【実施例1】
【0009】
図1は展開正面図である。本体1は突出片などのような出っ張りの無い矩形板2を基盤にしており、該矩形板2は角が丸くても良いし、角張っていても良いが、天地と左右の各々の縁は平行線であり、前記天地と左右の縁線上の交差角度は直角であることが望ましい。該矩形板2を形成する素材は折り曲げ可能なプラスチックなどの人工樹脂であっても良いが、適宜に腰のある厚紙であることが望ましく、前記厚紙の厚みは限定ではなくて変更可能とし、少なくても官製葉書程度の厚みと硬さの腰があれば充分である。矩形板2は単層で図示しているが、該矩形板2の四辺のいずれかを袋折線にして折り返すことで二重構造などの複数層にしても良く、図面では省いているが、該矩形板2の地縁14を袋折線にし、該地縁14を中心線とする線対称の矩形板2を該地縁14を介して延設する構造であっても良く、該矩形板2を二重構造にすれば厚紙の硬さが増して使い易くなると同時に、カタログとしての広告面が倍増する。矩形板2は単層であっても良いし、前記のように二重構造であっても良いし、該矩形板2の天地の辺を袋折する三重構造であっても良いし、十文字に四つ折する四重構造であっても良い。
【0010】
図面の表示方法で、実線は切線であり、破線は透視線であり、一点鎖線は折線とする。前記折線の折り曲げ方向は使用者が自由に変更できるのであるが、特許内容を明瞭にする目的から限定して表示することにし、谷折と山折で表示される折り曲げ方向は、正面から見た状態を基準にし、天地方向を縦とし、左右方向を横とし、正面と背面を前後とする。
【0011】
矩形板2を天地に貫通して縦断する区分折線3を少なくても二本入れ、該区分折線3によって該室4は少なくても三箇所に区分されて横に並べられている。該区分折線3は垂直でなくても良いが垂直であることが望ましく、該区分折線3は等間隔でなくても良いが等間隔にして少なくても三箇所有する室4の横幅を同寸にすることが望ましく、該区分折線3が垂直であるならば、該室4の形状も矩形を成している。
【0012】
区分折線3は少なくても二本有していれば問題なく機能できる構造になっているので、実施例1では該区分折線3の本数を二本とすることが望ましく、該区分折線3が二本であるならば、該区分折線3によって区分される室4の数は必然と三箇所になるので、該室4を三箇所で設けることが望ましい。
【0013】
一方とする左側の区分折線3を畳み線5とし、他方とする右側の区分折線3を移動線6とし、該畳み線5と該移動線6は互いに逆方向への折り曲げにすることで矩形板2はZ形状の蛇腹状態の折り曲げ形状となるのであり、双方の折り曲げ方向は互いに逆であれば良いので折り曲げ方向は限定ではないが、該畳み線5を谷折にし、該移動線6を山折にすることが望ましい。
【0014】
三箇所有している室4を個別名称で述べるならば、一方とする左端を基室7とし、該基室7の他方とする右横に畳み線5を介して区分された室4を反転室8とし、該反転室8の他方とする右横に移動線6を介して区分された室4を移動室9とする。
【0015】
三箇所有する室4は、左から基室7、反転室8、移動室9の順番で並べられており、中央の反転室8は左側の畳み線5が谷折されて右側の移動線6が山折されると反転して裏返るので反転室8と称するのであり、該反転室8の左下の角と右上の角とを繋ぐ略対角線を反転斜線10とし、該反転斜線10の折り曲げ方向は限定でなくても良いが、移動線6と逆方向へ折り曲げる必要があり、該移動線6を山折にすることが望ましいことから、該反転斜線10を谷折にすることが望ましい。
【0016】
反転斜線10を谷折する場合、左下で交差する畳み線5も谷折なので交差箇所の表面が引っ張られて破れることは少ないが、該反転斜線10の右上の線上で交差する移動線6は山折線なので交差箇所の表面が引っ張られて破れる恐れが高くなるので、該反転斜線10の右上端は該移動線6の上端と適宜に少しだけ離すことが望ましく、前記の離れた角領域を離域11として設けることが望ましく、該離域11を設けたことで該反転斜線10と該移動線6との交点は両線の延長線上に位置し、前記両者の延長線上の交点は該矩形板2から食み出した場所に位置するのであり、前記食み出し箇所に位置する前記交点を支点12とする。該反転斜線10の下端は該反転室8の左下角へ達していることが望ましいが、量産するための打ち抜き用木型を作る場合、刃の厚みの関係から左下角へ達することが困難な場合もあり、該反転斜線10は該反転室8の左下角に達していなくても良い。
【0017】
反転室8内の反転斜線10で仕切られた右下領域を反転域13とし、該反転斜線10を谷折することで反転域13が反転して該反転斜線10を中心線とする線対称の位置へ移動線6が移動し、該移動線6を山折することで移動室9の下部領域は基室7と重なり合って扇形状の開き状態になり、前記扇形状の開き状態で該移動室9の地縁14と沿う線領域で角折線15を基室7に入れ、該角折線15で仕切られた基室7の一方とする左の下の直角三角形領域を差込角16とし、該角折線15を該差込角16の底辺として、折り返された該差込角16の先領域を横切る線上に位置する横切溝17を該移動室9に設ける。
【0018】
図2は扇状固定過程要部透視正面斜視図である。矩形板2を扇状に組み立てて固定する過程を述べるならば、反転室8の左下と右上の略対角線上に位置する反転斜線10を谷折することで、支点12を中心とする円周形状で移動線6が移動し、該移動線6を山折することで反転域13と移動室9の左下領域とが重なり合って該矩形板2は略扇形状を成し、前記扇形状を固定する目的で基室7左下の角折線15を谷折して差込角16を折り返して移動室9の地縁14を挟み込み、折り返された該差込角16の先領域を横切溝17へ差込むことで該移動室9と該基室7とは連結された状態で固定され、該矩形板2を扇状に組み立てた状態で固定した本体1を形成できる。
【0019】
図3は扇状固定状態要部透視正面斜視図である。本体1は矩形板2を扇状に変形させていることから左右対称の扇形状でなくても良く、扇子として使う場合の扇ぎ方は使用者が自由に行えば良いのであるが、具体的に述べるならば、畳み線5の下端領域が扇子の要箇所と同様に逆三角形状であるので、前記逆三角形状領域を指で挟んで扇ぐことができ、前記三角形状領域を挟んで持つ場合は天地方向である縦方向、或いは前後方向に扇ぐ場合が効率的である。左右方向である横方向へ扇ぐ場合は角折線15を掌の面に沿わせて親指と他の四本指で挟んで持つ構造が効率的であり、持つ方向は短くなった基室7を持つ人の体へ向ける方が、前記の人の体と本体1とが当たり難くなるので、効率良く快適に扇ぐことができる。
【0020】
本体1は、矩形を基本とするチラシやカタログを扇形状に変形させて使う紙扇子なので、元々腰の弱い厚紙を矩形板2の素材として使う場合が多い。腰の強くない矩形板2を展開形状の平らな一枚のシートで使えば、しなり幅が不要に大きくなり過ぎるので効率的に扇ぐことはできないが、反転斜線10を谷折して移動線6を山折することで本体1は扇形状になり、前記扇形状に変形させたことで反転域13の領域は三枚重ねになっていることから補強されており、前記の三枚重ね領域の基部を差込角16が束ねて、該差込角16の先領域を横切溝17に差込むことで、前期の束ね状態を簡単に固定でき、補強状態を保持できているので、効率的に扇ぐことができる。
【0021】
差込角16を横切溝17に差込む場合は、該差込角16の領域を軽く曲げれば簡単に差込むことができ、該差込角16の先角が角張っているので、横切溝17への差込作業を更に楽に行える。本体1の固定箇所は該差込角16の差込一箇所であるので、該差込角16の差込を引き出せば固定状態が解除されて、元の展開状態の矩形板2に戻すことが簡単に行え、元々の役割であるチラシやカタログとしての機能を果たせる。
【0022】
図4は蛇腹折閉じ状態正面斜視図である。畳み線5は蛇腹折して閉じる場合にのみ使用する折線であり、該畳み線5を山折して移動室9を包み込むように矩形板2を巻いて折り畳んでも良いが、該矩形板2をZ字状(図面では左右逆のZ字状)に蛇腹折する構造が望ましい。該畳み線5を谷折して反転室8と移動室9とを一緒に背方へ反転させ、移動線6を山折することで該移動室9を正面へ反転させて本体1はZ字状(図面では左右逆のZ字状)に蛇腹折されて閉じ状態になり、前記の閉じ状態にすることによってポケットなどへ収納して携帯できる他、定形郵便用の封筒に収納してダイレクトメールや暑中見舞いなどの郵送をすることができる。
【実施例2】
【0023】
図5は展開正面図である。実施例1では区分折線3を二本入れて、室4を三箇所設けていたが、
図5以降で示す実施例2では該区分折線3を四本入れて、室4を二箇所増やして合計五箇所の該室4を設けており、該室4の増えた二箇所を増室18とし、該増室18の一方とする左側を反転増室19とし、該反転増室19の左辺の区分折線3を延設線20とし、該反転増室19の右辺の区分折線3を増移動線21とし、該増移動線21を介して延設された増室18(室4)を移動増室22とする。
【0024】
反転増室19の左下と右上との略角どうしを繋ぐ略対角線を増反転斜線23とし、該反転増室19内の該増反転斜線23で区切られた右下領域を増反転域26とし、該増反転斜線23と増移動線21との延長線を含む線上交差箇所を増支点24とし、該増支点24は矩形板32の外に位置していることが望ましく、該増支点24が外に位置していることから、該増反転斜線23の上端と該増移動線21の上端とは接しておらずに適宜に空いており、前記空いた領域を他方の離域11bとし、該他方の離域11bを設けたことで、一方の離域11a同様に矩形板32の折り曲げ時に生じる紙表面の引っ張りを逃がすための遊びの働きを成して、前記紙表面が引っ張られて破れるのを防止できる。
【0025】
実施例2での矩形板32の中央の室4は移動室9であり、該移動室9の下部領域の左側へ略水平な横切溝17を入れ、該横切溝17の略右上へ該横切溝17と略直角方向に縦切溝25を入れ、該横切溝17と該縦切溝25の両者は互いに接しない構造であることが望ましく、該横溝17を適宜に短くし、該縦切溝25を該移動室9の横方向の中央へ垂直に入れる構造であることが望ましい。
【0026】
図6は扇状固定状態要部透視正面斜視図である。基室7左下領域の差込角16を折り返し、折り返された該差込角16の先領域を横切溝17に差込んで固定する構造までは実施例1の固定構造であり、扇ぎ使用時に起きる該横切溝17への差込固定の負荷は小さいので、該横切溝17を短くしても固定能力不足の問題は生じない。
【0027】
矩形板32に形成された室4が三箇所だけの実施例1では差込角16の差込だけで固定は完了したが、室4を二箇所増設して、前記増設した二箇所の室4を増室18としており、延設線20を介して延設されている反転増室19と移動増室22とを固定する箇所が必要になってくる。
【0028】
反転増室19の略対角線上に設けられた増反転斜線23を谷折することで増反転域26と移動増室22とが背面へ反転し、前記反転状態で増移動線21を山折することで該移動増室22は正面へ反転して本体31全体は扇形状に開いた状態になり、前記開き状態での該移動増室22の左下角の先領域を縦切溝25へ差込んで固定する。
【0029】
上記縦切溝25への差込固定箇所は、本体31を扇子として扇ぎ使用する場合には負荷の掛かる箇所でもあることから、該縦切溝25を長くして移動増室22の左下角の差込領域を広くする必要があり、横切溝17の長さを縮小することで、該縦切溝25との接触を回避して、該縦切溝25を長くしている。
【0030】
実施例2での増室18は二箇所で図示しているが、増室18の数は限定ではなく、一箇所であっても良いし、更に増やして三箇所や四箇所であっても良く、縦切溝25の箇所を増やせば、増室18の数を増やしても、更に増やされた移動増室の左下角領域を差込んで固定することができる。