(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成は、開閉自在なカバー体の下方側に位置する支持部材に各種の電装部品が取
り付けられる構成であるから、カバー体を取り外すことにより、電装部品についての修理交換等のメンテナンス作業を行うことができる。
【0006】
しかしながら、上記従来構成では、電装部品についてはメンテナンス作業が行い易くなるものの、作業機に搭載される電装部品以外の他の部品類については、カバー体を外すだけでは、メンテナンス作業が行えないものとなっており、この点で未だ改善の余地があった。
【0007】
本発明の目的は、メンテナンス作業を行う際の作業性の向上を図ることが可能となる作業機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る作業機の第1特徴構成は、運転座席の下方側にカバー体が着脱自在に備えられ、前記カバー体の下方側に、リレーボックス及びヒューズボックスの少なくともいずれか1つを含む電装部品と、燃料フィルター、燃料ポンプ、及び、ウォーターセパレータのうちの少なくともいずれか1つを含む燃料関連部品とが
、機体横幅方向中央部に対して横幅方向一方側に片寄った状態で集中配備されており、機体後部に油圧アクチュエータにより昇降自在に作業装置が備えられ、作業装置昇降用の昇降操作部が、前記電装部品及び前記燃料関連部品の配設箇所に対向して横幅方向他方側に片寄った状態で備えられている点にある。
【0009】
第1特徴構成によれば、運転座席の下方側に備えられたカバー体を取り外すと、そのカバー体の下方側に備えられている、リレーボックス及びヒューズボックスの少なくともいずれか1つを含む電装部品、及び、燃料フィルター、燃料ポンプ、及び、ウォーターセパレータのうちの少なくともいずれか1つを含む燃料関連部品について、修理交換等のメンテナンス作業を能率よく行えるものとなる。
【0010】
つまり、電装部品及び燃料関連部品の夫々について、カバー体を取り外すことで能率よくメンテナンス作業を行うことが可能となるのである。
【0011】
ところで、上述したような燃料関連部品は、機体に搭載されるエンジンに対する燃料を適正に供給するために必要であり、電装部品と同様に、作業状況によってはメンテナンス作業の頻度が大きい場合があると考えられるが、電装部品だけでなく、このように作業状況によってメンテナンス作業の頻度が大きい場合がある燃料関連部品についても、カバー体を取り外すことで能率よくメンテナンス作業を行うことが可能となるので、メンテナンス作業を行う際の作業性の向上に寄与できるものとなる。
【0012】
従って、メンテナンス作業を行う際の作業性の向上を図ることが可能となる作業機を提供できるに至った。
第1特徴構成によれば、カバー体の下方側の箇所において、機体横幅方向中央部に対して横幅方向一方側に片寄った状態で電装部品及び燃料関連部品が集中配備されているので、カバー体を取り外したときに、それらの電装部品及び燃料関連部品のメンテナンス作業を近い位置でまとめて能率よく行うことができる。
又、機体横幅方向中央部に対して横幅方向の他方側には、例えば運転者が人為操作するための各種の操作具類等を配備させる必要があるが、電装部品及び燃料関連部品が横幅方向一方側に片寄った状態で集中配備されるので、各種の操作具類を配備するときに、電装部品や燃料関連部品によって配置に制約を受けることがなく、操作し易い合理的な配置構成にすることが可能となる。
第1特徴構成によれば、作業装置昇降用の昇降操作部が横幅方向他方側に片寄った状態で備えられるが、この箇所には、電装部品や燃料関連部品が存在しないことから、それらの各部品によって配置に制約を受けることがなく、操作し易い状態で昇降操作部を配備することができ、作業装置の昇降操作が行い易いものになる。
【0013】
本発明の第2特徴構成は、前記運転座席の前方側に位置する状態で足置き用の運転部ステップが備えられ、その運転部ステップの後端部から上方に立ち上がる縦面部とその縦面部の上端部から後方に延びる水平面部とを備え、且つ、後方下方側が開放される状態で後部側ステップが備えられ、前記後部側ステップにおける前記運転座席の下方に開口が形成され、前記カバー体が、前記開口を閉塞する装着状態と前記開口を開放する取り外し状態とにわたり着脱自在に構成され、前記ウォーターセパレータが、前記カバー体の下方側における前記後部側ステップの後端側に寄った位置に設けられている点にある。
【0014】
第2特徴構成によれば、後部側ステップは、水平面部が運転部ステップよりも高い位置で後方に延びており、後方下方側が開放される状態で設けられるものである。そして、カバー体は、後部側ステップにおける運転座席の下方に形成された開口を開閉する構成となっている。
【0015】
そして、ウォーターセパレータはカバー体の下方側に設けられているから、カバー体を取り外した状態で、開放されている後部側ステップにおける運転座席の下方に形成された開口を通してウォーターセパレータのメンテナンス作業を行うことができる。
【0016】
ウォーターセパレータは、燃料に含まれる水分を分離して除去するためのものである。そして、例えば、低品質の燃料を用いるような場合には、作業
の継続に伴ってウォーターセパレータ内に分離されて貯留される水の量が多くなることがあり、短期間の使用でウォーターセパレータ内に水が満量になることがある。その結果、溜まった水を除去する作業を頻繁に行う必要がある。
【0017】
そこで、第2特徴構成によれば、ウォーターセパレータは後部側ステップの後端側に寄った位置に設けるようにしている。このように構成することで、カバー体を取り外さなくても、例えば、後部側ステップの後部側の横側外方から、後部側ステップの後方下方側の開放された箇所を通して手を差し込んで作業を行うことが可能である。
【0018】
従って、上述したように溜まった水を除去する作業を頻繁に行うような場合であっても、その都度、カバー体を取り外す必要はなく、後部側ステップの後部側の横側外方から手を差し込んで、ウォーターセパレータを取り出したり、再度装着させることが可能である。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
本発明の
第3特徴構成は、上部に燃料供給口が形成された燃料タンクが、前記カバー体の下方側における機体横幅方向中央部に備えられ、前記カバー体における前記燃料供給口に対応する位置に上下方向に挿通する開口が形成されている点にある。
【0025】
第3特徴構成によれば、カバー体の下方側における機体横幅方向中央部は運転座席の下方側に相当する箇所であるが、このような運転座席の下方側の空間を有効利用して燃料タンクを備えるのである。そして、燃料タンクの上部に燃料供給口が形成され、カバー体における燃料供給口に対応する位置に上下方向に挿通する開口が形成されるので、カバー体を取り外さなくても、この開口を通して燃料タンクに対する燃料の供給を行うことができる。
【0026】
本発明の
第4特徴構成は、前記運転座席が、運転用の通常姿勢と上方に持ち上がり揺動するメンテナンス姿勢とにわたり横軸芯周りで揺動自在に支持され、前記通常姿勢では前記燃料供給口の上方が前記運転座席により覆われ、前記メンテナンス姿勢では前記燃料供給口の上方が開放されるように構成されている点にある。
【0027】
第4特徴構成によれば、運転座席が運転用の通常姿勢であれば燃料供給口の上方が運転座席により覆われ、運転座席がメンテナンス姿勢であれば燃料供給口の上方が開放される。
【0028】
そして、作業走行中は運転者が運転座席に着座しており運転座席は通常姿勢になっているから、燃料供給口の上方が運転座席により覆われることになり、作業走行に伴って例えば泥土や雨水等が燃料供給口に降り掛かることを防止できる。その結果、泥土や雨水等が燃料供給口に付着堆積して、早期に燃料供給口を閉じる蓋体が開け難くなる等の不利を回避し易いものにできる。
【0029】
又、燃料タンク内に燃料供給を行うために、運転座席を上方に持ち上げ揺動させてメンテナンス姿勢に切り換えると、燃料供給口の上方が開放されるので、カバー体を閉塞状態に維持したまま能率よく燃料供給を行うことができる。
【0030】
本発明の
第5特徴構成は、前記燃料タンクが、2つ割り構造の分割体の合わせ面同士を接続して構成され、且つ、前記合わせ面が機体横方向に向かい合う姿勢となる状態で配備されている点にある。
【0031】
第5特徴構成によれば、燃料タンクの合わせ面が機体横方向に向かい合う姿勢となる状態、すなわち、平面視で左右方向の略中央に位置して縦向き姿勢となる状態で備えられる。つまり、燃料タンクの左右両側面の左右方向外方側には特別な部材が存在しないので、左右両側面を左右両側外方に位置する座席支持用のフレーム体に近づけることができる。
【0032】
従って、燃料タンクの左右方向の寸法をできるだけ大きくすることができ、上下方向や前後方向の寸法を変更させるために機体のフレーム構造を変更させなくても、燃料貯留量を増加させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面に基づいて、本発明に係る作業機の実施形態を作業機の一例としての乗用型田植機に適用した場合について説明する。
【0035】
〔全体構成〕
図1及び
図2に示すように、乗用型田植機は、走行機体1の後部に昇降リンク機構2を介して
油圧アクチュエータとしての昇降用油圧シリンダ3(以下、昇降シリンダと略称する)により駆動昇降自在に苗植付装置4を連結して構成されている。走行機体1は、左右一対の操向自在な前輪5と、左右一対の非操向型の後輪6とを備えるとともに、機体前部のボンネット7内にエンジン8及びそれに付随する各種の装置を有する原動部9を備え、機体後部に運転部10を備えて構成されている。
【0036】
苗植付装置4は、複数条分の苗を載置して設定ストロークで往復横移動される苗のせ台11、苗のせ台11の下端から1株分ずつ苗を切り出して田面Gに植付けてゆく複数の回転式の植付機構12、植付け箇所を整地する接地フロート13等を備えて構成されている。
【0037】
苗植付装置4の左右両側部には、1つの作業行程での植付け作業を実行中において次回の作業行程の走行指標を田面上に描くためのマーカー14が備えられている。このマーカー14は、図示しない姿勢切換機構により、外方に突出する作用姿勢と機体内方側に引退する引退姿勢とにわたり姿勢変更自在に設けられている。
【0038】
そして、このマーカー14は、苗植付装置4が非作業用上昇位置にまで上昇操作されると、昇降リンク機構2との間で接続された操作ワイヤ15の操作により強制的に引退姿勢に切り換わるように構成されている。
図8及び
図9に示すように、この操作ワイヤ15の一方側端部は、昇降リンク機構2における左右一対の上部リンク2Aの途中部を連結する補強フレーム16にアウターワイヤ15aの端部が取
り付けられ、インナーワイヤ15bの端部は、車体横幅方向の中央部に位置して機体前後方向に延びる左右一対の角パイプ状の機体フレーム17に取
り付けられている。尚、図示はしないが、操作ワイヤ15の他端側端部はマーカー14に連係されており、昇降リンク機構2を上方に大きく揺動させると、操作ワイヤ15が引き操作されて左右両側のマーカー14を引退姿勢に切り換えるように構成されている。
【0039】
運転部10は、後部側に運転座席18を備えるとともに、運転座席18の前方側に位置する状態で足置き用の運転部ステップ19が備えられ、その運転部ステップ19の前部側に設けられた操縦ポスト20の上部に、操縦パネル21、ステアリングハンドル22、走行変速レバー23等を備えて構成されている。
【0040】
又、
図2及び
図4に示すように、運転部ステップ19の後端部から上方に立ち上がる縦面部24Aと、その縦面部24Aの上端部から後方に延びる水平面部24Bとを備える後部側ステップ24が、後方下方側が開放される状態で設けられている。
【0041】
エンジン8の動力は、エンジン8の後部に設けられた前部側伝動機構25にて変速されたのち左右の前輪5に伝達され、一方、変速後の動力が後部側伝動機構26を介して左右の後輪6に伝達されるように走行伝動系が構成されている。又、変速後の動力が、図示しない植付クラッチにて断続自在に中継軸27等を介して苗植付装置4に伝達されるように作業用伝動系が構成されている。
【0042】
〔走行機体のフレーム構造〕
次に、走行機体1のフレーム構造について説明する。
図3〜
図6に示すように、走行機体1には、左右一対の角パイプ状の機体フレーム17が備えられ、それらの機体フレーム17の後部側同士が正面視でアーチ形の連結フレーム29にて連結されている。そして、左右一対の機体フレーム17、エンジン支持部28、連結フレーム29が一体的に連結されている。前部側伝動機構25及び後部側伝動機構26は機体フレーム17にて支持されている。
【0043】
連結フレーム29の左右両側部には、昇降リンク機構2における上部リンク2Aの揺動支点を構成する上部リンク支点部30が形成されており、この上部リンク支点部30は昇降シリンダ3の機体側の連結箇所を構成するシリンダ支持部を兼用する構成となっている。左右一対の機体フレーム17の後端部の下部には、昇降リンク機構2における下部リンク2Bの揺動支点を構成する下部リンク支点部31が形成されている。
【0044】
左右両側の機体フレーム17夫々の機体前後方向中央部よりも後方側寄りの箇所から立設される状態で左右一対の縦フレーム32R,32Lが備えられ、運転座席18がこの左右一対の縦フレーム32R,32Lにより支持されている。
【0045】
説明を加えると、左右両側の縦フレーム32R,32Lの上端部同士にわたって上部連結体33が架設連結されている。この上部連結体33は、正面視で略門形状に屈曲形成された板体にて構成されるとともに、機体前部側の左右両側部から斜め前方上方に向けて支持アーム部33Aを一体的に延設して構成され、左右両側の縦面部33Bが左右両側の縦フレーム32R,32Lにネジ止め固定されている。
【0046】
そして、左右両側の支持アーム部33Aの先端部に対して第1横向き軸芯P1周りで揺動自在に運転座席18の前部側下部が枢支連結されている。又、運転座席18の揺動端側つまり後部側は弾性体からなる受止具34を介して上部連結体33の上面に受け止め支持されて通常姿勢に維持されるように構成されている。この運転座席18の揺動端側つまり後部側を上方に持ち上げて第1横向き軸芯P1周りで揺動させることにより、運転座席18をメンテナンス姿勢に切り換えることができるように構成されている。
【0047】
又、
図3に示すように、左右の機体フレーム17の左右両側外方側には、丸パイプ材からなるステップ支持フレーム37が設けられ、この左右両側のステップ支持フレーム37は、丸パイプ材を平面視で略L字状に折り曲げて構成され、前部側の機体内方側箇所が機体フレーム17に連結されている。
左右のステップ支持フレーム37の後端部同士が後部支持フレーム38により連結されている。又、前後中間部において左右のステップ支持フレーム37同士が各パイプ状の中間部支持フレーム39により連結されている。
【0048】
図3〜
図5に示すように、左右両側の縦フレーム32R,32L夫々の上下中間部と、連結フレーム29の左右両側部夫々における上部リンク支点部
30を形成する箇所とに亘って角パイプ状の前後連結体35が架設連結され、上部リンク支点部30における支持強度を高めるようにしている。
【0049】
前後連結体35の上部側に支持ブラケット93を介して架設支持されるとともに、左右方向に延出する状態で後部側ステップ24を受け止め支持する後部側支持杆36が備えられている。この後部側支持杆36と後部支持フレーム38とが連結体40により連結されている。後部側ステップ24は、後部側支持杆36にて支持されており、作業者がその上に乗って苗の補給等の苗植付け用の補助作業を行えるように所定の支持強度を有する構成となっている。
【0050】
図2及び
図3に示すように、後部側ステップ24の前部側の左右中央部における運転座席18の下方側に対応する位置にメンテナンス作業用の開口41が形成されている。そして、この開口41を略無底箱状のカバー体42により覆うように構成されている。
【0051】
前記カバー体42は、
図4に示すように、後部側ステップ24と同様に、運転部ステップ19の後端部から上方に立ち上がる縦面部42Aと、その縦面部42Aの上端部から後方に延びる水平面部42Bとを備えて構成され、このカバー体42の下端裾部が開口41の周縁を囲う状態で閉塞するように構成されている。
【0052】
〔作業装置昇降用の昇降操作部〕
次に、作業装置昇降用の昇降操作部49について説明する。
図5〜
図7に示すように、右側の縦フレーム32Rの右側近傍には、昇降シリンダ3による苗植付装置4の昇降作動状態を制御するための作業装置昇降用の昇降操作部49が備えられている。この昇降操作部49は、昇降シリンダ3に対する作動油の供給状態を制御する油圧制御バルブ50と、油圧制御バルブ50の作動状態を切り換え操作するための操作連係機構51とを備えて構成されている。
【0053】
油圧制御バルブ50は、右側の前後連結体35に一体連結されたブラケット94に横向きにネジ止め固定される状態で取
り付け支持され、操作連係機構51は、右側の縦フレーム32Rにネジ止め固定された平面視で略角筒状に形成された縦向き姿勢の取付け部材95に各部材が取
り付け支持される構成となっている。
【0054】
次に、操作連係機構51について説明する。
図6に示すように、取付け部材95に固定された支軸56にて枢支ボス部55Aが第2横向き軸芯P2周りで回動自在に支持され、枢支ボス部55Aには、一体的に揺動する状態で、外周部に複数の係合溝58が形成された操作板59と、中継揺動部材57に接当して連動揺動させるレバー支持部96とが一体的に連結される状態で備えられている。そして、レバー支持部96にて第2横向き軸芯P2周りで一体的に回動自在に昇降レバー55が支持されている。つまり、昇降レバー55を前後に揺動操作することで、レバー支持部96を介して操作板59が第2横向き軸芯P2周りで回動するとともに、中継揺動部材57がレバー支持部96にて接当して連動回動するように構成されている。
【0055】
又、中継揺動部材57の揺動端部と油圧制御バルブ50の操作アーム61とが連結ロッド62によって連動連結されており、昇降レバー55が上昇位置、中立位置、下降位置、植付位置のいずれかに操作されるに伴って対応する状態に油圧制御バルブ50を操作することができるように構成されている。
【0056】
昇降レバー55を複数の操作位置(「上昇」、「中立」、「下降」、「植付」)のいずれかにて位置保持自在なデテント機構64が備えられている。このデテント機構64は、取付け部材に第4横向き軸芯P4周りで回動自在に支持される揺動アーム65にデテントローラ66が設けられ、デテントローラ66が操作板59に形成された複数の係合溝58のうちのいずれかに嵌り込み係合するように、揺動アーム65を引張りバネ67により揺動付勢するように構成されている。
【0057】
中継揺動部材57を下降状態から中立状態に連動回動させる連動操作部材69が第2横向き軸芯P2と同一軸芯周りで回動自在に取付け部材95に支持され、この連動操作部材69は、操作ワイヤ68を介して苗植付装置4の接地フロート13に連係されている。そして、昇降レバー55が「下降」又は「植付」位置であり、油圧制御バルブ50が下降状態に操作されているときに、苗植付装置4の接地フロート13が接地すると、操作ワイヤ68の引き操作により連動操作部材69が揺動して中継揺動部材57が中立位置に戻るように構成されている。従って、接地フロート13が後部の支点周りで上下揺動自在に支持され、接地フロート13が接地して操作ワイヤ68が引き操作されると、油圧制御バルブ50を下降状態から中立状態に切り換える構成となっている。
【0058】
油圧制御バルブ50を中立状態に切り換えるための接地フロート13の基準傾斜姿勢を変更調整するために、操作ワイヤ68のアウターワイヤ受けを位置変更させるための感度調節レバー70が、取付け部材95に第5横向き軸芯P5周りで回動操作自在に備えられている。
【0059】
又、油圧制御バルブ50には、昇降シリンダ3からの作動油の排出を阻止する閉状態と排出を許容する開状態とに切り換える切り換えアーム71が備えられ、取付け部材95に第6横向き軸芯P6周りで回動自在に備えられた油圧ロックレバー72を操作することにより、切り換えアーム71を閉状態と開状態とに切り換えることができるように構成されている。
【0060】
手動操作自在な3つの操作レバー(昇降レバー55、感度調節レバー70、油圧ロックレバー72)の夫々を機体前後方向に沿ってレバーガイド73により案内するように構成され、各操作レバーは、レバーガイド73の上方を覆うカバー体42に形成された挿通孔74を通して外方に突出する状態で設けられている。このレバーガイド73は取付け部材95と共に縦フレーム32Rにネジ止め固定する構成となっている。
【0061】
〔燃料タンク〕
次に、燃料タンク75について説明する。
図3〜
図5に示すように、運転座席18の下方側において、左右一対の縦フレーム32R,32L同士の間に位置する状態で燃料タンク75が配備されている。この燃料タンク75は、前部側箇所が後部側箇所よりも上下幅が大になる状態で、且つ、運転座席18の下方側箇所から後部側ステップ24の後部側箇所にまで前後方向に延びる状態で設けられている。
【0062】
燃料タンク75は、ブロー成型によって形成され、2つ割り構造の分割体の合わせ面同士を接続して一体化する構成となっており、合わせ面76が機体横方向に向かい合う姿勢となる状態で配備されている。つまり、合わせ面76の外周部が縦向き姿勢で燃料タンク75の機体横幅方向の中央部に位置する状態で設けられている。
【0063】
図4に示すように、燃料タンク75の合わせ面76の外周部が、前部下方側箇所、後部上方側箇所、及び、後部下方側箇所夫々の3箇所において、機体横幅方向に沿ってネジ止め固定する状態で支持されている。
つまり、前部下方側箇所は中間部支持フレーム39に固定のブラケット77にネジ止め固定され、後部上方側箇所は後部支持フレーム38に固定のブラケット78にネジ止め固定され、後部下方側箇所は左右両側の機体フレーム17同士にわたって架設連結された後部連結フレーム79に固定のブラケット80にネジ止め固定されている。又、燃料タンク75の前側底部が中間部支持フレーム39にて受止め支持され、燃料タンク75の後側底部が後部連結フレーム79にて受止め支持される構成となっている。
【0064】
カバー体42が装着されているときは、燃料タンク75はカバー体42によって覆われる構成となっているが、カバー体42の燃料供給口82に対応する箇所には開口81が形成されており、しかも、カバー体42が装着されている状態であっても燃料供給口82に備えられたキャップ83の開閉操作を行うことができるように、開口81がキャップ83よりも大径に設けられている。
【0065】
運転座席18が通常姿勢にあるときは、キャップ83の上方が運転座席18により覆われるが、運転座席18を前方上方に揺動させたメンテナンス姿勢に切り換えると、キャップ83の上方が開放されるので、カバー体42を取り外さなくても、作業者が燃料補給作業を行うことができる。
【0066】
〔電装部品と燃料関連部品の配置〕
次に、電装部品Dと燃料関連部品Nの配置について説明する。
図4及び
図5に示すように、電装部品Dとしてのリレーボックス84及びヒューズボックス85の夫々と、燃料関連部品Nとしての燃料フィルター86、燃料ポンプ87、及び、ウォーターセパレータ88の夫々が、カバー体42の下方側箇所において、左右の縦フレーム32R,32Lの間に位置する機体横幅方向中央部に対して左側(横幅方向一方側の一例)に片寄った状態で集中配備される構成となっている。
【0067】
図示はしないが、リレーボックス84には、例えば、走行機体1に対する苗植付装置4の相対左右傾斜姿勢を変更させるローリング用電動モータを作動させるためのリレー、植付クラッチを入り切り操作するためのリレー等の各種のリレーが収納されている。又、ヒューズボックス85には、電動モータやリレーに対する電流供給路等に備えられる複数の過電流保護用のヒューズが収納されている。
【0068】
又、ウォーターセパレータ88は、燃料に含まれる水分を分離するためのものであり、燃料フィルター86は燃料に含まれる細かな塵埃等の異物を除去して回収するものであり、燃料ポンプ87は、燃料タンク75内の燃料をウォーターセパレータ88及び燃料フィルター86を通過させたのち、エンジン8に供給するように燃料の搬送機能を備えるものである。
【0069】
リレーボックス84は、左側の縦フレーム32Lの左外側面に固定された保持部材89にて保持されており、ヒューズボックス85は、左側の縦フレーム32Lの左外側面に固定されたブラケット90にて上方から載置して上下方向にネジ止めする状態で取付け固定されている。
【0070】
後部支持フレーム38の下面側箇所と前後連結体35とに亘って平面視略コの字形の連結部材91が固定連結され、この連結部材91と左側の縦フレーム32Lの左側外方側の縦面とに亘って支持部材92が架設連結されている。そして、この支持部材92における前後方向視で略L字形に形成された前部側の支持部92Aに、燃料フィルター86が上下方向にネジ止めする状態で取付け固定され、支持部材92における平面視で略コの字形に形成された後部側の支持部92Bに、ウォーターセパレータ88が横方向にネジ止めする状態で取付け固定されている。
【0071】
このように、リレーボックス84、ヒューズボックス85、燃料フィルター86、燃料ポンプ87、及び、ウォーターセパレータ88の夫々が、カバー体42の下方側箇所において、左側の縦フレーム32Lの左外方側に片寄った状態で集中配備される構成となっている。
【0072】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0073】
(1)燃料タンク75が合わせ面76を上下方向に向かい合う姿勢で配備される構成としてもよい。又、燃料タンク75をカバー体42の下方側における機体横幅方向中央部に備える構成に代えて、例えば、カバー体42の存在箇所よりも機体前部側の箇所や機体後部側の箇所等の別の箇所に備える構成としてもよい。
【0074】
(2)電装部品Dとして、リレーボックス84及びヒューズボックス85のいずれか一方を備える構成やリレーボックス84及びヒューズボックス85の他にも別の種類の電装部品を備える構成としてもよい。
【0075】
(3)燃料関連部品Nとして、燃料フィルター86、燃料ポンプ87、及び、ウォーターセパレータ88のうちのいずれか1つまたはいずれか2つのものを備える構成としてもよく、又、燃料フィルター86、燃料ポンプ87、及び、ウォーターセパレータ88の他にも別の種類の燃料関連部品Nを備える構成としてもよい。
【0076】
(4)ウォーターセパレータ88をカバー体42の下方側における後部側ステップ24の前端側に寄った位置に設ける構成としてもよい。
【0077】
(5)昇降操作部49における操作連係機構51と油圧制御バルブ50とを、予め、アルミ材からなるベース部材53にユニット状に組み付けられた状態で、機体フレーム17に取り付ける構成としてもよい。
以下、
図10〜
図13に基づいて具体構成について説明するが、この実施形態では、同じ機能を有する部材は、上記実施形態と同じ符号を付している。
【0078】
ベース部材53は、水平面部53Aと縦面部53Bとを備えて前後方向視で略L字形に形成され、ベース部材53の水平面部53Aには、油圧制御バルブ50が載置支持されてネジ止めされる状態で取り付けられ、ベース部材53の縦面部53Bには操作連係機構51が取付けられている。
【0079】
ベース部材53の縦面部53Bに設けられた軸支部54にて昇降レバー55の支軸56が第2横向き軸芯P2周りで回動自在に支持されている。この昇降レバー55の支軸56には、その支軸56と一体的に揺動する状態で、外周部に複数の係合溝58が形成された操作板59と、中継揺動部材57に備えられた揺動アーム部57Aに接当して連動揺動させる接当係合部60とが一体的に連結される状態で備えられている。
【0080】
又、縦面部53Bにおける支軸56の後方側の箇所には、第3横向き軸芯P3周りで回動自在に中継揺動部材57が支持されており、図示はしないが、縦面部53Bには、昇降レバー55を複数の操作位置(「上昇」、「中立」、「下降」、「植付」)のいずれかにて位置保持自在な上記実施形態と同様な構成のデテント機構も支持されている。
【0081】
中継揺動部材57の下方延設部57Bの揺動端部と油圧制御バルブ50の操作アーム61とを連動連結する連結ロッド62に、ネジ送り操作により伸縮量を変更調整自在なターンバックル機構63が備えられており、昇降レバー55が「中立」位置であるときに、このターンバックル機構63による伸縮量調整操作を行うことにより、油圧制御バルブ50が適正に中立状態になるように操作アーム61の位置調節を行うことができるように構成されている。
【0082】
操作ワイヤ68のアウターワイヤ受けを位置変更させるための感度調節レバー70が、ベース部材53の縦面部53Bに第5横向き軸芯P5周りで回動操作自在に備えられている。ベース部材53の縦面部53Bには、第6横向き軸芯P6周りで回動自在に切り換えアーム71を閉状態と開状態とに切り換えるための油圧ロックレバー72が備えられている。又、レバーガイド73はベース部材53の縦面部53Bに一体的に固定状態で取付ける構成となっている。
【0083】
従って、昇降レバー55、感度調節レバー70、油圧ロックレバー72の操作に基づいて油圧制御バルブ50の作動状態を切り換える操作連係機構51が、ベース部材53に予め組み付けられて、機体フレーム17に取付けられるとともに、左右の縦フレーム32R,32Lの間に位置する機体横幅方向中央部に対して右側(横幅方向他方側の一例)に片寄った状態で備えられる構成となっている。
【0084】
図13に示すように、ベース部材53の縦面部53Bにおける昇降レバー55の支軸56を支持する軸支部54は回転軸芯方向に長尺状に設けられ、昇降レバー55が右側の機体フレーム17から右横側方に向けて大きく偏移した箇所に位置する構成となっている。このように構成することで、長い軸支部54により安定した状態で支持されて昇降レバー55の回動操作が安定した状態で行われるとともに、昇降レバー55を直線状に上方に向けて延設させるようにしても、運転座席18から左右方向に適当な距離だけ離れた状態で昇降レバー55が位置することになり、例えば、長手方向の途中で左右方向に折り曲げられた形状の昇降レバーに比べて操作が行い易いものとなる。
【0085】
(6)上記実施形態では、作業機として乗用型田植機に適用したものを示したが、本発明は、播種装置を備えた乗用型の直播機や耕耘装置を備えたトラクタ等の他の作業機にも適用できる。