特許第5755963号(P5755963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755963
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】蓄熱給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 7/02 20060101AFI20150709BHJP
   F24H 1/00 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   F24H7/02 601C
   F24H1/00 631A
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-162694(P2011-162694)
(22)【出願日】2011年7月26日
(65)【公開番号】特開2013-24529(P2013-24529A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】荏原 裕行
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−240465(JP,A)
【文献】 特開2009−281629(JP,A)
【文献】 特開2006−284070(JP,A)
【文献】 特開2009−138984(JP,A)
【文献】 特開昭61−001949(JP,A)
【文献】 特開2009−103430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 7/00− 7/06
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯える給湯タンクと、熱源からの排熱により前記給湯タンクの水を加熱する加熱経路と、前記給湯タンクに水を供給する給水経路と、前記加熱経路により加熱された前記給湯タンクの水を吐出する出湯経路と、前記給湯タンクと密接して設けられた潜熱蓄熱部と、前記給湯タンクと前記潜熱蓄熱部からなる蓄熱ユニットとの間に空気通路を介して設けられたケースと、前記空気通路と蓄熱給湯装置外部とを連通する連通口と、前記連通口を開閉する開閉部材を有し、前記開閉部材は前記潜熱蓄熱部に蓄えられた熱量が所定値に達すると連通口を開放することを特徴とする蓄熱給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源からの排熱により水および蓄熱体を加熱する蓄熱給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関や外燃機関からの排熱を利用して動力、温熱、冷熱を取り出し、総合エネルギー効率を高めるコジェネレーションシステムが開発されている。このコジェネレーションシステムは、例えば、エンジンやガスタービン等の熱機関と発電機とからなるコジェネレーション装置を備え、燃料を熱機関で燃焼させて発電機を駆動して発電する一方、その熱機関の排熱を利用して暖房や給湯を行うように構成されたものであり、さらに近年においては、コジェネレーション装置として燃料電池を用いたシステムも提案されている。
【0003】
なお、熱機関や燃料電池からの排熱を有効に利用するためにはその熱を蓄熱しておく必要がある。熱を蓄えるための蓄熱材としては、比熱が高く安全かつ安価であるという理由から一般的に水が利用されているが、水を蓄熱材として利用した場合、その顕熱で蓄熱することになるので単位体積あたりの熱容量が十分ではなく、多くの熱を蓄えるためには蓄熱容器が大型化してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、この問題を解消するために、潜熱蓄熱材を用いて蓄熱する方法が提案されている。潜熱蓄熱材は水に比べ単位体積あたりの熱容量が大きいため、装置を小型化することが可能となるのである。
【0005】
例えば特許文献1では、貯湯タンクと、潜熱蓄熱材を充填した蓄熱タンクを併用しており、これにより蓄熱装置全体で蓄えることのできる熱量を変えずに蓄熱装置を小型化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−186668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の蓄熱装置では蓄熱タンクと貯湯タンクが配管で繋がれているので構造が複雑なだけでなく、この配管からも熱が放出されるため蓄熱効率を低下させてしまうおそれがあった。そして、配管を制御する弁も多く使用されるため装置はさらに複雑化してしまうことになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、構成を簡略化して小型化を可能にするとともに、蓄熱能力の高い蓄熱給湯装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、水を貯える給湯タンクと、熱源からの排熱により前記給湯タンクの水を加熱する加熱経路と、前記給湯タンクに水を供給する給水経路と、前記加熱経路により加熱された前記給湯タンクの水を吐出する出湯経路と、前記給湯タンクと密接して設けられた潜熱蓄熱部と、前記給湯タンクと前記潜熱蓄熱部からなる蓄熱ユニットとの間に空気通路を介して設けられたケースと、前記空気通路と蓄熱給湯装置外部とを連通する連通口と、前記連通口を開閉する開閉部材を有し、前記開閉部材は前記潜熱蓄熱部に蓄えられた熱量が所定値に達すると連通口を開放することを特徴とする蓄熱給湯装置である。
【発明の効果】
【0014】
上述のように構成することにより、複雑な配管を必要としないため構成が簡単であり、さらに給湯タンクから潜熱蓄熱部へと熱が効率よく伝わるため、熱の損失が少なくなり蓄熱効率を上げることができる。また、給湯タンクと潜熱蓄熱部からなる蓄熱ユニットの外周に設けたケースが外部への放熱を抑えるとともに、連通口を開放することにより強制的に放熱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の蓄熱給湯装置を使用したコジェネレーションシステムの概略図である。
図2】本発明の実施例1の蓄熱ユニットの平面−断面図である。
図3】本発明の実施例1蓄熱装置の断面図である。
図4】本発明の実施例2の蓄熱ユニットの平面−断面図である。
図5】本発明の実施例3の蓄熱ユニットの平面−断面図である。
図6】本発明の実施例4の蓄熱ユニットの平面−断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好適と考える本発明の最良の形態を、本発明の作用効果を示して簡単に説明する。
【0017】
本発明の蓄熱給湯装置は、熱源からの排熱により給湯タンク内の水を加熱し、さらにその熱を潜熱蓄熱材を充填した潜熱蓄熱部に蓄熱するものであって、潜熱蓄熱部を給湯タンクに密接して配置している。
【0018】
つまり、給湯タンクと潜熱蓄熱部を密接させることでこれらを繋ぐ配管が不要になるため、装置が簡略化できるとともに、給湯タンクと潜熱蓄熱部との間で熱を伝達する際に熱の損失がなくなり蓄熱効率を高めることができる。
【0022】
また、給湯タンクと潜熱蓄熱部からなる蓄熱ユニットの外周は空気通路を介して断熱性能を有するケースで囲われているので、潜熱蓄熱部に熱を蓄えているときはケースと空気通路により装置外部への放熱を抑えることができる。一方で、この空気通路は装置外部と連通する連通口を有しているので、潜熱蓄熱部に蓄えた熱量が所定量を超えたときには連通口を開放して通気を行うことで強制的に潜熱蓄熱部から放熱させることも可能となる。
【実施例1】
【0023】
以下本発明の一実施例を図面により説明する。
【0024】
図1は本発明の蓄熱給湯装置を使用したコジェネレーションシステムの概略図である。蓄熱給湯装置1は、水を貯える給湯タンク9および潜熱蓄熱体を収容した潜熱蓄熱部10からなる蓄熱ユニット2、給湯タンク9内の水を加熱する加熱経路3、給湯タンク9に水を供給する給水経路4、給湯タンク9内の湯を吐出する出湯経路5より構成されている。
【0025】
加熱経路3には循環ポンプ6が設けられていて、熱交換器21を介して熱源である発電ユニット20から発生する排熱と熱交換を行い、その熱により給湯タンク9内の水を加熱して湯に変換するようになっている。
【0026】
発電ユニット20は発電に伴い熱を発生するため、冷却しなければ発電に支障をきたしてしまうが、熱交換器21で加熱経路3と熱交換することにより冷却されるので、発電を継続して行うことができる。なお、この発電ユニット20としては、例えばエンジンやガスタービン、燃料電池など発電の際に熱を発生させるものであればよく、特にその種類を限定するものではない。
【0027】
また、給水経路4の途中には水を送出するための給水ポンプ7が設けられている。
【0028】
図2は本発明の蓄熱給湯装置を構成する蓄熱ユニットの平面−断面図であり、蓄熱ユニット2はその中心に給湯タンク9を備え、給湯タンク9の外周には潜熱蓄熱部10が配置されている。そして、給湯タンク9の内部に略U字型の加熱経路3と、直線型の給水経路4と出湯経路5が配置されている。
【0029】
加熱経路3は筒状のパイプ部材に、放熱面積を広げるための多数の伝熱フィン11aが設けられた形状であり、その内部には不凍液が循環しており、この不凍液が発電ユニット20からの排熱と熱交換して昇温し、熱を放出する。そして給湯タンク9内の水は、伝熱フィン11aを通じて加熱経路3から放出される熱を吸収することで湯となる。
【0030】
一方、潜熱蓄熱部10を構成する潜熱蓄熱体には、例えば酢酸ナトリウム水和物などが用いられ、熱が加わることによって潜熱蓄熱体が融解されると、このときに加えられた熱量が潜熱として潜熱蓄熱部10に蓄熱される。潜熱蓄熱体は、熱伝導率は低いが熱容量が大きいため、蓄えた熱を長時間放出することができる。
【0031】
潜熱蓄熱部10の内部には伝熱部材12が設けられており、給湯タンク9内の湯が蓄える熱をこの伝熱部材12を介して潜熱蓄熱体に伝達することで、潜熱蓄熱部10の加熱効率が向上する。
【0032】
また、給湯タンク9と潜熱蓄熱部10は熱が伝達する際に熱損失が発生しないよう互いに密接して設けられている。
【0033】
給水経路4と出湯経路5は、長さの異なる筒状のパイプ部材からなり、長いパイプが給水経路4、短いパイプが出湯経路5となっている。給水経路4は給水ポンプ7の動作によりパイプ部材の内部に水を導入して、この水を給湯タンク9の底部付近に供給する。また、給湯タンク9内の水は加熱経路3が放出する熱により加熱されて湯となるので、この湯は給湯の要求があると出湯経路5を通って吐出される。
【0034】
そして、図3は蓄熱装置の断面図であり、蓄熱ユニット2を囲うように断熱材からなるケース13が設けられ、蓄熱ユニット2とケース13の間には空気が通過する空気通路14が形成されている。また、ケース13の所定位置には空気通路14と蓄熱給湯装置1の外部とを連通し空気が出入りする連通口15a、15bが設けられるとともに、この連通口15a、15bを開閉する開閉部材16が設置されており、この開閉部材16は潜熱蓄熱部10に蓄えられた熱量によって動作が制御される。
【0035】
蓄熱ユニット2の外周には伝熱フィン11cが形成されており、連通口15aから流入した空気は空気通路14を通過する間に伝熱フィン11cと熱交換することで潜熱蓄熱部10から熱を奪い、もう一方の連通口15bから排出される。
【0036】
次に、前述した構成からなる蓄熱給湯装置1の動作について説明する。本発明の蓄熱給湯装置1は、給湯タンク9の水を加熱し潜熱蓄熱部10に熱を蓄える蓄熱貯湯動作、給湯タンク9内の湯を吐出する給湯動作、潜熱蓄熱部10の熱を強制的に放熱させる放熱動作の3つの動作を行うものであり、以下それぞれについて説明する。
【0037】
蓄熱貯湯動作:熱源となる発電ユニット20が発電動作を行うと、これに伴って熱を排出するので、加熱経路3内を循環する不凍液はこの排熱と熱交換器21で熱交換を行うことにより昇温して、加熱経路3から熱が放出されるようになる。加熱経路3は内部に水を貯えた給湯タンク9内に配置されているので、加熱経路3から放出される熱は給湯タンク9内の水に吸収され、水はこの熱を受けて湯となる。
【0038】
一方、加熱経路3内を循環する不凍液は、給湯タンク9の水と熱交換することで熱を奪われ、給湯タンク9を出る際には温度が低下した状態となっている。したがって、熱交換器21には温度の低い不凍液が流入することにより、発電ユニット20が冷却されて、発電を継続して行うことができる。
【0039】
給湯タンク9内の水が湯になると、この湯に蓄えられた熱はさらにその外周の潜熱蓄熱部10に供給される。潜熱蓄熱部10は給湯タンク9に密接して配置されているので、給湯タンク9から放出される熱は全て潜熱蓄熱部10に吸収される。また潜熱蓄熱部10の内部に設けられた伝熱部材12が給湯タンク9が放出する熱を潜熱蓄熱部10の内部から伝達するので、潜熱蓄熱部10は給湯タンク9との境界面からだけでなく内部からも加熱されることとなり、加熱効率が向上する。
【0040】
そして、潜熱蓄熱体の温度が融解温度に達すると、潜熱蓄熱体が融解してこの潜熱が潜熱蓄熱部10に蓄熱される。
【0041】
潜熱蓄熱材は熱伝導率が低いため、給湯タンク9の外周に潜熱蓄熱部10を設けることで蓄熱ユニット2に蓄えられた熱が外部に放出されにくくなり、また、このときケース13の開閉部材16は閉じられているので、潜熱蓄熱部10に蓄えられた熱は、空気通路14およびケース13によっても外部への放出が抑えられるため、潜熱蓄熱部10は高温を維持することが可能となる。
【0042】
給湯動作:蓄熱貯湯動作により給湯タンク9に湯が貯えられ、この状態で給湯の要求があると、給水ポンプ7を作動させて給水経路4から給湯タンク9に水を供給し、出湯経路5からは給湯タンク9内に貯えられた湯を吐出させる。出湯経路5は長さが短く、給湯タンク9内の上方の湯を汲み上げるため、高温の湯が吐出する。
【0043】
また、給水経路4は長さが長く、給水タンク9の底面付近に水を供給するようになっており、さらに、給水タンク9内の水は温度成層化されているため、温度の低い水は底部に溜まり、加熱されて温度が高くなった湯が上部に溜まる。そのため、温度の低い水が出湯経路5から汲み上げられてしまうことはない。
【0044】
給水経路4から供給された水は、給湯タンク9の外周に設けられた潜熱蓄熱部10が放出する熱を奪うことにより加熱されて湯となる。
【0045】
なお、給湯動作と同時に蓄熱貯湯動作も行われることもあるが、この場合、給湯タンク9の水は加熱経路3によっても加熱される。
【0046】
また、蓄熱貯湯動作時と同様、給湯動作時においてもケース13の開閉部材16は閉じられているので、潜熱蓄熱部10に蓄えられた熱は、空気通路14およびケース13によって外部への放出が抑えられる。
【0047】
このように蓄熱貯湯動作を行うことで潜熱蓄熱部10が加熱され、給湯動作を行うことで潜熱蓄熱部10が熱を奪われ冷却される。蓄熱貯湯動作と給湯動作のバランスが取れていると、給湯動作で潜熱蓄熱部10が冷却された分、蓄熱貯湯動作で潜熱蓄熱部10に熱を蓄えることができるので、加熱経路3を循環する不凍液は給湯タンク9に熱を奪われて給湯タンク9通過後には温度が低下した状態となる。したがって、加熱経路3は熱交換器21を介して発電ユニット20を冷却することができる。
【0048】
しかし、通常は給湯動作で奪われる熱量と蓄熱貯湯動作で蓄える熱量とは一致するものではなく、蓄熱貯湯動作で蓄える熱量が多くなることが予想される。そして、潜熱蓄熱部10の蓄熱量が所定量に達すると、給湯タンク9は加熱経路3から熱を奪うことができなくなるため、給湯タンク9を通過後の加熱経路3内の不凍液は高温を維持したままの状態となる。すると、不凍液は温度が高いまま熱交換器21に流れ込むので、発電ユニット20を冷却することができず、発電動作に支障をきたし、発電動作を規制しなければならなくなる。そこで、このような状態を回避するために、蓄熱量が所定の値に達すると、強制的に潜熱蓄熱部10を放熱させる放熱動作が行われる。
【0049】
放熱動作:潜熱蓄熱部10に蓄えられた熱量が所定量を超えたと判断された場合、ケース13の開閉部材16を開き、連通口15aから蓄熱給湯装置内部に空気を流入させる。すると、連通口15aより流入した空気は、空気通路14を通過する間に潜熱蓄熱部10から放出される熱を受けて昇温し、もう一方の連通口15bより排出される。これにより、潜熱蓄熱部10は冷却されて温度が低下するので、給湯タンク9は加熱経路3から熱を奪うことができるようになる。
【0050】
そして、放熱動作を続けることで潜熱蓄熱部10に蓄えられた熱量が所定量以下になったと判断されると、開閉部材16を閉じて以降の放熱を遮断する。
【0051】
ケース13は、蓄熱貯湯動作および給湯動作時には潜熱蓄熱部10から外部への熱の放出を抑えて高温に維持する役割を果たすものであるが、放熱動作時においては開閉部材16を開くことで潜熱蓄熱部10を放熱させて冷却することができる。つまり、潜熱蓄熱部10を冷却するためにラジエーター等の冷却装置を別途設ける必要がないため、より装置を小型かつ安価に構成することが可能となる。
【実施例2】
【0052】
図4は本発明の実施例2の蓄熱ユニットの平面−断面図であって、加熱経路3は熱交換器21と連通する長短の2本のパイプ3a、3bより構成されていて、長い方のパイプ3aにより給湯タンク9内の水を吸い上げて発電ユニット20の冷却に用いるようになっている。
【0053】
給湯タンク9内は温度成層化されているので、加熱経路3のうち、長い方のパイプ3aが給湯タンク9内の水を吸い上げると、温度の低い底部の水が吸い上げられて熱交換器21へ向かい、発電ユニット20からの排熱と熱交換器21で熱交換を行うことにより熱を吸収して昇温し高温の湯となる。
【0054】
熱交換器21を通過した後の高温の湯は、短い方のパイプ3bから給湯タンク9に供給されるので、これを繰り返すことにより給湯タンク9内の水が加熱されて温度が上昇し、この熱が潜熱蓄熱部10に伝わって潜熱蓄熱部10に熱が蓄えられる。なお、熱交換器21を通過した後の高温の湯は、給湯タンク9の上部に供給されるので、給湯タンク9内部で温度の低い水と完全に混ざり合うことがなく、長い方のパイプ3aから吸い上げられる水は低温の状態とすることができる。
【0055】
そして、給湯の要求があった場合には、給湯タンク9上部の高温の湯が出湯経路5から吐出される。さらに給水経路4からは給水タンク9の底面付近に水が供給されるので、この低温の水がパイプ3aから吸い上げられるため発電ユニット20を効率よく冷却することができる。
【実施例3】
【0056】
図5は本発明の実施例3の蓄熱ユニットの平面−断面図であって、給湯タンク9は第一給湯タンク9aと第二給湯タンク9bの二つのタンクから構成されている。
【0057】
蓄熱ユニット2はその中心に第一給湯タンク9aを備え、第一給湯タンク9aの外周に潜熱蓄熱部10が配置され、さらに潜熱蓄熱部10の外周には第二給湯タンク9bが配置されており、第一給湯タンク9aと第二給湯タンク9bは潜熱蓄熱部10の各所に設けられた開口通路17によって連通する構成となっている。そして、第一給湯タンク9aの内部に加熱経路3、給水経路4、出湯経路5が配置されている。
【0058】
加熱経路3によって第一給湯タンク9a内の水が加熱されて湯になると、第一給湯タンク9a内の湯は潜熱熱蓄熱部10を内側から加熱するとともに、開口通路17を介して第二給湯タンク9bへ流入し、そして潜熱蓄熱部10を外側からも加熱する。
【0059】
潜熱蓄熱材は熱伝導率が低いため熱を吸収するのに時間がかかるが、潜熱蓄熱部10を給湯タンク9の内部(第一給湯タンク9aと第二給湯タンク9bの間)に設けることにより、潜熱蓄熱部10は周囲から加熱されることになるので潜熱蓄熱材の熱吸収の効率を上げることができる。
【実施例4】
【0060】
図6は本発明の実施例4の蓄熱ユニットの平面−断面図であって、潜熱蓄熱部10は中央の第一蓄熱部10aと外周の第二蓄熱部10bからなり、蓄熱ユニット2の底部で第一蓄熱部10aと第二蓄熱部10bが連通する構成となっている。そして、給湯タンク9の内部に第一蓄熱部10a、外周に第二蓄熱部10bが配置されることにより蓄熱ユニット2が形成され、給湯タンク9の内部に加熱経路3、給水経路4、出湯経路5が配置されている。
【0061】
第一蓄熱部10aを給湯タンク9の内部に設けることにより、第一蓄熱部10aは周囲から加熱されるので熱吸収の効率が上がり、さらに第二蓄熱部10bを給湯タンク9の外周に設けたことにより、蓄熱ユニット2に蓄えられた熱が外部放出されにくくなる。つまり、熱の吸収効率を上げることと、装置外部への熱の放出を抑えることが同時に可能となるのである。
【符号の説明】
【0062】
2 蓄熱ユニット
3 加熱経路
4 給水経路
5 出湯経路
9 給湯タンク
10 潜熱蓄熱部
13 ケース
14 空気通路
15a,15b 連通口
16 開閉部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6