックサムの値がFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えられて、宛先MACアドレスに対応するポートにMACフレームが送信される。これにより、RFC1624が適用された機器は、受信したMACフレームを破棄せず、MACフレームの中のデータを取得することができる。その結果、RFC793が適用された機器とRFC1624が適用された機器との間の通信の切断が発生することを低減させることができる。
【0009】
この発明に係る端局装置の制御方法によれば、レイヤ2スイッチ装置が受信したMACフレームに含まれるTCPヘッダの中のチェックサムの値をFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えるチェックサム入替工程と、前記チェックサム入替工程の後に、前記MACフレームを前記ポートに送信するMACフレーム送信工程とを備えているので、RFC793が適用された機器によりチェックサムの値がFFFF(HEX)となったMACフレームが端局装置に送信されると、チェックサムの値がFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えられて、宛先MACアドレスに対応するポートにMACフレームが送信される。これにより、RFC1624が適用された機器は、受信したMACフレームを破棄せず、MACフレームの中のデータを取得することができる。その結果、RFC793が適用された機器とRFC1624が適用された機器との間の通信の切断が発生することを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態1に係る光端局装置を示すブロック図である。
図2図1の光端局装置が送受信するMACフレームを示す構成図である。
図3図1の光端局装置の動作を示すフローチャートである。
図4】この発明の実施の形態2に係る光端局装置の動作を示すフローチャートである。
図5】この発明の実施の形態3に係る光端局装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の各実施の形態を図に基づいて説明するが、各図において、同一または相当の部材、部位については、同一符号を付して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る光端局装置を示すブロック図である。図において、光端局装置は、イーサネット(登録商標)を用いた光通信を行う装置である。光端局装置は、複数のLANコネクタ(Local Area Network Connector)1と、各LANコネクタ1に接続された複数のPHYチップ(Physical Layer Chip)2と、各PHYチップ2に接続された処理装置3と、処理装置3に接続された複数のPONインタフェース(Passive Optical Network Interface)部4とを備えている。LANコネクタ1は、光端局装置の電気インタフェース側のポートであり、PONインタフェース部4は、光端局装置の光インタフェース側のポートである。LANコネクタ1およびPONインタフェース部4のそれぞれには、外部の機器(図示せず)が接続される。外部の機器からMACフレーム(Media Access Control Frame)がLANコネクタ1およびPONインタフェース部4に送信される。処理装置3は、LANコネクタ1およびPONインタフェース部4との間で送受信可能となっている。
【0013】
図2図1の光端局装置が送受信するMACフレームを示す構成図である。図において、MACフレームには、イーサネットヘッダ、IPヘッダ、TCPヘッダ、データおよびFCS(Frame Check Sequence)が含まれている。イーサネットヘッダには、宛先MACアドレスおよび送信元MACアドレスが含まれている。IPヘッダには、MACフレームのプロトコルのタイプを示す情報が含まれている。TCPヘッダには、送信元がMACフレームから算出したチェックサムの値が含まれている。チェックサムの値には、4桁の16進数の数が入力されるようになっている。
【0014】
図1に示すように、処理装置3は、LANコネクタ1およびPONインタフェース部4との間でMACフレームを送受信するレイヤ2スイッチ装置31と、宛先MACアドレスとポートとを対応させたMACテーブルが記憶されているMACテーブルメモリ装置32と、レイヤ2スイッチ装置31が受信したMACフレームから、RFC1624に基づいてチェックサムを算出するTCPチェックサム算出装置33と、レイヤ2スイッチ装置31が受信したMACフレームを記憶するデータバッファメモリ装置34とを有している。
【0015】
レイヤ2スイッチ装置31は、MACテーブルメモリ装置32、TCPチェックサム算出装置33およびデータバッファメモリ装置34と電気的に接続されている。レイヤ2スイッチ装置31は、宛先MACアドレスに対応するポートの情報をMACテーブルメモリ装置32から取得するようになっている。また、レイヤ2スイッチ装置31は、TCPチェックサム算出装置33の算出結果を取得するようになっている。
【0016】
また、レイヤ2スイッチ装置31は、TCPヘッダの中のチェックサムの値がFFFF(HEX)であるか否かを判定するようになっている。また、レイヤ2スイッチ装置31は、TCPチェックサム算出装置33が算出したチェックサムの値が0000(HEX)であるか否かを判定するようになっている。また、レイヤ2スイッチ装置31は、TCPヘッダの中のチェックサムの値を他の値に入れ替えることができるようになっている。また、レイヤ2スイッチ装置31は、TCPヘッダの中のチェックサムの値を他の値に入れ替えた場合に、新しいMACフレームについてのFCSを算出するようになっている。
【0017】
次に、光端局装置の動作について説明する。図3図1の光端局装置の動作を示すフローチャートである。まず、レイヤ2スイッチ装置31によるMACフレームの送受信について説明する。外部の機器(図示せず)からLANコネクタ1にMACフレームが送信されると、LANコネクタ1が受信したMACフレームがPYHチップ2を介してレイヤ2スイッチ装置31に送信される。レイヤ2スイッチ装置31は、受信したMACフレームをデータバッファメモリ装置34に送信し、送信処理を開始する。
【0018】
まず、レイヤ2スイッチ装置31は、データバッファメモリ装置34に記憶されたMACフレームに含まれるイーサネットヘッダを検出し(ステップS101)、MACテーブルメモリ装置32に記憶されているMACテーブルから宛先MACアドレスに対応するポートの情報を取得する(送信ポート情報取得工程)(ステップS102)。
【0019】
その後、レイヤ2スイッチ装置31は、データバッファメモリ装置34に記憶されたMACフレームに含まれるIPヘッダを検出し、IPヘッダに含まれるプロトコルのタイプがTCPであるか否かを判定する(プロトコル判定工程)(ステップS103)。
【0020】
ステップS103で、プロトコルのタイプがTCPであるとレイヤ2スイッチ装置31が判定すると、後述するTCPチェックサム処理が開始され、その後、レイヤ2スイッチ装置31は、TCPチェックサム処理が完了したか否かを判定する(ステップS104)。
【0021】
ステップS104でTCPチェックサム処理が未だ完了していないとレイヤ2スイッチ装置31が判定すると、ステップS104が繰り返される。一方、ステップS104でTCPチェックサム処理が完了したとレイヤ2スイッチ装置31が判定すると、レイヤ2スイッチ装置31は、MACフレームを宛先MACアドレスに対応するポートに送信する(MACフレーム送信工程)(ステップS105)。その後、送信処理が終了する。一方、ステップS103で、プロトコルのタイプがTCPではないとレイヤ2スイッチ装置31が判定すると、ステップS105に進む。
【0022】
次に、処理装置3によるTCPチェックサム処理について説明する。レイヤ2スイッチ装置31によりプロトコルのタイプがTCPであると判定されると(プロトコル判定工程)、処理装置3は、TCPチェックサム処理を開始する。
【0023】
まず、レイヤ2スイッチ装置31は、データバッファメモリ装置34に記憶されたMACフレームに含まれるTCPヘッダの中のチェックサムを検出する(ステップS201)。
【0024】
その後、レイヤ2スイッチ装置31は、検出したチェックサムの値がFFFF(HEX)であるか否かを判定する(チェックサム判定工程)(ステップS202)。ステップS202で、チェックサムの値がFFFF(HEX)でないとレイヤ2スイッチ装置31が判定すると、そのまま、TCPチェックサム処理が完了する。
【0025】
一方、ステップS202で、チェックサムの値がFFFF(HEX)であるとレイヤ2スイッチ装置31が判定すると、TCPチェックサム算出装置33は、RFC1624に基づいて、チェックサムを算出する(チェックサム算出工程)(ステップS203)。
【0026】
その後、レイヤ2スイッチ装置31は、TCPチェックサム算出装置33が算出したチェックサムの値が0000(HEX)であるか否かを判定する(チェックサム再判定工程)(ステップS204)。ステップS204で、TCPチェックサム算出装置33が算出したチェックサムの値が0000(HEX)ではないとレイヤ2スイッチ装置31が判定すると、そのまま、TCPチェックサム処理が完了する。
【0027】
一方、ステップS204で、TCPチェックサム算出装置33が算出したチェックサムの値が0000(HEX)であるとレイヤ2スイッチ装置31が判定すると、レイヤ2スイッチ装置31は、TCPヘッダの中のチェックサムをFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えて(チェックサム入替工程)、さらに、チェックサムの値が入れ替えられた新しいMACフレームについてのFCSを再計算する(FCS再計算工程)(ステップS205)。その後、TCPチェックサム処理が完了する。
【0028】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る光端局装置によれば、レイヤ2スイッチ装置31は、レイヤ2スイッチ装置31が受信したMACフレームに含まれるTCPヘッダの中のチェックサムの値をFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えて、MACフレームをポートに送信するので、RFC793が適用された機器によりチェックサムの値がFFFF(HEX)となったMACフレームが光端局装置に送信されると、チェックサムの値がFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えられて、宛先MACアドレスに対応するポートにMACフレームが送信される。これにより、RFC1624が適用された機器は、受信したMACフレームを破棄せず、MACフレームの中のデータを取得することができる。その結果、RFC793が適用された機器とRFC1624が適用された機器との間の通信の切断が発生することを低減させることができる。
【0029】
また、処理装置3は、RFC1624の規定に基づいてチェックサムの値を算出するTCPチェックサム算出装置33を有し、レイヤ2スイッチ装置31は、TCPヘッダの中のチェックサムの値がFFFF(HEX)であり、かつ、TCPチェックサム算出装置33が算出したチェックサムの値が0000(HEX)である場合にのみ、TCPヘッダの中のチェックサムの値をFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えるので、例えば、MACフレームの中のデータに誤りが含まれている場合には、チェックサムの値を入れ替えることなく、MACフレームをポートに送信する。これにより、通信の信頼性を向上させることができる。
【0030】
また、処理装置3は、各ポートが受信した各MACフレームについて、TCPヘッダの中のチェックサムの値をFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えるので、光端局装置を介した複数の通信において、各通信の切断が発生することを低減させることができる。
【0031】
また、この発明の実施の形態1に係る光端局装置の制御方法によれば、レイヤ2スイッチ装置31が受信したMACフレームに含まれるTCPヘッダの中のチェックサムの値をFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えるチェックサム入替工程と、チェックサム入替工程の後に、MACフレームをポートに送信するMACフレーム送信工程とを備えているので、RFC793が適用された機器によりチェックサムの値がFFFF(HEX)となったMACフレームが光端局装置に送信されると、チェックサムの値がFFFF(HEX)から0000(HEX)に入れ替えられて、宛先MACアドレスに対応するポートにMACフレームが送信される。これにより、RFC1624が適用された機器は、受信したMACフレームを破棄せず、MACフレームの中のデータを取得することができる。その結果、RFC793が適用された機器とRFC1624が適用された機器との間の通信の切断が発生することを低減させることができる。
【0032】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2に係る光端局装置の動作を示すフローチャートである。レイヤ2スイッチ装置31は、実施の形態1に記載のレイヤ2スイッチ装置31と異なり、TCPチェックサム算出装置33が算出したチェックサムの値が0000(HEX)であるか否かの判定を行わない。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0033】
次に、光端局装置の動作について説明する。レイヤ2スイッチ装置31によるMACフレームの送受信については、実施の形態1と同様である。したがって、ここでは、処理装置3によるTCPチェックサム処理についてのみ説明する。レイヤ2スイッチ装置31によりプロトコルのタイプがTCPであると判定されると、処理装置3は、TCPチェックサム処理を開始する。まず、レイヤ2スイッチ装置31は、データバッファメモリ装置34に記憶されたMACフレームに含まれるTCPヘッダの中のチェックサムを検出する(ステップS301)。
【0034】
その後、レイヤ2スイッチ装置31は、検出したチェックサムの値がFFFF(HEX)であるか否かを判定する(チェックサム判定工程)(ステップS302)。ステップS302で、チェックサムの値がFFFF(HEX)でないとレイヤ2スイッチ装置31が判定すると、そのまま、TCPチェックサム処理が完了する。
【0035】
一方、ステップS302で、チェックサムの値がFFFF(HEX)であるとレイヤ2スイッチ装置31が判定すると、TCPチェックサム算出装置33は、RFC1624に基づいて、チェックサムを算出する(チェックサム算出工程)(ステップS303)。
【0036】
その後、レイヤ2スイッチ装置31は、TCPヘッダの中のチェックサムの値をTCPチェックサム算出装置33が算出したチェックサムの値に入れ替え(チェックサム入替工程)、さらに、チェックサムの値が入れ替えられた新しいMACフレームについてのFCSを再計算する(FCS再計算工程)(ステップS304)。その後、TCPチェックサム処理が完了する。
【0037】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係る光端局装置によれば、レイヤ2スイッチ装置31は、TCPヘッダの中のチェックサムの値がFFFF(HEX)である場合にのみ、TCPヘッダの中のチェックサムの値をTCPチェックサム算出装置33が算出したチェックサムの値に入れ替えるので、TCPチェックサム算出装置33が算出したチェックサムの値が0000(HEX)であるか否かを判定すること無く、TCPヘッダの中のチェックサムの値が入れ替えられる。これにより、TCPチェックサム算出装置33が算出したチェックサムの値が0000(HEX)であるか否かを判定することによるTCPチェックサム処理の速度遅延を低減させることができる。
【0038】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3に係る光端局装置の動作を示すフローチャートである。レイヤ2スイッチ装置31は、実施の形態1に記載のレイヤ2スイッチ装置31と異なり、TCPヘッダの中のチェックサムの値がFFFF(HEX)であるか否かの判定を行わない。また、レイヤ2スイッチ装置31は、実施の形態1に記載のレイヤ2スイッチ装置31と異なり、TCPチェックサム算出装置33が算出したチェックサムの値が0000(HEX)であるか否かの判定を行わない。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0039】
次に、光端局装置の動作について説明する。レイヤ2スイッチ装置31によるMACフレームの送受信については、実施の形態1と同様である。したがって、ここでは、処理装置3によるTCPチェックサム処理についてのみ説明する。レイヤ2スイッチ装置31によりプロトコルのタイプがTCPであると判定されると、処理装置3は、TCPチェック処理を開始する。まず、TCPチェックサム算出装置33は、RFC1624に基づいて、チェックサムを算出する(チェックサム算出工程)(ステップS401)。
【0040】
その後、レイヤ2スイッチ装置31は、TCPヘッダの中のチェックサムの値をTCPチェックサム算出装置33が算出したチェックサムの値に入れ替え(チェックサム入替工程)、さらに、チェックサムの値が入れ替えられた新しいMACフレームについてのFCSを再計算する(FCS再計算工程)(ステップS402)。その後、TCPチェックサム処理が完了する。
【0041】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係る光端局装置によれば、レイヤ2スイッチ装置31は、TCPヘッダの中のチェックサムの値をTCPチェックサム算出装置33が算出したチェックサムの値に入れ替えるので、TCPヘッダの中のチェックサムの値がFFFF(HEX)であるか否かを判定すること無く、また、TCPチェックサム算出装置33が算出したチェックサムの値が0000(HEX)であるか否かを判定すること無く、TCPヘッダの中のチェックサムの値が入れ替えられる。これにより、TCPヘッダの中のチェックサムの値がFFFF(HEX)であるか否かを判定することによるTCPチェックサム処理の速度遅延およびTCPチェックサム算出装置33が算出したチェックサムの値が0000(HEX)であるか否かを判定することによるTCPチェックサム処理の速度遅延の両方を低減させることができる。
【0042】
なお、各上記実施の形態では、光端局装置について説明したが、光通信に限らず、電気通信を行う端局装置であってもよい。
【0043】
また、各上記実施の形態では、外部の機器からLANコネクタ1を介してMACフレームがレイヤ2スイッチ装置31に送信される場合について説明したが、外部の機器からPONインタフェース部4を介してMACフレームがレイヤ2スイッチ装置31に送信される場合も同様である。
【符号の説明】
【0044】
1 LANコネクタ、2 PHYチップ、3 処理装置、4 PONインタフェース部、31 レイヤ2スイッチ装置、32 MACテーブルメモリ装置、33 TCPチェックサム算出装置、34 データバッファメモリ装置。
図1
図2
図3
図4
図5