【実施例】
【0030】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
トリメチレンカーボネート(TMC)のホモポリマーの製造
下記の一般的手順を用いて実行した。
アルコールとトルエンはナトリウム上で蒸留した。トリメチレンカーボネートは水素化カルシウム(CaH
2)上で乾燥テトラヒドロフラン(THF)溶液中で蒸留して乾燥した。スルホン酸は追加の精製なしで使用した。ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)はカルシウム二水素化物(CaH
2)上で蒸留して乾燥し、水酸化カリウム(KOH)上で保存した。
【0031】
シュレンク(Schlenk)チューブは減圧下にヒートガンで乾燥し、痕跡量の水分も除去した。
反応はTHF中でBruker
1HNMR(プロトン核磁気共鳴)と、Waters GPC(ゲル透過クロマトグラフィ)とでモニターした。サンプルを採取し、DIEAで中和し、蒸発し、特徴付け用溶剤中に取った。
1H NMRは、最初の開始剤の−OH基を有する−CH
2−基のプロトンの信号に対するO−C(=O)O官能基を有する−CH
2−基の信号の半分の積分比を求めてモノマーの重合度(DP)を定量できる。ポリカーボネート中のエーテル単位の混和はエーテル官能基−O−を有する−CH
2−基の信号で検出できる。スペクトルは300MHz分光計で重水素化クロロホルムで記録した。THF中のGPCで数平均分子量M
nと重量平均分子量M
wと多分散性指数(PDI)とを決定できる。
【0032】
実施例1A
トルエン(6ml)中のトリメチレンカーボネート(550mg, 40eq., 0.9mol.l
-1)の溶液中に、ペンタノール(14.7μ1, 1eq.)およびメタンスルホン酸(8.8μ1,1eq.)を連続して添加する。NMRでモノマーが変換したことが確認される(すなわち4時間30分後)まで反応媒体をアルゴン下で30℃で撹拌する。
TMCの変換率:≧ 99%
1H NMR:DP=32(0%の脱カルボキシル化)(添付の[
図1]に示すスペクトル)
GPC:M
n=6000g/モル、PDI=1.18
【0033】
実施例1B
トルエン(6ml)中のトリメチレンカーボネート(550mg, 40eq., 0.9mol.l
-1)の溶液中に、水(2.4μ1, 1eq.)およびメタンスルホン酸(8.8μl,1eq.)を連続して添加する。NMRでモノマーが変換したことが確認される(すなわち2時間30分後)まで反応媒体をアルゴン下で30℃で撹拌する。
TMCの変換率:≧ 99%
1H NMR:0%の脱カルボキシル化
GPC:M
n=4500g/モル、PDI=1.08
【0034】
実施例1C
トルエン(12ml)中のトリメチレンカーボネート(1.1g, 80eq., 0.9mol.l
-1)の溶液中に、水(2.4μ1, 1eq.)およびメタンスルホン酸(8.8μ1,1eq.)を連続して添加する。NMRでモノマーが変換したことが確認される(すなわち1時間30分後)まで反応媒体をアルゴン下で80℃で撹拌する。対応するNMRスペクトルは添付の[
図2]に示す。
TMCの変換率:≧ 99%
1H NMR:0%の脱カルボキシル化
GPC:M
n=7500g/モル、PDI=1.17
エーテル単位の形成は3.50ppmでの三重線で検出される。これは酸素−CH
2−O−CH
2に対するα位のCH
2基に対応する。添付スペクトルから各種変換率でTMCが変換されるまで末端CH
2OHのシグナルの側に3.50ppmの信号は全く検出されないことがわかる。
【0035】
実施例1D
水およびペンタノール開始剤の比較
水による開始
トルエン(9ml)中のトリメチレンカーボネート(825mg, 80eq., 0.9mol.l
-1)の溶液中に、水(1.8μ1, 1eq.)およびメタンスルホン酸(40μ1,3eq.)を連続して添加する。NMRでモノマーが変換したことが確認される(すなわち8時間後)まで反応媒体をアルゴン下で30℃で撹拌する。
変換率:≧ 99%
1H NMR:0%の脱カルボキシル化
GPC:M
n=9300g/モル、PDI=1.05、モノモダルプロフィル
【表1】
【0036】
ペンタノールによる開始
トルエン(9ml)中のトリメチレンカーボネート(825mg, 80eq., 0.9mol.l
-1)の溶液中に、ペンタノール(11μ1, 1eq.)およびメタンスルホン酸(40μ1,1eq.)を連続して添加する。NMRでモノマーが変換したことが確認される(すなわち10時間後)まで反応媒体をアルゴン下で30℃で撹拌する。
変換率:≧ 99%
1H NMR:0%の脱カルボキシル化
GPC:M
n=8200g/モル、PDI=1.17、ビモダルプロフィル
【表2】
【0037】
水による開始
トルエン(22ml)中のトリメチレンカーボネート(2.05g, 300eq., 0.9mol.l
-1)の溶液中に、水(1.2μ1, 1eq.)およびメタンスルホン酸(22μ1,5eq.)を連続して添加する。NMRでモノマーが変換したことが確認される(すなわち4時間後)まで反応媒体をアルゴン下で80℃で撹拌する。
変換率:≧ 99%
1H NMR:0%の脱カルボキシル化
GPC:M
n=14 100g/モル、PDI=1.12、モノモダルプロフィル
【表3】
【0038】
ペンタノールによる開始
トルエン(22ml)中のトリメチレンカーボネート(2.05g, 300eq., 0.9mol.l
-1)の溶液中に、ペンタノール(7.3μ1, 1eq.)およびメタンスルホン酸(22μ1,5eq.)を連続して添加する。NMRでモノマーが変換したことが確認される(すなわち8時間後)まで反応媒体をアルゴン下で80℃で撹拌する。
変換率:≧ 99%
1H NMR:0%の脱カルボキシル化
GPC:M
n=15 300g/モル、PDI=1.42、ビモダルプロフィル
【表4】
【0039】
実施例1E
高分子量Mn>20 000のTMCホモポリマーの合成
トルエン(15ml)中のトリメチレンカーボネート(1.375g, 100eq., 0.9mol.l
-1)の溶液中に、水(2.4μ1, 1eq.)およびメタンスルホン酸(43μ1,5eq.)を連続して添加する。反応媒体をアルゴン下で30℃で激しい撹拌下に維持する。NMRでモノマーが変換したことが確認されたら(すなわち6時間後)、1.375g(100eq)のトリメチレンカーボネートを一回添加する。同様に、モノマーが変換されたら、3回目の1.375g(100eq)を反応媒体に添加する。
変換率:≧ 99%
1H NMR:0%の脱カルボキシル化
GPC:M
n=25 000g/モル、PDI=1.07、モノモダルプロフィル。
【表5】
【0040】
実施例2
トリメチレンカーボネート(TMC)コポリマーの製造
実施例2A
ポリ(ジメチルシロキサン)−b−ポリ(トリメチレンカーボネート)ジブロックコポリマーの製造
トルエン(1.5ml)中のトリメチレンカーボネート(137.5mg, 10eq., 0.9mol.l
-1)の溶液中に、α−ヒドロキシル化ポリ(ジメチルシロキサン)(833mg, 0.13mmol)およびメタンスルホン酸(8.8μl,1eq.)を連続して添加する。NMRでモノマーが変換したことが確認される(すなわち1時間後)まで反応媒体をアルゴン下で30℃で撹拌する。
TMCの変換率:≧ 99%
1H NMR:DP(TMC)=9,(0%の脱カルボキシル化)
GPC:M
n=7400g/モル、PDI=1.26
【0041】
実施例2B
ポリ(トリメチレンカーボネート)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)−b−ポリ(トリメチレンカーボネート)トリブロックコポリマーの製造
トルエン(3ml)中のトリメチレンカーボネート(275mg, 20eq., 0.9mol.l
-1)の溶液中に、α,ω−ジヒドロキシル化ポリ(ジメチルシロキサン)(833mg, 0.13mmol)およびメタンスルホン酸(8.8μl,1eq.)を連続して添加する。NMRでモノマーが変換したことが確認される(すなわち1時間後)まで反応媒体をアルゴン下で30℃で撹拌する。
TMCの変換率:≧ 99%
1H NMR:DP(TMC)=19,(0%の脱カルボキシル化)
GPC:M
n=8500g/モル、PDI=1.24
【0042】
実施例2C
ポリ(乳酸)−b−ポリ(トリメチレンカーボネート)ジブロックコポリマーの製造
トルエン(3ml)中のトリメチレンカーボネート(275mg, 20eq., 0.9mol.l
-1)の溶液中に、ポリ(乳酸)(M
n=1530g.mol
-1)(206mg, 0.13mmol)およびメタンスルホン酸(8.8μl,1eq.)を連続して添加する。NMRでモノマーが変換したことが確認される(すなわち1時間後)まで反応媒体をアルゴン下で30℃で撹拌する。
TMCの変換率:≧ 99%
1H NMR:DP(TMC)=9,(0%の脱カルボキシル化)
GPC:M
n=4300g/モル、PDI=1.14
【0043】
実施例2D
ポリ(ε−カプロラクトン)−b−ポリ(トリメチレンカーボネート)ジブロックコポリマーの製造
トルエン(1.5ml)中のトリメチレンカーボネート(137.5mg, 10eq., 0.9mol.l
-1)の溶液中に、ポリ(ε−カプロラクトン)(166mg, 0.13mmol)およびメタンスルホン酸(8.8μ1,1eq.)を連続して添加する。NMRでモノマーが変換したことが確認される(すなわち1時間後)まで反応媒体をアルゴン下で30℃で撹拌する。
TMCの変換率:≧ 99%
1H NMR:DP(TMC)=9,(0%の脱カルボキシル化)
GPC:M
n=2700g/モル、PDI=1.17
【0044】
実施例2E
ポリ(トリメチレンカーボネート)−b−ポリ(水素化ブタジエン)−b−ポリ(トリメチレンカーボネート)トリブロックコポリマーの製造
トルエン(5.3ml)中の360mg(0.13mmol)のKrasol(登録商標)HLBH-P 3000(Sartomerの低分子量のα,ω−ジヒドロキシル化水素化ポリオレフィン)(M〜3000g/モル、M
n〜5550g/モル、PDI=1.08)の溶液中に、490mgのトリメチレンカーボネート(40eq., 0.9mol.l
-1)および11μ1のトリフルオロメタンスルホン酸(1eq.)を連続して添加する。反応媒体をアルゴン下で30℃で2時間撹拌する(変換率:100%)。媒体を中和し、蒸発する。
NMR:DP(TMC)=39
GPC:M
n=9630g/モル、PDI=1.22
【0045】
実施例2F
ポリ(トリメチレンカーボネート)−b−ポリ(ブタジエン)−b−ポリ(トリメチレンカーボネート)トリブロックコポリマーの製造
トルエン(5.3ml)中の350mg(0.13mmol)のKrasol(登録商標)LBH-P 3000(Sartomerの低分子量のα,ω−ジヒドロキシル化ポリオレフィン)(M〜3000g/モル、M
n〜5600g/モル、PDI=1.11)の溶液中に、490mgのトリメチレンカーボネート(40eq., 0.9mol.l
-1)および11μ1のトリフルオロメタンスルホン酸(1eq.)を連続して添加する。反応媒体をアルゴン下で30℃で2時間撹拌する(変換率:100%)。媒体を中和し、蒸発する。
NMR:DP(TMC)=41
GPC:M
n=10 200g/モル、PDI=1.28