(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る情報読取玩具1において、読取体としてスキャナ10を、情報保持体としてメダル30をそれぞれ例示するが、本発明に係る構成要素の形態はこれらに限定されるものではない。
【0013】
(全体)
図1は、本発明の実施形態に係る、情報読取玩具1のスキャナ10及び玩具本体20の斜視図である。情報読取玩具1は、読取体としてのスキャナ10と玩具本体20とからなる。
【0014】
図2は、スキャナ10が玩具本体20に係合するためのガイドレール21を示す図である。ガイドレール21は、略平行な一対のガイドレール21a及び21bからなる。スキャナ10は、玩具本体20の上に載置することができると共に、これらのガイドレール21a及び21bに沿って、玩具本体20上に載置した状態を保ちつつ使用者によって玩具本体20上を移動させることが可能となっている。
【0015】
(玩具本体)
図3は、玩具本体20の把持部22及び基台24を示す斜視図である。すなわち、玩具本体20を下方から見た図である。玩具本体20の下面(基台24の下面)からは把持部22が突設されており、使用者は把持部22を手で握り、玩具本体20を下腕部に載せるようにして、玩具本体20を保持できるようになっている。
【0016】
図4は、玩具本体20の上面カバー25を開いた状況を示す図である。玩具本体20の上面カバー25は回動可能に取り付けられており、上方に回動させると上面カバー25により覆われていた回転盤26が露出する。回転盤26は基台24に対して回転可能に取り付けられている。回転盤26には、情報保持体としてのメダル30(
図5)を複数載置可能な載置部27が設けられている。載置部27は、メダル30を収容可能な大きさの凹部として形成されており、また、回転盤26の円周方向に沿って配置されている。使用者は上面カバー25を回動させ、回転盤26を露出させることで、載置部27にメダル30を載置できるようになっている。
図4には、最大で7個の円盤形状のメダル30を載置できる載置部27を示すが、載置部27の形状はこれに限定されない。
【0017】
図5は、玩具本体20の載置部27にメダル30を載置した状況を示す図である。すなわち、前述の
図4に示した載置部27の形状にしたがって、円盤形状のメダル30a〜30gを円周方向に並べることができる。
図5には、7枚のメダル30を載置した状況を示すが、メダル30は1枚以上が載置されればよく、使用者は、最大枚数(本実施例では7枚)以内の所望枚数のメダル30を同時に使用することができる。
【0018】
(情報保持体)
図6は、メダル30の上面図である。メダル30は、情報読取玩具1における情報保持体として機能することができる。本実施形態において、メダル30は、円盤状に形成され、中央部分は合成樹脂、周縁部はダイキャストからなる。また、その表面にはメダル30ごとに異なる動物、恐竜、昆虫等のレリーフを施すことができる。メダル30の形状、材質、デザイン等は、これらに限定されず、情報読取玩具1が使用者に提供する興趣に応じて多様に設計することができる。
【0019】
図7は、メダル30の内部を示す図である。メダル30の内部には、情報を記憶したICチップが設けられた基板31が取り付けられている。該ICチップには、個々のメダル30ごとに異なる固有の種別情報が記憶されている。また、該ICチップは、スキャナ10からの質問信号に応答して、保持している種別情報を応答信号としてスキャナ10に対して発するように構成される。
【0020】
(読取体)
図8は、スキャナ10の握り部11及び握りスイッチ12を示す図である。スキャナ10は、情報読取玩具1における読取体として機能することができる。本実施形態において、スキャナ10は全体として円盤状に形成され、使用者が握る握り部11が設けられている。握り部11には、握りスイッチ12が設けられ、使用者が握り部11を握り、握りスイッチ12を押してオン状態とすると、スキャナ10から質問信号の発信が開始され、所定時間(例えば30秒間)にわたって読取待機状態が維持される。
【0021】
図9は、スキャナ10の演出制御部14、発光部16及び発音部17を示す図である。本実施形態において、演出制御部14、発光部16及び発音部17はいずれもスキャナ10の内部に設けられる。
【0022】
発光部16は、LED等を備え、演出部カバー13を介して視認可能な発光パターンを使用者に提供する。発音部17は、スピーカー等を備え、話声、合成音声、効果音等の聴取可能な発声パターンを使用者に提供する。演出制御部14は、内部基板上の回路により実現される。
【0023】
発光部16及び発音部17は、演出制御部14と電気的に接続され、演出制御部14により発光および発声演出を行うよう制御される。演出制御部14は、発声データや、発光パターン等の演出情報を記憶した演出記憶部としてのメモリ102(
図29)と接続される。演出情報としては、例えば、次を用いることができるが、これらに限定されない。
[演出情報1]スキャナ10によってメダル30の読取が行われたときに発声される読取音、
[演出情報2]玩具情報の読取が行われたときに発声される当該玩具情報に応じた読取完了音、
[演出情報3]情報記憶部としてのメモリ102(
図28)に記憶された情報に応じた発声データ(例えば、メダル30の種別情報により特定される、当該メダル30に施されているレリーフが表す動物等の名前等に対応する音声)、及び
[演出情報4]必殺技音。
【0024】
(回転盤)
図10は、玩具本体20の基台24及び回転盤26を示す図である。
図10においては、上面カバー25を省略して示している。回転盤26は、メダル30を、スキャナ10によってメダル30が保持している情報が読み取られる読取位置へと供給する、供給手段の一部を構成する。
【0025】
図11は、角穴23と角軸47を示す図である。角穴23は、回転盤26の背面の回転中心と同軸となるように設けられる。角軸47は、回転駆動手段(
図20)に設けられ、基台24の上面から上方に突出する。回転盤26において、角穴23は角軸47と結合する。この結合により、角軸47と回転盤26とは一体として回転可能又は回転不能となる。
【0026】
図12は、後述する係合部41と係合して回転盤を回転不能とする被係合部28を示す図である。被係合部28は、回転盤26の周縁裏面寄りに形成される。
図12においては、3箇所の被係合部28a〜28cの場所を示しているが、これら以外にも、被係合部28は、所定の間隔を開けて回転盤26の全周にわたり複数形成される。
【0027】
図13は、回転ローラ29を示す図である。回転ローラ29は、回転盤26の裏面の周縁近傍3箇所において、回転可能に設けられる。これにより、回転盤26は、基台24の上面上をスムーズに回転可能となっている。
【0028】
また、回転盤26の中心には、カバー80の下方に、玩具情報を保持するための玩具情報記憶部81(
図28)が配置される。玩具情報記憶部81は、メダル30と同様にICチップが設けられた基板を内蔵する。このICチップは、スキャナ10からの質問信号に応答して、玩具の種類を表す玩具情報を応答信号としてスキャナ10に対して発するように構成される。
【0029】
(係合部・内部解除スイッチ)
図14は、内部解除スイッチ40及び係合部41を示す図である。
【0030】
基台24には、基台24に回転盤26が取り付けられたときに、前述の被係合部28と係合可能な位置に係合部41が形成されている。この係合部41は、基台24の上面から突出した状態と、基台24の上面から没入した状態とのいずれも取ることが可能であるが、後述する内部解除スイッチ40に外力が加わっていない状態では、基台24の上面から突出する方向へと弾性部材(図示していない)により付勢されていることにより、基台24の上面から突出した状態となっている。基台24の上面から突出した係合部41は、回転盤26の被係合部28と係合し、回転盤26及び回転盤26と一体となった角軸47を回転不可能な状態としている。
【0031】
内部解除スイッチ40は、基台24の上面に設けられる。内部解除スイッチ40は、押圧されると、弾性部材の弾力に抗して係合部41を基台24の上面から没入した状態とする。すると、係合部41と回転盤26の被係合部28との係合が解除され、回転盤26及び角軸47は回転可能な状態となる。
【0032】
図15は、内部解除スイッチ40近傍の構造を示す図である。基台24の内部には上下に揺動可能にアーム部材42が設けられており、係合部41は、アーム部材42から上方に突出するように設けられている。内部解除スイッチ40は、通常は弾性部材43により上方に付勢されている。内部解除スイッチ40が押圧されると、内部解除スイッチ40は下方へと移動し、アーム部材42と当接して、アーム部材42を下方へ揺動させる。これにより、係合部41も下方へと移動し、基台24の上面から没入した状態となる。
【0033】
図16は、内部解除スイッチ40近傍の構造を
図15とは異なる方向から見た図である。内部解除スイッチ40の下部周縁44は、前述のアーム部材42の自由端側45と当接してこれを押下げるように作用する。これにより、係合部41も下方へ移動し、基台24の上面から没入することになる。
【0034】
(外部解除スイッチ)
図17は、外部解除スイッチ50及び内部解除スイッチ40を示す図である。上面カバー25に設けられた外部解除スイッチ50は、上面カバー25を閉状態(回転盤26を覆う状態)としたときに、前述の内部解除スイッチ40と対向する位置関係となっている。
【0035】
図18及び
図19は、外部解除スイッチ50近傍の構造を示す図である。
図19は、外部解除スイッチ50が押下された状態を示している。
【0036】
外力が加わっていない状態では、外部解除スイッチ50は、バネ等からなる弾性部材51により上方に付勢されている。このとき、外部解除スイッチ50の下面に設けられた突起部52は、前述の内部解除スイッチ40を押下していないため、アーム部材42は押下げられていない。すなわち、係合部41は基台24の上面から突出して、回転盤26の被係合部28と係合する。この状態では、回転盤26及び回転盤26と一体となった角軸47は回転不能である。
【0037】
ここで、外部解除スイッチ50が押下されると、突起部52が下方に突出する。突起部52は、前述の内部解除スイッチ40と当接して、内部解除スイッチ40を押下する。すなわち、外部解除スイッチ50が押下された状態にあるときは、内部解除スイッチ40も押下された状態となっており、したがって、アーム部材42も押下げられ、係合部41も基台24の上面から没入しており、回転盤26の被係合部28との係合が解除され、回転盤26は回転可能となる。
【0038】
(回転駆動手段)
図20は、基台24の内部を示す図である。基台24の内部には回転駆動手段70が設けられる。回転駆動手段70からは前述の角軸47の他、操作部60が基台24から側方に突出している。
【0039】
図21は、操作部60の構造を示す図である。操作部60は、中間アーム62と、中間アーム62の一端に設けられ、使用者によって把持されるグリップ部61と、中間アームの他端に設けられたラック部63とからなり、平面視略T字形状に形成されている。
【0040】
図22は、グリップ部61の移動方向を示す図である。操作部60は、ラック部63が設けられた他端が回転駆動手段70の内部(基台24の内部)に収納されており、一端に設けられたグリップ部61は、基台24から露出するように取り付けられている。また、操作部60は、中間アーム62と平行な方向に、基台24に対して往復動可能となるように取り付けられている。したがって、グリップ部62は、基台24に対して近接する位置と、離間する位置との間で往復動することが可能である。
【0041】
図23は、弾性部材64を示す図である。操作部60は、中間アーム62の途中部分において、操作部60の移動方向に対称配置される弾性部材64a及び64bを介して基台24に接続されている。すなわち、弾性部材64a及び64bは、基台24と中間アーム62とを弾性的に結合する。したがって、使用者がグリップ部61を把持して、弾性部材64の弾性に抗して基台24に対して離間する位置まで移動させると、操作部60は基台24の内部に向かう方向へと付勢された状態となる。
【0042】
図24は、回転駆動手段70の内部構造を示す図である。
図24においては、回転盤26の側から基台24の内部を示している。回転駆動手段70は、操作部60のラック部63と噛合する小歯車72、小歯車72と一体となって回転する大歯車71、大歯車71と噛合し角軸47と一体となって回転する駆動歯車73を備える。
【0043】
図25は、回転駆動手段70の弾性部材74を示す図である。回転駆動手段70の小歯車72は、この弾性部材74により上方から押さえつけられており、回転可能な速度が抑えられている。そのため、操作部60が弾性部材64の弾性により基台24の内部に向かおうとしても、ラック部63と噛合している小歯車72の回転速度が抑えられているため、結果として、操作部60が基台24の内部に向かう速度も抑えられるようになっている。
【0044】
回転駆動手段70の小歯車72が回転する場合においては、これと一体となって大歯車71も回転し、これと噛合する駆動歯車73及び駆動歯車73と一体となった角軸47も回転し、結果として、角軸47と一体となった回転盤26も回転する。このような連動により、回転盤26の載置部27に置かれたメダル30は、スキャナ10により読み取り可能な位置に順次供給されることになる。
【0045】
しかしながら、角軸47と一体とされた回転盤26が、前述した係合部41と被係合部28との係合により回転不能となっている場合には、角軸47が回転不能であるため、駆動歯車73、大歯車71、小歯車72はいずれも回転できない。そのため、小歯車72と噛合するラック部63も移動不能となるため、結果として、操作部60は基台24の内部に向かうよう付勢された状態で保持されることになる。この状態においては、グリップ部61は、基台24から離間した位置で保持される。
【0046】
(情報読取玩具1の動作準備及び動作)
情報読取動作の準備として、まず使用者がメダル30を回転盤26上に載置する。そのためには、玩具本体20の上面カバー25を回動させて、回転盤26を露出させる。次いで、回転盤26の上の載置部27にメダル30を載置する。なお、本実施例においては、載置部27の載置可能な全ての場所にメダル30を載置しているが、必ずしも全ての載置部に載置する必要はなく、少なくとも1枚のメダル30が載置されればよい。
【0047】
使用者は、メダル30を載置後に、上面カバー25を回動させて、再び回転盤26を覆うようにする。そして、操作部60のグリップ部61を把持し、基台24から離間する方向へと動かす(
図22の移動方向)。前述したように、操作部60は弾性部材64により基台24の内部へ向かう方向へ移動しようとするが、外部解除スイッチ50が押下されておらず、したがって、内部解除スイッチ40も押下されていないため、係合部41と回転盤26の被係合部28とは係合している。したがって、この状態においては、回転盤26は回転不能となっている。そのため、回転盤26と一体となった角軸47が回転不能となるため、角軸47と一体となった駆動歯車73、これと噛合する大歯車71、大歯車71と一体となった小歯車72は、いずれも回転不能となっている。小歯車72と噛合しているラック部63も移動不能となっていることから、操作部60は基台24の内部に向かう方向に付勢された状態で保持される。
【0048】
次に、使用者は、握りスイッチ11が押されて読取待機状態となったスキャナ10を、玩具本体20に対して、スキャナ10の下面が玩具本体20の外部解除スイッチ50を押下する位置に配置する(
図26参照)。このとき、スキャナ10は、スキャナ10の下方に位置するメダル30に保持された情報を読み取ることが可能な状態となっている。
【0049】
図27は、上面カバー25を省略した読取待機状態の構成図である。
図27に示すとおり、回転盤26の上に載置されたメダル30と、玩具本体20においてメダル30の種別情報を読取可能な状態となっているスキャナ10との位置関係は、回転盤26が回転するとメダル30がスキャナ10の下方の位置に供給されるような位置関係となっている。つまり、このように玩具本体10に配置されているとき、スキャナ10は、回転盤26の上のメダル30が回転盤26の回転により描く軌跡の上方に位置している。このとき、スキャナ10は、回転盤26の上のメダル30からの情報を読み取り可能な状態となっているので、本実施例においては、このスキャナ10の下方の位置が、スキャナ10によってメダル30が保持している種別情報が読み取られる読取位置に相当する。
【0050】
またこのとき、前述の通りスキャナ10の下面によって外部解除スイッチ50が押下されるので、内部解除スイッチ40も押下され、結果として、係合部41と回転盤26の被係合部28との係合が解除される。したがって、回転盤26は回転可能となるので、操作部60は弾性部材64の弾性により基台24の内部に向かう方向へと移動を開始する。これにより、ラック部63は、小歯車72を回転させる。なお、小歯車72の回転速度は弾性部材74により抑制されているため、操作部60が基台24の内部に向かう移動速度も抑制される。小歯車72が回転することにより、小歯車72と一体となった大歯車71が回転し、これと噛合する駆動歯車73が回転し、駆動歯車73と一体となった角軸47、角軸47と一体となった回転盤26が回転を始める。回転盤26が回転すると、回転盤26の上のメダル30は順次読取位置へと供給され、スキャナ10によって情報が読み取られることになる。
【0051】
スキャナ10は、読取位置に供給されたメダル30から順次情報(メダル30の種別を表す種別情報)を読み取る。このとき、演出制御部14は、種別情報が読み取られる毎に、演出記憶部としてのメモリ102(
図29)から読取音に係る演出情報を読み出し、発音部17を制御して、例えば「キン」というような読取音を発声させる。種別情報の読取は、回転盤26の回転に応じて連続して行うことが可能である。読取音も連続して発声することが可能であり、使用者に対して、例えば「キンキンキンキン・・・・・・」という音声が提供される。
【0052】
また、読み取られた種別情報は、演出制御部14と接続された情報記憶部としてのメモリ102(
図29)に記憶される。情報記憶部としてのメモリ102は、読取時期が最も新しい種別情報から遡って所定数の種別情報のみを記憶するよう設定し、所定数の種別情報が記憶済のときに新たな種別情報が読み取られた場合には、最も読取時期が古い種別情報が消去されるように設定することができる。このとき、当該所定数は、回転盤26に載置可能なメダル30の数よりも少ないことが望ましい。例えば、本実施例においては、回転盤26に載置可能なメダル30の数は7個なので、メモリ102は読取時期が最も新しい種別情報から遡って数えて6個の種別情報を記憶可能に設定したとする。すると、6個の種別情報を記憶済のときに、7個目の種別情報が読み取られた場合には、最も読取時期が古い種別情報が消去され、代わりに7個目の種別情報が記憶される。つまり、回転盤26に載置されているメダル30を変更しなくとも、回転盤26が回転し続けるかぎり、メモリ102に記憶されている所定数の種別情報の内容は、スキャナ10がメダル30の種別情報を新たに読み取る毎に更新されていくことになる。より具体的に説明するとすれば、回転盤26の回転により、「タカ」、「トラ」、「バッタ」、「カマキリ」、「チータ」、「サイ」、「ゾウ」のレリーフがそれぞれ施された7個のメダル30(各々異なる種別情報が記憶されている)が、この順番で読取位置に供給されるとする。すると、スキャナ10によって、メモリ102にはまず「タカ」、「トラ」、「バッタ」、「カマキリ」、「チータ」、「サイ」の6個の種別情報が記憶されるが、回転盤26が回転し続けると、新しく「ゾウ」の種別情報が読み取られることになる。すると、最も読取時期が古い「タカ」の種別情報が消去され、メモリ102に記憶されている種別情報は、「トラ」、「バッタ」、「カマキリ」、「チータ」、「サイ」、「ゾウ」に更新される。さらに回転盤26が回転すると(つまり、回転盤26は1回転したことになる)、再び「タカ」の種別情報が読み取られる。すると、今度は「トラ」の種別情報が消去され、メモリ102に記憶されている種別情報は、「バッタ」、「カマキリ」、「チータ」、「サイ」、「ゾウ」、「タカ」に更新される。このことにより、後述する、メモリ102に記憶されている種別情報に応じた読取完了後の演出(具体的には、メモリ102に記憶されている種別情報それぞれによって特定される、メダル30に施されたレリーフで示された動物等の名称の音声出力)も変化するようになるので、興趣性が高くなる。
【0053】
(情報読取の機能ブロック図)
図28は、スキャナ10及び玩具本体20の機能ブロック図である。スキャナ10は、玩具本体20に近接して配置され、玩具本体20の回転盤26に載置されるメダル30から種別情報を読み取った後、使用者によって所望のタイミングでガイドレール21に沿って移動させると、回転盤26に配置される玩具情報記憶部81の近傍に案内されることにあり、玩具情報記憶部81から玩具情報を読み取ることができる。
【0054】
図29は、スキャナ10の機能ブロック図である。スキャナ10は、握りスイッチ12、制御部101、演出記憶部及び情報記憶部としてのメモリ102、情報送受信部103、演出制御部14及び演出部15を備える。
【0055】
演出部15は、好適には、発光部16、発音部17及び振動部19を含むことができる。使用者に提供する演出のための機能はこれらに限定されない。
【0056】
情報送受信部103は、質問信号を送信可能であり、この質問信号に応答してメダル30が送信した応答信号(種別情報)を受信可能である。また、情報送受信部103は、この質問信号に応答して玩具情報記憶部81が送信した応答信号(玩具情報)を受信可能である。これらの送受信信号の形態は、例えば電波を用いることができるが限定されない。
【0057】
メモリ102は、発声データ及び発光パターン等の演出情報を記憶した演出記憶部として、また、メダル30からスキャナ10が読み取った種別情報および玩具情報記憶部81から読み取った玩具情報を記憶するための情報記憶部として機能する。
【0058】
使用者が握りスイッチ12を握ることにより、制御部101は、情報送受信部103を介して質問信号を送信し、所定時間(例えば30秒間)の間、メダル30および玩具情報記憶部81からの応答を待機する。制御部101は、情報送受信部103がメダル30からの応答信号(種別情報)を受信した場合に、メダル30から受信した種別情報をメモリ102(情報記憶部)に格納する一方、演出制御部14に対して、メモリ102(演出記憶部)から演出情報を読み出して所定の演出を行う指示を送信する。演出制御部14は、該指示に基づき、メモリ102に記憶された演出情報を用いて、演出部15に含まれる発光部16、発音部17又は振動部19のいずれかを又は適宜組み合わせて動作させ、使用者への演出(例えば、読取音「キン」の出力や、種別情報により特定される動物等の名称音声(「タカ」「トラ」)の出力)を実施する。
【0059】
また、制御部101は、玩具情報記憶部81から玩具情報を受信すると、玩具情報記憶部81から受信した玩具情報をメモリ102(情報記憶部)に格納する一方、受信した玩具情報に基づいて、演出制御部14に対して、メモリ102(演出記憶部)から演出情報を読み出して所定の演出を行う指示所定の演出を行う指示を送信する。演出制御部14は、前述と同様に、メモリ102に記憶された演出情報を用いて、所定の演出(例えば、読取完了音「ズギャーン」の出力)を実施する。
【0060】
(情報読取玩具1における読取動作のフロー)
図30は、情報読取玩具1における読取動作、具体的には使用者の動作およびそれに伴う情報読取玩具1における動作を表すフロー図である。使用者は、
図30に示す手順で情報読取玩具1を操作し、情報読取遊びを行うことができる。
【0061】
ステップS1において、使用者は、上面カバー25を回動させ回転盤26を露出させる。
【0062】
ステップS2において、使用者は、メダル30を回転盤26の載置部27に載置する。
【0063】
ステップS3において、使用者は、上面カバ25ーで回転盤26を覆う。
【0064】
ステップS4において、使用者は、操作部60のグリップ部61を把持し、基台24から離間する方向へ動かす。
【0065】
ステップS5において、使用者は、握りスイッチ12が押された状態のスキャナ10下面が玩具本体20の外部解除スイッチ50を押下する位置に取り付ける。(すなわち、玩具本体20においてスキャナ10をメダル30が保持する情報を読み取り可能な状態とする。)
【0066】
ステップS6において、スキャナ10が、玩具本体20の外部解除スイッチ50を押下する。
【0067】
ステップS7において、外部解除スイッチ50が、内部解除スイッチ40を押下する。
【0068】
ステップS8において、係合部41と被係合部28の係合が解除される。
【0069】
ステップS9において、操作部60が、基台24の内部方向に移動開始する。
【0070】
ステップS10において、回転盤26が回転を開始する。
【0071】
ステップS11において、回転盤26の上のメダル30が、スキャナ10の下方(本実施形態における読取位置)に供給される。
【0072】
ステップS12において、使用者はスキャナ10で、メダル30の種別情報を読み取る。より正確には、スキャナ10からの質問信号に応答したメダル30からの応答信号として種別情報を受信する。
【0073】
スキャナ10で回転盤26の回転動作により読取位置に供給されるメダル30から情報を読み取った(S12)後、使用者は所望のタイミングでガイドレール21に沿ってスキャナ10を移動させる。すると、スキャナ10は回転盤26の中心付近へと案内され、使用者は当該スキャナ10で当該中心付近に内蔵された玩具情報記憶部81からの玩具情報を読み取る(ステップS13)ことができる(より正確には玩具情報記憶部81から応答信号として玩具情報を受信することができる)。以上で読取動作は完了となる。
【0074】
以上の一連の動作のとおり、本実施形態に係る情報読取玩具1は、玩具本体20において読取体としてのスキャナ10を読取可能な状態にすることと、情報保持体としてのメダル30をスキャナ10の下方(読取位置)へと供給開始することとが連動するので、使用者は、テンポ良く情報読取遊びを行うことができる。
【0075】
(演出終了までの制御部101および演出部15の動作のフロー)
図31は、スキャナ10の握りスイッチ12を押して読取待機状態となった以降、読取完了後の演出終了までの制御部101および演出部15の動作を表すフロー図である。演出部15は、制御部101の指示に基づく演出制御部14の動作により制御される。以下、演出部15に含まれる発音部17が使用者に音声を提供する場合を例示するが、発光部16又は振動部19による演出についても同様に実施することができる。
【0076】
ステップS21において、まずスキャナ10は読取待機状態となっているため、制御部101の指示により、演出制御部14は発音部17より待機音を出力する。より具体的には、演出制御部14は、制御部101からの指示によりメモリ102(演出記憶部)から待機音の音声データを読み出して、当該音声データに基づいて発音部17から待機音を出力する。
【0077】
ステップS22において、制御部101は、メダル30の種別情報を読み取ったか否か(正確には、情報送受信部103が発している質問信号への応答信号としてメダル30の種別情報を受信したか否か)を判定する。判定の結果が真であればステップS23に進み、偽であればステップ25に進む。
【0078】
ステップS23において、制御部101は、読み取った(受信した)メダル30の種別情報をメモリ102(情報記憶部)に格納する。
【0079】
ステップS24において、発音部17は、読取音を出力する。より具体的には、ステップS24において制御部101がメダル30の種別情報を読み取った(受信した)ことに応じて、制御部101が演出制御部14に指示を出し、当該指示に基づいて、演出制御部14がメモリ102(演出記憶部)から読取音の音声データを読み出して、当該音声データに基づいて発音部17から読取音を出力させる。
【0080】
ステップS25において、制御部101は、玩具情報を読み取ったか否か(より正確には、情報送受信部103が、発している質問信号への応答信号として玩具情報を受信したか否か)を判定する。判定の結果が真であればステップS26に進み、偽であればステップS30に進む。なお、読み取った玩具情報は制御部101によりメモリ102(情報記憶部)に格納される。
【0081】
ステップS30では、制御部101は、所定時間が経過したか否かを判定する。結果が真であれば終了し、偽であればステップS22に戻り、再びメダル30の種別情報を読み取ったか否かの判定を行う。以上述べたとおり、ステップS25での判定結果が真にならないかぎり、ステップS30に進むことになり、所定時間が経過するまではステップS22に戻ることになる。すなわち、玩具情報が読み取られない限りは、所定時間内であればメダル30の種別情報を読み取る毎にステップS23、ステップS24と進んで種別情報のメモリ102への格納、読取音の出力が繰り返されることになる。種別情報の読み取りは、回転盤26の回転により極めて短い間隔で連続して行われるため、出力される読取音も使用者からは連続して聞こえる。すなわち、読取音が「キン」という音だとすると、使用者からは「キンキンキンキンキン・・・・」と連続して、ほぼつながった音として聞こえるようになる。
【0082】
一方、ステップS25の判定結果が真であれば、ステップS26に進み、このステップS26においては、制御部101は、メモリ102に種別情報が1個以上格納されているか否かを判定する。結果が真であれば、使用者が種別情報の読取が完了させたものとしてステップS27に進む。偽であれば種別情報の読取が全くされていないということなので、ステップS30に進み、所定時間内であれば、ステップS22に戻って、メダル30の種別情報を読み取ったか否かを再び判定する。すなわち、種別情報の読取がなされることなく、玩具情報の読取が行われた(種別情報の読み取りが行われる前に、スキャナ10をガイドレース21に沿って動かし、玩具情報を読み取った場合等)としても、ステップS27以降の処理には進まないようになっている。
【0083】
ステップS27において、発音部17は、読取完了音を出力する。より具体的には、ステップS25において制御部101が玩具情報を読み取った(受信した)こと、および、ステップS26においてメモリに種別情報が1個以上格納されていることが確認されたことに応じて、使用者が読取動作を完了させたものとして、制御部101が演出制御部14に指示を出す。そして、当該指示に基づいて演出制御部14が、メモリ102(情報記憶部)に記憶されている玩具情報に応じた読取完了音の音声データをメモリ102(演出記憶部)から読み出し、当該音声データに基づいて発音部17を用いて読取完了音を出力させる。なお、この読取完了音は、ステップS25で読み取った玩具情報に対応付けられたものであり、仮に、情報読取玩具1に内蔵された玩具情報記憶部に記憶された玩具情報とは異なる玩具情報がこのタイミングで読み取られたとしたら(例えば、ガイドレール21に沿ってスキャナ10を動かさずに玩具本体20から取り外し、別の玩具(例えばベルト玩具や武器玩具)に同様に設けられた玩具情報記憶部の玩具情報を読み取ったとしたら)、別の読取完了音が出力されることになる。したがって、この読取完了音の音声データは、本発明にいう情報記憶部(メモリ102)に記憶された情報(玩具情報)に応じて演出記憶部から読み出される演出情報の一例である。なお、以後のステップS28の制御部101が行う処理も、ステップS25で読み取った情報読取玩具1の玩具情報に対応付けられた処理であり、もし異なった玩具情報が読み取られていたとしたら、全く異なる処理を行うようになっている。つまり、スキャナ10の制御部101は、メダル30の種別情報を読み取った後に読み取られる玩具情報に応じて処理が変化する。
【0084】
さて、ステップS28に進むと、発音部17は、各メダル30から読み取られた種別情報に応じて、該種別情報により特定される動物等の名称を発声する。より具体的には、制御部101が、演出制御部14に指示を出し、当該指示に基づいて、演出制御部14は、メモリ102(情報記憶部)に記憶されている複数の種別情報に応じて、各種別情報と対応付けられた動物等の名称音声の音声データをメモリ102(演出記憶部)から読み出し、当該音声データに基づいて発音部17から動物等の名称音声を出力させる。したがって、この各種別情報と対応付けられた動物等の名称音声の音声データは、本発明にいう情報記憶部(メモリ102)に記憶された情報(種別情報)に応じて演出記憶部から読み出される演出情報の一例である。
【0085】
ステップS29において、発音部17は、必殺技音を出力する。より具体的には、制御部1010が、演出制御部14に指示を出し、当該指示に基づいて、演出制御部14は、メモリ102(情報記憶部)に記憶されている玩具情報に応じた必殺技音の音声データをメモリ102(演出記憶部)から読み出し、当該音声データに基づいて発音部17から必殺技音を出力させる。したがって、この必殺技音の音声データは、本発明にいう情報記憶部(メモリ102)に記憶された情報(玩具情報)に応じて演出記憶部から読み出される演出情報の一例である。
【0086】
以上の一連の処理により、本実施形態の情報読取玩具1において、メダル30のスキャナ10への供給が開始されると、スキャナ10は、メダル30をから種別情報を読み取る(受信する)。発音部17は、読み取った種別情報に応じた音声、読取完了音、読み取られた種別情報に応じた動物等の名称、及び必殺技音等を出力する。
【0087】
(実施例)
使用者が、所望のタイミングでスキャナ10を玩具本体20に設けられたガイドレール21a及び21bに沿って移動させると、スキャナ10は、回転盤26の中央に設けられた玩具情報記憶部81の上方(玩具情報を読み取り可能な読取位置)へと案内される。このことにより、スキャナ10は、玩具情報記憶部81に記憶された玩具情報を読み取り、読み取られた玩具情報は情報記憶部としてのメモリ102に記憶される。演出制御部14は、メモリ102に記憶された玩具情報に基づいて、当該玩具情報に応じた読取完了音に係る演出情報(読取完了音の音声データ)を、演出記憶部としてのメモリ102から読み出し、当該玩具情報に応じた読取完了音(「ズギャーン」等)を発声させるよう、発音部17を制御する。
【0088】
読取完了音発声後、演出制御部14は情報記憶部としてのメモリ102を参照し、メモリ102に記憶されている種別情報に応じた演出情報を演出記憶部としてのメモリ102から読み出し、当該演出情報に基づいて発声が行われるよう、発音部17を制御する。例えば、種別情報に応じた演出情報は、種別情報により特定される「メダル30に施されたレリーフが示す動物等の名称」を発声する音声データであるとする。すると、情報記憶部としてのメモリ102に記憶されている種別情報ごとに特定される動物等の名称が、全て発声される。例えば、「タカ」、「トラ」、「バッタ」、「カマキリ」、「チータ」、「サイ」のレリーフが施されたメダル30のそれぞれ種別情報がメモリ102に記憶されているとすると、これらの種別情報に応じて、それぞれのレリーフが示す動物等の名称、すなわち、「タカ!」「トラ!」「バッタ!」「カマキリ!」「チータ!」「サイ!」が連続して発声される。
【0089】
なお、本実施例においては、種別情報に応じた演出情報に係る演出が行われた後、続いて演出制御部14は、演出記憶部としてのメモリ102から、必殺技音に係る演出情報を読み出し、演出を行うよう発音部17を制御する。この必殺技音は、例えば「ギガスキャン!!ババババ、ズギャーン・・・・」等である。
【0090】
本実施例の以上の動作は、音声演出の面から見ると以下のようになっている。
[音声演出1]スキャナ10を玩具本体20に取り付けると、回転盤26が回転してメダル30の連続読み取りが開始され、「キンキンキンキン・・・」という音が鳴り、
[音声演出2]その後、使用者が所望のタイミングでスキャナ10を移動させて玩具情報を読み取らせると「ズギャーン」という音が鳴り、
[音声演出3]メダル30から読み取った種別情報に応じて「タカ!」「トラ!」「バッタ!」「カマキリ!」「チータ!」「サイ!」等の動物等の名称を読み上げる発声が出力され、
[音声演出4]最後に「ギガスキャン!!ババババ、ズギャーン・・・・」等の必殺技音が鳴る。
【0091】
本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0092】
本実施形態に係る情報読取玩具1においては、玩具本体20においてスキャナ10(読取体)を読取可能な状態にすることと、メダル30(情報保持体)の読取位置への供給を開始することとが連動する。この連動により、使用者はテンポ良く情報読取遊びを行うことができる。
【0093】
また、スキャナ10(読取体)において、種別情報や玩具情報の読み取りに基づく演出が行われるので、使用者に情報読取遊びの興趣を提供できる。
【0094】
また、スキャナ10(読取体)において、読み取った種別情報や玩具情報の内容に応じて演出が変化するので、使用者に情報読取遊びの興趣をさらに提供できる。
【0095】
また、スキャナ10(読取体)においては、玩具本体20の玩具情報を読み出して、例えば演出の変化等に、利用することができる。