特許第5756182号(P5756182)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5756182ケイ酸カルシウムを含有する歯磨剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756182
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】ケイ酸カルシウムを含有する歯磨剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20150709BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   A61K8/25
   A61Q11/00
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-543134(P2013-543134)
(86)(22)【出願日】2010年12月7日
(65)【公表番号】特表2013-544883(P2013-544883A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】US2010059182
(87)【国際公開番号】WO2012078136
(87)【国際公開日】20120614
【審査請求日】2013年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】590002611
【氏名又は名称】コルゲート・パーモリブ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001874
【氏名又は名称】特許業務法人IPyS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スマン・クマール・チョプラ
(72)【発明者】
【氏名】ラフル・ペイテル
【審査官】 今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−506391(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/099452(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/090855(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0202451(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01118373(EP,A1)
【文献】 米国特許第05735942(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0037258(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0136067(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のケイ酸カルシウム粒子を含むオーラルケア組成物であって
ケイ酸カルシウム粒子が5ミクロン未満の平均直径を有し;該粒子が2μm〜5μmのd50、および5μm〜10μmのd90および少なくとも50%のCVP3.95を有し;該ケイ酸カルシウム粒子が、5%溶液中で8.4と11.2との間のpHを有し;および、該ケイ酸カルシウム粒子が20−400m/gの表面積および0.01−1cc/gの細孔容積を有する、組成物。
【請求項2】
カリウム塩をさらに含む請求項に記載の組成物。
【請求項3】
カリウム塩が、その組成物の重量に対して1−10重量%の濃度にて存在する、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
オーラルケア組成物が、エッチングされた象牙質の流体フローレート45%を超えない流体フローレートを示す請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
ケイ酸カルシウム粒子の有効量がその組成物の重量に対して5−20重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
ケイ酸カルシウム粒子の平均直径が2ミクロンから5ミクロンである請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
沈降炭酸カルシウムまたはシリカをさらに含む請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
可溶性フッ化物塩、アニオン性界面活性剤および抗菌剤をさらに含む請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
その組成物が水性である請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
請求項1〜のいずれかに記載のオーラルケア組成物であって、
う歯の形成を低減もしくは阻害し;
エナメル質のう蝕前損傷を低減、修復もしくは阻害し;
歯の脱石灰化を低減もしくは阻害し、かつ、歯の再石灰化を促進し;
歯の知覚過敏を低減し;
歯肉炎を低減もしくは阻害し;
口内の潰瘍もしくは切り傷の治癒を促進し;
口腔内細菌バイオフィルム形成を阻害し;
プラークpHを糖類暴露後、少なくともpH5.5のレベルに上昇および/もしくは維持し;
プラーク蓄積を低減し;
ドライマウスを治療、低減、緩和もしくは軽減し;
歯を白くし;
酸蝕を低減し;
全身の健康を促進し;
う蝕原性細菌に対して歯を免疫し;ならびに/または
歯および口腔を清浄にする
ことに使用するためのオーラルケア組成物。
【請求項11】
歯の知覚過敏を低減することに使用するための、請求項10に記載のオーラルケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、象牙質閉塞粒子を含むオーラルケア組成物およびかかる組成物を作成し、使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
象牙質は、エナメル質およびセメント質の内部にあり、多数の細い管、すなわち、象牙質細管として知られる細管による放射状に溝のある外観を有する歯の部分である。細管は、歯髄腔から象牙質の周辺へと走り、通常、その基底で直径約2ミクロンであり、幾分、その周辺で狭くなっている。細管は、普通、口腔内の環境に曝されていない。それは、通常、エナメル質またはセメント質に覆われているからである。セメント質は、今度は、しばしば、歯肉に覆われている。
【0003】
部分的にまたは完全に露出した細管は歯の知覚過敏、刺激的で痛みを伴う状態を引き起こすと、一般に理解されている。この説では、歯肉線の後退がセメント質を露出して酸蝕する。酸蝕されたセメント質は、今度は、中空の象牙質細管を露出する。露出した細管は、歯の内部の神経が外部の口腔刺激によって過剰に影響を受けるようにする。なぜならば、歯の外部と内部との間の物質やエネルギーの移動が、細管を通じて促進されるからである。加熱、冷却、化学物質やブラッシングのような物理的および機械的な圧力または刺激などの普通の環境刺激は、開いた象牙質細管を通じて神経を刺激し、それによって痛みを生じる。過敏な歯の痛みは、歯髄神経末端を活性化する象牙質細管内の流体移動を明らかに生じるこれらの刺激の結果として現れる。
【0004】
従来、歯の知覚過敏を治療または軽減するために、二つのアプローチがとられてきた。一つのアプローチのもと、神経に近い化学環境は、様々な剤の適用によって、変化し、神経が刺激されないか、または、あまり刺激されなくなる。この化学的アプローチに有用である公知の剤は、カリウム塩(硝酸カリウム、炭酸水素カリウム、および塩化カリウムなど)、ストロンチウム塩、亜鉛塩、および塩化物塩を含む。
【0005】
2つ目のアプローチは、例えば、細管ブロッキング剤(すなわち、閉塞剤)での全体的にまたは部分的な象牙質細管のブロックによる神経の機械的遮蔽に関わる。
【0006】
前記の開発にもかかわらず、歯の知覚過敏を治療し、予防する代替的な方法および組成物の提供が所望される。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の第1の局面は、有効量のケイ酸カルシウム粒子を含むオーラルケア組成物である。
【0008】
本発明の第2の局面は、う歯の形成を低減もしくは阻害し;エナメル質のう蝕前損傷を低減、修復もしくは阻害し;脱石灰化を低減もしくは阻害し、かつ、歯の再石灰化を促進し;歯の知覚過敏を低減し;歯肉炎を低減もしくは阻害し;口内の潰瘍もしくは切り傷の治癒を促進し;口腔内細菌バイオフィルム形成を阻害し;糖類暴露後、プラークpHを少なくともpH 5.5のレベルに上昇および/もしくは維持し、;プラーク蓄積を低減し;ドライマウスを治療、低減、緩和もしくは軽減し;歯を白くし;酸蝕を低減し;全身の健康を促進し;う蝕原性細菌に対して歯を免疫し;ならびに/または歯および口腔を清浄にすることに対して有効な量で、本発明の組成物を対象の口腔に適用することを含むオーラルケア方法である。
【0009】
本発明のある具体例において、ケイ酸カルシウム粒子は5ミクロン未満の平均直径を有する。
【0010】
本発明のある具体例において、その組成物は、硝酸カリウムをさらに含む。これらの具体例のうちあるものにおいて、硝酸カリウムは、その組成物の重量に対して1-10重量%の濃度にて存在する。
【0011】
本発明のある具体例において、ケイ酸カルシウム粒子の有効量は、その組成物の重量に対して5-20重量%である。
【0012】
本発明のある具体例において、ケイ酸カルシウム粒子の平均直径は2ミクロンから5ミクロンである。
【0013】
本発明のある具体例において、その組成物は、沈降炭酸カルシウムまたはシリカをさらに含む。
【0014】
本発明のある具体例において、その組成物は、可溶性フッ化物塩、アニオン性界面活性剤および抗菌剤をさらに含む。
【0015】
本発明のある具体例において、その組成物は水性である。
【0016】
本発明のある具体例において、その組成物は、水、研磨剤、界面活性剤、発泡剤、ビタミン、ポリマー、酵素、湿潤剤、増粘剤、抗菌剤、保存剤、香味料および着色剤よりなる群から選択される少なくとも一つの成分をさらに含む練歯磨剤の形態である。
【0017】
本発明のある具体例において、その組成物は、歯の知覚過敏を低減するのに有効な量で口腔に適用される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
全体を通して用いられるとき、範囲は、その範囲内の各々かつ全ての値を記述する省略形として用いられる。その範囲内のいずれの値もその範囲の終端として選択できる。さらに、ここで引用される全ての文献は出典明示して、それらの全体が、本明細書に含まれると見なされる。本開示の定義と引用文献のものとで齟齬が生じた場合、本開示が支配する。配合物を記載する場合、当該分野で当たり前のようにそれらの成分の観点から記述することができ、これらの成分は、製造され、貯蔵され、使用されるとき、実際の配合物中の別の成分と反応するかもしれないが、そのような生成物は、記載される配合物に包含される意図であると理解される。
【0019】
特記ない限り、明細書中、ここでおよび他の箇所で表現されるすべてのパーセンテージや量は、重量パーセントをいうと理解されるべきである。所与の量は物質の有効重量に基づく。
【0020】
本発明の組成物
成分の量は、デリバリーシステムおよび特定成分の特質に基づき変化する。例えば、塩基性アミノ酸は、例えば、約0.1から約20重量%(遊離塩基の重量として表現される)、例えば、マウスリンスに対して約0.1から約3重量%、消費者用練歯磨剤に対して約1から約10重量%、または専門もしくは処方治療製品に対して約7から約20重量%のレベルにて存在することができる。フッ化物は、例えば約25から約10,000 ppm、例えば、マウスリンスに対して約25から約250 ppm、消費者用練歯磨剤に対して約750から約2,000 ppm、または専門もしくは処方治療製品に対して約2,000から約10,000 ppmのレベルにて存在することができる。抗菌剤のレベルは、練歯磨剤に用いられるレベル同様に変化し、例えば、マウスリンスに用いられる約5から約15倍である。例えば、トリクロサンマウスリンスは、例えば、約0.03重量%のトリクロサンを含有することができ、トリクロサン練歯磨剤は約0.3重量%のトリクロサンを含有することができる。
【0021】
ケイ酸カルシウム
塩基性アミノ酸に加えて、本発明の組成物はケイ酸カルシウムを含む。ケイ酸カルシウムは、象牙質細管を閉塞するのに有効なサイズの粒子の形態である。かくして、ケイ酸カルシウム粒子は、好ましくは、0.5-10ミクロンまたは1-9ミクロンまたは2-5ミクロンの平均直径を有し、5ミクロン未満の平均直径が最も好ましい。ケイ酸カルシウムは、好ましくは、20から400 m2/gの表面積および0.01から1 cc/gの細孔容積を有する。
【0022】
本発明の組成物は、象牙質細管を閉塞するのに有効な量でケイ酸カルシウム粒子を含む。本発明の組成物のある具体例において、ケイ酸カルシウム粒子は、その組成物の総重量に対して1-20重量%または5-15重量%または約10重量%の量で存在する。
【0023】
適当なケイ酸カルシウム粒子は、商業的に入手するか、または米国特許公開第20080305027 A1号に開示される方法のような公知の方法によって調製できる。ある具体例において、ケイ酸カルシウムは高い表面積を有する。リン酸塩予備処理は必要ないが、ある具体例において、ケイ酸カルシウムはリン酸塩で予備処理される。高表面積ケイ酸カルシウムは20 m2/gを超えるであろう。
【0024】
神経脱感作剤
本発明の組成物のある具体例は、カリウム塩(硝酸カリウム、炭酸水素カリウム、および塩化カリウムなど)、ストロンチウム塩、亜鉛塩、および塩化物塩のような、歯知覚過敏を治療または予防するのに有効な化学薬剤を含む。ある具体例において、そのような剤はその組成物の0.01-10重量%または1-8重量%を構成する。
【0025】
フッ化物イオン源
オーラルケア組成物は、1以上のフッ化物イオン源、例えば、可溶性フッ化物塩をさらに含むことができる。多種多様なフッ化物イオン発生物質を本発明の組成物における可溶性フッ化物の源として採用できる。適当なフッ化物イオン発生物質の例は、米国特許第3535421号、米国特許第4885155号および米国特許第3678154号に見いだすことができる。
【0026】
代表的なフッ化物イオン源は、限定されないが、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フッ化アミン、フッ化アンモニウムおよびそれらの組合せを含む。ある具体例において、フッ化物イオン源は、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウムならびにそれらの組合せを含む。
【0027】
ある具体例において、本発明のオーラルケア組成物は、フッ化物イオンを約25-25,000 ppm、通常少なくとも約500 ppm、例えば約500から約2000 ppm、例えば約1000から約1600 ppm、例えば約1450 ppmを供給するのに十分な量でフッ化物イオンの源すなわちフッ素供給成分も含有することができる。フッ化物の適切なレベルは特定の適用に依存する。マウスウォッシュは、例えば、典型的に、約100から約250 ppmのフッ化物を有する。一般消費者用の練歯磨剤は、典型的に、約1000から約1500 ppmを有し、小児用練歯磨剤ではそれより幾分少ない。専門家用途の歯磨剤またはコーティングは、5,000、さらには25,000 ppm程度のフッ化物を有することができる。
【0028】
フッ化物イオン源は、その本発明の組成物に、その組成物の重量を基準として、約0.01重量%から約10重量%、または約0.03重量%から約5重量%、または約0.1重量%から約1重量%の濃度にて添加することができる。適切なレベルのフッ化物イオンを供給するフッ化物塩の重量は、明らかに塩中の対イオンの重量に対して変化する。
【0029】
その組成物が炭酸水素カルシウムを含むならば、安定性の理由から、モノフルオロリン酸ナトリウムがフッ化ナトリウムに対して好ましい。
【0030】
研磨剤
閉塞剤として機能する研磨剤であるケイ酸カルシウムに加えて、本発明の組成物は、1以上の付加的な研磨剤をさらに含むことができ、限定されないが、沈降炭酸カルシウム (PCC);リン酸カルシウム研磨剤(例えば、トリリン酸カルシウム Ca3(PO4)2)、ヒドロキシアパタイト (Ca10(PO4)6(OH)2)、二リン酸カルシウム二水和物(CaHPO4・2H2O、ここでは、たまにDiCalともいう。)またはピロリン酸カルシウム;約20 μmまでの平均粒径を有する沈降シリカのようなシリカ研磨剤(例えば、J. M. Huberから販売されるZEODENT 115);メタリン酸ナトリウム;メタリン酸カルシウム;ケイ酸アルミニウム;か焼アルミニウム;およびベントナイトその他のケイ質物質が含まれる。
付加的な研磨剤は、好ましくは、0.1-30ミクロン、または5-15ミクロンの平均直径を有する。
【0031】
シリカ研磨剤は、沈降シリカまたは、Paderらに対する米国特許第3538230号およびDigiulioに対する米国特許第3862307号に記載されるシリカキセロゲルのようなシリカゲルからのものであり得る。特定のシリカキセロゲルは、W. R. Grace & Co., Davison Chemical Divisionから商標名SYLOIDで販売される。沈降シリカ材料は、名称ZEODENT 115およびZEODENT 119を保持するシリカ研磨剤を含む商標名ZEODENTとしてJ. M. Huber Corp.から販売されるものを含む。これらのシリカ研磨剤はWasonに対する米国特許第4340583号に記載される。
【0032】
ある具体例において、本発明によるオーラルケア組成物の実施に有用な研磨材は、約100 cc/100 gシリカ未満で、約45 cc/100 gから約70 cc/100 gシリカの範囲の吸油量を有するシリカゲルおよび沈降非晶質シリカを含む。吸油量はASTAこすり落とし法 (Rub-Out Method) D281を用いて測定される。ある具体例において、シリカは3-12 μm、または5-10 μmの平均粒径を有するコロイド状粒子である。
【0033】
ある具体例において、研磨材は、大部分が、例えば約5 μm未満の平均直径を有する非常に小さな粒子を含む。例えば、研磨材は、約3から約4 μmのd50を有する小粒シリカ (SPS)、例えば、SORBOSIL AC43 (Ineos)を含み得る。そのような小粒子は、知覚過敏を低減することを目的とした配合物の効力に寄与する。小粒子成分は、別の第粒子研磨剤と組み合わせて存在することができる。ある具体例において、例えば、配合物は、約5から約25重量%の小粒子、例えばSPS、および約10から約30重量%の従来の研磨剤を含む。
【0034】
本発明の実施に特に有用な低吸油性シリカ研磨剤は、Davison Chemical Division of W. R. Grace & Co., Baltimore. Md. 21203により商標名SYLODENT XWAで販売される。SYLODENT 650 XWA、約29重量%の水含量、平均して約7から約10 μmの直径、および約70 cc/100 gシリカ未満の吸油を有するコロイド状シリカの粒子からなるシリカヒドロゲルが、本発明の実施に有用な低吸油シリカ研磨剤の例である。ある具体例において、研磨剤は、本発明のオーラルケア組成物において、10-60重量%、20-45重量%または30-50重量%の濃度にて存在する。
【0035】
ある具体例において、塩基性アミノ酸は、炭酸カルシウム、特に、沈降炭酸カルシウムを研磨剤として含むベース配合物を有する歯磨剤組成物に混ぜ込まれる。L-アルギニンおよび、炭酸水素アルギニンのようなアルギニン塩はそれら自体非常に苦みがあり、水溶液においては、魚臭を呈する。炭酸カルシウムを含むベース歯磨剤配合物へのL-アルギニンまたはアルギニン塩の添加は風味を著しく向上し、口触りは歯磨剤配合物および消費者に対する製品の総支持率の増加に寄与する。
【0036】
発泡剤
本発明のオーラルケア組成物は、任意で口腔をブラッシュされるときに生じる泡の量を増やすための剤を含むことができる。泡の量を増やす剤の実例は、限定されないが、ポリオキシエチレンおよび、限定されないが、アルギン酸塩ポリマーを含むあるポリマーを含む。
【0037】
ポリオキシエチレンは、本発明のオーラルケア担体成分により発生される泡の量および泡の濃さを増大する。ポリオキシエチレンは、普通、ポリエチレングリコール ("PEG")またはポリエチレンオキサイドとしても知られている。本発明の使用に適するポリオキシエチレンは、約200,000から約7,000,000の分子量を有する。一つの具体例において、分子量は約600,000から約2,000,000であり、他の具体例において、約800,000から約1,000,000である。適当なポリオキシエチレンは、Dow Chemical Co.からのポリオキシエチレンのPOLYOXファミリーを含む。
【0038】
ポリオキシエチレンは、その組成物の重量に基づき1-90重量%、または5-50重量%または10-20重量%の量にて存在することができる。オーラルケア組成物中の発泡剤の用量(すなわち、単一用量)は、0.01-0.9重量%、または0.05-0.5重量%、または0.1-0.2重量%である。
【0039】
界面活性剤
本発明のオーラルケア組成物に任意で添加される別の剤は、界面活性剤または相性のよい界面活性剤の混合物である。適当な界面活性剤は、広いpH範囲を全体でかなり安定なものであり、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性または両イオン性界面活性剤である。適当な界面活性剤の非制限的な例は、Agricolaらに対する米国特許第3959458号、Haefeleに対する米国特許第3937807号およびGieskeらに対する米国特許第4051234号に開示される。
【0040】
ある具体例において、個々で有用なアニオン性界面活性剤は、アルキル基中に約10から約18個の炭素原子を有するアルキル硫酸の水溶性塩および約10から約18個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩を含む。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウムおよびココナッツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムがこのタイプのアニオン性界面活性剤の例である。アニオン性界面活性剤の混合物も用いることができる。
【0041】
他の具体例において、本発明に有用なカチオン性界面活性剤は、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジイソブチルフェノキシエチルジメチルベンジルアンモニウム、ココナッツアルキルトリメチル-アンモニウムニトリル、フッ化セチルピリジニウムおよびそれらの組合せのような、約8から約18個の炭素原子を含有する一つの長アルキル鎖を有する脂肪族4級アンモニウム化合物の誘導体として、広く定義できる。
【0042】
実例となるカチオン性界面活性剤は、Brinerらに対する米国特許第3535421号に記載される4級フッ化アンモニウムを含む。あるカチオン性界面活性剤は、その組成物中で殺菌剤としても機能する。
【0043】
その本発明の組成物に用いることができる実例となる非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキサイド基(本質的に親水性)と本質的に脂肪族またはアルキル芳香性である有機疎水性化合物との縮合によって生成される化合物として広く定義される。適当な非イオン性界面活性剤の例は、限定されないが、PLURONICS (BASF Corp.)、アルキルフェノールのポリエチレンオキサイド縮合物、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドおよびエチレンジアミンの反応生成物との縮合による生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキサイド縮合物、長鎖四級アミンオキサイド、長鎖四級ホスフィンオキサイド、長鎖ジアルキルスルホキシドおよびそのような物質の混合物を含む。
【0044】
ある具体例において、本発明に有用な両イオン性合成界面活性剤は、脂肪族4級アンモニウム、ホスホニウムおよびスルホニウム化合物の誘導体として広く定義され、ここに、脂肪族基は直鎖または分岐であり得、脂肪族置換基の一つが約8から約18個の炭素原子を含有し、一つがアニオン性水溶化基、例えばカルボキシ、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩またはホスホン酸塩を含有する。その組成物に含有するのに適した界面活性剤の実例は、限定されないが、アルキル硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ココアミドプロピルベタインおよびポリソルベート20、ならびにそれらの組合せを含む。
【0045】
特定の具体例において、本発明の組成物はアニオン性界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0046】
界面活性剤または相性のよい界面活性剤の混合物は、本発明の組成物中、その組成物の重量に対して0.1-5.0重量%、0.3-3.0重量%または0.5-2.0重量%の量で存在する。
【0047】
香味料
本発明のオーラルケア組成物は香味料を含むこともできる。
【0048】
本発明の実施に用いられる香味料は、限定されないが、精油ならびに様々な香味付けアルデヒド、エステル、アルコール、および同様の物質を含む。精油の例は、スペアミント、ペッパーミント、ウィンターグリーン、ササフラス、クローブ、セージ、ユーカリ、マジョラム、シナモン、レモン、ライム、グレープフルーツおよびオレンジの油を含む。
また、有用なものは、メントール、カルボン、およびアネトールのような化学物質である。ある具体例は、ペッパーミントおよびスペアミントの油を採用する。
【0049】
香味料は、その組成物のある具体例に、その組成物の重量に基づき0.1-5重量%または0.5-1.5重量%の濃度にて混ぜ込まれる。個別のオーラルケア組成物用量(すなわち、単一用量)中の香味料の用量は、0.001-0.05重量%または0.005-0.015重量%である。
【0050】
キレート剤
本発明のオーラルケア組成物は、任意で、細菌の細胞壁に見いだされるカルシウムを錯化できる1以上のキレート剤を含むこともできる。このカルシウムの結合は、細菌細胞壁を弱め、細菌分解を増強する。
【0051】
本発明においてキレート剤として用いるのに適当な化合物の群は、可溶性ピロリン酸塩である。本発明の組成物に用いるピロリン酸塩は、ピロリン酸アルカリ金属塩のいずれかであり得る。ある具体例において、塩は、ピロリン酸四アルカリ金属、ピロリン酸二アルカリ金属二酸、ピロリン酸三アルカリ金属一酸およびそれらの組合せであり、ここに、アルカリ金属は、ナトリウムまたはカルシウムである。塩は、その水和および非水和形態の双方で有用である。本発明の組成物に用いるピロリン酸塩の有効量は、通常、少なくとも約1.0重量%のピロリン酸イオン、例えば1.5-6重量%または3.5-6重量%のイオンを提供するのに十分なものである。
【0052】
ポリマー
本発明のオーラルケア組成物は、任意で、ポリエチレングリコール、ポリビニルメチルエーテルマレイン酸コポリマー、のような1以上のポリマーおよび多糖類(例えば、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース誘導体または、多糖類ガム、例えば、キサンタンガムもしくはカラギーナンガム)も含む。酸性ポリマー、例えばポリアクリル酸ゲルは、それらの遊離酸または部分的にもしくは完全に中和された水溶性アルカリ金属(例えば、カルシウムおよびナトリウム)もしくはアンモニウム塩の形態で提供することができる。
【0053】
ある具体例は、マレイン酸無水物またはマレイン酸と、もう一つの重合性エチレン性不飽和モノマー、例えば、約30,000から約1,000、000の分子量 (M.W.)を有するメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)との1:4から4:1コポリマーを含む。
【0054】
これらのコポリマーは、例えば、ISP CorporationからGANTREZ AN 139 (M.W. 500,000)、AN 119 (M.W. 250,000)およびS-97医薬品級(M.W. 2 x 106 ダルトン)として入手可能である。
【0055】
他の有力なポリマーは、マレイン酸無水物とアクリル酸エチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、N-ビニル-2-ピロリドン、またはエチレンとの1:1コポリマー、後者は、例えば、Monsanto EMA No. 1103 (M.W. 10,000) およびEMA Grade 61として入手可能であり、およびアクリル酸とメタクリル酸のメチルもしくはヒドロキシエチル塩、アクリル酸のメチルもしくはエチル塩、イソブチルビニルエーテルまたはN-ビニル-2-ピロリドンとの1:1コポリマーのようなものを含む。
【0056】
通常適当なものは、活性炭素−炭素オレフィン二重結合および少なくとも一つのカルボキシル基を含有する重合オレフィン性またはエチレン性不飽和カルボン酸であって、それは、カルボキシル基についてモノマー分子中のアルファ-ベータ位のいずれかの位置での存在または末端メチレン基の部分としての存在により、重合において容易に機能するオレフィン二重結合を含有する酸である。
【0057】
実例となるそのような酸は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アルファ-クロロアクリル酸、クロトン酸、ベータ-アクリロキシプロピオン酸、ソルビン酸、アルファ-クロロソルビン酸、ケイ皮酸、ベータ-スチリルアクリル酸、ムコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、アルファ-フェニルアクリル酸、2-ベンジルアクリル酸、2-シクロヘキシルアクリル酸、アンゲリカ酸、ウンベル酸、フマル酸、マレイン酸および無水物である。そのようなカルボキシルモノマーと共重合する他の異なるオレフィン性モノマーは、酢酸ビニル、塩化ビニル、マレイン酸ジメチル等である。コポリマーは、水溶性のため、十分なカルボキシル塩基を含有する。
【0058】
さらなる分類の高分子剤は、置換アクリルアミドのホモポリマーならびに/または不飽和スルホン酸およびその塩のホモポリマーを含有する組成物、特に、ポリマーがZahidに対する米国特許第4842847号に記載される、約1,000から約2,000,000の分子量を有する2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のようなアクリルアミドアルカンスルホン酸から選択される不飽和スルホン酸に基づく、組成物を含む。
【0059】
もう一つの有用な分類の高分子剤は、Sikesに対する米国特許第4866161号に開示されるように、特に、アスパラギン酸、グルタミン酸およびホスホセリンのようなアニオン性表面活性アミノ酸をある割合含有するポリアミノ酸を含む。
【0060】
オーラルケア組成物の調製において、たまに、いくらかの増粘剤を添加して、所望の粘度を付与するか、配合物の性能を安定化または促進することが必要である。ある具体例において、増粘剤は、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロースならびにカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムのようなセルロースエーテルの水溶性塩である。カラヤ、アラビアゴム、およびトラガカントゴムのような天然ガムも混ぜ込める。コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムまたは超微粒子シリカを増粘組成物の成分として用いて、その組成物の感触をさらに向上できる。ある具体例において、その組成物重量に基づき0.1-10.0重量%または0.5-5.0重量%の量にて増粘剤を用いる。
【0061】

水も本発明のオーラル組成物に存在する。市販のオーラル組成物の調製に採用される水は、好ましくは、脱イオンされ有機不純物がない。水は、普通、その組成物の残余をなし、オーラル組成物重量あたり約5%から約90%、約20%から約60%または約10%から約30%を占める。この量の水は、添加された自由水と、ソルビトールまたは本発明のいずれかの成分のような他の物質とともに導入された量とを含む。
【0062】
湿潤剤
オーラル組成物のある具体例のなかに湿潤剤を混ぜ込んで、その組成物が空気に曝されて硬化するのを防止することも望まれる。ある湿潤剤は、所望する甘味または香味も歯磨剤組成物に付与できる。湿潤剤、または純粋湿潤剤基剤は、通常、歯磨剤組成物の15-70重量%または30-65重量%を占める。
【0063】
適当な湿潤剤は、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、プロピレングリコールのような食用多価アルコール、ならびに他のポリオールおよびこれらの湿潤剤の混合物を含む。練歯磨剤組成物の湿潤剤成分として、グリセリンおよびソルビトールの混合物をある具体例に用いることができる。
【0064】
上記成分に加えて、本発明の具体例は、様々な任意の歯磨剤成分を含み、それらのいくつかを下に記す。
【0065】
任意成分は、例えば、限定されないが、粘着剤、起泡剤、香味料、甘味料、付加的な抗プラーク剤、研磨剤、および着色料を含む。これらおよびその他の任意成分は、さらに、に記載されている。任意成分は、例えば、限定されないが、粘着剤、起泡剤、香味料、甘味料、付加的な抗プラーク剤、研磨剤、および着色料を含む。これらおよびその他の任意成分は、さらに、Majetiに対する米国特許第5004597号、Agricolaらに対する米国特許第3959458号およびHaefeleに対する米国特許第3937807号に記載されている。
【0066】
製造方法
本発明の組成物は、オーラル製品領域でありふれた方法を用いて作成できる。
【0067】
実例となる一つの具体例において、オーラルケア組成物は、例えば、ビタミン、CPC、フッ化物、研磨剤(閉塞剤を含む)、およびいずれかの他の所望する活性成分のような有効物質を第1の混合物に添加することによって作成される。最終製品が練歯磨剤の場合、練歯磨剤基剤、例えば、リン酸二カルシウム、沈降炭酸カルシウムおよび/またはシリカを第1の混合物に添加し、混合する。最終スラリーをオーラルケア製品に形成する。
【0068】
組成物使用
本発明は、方法の局面において、ここに記載される組成物の安全かつ有効量を口腔に適用することを要件とする。
【0069】
本発明による組成物および方法は、修復および再石灰化することによって歯を保護し、特に、う歯の形成を低減または阻害し、脱石灰化を低減または阻害しつつ、歯の再石灰化を促進し、水力学的コンダクタンスで検知したとき、歯の知覚過敏を低減し、および、例えば、光誘導蛍光定量法 (QLF)または電子式う蝕モニター(ECM)で検出したとき、エナメル質のう蝕前損傷を低減、修復または阻害する方法において有用である。
【0070】
QLFは、早期損傷を検出し、進行または退行を縦方向モニターできる可視光蛍光である。正常な歯は可視光中で蛍光発光する。脱石灰化した歯は蛍光発光しないか、しても少ない程度である。脱石灰化の領域を定量し、その進行をモニターできる。青色レーザー光を用いて、歯を自己蛍光させる。ミネラル分を失った領域は、健全歯表面と比較して、蛍光が少なく、暗く見える。ソフトウェアを用いて、白点または損傷に関連する面積/体積からの蛍光を定量する。通常、白点損傷が存在する対象をパネリストとして募集する。測定は実際の歯でイン・ビボで行う。損傷面積/体積を臨床の始めに測定する。損傷面積/体積の減少(改善)を6か月の製品使用の最後に測定する。データは、しばしば、パーセント向上対ベースラインとして報告される。
【0071】
ECMは、電気抵抗に基づき歯のミネラル含量を測定するのに用いられる技術である。電気コンダクタンス測定は、エナメル質の脱石灰化および酸蝕により露出した液が満ちた細管が電気を通すという事実を利用する。歯がミネラルを失うとき、増大した有効率のため、電流に対する抵抗が少なくなる。患者の歯のコンダクタンスの上昇は、それゆえ、脱石灰化を示す。通常、存在する損傷がある歯根面について研究が行われる。測定は実際の歯でイン・ビボで行う。6か月の処置の前後での電気的抗の変化が測定される。さらに、さらに、歯根面についての典型的なう蝕スコアが触針を用いて測定される。硬度は、3点スケール:ハード (hard)、レザリー (leathery)またはソフト (soft)で分類される。このタイプの研究において、典型的に、結果は、ECM測定に対して電気抵抗(高い数値ほど良い)および損傷の硬度における向上は触針スコアに基づき、報告される。
【0072】
その本発明の組成物は、かくして、有効量のフッ素および/またはアルギニンを欠如する組成物に関連するエナメル質のう蝕前損傷(QLFまたはECMで測定したとき)を低減する方法に有用である。
【0073】
本発明による組成物および方法は、練歯磨剤、透明ペースト、ジェル、マウスリンス、スプレーおよびチューイングガムのような、口と歯のケア用のオーラル組成物に導入することができる。
【実施例】
【0074】
以下の実施例は、本発明の範囲内の実例をさらに記載し、実証する。これらの実施例は、単に、例示であり、本発明を限定するものと理解されるべきではなく、本発明の概念および範囲から逸脱することなく、多くの変形が可能である。ここに示され、記載されるものに加えて、本発明の様々な変形が当業者に明らかであり、付随する特許請求の範囲に該当することが意図される。
【0075】
ケイ酸カルシウムを含有する配合は、ケイ酸カルシウムなしの対照歯磨剤と比較して、酸暴露後により良い特性を示した。ケイ酸カルシウムを含有する配合は、ヒトの唾液中に普通に見出されるリン酸塩のようなイオンがある溶液中にあるとき、ヒドロキシアパタイトの結晶を核形成できた。ケイ酸カルシウムからのヒドロキシアパタイト形成は、生体活性ガラスで観察されたものと同等であった。共焦点顕微鏡による象牙質閉塞実験は、ケイ酸カルシウムを含有する練歯磨剤サンプルがより速く閉塞を与え、その閉塞は酸抵抗性であることを示した。
【0076】
実施例1
PCCおよび13.86重量%炭酸水素アルギニン入りのシリカ基剤中でプロトタイプを調製した。平均粒径が5 μm未満のケイ酸カルシウムを歯磨剤に混ぜ込んだ。プロトタイプ配合物については、以下の表1を参照せよ。
【0077】
【表1】
【0078】
ヒドロキシアパタイト形成
5ミクロン未満の粒径のケイ酸カルシウムサンプルを、カルシウムおよびリン酸塩を含有するPBSの入った容器に浸漬して、7日間連続撹拌した。7日後、溶液をろ過し、Perkin-Elmer FTIRを用いて固体を測定した。ケイ酸カルシウムサンプル(A)および、ケイ酸カルシウムサンプルと同じ条件に付した対照サンプル(脱イオン水中のケイ酸カルシウム)(B)につき測定したスペクトルは、561 cm-1および601 cm-1にピークを示し、それらはケイ酸カルシウムサンプルによるヒドロキシアパタイトの形成を示す。以前の実験に基づき、ケイ酸カルシウムからのヒドロキシアパタイト形成は、7日後の生物活性ガラスで観察されたものと同等であることが確認された。
【0079】
実施例2
いくつかの異なる組成物の水力学的コンダクタンスについてのイン・ビトロテストを行った。結果を以下に示す。ヒト象牙質セグメントは、歯髄組織を除去した抜歯した臼歯から切り出し、アクリルブロック上に搭載し、エッチングし、Flodec装置につなげて、象牙質を通る流体フローレート(水力学的コンダクタンス)を測定した。処置1および2をソフト歯ブラシを用いて1分間適用した。2つの処置の各々の後、サンプルを脱イオン (DI)水ですすぎ、Flodec装置につなぎ、そして、コンダクタンスを測定した。ブロックを再びすすぎ、次の処置の前少なくとも2時間、リン酸緩衝生理食塩水 (PBS)中でインキュベートした。コンダクタンスを測定(70cm水圧)し、各セグメントにつきエッチングされたベースラインに対して、%コンダクタンスで報告した。全ての処置および測定後、セグメントをPBS中で一晩インキュベートし、その後、コンダクタンスを再測定した。セグメントを一分間、6%クエン酸に暴露し、コンダクタンスを再び測定した。象牙質通気性の顕著な減少が、配合III対従来のシリカ歯磨剤ならびに酢酸ストロンチウムを含有する、知覚過敏軽減用の市販歯磨剤の双方で、表2に見られる。
【0080】
【表2】
【0081】
異なるd50、d10およびd90レベル入りの3種のケイ酸カルシウムの特性を表3に示す。粒径分布は、普通、レーザー回折分光計により測定され、d10、d50およびd90値を用いて記述される。d50値は、50%の粒子集団がd50値以下であることを意味する平均粒径である。同様に、10%の粒子集団が、直径においてd10値以下であり、90%の粒子集団が、直径においてd90値以下である。粒径分布を表現するもう一つのやり方は、選択した粒子直径 (CVP)以下で累積体積率による。粒径分布および粒径が本発明による生成物に与える影響の双方を十分に記載する計量は、3.95ミクロン以下のCVP (CVP3.95)である。ケイ酸カルシウム3は、効能のないケイ酸カルシウムに対して、効能がありそうなことが分かった。
【0082】
【表3】
【0083】
かくして、本発明の組成物は、象牙質細管を閉塞し、ヒドロキシアパタイトの形成示されるように、生理活性を示す。さらに、本発明の水性歯磨剤に用いられるケイ酸カルシウム粒子は反応表面を提供し、唾液中のカルシウムおよびリン酸イオンを核形成する。