特許第5756174号(P5756174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756174
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】コアジャケットリボンワイヤ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20150709BHJP
【FI】
   H01L21/60 301F
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-520000(P2013-520000)
(86)(22)【出願日】2011年7月18日
(65)【公表番号】特表2013-531393(P2013-531393A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】EP2011003585
(87)【国際公開番号】WO2012022404
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2013年3月21日
(31)【優先権主張番号】102010031993.7
(32)【優先日】2010年7月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511213476
【氏名又は名称】ヘレウス マテリアルズ テクノロジー ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ミルケ オイゲン
(72)【発明者】
【氏名】ディック ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】プレノジル ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ヴルフ フランク−ヴェルナー
【審査官】 粟野 正明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−042138(JP,A)
【文献】 特開2007−324603(JP,A)
【文献】 特開平02−211646(JP,A)
【文献】 特開2004−128216(JP,A)
【文献】 実開昭58−057305(JP,U)
【文献】 特表2004−519993(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0079042(US,A1)
【文献】 特開平08−236565(JP,A)
【文献】 特表2009−531870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材料から作製されたワイヤコアと、前記ワイヤコアを封入し、第2の材料から作製されたワイヤジャケットとを含む、ボンディングワイヤであって、前記第1の材料は銅、銅合金および銅を含む金属間相からなる群から選択される材料であり、前記第2の材料はアルミニウム、アルミニウム合金およびアルミニウムを含む金属間相からなる群から選択される材料であり、
前記ボンディングワイヤは0.8以下のアスペクト比を有し、
前記ワイヤジャケットの厚さが少なくとも250nmであり、
前記ワイヤジャケットの材料は、前記ボンディングワイヤの断面積に対して、5〜50%の面積を占め、
前記ボンディングワイヤは矩形の断面を有し、前記矩形の断面の幅が50〜400μm、前記矩形の断面の長さが400〜4,000μmであるボンディングワイヤ。
【請求項2】
少なくとも1つの基板と、請求項1に記載のボンディングワイヤにより接続される1つのコンポーネントとを含む、サブアセンブリ。
【請求項3】
(i)第1の材料から作製されたワイヤコアと、前記ワイヤコアを封入し、第2の材料から作製されたワイヤジャケットとを含む円形ワイヤを提供する工程であって、前記第1の材料は第1の金属を含み、前記第2の材料は第2の金属を含み、前記第1の金属は前記第2の金属とは異なる、工程と、
(ii)前記円形ワイヤをリフォームする工程と、
を含む、請求項1に記載のボンディングワイヤを製造する方法。
【請求項4】
前記円形ワイヤは平板圧延によりリフォームされる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記円形ワイヤは引き抜き型により引き抜くことによってリフォームされる、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンディングワイヤ、該ボンディングワイヤを含むサブアセンブリ、および該ボンディングワイヤを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボンディングワイヤは、多くの場合、例えば、配線支持部などの支持基板に半導体チップを電気接続するためのマイクロエレクトロニクスに使用される。
【0003】
断面の異なる円形の薄いワイヤまたは厚いワイヤを使用することが慣例となっている。薄いワイヤの直径は17〜100μmの範囲であるのに対して、厚いワイヤは100〜500μmの直径により特徴付けられる。
【0004】
最近、それは、異なる材料の複数のシートまたは層からなり得る円形ボンディングワイヤを使用する特定の用途に応じて有益であり得ると確立されている。
【0005】
従って、例えば、特許文献1から、超音波ボンディングの信頼性が、この目的のためにアルミニウム製のジャケットを有する金または銅製のボンディングワイヤの使用により改良され得ることが知られている。
【0006】
特許文献2は、コストの理由のために、純粋な金ワイヤの代わりに、金でコーティングされた、銅、銀またはパラジウム製のボンディングワイヤを提供することにより、ボンディングワイヤにおける金の量を減少させることを提案している。
【0007】
特許文献3によれば、銅製のボンディングワイヤは、それらを酸化防止材料から作製された層でコーティングすることにより酸化から保護される。
【0008】
上記の円形断面を有するボンディングワイヤは多くの用途に適切であるが、いわゆるリボンワイヤの使用もまた、何年にもわたって確立されている。それらは円形断面を有さないように特徴付けられているが、楕円形または矩形断面を有し、電力成分におけるボンディングのために主に使用される。大きいが、また平坦である、リボンワイヤの形状は、多くの厚いボンディングワイヤよりむしろ、小数のみのリボンワイヤが、接触を達成するために結合するのに必要とされるので、処理がより迅速になるという実務的な利点を有する。さらに、ボンディングワイヤ(結合パッド)により接触される表面は、基部における広がりがほとんどないので、リボンワイヤにより十分に覆われる。さらに、リボンワイヤの平坦な形状により、より下方にループを生成できる。さらに、同様のループ形状におけるヒール損傷、すなわちボンディングワイヤの感受性アークの損傷は、同等の厚いワイヤより明らかに目立たない。これにより、短い結合によりブリッジされる非常に多くの工程およびそれによるハウジングボンディングにおける高密度に詰められた形状を実装することが可能となる。
【0009】
異なる材料から作製された複数の層を有するボンディングワイヤの使用に関連した上記の利点およびリボンワイヤの使用に関連した利点を組み合わせるために、サンドイッチ構造を有するリボンワイヤを製造することが提案されている。
【0010】
特許文献4は、例えば、片側にはんだ付け可能なコーティングおよび反対側に結合可能なコーティングを含むボンディングワイヤを開示している。
【0011】
特許文献5はまた、サンドイッチ構造を有し、少なくとも3つの層、すなわち2つの外層および少なくとも1つの介在層を含むように提供されるボンディングワイヤを記載している。当該ボンディングワイヤは熱間圧延により製造され得る。これにより、ボンディングワイヤの異なる層が、もっぱら互いに平行に配置され、それにより、ワイヤの側面から見えることが確保される。
【0012】
しかしながら、試験により、従来技術から公知のサンドイッチ構造を有するボンディングワイヤは、これまで達成されているプラスの特性に加えて、様々な不都合な点に関係することが示されている。
【0013】
サンドイッチ構造を有するボンディングワイヤのボンディングは、多くの場合、接続されるチップおよび/または支持部の表面(ボンディング表面)に対する損傷と関連することが示されている。さらに、サンドイッチ構造を有するリボンワイヤを含むサブアセンブリが使用される場合、短絡の危険性が著しく高くなることが証明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】独国特許第4232745号明細書
【特許文献2】欧州特許第1279491号明細書
【特許文献3】特開昭62−97360号公報
【特許文献4】独国特許出願公開第10 2006 060 899(A1)号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第10 2006 025 870(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明は、従来技術により公知のサンドイッチ構造を有するボンディングワイヤの使用から生じる不都合を回避しながら、異なる材料から作製される多層を有するボンディングワイヤの使用に関連する利点と、リボンワイヤの使用に関連する利点とを合わせる目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的は本発明に係るボンディングワイヤにより満たされ、そのボンディングワイヤは、第1の材料から作製されたワイヤコアと、前記ワイヤコアを封入し、第2の材料から作製されたワイヤジャケットとを含み、前記第1の材料は第1の金属を含み、前記第2の材料は第2の金属を含み、前記第1の金属は前記第2の金属とは異なり、ボンディングワイヤは0.8以下のアスペクト比を有する。
【0017】
本発明の範囲はまた、少なくとも1つの基板と、この種のボンディングワイヤにより接続される1つのコンポーネントとを含む、サブアセンブリを含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
前記ボンディングワイヤは、(i)第1の材料から作製されたワイヤコアと、前記ワイヤコアを封入し、第2の材料から作製されたワイヤジャケットとを含む円形ワイヤが提供され、ここで、第1の材料は第1の金属を含み、第2の材料は第2の金属を含み、第1の金属は第2の金属とは異なり、(ii)前記円形ワイヤがリフォームされる、方法により製造され得る。
【0019】
本発明は、サンドイッチ構造を有するリボンワイヤをボンディングする際に生じる観察されたボンディング表面に対する損傷、および前記リボンワイヤが提供されるサブアセンブリの使用の際の短絡の高い危険性が、リボンワイヤのサンドイッチ構造に関連するという知見に基づく。
【0020】
前記サンドイッチ構造を生成するために、第1の材料から作製されたリボンは第2の材料でコーティングされる。次いで前記リボンは通常、サンドイッチ構造を有する対応するホイルを生成するために平板圧延される。最終的にボンディングワイヤを得るために、それらは適切な切断器具を用いてホイルから切断される。これにより、ボンディングワイヤの長手方向側に沿って、すなわちボンディングワイヤの断面に垂直に切断バリ(burr)が生成される。前記バリは、ボンディングプロセスの間、ボンディング表面に対する損傷だけでなく、多くの場合、サンドイッチ構造を有する前記リボンワイヤを含むサブアセンブリの使用の際に生じる、観察される短絡も引き起こす。
【0021】
従って、製品は、最初に、サンドイッチ構造を有する合成物を生成することに関し、
次いで切断されることが必要とされ、その結果、切断バリが形成されるため、従来技術に係るサンドイッチ構造を有するリボンワイヤの切断バリが生成される。
【0022】
対照的に、第1の材料から作製されたワイヤコアと、ワイヤコアを封入し、第2の材料から作製されたワイヤジャケットとを含む、本発明に係るボンディングワイヤは、この手順により全く生成され得ない。むしろ、これらのボンディングワイヤは、最初に、適切なコアジャケット円形ワイヤを提供し、次いで切断器具を使用せずに前記ワイヤをリフォームすることにより、生成される。
【0023】
従って、本発明は、第1の材料から作製されたワイヤコアと、前記ワイヤコアを封入し、第2の材料から作製されたワイヤジャケットとを含み、ここで、第1の材料は第1の金属を含み、第2の材料は第2の金属を含み、第1の金属は第2の金属とは異なる、リボンワイヤの形態のボンディングワイヤを提供する。製品の詳細に起因して、前記ボンディングワイヤは、ボンディングの間、ボンディング表面に対して損傷を引き起こし得るか、または前記ボンディングワイヤが設けられているサブアセンブリの操作の際に短絡を引き起こし得るバリを含まない。さらに、前記ボンディングワイヤは、コアの第1の材料と、コアを封入するジャケットの第2の材料との間に開口接触部位(それはサンドイッチ構造を有するボンディングワイヤの場合必要である)を含まない。これにより、従来技術に係るサンドイッチ構造を有するリボンワイヤと異なり、それらの製造および使用の間、ワイヤの腐食を受ける部位が生成されない。さらに、従来技術に係るサンドイッチ構造を有するリボンワイヤのサンドイッチ構造の個々の層は、周囲空気に曝露されるので、酸化するのに対して、本発明はワイヤコアの材料の酸化を排除する。
【0024】
従って、本発明に係るボンディングワイヤは、第1の材料から作製されたワイヤコアと、ワイヤコアを封入し、第2の材料から作製されたワイヤジャケットとを含む。
【0025】
ワイヤコアは、ワイヤジャケットにより完全に封入される構造を意味すると理解される。
【0026】
ワイヤジャケットは、ワイヤコアを完全に封入する層であると理解される。ワイヤジャケットの厚さは決して限定されないが、好ましくは少なくとも10nm、より好ましくは少なくとも30nm、さらにより好ましくは少なくとも250nm、特に好ましくは少なくとも500nm、さらにより特に好ましくは少なくとも1μmであり、特に少なくとも10μmである。
【0027】
本発明の範囲によれば、ワイヤコアの材料が、ボンディングワイヤの長手方向側に沿ってボンディングワイヤの表面に配置されないが、ワイヤジャケットにより覆われる場合、ワイヤコアはワイヤジャケットにより完全に封入される。しかしながら、本発明によれば、ワイヤコアの材料およびワイヤジャケットの材料の両方は、ボンディングワイヤの横方向側の表面に配置されることが好適であり得る。
【0028】
本発明によれば、ボンディングワイヤは、ワイヤコアと、ワイヤジャケットからなり得るか、またはワイヤコアおよびワイヤジャケットとは別の少なくとも1つのさらなる層を含み得る。従って、本発明の範囲はまた、ワイヤコア、ワイヤジャケット、およびワイヤコアを封入する少なくとも1つのさらなる層を含むボンディングワイヤを含む。前記少なくとも1つのさらなる層は、ワイヤコアとワイヤジャケットとの間に配置され得るか、またはワイヤコアおよびワイヤジャケットの両方を完全に封入してもよい。従って、本発明によれば、ワイヤコアは必ずしもワイヤジャケットと直接接触しなくてもよい。ワイヤジャケットはワイヤコアを封入するのに十分であり、ワイヤコアが、さらなる層により封入され、また、前記層がワイヤコアおよびワイヤジャケットに対して配置されるか否かは重要ではない。従って、ワイヤコアは多層により封入され、それにより、多層はワイヤジャケットとみなされることが考えられる。
【0029】
特定の好ましい実施形態によれば、ワイヤコアは均質な組成を有する構造である。前記構造は好ましくはボンディングワイヤの内側に配置される。従って、それは好ましくは、ボンディングワイヤに存在し得る全ての他の構造よりワイヤ表面に対して長い距離を有する。さらに、前記構造は好ましくはあらゆる他の構造を封入しない。
【0030】
別の特に好ましい実施形態によれば、ワイヤジャケットは均質な組成を有する層である。前記層は好ましくはボンディングワイヤの外側に配置される。
【0031】
本発明によれば、ボンディングワイヤのワイヤコアは第1の材料からなり、ボンディングワイヤのワイヤジャケットは第2の材料からなる。これに関して、ワイヤコアの第1の材料はワイヤジャケットの第2の材料とは異なる。
【0032】
ワイヤコアの第1の材料およびワイヤジャケットの第2の材料は好ましくは、ボンディングワイヤの特定の所望の特性が得られるように選択される。例えば、超音波ボンディングの間の信頼性を増加させるために、金または銅がワイヤコアのための材料として使用されてもよく、アルミニウムがワイヤジャケットのための材料として使用されてもよい。一方で、ボンディングワイヤの製造コストを低下させるために、銅がワイヤコアのための材料として使用されてもよく、金がワイヤジャケットの材料として使用されてもよい。酸化保護ボンディングワイヤを得るために、例えば、銅などの酸化感受性(oxidation−sensitive)材料から作製されたワイヤコア、およびパラジウムなどの酸化非感受性(oxidation−insensitive)材料から作製されたワイヤジャケットが提供されてもよい。従って、特に好ましいボンディングワイヤは、銅製のワイヤコアおよびアルミニウム製のワイヤジャケット、金製のワイヤコアおよびアルミニウム製のワイヤジャケット、銅製のワイヤコアおよび金製のワイヤジャケットまたは銅製のワイヤコアおよびパラジウム製のワイヤジャケットを含む。さらに、ワイヤコアおよびワイヤジャケット材料のさらなる多数の組み合わせの実施が、それぞれの用途に望まれる特性を有するボンディングワイヤを製造するために可能である。
【0033】
従って、ワイヤコア材料の組成は限定されない。好ましい実施形態によれば、前記材料は、純粋な金属、化合物、金属間または合金である。特に好ましい実施形態によれば、前記ワイヤコア材料は、銅、銅化合物、銅合金または銅を含有する金属間である。
【0034】
上記の説明によれば、ワイヤジャケット材料はこれらに限定されない。好ましい実施形態によれば、前記材料はまた、純粋な金属、化合物、金属間または合金である。特に好ましい実施形態によれば、ワイヤコア材料は、アルミニウム、アルミニウム化合物(例えば酸化アルミニウム)、アルミニウム合金またはアルミニウムを含有する金属間である。
【0035】
本発明によれば、ワイヤコアの第1の材料は第1の金属を含み、ワイヤジャケットの第2の材料は第2の金属を含み、ここで、第1の金属は第2の金属とは異なる。
【0036】
従って、ワイヤコアの第1の材料は少なくとも1つの第1の金属を含む。前記第1の金属は第1の材料であってもよく、または前記第1の金属を含む化合物、合金もしくは金属間の一部であってもよい。好ましい実施形態によれば、ワイヤコアの第1の材料は、少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも50重量%の第1の金属を含む。
【0037】
ワイヤジャケットの第2の材料は少なくとも1つの第2の金属を含む。前記第2の金属は第2の材料であってもよく、または前記第2の金属を含む化合物、合金もしくは金属間の一部であってもよい。好ましい実施形態によれば、ワイヤジャケットの第2の材料は少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも50重量%の第2の金属を含む。
【0038】
従って、本発明の範囲は、金属から作製されたワイヤコアと、前記金属の酸化物から作製されたワイヤジャケットを有するボンディングワイヤを含まない。なぜなら、それらのワイヤコアの第1の材料およびワイヤジャケットの第2の材料は異なる金属を含んでいないからである。
【0039】
対照的に、本発明の範囲は、第1の金属から作製されたワイヤコア、前記第1の金属とは異なる第2の金属から作製された層、および前記層を封入し、前記第2の金属の酸化物から作製された層を有するボンディングワイヤを含む。
【0040】
拡散現象に起因して、ワイヤコアとワイヤジャケットとの間の明確な境界は、第1の材料から作製されたワイヤコアと、ワイヤコアを封入し、第2の材料から作製されたワイヤジャケットとを含む、本発明に係るボンディングワイヤの製造および/または保存の間に消失し得る。特に、ワイヤコアからの材料がワイヤジャケットの材料に拡散し得、ワイヤジャケットからの材料がワイヤコアの材料に拡散し得る。これは、例えば、ワイヤコアとワイヤジャケットとの間に配置される合金の形成を導き得る。前記合金は通常、ワイヤコアの材料およびワイヤジャケットの材料に存在する元素からなり、通常、勾配を含み、それにより、ワイヤコアの材料の元素の含有量は、ワイヤの内部からワイヤの表面に対して減少し、ワイヤジャケットの材料の元素の含有量は、ワイヤの表面からワイヤの内部に対して減少する。
【0041】
しかしながら、本発明の範囲は、ボンディングワイヤが、少なくとも2つの材料の単一の均質な合金または金属間からなることに限らず、ボンディングワイヤは、ワイヤコアとワイヤジャケットとを形成し、異なる金属を含む少なくとも2つの相を含む。好ましい実施形態によれば、ワイヤコアの第1の材料の中で第1の金属が占める割合は、少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも50重量%であり、ワイヤジャケットの第2の材料の中で第2の金属が占める割合は、少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも50重量%である。従って、本発明の範囲は、(i)銅製のワイヤコア、(ii)アルミニウム製の層、(iii)ワイヤコアと、アルミニウム製の層との間に配置されるアルミニウムおよび銅を含む金属間相から作製された層、ならびに(iv)アルミニウム製の層を封入する酸化アルミニウム製の層を有するワイヤを含む。
【0042】
本発明によれば、ボンディングワイヤは、0.8以下、好ましくは0.6以下、さらにより好ましくは0.5以下、特に好ましくは0.4以下、さらにより特に好ましくは0.3以下、特に0.2以下のアスペクト比を有する。好ましくは、アスペクト比は1:2〜1:500の範囲、さらにより好ましくは1:3〜1:200の範囲、特に好ましくは1:4〜1:100の範囲、さらにより特に好ましくは1:5〜1:50の範囲である。
【0043】
これに関して、アスペクト比は、ボンディングワイヤの断面の最も広い部位を通して延びる距離(a)対距離(a)に対する直線に沿ったボンディングワイヤの前記断面の最も広い部位を通して延びる距離(b)の逆比を意味すると理解される。
【0044】
ボンディングワイヤが、例えば楕円形の断面を有する場合、アスペクト比は、楕円形断面の短軸対主軸の比である。ボンディングワイヤが矩形の断面を有する場合、アスペクト比は矩形の断面の幅対長さの比である。例えば、2,000μm×200μmの直径を有する矩形の断面を有するボンディングワイヤは0.1のアスペクト比を有する。
【0045】
本発明の好ましい実施形態によれば、ワイヤジャケットの材料が占める割合は、ボンディングワイヤの断面積に対して、5〜50%の面積の範囲、より好ましくは10〜40%の面積の範囲、さらにより好ましくは15〜35%の面積の範囲である。
【0046】
本発明の別の改良によれば、ワイヤジャケットの厚さは、ボンディングワイヤの厚さに対して、1:5〜1:20の範囲、より好ましくは1:8〜1:15の範囲である。
【0047】
別の特に好ましい実施形態によれば、本発明に係るボンディングワイヤは矩形の断面を有する。この場合、矩形の断面の幅は、好ましくは10〜500μmの範囲、より好ましくは50〜400μmの範囲、特に好ましくは100〜300μmの範囲である。これに関して、矩形の断面の長さは、好ましくは200〜5,000μmの範囲、より好ましくは400〜4,000μmの範囲、特に好ましくは1,000〜3,000μmの範囲である。
【0048】
好ましくは、上記のボンディングワイヤはボンディングに使用される。これに関して、ボンディングは、ボンディングワイヤにより、好ましくはボンディングワイヤを対応する接触面に溶接することにより、コンポーネントを基板に接続することを意味すると理解される。
【0049】
好ましい実施形態によれば、コンポーネントは、受動部品、個別半導体、および集積回路からなる群から選択される。好ましい受動部品には、レジスタ、コンデンサ、およびインダクタが挙げられる。好ましい個別半導体には、ダイオードおよびトランジスタが挙げられる。さらに、クオーツ、センサ、光学素子およびマイクロシステム(マイクロマシンシステム、MEMS)などの特別な型を同様にコンポーネントとして使用してもよい。
【0050】
好ましくは、基板は配線支持部である。それは、単層または多層であるように構造化されてもよい。好ましくは、基板は、積層基板、薄層基板、およびセラミック基板からなる群から選択される。
【0051】
好ましい実施形態によれば、ボンディングは、超音波により、例えばウェッジ間(wedge−wedge)ボンディングまたはサーモソニックボール−ウェッジ(ball−wedge)ボンディングにより進められる。
【0052】
従って、本発明の範囲はまた、少なくとも1つの基板と、上記種類の少なくとも1つのボンディングワイヤにより接続される1つのコンポーネントとを含むサブアセンブリを含む。これに関して、ボンディングワイヤは好ましくは、基板上およびコンポーネント上に位置する接続面上に結合される。特に好ましい実施形態によれば、ボンディングワイヤは基板上およびコンポーネント上の接続面に溶接される。これに関して、結合していないボンディングワイヤ、特にループを形成している溶接されていないボンディングワイヤは、基板の接続面とコンポーネントの接続面との間に位置することが好ましい。
【0053】
本発明に係るボンディングワイヤは、第1の材料から作製されたワイヤコアと、前記ワイヤコアを封入し、第2の材料から作製されたワイヤジャケットとを含む円形ワイヤを最初に提供することにより製造され、ここで、第1の材料は第1の金属を含み、第2の材料は第2の金属を含み、第1の金属は第2の金属とは異なる。次いで、前記円形ワイヤを、0.8以下のアスペクト比を有するボンディングワイヤにリフォームする。
【0054】
前記円形ワイヤの製造は公知の手順に従ってもよい。好ましくは、コアジャケット構造を有する円形ワイヤは押出成形により製造される。他方で、第1の材料から作製された円形ワイヤを提供し、それをその円周面上で第2の材料でコーティングすることも同様に可能である。好ましくは、この場合、コーティングは、第2の材料の蒸着、スパッタリングまたはガルバニック堆積により行われる。第1の材料および第2の材料の性質に関しては、上記を参照されたい。
【0055】
本発明の範囲において、円形ワイヤは、本質的に円形断面を有するワイヤであると理解される。円形ワイヤは好ましくは、0.85〜1.2の範囲、特に0.9〜1.1の範囲のアスペクト比を有する。円形ワイヤの直径は好ましくは100〜2,000μm、特に好ましくは200〜1,000μmである。
【0056】
円形ワイヤは本発明に従ってリフォームされる。
【0057】
リフォームは好ましくは、処理されるワークピースの形状の変化が、処理されるワークピースの塊(mass)の付随する顕著な変化を有さずに達成される、プロセスを意味すると理解される。切断プロセスは、例えば、リフォームプロセスではない。なぜなら、切断プロセスは、切断された部分の塊により、処理されるワークピースの塊の減少に関連するからである。従って、リフォームは好ましくは、ワイヤの長手方向側に沿ってバリの形成を生じ得るあらゆる手段、特に切断手段を含まない。好ましくは、提供された後、円形ワイヤは切断されない。特に、リフォームの間、円形ワイヤは切断されない。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、リフォームは平板圧延により行われる。これに関して、ボンディングワイヤが、圧延後、0.8以下のアスペクト比を有するように、圧延条件が好適に適合される。
【0059】
本発明の別の実施形態によれば、リフォームは、引き抜き型により円形ワイヤを引き抜くおよび/または押し出すことにより進められる。この目的のために、引き抜き型が最初に提供される。前記引き抜き型は、ボンディングワイヤに提供される形状および断面に本質的に対応する形状および断面の開口部を有する。従って、引き抜き型は、0.8以下のアスペクト比を有する開口部を有する。しかしながら、引き抜き型の開口部の正確な形状は、使用されるボンディングワイヤ材料に応じる。ボンディングワイヤは、使用されるボンディングワイヤ材料の弾性に起因して引き抜かれた後、断面の一部の増加を受け得るので、引き抜き型における開口部は、この場合、ボンディングワイヤの所望の断面より小さい断面を有することを必要とする。
【0060】
最後に、ワイヤは、提供される引き抜き型の開口部により引き抜かれるので、引き抜き型の開口部の形状になる。
【0061】
得られたワイヤは、必要に応じて、リフォーム後、洗浄されてもよい。好ましくは、洗浄は、慣用の洗浄剤および慣用の手順を用いて行われる。
【0062】
このように得られたボンディングワイヤは好ましくは、洗浄後、焼きなまされる。焼きなましにより、それらの正確な性質に応じて、結合ワイヤに所望の特性が与えられ得る。
【0063】
続いて、ボンディングワイヤは、例えば、酸化および損傷からそれらを保護するために、パッケージングされてもよい。
【0064】
上記の製造方法は、出発材料として、第1の材料から作製されたワイヤコアと、前記ワイヤコアを封入し、第2の材料から作製されたワイヤジャケットとを含むワイヤを既に使用しているので、前記ワイヤは簡単にリフォームし、前記ワイヤを切断する必要はもはやない。結果として、本発明に係るボンディングワイヤはバリを含まない。
【0065】
従って、前記ボンディングワイヤのボンディングの間のボンディング表面に対する損傷および前記ボンディングワイヤを備えるサブアセンブリの操作の間の短絡が防がれ得る。