(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ホスホジエステラーゼ9A(PDE9A)の阻害は、アルツハイマー病、統合失調症及び他の疾患のようなCNS障害に起因する、又は脳のその他の神経変性プロセスに起因する認知機能障害の処置に新たな到達経路を見出すための最新概念の一つである。本発明において、この概念に従う新規な化合物が提供される。
【0004】
ホスホジエステラーゼ9Aは、ホスホジエステラーゼの広い範囲のファミリーの1メンバーである。これらの酵素は、環状ヌクレオチドの5’−3’環状アデノシン一リン酸(cAMP)及び5’−3’環状グアノシン一リン酸(cGMP)のレベルを調節する。これらの環状ヌクレオチド(cAMP及びcGMP)は、重要な第2メッセンジャーであり、それゆえ細胞のシグナル伝達カスケードにおいて中心的な役割を果たす。それらの各々は、とりわけ、しかし排他的ではなく、タンパク質キナーゼを再活性化する。cAMPにより活性化されるタンパク質キナーゼは、タンパク質キナーゼA(PKA)と呼ばれ、そしてcGMPにより活性化されるタンパク質キナーゼは、タンパク質キナーゼG(PKG)と呼ばれる。活性化されたPKA及びPKGは、次に数々の細胞内エフェクタータンパク質をリン酸化することができる(例えば、イオンチャネル、Gタンパク質共役型受容体、構造タンパク質、転写因子)。このようにして、第2メッセンジャーであるcAMP及びcGMPが、種々多様の器官において種々多様の生理過程を制御することは可能である。しかしながら、これらの環状ヌクレオチドはまた、エフェクター分子に直接作用することもできる。このように、例えば、cGMPがイオンチャネルに直接作用でき、よって細胞内イオン濃度に影響を及ぼすことができると知られている(Wei et al., Prog. Neurobiol., 1998, 56, 37-64中の総説)。ホスホジエステラーゼ(PDE)類は、cAMPおよびcGMPの活性を、ひいては次に対応する生理過程の、制御機構である。PDE類は、これらの環状一リン酸を不活性な一リン酸であるAMPおよびGMPに加水分解する。現在、11個のPDEファミリーが、対応する遺伝子の配列相同性に基づいて定義されている。ファミリー内の個々のPDE遺伝子は、文字により区別される(例えば、PDE1AおよびPDE1B)。遺伝子内に異なるスプライシング変異体も生じる場合、これらは、文字の後に付加された番号付けにより示される(例えば、PDE1A1)。
【0005】
ヒトPDE9Aは、1998年にクローン化され、かつ配列決定された。他のPDE類とのアミノ酸同一性は、34%(PDE8A)を超えず、28%(PDE5A)未満ではない。170ナノモーラー(nM)のミカエリス−メンテン(Michaelis-Menten)定数(Km)で、PDE9Aは、cGMPに高い親和性を有する。加えて、PDE9Aは、cGMPに選択的である(cAMPについてのKm=230マイクロモーラー(μM))。PDE9Aは、cGMP結合ドメインを持たず、このことは、酵素活性がcGMPによって調節されないことを示唆している。ウエスタンブロット解析で、PDE9Aがヒトで、とりわけ、精巣、脳、小腸、骨格筋、心臓、肺、胸腺および脾臓において発現されることが示された。最も高い発現は、脳、小腸、腎臓、前立腺、大腸、脾臓で見出された(Fisher et al., J. Biol. Chem., 1998, 273 (25), 15559-15564; Wang et al., Gene, 2003, 314, 15-27)。ヒトPDE9Aの遺伝子は、染色体21q22.3に位置し、そして21個のエクソンを含む。4種のPDE9Aの選択的スプライシング変異体が同定されている(Guipponi et al., Hum. Genet., 1998, 103, 386-392)。古典的なPDE阻害剤は、ヒトPDE9Aを阻害しない。したがって、IBMX、ジピリダモール、SKF94120、ロリプラム及びビンポセチンは、100マイクロモーラー(μM)までの濃度でこの単離された酵素に対する阻害を示さない。ザプリナストについて、IC
50 35マイクロモーラー(μM)が立証されている(Fisher et al., J. Biol. Chem., 1998, 273 (25), 15559-15564)。
【0006】
マウスPDE9Aは、1998年にSoderlingらによりクローン化され、かつ配列決定された(J. Biol. Chem., 1998, 273 (19), 15553-15558)。これは、ヒト型と同様に、70ナノモーラー(nM)のKmで、cGMPに高い親和性を有する。特に高い発現が、マウスの腎臓、脳、肺および肝臓で見られた。マウスPDE9Aもまた、200μM未満の濃度のIBMXでは阻害されず;ザプリナストのIC
50は、29マイクロモーラー(μM)である(Soderling et al., J. Biol. Chem., 1998, 273 (19), 15553-15558)。PDE9Aは、ラットの脳のいくつかの領域で強く発現されることが見出された。これらには、嗅球、海馬、皮質、大脳基底核および前脳基底核が含まれる(Andreeva et al., J. Neurosci., 2001, 21 (22), 9068-9076)。海馬、皮質および前脳基底核は、特に、学習及び記憶の過程において重要な役割を果たす。
【0007】
先で既に述べたように、PDE9Aは、cGMPに対して特に高い親和性を有することにより際だっている。したがって、PDE9Aは、PDE2A(Km=10マイクロモーラー(μM);Martins et al., J. Biol. Chem., 1982, 257: 1973-1979)、PDE5A(Km=4マイクロモーラー(μM);Francis et al., J. Biol. Chem., 1980, 255: 620-626)、PDE6A(Km=17マイクロモーラー(μM);Gillespie and Beavo, J. Biol. Chem., 1988, 263 (17): 8133-8141)及びPDE11A(Km=0.52マイクロモーラー(μM);Fawcett et al., Proc. Nat. Acad. Sci., 2000, 97 (7): 3702-3707)と対照的に、低い生理的濃度であっても活性である。PDE2A(Murashima et al., Biochemistry, 1990, 29: 5285-5292)と対照的に、PDE9Aの触媒活性は、cGMPにより増大されない。なぜなら、それがGAFドメイン(PDE活性がそれを介してアロステリックに増大するcGMP−結合ドメイン)を持たないからである(Beavo et al., Current Opinion in Cell Biology, 2000, 12, 174-179)。したがってPDE9A阻害剤は、ベースラインのcGMP濃度の増大を導き得る。
【0008】
この概要では、PDE9Aが特徴的かつ独自のやり方で特定の生理的過程に関与し、このことが、PDE9Aの役割をその他のPDEファミリーメンバーのいずれからも特徴的に区別することを明らかにする。
【0009】
WO 2004/099210は、PDE9阻害剤である、6−アリールメチル−置換ピラゾロピリミジノンを開示している。
【0010】
WO 2004/099211は、6−シクリルメチル−及び6−アルキルメチル−置換ピラゾロピリミジン、ならびに認知、集中などの改善のためのそれらの使用を開示している。
【0011】
DE 102 38 722は、認知、集中の改善のためのPDE9A−阻害剤の使用を開示している。
【0012】
WO 2004/018474は、フェニル−置換ピラゾロピリミジン、ならびに知覚、集中、学習及び/又は記憶の改善のためのその使用を開示している。
【0013】
WO 2004/026876は、アルキル−置換ピラゾロピリミジン、ならびに認識、集中、学習能力及び/又は記憶能力の改善のためのその使用を開示している。
【0014】
WO 2004/096811は、1型及び2型糖尿病を含む糖尿病、高血糖症、脂質代謝異常症、耐糖能障害、メタボリックシンドローム及び/又は心血管疾患の処置のためのPDE9阻害剤として複素環式二環を開示している。
【0015】
WO2009068617は、6位に置換フェニルメチル−又はピリジル−メチル基を有するピラゾロピリミジノンから誘導されるPDE9阻害化合物を開示している。
【0016】
WO2010112437は、6位に、フェニル又はヘテロアリール置換アリールメチル−もしくはヘテロアリール−メチル基を有するピラゾロピリミジノンから誘導されるPDE9阻害化合物を開示している。
【0017】
WO 2009/121919は、1位に非芳香族ヘテロシクリル基(その一つは、テトラヒドロピラニルである)を有するピラゾロピリミジノンから誘導されるPDE9阻害剤を開示している。
【0018】
WO 2010/026214は、1位にシクロアルキル又はシクロアルケニル基(その一つは、4,4−ジフルオロシクロヘキシルである)を有するピラゾロピリミジノンから誘導されるPDE9阻害剤を開示している。
【0019】
一部の先行技術は、化学的にヌクレオシド誘導体に関する。例として、RNA−依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤であるヌクレオシド誘導体を開示しているWO 2002/057425、又はC型肝炎の処置のためのヌクレオシド誘導体を開示しているWO 2001/060315、又はリボヌクレオシド類縁体として役立つ化合物を開示しているEP679657、又はプリンL−ヌクレオシド化合物(ここで、両プリン環及び糖環(ペントース環)は、修飾もしくは官能化され、又は修飾かつ官能化されているのいずれかである)を開示しているUS2002058635を参照する。そのため糖環は、例えば少なくとも1つのエステル化ヒドロキシ基を示すはずである。
【0020】
WO 2005/051944は、細胞増殖及び感染を含む障害のようなヌクレオシド類縁体関連障害の処置のための、オキセタン−含有ヌクレオシドを開示している。
【0021】
WO 2006/084281は、スルホンアミド部分を有するE1活性化酵素の阻害剤を開示している。
【0022】
WO 1998/40384は、PDE1、2及び5阻害剤であり、かつ心血管障害及び脳血管性障害ならびに泌尿生殖器系の障害の処置のために用いることができる、ピラゾロピリミジノンを開示している。
【0023】
CH396 924、CH396 925、CH396 926、CH396 927、DE1147234、DE1149013は、冠動脈拡大作用を有し、かつ心筋血流障害の処置のために用いることができる、ピラゾロピリミジンについて記載している。
【0024】
US3732225は、抗炎症作用及び血糖降下作用を有するピラゾロピリミジンについて記載している。
【0025】
DE2408906は、例えば、浮腫の処置のために抗菌薬及び抗炎症薬として用いることができる、スチリルピラゾロピリミジノンについて記載している。
【0026】
発明の目的
ピラゾロピリミジノンの置換パターンの変化は、生物学的活性に関する興味深い変化、異なる標的酵素に対する親和性におけるそれぞれの変化をもたらす。
【0027】
したがって、特にPDE9Aの調節によってその処置が到達可能な疾患または状態を考慮した、医薬の開発の目的のためにPDE9Aを効果的に調節する、本明細書に記載のような、特に特許請求の範囲中の化合物を提供することが、本発明の目的である。
【0028】
CNS障害の処置用の医薬の製造のために有用な化合物を提供することが、本発明の別の目的である。
【0029】
本発明の更に別の目的は、好ましい安全プロファイルを示す化合物を提供することである。
【0030】
本発明の別の目的は、他のPDEファミリーメンバー及び他の薬理学的標的よりもPDE9A阻害に優れた好ましい選択的プロファイルを有し、かつ、このことによって利点を提供し得る化合物を提供することである。
【0031】
更に別の目的は、対応する疾患又は状態の、処置のために役に立ち得るのみならず、予防又は緩和のためにも使用し得る医薬を提供することである。
【0032】
本発明は更に、本明細書に記載の、特に特許請求の範囲内の化合物、及び薬学的に許容しうる担体を含む、医薬組成物を提供する。
【0033】
本発明は更に、かかる処置を必要とする哺乳動物、好ましくはヒトにおいて、本明細書に記載の状態のいずれかの処置のための方法であって、哺乳動物に治療有効量の、本明細書に記載の、特に特許請求の範囲内の化合物を投与することを含む、方法を提供する。
【0034】
本発明は更に、治療によるヒト又は動物の体の処置の方法において使用するための、本明細書に記載の、特に特許請求の範囲内の化合物を提供する。
【0035】
本発明の詳細な記載
本発明の化合物は、一般式(I):
【化2】
[式中、
R
1は:環原子の1、2、3又は4個、好ましくは1、2又は3個が、N、O又はSより互いに独立に選択されるヘテロ原子である、5又は6員ヘテロアリール基であり、
ここで、該5又は6員芳香族ヘテロアリール基は、場合により、1、2、3又は4個、好ましくは1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、HO−、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−、メチル、H
2N−及び(CH
3)
2N−からなる群より互いに独立に選択され得;
R
2は:フッ素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−及びメチル、好ましくはフッ素、NC−、F
3C−及びメチルからなる群より選択され;
Dは:シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2−、3−及び4−ピリジルからなる群より選択され、
ここで、シクロペンチル及びシクロヘキシルは、場合により、1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、NC−、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より互いに独立に選択され得;
ここで、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロピラニルは、場合により、1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、NC−、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より互いに独立に選択され得;
ここで、ピリジルは、場合により、1、2、3又は4個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−、F
3C−CH
2−、C
1−6−アルキル−及びC
3−7−シクロアルキルからなる群より互いに独立に選択され得;
mは:1又は2より選択され、好ましくは1であり;
nは:0、1又は2より選択され、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0であり、
ここで、n=2の場合、これら2個の基R
2は、互いに独立に選択される]で示される化合物、ならびにその塩、好ましくはその薬学的に許容しうる塩、その溶媒和物、及びその前述の塩の溶媒和物
[但し、該化合物は、下記:
【化3】
で示されるオキサジアゾリル誘導体(該オキサジアゾリル誘導体が、任意の可能な立体異性体の形態、又はそのすべてのもしくは一部の混合物、又はその塩、又はその溶媒和物、又はその塩の溶媒和物であるとしても)ではない]によって特徴付けられる。
【0036】
この実施態様は、本発明の実施態様1である。
【0037】
上記の但し書きの定義に関して: 本明細書に亘って、化合物のこの定義、具体的には、[下記:
【化4】
で示されるオキサジアゾリル誘導体、それが、任意の可能な立体異性体の形態、又はそのすべてのもしくは一部の混合物であるとしても]は、
これらの化合物の混合物に加えて、下記:
【化5】
で示される立体異性体を包含することが、理解されよう。
【0038】
本発明の実施態様2: 本発明の別の実施態様は、一般式(I):
[式中、
R
1は:環原子の1、2、3又は4個、好ましくは1、2又は3個が、N、O又はSより互いに独立に選択されるヘテロ原子である、5又は6員ヘテロアリール基であり、
ここで、該5又は6員芳香族ヘテロアリール基は、場合により、1、2、3又は4個、好ましくは1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−、メチル、H
2N−及び(CH
3)
2N−からなる群より互いに独立に選択され得;
R
2は:フッ素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−及びメチル、好ましくはフッ素、NC−、F
3C−及びメチルからなる群より選択され;
Dは:シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2−、3−及び4−ピリジルからなる群より選択され、
ここで、シクロペンチル及びシクロヘキシルは、場合により、1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より互いに独立に選択され得;
ここで、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロピラニルは、場合により、1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より互いに独立に選択され得;
ここで、ピリジルは、場合により、1、2、3又は4個、好ましくは1、2又は3個、より好ましくは1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−、F
3C−CH
2−、C
1−6−アルキル−及びC
3−7−シクロアルキルからなる群より互いに独立に選択され得;
mは:1又は2より選択され、好ましくは、mは、1であり;
nは:0、1又は2からなる群より選択され、好ましくは、nは、0又は1であり、より好ましくは、nは、0であり、
ここで、n=2の場合、これら2個の基R
2は、互いに独立に選択される]の化合物、ならびにその塩、好ましくはその薬学的に許容しうる塩、その溶媒和物、及びその前述の塩の溶媒和物
[但し、該化合物は、下記:
【化6】
で示されるオキサジアゾリル誘導体(該オキサジアゾリル誘導体が、任意の可能な立体異性体の形態、又はそのすべてのもしくは一部の混合物、又はその塩、又はその溶媒和物、又はその塩の溶媒和物であるとしても)ではない]に関する。
【0039】
本発明の実施態様3: 本発明の別の実施態様は、一般式(I)
[式中、
R
1は:環原子の1、2、3又は4個、好ましくは1、2又は3個、より好ましくは2又は3個が、N、O又はSより互いに独立に選択されるヘテロ原子である、5員ヘテロアリール基であり、
ここで、該5員芳香族ヘテロアリール基は、場合により、1、2、3又は4個、好ましくは1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−、メチル、H
2N−及び(CH
3)
2N−からなる群より互いに独立に選択され得;
R
2は:フッ素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−及びメチル、好ましくはフッ素、NC−、F
3C−及びメチルからなる群より選択され;
Dは:シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2−、3−及び4−ピリジルからなる群より選択され、
ここで、シクロペンチル及びシクロヘキシルは、場合により、1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より互いに独立に選択され得;
ここで、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロピラニルは、場合により、1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より互いに独立に選択され得;
ここで、ピリジルは、場合により、1、2、3又は4個、好ましくは1、2又は3個、より好ましくは1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−、F
3C−CH
2−、C
1−6−アルキル−及びC
3−7−シクロアルキルからなる群より互いに独立に選択され得;
mは:1又は2より選択され、好ましくは、mは、1であり;
nは:0、1又は2より選択され、好ましくは、nは、0又は1であり、より好ましくは、nは、0であり、
ここで、n=2の場合、これら2個の基R
2は、互いに独立に選択される]の化合物、ならびにその塩、好ましくはその薬学的に許容しうる塩、その溶媒和物、及びその前述の塩の溶媒和物
[但し、該化合物は、下記:
【化7】
で示されるオキサジアゾリル誘導体(該オキサジアゾリル誘導体が、任意の可能な立体異性体の形態、又はそのすべてのもしくは一部の混合物、又はその塩、又はその溶媒和物、又はその塩の溶媒和物であるとしても)ではない]に関する。
【0040】
本発明の実施態様4: 本発明の別の実施態様は、一般式(I)
[式中、
R
1は:環原子の1、2、3又は4個、好ましくは1、2又は3個、より好ましくは2又は3個が、N、O又はSより互いに独立に選択されるヘテロ原子である、6員ヘテロアリール基であり、
ここで、該6員芳香族ヘテロアリール基は、場合により、1、2、3又は4個、好ましくは1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−、メチル、H
2N−及び(CH
3)
2N−からなる群より互いに独立に選択され得;
R
2は:フッ素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−及びメチル、好ましくはフッ素、NC−、F
3C−及びメチルからなる群より選択され;
Dは:シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2−、3−及び4−ピリジルからなる群より選択され、
ここで、シクロペンチル及びシクロヘキシルは、場合により、1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より互いに独立に選択され得;
ここで、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロピラニルは、場合により、1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より互いに独立に選択され得;
ここで、ピリジルは、場合により、1、2、3又は4個、好ましくは1、2又は3個、より好ましくは1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−、F
3C−CH
2−、C
1−6−アルキル−及びC
3−7−シクロアルキルからなる群より互いに独立に選択され得;
mは:1又は2より選択され、好ましくは、mは、1であり;
nは:0、1又は2より選択され、好ましくは、nは、0又は1であり、より好ましくは、nは、0であり、
ここで、n=2の場合、これら2個の基R
2は、互いに独立に選択される]の化合物、ならびにその塩、好ましくはその薬学的に許容しうる塩、その溶媒和物、及びその前述の塩の溶媒和物に関する。
【0041】
本発明の実施態様5: 本発明の別の実施態様は、一般式(I)
[式中、
R
1は:チアジアゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリジル及びピリミジニルからなる群より選択されるヘテロアリール基であり、好ましくは該ヘテロアリール基が、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル及びピリミジニルからなる群より選択され、
ここで、該ヘテロアリール基は、場合により、1、2、3又は4個、好ましくは1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−、メチル、H
2N−及び(CH
3)
2N−からなる群より互いに独立に選択され得;
R
2は:フッ素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−及びメチル、好ましくはフッ素、NC−、F
3C−及びメチルからなる群より選択され;
Dは:シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2−、3−及び4−ピリジルからなる群より選択され、
ここで、シクロペンチル及びシクロヘキシルは、場合により、1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より互いに独立に選択され得;
ここで、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロピラニルは、場合により、1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より互いに独立に選択され得;
ここで、ピリジルは、場合により、1、2、3又は4個、好ましくは1、2又は3個、より好ましくは1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−、F
3C−CH
2−、C
1−6−アルキル−及びC
3−7−シクロアルキルからなる群より互いに独立に選択され得;
mは:1又は2より選択され、好ましくは、mは、1であり;
nは:0、1又は2より選択され、好ましくは、nは、0又は1であり、より好ましくは、nは、0であり、
ここで、n=2の場合、これら2個の基R
2は、互いに独立に選択される]の化合物、ならびにその塩、好ましくはその薬学的に許容しうる塩、その溶媒和物、及びその前述の塩の溶媒和物
[但し、該化合物は、下記:
【化8】
で示されるオキサジアゾリル誘導体(該オキサジアゾリル誘導体が、任意の可能な立体異性体の形態、又はそのすべてのもしくは一部の混合物、又はその塩、又はその溶媒和物、又はその塩の溶媒和物であるとしても)ではない]に関する。
【0042】
本発明の実施態様6: 本発明の別の実施態様は、一般式(I)
[式中、
R
1は:チアジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリジル及びピリミジニルからなる群より選択されるヘテロアリール基であり、好ましくは該ヘテロアリール基が、チアジアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリジル及びピリミジニルからなる群より選択され、
ここで、該ヘテロアリール基は、場合により、1、2、3又は4個、好ましくは1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−、メチル、H
2N−及び(CH
3)
2N−からなる群より互いに独立に選択され得;
R
2は:フッ素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−及びメチル、好ましくはフッ素、NC−、F
3C−及びメチルからなる群より選択され;
Dは:シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2−、3−及び4−ピリジルからなる群より選択され;
ここで、シクロペンチル及びシクロヘキシルは、場合により、フッ素、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より選択される1又は2個の置換基で置換され得;
ここで、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロピラニルは、場合により、1又は2個の置換基で互いに独立に置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より互いに独立に選択され得;
ここで、ピリジルは、場合により、1、2、3又は4個、好ましくは1、2又は3個、より好ましくは1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−、F
3C−CH
2−、C
1−6−アルキル−及びC
3−7−シクロアルキルからなる群より互いに独立に選択され得;
mは:1又は2より選択され、好ましくは、mは、1であり;
nは:0、1又は2より選択され、好ましくは、nは、0又は1であり、より好ましくは、nは、0であり、
ここで、n=2の場合、これら2個の基R
2は、互いに独立に選択される]の化合物、ならびにその塩、好ましくはその薬学的に許容しうる塩、その溶媒和物、及びその前述の塩の溶媒和物に関する。
【0043】
本発明の実施態様7: 本発明の実施態様7は、実施態様6のすべての態様において対応する化合物に関するが、但し、下記[
R
1は:チアジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル及びピリミジニルからなる群より選択されるヘテロアリール基であり、好ましくは該ヘテロアリール基が、チアジアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル及びピリミジニルからなる群より選択され、
ここで、該ヘテロアリール基は、場合により、1、2、3又は4個、好ましくは1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−、メチル、H
2N−及び(CH
3)
2N−からなる群より互いに独立に選択され得る]を除く。
【0044】
本発明の実施態様8: 本発明の別の実施態様は、一般式(I)
[式中、
R
1は:[1,3,4]チアジアゾール−2−イル、イソオキサゾール−5−イル、チアゾール−5−イル−、オキサゾール−2−イル、ピリジン−2−イル及びピリミジン−2−イルからなる群より選択されるヘテロアリール基であり、好ましくは、該ヘテロアリール基が、[1,3,4]チアジアゾール−2−イル、イソオキサゾール−5−イル、チアゾール−5−イル−、オキサゾール−2−イル及びピリミジン−2−イルからなる群より選択され、
ここで、該ヘテロアリール基は、場合により、1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、CN−、メチル及びH
2N−からなる群より互いに独立に選択され得;
R
2は:フッ素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−及びメチル、好ましくはフッ素、NC−、F
3C−及びメチルからなる群より選択され;
Dは:シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2−、3−及び4−ピリジルからなる群より選択され;
ここで、シクロペンチル及びシクロヘキシルは、場合により、1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より互いに独立に選択され得;好ましくはフッ素により置換され得;
ここで、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロピラニルは、場合により、1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より互いに独立に選択され得;
ここで、ピリジルは、場合により、1、2、3又は4個、好ましくは1、2又は3個、より好ましくは1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−、F
3C−CH
2−及びメチルからなる群より互いに独立に選択され得;
ここで、好ましくは、Dは、4,4−ジフルオロシクロヘキサ−1−イル、テトラヒドロピラニル、その好ましくはテトラヒドロピラン−4−イル、及び4−メチル−3−ピリジルからなる群より選択され;
mは:1又は2より選択され、好ましくは、mは、1であり;
nは:0、1又は2より選択され、好ましくは、nは、0又は1であり、より好ましくは、nは、0であり、
ここで、n=2の場合、これら2個の基R
2は、互いに独立に選択される]の化合物、ならびにその塩、好ましくはその薬学的に許容しうる塩、その溶媒和物、及びその前述の塩の溶媒和物に関する。
【0045】
本発明の実施態様9〜16:
上記の実施態様1〜8のいずれかにおいて、好ましい化合物は、式(II)によって表される:
【0046】
式(II):
【化9】
[式中、
R
1は:前述の実施態様1〜8のいずれかにおいて定義されたとおりであり;
Dは、4,4−ジフルオロシクロヘキシル又はテトラヒドロピラン−4−イル又は4−メチル−3−ピリジルのいずれかであり、そしてこれらの2個の基のどれも更なる置換基を有さない]で示される化合物、ならびにその塩、好ましくはその薬学的に許容しうる塩、その溶媒和物、及びその前述の塩の溶媒和物
[但し、該化合物は、下記:
【化10】
で示されるオキサジアゾリル誘導体(該オキサジアゾリル誘導体が、任意の可能な立体異性体の形態、又はそのすべてのもしくは一部の混合物、又はその塩、又はその溶媒和物、
又はその塩の溶媒和物であるとしても)ではない]。
【0047】
式(II)の好ましい実施態様9〜16は、式(I):
[ここで、
式(I)中のmは、1であるので、対応するシクロアルキル基は、シクロブチルであり;
式(I)中のnは、0であり;
式(I)中のDは、4,4−ジフルオロシクロヘキシル(更なる置換基なし、すなわち非置換)及びテトラヒドロピラン−4−イル(更なる置換基なし、すなわち非置換)及び4−メチル−3−ピリジルからなる群より選択され;
式(I)中のR
1は、その2位にある該前述のシクロブチル(m=1)に結合しているが、一方、該シクロブチルの1位は、D−置換ピラゾロピリミジノンの6位に対する結合点である]の実施態様に由来する。
【0048】
対応する実施態様は、それぞれ、実施態様9、10、11、12、13、14、15及び16として表される。
【0049】
実施態様9は実施態様1から、実施態様10は実施態様2から、実施態様11は実施態様3から、実施態様12は実施態様4から、実施態様13は実施態様6から、実施態様14は実施態様6から、実施態様15は実施態様7から、実施態様16は実施態様7に由来する。
【0050】
本発明の実施態様17〜24:
上記の実施態様1〜16の各々の範囲内で、より好ましい化合物は、式(II):
【化11】
[式中、
R
1は:前述の実施態様1〜8のいずれかにおいて定義されたとおりであり;
Dは、4,4−ジフルオロシクロヘキシル又はテトラヒドロピラン−4−イルのいずれかであり、そしてこれらの2個の基のどれも更なる置換基を有さない]で示される化合物、ならびにその塩、好ましくはその薬学的に許容しうる塩、その溶媒和物、及びその前述の塩の溶媒和物
[但し、該化合物は、下記:
【化12】
で示されるオキサジアゾリル誘導体(該オキサジアゾリル誘導体が、任意の可能な立体異性体の形態、又はそのすべてのもしくは一部の混合物、又はその塩、又はその溶媒和物、又はその塩の溶媒和物であるとしても)ではない]である。
【0051】
すべての実施態様1〜24について: 該ピラゾロピリミジノン基及び置換基R
1に対する、ピラゾロピリミジノン基の6位にあるシクロアルキル基の配置は、cis又はtransであり得る。
【0052】
この点において、本発明の化合物は、以下:
【表1】
[式中、R
1、R
2、m、n及びDは、実施態様1〜8のいずれかにおいて定義されたとおりである]で示される配置を有し得る。
【0053】
これらの立体化学的に定義された実施態様は、本発明の更なる態様である。
【0054】
本発明の実施態様25:
本発明の文脈の範囲内において、1つ以上の化合物は、以下の表中に列記されているような具体的に定義された種類の群より選択されることが好ましい。立体化学特性が考慮されていない場合、左の列には、同じ一般的な化学構造式を有する化合物の群である化合物ファミリーを識別するための文字コードを含む。これらの化合物ファミリーのメンバーは、例示的な実施態様の節に例示されている。
【0055】
化学種の表:
【表2】
ならびにその塩、好ましくはその薬学的に許容しうる塩、その溶媒和物、及びその前述の塩の溶媒和物。
【0056】
化合物の後者の群のうち、シクロブチル基における置換に関してtrans配置を示す化合物は、cis配置を有する化合物よりも好ましい場合がある。可能なtrans配置の化合物のうち、その1つは、効力において優位性を示す場合がある。化合物が有効であればある程、それはより好ましい化合物の1つである。本発明の好ましい化合物を区別し得る別の基準は、効力と安全性のバランス(例えば、PDE1Cのような他のPDEファミリーメンバーに対する選択性のような)である。
【0057】
実験部分のtrans配置の化合物の1つのペアに関して、単結晶X線構造解析によると、その鏡像異性体よりも低い効力を示した化合物の絶対立体化学は、R,Rであることが明らかになった。その結果として、より高い効力を有する化合物の絶対立体化学は、S,Sである。
【0058】
該化合物に関して、S,S配置は、一般式(II)の下記構造:
【化13】
によって表される。
【0059】
同様にして、実施態様25の化合物の中で、同じ絶対立体化学を示すかかる化合物は、同じ化合物ファミリーの他のメンバーと比較して、より活性な化合物であろうと推測され得る。本発明によれば、同じ化合物ファミリーの範囲内で、あまり活性でない化合物よりも、より活性な化合物が好ましい。化合物ファミリーは、その化学構造において、立体化学的特性に関してのみ異なる化合物の群である。
【0060】
異なる立体異性体は、本発明による個々の実施態様に従属する:
【0061】
本発明の実施態様26は、実施態様1〜25のいずれか1つの化合物に関し、ここで:
【化14】
【0062】
本発明の実施態様27は、実施態様1〜25のいずれか1つの化合物に関し、ここで:
【化15】
【0063】
本発明の実施態様28は、実施態様1〜25のいずれか1つの化合物に関し、ここで:
【化16】
【0064】
本発明の実施態様29は、実施態様1〜25のいずれか1つの化合物に関し、ここで:
【化17】
【0065】
本発明の実施態様30: 本発明の好ましい実施態様の別のセットは、式(I)又は(II):
[式中、
R
1は、ピリミジニル、又はピリジル、好ましくはピリミジン−2−イル又はピリジン−2−イルであり、
m=1、
n=0、そして、
Dは、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2−、3−及び4−ピリジルからなる群より選択され、
ここで、シクロペンチル及びシクロヘキシルは、場合により、1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より互いに独立に選択され得;好ましくはフッ素で置換され得;
ここで、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルは、場合により、1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、F
3C−、HF
2C−及びFH
2C−からなる群より互いに独立に選択され得;
ここで、ピリジルは、場合により、1、2、3又は4個、好ましくは1、2又は3個、より好ましくは1又は2個の置換基で置換され得、ここで、該置換基は、フッ素、塩素、臭素、NC−、F
3C−、HF
2C−、FH
2C−、F
3C−CH
2−及びメチルからなる群より互いに独立に選択され得;
ここで、好ましくは、Dは、4,4−ジフルオロシクロヘキサ−1−イル、テトラヒドロピラニル及び4−メチル−3−ピリジルからなる群より選択される]の化合物(包括的に、その立体化学的特性に関する選択肢)、ならびにその塩、好ましくはその薬学的に許容しうる塩、その溶媒和物、及びその前述の塩の溶媒和物に関する前述の実施態様の各々に由来する。
【0066】
実施態様1〜30の各々に関して: Dが、常にテトラヒドロフラニルであり得る場合、それは、好ましくはテトラヒドロフラン−3−イルであり;Dが、常にテトラヒドロピラニルである場合、それは、好ましくはテトラヒドロピラン−3−イル又はテトラヒドロピラン−4−イル、より好ましくはテトラヒドロピラン−4−イルである。
【0067】
実施態様1〜30の各々に関して: ヘテロアリール基R
1は、好ましくはその炭素環原子を介して、ピラゾロピリミジノン骨格の6位に結合しているシクロアルキル基に結合している。一般式(I)に従うと、該シクロアルキル基は、シクロブチル基又はシクロペンチル基であり得、一般式(II)に従うと、該シクロアルキル基は、シクロブチル基である。
【0068】
用語及び定義
本明細書において具体的に定義されない用語は、本開示及び文脈に照らして、当業者がこれらに与えるであろう意味を与えるものとする。例として、特定の置換基又は原子は、水素はH、窒素はN、炭素はC、酸素はO、硫黄はSなどのように、それらの1又は2文字表記を用いて示される。強制ではなく場合により、文字の後にハイフンをつけて、結合を示す。本明細書において使用されるとき、特に指定されない限り、下記用語は以下に示す意味を有し、下記慣例を順守する。
【0069】
以下に定義される基、ラジカル、又は部分において、多くの場合、該基に先行して炭素原子の数を指定し、例えば、C
1−6アルキルは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又はアルキルラジカルを意味する。一般に、2個以上のサブ基を含む基について、最後に命名される基がラジカルの結合点であり、例えば、「(CH
3)
2N−」は、式:(CH
3)
2N−の一価のラジカルを意味し、これは、その窒素原子を介して結合している(すなわちジメチルアミノ置換基)。ある置換基の用語が、マイナス符号もしくはハイフン、すなわち「−」で、始まるか又は終わる場合、この符号は、前述の例(CH
3)
2N−(ここで、該Nは、該ジメチルアミノ基が置換基である基に結合している)におけるように結合点を強調している。以下に特記のない限り、用語統制の慣用の定義及び慣用の安定的な原子価は、すべての式及び基において仮定されかつ構築される。
【0070】
一般に、用語が所与の文脈で具体的に定義される場合、かかる特定の定義は、当然、この段落において概説される更に一般的な定義よりも優先されよう。
【0071】
一般に、化合物の名称又は構造において特定の立体化学又は異性体形態が具体的に示していない限り、化学構造又は化合物の、個々の幾何異性体又は光学異性体又は異性体のラセミもしくは非ラセミ混合物であれ、全ての「互変異性体形態及び異性体形態及び混合物」が意図される。特定の定義が優先される。
【0072】
「置換」: 明示的又は暗示的に本明細書で使用される「置換されている」という用語は、原子の規定原子価数を超えないという条件で、指定された原子上の任意の1個以上の水素が、置換基の指示群のいくつかと置き換えられていることを意味する。例えば、オキソ置換基のように置換基が二重結合により結合されている場合、かかる置換基は、指定原子上の2個の水素原子に取って代わる。置換により、当然、結果として安定的な化合物となるものとする。この文脈で「安定的な」とは、好ましくは薬学的な観点から、医薬組成物の活性医薬成分として使用するために化学的及び物理的に十分安定な化合物を意味する。置換基が定義されていない場合、それは、水素であるものとする。「場合により置換されている」という用語は、対応する基が置換されているか又は置換されていないことのいずれかを意味する。同じ群の置換基が「互いに独立に選択され」得るという特徴付けは、当然、対応する置換基が同じであっても又は異なっていてもよいことを意味する。
【0073】
句「薬学的に許容しうる」とは、健全な医学的判断の範囲内において、過度な毒性、刺激性、アレルギー反応、又は他の問題もしくは合併症を有さずに、ヒト又は場合によっては動物の組織と接触させる際の使用に適し、適度なリスク対効果比と相応する、それらの化合物、物質、組成物、及び/又は剤形を指すために、本明細書で用いられる。
【0074】
本発明による化合物の「薬学的に許容しうる塩」も、同様に本発明に従属する。「薬学的に許容しうる塩」という用語は、親化合物の酸性又は塩基性塩、好ましくは付加塩を作ることによって親化合物が修飾されている、開示化合物の誘導体を指す。薬学的に許容しうる塩の例としては、アミノ官能基のような本発明の化合物の塩基性残基/一部の鉱酸又は有機酸塩が挙げられる;本発明の化合物内の酸性残基/一部は、アルカリ又は有機塩基と塩を形成し得るが、これらに限定されない。薬学的に許容しうる塩には、例えば、無毒性の無機又は有機酸から形成された親化合物の慣用の無毒塩又は第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、かかる慣用の無毒塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などのような無機酸から由来する当該塩;及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などのような有機酸から調製される塩が挙げられる。
【0075】
塩基との生理学的に許容しうる塩はまた、例として及び好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩及びマグネシウム塩)及びアンモニア、1〜16個のC原子を有する有機アミン類(例として及び好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、デヒドロアビエチルアミン、アルギニン、リジン、エチレンジアミン及びメチルピペリジンなど)のような慣用の塩基との塩を含み得る。
【0076】
本発明の薬学的に許容しうる塩は、塩基性又は酸性特性である親化合物から慣用の化学的方法により合成することができる。一般的に、かかる塩は、水中もしくは有機溶媒中、又は水と有機溶媒の混合物中(一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい)で、これらの化合物の遊離酸又は塩基形態を化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることによって、調製することができる。
【0077】
「プロドラッグ」とは、かかるプロドラッグを哺乳類対象に投与すると、本発明の生物学的に活性な化合物をインビボで放出するように設計された化合物とみなされる。本発明の化合物のプロドラッグは、本発明の化合物中に存在する官能基を修飾(これらの修飾が生理学的条件下で元の官能基に再変換されるような方法で)することによって調製される。本発明の化合物のプロドラッグも同様に本発明に従属することが認められる。
【0078】
「代謝物」は、インビボで形成される本発明の化合物の誘導体とみなされる。活性代謝物は、薬理学的作用をもたらす該代謝物である。本発明の化合物の代謝物、特に活性代謝物も同様に本発明に従属することが認められる。
【0079】
一部の化合物は「溶媒和物」を形成し得る。本発明の目的では、「溶媒和物」という用語は、固体又は液体状態で、溶媒分子との配位によって錯体を形成している、化合物の当該形態を指す。水和物は、配位が水と起こる溶媒和物の具体的な形態である。本発明によれば、この用語は、好ましくは非晶質のような固体溶媒和物に、又はより好ましくは結晶性溶媒和物について用いられる。
【0080】
「骨格」: 本発明の化合物の骨格は、下記コア構造によって表される。環員原子の位置の記数法を太字で示している:
【化18】
【0081】
当業者がこの骨格をその互変異性「エノール」形態
【化19】
で記載できることは、明白であろう。
【0082】
本発明の文脈では、たとえ二表現の一方のみが示されている場合でも、骨格の両構造表現が本発明の対象であるとみなすものとする。制限又は束縛されることを意味するわけではなく、周囲条件下と共に該化合物を含む医薬組成物に関連する条件である条件下では、大部分の化合物について、互変異性形態の平衡がピラゾロピリミジン−4−オン表現の側にあると考えられる。したがって、すべての実施態様は、ピラゾロピリミジン−4−オン−誘導体として、より正確にはピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン誘導体として示される。
【0083】
「結合」: 環系又は定義される基の化学式内で、置換基が下記式中の「RyR」のように原子又は基に直接結合している場合、これは、該置換基が対応する原子にのみ結合していることを意味するものとする。しかし、「RxR」のように、別の置換基からの結合が環系の原子に特異的に連結されず、環又は基の中心に向けて引かれている場合、これは、特記のない限り、この置換基「RxR」が、その環系/基のいずれの意味ある原子にも結合し得ることを意味する。
【化20】
【0084】
結合記号「−」(=マイナス符号)又は記号「−*」(=マイナス符号の後にアスタリスク符号)は、この結合を介して置換基が分子/骨格の対応する残りの部分に結合していることを表す。マイナス符号が十分に明白であるように思われない場合、分子/骨格の対応する主要部分との該結合の付着点を決定するために、結合記号「−」にアスタリスクを加える場合がある。
【0085】
「C
1−6−アルキル」という用語は、1〜6個のC原子を有する飽和の分岐又は非分岐炭化水素基を表す。かかる基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、ネオ−ペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、イソ−ヘキシルが挙げられる。この定義は、さらなる定義がない場合の本明細書の範囲内の任意の妥当な文脈において「アルキル」の使用に適用する。
【0086】
「C
3−7−シクロアルキル」という用語は、3〜7個のC環原子を有する飽和の単環式基を表す。好ましいのは、5又は6員シクロアルキル基である。そこには炭素原子以外の他の環原子はない。かかる基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルが挙げられる。この定義は、さらなる定義がない場合の本明細書の範囲内の任意の妥当な文脈において「シクロアルキル」に適用する。
【0087】
本出願で使用する「ヘテロアリール」という用語は、複素環式の単環式芳香族環系(該環系自体内に少なくとも1個のC原子に加えて、N、O、及び/又はSから独立に選択される1個以上のヘテロ原子を含む)を表す。好ましいのは、1〜3個のヘテロ原子、又は1〜2個のヘテロ原子、又は1個のヘテロ原子を有するヘテロアリールである。好ましいヘテロ原子は、Nである。
【0088】
用語「ピリジル」は、ピリジン置換基を定義し、ピリジニルとも呼ばれることがある。
【0089】
本明細書で使用される「予防」、「予防法」、「予防的処置」又は「予防的治療」のような表現は、同義語であり、そして、本明細書の先に記載の状態を発生するリスクが、特に該状態のリスクの増加又は相当する病歴を有する患者において減少されるという意味であると、当然理解される。しがたって、本明細書で使用する「疾患の予防」という表現は、疾患の臨床的発症前に疾患を発症するリスクのある個々の管理とケアを意味する。予防の目的は、疾患、状態又は障害の発生と戦うことであり、そして、症状もしくは合併症の発症を予防する又は遅らせるための、及び関連する疾患、状態又は障害の発生を予防する又は遅らせるための活性化合物の投与を含む。該予防的処置の成功は、予防的処置をしない同等の患者集団と比較して、当該状態のリスクにある患者集団内における該状態の発生率の減少により統計学的に反映される。
【0090】
「処置」又は「治療」という表現は、好ましくは顕性、急性又は慢性型の既に発生した1つ以上の該状態を有する患者(例えば、好ましくはヒト)の治療的処置を意味し、この表現には、特定の徴候の症状を緩和するための対症療法、或いは状態を回復させるもしくは部分的に回復させるための、又は状態及びその重症度に依存して、徴候の進行を、これが可能であり得る限り遅らせるための原因療法を含む。したがって、本明細書で使用する「疾患の処置」という表現は、発生した疾患、状態又は障害を有する患者の管理及びケアを意味する。処置の目的は、疾患、状態、障害又はその症状と戦うことである。処置には、疾患、状態又は障害を取り除く又は制御するための、及び疾患、状態又は障害に関連する症状又は合併症を軽減するための活性化合物の投与を含む。
【0091】
以下のスキームは、本発明の化合物の製造の仕方を例として一般的に示すものである。短縮形の置換基は、スキームの文脈の範囲内で特に定義されていなければ、式(I)の実施態様に関する定義のとおりであり得る:
【0092】
【化21】
スキーム1: 第1工程において、2−エトキシメチレン−マロノニトリルを一置換ヒドラジンと、エタノールのような適切な溶媒中、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下、加熱することによって縮合させて、対応する5−アミノ−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルを生成する。これらの化合物は、第2工程で、例えば、アンモニア(水中25%)及び過酸化水素(水中35%)でのエタノール溶液の処理によって、対応するアミドに変換する。第3工程において、塩基性条件(例えば、エタノール中の水素化ナトリウム)下で、ジカルボン酸ジエステルと加熱し、続いて水酸化ナトリウム水溶液の添加により、4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イル置換カルボン酸へと導く(経路1)。スキーム2に記載のように、そのカルボン酸官能基をヘテロアリール基に変換して、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オンを最終生成物として得る。代替的に、第3工程において、4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イル置換ニトリルは、ジニトリルから、塩基性条件(例えば、エタノール中の水素化ナトリウム)下で、加熱することによって、合成することができる(経路2)。スキーム3に記載のように、ニトリル官能基を更に、ヘテロアリール置換基に変換して、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オンを最終生成物として得る[例えば、A. Miyashita et al., Heterocycles 1990, 31, 1309を参照のこと]。
【0093】
【化22】
スキーム2: 4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イル置換カルボン酸を、以下の表中に列記の条件下で処理して、ヘテロアリール置換ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オンを最終生成物として生成する。R
aは、R
1の置換基である。
【0094】
【表3】
【0095】
【化23】
スキーム3: 4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イル置換ニトリルを、メタノールと混合し、そしてアセチルクロリドで処理するか、又は代替的に、エタノール中の塩酸飽和溶液と混合する。第2工程において、中間体をメタノール中のアンモニアの溶液で処理して、対応するアミジンを生成する。1,1,3,3−テトラアルコキシプロパンとの反応により、ピリミジン−2−イル置換ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オンを最終生成物として得る。
【0096】
ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オンを調製する更なる代替過程は、当技術分野において公知であり、同様に本発明の化合物の合成のために用いることができる(例えば:P. Schmidt et al., Helvetica Chimica Acta 1962, 189, 1620を参照のこと)。
【0097】
【化24】
スキーム4: 一般式(I)で定義されているように、Dがシクロペンチル及びシクロヘキシルである場合、スキーム4に示すように、スキーム1の工程1で使用する一置換ヒドラジン誘導体は、ヒドラジンカルボン酸tert−ブチルエステルでのケトンの還元的アミノ化、続く脱保護工程により、調製することができる[例えば、J.W. Timberlake et al., "Chemistry of Hydrazo-, Azo- and Azoxy Groups"; Patai, S., Ed.; 1975, Chapter 4; S. C. Hung et al., Journal of Organic Chemistry 1981, 46, 5413-5414を参照のこと]。
【0098】
【化25】
スキーム5: スキーム1に記載のように、第1工程において、2−エトキシメチレン−マロノニトリルを一置換ヒドラジンと、エタノールのような適切な溶媒中、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下、加熱することによって縮合させて、対応する5−アミノ−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルを生成する。これらの化合物を第2工程において対応するアミドに変換する(例えば、アンモニア(水中25%)及び過酸化水素(水中35 %)でのエタノール溶液の処理により)。第3工程において、R
1及びR
2置換シクロブチル又はシクロペンチルカルボン酸エステルと共に塩基性条件(例えば、エタノール中の水素化ナトリウム)下で加熱して、最終生成物として最終のピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オンへ導く[例えば、A. Miyashita et al., Heterocycles 1990, 31, 1309を参照のこと]。この手順は、実験節において、R
1がピリジニルであり、mが1であり、そしてnが0である場合についてより詳細に記載されている(実施例29〜32)。
【0099】
更なる情報は、下記:
− WO 2004/099210(特に、ページ9の最後の段落〜ページ14の8行目、参照により組み入れられる)、
− Dがテトラヒドロピラニルである場合の化合物の一般的製造に関して、更なる情報は、WO2009/121919中、特にページ120〜125及びその実験部分において見ることができる(参照により本明細書に組み入れられる)、
− Dが4,4−ジフルオロシクロヘキシルである場合に関して、更なる情報は、WO 2010/026214中、特にページ59〜63及びその実験部分において見ることができる(参照により本明細書に組み入れられる)、
− そして、本明細書の実験部分(例示的実施態様)において
見ることができる。特に2つの構成単位:
【化26】
の製造に関して例示的実施態様において見ることができる。
【0100】
処置の方法
本発明は、疾患の処置において有効であると考えられる化合物に関する。本発明の化合物は、ホスホジエステラーゼ9Aの有効的及び選択的阻害剤であり、そして医薬の開発のために用いることができる。かかる医薬は、好ましくはPDE9Aの阻害が治療的、予防的又は疾患改変作用をもたらすことができる疾患の処置のために用いるものとする。好ましくは特に例えば、軽度認知機能障害、加齢に伴う学習及び記憶障害、加齢に伴う記憶喪失、血管性認知症、頭蓋脳損傷、脳卒中、脳卒中後に起こる認知症(脳卒中後認知症)、外傷後認知症、一般的集中力障害、学習及び記憶の問題がある子供の集中力障害、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭葉の変性による認知症(ピック症候群を含む)、パーキンソン病、進行性核麻痺、皮質基底核変性症を伴う認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、視床変性症、クロイツフェルト・ヤコブ認知症、HIV認知症、てんかん、側頭葉てんかん、統合失調症、統合失調症(認知症を伴う)、コルサコフ精神病、又はうつ病もしくは双極性障害に関連する認知機能障害のような状況/疾患/症候群で起こるもののような知覚、集中、認知、学習又は記憶を改善するために該医薬を使用するものとする。
【0101】
本発明の別の態様は、PDE9Aの調節によって到達できる疾患、特に不眠症又はナルコレプシーのような睡眠障害、双極性障害、代謝症候群、肥満症、1型又は2型糖尿病を含む糖尿病、高血糖症、脂質代謝異常症、耐糖能障害、又は精巣、脳、小腸、骨格筋、心臓、肺、胸腺もしくは脾臓の疾患の処置に関することができる。
【0102】
したがって、本明細書で定義された式(I)又は(II)の化合物、特に具体的に定義された化学種の化合物を、医薬として用いるという点で、本発明の医学的態様を要約することができる。
【0103】
かかる医薬は、好ましくはCNS疾患の処置用の方法において用いるためである。
【0104】
代替用途では、医薬は、CNS疾患(その処置がPDE9の阻害によって到達可能である)の処置用の、治療的又は予防的方法、好ましくは治療的方法における使用のためである。
【0105】
代替用途では、医薬は、PDE9の、特にPDE9Aの阻害によって到達可能な疾患の処置用の、治療的又は予防的方法、好ましくは治療的方法における使用のためである。
【0106】
最も好ましい代替用途では、医薬は、知覚、集中、認知、学習もしくは記憶に関連する認知機能障害、好ましくはこの節に記載されている疾患又は状態に関連するような認知機能障害の処置、改善及び/又は予防用の、治療的又は予防的方法、好ましくは治療的方法における使用のためである。
【0107】
代替用途では、医薬は、加齢に伴う学習及び記憶障害、加齢に伴う記憶喪失、血管性認知症、頭蓋脳損傷、脳卒中、脳卒中後に起こる認知症(脳卒中後認知症)、外傷後認知症、一般的集中力障害、学習及び記憶の問題がある子供の集中力障害、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭葉の変性による認知症(ピック症候群を含む)、パーキンソン病、進行性核麻痺、皮質基底核変性症を伴う認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、視床変性症、クロイツフェルト・ヤコブ認知症、HIV認知症、てんかん、側頭葉てんかん、統合失調症、統合失調症(認知症を伴う)、コルサコフ精神病、又はうつ病もしくは双極性障害に関連する認知機能障害に関連する認知機能障害の処置又は改善又は予防用の、治療的又は予防的方法、好ましくは治療的方法における使用のためである。
【0108】
代替用途では、医薬は、アルツハイマー病、統合失調症、又はアルツハイマー病に関連するもしくは統合失調症に関連する認知機能障害の処置用の、治療的又は予防的方法、好ましくは治療的方法における使用のためである。
【0109】
代替用途では、医薬は、睡眠障害、双極性障害、代謝症候群、肥満症、糖尿病、高血糖症、脂質代謝異常症、耐糖能障害、又は精巣、脳、小腸、骨格筋、心臓、肺、胸腺もしくは脾臓の疾患の処置用の、治療的又は予防的方法、好ましくは治療的方法における使用のためである。
【0110】
本発明の更なる態様において、本発明は、状態又は疾患の上記に列記された群より選択される状態又は疾患の治療又は予防の方法であって、治療有効量の本発明の化合物を、それを必要とするヒトに投与することを含む方法に関する。
【0111】
本発明の別の態様は、治療的又は予防的方法、好ましくは治療的方法において医薬として使用するための本発明の化合物に関する。必要であれば、治療的方法又は医薬は、好ましくは「処置の方法」と表題が付いている本節において上記に概説された状態又は疾患の群より選択される状態又は疾患の処置のためである。
【0112】
医薬組成物
また本発明に属する投与のための医薬は、以下:
− 治療有効量中の薬学的に活性な成分としての本発明の化合物、そして
− 医薬担体を含む。
【0113】
「治療有効量」とは、患者の状態に適合させた適切な投与計画で医薬を適用した場合に、式(I)の該化合物の量が、対応する疾患を有効に治療し、その進行を防止もしくは減速し、又はそうでなくてもかかる疾患に苦しむ患者の状態を改善するのに十分であることを意味する。単剤療法における「治療有効量」が、別の医薬との併用療法における「治療有効量」と異なる場合もある。
【0114】
1日に適用可能な一般式(I)の化合物の用量範囲は、通常、0.1〜5000mg、好ましくは0.1〜1000mg、好ましくは2〜500mg、さらに好ましくは5〜250mg、最も好ましくは10〜100mgであり得る。投与単位(例えば、錠剤)は、好ましくは2〜250mg、特に好ましくは10〜100mgの本発明の化合物を含み得る。
【0115】
実際の薬学的に有効な量又は治療的用量は、患者の年齢、体重、性別又は他の状態、投与経路、疾患の重症度などのような当業者に公知の因子に依存する。
【0116】
本発明の化合物を、経口、非経口(静脈内、筋肉内など)、鼻腔内、舌下、吸入、くも膜下腔内、局所又は直腸径路によって投与し得る。本発明の化合物を投与するために適した製剤としては、例えば、パッチ、錠剤、カプセル剤、丸剤、ペレット剤、糖衣錠(dragee)、散剤、トローチ剤、坐剤、液体製剤(例えば液剤、懸濁液、エマルション、液滴、シロップ、エリキシル剤)、又は気体製剤(例えばエアロゾル、スプレーなど)が挙げられる。薬学的に活性な化合物の含量は、組成物全体の0.05〜90wt%、好ましくは0.1〜50wt%の範囲内であるべきである。好適な錠剤は、例えば、活性物質を公知の賦形剤、例えば不活性希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又は乳糖)、崩壊剤(例えばトウモロコシデンプン又はアルギン酸)、結合剤(デンプン又はゼラチン)、潤沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム又はタルク)及び/又は遅延放出用剤(例えばカルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、又はポリ酢酸ビニルと混合することによって得ることができる。また錠剤は数層を含んでもよい。
【0117】
したがって、錠剤と同様に製造されたコアを錠剤コーティング用に常用されている物質、例えばコリドン又はシェラック、アラビアガム、タルク、二酸化チタン又は糖でコーティングすることによってコーティング錠剤を調製し得る。また遅延放出を達成するため又は非適合性を防止するため、コアはいくつかの層から成り得る。同様に、錠剤コーティングがいくつかの層から成って、おそらく錠剤について上記した賦形剤を用いて遅延放出を達成し得る。
【0118】
本発明の活性物質又はその組み合わせを含有するシロップ又はエリキシル剤は、さらにサッカリン、シクラマート、グリセロール又は糖などの甘味料、及び風味向上剤、例えばバニリン又はオレンジエキスのような香味料を含み得る。またそれらは、懸濁佐剤又は増粘剤(例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース)、湿潤剤(例えば、脂肪アルコールとエチレンオキシドの縮合生成物のような)、又は保存剤(例えばp−ヒドロキシベンゾアートのような)を含み得る。
【0119】
液剤は、常法で、例えば等張剤、保存剤(例えばp−ヒドロキシベンゾアートのような)又は安定剤(例えばエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩など)を添加し、場合により、乳化剤及び/又は分散剤を用いて調製することができ、一方、希釈剤として水を使用する場合は、例えば、有機溶媒を、場合により、可溶化剤又は溶解助剤として用いることができ、そして該液剤を注射バイアルもしくはアンプル又は注入ビンに移すことができる。
【0120】
1種以上の活性物質又は活性物質の組み合わせを含有するカプセル剤は、例えば、活性物質を不活性担体と、例えばラクトース又はソルビトールと混合し、そしてそれらをゼラチンカプセルに詰めることによって調製され得る。
【0121】
好適な坐剤は、例えばこの目的で提供される担体、例えば中性脂肪又はポリエチレングリコールもしくはその誘導体と混合することによって製造され得る。
【0122】
使用し得る賦形剤としては、例えば、水、薬学的に許容しうる有機溶媒、例えばパラフィン(例えば、石油留分)、植物油(例えば、落花生油又はゴマ油)、単官能性又は多官能性アルコール(例えば、エタノール又はグリセロール)、担体、例えば天然鉱物粉末(例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク)、合成鉱物粉末(例えば、高分散性ケイ酸及びケイ酸塩)、糖(例えば、ショ糖、ラクトース及びグルコース)、乳化剤(例えば、リグニン、亜硫酸パルプ廃液、メチルセルロース、デンプン及びポリビニルピロリドン)及び潤沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸及びラウリル硫酸ナトリウム)が挙げられる。
【0123】
経口用途では、錠剤は、特定の担体に加えて、種々のさらなる物質、例えばデンプン、好ましくはジャガイモデンプン、ゼラチンなどと共に、添加剤、例えばクエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸二カルシウムを含有し得る。またステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクのような潤沢剤を用いて錠剤を製造し得る。水性懸濁液の場合、上記賦形剤に加えて、活性物質を種々の風味向上剤又は着色剤と混ぜ合わせてもよい。
【0124】
本発明の化合物の用量は当然、投与方法及び治療する病状に高く依存する。
【0125】
他の活性物質との組み合わせ
別の態様において、本発明は、本発明の化合物が別の活性化合物と一緒に投与される併用療法に関する。したがって、本発明はまた、そのうちの1つが本発明の化合物である、薬学的に活性な成分の組み合わせ提供するような医薬製剤に関する。かかる組み合わせは、一定用量の組み合わせ(組み合わされるべき薬学的に活性な成分が、同じ医薬製剤の対象である)又は自由用量の組み合わせ(薬学的に活性な成分が、別個の医薬製剤である)であり得る。
【0126】
その結果として、本発明の更なる態様は、本発明の化合物の各々の組み合わせ、好ましくは本発明の少なくとも1つの化合物と、例えばβ−セクレターゼ阻害剤;γ−セクレターゼ阻害剤;γ−セクレターゼ調節薬;アミロイド凝集阻害剤、例えばアルツヘメド(alzhemed);直接又は間接的に作用する神経保護及び/又は疾患改変物質;抗酸化剤、例えばビタミンE、イチョウ又はギンコリド(ginkolide);抗炎症物質、例えばCox阻害剤、追加的に又は排他的にAβ低減特性を有するNSAID;HMG−CoA還元酵素阻害剤、例えばスタチン;アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えばドネペジル、リバスチグミン、タクリン、ガランタミン;NMDA受容体アンタゴニスト、例えばメマンチン;AMPA受容体アゴニスト;AMPA受容体ポジティブ調節薬、AMPkines、グリシントランスポーター1阻害剤;モノアミン受容体再取り込み阻害剤;神経伝達物質の濃度又は放出を調節する物質;成長ホルモンの分泌を誘導する物質、例えばイブタモレンメシラート(ibutamoren mesylate)及びカプロモレリン(capromorelin);CB−1受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニスト;抗生物質、例えばミノサイクリン又はリファンピシン;PDE1、PDE2、PDE4、PDE5及び/又はPDE10阻害剤、GABAA受容体インバースアゴニスト;GABAA α5受容体インバースアゴニスト;GABAA受容体アンタゴニスト;ニコチン受容体アゴニスト又は部分アゴニスト又はポジティブ調節薬;α4β2ニコチン受容体アゴニスト又は部分アゴニスト又はポジティブ調節薬;α7ニコチン受容体アゴニスト又は部分アゴニスト;ヒスタミン受容体H3アンタゴニスト;5−HT4受容体アゴニスト又は部分アゴニスト;5−HT6受容体アンタゴニスト;α2−アドレノ受容体アンタゴニスト、カルシウムアンタゴニスト;ムスカリン受容体M1アゴニスト又は部分アゴニスト又はポジティブ調節薬;ムスカリン受容体M2アンタゴニスト;ムスカリン受容体M4アンタゴニスト;代謝型グルタミン酸受容体5ポジティブ・アロステリック調節薬;代謝型グルタミン酸受容体2アンタゴニスト;代謝型グルタミン酸受容体2/3アゴニスト;代謝型グルタミン酸受容体2ポジティブ・アロステリック調節薬、ならびに本発明の化合物の効力及び/又は安全性を高め、及び/又は望ましくない副作用を低減するようなやり方で受容体又は酵素を調節する他の物質の群から選択される、別の活性な化合物との組み合わせに関する。
【0127】
この発明は更に、1つ以上、好ましくは1つの活性物質を含有する医薬組成物に関する。少なくとも1つの活性物質は、本発明の化合物及び/又はその対応する塩から選択される。好ましくは、組成物は、かかる活性化合物を1つのみを含む。1つより多い活性化合物の場合、もう一方の活性化合物は、アルツヘメド、ビタミンE、ギンコリド、ドネペジル、リバスチグミン、タクリン、ガランタミン、メマンチン、イブタモレンメシラート、カプロモレリン、ミノサイクリン及び/又はリファンピシンのような組み合わせパートナーの前述の群から選択されることができる。場合により、組成物は、不活性担体及び/又は希釈剤のような更なる成分を含む。
【0128】
本発明の化合物はまた、上記疾患及び状態の処置のために、例えば、Aβ又はその一部による能動免疫法、或いはヒト化抗Aβ抗体又は抗体フラグメントによる受動免疫法のような免疫療法との組み合わせにおいて使用し得る。
【0129】
本発明の化合物はまた、ジメボン(Dimebon)と合わせ得る。
【0130】
本発明の化合物はまた、アミトリプチリン・イミプラミン塩酸塩(TOFRANIL)、マレイン酸イミプラミン(SURMONTIL)、ロフェプラミン、デシプラミン(NORPRAMIN)、ドキセピン(SINEQUAN, ZONALON)、トリミプラミン(SURMONTIL)のような抗うつ薬と合わせ得る。
【0131】
或いは、本発明の化合物はまた、アラプロクラート、シタロプラム(CELEXA, CIPRAMIL)エスシタロプラム(LEXAPRO, CIPRALEX)、クロミプラミン(ANAFRANIL)、デュロキセチン(CYMBALTA)、フェモキセチン(MALEXIL)、フェンフルラミン(PONDIMIN)、ノルフェンフルラミン、フルオキセチン(PROZAC)、フルボキサミン(LUVOX)、インダルピン、ミルナシプラン(IXEL)、パロキセチン(PAXIL, SEROXAT)、セルトラリン(ZOLOFT, LUSTRAL)、トラゾドン(DESYREL, MOLIPAXIN)、ベンラファキシン(EFFEXOR)、ジメリジン(NORMUD, ZELMID)、ビシファジン、デスベンラファキシン(PRISTIQ)、ブラソフェンシン(brasofensme)及びテソフェンシン(tesofensine)のようなセロトニン(5−HT)再取り込み阻害剤と合わせ得る。
【0132】
本発明の組み合わせを、同時に1つの同一剤形で、すなわち組み合わせ製剤の形態で、例えば、二成分が1つの錠剤に、例えば、該錠剤の異なる層に組み入れて提供し得る。組み合わせを別々に、自由な組み合わせの形態で提供してもよく、すなわち、本発明の化合物を1つの剤形で提供し、1種以上の上記組み合わせパートナーを別の剤形で提供する。これらの2つの剤形が同一剤形で、例えば、2つの錠剤(一方が治療有効量の本発明の化合物を含有し、及び一方が治療有効量の上記組み合わせパートナーを含有する)の同時投与であり得る。所望により、異なる投与形態を併用することもできる。いずれのタイプの適切な投与形態も提供し得る。
【0133】
本発明の化合物、又はその生理学的に許容しうる塩を、別の活性物質と組み合わせて、同時又は時間差で、しかし特に近接した時間で使用し得る。同時に投与する場合は、2つの活性物質を一緒に患者に与え;時間差で投与する場合は、12時間以下の時間内、特に6時間以下の時間内で連続的に2つの活性物質を患者に与える。
【0134】
本発明の文脈において用量又は投与形態は制限されず、いずれの適切な剤形も使用し得る。例えば、剤形は、固体製剤(例えば、パッチ、錠剤、カプセル剤、丸剤、ペレット剤、糖衣錠、散剤、トローチ剤、坐剤)、液体製剤(例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、液滴、シロップ、エリキシル剤)、又は気体製剤(例えば、エアロゾル、スプレーなど)から選択され得る。
【0135】
剤形は、有利には投与単位で処方され、各投与単位は、存在する各活性成分の単一用量を供給するように適合される。したがって、投与経路及び剤形に依存して、成分が選択される。
【0136】
上記組み合わせパートナーの用量は、便宜上、一般的に推奨される最低用量の1/5から一般的に推奨される用量の1/1までとしてもよい。
【0137】
製剤の性質に依存して、1日に例えば1、2、3、又は4回、剤形を患者に投与する。遅延又は持続性放出製剤又は他の医薬製剤の場合、剤形を患者に異なるように(例えば毎週又は毎月1回など)、投与してもよい。本発明の化合物を1日に3回以下、より好ましくは1日に1回又は2回投与するいずれかが好ましい。
【0138】
実施例
医薬組成物
限定的であることを意図しない、可能な医薬製剤を説明する実施例:
【0139】
「活性物質」という用語は、本発明の1つ以上の化合物をその塩を含めて表す。上記の1つ以上の他の活性物質との組み合わせの場合、「活性物質」という用語はまた、追加の活性物質も包含する。
【0140】
実施例A
活性物質100mgを含有する錠剤
組成:錠剤
活性物質 100.0mg
乳糖 80.0mg
トウモロコシデンプン 34.0mg
ポリビニルピロリドン 4.0mg
ステアリン酸マグネシウム
2.0mg
220.0mg
【0141】
実施例B
活性物質150mgを含有する錠剤
組成:錠剤
活性物質 150.0mg
粉末乳糖 89.0mg
トウモロコシデンプン 40.0mg
コロイドシリカ 10.0mg
ポリビニルピロリドン 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム
1.0mg
300.0mg
【0142】
実施例C
活性物質150mgを含有する硬ゼラチンカプセル剤
活性物質 150.0mg
乳糖 87.0mg
トウモロコシデンプン(乾燥) 80.0mg
ステアリン酸マグネシウム
3.0mg
320.0mg
【0143】
実施例D
組成:坐剤
活性物質 150.0mg
ポリエチレングリコール 1500 550.0mg
ポリエチレングリコール 6000 460.0mg
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート
840.0mg
2000.0mg
【0144】
実施例E
組成:活性物質10mgを含有するアンプル剤
活性物質 10.0mg
0.01N 塩酸 適量
再蒸留水を加えて 2.0mLになる量
【0145】
実施例F
組成:活性物質50mgを含有するアンプル剤
活性物質 50.0mg
0.01N 塩酸 適量
再蒸留水を加えて 10.0mLになる量
【0146】
上記処方のいずれの調製も、下記標準的手順を行うことができる。
【0147】
生物学的アッセイ
本発明の化合物のインビトロ効果を、以下の生物学的アッセイを用いて示すことができる。
【0148】
PDE9A2 アッセイプロトコル:
PDE9A2酵素活性アッセイを、一般的に製造業者(GE Healthcare, former Amersham Biosciences, 製品番号: TRKQ 7100)のプロトコルに従ってシンチレーション近接アッセイ(SPA)として行った。
【0149】
酵素源として、ヒトPDE9A2を発現しているSF9細胞のライセート(1% Triton X-100を含むPBSにプロテアーゼ阻害剤を補充、13.000rpmにて30分間の遠心分離で細胞デブリを除去)を用いた。アッセイに含まれる総タンパク量は、SF9細胞の感染及び生産効率によって変化し、0.1〜100ngの範囲内であった。
【0150】
一般的に、アッセイ条件は以下のとおりであった:
● 総アッセイ体積: 40μL
● タンパク質量: 0.1〜50ng
● 基質濃度(cGMP): 20nmolar;約1mCi/L
● インキュベーション時間: 室温で60分間
● 最終DMSO濃度: 0.2〜1%
【0151】
アッセイは、384穴型で行なった。試験試薬ならびに酵素及び基質を、アッセイ緩衝液で希釈した。アッセイ緩衝液は、50mM Tris、8.3mM MgCl
2、1.7mM EGTA、0.1% BSA、0.05% Tween20を含み;アッセイ緩衝液のpHを7.5に調整した。PDE9特異的阻害剤((例えば、WO 2004/099210又はWO 2004/099211に記載の化合物、実施例37の鏡像異性体の1つのように、例えば、1−(2−クロロフェニル)−6−[(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−メチル−プロピル]−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン)を過剰量で適用することによって反応を停止した。
【0152】
文献:
【表4】
【0153】
PDE1Cアッセイプロトコル:
アッセイを、PDE9A2アッセイと同様のやり方で実施したが、以下の点が異なる:PDE9A2の代わりに、PDE1Cを用い、そしてアッセイ緩衝液は、更に50nMカルモジュリン、3mM CaCl
2を含有していた。反応は、上に概説されている(1−(2−クロロフェニル)−6−[(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−メチル−プロピル]−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン)と、同じ阻害剤を適用することにより停止することができる。
【0154】
IC
50の決定:
GraphPadPrism又は他の適切なソフトウエアを用いて、陽性対照を100とし、陰性対照を0として、IC
50を計算することができる。IC
50の計算のため、試験化合物(基質)の希釈度を選択し、上記プロトコルに従って試験するもとのとする。
【0155】
データ
以下において、PDE9A2阻害[ナノモーラー(nM)]に対するIC
50値は、本発明の化合物がPDE9を、特にPDE9A2を阻害することを示す。これは、化合物が有用な薬理学的特性をもたらすことを実証する。実施例は、限定的であることを意味しない。
【0156】
また表は、PDE9A 対 PDE1Cに対する化合物の選好を示す選択性値(選択性)を提供する。選択性は、比率である(PDE1C阻害に対するIC
50[ナノモーラー(nM)])/(PDE9A2阻害に対するIC
50[ナノモーラー(nM)])。
【0157】
実施例の番号は、例示的実施態様の節に概説された最終実施例を指し、上記化合物ファミリー表(実施態様25)により定義されたとおりである。
【0158】
すべてのデータは、本明細書に記載の手順に従って測定することができる。鏡像異性体1又は鏡像異性体2の定義は、キラルSFC及びキラルHPLCにおける溶出順序に関係する。
【表5】
【0159】
インビボ効果:
本発明の化合物の正のインビトロ効力の結果が、正のインビボ効力に翻訳されると考えられる。
【0160】
本発明の化合物のインビボ効果は、Prickaertsらの方法(Neuroscience 2002, 113, 351-361)に従う新奇物体認識試験(Novel Object Recognition test)、社会認識試験、又はvan der Staayらによる記載の方法に従うT−迷路自発的交替試験で試験することができる(Neuropharmacology 2008, 55,908-918)。また本発明の化合物の生物学的試験に関するさらなる情報のために、これら2つの引用文献も参照されたい。
【0161】
標的PDE9に対する阻害特性に加えて、本発明の化合物は、更なる有利な薬物動態特性を提供し得る。
【0162】
例えば、本発明の化合物は、安全性、均衡のとれた代謝性、低い薬物・薬物相互作用を引き起こすリスク及び/又は均衡のとれたクリアランスの分野において1つ以上の利点を示し得る。
【0163】
化合物はまた、生物学的利用率、高吸収率、血液脳輸送特性、好都合な(例えば、高平均)滞留時間(mrt)、作用コンパートメントでの好都合な暴露などの分野において、1つ以上の追加又は代替利点を示し得る。
【0164】
化学製造
略語:
バージェス(Burgess)試薬 (メトキシカルボニルスルファモイル)−トリエチルアンモニウム−N−ベタイン
ローソン(Lawesson)試薬 2,4−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン 2,4−ジスルフィド
APCI 大気圧化学イオン化
ACN アセトニトリル
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール
DEA ジエチルアミン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DME 1,2−ジメトキシエタン
DMF ジメチルホルムアミド
ESI エレクトロスプレーイオン化(MSで)
EtOH エタノール
Exp. 実施例
h 時間
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムへキサフルオロホスファート
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
HPLC−MS (結合)高速液体クロマトグラフィー−質量分析
M モーラー(mol/L)
MeOH メタノール
min 分
MS 質量分析
NMP 1−メチル−2−ピロリジノン
R
t 保持時間(HPLCで)
SFC 超臨界流体クロマトグラフィー
TBTU O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0165】
LC−MS法:
方法1
MS装置型:Waters Micromass ZQ; HPLC装置型:Waters Alliance 2695、Waters 2996ダイオードアレイ検出器; カラム:Varian Microsorb 100 C18、30×4.6mm、3.0μm; 溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:ACN; 勾配:0.0分 5%B(R)0.18分 5%B(R)2.0分 98%B(R)2.2分 98%B(R)2.3分 5%B(R)2.5分 5%B; 流速:3.5mL/分; UV検出:210〜380nm。
【0166】
方法2
MS装置型:Waters Micromass ZQ; HPLC装置型:Waters Alliance 2695、Waters 2996 ダイオードアレイ検出器; カラム:Varian Microsorb 100 C18、30×4.6mm、3.0μm; 溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH; 勾配:0.0分 5%B(R)0.35分 5%B(R)3.95分 100%B(R)4.45分 100%B(R)4.55分 5%B(R)4.9分 5%B; 流速:2.4mL/分; UV検出:210〜380nm。
【0167】
方法3
MS装置型:Waters Micromass ZQ; HPLC装置型:Waters Alliance 2695、Waters 2996 ダイオードアレイ検出器; カラム:Varian Microsorb C18、20×4.6mm、5.0μm; 溶離剤A:水+0.15%TFA、溶離剤B:MeOH; 勾配:0.0分 5%B(R)0.25分 5%B(R)1.90分 100%B(R)2,05分 100%B(R)2.15分 5%B(R)2.25分 5%B; 流速:5.2mL/分; UV検出:210〜400nm。
【0168】
方法1Eヒドロ
機器:LC/MS ThermoFinnigan. Hplc Surveyor DAD, MSQ Quadrupole; カラム:Synergi Hydro-RP80A、4μm、4.60×100mm; 溶離剤A:90%水+10%アセトニトリル+ギ酸アンモニウム10mM; 溶離剤B=ACN 90%+10% H
2O+NH
4COOH 10mM; 勾配:A(100)1.5分間、次に10分で→B(100)1.5分間; 流速:1.2mL/分; UV検出:254nm;イオン源:APCI。
【0169】
キラルSFC法:
方法4
SFC装置型:Berger“Analytix”; カラム:Daicel IC、250mm×4.6mm、5.0μm; 溶離剤:CO
2/25%MeOH/0.2%DEA(均一濃度); 流速:4.0mL/分、10分; 温度:40℃; UV検出:210/220/254nm。
【0170】
方法5
SFC装置型:Berger“Analytix”; カラム:Daicel ADH、250mm×4.6mm、5.0μm; 溶離剤:CO
2/25%MeOH/0.2%DEA(均一濃度); 流速:4.0mL/分、10分; 温度:40℃; UV検出:210/220/254nm。
【0171】
キラルHPLC法:
方法6:
HPLC装置型:Agilent 1100; カラム:Daicel chiralcel OJ-H、250mm×4.6mm、5.0μm; 溶離剤:ヘキサン/EtOH 80:20; 流速:1mL/分、温度:25℃; UV検出:可変性(200〜500nm)。
【0172】
方法6.1:
HPLC装置型:Agilent 1100; カラム:Daicel chiralcel OJ-H、250mm×4.6mm、5.0μm; 溶離剤:ヘキサン/EtOH 85:15; 流速:1mL/分、温度:25℃; UV検出:可変性(200〜500nm)。
【0173】
方法7:
HPLC装置型:Agilent 1100; カラム:Chiralpak AD-H、250mm×4.6mm、5.0μm; 溶離剤:ヘキサン/イソプロパノール 80:20; 流速:1mL/分、温度:25℃; UV検出:可変性(200〜500nm)。
【0174】
HPLC装置型:Agilent 1100; カラム:Chiralpak AD-H、250mm×4.6mm、5.0μm; 溶離剤:ヘキサン/イソプロパノール 80:20; 流速:1mL/分、温度:25℃; UV検出:可変性(200〜500nm)。
【0175】
マイクロ波加熱:
● Discover(登録商標)CEM機器(10及び35mLの容器が装備されている);
● Biotage Initiator Sixty。
【0176】
構造の表示に関する一般的注釈
不斉中心を有する化合物: 以下の実験節において描写した構造は、必ずしも化合物の全ての可能な立体化学を示しておらず、1つのみを示している。しかし、このような場合には、他の立体化学的選択肢を指摘するため、描写した構造の次に「trans−ラセミ混合物」又は「cis−ラセミ混合物」のような用語を加えている。
【0177】
以下に例を示す。表示構造式は以下:
【化27】
で示すとおりである。
【0178】
付加された用語「trans−ラセミ化合物」は、第2の立体化学的選択肢:
【化28】
を指摘している.
【0179】
したがって、製造される化合物は、以下:
【化29】
の混合物である。
【0180】
この原理は他の描写構造に同様に適用される。
【0181】
出発化合物:
実施例1A(trans−ラセミ混合物)
【化30】
trans−シクロブタン−1,2−ジカルボン酸2.00g(13.9mmol)を、EtOH 16mLと0℃で混合し、塩化チオニル2.21mL(30.5mmol)をゆっくりと加えた。混合物を室温に温まるにまかせ、1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、活性化塩基性アルミナのパッドを通して濾過し、生成物2.71g(98%)を得た。
HPLC−MS(方法1):R
t=1.34分
MS(ESI pos):m/z=201(M+H)
+
【0182】
下記の実施例を、出発物質として対応する二酸を使用して、実施例1Aの調製と同様にして合成した。
【表6】
【0183】
実施例2A(ラセミ混合物)
【化31】
2−アミノ−プロピオン酸8.00g(89.7mmol)を、無水酢酸88.0mL(0.93mol)及びピリジン88.0mLと混合した。反応混合物を100℃で135分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。トルエンを残留物に加え、そして溶媒を減圧下で除去し、次にHCl(4M 水溶液)204mL(816mmol)を加え、そして混合物を3時間還流した。溶媒を減圧下で除去した。1−ブタノール(20mL)を残留物に加え、そして溶媒を減圧下で除去した。標記化合物11.6gを塩酸塩として得た。
MS(ESI pos):m/z=88(M+H)
+
【0184】
実施例3A(trans−ラセミ混合物)
【化32】
5−アミノ−1−(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(PCT特許出願 WO 2010/026214、実施例8Aを参照のこと)1.00g(4.09mmol)を、無水EtOH 15mLと混合し、実施例1Aの2.46g(12.3mmol)及び水素化ナトリウム0.66g(16.4mmol)(鉱油中60%懸濁液)を加えた。反応混合物をマイクロ波オーブン中で140℃に30分間加熱した。混合物を室温に冷まし、そして水酸化ナトリウム溶液(4M 水溶液)を加えた。溶媒を減圧下で除去した。残留物を分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製した。生成物0.70g(49%)を得た。
HPLC−MS(方法1):R
t=1.24分
MS(ESI pos):m/z=353(M+H)
+
【0185】
以下の実施例は、出発物質として対応するアミド及びエステルを使用し、実施例3Aの調製と同様にして合成した(出発物に関して、PCT 特許公報WO 2010/026214、WO 2009/121919 及びWO 2004/09921を参照のこと)。
【表7】
【0186】
実施例4A(trans−ラセミ混合物)
【化33】
実施例3Aの0.200g(0.568mmol)を、トリエチルアミン0.157mL(1.14mmol)及びDMF 5mLと混合した。混合物に、HATU 0.237g(0.624mmol)を加え、次に反応混合物を室温で10分間撹拌した。混合物に、酢酸ヒドラジド0.042g(0.568mmol)を加え、そして反応混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製した。生成物30mgを得た。
HPLC−MS(方法1):R
t=1.03分
MS(ESI pos):m/z=409(M+H)
+
【0187】
実施例5A(trans−ラセミ混合物)
【化34】
実施例3Aの0.150g(0.426mmol)を、THF 2mLと混合した。混合物を0℃に冷却し、そして塩化オキサリル0.036mL(0.426mmol)及びDMF 1滴を加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。反応混合物に、ACN 2mL及びトリメチルシリルジアゾメタン(ヘキサン中2M)0.426mL(0.851mmol)を加えた。混合物を2時間撹拌し、次にHCl(ジオキサン中4M)0.213mLをゆっくりと加えた。反応物を3時間撹拌した。混合物に、酢酸エチル及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。有機層を水及びブラインで洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。約2mLの容量に達するまで、溶媒を部分的に蒸発させた。混合物を更に精製しないで次の工程で用いた。
HPLC−MS(方法1):R
t=1.40分
MS(ESI pos):m/z=385/387(Cl)
【0188】
下記の実施例を、出発物質として対応する酸を使用して、実施例5Aの調製と同様にして合成した。
【表8】
【0189】
実施例6A(立体異性体のtrans−混合物)
【化35】
実施例3Bの0.200g(0.628mmol)をDMF 1mLと混合した。トリエチルアミン0.261mL(1.89mmol)及びTBTU 0.222g(0.691mmol)を加えた。反応混合物を室温で10分間撹拌した。次に実施例2Aの0.078g(0.628mmol)を加え、そして混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製した。生成物190mgを得た。
HPLC−MS(方法3):R
t=1.03分
MS(ESI pos):m/z=388(M+H)
+
【0190】
実施例7A(trans−ラセミ混合物)
【化36】
実施例3Bの0.200g(0.628mmol)を、DMF 1mLと混合した。トリエチルアミン0.174mL(1.26mmol)及びTBTU 0.222g(0.691mmol)を加えた。反応混合物を室温で10分間撹拌した。次に2,2−ジメトキシ−エチルアミン0.066g(0.628mmol)を加え、そして混合物を室温で1時間撹拌した。次にHCl(2M 水溶液)を加え、そして混合物を分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製した。残留物をアセトン5mL及びHCl(2M 水溶液)1mLと混合し、そして窒素下で一晩撹拌した。次に混合物をDCMで抽出した。有機層を蒸発させ、そして分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製した。生成物170mgを得た。
HPLC−MS(方法3):R
t=1.01分
MS(ESI pos):m/z=360(M+H)
+
【0191】
実施例8A(立体異性体のtrans−混合物)
【化37】
実施例3Aの0.200g(0.568mmol)を、DMF 1.0mLと混合した。DIPEA 0.432mL(2.84mmol)及びTBTU 0.200g(0.624mmol)を加えた。反応混合物を室温で10分間撹拌した。次に実施例2Aの0.140g(1.14mmol)を加え、そして混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製した。生成物70mg(29%)を得た。
HPLC−MS(方法1):R
t=1.23分
MS(ESI pos):m/z=422(M+H)
+
【0192】
以下の実施例を、出発物質として対応する求核試薬を使用して、実施例8Aの調製と同様にして合成した。
【表9】
【0193】
実施例9A(trans−ラセミ混合物)
【化38】
デス・マーチン・ペルヨージナン(Dess-Martin-Periodinane)0.182g(0.430mmol)を、DCM 2.5mLと混合した。DCM 2.5mL中の実施例8Dの0.160g(0.391mmol)を室温で加えた。反応混合物を室温で30分間、そして30℃で30分間撹拌した。混合物に、チオ硫酸ナトリウム溶液(水中10%)10mL及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液10mLを加え、そして混合物を20分間撹拌した。有機層を分離し、そして水層をDCMで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させ、そして蒸発させた。生成物93mg(58%)を得た。
HPLC−MS(方法1):R
t=1.18分
MS(ESI pos):m/z=408(M+H)
+
【0194】
下記の実施例を、出発物質として対応するアルコールを使用して、実施例9Aの調製と同様にして合成した。
【表10】
【0195】
実施例10A(立体異性体のtrans−混合物)
【化39】
実施例3Cの0.450gを、DMF 3.5mL及び実施例2A 0.273g(2.21mmol)と混合した。DIPEA 1.00mL(6.64mmol)及びTBTU 0.390g(1.22mmol)を加え、そして混合物を1時間撹拌した。混合物を分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製した。生成物360mg(83%)を得た。
HPLC−MS(方法1):R
t=0.85分
MS(ESI pos):m/z=395(M+H)
+
【0196】
実施例11A(trans−ラセミ混合物)
【化40】
5−アミノ−1−(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(WO 2010/026214、実施例8Aを参照のこと)300mg(1.23mmol)を、無水EtOH 4mL、trans−シクロブタン−1,2−ジカルボニトリル326mg(3.07mmol)及び水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液)0.197g(4.91mmol)と窒素下で混合した。反応混合物をマイクロ波オーブン中で140℃に45分間加熱した。溶媒を減圧下で除去した。残留物を分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製した。標記化合物210mg(51%)を得た。
HPLC−MS(方法3):R
t=1.19分
MS(ESI pos):m/z=334(M+H)
+
【0197】
実施例11B(trans−ラセミ混合物)
【化41】
無水EtOH 8mL中の5−アミノ−1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−1−H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(PCT 特許出願WO2010/026214を参照のこと)0.8g(3.805mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液)0.457g(19.6mmol)を、窒素下、室温で加えた。撹拌下で1時間後、trans−シクロブタン−1,2−ジカルボニトリル1.2g(11.42mmol)を加え、そして反応混合物をマイクロ波オーブン中で140℃に45分間加熱した。溶媒を減圧下で除去した。残留物をDCMに溶解し、水を加え、そして相を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下で蒸発させた。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(Cy/EtOAc 80/20→100%)により精製して、標記化合物を黄色の固体(0.64g、55%)として得た。
HPLC−MS(方法1Eh):R
t=6.21分
MS(APCI):m/z=300(M+H)
+
【0198】
実施例11C(trans−ラセミ混合物)
【化42】
無水EtOH 10mL中の5−アミノ−1−(4−メチル−ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(PCT 特許出願WO 2004/09921を参照のこと)0.85g(3.91mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液)0.47g(11.74mmol)を窒素下、室温で加えた。撹拌下で1時間後、trans−シクロブタン−1,2−ジカルボニトリル1.28g(11.74mmol)を加え、そして反応混合物をマイクロ波オーブン中で140℃に45分間加熱した。次に反応混合物をSCXカートリッジ上に装填し、アンモニア画分を回収し、そして蒸発させ、そして残留物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH 90:10)により精製して、標記化合物を白色の固体(0.63g、52%)として得た。
HPLC−MS(方法1Eh):R
t=5.92分
MS(APCI pos):m/z=307(M+H)
+
【0199】
実施例12A(trans−ラセミ混合物)
【化43】
実施例11Aの190mg(0.570mmol)を、トルエン0.281mL及び無水MeOH 0.093mL(2.30mmol)と混合した。アセチルクロリド0.103mL(1.45mmol)を0℃でゆっくりと加えた。混合物を室温で12時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残留物にMeOH 0.5mLを加えた。次にアンモニア(MeOH中7M)0.407mL(2.85mmol)を0℃で加え、そして混合物を室温に温まるにまかせた。30分後、反応混合物を水で処理し、そしてTFAの添加によりpHをpH=1に調整した。混合物を分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製して、生成物110mg(42%)をトリフルオロ酢酸塩として得た。
HPLC−MS(方法3):R
t=1.04分
MS(ESI pos):m/z=351(M+H)
+
【0200】
実施例12B(trans−ラセミ混合物)
【化44】
0℃に冷却した乾燥EtOH(5mL)と乾燥CHCl
3(5mL)との混合物に、アセチルクロリド(2.27mL、30.82mmol)をゆっくりと加え、そして混合物を撹拌下、0℃で20分間静置した。乾燥CHCl
3(5mL)中の実施例11B(0.410g、1.027mmol)の溶液を滴下し、そして混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を乾燥EtOH(5mL)に溶解し、そしてMeOH中のアンモニアの7.0M 溶液6.4mL(30.82mmol)を加えた。混合物を室温で12時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。最終生成物を塩酸塩として得て、そして更に精製しないで次の工程に使用した(0.37g、含有量50%(HPLC−MSによる推定))。
HPLC−MS(方法1Eh):R
t=5.38分
MS(APCI pos):m/z=317(M+H)
+
【0201】
実施例12C(trans−ラセミ混合物)
【化45】
0℃に冷却した乾燥EtOH(4mL)と乾燥CHCl
3(10mL)との混合物に、アセチルクロリド(4.38mL、61.7mmol)をゆっくりと加え、そして混合物を撹拌下、0℃で20分間静置した。乾燥CHCl
3(5mL)中の実施例11C(0.63g、2.057mmol)の溶液を滴下し、混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を乾燥MeOH(10mL)に溶解し、そしてMeOH中のアンモニアの7.0M 溶液10.3mL(72mmol)を加えた。混合物を室温で12時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。最終生成物を塩酸塩として得て、更に精製しないで次の工程で使用した(0.85g、含有量84%(HPLC−MSによる推定))。
HPLC−MS(方法1Eh):R
t=5.15分
MS(APCI pos):m/z=324(M+H)
+
【0202】
実施例13A(trans−ラセミ混合物)
【化46】
乾燥EtOH(12mL)中の2−アセチル−シクロブタンカルボン酸メチルエステル(J. Med. Chem, 25, 109, 1982に記載のように調製した)1.6g(10.24mmol)の溶液に、プロパルギルアミン(1.4mL、20.4mmmol)を加え、続いて三塩化金ナトリウム0.122g(0.307mmol)を加えた。反応混合物をマイクロ波オーブン中で140℃に45分間加熱し、固体を濾過し、そして有機物を蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(Cy/EtOAc 70:30)により精製して、標記化合物を黄緑色の油状物(0.18g、9.2%)として得た。
HPLC−MS(方法1Eh):R
t=0.87分
MS(APCI pos):m/z=192(M+H)
+
【0203】
例示的実施態様
実施例1(trans−ラセミ混合物)
【化47】
プロパン−2−オンオキシム22.0mg(0.306mmol)を、無水THF 2mLと混合し、そしてn−ブチルリチウム(トルエン中2.6mol/L)0.471mL(1.22mmol)を注意深く混合物に加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌した。無水THF 1mL中の実施例8Bの0.110g(0.278mmol)を10分間の間に注意深く加えた。30分後、反応混合物を、H
2SO
40.28mLとTHF/水(4:1)4mLとの混合物に加えた。混合物を1.5時間還流した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、そして酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。残留物を分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製した。生成物8mg(8%)を得た。
HPLC−MS(方法1):R
t=1.40分
MS(ESI pos):m/z=390(M+H)
+
【0204】
実施例2(trans−ラセミ混合物)
【化48】
実施例6Aの0.190gをDME 3mL及びバージェス試薬0.273g(1.14mmol)と混合した。反応混合物をマイクロ波オーブン中で130℃に1時間加熱した。溶媒を蒸発させ、そして残留物を分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製した。生成物70mg(55%)を得た。
HPLC−MS(方法1):R
t=1.11分
MS(ESI pos):m/z=370(M+H)
+
【0205】
以下の実施例を、出発物質として対応するアミドを使用して、実施例2の調製と同様にして合成した。
【表11】
【0206】
実施例9(trans−ラセミ混合物)
【化49】
実施例5A(上記のように実施例3Aの0.426mmolから出発して合成した)の溶液に、EtOH 2mL中のチオアセトアミド0.062g(0.832mmol)を滴下した。反応混合物を一晩撹拌した。混合物を分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製した。標記化合物62mgを得た。
HPLC−MS(方法1):R
t=1.37分
MS(ESI pos):m/z=406(M+H)
+
【0207】
下記の実施例を、対応する出発物質を使用して、実施例9の調製と同様にして合成した。
【表12】
【0208】
実施例13(trans−ラセミ混合物)
【化50】
実施例12Aの100mg(0.215mmol)を1,1,3,3−テトラメトキシプロパン1.00mL(6.07mmol)と混合した。反応混合物を、マイクロ波オーブンを使用して175℃に1時間加熱した。反応混合物をDCM/MeOH及びトリエチルアミンの1滴で処理した。溶媒を減圧下で除去した。混合物を分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製して、標記化合物45mg(54%)を得た。
HPLC−MS(方法3):R
t=1.36分
MS(ESI pos):m/z=387(M+H)
+
【0209】
標記化合物の鏡像異性体を、キラル固定相を使用するHPLCにより分離した。
【0210】
エナンチオ分離の方法:
HPLC装置型:Berger Minigram; カラム:Daicel IC、5.0μm、250mm×10mm; 方法:溶離剤CO
2/30%MeOH/0.2%DEA(均一濃度); 流速:10mL/分、温度:40℃; 圧力:100bar; UV検出:210nm
【表13】
【0211】
下記の実施例を、出発物質として対応するジアルデヒドジアセタールを使用して、実施例13の調製と同様にして合成した。
【表14】
【0212】
実施例17(trans−ラセミ混合物)
【化51】
実施例4Aの176mg(0.431mmol)をTHF 3mL及びローソン試薬122mg(0.302mmol)と室温で混合した。次に混合物を60℃で6時間撹拌した。反応混合物を水で処理し、そしてDCMで希釈した。混合物を塩基性アルミナで濾過し、そしてDCM及びEtOHで溶離した。溶媒を減圧下で除去した。残留物を分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製した。生成物45mg(26%)を得た。
HPLC−MS(方法3):R
t=1.37分
MS(ESI pos):m/z=407(M+H)
+
【0213】
標記化合物の鏡像異性体を、キラル固定相を使用するHPLCにより分離した。
【0214】
エナンチオ分離の方法:
HPLC装置型:Berger Minigram; カラム:Daicel ADH、5.0μm、250mm×10mm; 方法:溶離剤CO
2/30%MeOH/0.2%DEA(均一濃度); 流速:10 mL/分、温度:40℃; 圧力:100bar; UV検出:210nm
【表15】
【0215】
実施例19の単結晶を酢酸エチルから再結晶化により調製し、そしてX線結晶解析に付した。データにより、実施例19の絶対配置が(R,R)であることを決定することができた。
【0216】
実験:データ収集及び削減: AFC11Kゴニオメータ上に取り付けたSaturn 944 CCDで収集したデータ、放射線:RU200回転アノード及びRIGAKU VARIMAX opticsからのCu Kα線、温度:100K。
【0217】
データ収集統計のまとめ
空間群 P2
1
格子乗数 8.560(2)6.844(1)15.603(3)90.00 98.82(3)90.00
分解能 15.42〜0.85 (0.88〜0.85)
反射総数 10857
独立の反射数 1588
平均多重度 6.84 (2.46)
%完全性(completeness) 95.7 (79.1)
精度(Rmerge) 0.064 (0.118)
アウトプット<I/σ(I)> 27.7 (7.9)
( )内の値は、最外郭分解能での値である。
【0218】
統計の微調整
P2
1中の実施例19の最終構造因子の計算
l.s.パラメータの総数=255
GooF=S=1.154
重量=1/[σ^2(Fo^2)+(0.0421*P)^2+0.38*P]、ここで、P=(Max(Fo^2,0)+2*Fc^2)/3
R1=2207 Foについて0.0695>すべての2334データについて4σ(Fo)及び0.0829、wR2=0.1646、
フラック(Flack)×パラメータ=0.09(3)。
【0219】
実施例20(trans−ラセミ混合物)
【化52】
実施例10Aの0.060gを無水ジオキサン4mL及びローソン試薬0.074g(0.180mmol)と混合した。反応混合物をマイクロ波オーブン中で120℃に1時間加熱した。混合物を塩基性アルミナで濾過し、そしてDCM及びMeOHで溶離した。溶媒を減圧下で除去した。残留物を分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製した。生成物22mgをTFAを含む塩として得た。
HPLC−MS:(方法1):R
t=0.94分
MS(ESI pos):m/z=393(M+H)
+
【0220】
実施例21(trans−ラセミ混合物)
【化53】
実施例8Eの0.190g(0.519mmol)を、トリエトキシメタン1.38mL(8.31mmol)と混合した。混合物を150℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を室温に放冷し、そして分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製した。生成物90mg(46%)を得た。
HPLC−MS(方法1):R
t=1.19分
MS(ESI pos):m/z=377(M+H)
+
【0221】
実施例22(trans−ラセミ混合物)
【化54】
CuCl
2 13mg(0.10mmol)、亜硝酸tert−ブチル26mL(0.22mmol)を、ACNと混合した。ACN中の実施例12の22mg(0.05mmol)の混合物を0℃で注意深く加えた。混合物を25℃で1時間撹拌した。更なるCuCl
2 9mg(0.07mmol)及び亜硝酸tert−ブチル13mL(0.11mmol)を加え、更に20分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残留物をDCMに取り、HCl及び水で抽出した。混合物を分取HPLC(溶離剤A:水+0.13%TFA、溶離剤B:MeOH)により精製して、生成物2.1mg(9%)を得た。
HPLC−MS:(方法3):R
t=1.46分
MS(ESI pos):m/z=426/428(Cl)(M+H)
+
【0222】
実施例23(trans−ラセミ混合物)
【化55】
実施例12bの180mg(0.26mmol、含有量50%(HPLC−MSにより推定))を、1,1,3,3−テトラメトキシプロパン1.00mL(6.07mmol)と混合した。反応混合物を、マイクロ波オーブンを使用して175℃に1時間加熱した。反応混合物をDCMで処理し、水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下で蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(Cy/EtOAc 80/20→AcOEt/MeOH 96/4)により、そして次に2つ目のフラッシュクロマトグラフィー(DCM 100%→DCM/EtOH 96/4)により精製して、標記化合物をベージュ色の固体(0.034g)として得た。
HPLC−MS(方法1Eh):R
t=6.57分
MS(APCI pos):m/z=353(M+H)
+
【0223】
標記化合物の鏡像異性体を、キラル固定相を使用するHPLCにより分離した。
【0224】
エナンチオ分離の方法:
セミ分取条件:
HPLCセミ分取システム:Waters 600ポンプ; カラム:Daicel chiralcel OJ-H、250mm×20mm、5.0μm; 溶離剤:ヘキサン/EtOH 80:20; 流速:15mL/分、温度:25℃; UV検出:254nm。
【表16】
【0225】
分析条件
HPLC装置型:Agilent 1100; 方法6; カラム:Daicel chiralcel OJ-H、250mm×4.6mm、5.0μm; 溶離剤:ヘキサン/EtOH 80:20; 流速:1mL/分、温度:25℃; UV検出:254nm。
【0226】
実施例26(trans−ラセミ混合物)
【化56】
実施例12Cの140mg(含有量84%、0.33mmol)を、1,1,3,3−テトラメトキシプロパン1.4mL及びNMP 1.4mLと混合した。反応混合物を、マイクロ波オーブンを使用して175℃に1時間加熱した。次に反応混合物をMeOHで希釈し、SCXカートリッジ上に装填した。アンモニア画分を回収し、そして残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Cy/EtOAc 90/10→100%)により精製して、標記化合物を白色の固体(30mg)として得た。
HPLC−MS(方法1Eh):R
t=6.72分
MS(APCIpos):m/z=370(M+H)
+
【0227】
標記化合物の鏡像異性体を、キラル固定相を使用するHPLCにより分離した。
【0228】
エナンチオ分離の方法:
セミ分取条件:
HPLCセミ分取システム:Waters 600ポンプ; カラム:Daicel chiralcel OJ-H、250mm×20mm、5.0μm; 溶離剤:ヘキサン/EtOH 80:20; 流速:15mL/分、温度:25℃; UV検出:230nm。
【表17】
【0229】
分析条件
HPLC装置型:Agilent 1100; 方法6; カラム:Daicel chiralcel OJ-H、250mm×4.6mm、5.0μm; 溶離剤:、ヘキサン/EtOH 80:20; 流速:1mL/分、温度:25℃; UV検出:254nm。
【0230】
実施例29(trans−ラセミ混合物)
【化57】
乾燥EtOH(1.5mL)中の5−アミノ−1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−1−H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(PCT 特許出願WO2010/026214を参照のこと)0.132g(0.63mmol)の懸濁液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液)0.066g(1.66mmol)を、窒素下、室温で加えた。10分後、実施例13Aの0.181mg(0.945mmol)を加え、そして反応混合物をマイクロ波オーブン(出力100W)中で140℃に40分間加熱した。次に反応混合物をDCMで希釈し、水を加え、有機物を分離し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機物を減圧下で蒸発させ、そして粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM/IPA 98:2)により精製して、標記化合物を白色の固体(54mg、32%)として得た。
HPLC−MS(方法1Eh):R
t=8.01分
MS(APCI pos):m/z=352(M+H)
+
【0231】
標記化合物の鏡像異性体を、キラル固定相を使用するHPLCにより分離した。
【0232】
エナンチオ分離の方法:
セミ分取条件:
HPLCセミ分取システム:Waters 600ポンプ; カラム:Daicel chiralcel OJ-H, 250mm×20mm、5.0μm; 溶離剤:ヘキサン/EtOH 85:15; 流速:15mL/分、温度:25℃; UV検出:254nm。
【表18】
【0233】
分析条件
HPLC装置型:Agilent 1100; 方法6.1; カラム:Daicel chiralcel OJ-H、250mm×4.6mm、5.0μm; 溶離剤:ヘキサン/EtOH 85:15; 流速:1mL/分、温度:25℃; UV検出:254nm。
【0234】
実施例32(trans−ラセミ混合物)
【化58】
乾燥EtOH(1.5mL)中の5−アミノ−1−(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシル)−1−H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(PCT特許出願WO2010/026214を参照のこと)0.135g(0.553mmol)の懸濁液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液)0.066g(1.66mmol)を窒素下、室温で加えた。10分後、実施例13Aの0.161mg(0.837mmol)を加え、そして反応混合物をマイクロ波オーブン(出力100W)中で140℃に40分間加熱した。次に反応混合物をDCMで希釈し、水を加え、有機物を分離し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機物を減圧下で蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(Cy/EA 50:50→10:90)により精製して、標記化合物を白色の固体(54mg、25%)として得た。
HPLC−MS(方法1Eh):R
t=9.63分
MS(APCI pos):m/z=386(M+H)
+
【0235】
標記化合物の鏡像異性体を、キラル固定相を使用するHPLCにより分離した。
【0236】
エナンチオ分離の方法:
セミ分取条件:
HPLCセミ分取システム:Waters 600ポンプ; カラム:Daicel chiralpak AD-H、250mm×20mm、5.0μm; 溶離剤:、ヘキサン/イソプロパノール 80:20; 流速:10mL/分、温度:25℃; UV検出:260nm。
【表19】
【0237】
分析条件
HPLC装置型:Agilent 1100; 方法7; カラム:Daicel chiralcel AD-H, 250mm×4.6mm、5.0μm; 溶離剤:、ヘキサン/イソプロパノール 80:20; 流速:1mL/分、温度:25℃; UV検出:260nm。