特許第5755959号(P5755959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5755959巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755959
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20150709BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   H02K15/02 F
   H02K1/18 C
   H02K15/02 E
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-154097(P2011-154097)
(22)【出願日】2011年7月12日
(65)【公開番号】特開2013-21838(P2013-21838A)
(43)【公開日】2013年1月31日
【審査請求日】2014年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】明神 巌
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−152525(JP,A)
【文献】 特開2010−141942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
H02K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の磁極片部を有するセグメント鉄心片が連結部で連結された帯状鉄心片を1条の薄板条材に、複数列形成し、該複数列の帯条鉄心片を分離し、前記連結部で順次折り曲げて巻積層鉄心を製造する巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法において、
前記複数列の帯状鉄心片は前記連結部の位置を前記薄板条材の進行方向に合わせて形成すると共に、前記薄板条材の幅方向に隣り合う前記帯状鉄心片は、繋ぎ部材によって連結され、該複数列の帯状鉄心片を個別に分離するときに、前記繋ぎ部材を切り落とし、
しかも、前記繋ぎ部材は、前記連結部の半径方向内側に形成される扇状の開口部を保持する横板部を有していることを特徴とする巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法。
【請求項2】
請求項記載の巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法において、前記開口部の向かい合う辺は、折り曲げ時に係合する弧状凹部と弧状凸部とをそれぞれ有し、前記弧状凹部と前記弧状凸部の中央に前記横板部の端部が接続され、かつ、前記横板部の接続端部の幅は前記弧状凹部及び前記弧状凸部の最大幅より狭くなっていることを特徴とする巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法。
【請求項3】
請求項記載の巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法において、前記横板部の接続端部は、前記弧状凸部及び前記弧状凹部が形成されている前記辺に直交配置されていることを特徴とする巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法。
【請求項4】
1又は複数の磁極片部を有するセグメント鉄心片が連結部で連結された帯状鉄心片を1条の薄板条材に、複数列形成し、該複数列の帯条鉄心片を分離し、前記連結部で順次折り曲げて巻積層鉄心を製造する巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法において、
前記複数列の帯状鉄心片は前記連結部の位置を前記薄板条材の進行方向に合わせて形成すると共に、前記薄板条材の幅方向に隣り合う前記帯状鉄心片は、繋ぎ部材によって連結され、該複数列の帯状鉄心片を個別に分離するときに、前記繋ぎ部材を切り落とし、
しかも、前記繋ぎ部材は、前記セグメント鉄心片の端側にある前記磁極片部と隣接する前記帯状鉄心片の一部を連結する縦板部を有することを特徴とする巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1に記載の巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法において、前記繋ぎ部材は、前記横板部の中央と隣接する前記帯状鉄心片の連結部又は連結部近傍の一部を連結する縦板部を有していることを特徴とする巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1に記載の巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法において、前記帯状鉄心片を繋ぐ前記繋ぎ部材は、前記薄板条材から該繋ぎ部材で連結された前記帯状鉄心片を製造する金型に設けられた、又は前記金型外に設けられた繋ぎ部材打ち抜き部で除去された後、前記繋ぎ部材が除去された前記帯状鉄心片はセパレータを通って分離されることを特徴とする巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1又は複数の磁極片部を有するセグメント鉄心片が折り曲げ可能な連結部で連結された帯状鉄心片を、一条の薄板条材(磁性鋼板)から複数列製造する場合のトラブルを解消する巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、1又は複数の磁極片部を有するセグメント鉄心片を折り曲げ可能な連結部で連結した帯状鉄心片を、薄板条材から打ち抜き形成し、この帯状鉄心片を連結部で徐々に折り曲げて、巻積層鉄心を製造することが記載されている。
【0003】
ところが、この帯状鉄心片を一枚の薄板条材で打ち抜き形成するより、図7(B)に示すように複数(この例では2)の帯状鉄心片80、81を一枚の幅広の薄板条材82より打ち抜き形成した方が、セグメント鉄心片83の内側に別のセグメント鉄心片84の外側を一部嵌入させることができ、これによって、幅dだけ幅狭の薄板条材82の使用が可能となって、材料歩留りがよいことが判った。なお、図7(A)はこの帯状鉄心片80、81を用いて形成した巻積層鉄心85を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−116037号公報
【特許文献2】特開2007−143257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、帯状鉄心片80、81における各セグメント鉄心片83、84は小幅の連結部86、87のみで連結されているので、図7に示すように、外形抜きされた後に、材料送り時の振動やバタツキにより、2の帯状鉄心片80、81が干渉し、帯状鉄心片80、81に変形や連結部86、87の千切れが生じるという問題が発生した。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、複数の帯状鉄心片を一枚の薄板条材から干渉することなく製造する巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法は、1又は複数の磁極片部を有するセグメント鉄心片が連結部で連結された帯状鉄心片を1条の薄板条材に、複数列形成し、該複数列の帯条鉄心片を分離し、前記連結部で順次折り曲げて巻積層鉄心を製造する巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法において、
前記複数列の帯状鉄心片は前記連結部の位置を前記薄板条材の進行方向に合わせて形成すると共に、前記薄板条材の幅方向に隣り合う前記帯状鉄心片は、繋ぎ部材によって連結され、該複数列の帯状鉄心片を個別に分離するときに、前記繋ぎ部材を切り落とし
しかも、前記繋ぎ部材は、前記連結部の半径方向内側に形成される扇状の開口部を保持する横板部を有している
【0008】
【0009】
の発明に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法は、第の発明に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法において、前記開口部の向かい合う辺は、折り曲げ時に係合する弧状凹部と弧状凸部とをそれぞれ有し、前記弧状凹部と前記弧状凸部の中央に前記横板部の端部が接続され、かつ、前記横板部の接続端部の幅は前記弧状凹部及び前記弧状凸部の最大幅より狭くなっている。
【0010】
の発明に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法は、第の発明に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法において、前記横板部の接続端部は、前記弧状凸部及び前記弧状凹部が形成されている前記辺に直交配置されている。
【0011】
の発明に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法は、1又は複数の磁極片部を有するセグメント鉄心片が連結部で連結された帯状鉄心片を1条の薄板条材に、複数列形成し、該複数列の帯条鉄心片を分離し、前記連結部で順次折り曲げて巻積層鉄心を製造する巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法において、
前記複数列の帯状鉄心片は前記連結部の位置を前記薄板条材の進行方向に合わせて形成すると共に、前記薄板条材の幅方向に隣り合う前記帯状鉄心片は、繋ぎ部材によって連結され、該複数列の帯状鉄心片を個別に分離するときに、前記繋ぎ部材を切り落とし、
しかも、前記繋ぎ部材は、前記セグメント鉄心片の端側にある前記磁極片部と隣接する前記帯状鉄心片の一部を連結する縦板部を有する。
【0012】
の発明に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法は、第〜第の発明に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法において、前記繋ぎ部材は、前記横板部の中央と隣接する前記帯状鉄心片の連結部又は連結部近傍の一部を連結する縦板部を有している。
【0013】
の発明に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法は、第1〜第の発明に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法において、前記帯状鉄心片を繋ぐ前記繋ぎ部材は、前記薄板条材から該繋ぎ部材で連結された前記帯状鉄心片を製造する金型に設けられた、又は前記金型外に設けられた繋ぎ部材打ち抜き部で除去された後、前記繋ぎ部材が除去された前記帯状鉄心片はセパレータを通って分離される。
【発明の効果】
【0014】
隣り合う帯状鉄心片が所定間隔を維持した状態で、繋ぎ部材で連結されているので、外形抜きされた後の金型内外での帯状鉄心片の各セグメント鉄心片の干渉がなくなり、また、連結部の千切れの恐れも無くなるため、帯状鉄心片を高速で打ち抜き形成することが可能となった。
【0015】
特に、帯状鉄心片の各連結部の半径方向内側に形成される扇状の開口部の向かい合う辺に形成される弧状凹部と弧状凸部の中央に繋ぎ部材(横板部)の端部を設けた場合は、繋ぎ部材を除去しても、開口部の形状に影響を与えず、しかも弧状凹部と弧状凸部をそのまま掛止部材として使用できる。
また、繋ぎ部材に縦板部を設け、隣り合う帯状鉄心片を一定距離に保持した場合は、更に、複数列の帯状鉄心片の打ち抜き速度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(A)は本発明の第1の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法の説明図、(B)は同図(A)の矢視a部拡大図、(C)は同製造方法によって製造された巻積層鉄心の部分平面図、(D)は同図(C)の矢視b部拡大図である。
図2】(A)は本発明の第2の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法の説明図、(B)は同図(A)の矢視c部拡大図、(C)は本発明の第3の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法の説明図である。
図3】(A)は本発明の第4の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法の説明図、(B)は本発明の第5の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法の説明図である。
図4】(A)は本発明の第6の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法の説明図、(B)は本発明の第7の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法の説明図である。
図5】(A)は本発明の第8の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法の説明図、(B)はその詳細図である。
図6】(A)は本発明の第1〜第8の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法を説明する平面図、(B)は同方法を説明する側面図、(C)は同方法によって得られた帯状鉄心片を用いて巻積層鉄心を製造する方法の説明図である。
図7】(A)は巻積層鉄心の斜視図、(B)は従来例に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施の形態について説明する。
それぞれ 図1(A)〜(C)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法は、1条の磁性鋼板からなる薄板条材10から2列(複数列の一例、以下同じ)の帯状鉄心片11、12が打ち抜き形成される。この帯状鉄心片11、12は、円弧状の分割ヨーク片部13、14と複数の磁極片部15、16(1の磁極片部を有する場合もある)を有するセグメント鉄心片17、18を折り曲げ可能な連結部19、20を介して直線状に連結している。なお、各セグメント鉄心片17、18の端部に形成される磁極片部21〜24は一つの磁極片部15、16を2分割した構造となっている。また、幅方向に隣り合う帯状鉄心片11、12は連結部19、20の位置を薄板条材10の進行方向に合わせて形成されている。
【0018】
幅方向に隣り合う帯状鉄心片11、12は、帯状鉄心片11のセグメント鉄心片17の内側円弧に帯状鉄心片12のセグメント鉄心片18の外側円弧が一部嵌入し、隣り合う帯状鉄心片11、12の全体幅が小さくなって、最小幅の薄板条材10から歩留りよく打ち抜き形成できるようになっている。この帯状鉄心片11、12は、それぞれ連結部19、20の半径方向内側位置に扇状の開口部25、26が形成されている。
【0019】
そして、隣り合う帯状鉄心片11、12は、開口部25の位置に、帯状鉄心片11、12を連結する繋ぎ部材27を有して、帯状鉄心片11、12が一定距離に保持されている。また、帯状鉄心片12の開口部26には隣り合うセグメント鉄心片18の距離を一定に保持する補助繋ぎ部材28を有している。
【0020】
また、開口部25、26に接する磁極片部21〜24の端部(開口部25、26の向かい合う辺)にはそれぞれ係合する凹部30と凸部31が設けられ、連結部19、20で折り曲げて磁極片部21、22及び磁極片部23、24を当接させた場合、図1(D)に示すように凹部30と凸部31が完全に符合するようになっている。なお、凹部30及び凸部31はそれぞれ半円部32と幅がwの矩形部33を有し、矩形部33で隣り合うセグメント鉄心片17、18の半径方向の移動を阻止している。また、凹部30及び凸部31はそれぞれ弧状凹部及び弧状凸部とするのがよい。
【0021】
繋ぎ部材27はT字状となって、横板部(即ち、横腕)35の先側が屈曲し、その一側端部36が凹部30内に入り凹部30の中央に接続し、横板部35の他側端部37が凸部31の中央に接続している。この横板部35によって開口部25が保持されている。これらの横板部35の一側端部36及び他側端部37の幅は、凹部30及び凸部31の最大幅(直径)より小さくなって、繋ぎ部材27を切り落としても、凹部30と凸部31が完全に係合するようになっている。
繋ぎ部材27の横板部35の中央に一端部が連結された縦板部(即ち、縦腕)38の他端部は、帯状鉄心片12の連結部20の両側近傍の分割ヨーク片部14に二股状となって連結され、その中央に連結部20が位置している。なお、縦板部の他端部を連結部に直接連結することもできる。
【0022】
補助繋ぎ部材28は、帯状鉄心片11、12を所定位置に保つのに必須の要件ではないが、隣り合うセグメント鉄心片18の開口部26を保持する役目をする。この実施の形態においては、補助繋ぎ部材28は縦板部38を除いた繋ぎ部材27の横板部35と同一であるので、詳しい説明を省略する。
【0023】
従って図6(A)に示すように、この帯状鉄心片11、12は繋ぎ部材27及び補助繋ぎ部材28を残した状態で、パンチとダイを有する金型40で連続的に打ち抜き形成される。この状態では、帯状鉄心片11、12は位置決めされているので、干渉することはない次に、この金型40の下流側又は、金型40外の下流側に配置された繋ぎ部材打ち抜き部41で繋ぎ部材27及び補助繋ぎ部材28が打ち抜き除去される。
【0024】
繋ぎ部材打ち抜き部41を通過した後は、帯状鉄心片11、12は幅方向に分離するので、途中位置に設けられたセパレータ42で帯状鉄心片11、12が絡まないように保持した後、図6(B)に示すようにそれぞれリール43、44に巻き取られる。この後、図6(C)に示すように、螺旋巻きして一つの巻積層鉄心45が形成される。なお、セパレータ42で分離された帯状鉄心片11、12は再度干渉を生じない幅zに保持される。
【0025】
続いて、本発明の第2〜第8の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法について説明するが、第1の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法との相違点について説明する。また、第1の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法と同一の構成要素については同一の番号を付してその詳しい説明を省略する。なお、繋ぎ部材や補助繋ぎ部材を除去する点は第1の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法と同様である。
【0026】
図2(A)、(B)に示す本発明の第2の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法においては、帯状鉄心片11、12を連結する繋ぎ部材47の横板部48が直線状となって、凹部30及び凸部31に斜めに連結されている。この場合であっても、横板部48の幅が凹部30及び凸部31の幅に対して十分に小さく、繋ぎ部材47の除去にあっては、凹部30及び凸部31まで嵌入状態で切り込めば(同図(B)のハッチング領域参照)特に支障はない。また、凹部30及び凸部31が前記切り込みにより一部欠けることになるが、図1(D)に示したのと同様に、矩形部が残るため、半径方向の移動を阻止できる。
【0027】
次に、図2(C)に示す本発明の第3の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法について説明する。
この実施の形態においては、繋ぎ部材50がY字状となって、V字状となった横板部51が磁極片部21、22と直交し、しかもその先端部が第1の実施の形態と同様、凹部30及び凸部31の中央に連結されている。これによって、繋ぎ部材50を除去した場合に、凹部30及び凸部31の形状をより原形(半円形状)に近づけることができる。また、補助繋ぎ部材52は、縦板部53を除いた繋ぎ部材50と同一形状になっている。
【0028】
続いて、図3(A)に示す本発明の第4の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法について説明する。
第4の実施の形態においては、繋ぎ部材54の横板部55は円弧状となって、その端部が凹部30及び凸部31の中央に垂直状態で連結されている。帯状鉄心片12の隣り合うセグメント鉄心片18を連結する補助繋ぎ部材57は繋ぎ部材54から縦板部58を除いた形状と同一となっている。
【0029】
また、図3(B)に示す本発明の第5の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法においては、帯状鉄心片11、12は縦板部からなる繋ぎ部材61、62で連結され、開口部25、26は弓状の補助繋ぎ部材63、64で連結されている。補助繋ぎ部材63、64両側が屈曲し、その先端部が凹部30、及び凸部31に対して直交しかもその中央に接合するようになっている。そして、繋ぎ部材61、62はセグメント鉄心片17の磁極片部21、22の半径方向内側とセグメント鉄心片18の分割ヨーク片部14の半径方向外側を直接連結するものである。
【0030】
第4、第5の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法において、最終的には係合する凹部30と凸部31の形状をできる限り残しているので、係合する凹部30及び凸部31の形状がより原形に近く保持されて、ガタのない強固な巻積層鉄心を製造できる。
また、第5の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法においては、セグメント鉄心片17とセグメント鉄心片18とを直接短い繋ぎ部材61、62で連結するので、繋ぎ部材61、62が曲がったり撓んだりすることがない。
【0031】
図4(A)、(B)に示す本発明の第6、第7の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法について説明する。
この実施の形態においては、隣り合うセグメント鉄心片17、18は磁極片部15、16の中央ではなく、磁極片部15、16が形成されていない分割ヨーク片部13、14の中央で分離され、その部分に折り曲げ可能な連結部67、68を有する。
【0032】
そして、隣り合うセグメント鉄心片17をそれぞれ、及び隣り合うセグメント鉄心片18をそれぞれ係合する凹部70及び凸部71が分割ヨーク片部13、14の端部に形成されている。そして、セグメント鉄心片17、18を連結部67の内側部分で連結する繋ぎ部材72が設けられている。繋ぎ部材72は、セグメント鉄心片17の凹部70及び凸部71を連結する横板部74と横板部74とセグメント鉄心片18の連結部68近傍の分割ヨーク片部14の半径方向外側とを連結する縦板部75とを有している。横板部74は凹部70、凸部71の中央に連結し、繋ぎ部材72を除去しても凹部70と凸部71との噛合が完全にできるようになっている。
【0033】
帯状鉄心片12のセグメント鉄心片18同士を連結する補助繋ぎ部材76は繋ぎ部材72の横板部74と同一構造となっている。
第6の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法においては、帯状鉄心片11、12を繋ぎ部材72で一定に保ち、補助繋ぎ部材76で連結部68で連結されたセグメント鉄心片18を直線状に保っている。
【0034】
図4(B)に示す本発明の第7の実施の形態に係る巻積層鉄心に用いる帯状鉄心片の製造方法においては、帯状鉄心片11、12は隣り合う磁極片部15、16のヨーク片部の中央位置で分離され、その部分には嵌合する凹部70、凸部71を有している。幅方向に隣り合う帯状鉄心片11、12は繋ぎ部材61、62で連結されて、帯状鉄心片11、12が所定距離を保持するようになっている。この実施の形態においては、補助繋ぎ部材は設けられていないが、繋ぎ部材61、62のみでも、帯状鉄心片11、12の干渉を防止できる。
【0035】
図4(B)に示す実施の形態においては、連結部67、68を磁極片部15、16ではなく、これらを連結するヨーク片部の中央に形成した。一方、図5(A)、(B)に示す本発明の第8の実施の形態では、一つの磁極片部を二つ割りし、その中央のヨーク片部に連結部19、20を設けた。そして、2分割された磁極片部21、22の中央のヨーク片部に連結部19を、磁極片部23、24の中央のヨーク片部に連結部20を形成した。そして、磁極片部21、22の半径方向内側に、帯状鉄心片11、12を連結する繋ぎ部材61、62を設けた。
即ち、この実施の形態においても、補助繋ぎ部材は設けられていないが、繋ぎ部材61、62のみで帯状鉄心片11、12の平行性を確保でき、帯状鉄心片11、12の干渉も防止できる。
【0036】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。
また、前記実施の形態における繋ぎ部材及び補助繋ぎ部材は、各実施の形態で入れ換えて使用することもできる。
そして、前記実施の形態は2条の帯状鉄心片について説明したが、3条以上であっても本発明は適用される。
【符号の説明】
【0037】
10:薄板条材、11、12:帯状鉄心片、13、14:分割ヨーク片部、15、16:磁極片部、17、18:セグメント鉄心片、19、20:連結部、21〜24:磁極片部、25、26:開口部、27:繋ぎ部材、28:補助繋ぎ部材、30:凹部、31:凸部、32:半円部、33:矩形部、35:横板部、36:一側端部、37:他側端部、38:縦板部、40:金型、41:繋ぎ部材打ち抜き部、42:セパレータ、43、44:リール、45:巻積層鉄心、47:繋ぎ部材、48:横板部、50:繋ぎ部材、51:横板部、52:補助繋ぎ部材、53:縦板部、54:繋ぎ部材、55:横板部、57:補助繋ぎ部材、58:縦板部、61、62:繋ぎ部材、63、64:補助繋ぎ部材、67、68:連結部、70:凹部、71:凸部、72:繋ぎ部材、74:横板部、75:縦板部、76:補助繋ぎ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7