(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの変換器は複数の環帯を備え、少なくとも1つの環帯が、少なくとも1つの他の環帯とは異なる周波数で共振するように構成されかつ配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
前記変圧器は、静止構成要素と、この静止構成要素から間隔をおいて配置された回転構成要素とを備え、前記静止構成要素は前記端キャップの中に配置され、前記回転構成要素は前記少なくとも1つの変換器の中に配置されている、請求項14に記載のカテーテルアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の非限定的で非網羅的な実施形態が、以下の図面を参照して説明される。これらの図面において、類似の参照符号は、特に指定しない限り、さまざまな図を通じて、類似の部分を意味している。
【0011】
本発明をいっそうよく理解するために、参照は、添付図面とともに読み取られる以下の詳細な説明に対して行われる。
本発明は、血管内超音波イメージングシステム、および該システムの製造および使用方法の分野に関する。また、本発明は、カテーテル内の遠位に配置されるイメージングコアを含み、そのイメージングコアが回転可能なモータを含む、血管内超音波システム、ならびに該イメージングコア、モータおよび血管内超音波システムの製造方法に関する。
【0012】
適切な血管内超音波(“IVUS”)イメージングシステムは、限定するものではないが、患者への経皮挿入のために構成および配置されたカテーテルの遠位端に設けられた1つ以上の変換器を含む。カテーテルを伴うIVUSイメージングシステムの例は、例えば、米国特許第7,306,561号明細書および同第6,945,938号明細書、ならびに米国特許出願公開第20060253028号明細書、同第20070016054号明細書、同第20070038111号明細書、20060173350号明細書および同第20060100522号明細書にあり、それら全ての明細書は、参照によって本願明細書に組込むものとする。
【0013】
図1は、IVUSイメージングシステム100の一実施形態を概略的に示す。IVUSイメージングシステム100は、制御モジュール104に連結可能なカテーテル102を含む。制御モジュール104は、例えば、プロセッサ106と、パルス発生器108と、駆動ユニット110と、1つ以上のディスプレイ112とを含むことができる。少なくともいくつかの実施形態において、パルス発生器108は、カテーテル102内に配置された1つ以上の変換器(
図3における符号312)に入力することのできる電気パルスを生成する。少なくともいくつかの実施形態において、駆動ユニット110内に設けられたプルバックモータからの力学的エネルギーは、カテーテル102内に設けられたイメージングコア(
図3における符号306)の並進運動を生じさせるのに用いることができる。
【0014】
少なくともいくつかの実施形態において、1つ以上の変換器(
図3における符号312)から伝達された電気パルスは、処理のためのプロセッサ106に入力することができる。少なくともいくつかの実施形態において、1つ以上の変換器(
図3における符号312)から生じた処理済み電気パルスは、1つ以上のディスプレイ112に1つ以上の画像として表示することができる。少なくともいくつかの実施形態において、プロセッサ106は、制御モジュール104の1つ以上の他のコンポーネントの機能動作を制御するのにも用いることができる。例えば、プロセッサ106は、パルス発生器108から伝送される電気パルスの周波数または持続期間、駆動ユニット110によるイメージングコア(
図3における符号306)の回転速度、イメージングコア(
図3における符号306)のプルバックの速度または長さ、または1つ以上のディスプレイ112上に形成される1つ以上の画像の1つ以上の特性のうちの少なくとも1つを制御するのに用いることができる。
【0015】
図2は、IVUSイメージングシステム(
図1における符号100)のカテーテル102の一実施形態の概略側面図である。カテーテル102は、長尺部材202と、ハブ204とを含む。長尺部材202は、近位端206および遠位端208を含む。
図2において、長尺部材202の近位端206は、カテーテルハブ204に連結されており、該長尺部材の遠位端208は、患者への経皮挿入のために構成および配置されている。少なくともいくつかの実施形態において、カテーテル102は、少なくとも1つのフラッシュポート、例えば、フラッシュポート210を画定している。少なくともいくつかの実施形態において、フラッシュポート210は、ハブ204に画定されている。少なくともいくつかの実施形態において、ハブ204は、制御モジュール(
図1における符号104)に連結するように構成および配置されている。いくつかの実施形態において、長尺部材202およびハブ204は、一体として形成される。他の実施形態においては、長尺部材202およびカテーテルハブ204は、別々に形成されて、その後、一緒に組立てられる。
【0016】
図3は、カテーテル102の長尺部材202の遠位端208の一実施形態の概略斜視図である。長尺部材202は、シース302および内腔304を含む。イメージングコア306は、内腔304内に配置されている。イメージングコア306は、回転可能な駆動軸310の遠位端に連結された撮像装置308を含む。
【0017】
シース302は、患者への挿入に適した何らかのフレキシブルな生体適合性材料から形成することができる。適切な材料の例は、例えば、ポリエチレン、ポリウレタン、プラスチック、らせん状カットのステンレス鋼、ニチノールハイポチューブ等またはこれらの組合せを含む。
【0018】
1つ以上の変換器312を撮像装置308に取付けて、音響パルスを送受信するのに利用することができる。(
図3に示すように)好適な実施形態において、変換器312からなるアレイは、撮像装置308に取付けられる。他の実施形態においては、単一の変換器を採用することができる。また別の実施形態においては、不規則なアレイ状態にある多数の変換器を採用することができる。どのような数の変換器312も用いることができる。例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、16、20、25、50、100、500、1000またはそれ以上の数の変換器が可能である。認識されるように、他の数の変換器も用いることができる。
【0019】
1つ以上の変換器312は、逆もまた同様であるが、印加された電気パルスを、1つ以上の変換器312の表面の圧力歪みに変換することが可能な1つ以上の既知の材料から形成することができる。適切な材料の例は、圧電セラミック材料、圧電複合材料、圧電プラスチック、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン等を含む。
【0020】
この1つ以上の変換器312の表面の圧力歪みは、1つ以上の変換器312の共振周波数に基づいて、ある周波数の音響パルスを生成する。1つ以上の変換器312の共振周波数は、1つ以上の変換器312を形成するのに用いられるサイズ、形状および材料の影響を受ける可能性がある。1つ以上の変換器312は、カテーテル102内に配置するのに適した、および1つ以上の選択した方向に所望の周波数の音響パルスを伝播させるのに適した何らかの形状で形成することができる。例えば、例えば、変換器は、ディスク状、ブロック状、矩形状、卵形等とすることができる。該1つ以上の変換器は、例えば、ダイシング、ダイスアンドフィル、機械加工、微細加工を含む何らかのプロセスによって、所望の形状で形成することができる。
【0021】
一例として、1つ以上の変換器312のうちの各々は、導電性音響レンズと、音響吸収材料(例えば、タングステン粒子を備えたエポキシ基板)から形成された導電性裏当て材との間に挟まれた圧電材料からなる層を含むことができる。作動中、該圧電層は、該裏当て材および該音響レンズによって電気的に励起して、音響パルスの放射を引き起こすことができる。
【0022】
少なくともいくつかの実施形態において、1つ以上の変換器312は、周囲空間の径方向断面画像を形成するのに用いることができる。従って、例えば、1つ以上の変換器312がカテーテル102内に配置され、患者の血管内に挿入されると、1つ以上の変換器212は患者の血管壁部およびその周辺組織の画像を形成するのに用いることができる。
【0023】
少なくともいくつかの実施形態において、イメージングコア306は、カテーテル102の長手方向軸周りに回転することができる。イメージングコア306が回転する際、1つ以上の変換器312は、異なる径方向に音響パルスを放射する。十分なエネルギーを有する放射された音響パルスが、1つ以上の媒体境界、例えば、1つ以上の組織境界に遭遇した場合、放射された音響パルスの一部は、放射中の変換器にエコーパルスとして反射される。検出されるのに十分なエネルギーを備えた状態にて変換器に到達する各エコーパルスは、受信中の変換器内で電気信号に変換される。1つ以上の変換された電気信号は、制御モジュール(
図1における符号104)に伝送され、そこでプロセッサ106は、電気信号特性を処理して、伝送された音響パルスおよび受信したエコーパルスの各々からの情報の収集に少なくとも部分的に基づいて、撮像した領域の表示可能な画像を形成する。
【0024】
1つ以上の変換器312が、音響パルスを放射するカテーテル102の長手方向軸周りに回転すると、1つ以上の変換器312を取り囲む領域の一部、例えば、関心のある血管の壁部、および血管を取り囲む組織等の径方向断面画像を集合的に形成する複数の画像が形成される。少なくともいくつかの実施形態において、その径方向断面画像は、1つ以上のディスプレイ(
図1における符号112)に表示することができる。
【0025】
少なくともいくつかの実施形態において、駆動ユニット(
図1における符号110)は、カテーテル102の内腔内でのイメージングコア306への並進運動を生じさせるのに用いられるが、カテーテル102は静止したままである。例えば、イメージングコア306は、前進する(カテーテル102の遠位端に向かって移動する)ことができ、または、カテーテル102の内腔304内で後退する/引き戻す(カテーテル102の近位端に向かって移動する)ことができ、一方、カテーテル102は、患者の血管系の固定位置(例えば、血管、心臓等)にとどまる。イメージングコア306の長手方向の運動(例えば、プルバック)の間、撮像手順を実行することができ、この場合、複数の断面画像が、患者の血管の長手方向に沿って形成される。
【0026】
少なくともいくつかの実施形態において、イメージングコアのプルバック距離は、少なくとも5cmである。少なくともいくつかの実施形態において、イメージングコアのプルバック距離は、少なくとも10cmである。少なくともいくつかの実施形態において、イメージングコアのプルバック距離は、少なくとも15cmである。少なくともいくつかの実施形態において、イメージングコアのプルバック距離は、少なくとも20cmである。少なくともいくつかの実施形態において、イメージングコアのプルバック距離は、少なくとも25cmである。
【0027】
1つ以上の変換器312から異なる深度で生成された画像の品質は、例えば、帯域幅、変換器焦点、ビームパターンおよび音響パルスの周波数を含む1つ以上の要因に影響を受ける可能性がある。また、1つ以上の変換器312から出力された音響パルスの周波数も、1つ以上の変換器312から出力された音響パルスの侵入深さに影響を及ぼす可能性がある。一般に、音響パルスの周波数が低下するにつれて、患者の組織内の音響パルスの侵入深さは増加する。少なくともいくつかの実施形態において、IVUSイメージングシステム100は、5MHz〜60MHzの周波数範囲内で作動する。
【0028】
少なくともいくつかの実施形態において、1つ以上の変換器312がイメージングコア306の遠位端208に取付けられているカテーテル102は、例えば血管のような画像化される選択した領域の選択部分から離れた箇所で、例えば大腿動脈のような接近可能な血管を介して患者に経皮的に挿入することができる。その結果、カテーテル102は、患者の血管を通って、選択された撮像箇所、例えば、選択された血管の一部へ前進させることができる。
【0029】
動作中には、イメージングコア306の均一な回転を有することが好ましい。カテーテル102が、患者の血管を通って進む場合、カテーテル102は、カテーテル102の1つ以上の部分を圧迫し、および作動中に、イメージングコア306の不均一な回転(例えば、揺動、振動等)を引き起こす可能性のある1つ以上の蛇行した領域または1つ以上の狭い領域を進むことができる。不均一な回転は、後に生成されるIVUS画像の歪みにつながる可能性がある。例えば、後に生成されるIVUS画像が不鮮明になる可能性がある。
【0030】
従来のシステムにおいては、回転モータは、カテーテル302の近位部に設けられているか、あるいは、そのカテーテルの近位部が取付けられているユニット内に設けられている。近位端に配置された回転モータおよびイメージングコアと、作動中にそのカテーテルの遠位端が配置されている血管の蛇行した実物と、の間に距離があるので、不均一な回転は防ぐのが困難であり得る。
【0031】
イメージングコア上に配置されるとともにカテーテルの遠位端に位置決めされるモータが記載されている。イメージングコアは、カテーテルの長手部分よりも実質的に短い長手部分を有する。また、イメージングコアは、1つ以上の変換器も含む。少なくともいくつかの実施形態において、イメージングコア内にモータを配置すると、1つ以上の軸外力(例えば、カテーテルの一部を圧迫する血管壁)によって引き起こされる不均一な回転を少なくするか、またはなくすことも可能である。少なくともいくつかの実施形態において、モータは、永久磁石で形成された回転子を含む。少なくともいくつかの実施形態において、カテーテルは、1mm以下の外径を有する。
【0032】
カテーテル102の遠位端は、1つ以上の変換器の正確な位置または方向に関する何らかの情報を有することなく、患者の血管内に配置される場合もある。少なくともいくつかの実施形態においては、1つ以上の変換器の位置または方向を検出するために、検出装置をイメージングコア内に設けることができる。少なくともいくつかの実施形態において、検出装置は、1つ以上の磁気センサを含む。いくつかの実施形態において、検出装置は、患者の外部に設けられた複数の磁気センサを含む。他の実施形態においては、1つ以上のセンサが患者内に配置され、また、複数のセンサが患者の外部に配置される。
【0033】
付随的に、または代替的に、少なくともいくつかの実施形態において、検出装置は、モータによって生じた回転磁石磁化ベクトルの振幅または方向を測定する。少なくともいくつかの実施形態において、磁気センサ装置からのデータを駆動回路に入力して、(例えば、フィードバックループを介して)イメージングコアの制御された均一な回転を実現することができる。また、少なくともいくつかの実施形態において、検出装置からのデータを使用して、イメージングコアの不均一な回転中に集められたデータに対する補正を行うことができる。
【0034】
図4は、カテーテル402の遠位端の一実施形態の概略縦断面図である。カテーテル402は、シース404および内腔406を含む。回転可能なイメージングコア408が、カテーテル402の遠位端の内腔406に配置されている。イメージングコア408は回転可能な駆動軸410を含み、この駆動軸410には、同駆動軸410の遠位端に連結された1つ以上の変換器412と、駆動軸410の近位端に連結された変圧器414とが含まれている。イメージングコア408には、駆動軸410に連結されたモータ416もまた含まれている。1つ以上のイメージングコア導体418によって、1つ以上の変換器412が変圧器414と電気的に接続されている。少なくともいくつかの実施形態では、1つ以上のイメージングコア導体418が駆動軸410の内部に延出している。1つ以上のカテーテル導体420によって、変圧器414が制御モジュール(
図1では104)と電気的に接続されている。少なくともいくつかの実施形態では、カテーテル導体420の1つ以上は、同軸ケーブル、あるいはツイストペアケーブルなどのようなシールド電気ケーブルとして、カテーテル402の長手部分の少なくとも一部に沿って延出していてもよい。
【0035】
カテーテル402に1つ以上の回転可能な変換器412が使用されているときには、変圧器414は、このシステムの静止部分(例えば、制御モジュール(
図1では104))とこのシステムの回転部分(例えば、1つ以上の変換器412)とを電気的に接続するために使用されるのが一般的である。回転変換器が使用されている従来のシステムでは、その変圧器は、カテーテルの近位端(
図2におけるカテーテルハブ204のような)に配置されている。一般的に、変圧器414には、回転構成要素および静止構成要素(例えば、回転子および固定子、あるいは回転平形コイルおよび静止平形コイルなど)の間の誘導結合が利用されている。制御モジュール(
図1では104)からの電流のパルスは、上記静止構成要素を介して上記回転構成要素の中で誘導される。この誘導された電流は、1つ以上の変換器へ送られてもよく、また、音響信号へ変換されて、1つ以上の音響パルスとして放射されてもよい。1つ以上の変換器によって受信されたエコーパルスは、電気信号に変換されて、上記回転構成要素へ送信することができる。この回転構成要素の中における電気信号によって、上記静止構成要素の中に電圧が誘起される。少なくともいくつかの実施形態では、上記電圧は、処理のために制御モジュール(
図1では104)へ入力することができる。
【0036】
変圧器414はイメージングコア408上に配置されている。少なくともいくつかの実施形態では、変圧器414には、駆動軸410に連結された回転構成要素422と、この回転構成要素422から間隔をおいて配置された静止構成要素424とが含まれている。いくつかの実施形態では、静止部分424は、回転構成要素422に対して近位であって、同回転構成要素422に直接隣接している。回転構成要素422は、イメージングコア408の中に配置された1つ以上のイメージングコア導体418を介して、1つ以上の変換器412と電気的に接続されている。静止構成要素424は、内腔406の中に配置された1つ以上の導体420を介して、制御モジュール(
図1では104)と電気的に接続されている。電流が回転構成要素422および静止構成要素424(例えば、回転子および固定子、あるいは回転平形コイルおよび静止平形コイルなど)の間に誘導的に通じる。
【0037】
少なくともいくつかの実施形態では、変圧器414はイメージングコア408の近位端に配置されている。少なくともいくつかの実施形態では、変圧器414の構成要素422および424はフェライト形態に配置されている。少なくともいくつかの実施形態では、これらの構成要素422および424は、カテーテルの近位端に従来配置されていた構成要素よりも寸法が小さい。加えて、これらの構成要素422および424を形成するために使用されているワイヤ418の直径は、従来の構成要素に使用されていたワイヤの直径より寸法が小さくてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、ワイヤ418の直径は、0.004インチ(0.010cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、このワイヤの直径は、0.003インチ(0.008cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、このワイヤの直径は、0.002インチ(0.005cm)以下である。
【0038】
加えて、回転構成要素422を1つ以上の変換器412へ連結するために使用されているワイヤ418の長さは従来の構成要素よりも短いことがあるが、その理由は、構成要素422が、典型的に、従来のシステムよりも、1つ以上の変換器412に対していっそう近傍に配置されているからである。それゆえ、回転構成要素422を形成するために使用されるとともに1つ以上の変換器412へ連結するために使用されるワイヤ418の抵抗は、従来のシステムのためのものよりも小さいであろう。従って、構成要素422および424のインダクタンスおよび相互インダクタンスは、従来のコイルに比べて、構成要素422および424の巻回数を増大させることによって調節することが必要であろう。
【0039】
モータ416は回転子426および固定子428を含む。少なくともいくつかの実施形態では、回転子426は長手方向軸を備えた永久磁石であり、その長手方向軸は、二方向矢印430によって表示されており、イメージングコア408の長手方向軸と駆動軸410に対して同軸である。磁石426は、例えば、ネオジウム−鉄−ボロンなどのようなものが含まれる、埋め込みに適した相異なる多くの磁性材料から形成することができる。適切なネオジウム−鉄−ボロン磁石の一つの例は、カリフォルニア州サンノゼのHitachi Metal Americaから入手可能である。
【0040】
少なくともいくつかの実施形態では、磁石426は円筒形である。少なくともいくつかの実施形態では、磁石426には1.4T以上の磁化強さMがある。少なくともいくつかの実施形態では、磁石426には1.5T以上の磁化強さMがある。少なくともいくつかの実施形態では、磁石426には1.6T以上の磁化強さMがある。少なくともいくつかの実施形態では、磁石426には、磁石426の長手方向軸に対して垂直である磁化ベクトルを有する。少なくともいくつかの実施形態では、磁石426はハウジング432の中に配置されている。
【0041】
少なくともいくつかの実施形態では、磁石426は、駆動軸410に連結されているとともに、動作時に駆動軸410を回転させるために構成されかつ配置されている。少なくともいくつかの実施形態では、磁石426には、磁石426の長手方向軸に沿った開口434が画定されている。少なくともいくつかの実施形態では、駆動軸410と1つ以上のイメージングコア導体418とが開口434を通って延出している。少なくともいくつかの実施形態では、駆動軸410は、連続しておらず、例えば磁石426の相対向する端部で磁石426と連結されている。この場合、1つ以上のイメージングコア導体418は依然として、開口434を通って延出している。少なくともいくつかの実施形態では、磁石426は接着剤によって駆動軸410へ連結されている。これに代えて、いくつかの実施形態では、駆動軸410および磁石426は、単一のブロックから、イメージングコア導体418を受け入れるために駆動軸410の全長に穿孔された開口434を備えた磁性材料へ、機械加工することができる。
【0042】
少なくともいくつかの実施形態では、固定子428は2つの垂直に配向された磁界巻線(
図5では502および504)を含み、これらによって、磁石426の回転を引き起こすトルクを生じるための回転磁界がもたらされる。固定子428には、1つ以上のモータ導体436を介して制御モジュール(
図1では104)から電力がもたらされる。
【0043】
少なくともいくつかの実施形態では、イメージングコア408に検出装置438が配置されている。少なくともいくつかの実施形態では、この検出装置438はハウジング432に連結されている。少なくともいくつかの実施形態では、この検出装置438は、特定方向における磁界の大きさを測定するために構成されかつ配置されている。少なくともいくつかの実施形態では、この検出装置438は、測定された情報の少なくともいくつかを利用して磁石426の角度位置を検出する。少なくともいくつかの実施形態では、検出装置438によって得られた測定情報の少なくともいくつかは、1つ以上のモータ導体436によって固定子428へもたらされた電流を制御するために利用される。
【0044】
少なくともいくつかの実施形態では、カテーテル402の直径は0.042インチ(0.11cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、カテーテル402の直径は0.040インチ(0.11cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、カテーテル402の直径は0.038インチ(0.10cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、カテーテル402の直径は0.036インチ(0.09cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、カテーテル402の直径は0.034インチ(0.09cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、カテーテル402の直径は、血管内エコー心電図検査システムを収容するような大きさにされている。
【0045】
少なくともいくつかの実施形態では、磁石426の直径は0.025インチ(0.06cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、磁石426の直径は0.022インチ(0.06cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、磁石426の直径は0.019インチ(0.05cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、開口434の直径は0.010インチ(0.03cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、開口434の直径は0.009インチ(0.02cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、開口434の直径は0.008インチ(0.02cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、磁石426の長手部分長さは0.13インチ(0.33cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、磁石426の長手部分長さは0.12インチ(0.30cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、磁石426の長手部分長さは0.11インチ(0.28cm)以下である。
【0046】
少なくともいくつかの実施形態では、モータ416によって充分なトルクがもたらされて、1つ以上の変換器412が少なくとも15Hzの周波数で回転する。少なくともいくつかの実施形態では、モータ416によって充分なトルクがもたらされて、1つ以上の変換器412が少なくとも20Hzの周波数で回転する。少なくともいくつかの実施形態では、モータ416によって充分なトルクがもたらされて、1つ以上の変換器412が少なくとも25Hzの周波数で回転する。少なくともいくつかの実施形態では、モータ416によって充分なトルクがもたらされて、1つ以上の変換器412が少なくとも30Hzの周波数で回転する。少なくともいくつかの実施形態では、モータ416によって充分なトルクがもたらされて、1つ以上の変換器412が少なくとも35Hzの周波数で回転する。少なくともいくつかの実施形態では、モータ416によって充分なトルクがもたらされて、1つ以上の変換器412が少なくとも40Hzの周波数で回転する。
【0047】
好ましい実施形態では、上記トルクは、磁石426が回転するように磁石426の長手方向軸430を取り巻いている。磁石426のトルクが長手方向軸430を取り巻くために、磁界巻線(すなわち、上記固定子のコイル)の磁界は、長手方向軸430の周りに回転する磁界ベクトルとともに、長手方向軸430に対して垂直な平面に存在している。
【0048】
先に検討したように、固定子428によって、回転子426によるトルクを作り出すための回転磁界がもたらされる。固定子428には、回転磁界を形成するための1つ以上の巻回部としての、磁石426の周りを取り巻く2つの垂直に配向された磁界巻線(「巻線(windings)」)が備わっていてもよい。
図5は、回転磁石426と、互いに直交する矩形ボックス502および504として表示された巻線とからなる一実施形態の概略斜視図である。巻線502および504は互いに直交する2つの矩形として示されているが、これらの巻線502および504のそれぞれは、カテーテル(
図4では402)の直径の増大を最小限にするために広げることのできるワイヤの多数巻回を表示してもよい、ということは理解されるであろう。巻線502および504が広げられると、電流の帯が、
図5に示された電流の線の代わりに生じることがある。
【0049】
少なくともいくつかの実施形態では、巻線502および504を形成するために使用されたワイヤの直径は0.004インチ(0.010cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、上記ワイヤの直径は0.003インチ(0.008cm)以下である。少なくともいくつかの実施形態では、上記ワイヤの直径は0.002インチ(0.005cm)以下である。
【0050】
磁石426を長手方向軸430の周りに回転させるために、上記トルクは長手方向軸430の周りを取り巻かなければならない。それゆえ、巻線502および504によって発生された磁界は、磁石426にトルクを付与するとともに磁石426を回転させるために長手(z)軸430の周りに回転する巻線502および504のための磁界ベクトルHとともに、長手方向軸430に対して垂直な平面に存在していなければならない。
図5は、互いに対して、かつ、長手方向軸430に対して直交するx軸506およびy軸508をもまた示している。
図5に示されたように、磁石426の磁化ベクトルM510は、長手方向軸430に対して垂直であるx−y平面にある。
【0051】
巻線502によって、y軸508に対して平行である巻線502の中心に磁界が作り出される。巻線504によって、x軸506に対して平行である巻線504の中心に磁界が作り出される。巻線502および504について組み合わされた磁界ベクトルHは:
【0052】
【数1】
によって与えられ、ここで、x’およびy’はそれぞれ、x方向およびy方向における単位ベクトルである。磁化ベクトルMは角度512で回転し、これは、均一な回転の場合の経過時間に磁石426の角速度を掛けたものに等しい。従って、磁化ベクトルMは:
【0055】
【数3】
によって与えられ、ここで、Mは、テスラで表した磁石426の磁化ベクトル、また、Vは、磁石426の体積(m
3)である。
【0057】
【数4】
によって与えられ、ここで、τは、トルクベクトル(N・m)であり、mは、磁気モーメントベクトル(テスラ立方メートル)であり、Hは、巻線502および504の磁界ベクトル(アンペア/m)であり、xは、ベクトルクロス積である。
【0059】
【数5】
として算出することができる。
【0060】
ベクトルクロス積は、磁気モーメントベクトルmに対する巻線502および504によって生じたトルクが、実際に長手方向軸430周りにあることを実証している。また、トルクは、巻線502および504によって生成された磁界が
【0061】
【数6】
によって示される場合に、均一となり、および時間に無関係となり、それにより
【0062】
【数7】
によって示されるトルクτが生じる。
【0063】
H
2=H
x2+H
y2が時間に無関係であり、また、H
xおよびH
yの成分は、z’軸周りの巻線磁界ベクトルHの時計回りの回転を表しているため、磁界が均一に回転しているので上記トルクは均一である。この結果として生じる、x−y平面内の磁化ベクトルMを有する対称な磁石に対する均一なトルクは、回転磁界電気モータの固有の式である。
【0064】
従って、直交する磁界は、角速度ωで、長手方向軸430周りに均一に回転する磁界を生じさせる。磁石426の磁化ベクトルMは、作動条件下で、システムのドラッグトルクによって決まるスリップ角を有する巻線502および504の巻線磁界ベクトルHに追従する。角速度ωが増加すると、ドラッグトルク(およびスリップ角)は、磁石426が、もはや磁界に対応するように十分に速く回転できなくなるまで増加する。
【0065】
スリップ角の変化は、非均一な回転につながる可能性がある。少なくともいくつかの実施形態において、検出装置438は、均一に回転する磁界を維持することにより、磁石426の均一な回転を維持することを容易にする。少なくともいくつかの実施形態において、検出装置438は、M
xおよびM
yの成分に対する測定値からのフィードバックによって、H
xおよびH
yを生じさせる電流を制御する。H
xおよびH
yと、M
xおよびM
yと、の関係は:
【0066】
【数8】
によって示され、ここで、I
xは、磁界成分Hxを生成する電流(アンペア)であり、また、I
yは、磁界成分H
yを生成する電流(アンペア)である。
【0067】
少なくともいくつかの実施形態において、検出装置438は、デジタル形式で実施することができる。少なくともいくつかの実施形態において、検出装置438から出力されてデジタル処理されたデータは、均一な回転を維持するために、適時、各ポイントでの電流を算出するのに用いられる。少なくともいくつかの実施形態において、デジタル検出装置438は、所定の回転方向の場合の電流を完璧に決めるために、所定のポイントで、磁石426の磁界の1つ以上の成分を測定することができる。
【0068】
少なくともいくつかの他の実施形態において、検出装置438は、アナログ形式で実施することができる。少なくともいくつかの実施形態において、アナログ検出装置438は、ハウジング(
図4における符号432)上またはイメージングコア(
図4における符号408)の他の箇所に90度離して配置された2つの磁気センサを含む。一般に、磁石426によって生成された磁界は、巻線502および504によって生成された磁界よりも実質的に大きい。従って、検出装置438のセンサは、磁石426の中心からセンサまで通る軸に対して、x−y平面内の磁化ベクトルMの直角成分を測定する。測定された信号は、増幅し、および巻線502および504内の電流にフィードバックすることができる。前述の式に示すように、電流xが反転すると、磁石426は時計回りに回転する。電流yが反転すると、磁石426は反時計回りに回転する。
【0069】
少なくともいくつかの実施形態において、検出装置438は、患者の外部に設けられた少なくともいくつかの磁気センサを含む。例えば、6つの個々のセンサを含む2つの3軸磁気センサは、患者の外部の2箇所で、磁石426の回転磁界のx、yおよびz成分を測定することができる。少なくともいくつかの実施形態において、回転磁石426の磁界検出は、磁石巻線の駆動電流と同相で回転する磁界のみを検出することによって容易化される。外部センサからのデータは、回転磁石(およびIVUS変換器)のx、yおよびz座標、および磁石426の空間的定位を見出すために反転させることができる。このデータは、プルバックイメージング中に、周囲の組織(例えば、動脈の屈曲部)の3次元画像を形成するのに用いることができる。
【0070】
少なくともいくつかの実施形態においては、複数のセンサを患者の外部に配置したままで、1つ以上のセンサを、回転磁石426の近傍に配置して患者に埋め込むことができる。埋め込み可能なセンサは、回転磁石426の角度方向を識別することができ、およびこのデータは、回転磁石の不適切な周波数および位相角を伴う外部センサから得られたデータを受入れずに、回転磁石の適切な周波数および適切な位相角を有する外部センサからのデータのみを受入れて、外部センサデータの信号対雑音比をさらに向上させるのに用いることができる。
【0071】
モータ416によって生成することのできる磁気トルクの量は、カテーテル(
図4における符号402)内に過剰な熱を発生させることなく、巻線502および504を通過することのできる電流の量によって制限することができる。巻線502および504には
【0072】
【数9】
で示される割合でジュール加熱によって熱が発生し、ここで、Pは、熱として消失した出力(ワット)であり、Rは、巻線502および504の抵抗であり、Iは、電流の振幅(アンペア)である。
【0073】
正弦波電流が採用されるため、Pの値は2で割られる。しかし、2つの巻線502および504があるため、Pの値に2を乗じる。少なくとも1つの実験においては、300mWまでの熱は、モータ(
図4における符号416)の温度を認知できるくらいに増加させることなく、血液または組織内で容易に消失されることが推測されている。少なくとも1つの実験において、熱消失は、血流がある場合に、数ワットまで増加することが推測されている。
【0074】
N回巻きで、かつ入力電流Iを有する巻線502および504の磁界Hは、計算することができる。その結果は、通電ラインセグメントによって生成される磁界の場合の式から得られる。典型的には、長手方向軸430と平行な矩形状の巻線502および504の長い方の側の長さは、巻線502および504の短い方の側の長さよりも実質的に大きい。従って、短い方の側は、磁気トルクにそれ程寄与しない可能性がある。N回巻きで、かつ入力電流Iを有する巻線502および504の磁界Hは
【0075】
【数10】
で示され、ここで、Nは、巻線502および504の巻き数の数であり、Dは、巻線幅(メートル)(典型的には、ハウジング(
図4における符号432)の外径)であり、Lは、巻線502および504の長さ(メートル)である。NIは、巻線502および504で消失した電力に関して解析することができる。全てのパラメータの理論的最適化が可能であるが、安全性限界をデザイン実現に組込むことができる。
【0076】
一つの例示的な実施形態において、矩形巻線502および504は、長さが2.7インチ(6.86cm)で、直径が0.002インチ(0.005cm)で、抵抗が0.5Ωの銀線からなる8回巻きを有する。磁石426は、外径が0.022インチ(0.056cm)で、内径が0.009インチ(0.022cm)で、長手部分長さが0.132インチ(0.34cm)の円筒形状を有する。ネオジム−鉄−ボロンから形成された、上述した寸法を有する磁石426の場合の磁化Mは、1.4である。最大出力Pは、0.3ワットであり、最大電流振幅は、0.77アンペアであり、NIの量は、6.2アンペアである。上述の値を用いると、磁石426のトルクは:
【0078】
上述した値を挿入すると、4μN・m=0.4gm・mmのトルクが生じ、これは、磁石426の予測される最大摩擦ドラッグよりも約4倍大きい。対応する力は、約0.1グラム、または、磁石426の重量の約30倍である。トルクは、磁石の半径を増すことによって増加させることができるが、カテーテル(
図4における符号402)は、様々な患者の血管系に配置されるように十分に小さいことが望ましい。例えば、(イメージングコア(
図4における符号408)の相対的な剛性が、カテーテルの操作性に影響を及ぼす可能性があるため)イメージングコア(
図4における符号408)の長さ、発熱、室温における金属の抵抗性、および磁石426を形成するのに用いられる材料の強度を含む、患者の血管系にカテーテルを挿入する場合のさらなる考慮を検討することができる。
【0079】
巻線502および504を形成するのは困難であるかもしれない。例えば、直径が0.002インチ(0.005cm)のワイヤを、ハウジング(
図4における符号432)の円筒形面に巻回することは困難であるかもしれない。少なくともいくつかの実施形態において、巻線502および504は、薄膜(例えば、ポリイミド膜等)上に配置された後、ハウジング(
図4における符号432)上に配置される。例えば、1種類以上の金属(例えば、銅、銀、金、または他の金属あるいは合金)が薄膜上に配置され、そして、薄膜は、(例えば、1種類以上の接着剤、または、他の種類の適当な結合方法を用いて)ハウジング上に配置される。代替的な実施形態においては、ハウジング(
図4における符号432)は、セラミックシリンダまたは押出しチューブ、あるいは、金属ストリップラインの配置に適している他の材料から形成される。3次元リソグラフィプロセスは、巻線502および504をシリンダ上に配置して画成するのに用いることができる。例えば、金属膜を、シリンダの外面に均一に配置することができ、また、好ましくない金属膜を、シリンダの外面から除去して、巻線502および504を画成するのに、レーザを用いることができる。
【0080】
図6は、薄膜606上に配置された巻線602および604の一実施形態の概略平面図である。少なくともいくつかの実施形態において、巻線602および604は、薄膜606の両面に配置されている。少なくともいくつかの実施形態において、巻線602は、薄膜606の第1の面に配置されており、また、巻線604は、薄膜606の第2の面に配置されている。好適な実施形態において、巻線602および604は、薄膜606が磁石426(または、ハウジング432)の周囲に配置された場合に、巻線602と604が互いに90度ずれているように、薄膜606上に配置される。
【0081】
上記カテーテルの遠位端の静止部分に直接接触する上記イメージングコアの回転部分があることは好ましくない。上記イメージングコアの回転部分(例えば、回転駆動軸、磁石など)と上記カテーテルの遠位端の静止部分(例えば、固定子、ハウジングなど)との間における相対運動によって、摩擦ドラッグが作り出されることがある。
図7は、カテーテル702の遠位端についての別の実施形態の概略縦断面図である。このカテーテル702には、モータ708のそれぞれの端部に配置されたドラッグ(drag)低減要素704および706が含まれている。これらのドラッグ低減要素704および706には、例えば、1つ以上のブッシング、1つ以上のベアリングなど、またはこれらの組み合わせを含んでいる、ドラッグを低減するための任意の適切な装置が含まれていてもよい。
【0082】
ドラッグ低減要素704および706の代わりに、あるいはこれらに加えて、他のドラッグ低減技術を利用することもできる。例えば、少なくともいくつかの実施形態では、ハウジング(
図4では432)が、少なくとも一部に、導電性材料(例えば炭素繊維など)から形成されている。少なくともいくつかの実施形態では、磁石(
図4では426)の回転によって、その磁石の角速度が増大するにつれて増大するであろう渦電流が作り出される。いったん、臨界角速度に達するか、あるいはそれを超えると、その渦電流によって、上記磁石が浮上することがある。好ましい実施形態では、上記ハウジングの導電性材料には、磁石(
図4では426)を上記ハウジングの相対向する側面から等距離の位置まで浮上させるのに充分に高いものの、磁石(
図4では426)を巻線(
図6では602および604)によって作り出された磁界から遮蔽するには低すぎる導電率が備わっている。
【0083】
ドラッグ低減技術の別の例として、磁石426とハウジング432との間の空間を強磁性流体(例えば、カリフォルニア州サンタクララにあるFerrotec Corp.から入手することができるような磁性ナノ粒子の懸濁液)で満たすことができる。この強磁性流体は、磁石426へ引き寄せられるとともに、磁石426が回転するにつれて磁石426の外面に位置を占めて残留する。この流体は、非回転表面の壁の近傍で、回転磁石426がこれらの非回転表面に物理的に接触しないように、ずれ動く。その結果、得られた磁石426の表面における粘性ドラッグトルクが磁石426の回転数に比例して増大し、また、非潤滑デザインと比較して低減することができる。
【0084】
少なくともいくつかの実施形態では、上記1つ以上の変換器は、上記イメージングコアの内部で固定されており、また、回転ミラーの上へ音響信号を導く。固定された変換器と回転ミラーとを用いると、変圧器の必要性がなくなる。変圧器には例えば、構成要素間のインダクタンスによるエネルギー量の低下、位相シフト用IVUS波形、財務費用、および製造上の困難を含むいくつかの不都合がある。加えて、変圧器を排除すると、いくつかの利点がもたらされるであろう。例えば、上記イメージングコアは、変圧器を有するイメージングコアよりも長さが短いであろう。先に検討したように、上記イメージングコアが配置された上記カテーテルの部分は、そのカテーテルの他の部分よりも堅いのが一般的である。従って、上記イメージングコアの長さを減少させると、上記カテーテルは、患者の血管系の中において、更に角ばった屈曲部を通って、移動することができる。
【0085】
少なくともいくつかの実施形態では、上記回転可能なミラーは、1つ以上の固定変換器に対して遠位に位置決めされている。
図8は、カテーテル802の遠位端についてのさらに別の実施形態の概略縦断面図である。このカテーテル802には、イメージングコア806が内部に配置された内腔804が画定されている。イメージングコア806には、1つ以上の固定変換器808、モータ810、および1つ以上の変換器808に対して遠位にある回転ミラー812が含まれている。1つ以上の変換器808は、1つ以上の変換器導体814を介して、制御モジュール(
図1では104)に電気的に接続されている。
【0086】
モータ810には、回転磁石816と、2つの内側巻線818あるいは2つの外側巻線820、または、1つの内側巻線818および1つの外側巻線820とが含まれている。磁石816は、例えば、ネオジウム−鉄−ボロンなどのようなものが含まれる、埋め込みに適した相異なる多くの磁性材料から形成することができる。少なくともいくつかの実施形態では、磁石816は円筒形である。少なくともいくつかの実施形態では、磁石816は開口822を画定する。少なくともいくつかの実施形態では、磁石816には、磁石816の長手方向軸に対して垂直である磁化ベクトルがある。
【0087】
少なくともいくつかの実施形態では、巻線818あるいは820は、垂直に配向された2つの巻線(例えば、
図5における502および504を参照)を含み、これらによって、磁石816にトルクを付与するために回転磁界がもたらされる。これらの巻線818あるいは820には、制御モジュール(
図1では104)から1つ以上のモータ導体824を介して電力がもたらされる。少なくともいくつかの実施形態では、イメージングコア806の近位端に支持ハブ826が位置決めされている。少なくともいくつかの実施形態では、少なくとも1つの巻線818および820あるいは1つ以上の変換器808が、支持ハブ826から片持ち梁状に突出されている。
【0088】
少なくともいくつかの実施形態では、回転ミラー812は開口822の中に配置されており、また、1つ以上の固定変換器808は、磁石816の近位かあるいは開口822の中かのいずれかに配置されている。少なくともいくつかの実施形態では、回転ミラー812は磁石816から遠位に配置されており、また、1つ以上の固定変換器808は、磁石816の開口822の内側における磁石816の近位かあるいは磁石816の遠位かのいずれかに配置されている。少なくともいくつかの実施形態では、回転ミラー812は、磁石816の内面に連結されている。少なくともいくつかの実施形態では、回転ミラー812は、そのミラー812が磁石816とともに回転するように、磁石816に固定して連結されている。少なくともいくつかの実施形態では、ミラー812は、そのミラー812から遠位に置かれた1つ以上の支持部材828によって、定位置に保持されている。少なくともいくつかの実施形態では、ミラー812は、そのミラー812の反射面が、動作時におけるミラー812の回転につれて磁石816かあるいは1つ以上の支持部材828かのいずれかによって塞がれないように、定位置に保持されている。
【0089】
少なくともいくつかの実施形態では、音響信号が、1つ以上の固定変換器808から回転ミラー812へ向かって放射されるとともに、磁石816の長手方向軸に対して平行でない角度へ方向を変えられることがある。少なくともいくつかの実施形態では、音響信号は、磁石816の横軸に対して120度の範囲内にある複数の角度へ方向を変えられる。少なくともいくつかの実施形態では、音響信号は、磁石816の横軸に対して90度の範囲内にある複数の角度へ方向を変えられる。少なくともいくつかの実施形態では、音響信号は、磁石816の横軸に対して120度の範囲内にある複数の角度へ、これらの複数の角度が磁石816の長手方向軸に対して垂直である1つの角度に集中するように、方向を変えられる。少なくともいくつかの実施形態では、音響信号は、磁石816の長手方向軸に対して垂直である単一角度へ方向を変えられる。少なくともいくつかの実施形態では、音響信号は、磁石816の長手方向軸に対して垂直でない単一角度へ方向を変えられる。少なくともいくつかの実施形態では、音響信号をカテーテル802から送信することができる音響用開口をもたらすために、磁石816の中に側壁830とともに切欠(あるいは窓、窓穴など)が形成される。少なくともいくつかの実施形態では、音響的に透明な膜を上記切欠にわたるように配置することができ、それによって、1つ以上の変換器808とミラー812との間の領域832が液密になる。
【0090】
少なくともいくつかの実施形態では、1つ以上の変換器808とミラー812との間の領域832は、カテーテル802の遠位端を取り囲む組織あるいは流体に合致するインピーダンスを有する無気泡流体で満たされている。少なくともいくつかの実施形態では、1つ以上の変換器808とミラー812との間の領域832は、強磁性流体で満たされている。少なくともいくつかの実施形態では、領域832に加えて、磁石816がカテーテル802の中に配置されたときに、磁石816の表面積の少なくとも一部に沿って1つ以上の空間を形成することができる。少なくともいくつかの実施形態では、磁石816の表面積の少なくとも一部を取り囲む1つ以上の空間は、強磁性流体で満たされている。上記磁石を強磁性流体で取り囲むことは、強磁性流体が磁石816へ引き寄せられるので、利点であろう。磁石816の充分な表面積が強磁性流体によって近づきやすいときには、その強磁性流体によって磁石816が浮上し、それによって、磁石816と、動作時に磁石816とともに回転しない他の接触表面と、の間の摩擦を潜在的に減少させることができる。
【0091】
少なくともいくつかの実施形態では、ミラー812には非平面状である反射面が含まれている。少なくともいくつかの実施形態では、ミラー812の反射面は凹状である。凹状の反射面を用いて焦点合わせを改善し、それによって、カテーテル802から放射された音響パルスの位置分解能を改善する、ことは利点であろう。少なくともいくつかの実施形態では、ミラー812の反射面は凸状である。少なくともいくつかの実施形態では、ミラー812の反射面は調整することができる。ミラー812から可変距離で組織を画像作成するための磁界の焦点または深度を調節するために調整可能な反射面を有することは利点であろう。少なくともいくつかの実施形態では、ミラー812は、空気あるいは他の圧縮可能物質が包含されている空間にわたって広げられた被覆膜である。1つ以上の変換器808とミラー812との間の領域832の流体圧力が増大すると、ミラー812の反射面は、凹面を作り出すために撓めることができる。
【0092】
少なくともいくつかの実施形態では、1つ以上の変換器には複数の環帯が含まれている。少なくともいくつかの実施形態では、少なくとも1つの環帯が、少なくとも1つの残りの環帯とは異なっている周波数で共振する。
図9は、環帯904および906のような複数の環帯がある変換器902の一実施形態の概略横断面図である。少なくともいくつかの実施形態では、環帯904は、環帯906とは異なった周波数で共振する。
【0093】
少なくともいくつかの実施形態では、回転可能なミラーは1つ以上の固定変換器の近位に位置決めされている。
図10は、カテーテル1002の遠位端についての別の実施形態の概略縦断面図である。カテーテル1002には、イメージングコア1006が内部に配置される内腔1004が画定されている。イメージングコア1006には、1つ以上の固定変換器1008、モータ1010、および1つ以上の変換器1008の近位にある回転ミラー1012が含まれている。1つ以上の変換器1008は、1つ以上の変換器導体1014を介して、制御モジュール(
図1では104)と電気的に接続されている。
【0094】
モータ1010には、回転するモータ磁石1016と巻線1018とが含まれている。少なくともいくつかの実施形態では、モータ磁石1016は円筒形である。少なくともいくつかの実施形態では、モータ磁石1016は、ネオジウム−鉄−ボロンから形成されている。巻線1018には、1つ以上のモータ導体1020を介して制御モジュール(
図1では104)から電力がもたらされる。モータ1010は、ハウジング1022の中に遠位端キャップ1024とともに配置されている。少なくともいくつかの実施形態では、モータ1010の周りの空間は、摩擦を減少させるために、真空排気されている。少なくともいくつかの実施形態では、モータ1010の周りの空間は、摩擦を減少させるために、1種以上の気体で満たされている。例えば、窒素、二酸化炭素、酸素など、あるいはこれらの組み合わせを含んでいる、相異なる多くの気体を利用することができる。少なくともいくつかの実施形態では、モータ1010の周りの空間は、1種以上の気体を含んでいるとともに、部分的に真空排気されている。
【0095】
ミラー1012には、磁石1026と傾斜状反射面1028とが含まれている。少なくともいくつかの実施形態では、ミラー1012は、モータ磁石1016とともに回転するように構成され、かつ、配置されている。少なくともいくつかの実施形態では、ミラー1012は端キャップ1024へ連結されていない。少なくともいくつかの実施形態では、ミラー磁石1026には、
図10においてモータ磁石1016とミラー磁石1026とについて矢印の方向によって示されたように、モータ磁石1016と相対向する磁化方向がある。モータ磁石1016は、端キャップ1024を介してミラー1012と磁気的に連結されている。
【0096】
端キャップ1024は、剛性材料あるいは半剛性材料(例えば、1つ以上の金属、合金、プラスチック、複合材料など)から形成することができる。少なくともいくつかの実施形態では、端キャップ1024は、端キャップ1024と回転モータ磁石1016およびミラー1012との間の摩擦を減少させるために、滑らかな材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレンなど)で被覆されている。少なくともいくつかの実施形態では、少なくとも1つのモータ磁石1026あるいはミラー1012には、回転中における摩擦を減少させるために、端キャップ1024に接触するテーパ状端部がある。
【0097】
少なくともいくつかの実施形態では、イメージングコア1006には、そのイメージングコア1006の遠位端に配置された支持ハブ1030が含まれている。少なくともいくつかの実施形態では、巻線1018は、一方端部では支持ハブ1030によって、また、他方端部では端キャップ1024によって支持されている。少なくともいくつかの実施形態では、モータ1010にはモータ軸1032が含まれており、モータ磁石1016がその周囲を回転する長手方向軸をもたらす。少なくともいくつかの実施形態では、モータ軸1032は、一方端部では支持ハブ1030によって、また、他方端部では端キャップ1024によって支持されている。少なくともいくつかの実施形態では、1つ以上の変換器1008は、端キャップ1024から遠位に延出している変換器軸1034へ連結されている。少なくともいくつかの実施形態では、ミラー1012には、変換器軸1034が延出する開口が画定されている。少なくともいくつかの実施形態では、1つ以上の変換器導体1014が変換器軸1034の中に少なくとも部分的に配置されている。少なくともいくつかの実施形態では、1つ以上の変換器導体1014がモータ軸1032内に少なくとも部分的に配置されている。代替実施形態では、1つ以上の変換器導体1014が、1つ以上のモータ1010あるいはミラー1012の外面の周りに延出している。
【0098】
少なくともいくつかの実施形態では、音響信号が、1つ以上の変換器1008からミラー1012へ向かって放射されるとともに、モータ磁石1016の長手方向軸に対して平行でない角度に方向を変えられるであろう。少なくともいくつかの実施形態では、音響信号が、モータ磁石1016の横軸に対して120度の範囲内にある複数の角度に方向を変えられる。少なくともいくつかの実施形態では、音響信号が、モータ磁石1016の横軸に対して90度の範囲内である複数の角度に方向を変えられる。少なくともいくつかの実施形態では、音響信号は、モータ磁石1016の横軸に対して120度の範囲内にある複数の角度へ、これらの複数の角度がモータ磁石1016の長手方向軸に対して垂直である1つの角度に集中するように、方向を変えられる。少なくともいくつかの実施形態では、音響信号は、モータ磁石1016の長手方向軸に対して垂直である単一の角度に方向を変えられる。少なくともいくつかの実施形態では、音響信号は、モータ磁石1016の横軸に対して垂直でない単一の角度に方向を変えられる。
【0099】
代替実施形態では、上記イメージングコアは、ミラーを使用することなく、1つ以上の回転変換器と変圧器とを使用して実施することができる。
図11は、カテーテル1106の内腔1104の遠位端に配置されたイメージングコア1102の一実施形態の縦断面図を示している。そのイメージングコア1102には、ハウジング1110の中に配置されたモータ1108が、剛性あるいは半剛性であってもよい端キャップ1112とともに含まれている。イメージングコア1102には、モータ1108の遠位に配置された1つ以上の変換器1114もまた含まれている。少なくともいくつかの実施形態では、磁石が1つ以上の変換器1114へ取り付けられている。1つ以上の変換器1114(取り付けられた磁石を介する)は、端キャップ1112を介してモータ1108に磁気的に連結されている。少なくともいくつかの実施形態では、1つ以上の変換器1114は、矢印1116によって示されたように、この1つ以上の変換器1114からの音響信号出力がモータ1108の長手方向軸に対して平行でない角度に向けられるように、位置決めされている。少なくともいくつかの実施形態では、1つ以上の変換器1114に電力を供給するために、静止構成要素1120および回転構成要素1122の備わった変圧器1118が使用されている。少なくともいくつかの実施形態では、静止構成要素1120は端キャップ1112の内部に配置されており、また、回転構成要素1122は1つ以上の変換器1114の内部に配置されている。
【0100】
少なくともいくつかの実施形態では、巻線には単一巻回のワイヤが含まれている。上で示されたように、モータ(例えば、
図8では810)におけるトルクは:
【0101】
【数12】
によって与えられ、ただし、巻線のトルクの依存性のみが、積NIを介している。例えば、同一の結果は、8巻回を有する巻線を通る電流が0.77アンペアであるか、1巻回を有する巻線を通る電流が6.2アンペアであるか、にかかわりなく得られる。発熱量は、上記巻線の総断面積が同一である限り、同一であろう。例えば、高さが2ミル(mills)で幅が16ミルである1つの線状体による発熱は、高さが2ミルで幅が2ミルである8つの線状体によるものに相当する。従って、少なくともいくつかの実施形態では、それぞれの巻線には単一の巻回が含まれている。
【0102】
図12は、磁石(
図8では816)の周りに配置するために構成されかつ配置された第1単一巻回巻線1202および第2単一巻回巻線1204の一部についての一実施形態の概略斜視図である。少なくともいくつかの実施形態では、第1単一巻回巻線1202および第2単一巻回巻線1204は、磁石(
図8では816)の別々の表面に配置するために構成されかつ配置されている。例えば、少なくともいくつかの実施形態では、第1単一巻回巻線1202は、磁石(
図8では816)の内面に沿って配置されるように構成されかつ配置されており、また、第2単一巻回巻線1204は、磁石(
図8では816)の外面に沿って配置されるように構成されかつ配置されている。単一巻回巻線1204および1206は、患者の体内へ埋め込みするのに適した任意の導電性材料から形成することができる。巻線回路の上側面および底側面からのクロスオーバーを排除するためには、単一巻回巻線を利用するとともに、第1単一巻回巻線1202および第2単一巻回巻線1204を別々の表面に沿って配置する、ことが利点であろう。
【0103】
図13は、磁石(
図8では816)の周りにそれぞれ配置された、第1および第2の単一巻回巻線1202および1204についての一実施形態の概略横断面図である。これらの単一巻回巻線1202および1204は磁石816に沿って直接配置されてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、単一巻回巻線1202および1204は、カテーテル(
図8では802)の横軸に沿ったカテーテル(
図8では802)の相対厚さを維持するために、非導電性管類の中に埋め込むことができる。例えば、第1単一巻回巻線1202は、
図13において、磁石816の内側面に沿って配置された非導電性管類1302の中に埋め込まれたものとして、示されている。同様に、第2単一巻回巻線1204は、
図13において、磁石816の外側面に沿って配置された非導電性管類1304の中に埋め込まれたものとして、示されている。
【0104】
第2単一巻回巻線1204は第1単一巻回巻線1202よりもトルクを多く働かせることができるが、その理由は、第2単一巻回巻線1204には第2単一巻回巻線1204よりも大きい直径があるからである。それゆえ、動作時において、第2単一巻回巻線1204には第1単一巻回巻線1202ほど大きい電流を入力する必要がないであろう。従って、少なくともいくつかの実施形態では、第2単一巻回巻線1204は第1単一巻回巻線1202ほど厚くはない。
【0105】
少なくともいくつかの実施形態では、6アンペアまでの電流を上記モータによって利用することができる。それゆえ、好ましい実施形態では、上記カテーテルおよび上記イメージングコアの構成要素は、6アンペアまでの電流に、発熱することなく耐えることができる。低出力の電子部品は、低電圧で6アンペアの電流を調達するために、現在、使用することができる。加えて、以前の研究によって、約0.015インチ(0.04cm)の相当直径がある可撓性撚り合わせ導体は、6アンペアまでの電流に耐えることができるということが示されており、また一方で、1ミリメートル直径のカテーテルに嵌め込むことも可能であるということが示されている。
【0106】
回転磁界を形成するために利用することのできる、相異なる多くの多相巻線形態と電流構成とが存在する、ということは理解されるであろう。例えば、モータには、例えば2相巻線、3相巻線、4相巻線、5相巻線、あるいはさらに多くの多相巻線が含まれていてもよい。モータには、多くの他の多相巻線形態が含まれていてもよい、ということは理解されるであろう。2相巻線形態では、上で検討したように、2つの巻線の中における電流は、90度だけ位相がずれている。3相巻線については、0度、120度、および240度だけ位相がずれている正弦波電流の3本の線が存在し、これら3本の電流線もまた120度だけ間隔をおいて配置されており、その結果、これらの電流線に対して垂直に磁化された円筒形モータを駆動することのできる一様に回転する磁界が得られている。
【0107】
図14は、磁石(例えば、
図8では816を参照)の周りの回転磁界を形成するために構成されかつ配置された3相巻線形態1402の一実施形態の概略斜視図である。この3相巻線形態1402には、3つの巻線あるいは線状体1404−1406が含まれている。少なくともいくつかの実施形態では、多相巻線は、磁石(
図8の816)の単一の円筒状面を、重複することなく利用することができる。このような巻線は、あるイメージングコアの中で最小限の体積を占めるであろう。他の形態によってもまた、回転磁界を形成することができるが、この3相形態1402には、他の形態よりもいっそうコンパクトなモータ構造が可能である、という利点を有する。
【0108】
3相巻線形態1402の優れた特性は、これらの3つの線状体1404−1406のうち2つだけを駆動すれば足りることであり、第3の線状体が電流の第3位相に数学的に等しい共同帰線になっていることである。このことは:
【0109】
【数13】
に留意することによって検証することができる。
【0110】
3相巻線形態1402については、電流は、この恒等式の左辺における2つの項の0度および120度の位相ずれがある2つの線状体の中に駆動される。これら2つの項の合計は、回転磁界を作り出すのに必要なこの等式の右辺における厳密には正確な240度の位相ずれを伴って、上記共同帰線の上に復帰する。上記のマイナス符号は上記復帰電流が駆動電流の反対方向にあることを表している、ということは理解されるであろう。
【0111】
少なくともいくつかの実施形態では、これら3つの支持なし線状体1404−1406は、機械的安定性を増大させるために、基板によって支持することができる。少なくともいくつかの実施形態では、これらの線状体1404−1406は、中実の金属管から、その金属の大部分をそのままにして、かつ、線状体1404−1406の短絡を防止するために必要な金属の部分だけを除去して、構成されている。少なくともいくつかの実施形態では、その除去された部分は非導電性材料で埋め戻されている。
【0112】
上記の詳述、実施例およびデータは、本発明の構成の製造および使用の説明を提供する。本発明の多くの実施形態を、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく実行できるため、本発明は、本願明細書に添付のクレーム内に存在する。