特許第5756095号(P5756095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756095
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】懸垂式車両用の軌道及びボギー台車
(51)【国際特許分類】
   E01B 25/24 20060101AFI20150709BHJP
   E01B 25/26 20060101ALI20150709BHJP
   B61B 3/02 20060101ALI20150709BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   E01B25/24
   E01B25/26
   B61B3/02 Z
   B61B13/00 W
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-513901(P2012-513901)
(86)(22)【出願日】2009年6月2日
(65)【公表番号】特表2012-528965(P2012-528965A)
(43)【公表日】2012年11月15日
(86)【国際出願番号】SE2009050647
(87)【国際公開番号】WO2010140934
(87)【国際公開日】20101209
【審査請求日】2012年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】511289312
【氏名又は名称】ビームウェイズ エービー
【氏名又は名称原語表記】BEAMWAYS AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(72)【発明者】
【氏名】グスタフソン,ベングト
【審査官】 鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03830163(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第01340008(GB,A)
【文献】 特開昭54−057715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 1/00−26/00
B61B 3/02
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送システムにおける懸垂式車両用の軌道であって、前記軌道が、
−内側方向に向かい合う第1・第2車輪走行面(16,17)を有する車輪走行面の上部セットを提供する第1軌道部材(1)と、
−上向き車輪走行面(101a)、第2軌道部材(101)側面の第1外向き車輪走行面(101b)および前記第2軌道部材(101)対向側面の第2内向き車輪走行面(101c)を有する車輪走行面の下部セットを提供する前記第2軌道部材(101)
を備え
前記第1・第2車輪走行面(16,17)が下向きのU形ビームのフランジの内面であり、前記フランジを接続する前記U形ビームのウェブが前記軌道に沿って移動するボギー台車(40)の駆動車輪(57)を受容するための下向き駆動車輪走行面(15)を備えることを特長とする軌道。
【請求項2】
前記車輪走行面の下部セットが前記第1・第2車輪走行面(16,17)の間の垂直の中央ラインに関して横方向にオフセットしている請求項1の軌道。
【請求項3】
前記第1(1)及び第2(101)軌道部材が前記軌道に沿って一定の間隔でリブ(110)により相互に堅固に連結される請求項1または2の軌道。
【請求項4】
前記軌道は、スイッチ軌道区分を有し、
前記スイッチ軌道区分の部分における前記軌道が左右出口(306,307)に向かって前記スイッチ軌道区分に沿って移動するボギー台車(40)を誘導するための左(102)及び右(202)のスイッチレールを備え、前記スイッチ軌道区分の少なくとも一部に沿って前記軌道が左(101)及び右(201)の第2軌道部材の両方を備えている請求項2の軌道。
【請求項5】
前記第2軌道部材(101,201)が前記スイッチ軌道区分の一部に沿って切込(104,204)を備える請求項の軌道。
【請求項6】
前記第1軌道部材(1)が前記スイッチ軌道区分の一部に沿って下方に延長したフランジ(103,203)を備える請求項の軌道。
【請求項7】
第1(1)及び第2(101)軌道部材を備え、スイッチ軌道区分を有する軌道から懸垂されるように配置されるボギー台車(40)であって、
−前記第2軌道部材(101)の上向き面(101a)に沿って走行するように配置される少なくとも1つの耐荷重車輪(150,250)と、
−前記第2軌道部材(101)の第1側面(101b)に沿って走行するように配置される第1下部ガイド車輪(153)及び前記第2軌道部材(101)の第2側面(101c)に沿って走行するように配置される第2下部ガイド車輪(152)を有する下部ガイド車輪のセットと、
−前記第1軌道部材(1)の第1ガイド面(16)に沿って走行するように配置される第1上部ガイド車輪(151a,151b)及び前記第1軌道部材(1)の第2ガイド面(17)に沿って走行するように配置される第2上部ガイド車輪(251a,251b)を有する少なくとも1つの上部ガイド車輪のセット
を備え、
前記第1側面(101b)及び前記第2側面(101c)は、前記上向き面(101a)の反対側に位置して、相互に反対を向いており、
前記第1ガイド面(16)及び前記第2ガイド面(17)は、向かい合い
前記第1・第2車輪走行面(16,17)が下向きのU形ビームのフランジの内面であり、前記フランジを接続する前記U形ビームのウェブが前記軌道に沿って移動するボギー台車(40)の駆動車輪(57)を受容するための下向き駆動車輪走行面(15)を備えることを特長とする前記ボギー台車(40)。
【請求項8】
前記ボギー台車(40)が前記第1軌道部材(1)の下方に延長したフランジ(103,203)と係合するように配置される上部スイッチ車輪(154a,254a,154b,254b)及び前記スイッチ軌道区分左(102)及び右(202)のスイッチレールと係合するように配置される下部スイッチ車輪(156,157,256,257)を備える請求項のボギー台車。
【請求項9】
前記ボギー台車(40)が前記第1軌道部材(1)の下向き走行面(15)に沿って走行するように配置される駆動車輪を備える請求項のボギー台車。
【請求項10】
前記ボギー台車(40)が前記駆動車輪を駆動するモーターを備える請求項のボギー台車。
【請求項11】
請求項1の前記軌道(1,101)に沿って走行するように製造された車両であって、少なくとも2つの請求項の前記ボギー台車(40)から懸垂される客車を備える車両。
【請求項12】
請求項1の軌道(1,101)及び少なくとも1つの請求項11の車両を有する輸送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪ベースの懸垂式車両用の軌道及びボギー台車に関する。最低2台の前記ボギー台車を備えた車両が前記軌道と共に輸送システムを形成する。特に、本発明は、しばしばPRT(個人用高速輸送システム)と呼ばれる公共輸送機関に有用である。
【背景技術】
【0002】
増加の一途を辿る都市生活者の輸送に関する問題は、良く知られている。都市型電車、路面電車およびバスといった形態の大型車両による公共輸送機関は人々が車両の到着を待たなければならないという問題を抱え、また、移動中にすべての駅や停留所で停車する。自動車は個人の移動にとっての柔軟性を提供するが、汚染、事故、渋滞および土地使用といった問題を抱えている。欠点がなく車両の柔軟性を提供する輸送システムは、PRTとして広く知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くのPRTシステムが開示され、特許を受けている。これらのシステムは、車輪上で駆動する回転式モーターまたはリニアモーターを備えているものとして特徴付けられる。車輪牽引ベースのシステムは天候条件により牽引損失の問題を抱え、一方、リニア電磁モーターは一般に回転式電気モーターよりも高価で低効率のため、リニア電磁モーターは経済的効率的な問題を抱えている。電車のような大型車両システムでは、不確実な牽引を長い運転間隔、すなわち車間時間で補正できる。小型車両システムでは軌道容量が少なくシステム上、経済的に不可能であるため、このような補正は可能でない。
【0004】
また、PRTシステムの車両は、軌道上に支持されるか軌道下に懸垂されるものとして特徴付けられる。懸垂式システムの1つ主な利点は、雪、水または破片が軌道の走行面に堆積するのを避けられることである。懸垂式システムは下向きの軌道開口を1つだけ備えることによりこれを達成でき、異物が軌道に侵入するリスクを大幅に軽減できる。
【0005】
多くの従来のPRTシステムは、客車を軌道下に懸垂させる設計である。この種の構造の1つの主な問題は、軌道開口の両側の走行面を一定の横間隔で維持しなければならないことである。軌道は通常、車両が通過できるように内側にかなりU形となるため、これは構造的に複雑である。この問題は、車両が客車に作用する横力を受けるという事実と複合する。これらの横力はねじりモーメントに転換されてこの作用で軌道を開いてしまう、すなわち軌道開口の幅を広くしてしまう傾向がある。これを避けるためには軌道を頑丈に作らなければならないが、重量が増し、横断面が広くなり、費用が高くなってしまう。
【0006】
PRTシステムを実行するためには、各車両を選択された軌道へスイッチ点で個々に切り替える可能性が要求される。オンボードスイッチ機構を備えた多くのシステムが設計され、特許を受けている。そのような設計は、軌道中の部品を動かすことなく切替を可能にするという利点がある。この種のスイッチ機構の問題は、特に懸垂式車両の構造にとって、スイッチを切り替えるときに上記のねじりモーメントを車両客車から軌道へ移転させる可能性を常に維持することである。
【0007】
米国特許第3830163号は、PRTシステムについて説明している。前記従来技術のPRTシステムの車両はガイド車輪とスイッチ車輪を別個に備えておらず、それはガイド兼スイッチ車輪がねじりモーメントからの圧力下にあるときにスイッチの動きを実行しなければならないことを意味し、車輪と軌道の摩耗、騒音および過度のエネルギー使用の原因になる。さらに、そのシステムは上向きの軌道面の下に位置する駆動車輪を備え、それは前述のように安全な軌道を提供しない配置である。さらに、前記開示のスイッチ機構は下向きの中央レールを備え、上向きの駆動車輪の使用の妨げとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、直線、移行、曲線およびスイッチの区分を備えた輸送システムの軌道を含有する。また、本発明は、前記軌道下に懸垂される車両客車用のボギー台車を含有する。軌道の軌道区分は、第1軌道部材と言及する上部レールおよび第2軌道部材と言及する1つか2つの下部レールを備える。直線と曲線の軌道部材は、軌道を支持する片持ち柱の設置に好適な側として適当とされる左側か右側に1つの下部レールを備える。移行区分は左右に2つの下部レールを備え、対向側の下部レールを備える直線または曲線の軌道部材の間で使用される。スイッチは共通経路上に2つの下部レールを備え、1つずつがスイッチの2つの代替経路上にある。さらに、スイッチ区分では、これらの下部レールは、前記軌道により誘導されるボギー台車の各耐荷重車輪との係合を維持している間にボギー台車の下部ガイド車輪ともはや係合しないという点で特別である。この配置により、後述する通り、ボギー台車のスイッチ車輪を適当に位置決めすることによりボギー台車はスイッチから左または右の代替経路を選択することが可能になる。
【0009】
好適な構造のボギー台車は、2セットの上部ガイド・スイッチ車輪および1セットの下部ガイド・スイッチ車輪を備える。また、それらは、1つの左耐荷重車輪、1つの右耐荷重車輪および上向きで第1軌道部材の下向き走行面と係合する1つの駆動車輪を備える。各セットの下部ガイド車輪は、ボギー台車の部品を動かすことなく移行区分を通過させられるように、左右の車輪対から成る。スイッチ車輪は、スイッチに至る十分前に好適な移動方向に従って位置決めできるようにガイド車輪から分離している。
【0010】
本発明の1つの態様によれば、添付の特許請求項1の特長を持つ軌道が提示される。
【0011】
本発明の1つの更なる態様によれば、添付の特許請求項8の特長を持つ懸垂式ボギー台車が提示される。
【0012】
本発明の1つの更なる態様によれば、前記懸垂式ボギー台車を土台とする車両が請求項20で提示される。
【0013】
本発明の1つの更なる態様によれば、前記軌道と前記懸垂式ボギー台車を含有する輸送システムが請求項21で提示される。
【0014】
また、本発明の更なる態様と実施例を従属請求項で提示している。
【0015】
本発明では回転式電気モーターの使用が好適であり、下向きの駆動車輪を受容する走行面を下向きの開口を備え大部分が囲繞された第1軌道部材の内部に設置することにより最大限に信頼できる摩擦が保証される。駆動車輪走行面に係合するときのボギー台車の駆動車輪の接触力は、サーボ機構の使用により調整できる。接触力は異なる駆動・ブレーキ力の要件と摩擦係数に適応するように調整でき、それにより各駆動車輪中の転がり抵抗を最小化しつつ駆動車輪の大幅なスリップを防止できる。
【0016】
軌道システムの軌道に沿って誘導される車両は本書で説明する2台以上のボギー台車から懸垂される客車を含有し、前記ボギー台車は順々に一列に配置され、そこでは車両の2台以上のボギー台車が相互に連結される。
【0017】
本発明により達成される利点は、以下の通りである。
−すべての天候条件でシステムの安全性を維持しつつ短い車両運転間隔を達成できるように、回転式電気モーターの使用に伴い起こり得る摩擦損失に関連する欠点を最小限にする。
−転がり抵抗を原因とするエネルギー損失を最小限にする。
−雪、水または破片が軌道内部に堆積するリスクを軽減する。
−前記したねじりモーメントの悪影響を除去し、それにより他のシステムと比較した場合の軌道の軽量化、断面の縮小、費用の軽減を実現する。
−ネットワーク型または網状の軌道レイアウトを可能にし、そこではオンボードスイッチ機構を使用して各スイッチで車両が進路を選択でき、このスイッチ機構によりスイッチを切り替えるときにねじりモーメントを車両客車から軌道へ常に移転できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、直線の軌道部材上のボギー台車の断面図である。
図2図2は、スイッチを中立位置の直線の軌道部材上のボギー台車の斜視図である。
図3図3は、スイッチから左方向に走行するように設定されたボギー台車を示すスイッチの斜視図である。
図4図4は、スイッチから右方向に走行するように設定されたボギー台車を示すスイッチの斜視図である。
図5図5は、図3に示した左走行のスイッチ中のボギー台車の下からの斜視図である。
図6図6は、図4に示した右走行のスイッチ中のボギー台車の下からの斜視図である。
図7図7は、上向き駆動装置を示すボギー台車の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付の図面を参照し、本発明の実施例を以下に詳細に説明する。
【0020】
図1には、第1軌道部材1である上側U形軌道部材および第2軌道部材101と言及され、この場合は移動方向の左側に配置された下軌道部材から成る直線の軌道区分上のボギー台車の好適実施例を示している。これらの第1軌道部材1と第2軌道部材101は例えばリブ(110、図2を参照)の使用により相互に固定的に連結し、下向き開口を備えたU形カバー(図示なし)で囲繞するのが好適である。
【0021】
ボギー台車40は、左右の耐荷重車輪150と250を保持するボギー台車フレーム50を備える。図示した実施例では、左耐荷重車輪150は左第2軌道部材101の上向き面101aと接触し、それにより下方向の力をボギー台車から軌道へと移転させる。ボギー台車40は、ボギー台車フレーム50により担持される上部ガイド車輪151a、151b、251aおよび251bを備える。前記上部ガイド車輪151a、151b、251aおよび251bの目的は、ボギー台車を上部位置で、すなわち第1軌道部材1の位置で軌道と整列させることである。また、ボギー台車には、ボギー台車を下部位置で、すなわち第2軌道部材の位置で軌道と整列させる目的で、左内側ガイド車輪152と左外側ガイド車輪153を含有する1セットの左下部ガイド車輪152と153が取り付けられている。それに対応して、ボギー台車には、右第2軌道部材(図示なし)がある軌道区分においてセットの左下部ガイド車輪152と153と同じ役割を果たす目的で、右内側ガイド車輪252と右外側ガイド車輪253を含有する1セットの右下部ガイド車輪252と253が取り付けられている。その代わりに、軌道が軌道の主要部分に沿って右第2軌道部材を備えている場合があり、その場合にボギー台車は前記右下部ガイド車輪252と253により誘導され、左第2軌道部材101がある軌道区分で前記左下部ガイド車輪152と153により誘導される。
【0022】
軌道の第1軌道部材1は、内側方向に向かい合う上部1セットの第1車輪走行面16と第2車輪走行面17を提供する。前記車輪走行面16と17は、下向きのU形ビームのフランジの内面である。前記フランジを接続する前記U形ビームのウェブは、ボギー台車40の駆動車輪を受容するための下向き駆動車輪走行面15を備える。
【0023】
軌道の第2軌道部材101は上向き面101a、前記第2軌道部材101側面の第1外向き面101bおよび前記第2軌道部材101対向側面の第2内向き面101cを含有する下部1セットの車輪走行面を提供し、前記下部セットの車輪走行面は、上部セットの車輪走行面間の中央ラインと交差する垂直面に対してオフセットしている。“中央ライン”と言う用語は、本書では前記車輪走行面16と17に対し等しい間隔で第1軌道部材1の車輪走行面16と17の間に軌道に沿って位置するラインを意味している。
【0024】
第1・第2軌道部材1と101は、軌道に沿って一定の間隔でリブ110(図2で概略的に図示)により相互に堅固に連結される。前記リブは、軌道に沿って等しい間隔で第1・第2軌道部材を維持する。第1・第2軌道部材はスチール製で、溶接かボルトでリブに固定するのが好適である。
【0025】
前記軌道に沿って走行するように製造された車両は少なくとも2台のボギー台車40から懸垂される客車を備え、そこでは前記ボギー台車自体が前記第1・第2軌道部材1と101を有する軌道から懸垂される。
【0026】
1セットの左下部ガイド車輪152と153は、前記第2軌道部材101の第1側面101bに沿って走行するように位置する前記第1下部ガイド車輪153および前記第2軌道部材101の第2側面101cに沿って走行するように位置する前記第2下部ガイド車輪152を含有する。
【0027】
1セットの右下部ガイド車輪252と253は、前記第2軌道部材201の第1側面201bに沿って走行するように位置する前記第1下部ガイド車輪253および前記第2軌道部材201の第2側面201cに沿って走行するように位置する前記第2下部ガイド車輪252を含有する。
【0028】
1セットの上部ガイド車輪は、ここでは前記第1軌道部材1の第1ガイド面16と呼ぶ第1内向き走行面に沿って走行するように位置する前記第1上部ガイド車輪151aと151bおよびここでは前記第1軌道部材1の第2ガイド面17と呼ぶ第2内向き走行面に沿って走行するように位置する第2上部ガイド車輪251aと251bを備え、前述の通り第1・第2ガイド面16と17は向かい合う。
【0029】
車両と前記車両用の軌道を含有する輸送システムでは、軌道のスイッチ区分で車両を異なる軌道経路に切り替えられることがしばしば必要になる。以下、車両ボギー台車をスイッチ区分で切り替えることについて説明する。図2には、後部スイッチシャフト51bが(ボギー台車移動の方向に)見られる。図7には、対応する前部スイッチシャフト51aが見られる。シャフト51bは上部・下部ベアリング55bと56b(図1)によりボギー台車フレーム50に枢動(ピボット動)可能に接続され、左上部スイッチ車輪154bと右上部スイッチ車輪254bが取り付けられる後側上部スイッチ車輪ホルダー52bを支持する。対応する前部の構成要素が図7に見られ、そこではシャフト51aが上部・下部ベアリング55aと56aによりボギー台車フレーム50に枢動可能に接続されているのが開示され、また、そこでは前部シャフト51aがボギー台車先端部で左上部スイッチ車輪154aと右上部スイッチ車輪254aが取り付けられる前側上部スイッチ車輪ホルダー52aを支持する。そのようにして、前部・後部スイッチシャフト51aと51bは、前記シャフトの回転により上部スイッチ車輪の係合を制御できる。シャフト51aと51bはスイッチ駆動(図示なし)により回転させられ、両方のシャフトは弓形で概ね左右側方の運動を行って切替を行うスイッチプレート54に接続される。その配置の結果、前部・後部シャフト51aと51bは、スイッチプレート54の運動と共に反対方向に回転する。また、下部スイッチ車輪スインガー155と255がスイッチプレート54により係合され、それらはスイッチシャフト51aと51bにより下部スイッチクランク53aと53bおよび上部スイッチ車輪ホルダー52aと52bと同期的に回転する。その結果、上部スイッチ車輪154a、254a、154bおよび254bも、スイッチシャフト51aと51bと同期的に回転する。外側下部スイッチ車輪156と256は各々の下部スイッチ車輪スインガー155と255上に取り付けられ、一方、内側下部スイッチ車輪157と257はボギー台車フレーム50上に直接取り付けられる。スイッチプレート54は、301、302および303の箇所で3つの同じ長さのクランク機能に取り付けられているため弓形の運動を行うことができる。スイッチクランク53bは、クランク53bを、また、スイッチシャフト51bにより上部スイッチホルダー52bを前記3つのクランク機能301、302および303に反対方向に回転させるスイッチプレートのスロット配列304中のピンによりスイッチプレート54に接続される(図7も参照)。
【0030】
下部スイッチ車輪は左スインガー155に取り付けられる左外側スイッチ車輪156および右スインガー255に取り付けられる右外側スイッチ車輪256を含有し、前記左右のスインガーは、クランク機能301と303により前記スイッチプレート54に枢動可能に取り付けられ、また、フレーム50に枢動可能に取り付けられ、それによりスイッチプレート54の運動に伴い右外側スイッチ車輪256がフレーム50から離れて外側に回転するときに左外側スイッチ車輪156がフレーム50に向かって内側に回転し、また、その逆も同じになる。
【0031】
図3では、ボギー台車が入口点305からスイッチに近付いており、左スイッチ出口306に行くように位置決めされたスイッチ機構を備えている。ボギー台車40が下部スイッチレール102と202の始点に到達するとき、左下部外側スイッチ車輪156は左下部スイッチレール102の外(左)側を進み続け、一方、右下部外側スイッチ車輪256は右下部スイッチレール202の内側を進み続け、それによりボギー台車を下部垂直位置で左スイッチ出口306に向かって進み続けさせる。同時に、左上部スイッチ車輪154aと154bが第1軌道部材1の下方に延長した左フランジ103の左側と係合し、一方、右上部スイッチ車輪254aと254bが下方に延長した右フランジ203の内側を進み続け、それによりボギー台車を上部垂直位置で左スイッチ出口306に向かって進み続けさせる。右下部スイッチレール201は位置204に切込を備えているため、右下部ガイド・スイッチ車輪253、256および257が左スイッチ出口306への直線の進路を進むのを妨害されることはない。上部・下部スイッチ車輪の両方が協働してボギー台車を左スイッチ出口306に向かって進み続けさせるという事実により、ボギー台車40がスイッチを通過するときに作用する場合があるねじりモーメントは軌道に移転できることが、すなわちボギー台車はそのようなモーメントが存在するときでさえ縦軸を回転させられないということが確実になる。ここで使用した入口と出口の呼び方にかかわらず、ボギー台車はここで説明した方向に進むばかりでなく位置306または位置307で反対方向からスイッチに入場して位置305に向かって進み続けることも同様に可能である。
【0032】
下部スイッチレール102と202は、スイッチ区分内部で一定の間隔で110と類似したリブにより下軌道部材101と201および上軌道部材1に堅固に接続される(図示なし)。
【0033】
図4図3と非常に類似しているが、この図ではボギー台車40がスイッチの右出口307に行くように位置決めされたスイッチ機構を備えている。右下部スイッチ車輪スインガー255は、それがボギー台車中央から外側に離れて位置決めされ、右外側下部スイッチ車輪256が右下部スイッチレール202の外(右)側を通過するように回転されている。右下部スイッチレール202は軌道の縦方向から右方向へ折れて離れる曲線として形成されているため、ボギー台車は下部垂直位置で右出口307に向かって軌道を進ませられる。同時に、上部スイッチ車輪ホルダー52aと52bは同期的に回転されており、それにより右上部スイッチ車輪254aと254bはボギー台車中央から右方向に外側に離れて対応して位置決めされ、前記右上部スイッチ車輪254aと254bは第1軌道部材1の下方に延長した右フランジ203の外側を通過し、それによりボギー台車40を上部垂直位置で右スイッチ出口307に向かって進み続けさせる。左下部レール101は図の位置104に切込を備えているため、左下部ガイド・スイッチ車輪153、156および157が右スイッチ出口307への曲線の進路を進むのを妨害されることはない。
【0034】
図5は、左スイッチ出口306に向かう途中のボギー台車40を示している。この位置では、左上部スイッチ車輪154aと154bは上軌道部材1の下方に延長した左フランジ103の外側にあり、それらは左上部ガイド車輪151aと151bと協働でボギー台車を上部位置で左スイッチ出口306に向かって進み続けさせる。右上部スイッチ車輪254aと254bは上軌道部材1の下方に延長した右フランジ203の内側にあり、妨害されることなく左スイッチ出口306に向かって進み続けられる。左外側下部スイッチ車輪156は左下部スイッチレール102の外側にあり、それは左内側下部スイッチ車輪157と協働でボギー台車を下部位置で左スイッチ出口306に向かって進み続けさせる。この縦の位置で、下部ガイド車輪153と253は位置104と204の切込により下軌道部材101と201から引き離され、前記下軌道部材により係合されることなく左スイッチ出口306に向かって通過できる。右外側下部スイッチ車輪256は内側に回転されており、それは右内側下部スイッチ車輪257と共に左スイッチ出口306に向かって位置204の切込を通過できる。
【0035】
図6は、右スイッチ出口307に向かう途中のボギー台車40を示している。この位置では、右上部スイッチ車輪254aと254bは図4に関して説明したように回転されており、上軌道部材1の下方に延長した右フランジ203の外側にあり、それらは右上部ガイド車輪251aと251bと協働でボギー台車を上部位置で右スイッチ出口307に向かって進ませる。左上部スイッチ車輪154aと154bは上軌道部材1の下方に延長した左フランジ103の内側を通過し、妨害されることなく右スイッチ出口307に向かって移動できる。右外側下部スイッチ車輪256は右下部スイッチレール202の外側に対応して位置し、それは右内側下部スイッチ車輪257と協働でボギー台車40を下部位置で右スイッチ出口307に向かって進め続けさせる。この縦の位置で下部ガイド車輪153と253は位置104と204の切込により下軌道部材101と201から引き離され、右スイッチ出口307に向かって通過できる。左下部スイッチ車輪156は左スイッチ車輪スインガー155により右内側に回転されており、それは左内側下部スイッチ車輪157と共に右スイッチ出口307に向かって位置104の切込を通過できる。
【0036】
図7は、第1軌道部材1の下向き駆動車輪走行面15(図1)と係合する駆動車輪57により象徴される所謂、車輪モーターを利用する1つの好適な駆動機構を示している。車輪モーターの周辺は、摩擦を増すことを目的としたゴム製被覆または類似物を備えている。車輪モーターと前記駆動車輪走行面15との間の垂直力は、ある種のギアボックスおよびクランクかエキセンターの機能を備えた電気モーターでも同様の機能を果たせるものの、ここでは油圧シリンダーの形態で示した加圧アクチュエーター59の使用により調整できる。加圧アクチュエーターにより発揮される力は、ここではレバー機構として示した駆動車輪加圧器58により車輪モーターに移転される。加圧器58は、加圧アクチュエーター59により動かされるときに308の箇所の第1接合部の周りで回転する。この運動は309の箇所の第2接合部により車輪モーターに移転され、それにより(主に)車輪モーターのゴム製被覆の圧縮を変化させ、次に意図したように走行面15に対する駆動車輪の垂直力に作用する。
以下は、出願時の特許請求の範囲の写しである。
[請求項1]
輸送システムにおける懸垂式車両用の軌道であって、前記システムが、
−内側方向に向かい合う第1・第2車輪走行面(16,17)の上部セットを提供する第1軌道部材(1)と、
−上向き面(101a)、第2軌道部材(101)側面の第1外向き面(101b)および前記第2軌道部材(101)対向側面の第2内向き面(101c)を含有する車輪走行面の下部セットを提供する前記第2軌道部材(101)
を備えていることを特長とする軌道。
[請求項2]
前記車輪走行面の下部セットが前記車輪走行面(16,17)の上部セットの間の垂直の中央ラインに関して横方向にオフセットしている請求項1の軌道。
[請求項3]
前記第1・第2車輪走行面(16,17)が下向きのU形ビームのフランジの内面であり、前記フランジを接続する前記U形ビームのウェブが前記軌道に沿って移動するボギー台車(40)の駆動車輪(57)を受容するための下向き駆動車輪走行面(15)を備える請求項1または2の軌道。
[請求項4]
前記第1(1)及び第2(101)軌道部材が前記軌道に沿って一定の間隔でリブ(110)により相互に堅固に連結される請求項1または2の軌道。
[請求項5]
スイッチ軌道区分の部分における前記軌道が左右出口(306,307)に向かって前記スイッチ軌道区分に沿って移動する前記ボギー台車(40)を誘導するための左(102)及び右(202)のスイッチレールを備え、前記スイッチ軌道区分の少なくとも一部に沿って前記軌道が左(101)及び右(201)の第2軌道部材の両方を備えている請求項1の軌道。
[請求項6]
前記第2軌道部材(101,201)が前記スイッチ軌道区分の一部に沿って切込(104,204)を備える請求項5の軌道。
[請求項7]
前記第1軌道部材(1)が前記スイッチ軌道区分の一部に沿って下方に延長したフランジ(103,203)を備える請求項5の軌道。
[請求項8]
第1(1)及び第2(101)軌道部材を備える軌道から懸垂されるように配置されるボギー台車(40)であって、
−前記第2軌道部材(101)の上向き面(101a)に沿って走行するように配置される少なくとも1つの耐荷重車輪(150,250)と、
−前記第2軌道部材(101)の第1側面(101b)に沿って走行するように配置される第1下部ガイド車輪(153)及び前記第2軌道部材(101)の第2側面(101c)に沿って走行するように配置される第2下部ガイド車輪(152)を含有する下部ガイド車輪のセットと、
−前記第1軌道部材(1)の第1ガイド面(16)に沿って走行するように配置される第1上部ガイド車輪(151a,151b)及び前記第1軌道部材(1)の第2ガイド面(17)に沿って走行するように配置される第2上部ガイド車輪(251a,251b)を含有する少なくとも1つの上部ガイド車輪のセット
を備えることを特長とする前記ボギー台車(40)。
[請求項9]
前記ボギー台車(40)が前記第1軌道部材(1)の下方に延長したフランジ(103,203)と係合するように配置される上部スイッチ車輪(154a,254a,154b,254b)及び前記軌道のスイッチ区分で下部スイッチレール(102,202)と係合するように配置される下部スイッチ車輪(156,157,256,257)を備える請求項8のボギー台車。
[請求項10]
前記ボギー台車(40)がボギー台車フレーム(50)に枢動可能に接続されるスイッチシャフト(51a,51b)を有し、前記スイッチシャフト(51a,51b)がスイッチ車輪ホルダー(52a,52b)を保持し、前記スイッチ車輪ホルダー(52a,52b)が前記上部スイッチ車輪(154a,254a,154b,254b)を保持する請求項9のボギー台車。
[請求項11]
前記スイッチシャフト(51a,51b)が前記ボギー台車の中央ラインに対して前記下部スイッチ車輪(156,256)の位置を制御するように配置されるスイッチプレート(54)と係合する請求項10のボギー台車。
[請求項12]
前記下部スイッチ車輪が左スインガー(155)に取り付けられる左外側スイッチ車輪(156)および右スインガー(255)に取り付けられる右外側スイッチ車輪(256)を含有し、前記左右のスインガーが位置(301,303)で前記スイッチプレート(54)に枢動可能に取り付けられ、また、前記フレーム(50)に枢動可能に取り付けられ、それにより前記スイッチプレート(54)の運動に伴い前記右外側スイッチ車輪(256)が前記フレーム(50)から離れて外側に回転するときに前記左外側スイッチ車輪(156)が前記フレームに向かって内側に回転し、また、その逆も同じになる請求項11のボギー台車。
[請求項13]
前記シャフト(51a)を前記スインガー(155,255)と共に回転させるように、クランク(53a)が、位置(302)で前記スイッチプレート(54)に枢動可能に取り付けられ、また、前記シャフト(51a)に固定的に取り付けられている請求項12のボギー台車。
[請求項14]
前記シャフト(51b)を前記スインガー(155,255)と反対方向に回転させるように、クランク(53b)が、前記スイッチプレートに配置されるスロット(304)により前記スイッチプレート(54)に接続され、また、前記シャフト(51b)に固定的に取り付けられている請求項12のボギー台車。
[請求項15]
前記ボギー台車(40)が前記ボギー台車フレーム(50)に枢動可能に接続される前後のスイッチシャフト(51a,51b)を有し、前記スイッチシャフト(51a,51b)が前記スイッチ車輪ホルダー(52a,52b)を保持し、前記スイッチ車輪ホルダー(52a,52b)が前記上部スイッチ車輪(154a,254a,154b,254b)を保持する請求項9のボギー台車。
[請求項16]
前記スイッチシャフト(51a,51b)が前記ボギー台車の中央ラインに対して前記下部スイッチ車輪(156,256)の位置を制御するように配置されるスイッチプレート(54)と係合する請求項15のボギー台車。
[請求項17]
前記前後のスイッチシャフト(51a,51b)がスイッチ動作の間に反対方向に回転する請求項16のボギー台車。
[請求項18]
前記下部スイッチ車輪が前記左スインガー(155)に取り付けられる前記左外側スイッチ車輪(156)および前記右スインガー(255)に取り付けられる前記右外側スイッチ車輪(256)を含有し、前記左右のスインガーが位置(301,303)で前記スイッチプレート(54)に枢動可能に取り付けられ、また、前記フレーム(50)に枢動可能に取り付けられ、それにより前記スイッチプレート(54)の運動に伴い前記右外側スイッチ車輪(256)が前記フレーム50から離れて外側に回転するときに前記左外側スイッチ車輪(156)が前記フレームに向かって内側に回転し、また、その逆も同じになり、前部クランク(53a)が位置(302)で前記スイッチプレート(54)に枢動可能に接続され、また、前記前部スイッチシャフト(51a)に固定的に取り付けられ、前記前部スイッチシャフト(51a)を前記スインガー(155,255)と共に回転させ、さらに後部クランク(53b)が前記スイッチプレートに配置されるスロット(304)によりスイッチプレート(54)に接続され、また、前記前部スイッチシャフト(51b)に固定的に取り付けられ、前記前部スイッチシャフト(51b)を前記スインガー(155,255)と反対方向に回転させる請求項17のボギー台車。
[請求項19]
前記ボギー台車(40)が前記第1軌道部材(1)の下向き走行面(15)に沿って走行するように配置される駆動車輪を備える請求項8〜18のいずれかのボギー台車。
[請求項20]
前記ボギー台車(40)が前記第1軌道部材(1)の走行面(15)と係合するリニアモーターを備える請求項8〜18のいずれかのボギー台車。
[請求項21]
請求項1の前記軌道(1,101)に沿って走行するように製造された車両であって、少なくとも2つの請求項8の前記ボギー台車(40)から懸垂される客車を備える車両。
[請求項22]
請求項1の軌道(1,101)及び少なくとも1つの請求項21の車両を含有する輸送システム。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】米国特許第3,830,163号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7