(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る撮像システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る撮像システムの概略構成を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す撮像システムの側面図である。
図1、
図2に示す撮像システム1は、媒体設置面5上に設置された読取対象の媒体6に対して、所定の撮像手段により上方から撮像して、媒体6の画像データを生成するスキャン動作を行うスキャナシステムである。本実施形態では、撮像手段としては、カメラ機能を有する携帯型撮像装置2が使用される。この携帯型撮像装置2は、例えば、カメラ機能を有するスマートフォンが用いられる。
【0012】
本実施形態に係る撮像システム1は、携帯型撮像装置2と、携帯型撮像装置2で撮像することによってスキャンを行う際に、この携帯型撮像装置2を載置することができる照明装置3とを備える。撮像システム1は、携帯型撮像装置2を照明装置3の所定位置(後述する撮像装置載置部30上)に載置した状態で、携帯型撮像装置2によって所定の撮影領域7のスキャン画像を取得することができる。なお、以下の説明では、
図1の上下方向を撮像システム1及び照明装置3の上下方向、
図1の手前側を撮像システム1及び照明装置3の前方向、
図1の奥側を撮像システム1及び照明装置3の後方向とする。
【0013】
携帯型撮像装置2は、略長方形の板状の形状で形成されており、その背面にカメラ機能に係る撮像部10が設けられている。撮像部10は、携帯型撮像装置2の制御部18(
図7参照)からの操作指令に応じて、スキャン動作を実行することができる。撮像部10は、携帯型撮像装置2が照明装置3の撮像装置載置部30に載置された状態では、所定の撮影領域7の全体を撮像することができ、撮影領域7の全体を含むスキャン画像を生成することができる。また、携帯型撮像装置2には、撮像部10が設けられている側の面の反対側の面に、各種情報を表示する表示部11が設けられている。この表示部11は、携帯型撮像装置2の操作時における各種情報や、撮像部10で撮影を行う際の画像情報等を表示する。
【0014】
照明装置3は、ベース部21、アーム部22及びトップ部23の3つの部材を備えている。このうちベース部21は、媒体設置面5上に配置される。アーム部22は、ベース部21の上面に接続され、ベース部21から上方に延在する。なお、アーム部22の延在方向は、
図1、
図2に示すように鉛直上方から前方向(媒体6が設置される側)へ傾斜する方向でもよいし、後方向(媒体6が設置される側の反対側)へ傾斜する方向でもよく、または鉛直上方でもよい。
【0015】
トップ部23は、アーム部22に接続され、アーム部22から媒体設置面5に対向して延在する。本実施形態では、
図2に示すように、トップ部23は、アーム部22の上端部に接続され、アーム部22と接続する高さ位置から前方に延在し、且つ、水平より斜め上方に向かって延在している。
【0016】
照明装置3のベース部21、アーム部22及びトップ部23は、相互に一体的に固定されている。言い換えると、ベース部21とアーム部22との接続部分と、アーム部22とトップ部23との接続部分は、回転、脱着、移動などの変形ができないよう固設されている。
【0017】
図3は、
図1に示す照明装置の斜視図である。照明装置3のトップ部23の上面24には、媒体設置面5に設置された媒体6を撮像可能な位置に携帯型撮像装置2を載置するための撮像装置載置部30が設けられている。撮像装置載置部30は、前方から後方に向かうに従って下方に向かう方向の後ろ下がりに傾斜する平面によって形成されている。
【0018】
この撮像装置載置部30の後端側、即ち、撮像装置載置部30の前後方向におけるアーム部22が位置している側の端部側には、撮像装置載置部30に載置した携帯型撮像装置2の移動を規制する移動規制部25が設けられている。移動規制部25は、厚さ方向が略前後方向になり、左右方向に向かって延在する板状の形状で、トップ部23の左右両端間にかけて上面24に設けられている。この移動規制部25の高さは、携帯型撮像装置2を撮像装置載置部30に載置した場合における携帯型撮像装置2の高さよりも高い高さで形成されている。
【0019】
また、撮像装置載置部30には、開閉可能なミラー部31が設けられている。このミラー部31は、移動規制部25よりも前側、即ち、アーム部22が位置する側の反対側に設けられており、トップ部23における移動規制部25よりも前側の形状に沿った略矩形の板状の形状で形成されている。即ち、略矩形状のミラー部31は、1つの辺が移動規制部25に沿って移動規制部25の近傍における前方に位置する向きで、トップ部23の上面24に設けられている。
【0020】
このように、ミラー部31における移動規制部25の前方近傍に位置する部分には、トップ部23の左右方向に延びる回動軸32が位置しており、ミラー部31は、この回動軸32を中心として回動可能になっている。換言すると、ミラー部31は、回動軸32によってトップ部23に対して回動可能に連結されている。
【0021】
図4は、
図3に示すミラー部を起立させた状態の説明図である。ミラー部31は、回動軸32を中心として回動させることにより、トップ部23から上方に向かう方向に起こすことが可能になっている。即ち、ミラー部31は、回動軸32を中心として回動させることにより起立させることができ、起立した状態のミラー部31は、板厚方向が略前後方向になる。ミラー部31は、このように起立した状態にした場合における前側を向く面が、光を反射する反射部材であるミラー34によって形成されている。
【0022】
このミラー34は、ミラー部31をこのように起立した状態では略前方を向き、ミラー部31を倒伏させた状態(
図3参照)では、下方を向くようになっている。撮像装置載置部30に設けられるミラー部31は、倒伏した状態における上面、即ち、ミラー34が位置する側の反対側の面は、ミラー部31を倒した状態の場合に携帯型撮像装置2を載置する部分であるミラー部載置面33(
図3参照)として設けられている。
【0023】
また、ミラー部31を起立させた状態における、トップ部23におけるミラー部31よりも前側の上面24は、ミラー部31が起立状態の場合に携帯型撮像装置2を載置する部分である撮像装置載置面35として設けられている。回動軸32を中心として回動自在に支持されているミラー部31は、この撮像装置載置面35に回動自在に支持されている。ミラー部31を起立させた場合、ミラー部31は、この撮像装置載置面35とミラー34とが、側面視において鋭角になる位置関係になる。このため、ミラー部31を起立させた場合には、ミラー34は、撮像装置載置部30が有する撮像装置載置面35の上方に位置するように配置されている。
【0024】
また、トップ部23の撮像装置載置面35には、ミラー部31が起立しているが倒伏しているかを検出するミラー検出手段であるミラー検出センサ36が配設されている。このミラー検出センサ36としては、赤外線等を用いる反射型センサや、機械的な接触を検出する機械式スイッチ等が用いられる。ミラー部31を倒伏させた場合には、ミラー部31は、ミラー34が撮像装置載置面35に対向する向きになり、ミラー34がミラー検出センサ36に接触することにより、ミラー検出センサ36はミラー部31が閉じられたことを検出する。このため、ミラー検出センサ36が、ミラー34の接触を検出しない場合には、ミラー部31は、ミラー34が撮像装置載置面35から離れて起立している状態であることになる。
【0025】
撮像システム1は、携帯型撮像装置2を撮像装置載置部30に載置したときに、携帯型撮像装置2の撮像部10が、下方の所定の撮影領域7の全体を撮影できる程度に媒体設置面5との間に距離がとれるように、撮像装置載置部30の設置位置が設定されている。例えば、ミラー部31を倒してミラー部載置面33に携帯型撮像装置2を載置した場合(
図1、
図2参照)に、ミラー部載置面33に載置された携帯型撮像装置2の撮影領域7が、照明装置3のベース部21の前方向に隣接する媒体6を配置する領域と、ベース部21における前方上面部分とを含むよう構成されている。
【0026】
図5は、
図4に示す撮像装置載置面に携帯型撮像装置を載置した場合の斜視図である。
図6は、
図5に示す撮像システムの側面図である。また、撮像システム1は、ミラー部31を起立させて、携帯型撮像装置2を撮像装置載置面35に載置したときも、携帯型撮像装置2の撮像部10が、下方の所定の撮影領域7の全体を撮影できる程度に媒体設置面5との間に距離がとれるように位置設定が設定されている。つまり、ミラー部31を起立させて撮像装置載置面35に携帯型撮像装置2を載置した場合も、撮像装置載置面35に載置された携帯型撮像装置2の撮影領域7が、照明装置3のベース部21の前方向に隣接する媒体6を配置する領域と、ベース部21における前方上面部分とを含むようなっている。
【0027】
また、照明装置3のベース部21の上面には、スキャンスイッチ40と照明スイッチ41が設けられている。また、アーム部22の前面には、電源スイッチ42が設けられている。また、照明装置3のトップ部23の媒体設置面5と対向する下面には、媒体設置面5を照射する照明部として照明LED(Light Emitting Diode)28が設けられている。これらのスキャンスイッチ40、照明スイッチ41、電源スイッチ42、照明LED28は、照明装置3の内部に備えられている制御部45(
図7参照)に電気的に接続されている。
【0028】
なお、スキャンスイッチ40や照明スイッチ41は、ベース部21以外の位置に設けてもよく、電源スイッチ42も、アーム部22以外の部分に設けてもよい。また、照明装置3には電源スイッチ42を設けず、照明装置3が有する差込プラグをコンセントに抜き差しすることにより、照明装置3に通電させるように構成してもよい。
【0029】
スキャンスイッチ40は、携帯型撮像装置2にスキャン動作を実行させるスキャン操作の指示を使用者から受け付ける入力手段である。また、照明スイッチ41は、照明LED28の点灯と消灯とを切り替える際の入力手段になっている。また、電源スイッチ42は、外部電源48と照明装置3との間の通電と遮断とを切り替えるスイッチになっている。また、照明LED28は、発光時の照射範囲8が、携帯型撮像装置2の撮影領域7と概ね等しく、撮影領域7を満遍なく明るくできるように、トップ部23の下面に配設されている。
【0030】
図7は、
図1に示す撮像システムの機能ブロック図である。照明装置3と共に撮像システム1を構成する携帯型撮像装置2は、撮像部10と、表示部11と、角度センサ13と、通信部15と、記録部17と、制御部18とを備える。撮像部10と、表示部11と、角度センサ13と、通信部15と、記録部17は、制御部18に電気的に接続されている。
【0031】
角度センサ13は、携帯型撮像装置2の傾斜角度を検出する角度検出手段になっている。角度センサ13は、携帯型撮像装置2の現在の傾斜角度や、傾斜角度の変化を検出することにより、携帯型撮像装置2の向きや、向きの変化の状態、移動状態を検出することが可能になっている。
【0032】
通信部15は、照明装置3との間で通信を行うことが可能になっており、例えば、Bluetooth(登録商標)によって無線通信を行う。照明装置3との間の通信は、Bluetooth以外の手法によって行ってもよく、NFC(Near Field Communication)や赤外線通信等、撮像装置載置部30に載置された携帯型撮像装置2と照明装置3との間で、無線で通信を行うことができる手法であれば、その手法は問わない。
【0033】
記録部17は、撮像部10により撮像した画像データ等を保存する記憶装置である。制御部18は、通信部15での照明装置3との通信時や、撮像部10での撮像時等に、各種の演算処理を行う。制御部18は、例えば、傾斜しているトップ部23の撮像装置載置部30に載置された携帯型撮像装置2の撮像部10によって、媒体設置面5の媒体6を斜め上方から撮像した媒体6の画像を、垂直方向上方から媒体6を撮像した画像になるように、画像処理を行う。
【0034】
一方、照明装置3は、ミラー検出センサ36と、照明LED28と、スキャンスイッチ40と、照明スイッチ41と、電源スイッチ42と、通信部44と、制御部45とを備えている。ミラー検出センサ36と、照明LED28と、スキャンスイッチ40と、照明スイッチ41と、電源スイッチ42と、通信部44は、制御部45に電気的に接続されている。
【0035】
通信部44は、携帯型撮像装置2の通信部15との間で、Bluetooth等によって通信を行うことが可能になっている。携帯型撮像装置2と照明装置3は、双方の通信部15、44により、無線通信で通信を行うことが可能になっている。
【0036】
制御部45は、スキャンスイッチ40や照明スイッチ41への入力操作に応じて照明LED28に駆動制御を行ったり、通信部44に制御信号を送信したりすることにより、照明LED28の発光制御や、照明装置3と携帯型撮像装置2との間での通信制御を行うことができるように設けられている。
【0037】
また、電源スイッチ42は、外部電源48と制御部45との間に介在しており、入力操作によって制御部45と外部電源48との間の通電(ON)と遮断(OFF)とを切り替えることにより、照明装置3の作動と停止を切り替えることができるようになっている。
【0038】
本実施形態に係る撮像システム1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。撮像システム1を構成する照明装置3は、通常は照明スタンドとして利用される。照明装置3を照明スタンドとして利用する際には、電源スイッチ42をONの状態で、照明スイッチ41に対して押圧操作を行う等の入力操作を行う。この照明スイッチ41に対する入力は、明確に押すこと以外でもよく、照明スイッチ41の形態に応じて、照明スイッチ41をタップしたり、照明スイッチ41に触れたり(タッチしたり)するようにしてもよい。
【0039】
照明スイッチ41が押されたことを認識した制御部45は、照明LED28を点灯させる。これにより、照明LED28は照射範囲8に照射を行い、照明装置3は、照明LED28からの照射光によって、トップ部23の下方を明るくすることができる。点灯状態の照明LED28を消灯する際には、照明LED28が点灯している状態で、照明スイッチ41に対して押圧操作を行う等の入力操作を行う。これにより、制御部45は照明LED28を消灯させる。
【0040】
また、本実施形態に係る撮像システム1は、照明装置3を照明スタンドとして使用するのみでなく、照明装置3に携帯型撮像装置2をセットすることにより、媒体設置面5に設置された媒体6を携帯型撮像装置2で読み取り、媒体6のスキャンを行うことが可能になっている。撮像システム1での媒体6のスキャンについて説明すると、媒体6のスキャンを行う際には、携帯型撮像装置2の撮像部10が下面側になり、且つ、撮像部10がトップ部23から露出し、表示部11が上面側になる向きで、携帯型撮像装置2をトップ部23の撮像装置載置部30に載置する。具体的には、ミラー部31が倒伏している時には、携帯型撮像装置2はミラー部載置面33に載置し、ミラー部31が起立している時には、携帯型撮像装置2は撮像装置載置面35に載置する。
【0041】
携帯型撮像装置2と照明装置3とは、携帯型撮像装置2の通信部15と照明装置3の通信部44で通信を行うことにより、互いに情報の送受信を行うことが可能になっている。また、携帯型撮像装置2は、照明装置3から送信される制御信号を受信することにより、撮像動作を行うことが可能になっている。また、撮像システム1は、スキャンスイッチ40の押下が、スキャンの開始トリガになっている。即ち、スキャンスイッチ40のONが、撮像システム1によるスキャンの開始トリガになっている。このため、照明装置3のトップ部23に載置された携帯型撮像装置2は、照明装置3からのスキャン開始トリガを、通信部15で受信するまで、待機を続ける。
【0042】
この状態で、使用者によって照明装置3のスキャンスイッチ40が押下されると、照明装置3から携帯型撮像装置2に対してスキャン開始トリガが発信される。このスキャン開始トリガは、照明装置3の通信部44から発信し、携帯型撮像装置2の通信部15で受信する。スキャン開始トリガを受信した携帯型撮像装置2は、照明装置3が有する照明LED28の点灯指示を行う。携帯型撮像装置2からの点灯指示を受けた照明装置3は、点灯指示の受信時に照明LED28が点灯状態であった場合には、照明LED28の点灯を維持し、照明LED28が消灯状態であった場合には、照明LED28を点灯させる。
【0043】
携帯型撮像装置2は、このように照明LED28が点灯している状態で、媒体設置面5における撮影領域7の画像を撮像部10で撮像することにより、撮影領域7内の媒体6を撮像して、画像データを携帯型撮像装置2の記録部17に保存する。これにより、撮像システム1は、自らの照明である照明LED28によって作り出した最適な環境下で、媒体6を撮像して保存し、媒体6のスキャンを行う。このスキャンによって得られた画像データを記録部17に保存する際には、携帯型撮像装置2の制御部18で画像処理を行い、適切な画質に調整された後、記録部17に記録して保存する。
【0044】
撮像システム1では、このように照明LED28からの照射光によって撮影領域7に載置された媒体6の画像データを取得するが、その際に、携帯型撮像装置2では、画像を撮像するモードの時には、撮像部10で撮像している画像を常時表示部11で表示する。使用者は、この表示部11で表示されている状態を確認しながら、撮影領域7に対する媒体6の位置を調節し、所望の画像を取得する。この表示部11に表示される画像の確認は、本実施形態に係る撮像システム1では、表示部11を直接視認する手法と、ミラー34を介して視認する手法によって行うことができる。
【0045】
例えば、使用者が立った状態で媒体6の撮像を行う場合には、ミラー部31を倒伏させ、携帯型撮像装置2をミラー部載置面33に載置した状態で行う(
図1、
図2参照)。携帯型撮像装置2は、表示部11が上面側になる向きでミラー部載置面33に載置されるため、立っている使用者は、この表示部11を上方から視認することができる。
【0046】
ここで、トップ部23は、アーム部22から斜め上方に向かって延在しており、撮像装置載置面35に載置される携帯型撮像装置2も、同方向に傾斜している。このため、携帯型撮像装置2の撮像部10と媒体設置面5との距離は、ベース部21側に向かうに従って双方の距離は近く、これらの位置から前方に離れるに従って双方の距離は遠くなっている。このため、撮像部10で撮像する画像は、媒体設置面5上のベース部21寄りの部分と比較して、ベース部21から前方に離れた部分は、撮像部10から離れていることに起因して画像が小さくなっている。
【0047】
従って、制御部18は、撮像した画像を記録部17に保存する場合と同様に、撮像部10と媒体載置面5との位置関係に応じて発生する画像の歪みを補正し、補正後の画像を表示部11に表示する。これにより、表示部11に画像を視認することにより、携帯型撮像装置2で撮像して実際に保存される画像を確認することができるので、使用者は、表示部11に表示されている画像を確認しながら、媒体設置面5の撮像を行うことができる。
【0048】
これに対し、使用者が座って撮像システム1の前方に位置し、撮像システム1に対面する状態で媒体6の撮像を行う場合には、ミラー部31を起立させ、携帯型撮像装置2を撮像装置載置面35に載置した状態で行う(
図5、
図6参照)。携帯型撮像装置2を撮像装置載置面35に載置する場合も、表示部11が上面側になる向きで携帯型撮像装置2は載置されるが、ミラー部31を起立させた場合は、ミラー部31のミラー34は、表示部11の上方で、且つ、後方に位置した状態で、略前方に面する向きになる。
【0049】
図8は、ミラー部を起立させて表示部を視認する場合の説明図である。また、ミラー部31を起立させた場合、ミラー部31のミラー34と撮像装置載置面35とは、側面視において鋭角になるため、ミラー部31のミラー34は、撮像装置載置面35に載置される携帯型撮像装置2の表示部11に対しても、側面視において鋭角になる。
【0050】
また、トップ部23は、アーム部22と接続する高さ位置から前方で、且つ、水平より斜め上方に向かって延在している。このため、表示部11は、鉛直方向上方よりも斜め後方に面しているが、表示部11の上方で、且つ、後方には、ミラー部31のミラー34が位置するため、表示部11で表示している画像は、このミラー34に当たり、ミラー34で反射する。これによりミラー34は、上方に面している表示部11で表示する画像を、媒体載置面5側に向けて反射する。
【0051】
詳しくは、ミラー34は、略前方に面する向きになっているため、ミラー34は、この表示部11の画像を前方に反射する。撮像システム1の前方に座っている使用者は、このようにミラー34で前方に反射した表示部11の画像を視認することにより、表示部11を前方から、ミラー34を介して視認することができる。
【0052】
しかし、ミラー34で反射した画像は、実際の画像に対して反転したものになっている。また、表示部11で表示した画像をミラー34で反射し、反射した画像を視認する場合でも、撮像部10と媒体載置面5との位置関係に応じて画像には歪みが発生する。このため、本実施形態に係る撮像システム1では、表示部11の画像を、ミラー34を介して使用者が視認する状態の場合には、ミラー34で反射した画像を見たときに適切に見えるように、表示部11で表示する画像の補正処理を行う。
【0053】
図9は、媒体設置面に設置された媒体の平面図である。
図10は、
図9に示す媒体を撮像部で撮像し、表示部で表示した画像をミラーで反射した状態を示す説明図である。例えば、媒体設置面5に設置された媒体6を、撮像装置載置面35に載置した携帯型撮像装置2の撮像部10で撮像して表示部11で表示し、表示部11の上方に位置するミラー34で反射した場合、反射した画像は、左右が反転し、且つ、ベース部21から前方に離れた部分が小さくなった画像になる。
【0054】
図11は、表示部で上下反転させて表示した画像をミラーで反射した状態を示す説明図である。表示部11の画像をミラー34で反射させて視認する場合には、ミラー34で視認した場合に、上下が反転するように、制御部18は、表示部11で表示する画像の補正を行う。つまり、媒体設置面5に載置する媒体6は、使用者側から見て適切な向きになるように、ベース部21寄りが媒体6の記載中の上方になり、ベース部21側から使用者側に近くなるに従って、媒体6の記載中の下方になる。
【0055】
一方、撮像部10で撮像した画像を、そのまま表示部11で表示してミラー34で反射させた場合、ミラー34における下方側がベース部21側の画像になり、ミラー34における上方側が使用者側に近い位置の画像になる。このため、制御部18は、ミラー34で視認する画像が、使用者から見て適切な向きの画像になるように、上下を反転させる補正を行う。これにより、ミラー34で反射した画像は、ミラー34における上方側がベース部21側の画像になり、ミラー34における下方側が、使用者側に近い位置の画像になる。また、このように上下を反転させることにより、ミラー34で反射することにより反転する画像を、被撮像物を実際に見た場合の向きと同じ向きにすることができる。
【0056】
図12は、表示部で上下反転させ、さらに歪みを取り除く補正を行った画像をミラーで反射した状態を示す説明図である。また、表示部11の画像をミラー34で反射させて視認する場合にも、撮像部10と媒体載置面5との位置関係に応じた歪みが画像に発生するため、この場合も制御部18は、画像の歪みを取り除く補正を行う。これにより、使用者は、ミラー34で反射した表示部11の画像を視認することにより、携帯型撮像装置2で撮像する画像を適切に確認することができる。
【0057】
撮像システム1では、媒体6の撮像を行うときに、これらのように補正を行うが、この補正は、ミラー検出センサ36で検出するミラー部31の状態によって異ならせる。具体的には、媒体6の撮像を行う際に、撮像装置載置面35に設置されているミラー検出センサ36が、ミラー部31を検出した場合には、制御部18は、ミラー部31は倒伏状態であり、撮像装置載置面35の上方へのミラー34の配置が検出されない、と判断する。この場合、制御部18は、撮像部10と媒体載置面5との位置関係に応じて発生する画像の歪みを補正する第1画像補正処理を行い、補正後の画像を表示部11に表示する。これにより、使用者は、表示部11に表示されている画像を視認することにより、実際に保存をする形態の画像を確認しながら、撮像を行うことができる。
【0058】
これに対し、ミラー検出センサ36が、ミラー部31を検出しない場合には、制御部18は、ミラー部31は起立状態であり、撮像装置載置面35の上方へのミラー34の配置が検出された、と判断する。この場合、制御部18は、画像の歪みおよび上下反転を補正する第2画像補正処理を行い、補正後の画像を表示部11に表示する。これにより、使用者は、ミラー部31のミラー34で反射している画像を視認することにより、実際に保存をする形態の画像を確認しながら、撮像を行うことができる。
【0059】
以上の実施形態に係る撮像システム1は、携帯型撮像装置2を載置する撮像装置載置面35の上方に、携帯型撮像装置2の表示部11に表示された画像を媒体載置面5側に向けて反射するミラー34を配置可能にしているため、ミラー34で反射した画像を使用者が視認しながら、媒体6の撮像を行うことを可能にしている。さらに、ミラー34の配置状態を検出するミラー検出センサ36を設け、携帯型撮像装置2の制御部18は、ミラー34の配置状態に応じて、撮像を行う際に表示部11で表示する画像を、第1画像補正処理、または第2画像補正処理を行って表示している。これにより、使用者は、撮像を行う際に、表示部11を直接視認する場合でも、ミラー34を介して視認する場合でも、実際に保存をする形態の画像を確認しながら撮像することができる。この結果、使用者との位置関係に関わらず、使用者に対して適切に撮像状態を認識させて撮像することができる。
【0060】
また、ミラー34は、撮像装置載置面35に回動自在に支持されており、倒伏状態で撮像装置載置面35と対向し、起立状態で撮像装置載置面35の上方に配置されるように設けられているため、ミラー34を使用しない場合の照明装置3の外観の美観を確保できる。この結果、美観を損ねることなく、撮像時における撮像状態の認識性を向上させることができる。
【0061】
〔変形例〕
なお、上述した実施形態に係る撮像システムでは、ミラー部31はトップ部23の上面24に配設されているが、トップ部23は、これ以外の位置に配設してもよい。
図13は、実施形態に係る撮像システムの変形例であり、回動軸を前後方向にしてミラー部をアーム部に設ける場合の斜視図である。
図14は、
図13に示す撮像システムのミラー部を使用状態にした場合の説明図である。ミラー部31は、例えば、アーム部22の後ろ側の面に、前後方向に延びる回動軸32を中心として回動自在に配設してもよい。即ち、ミラー部31を使用しないときは、ミラー部31はアーム部22の後方側でアーム部22に沿わせた状態にし(
図13)、ミラー部31を使用するときは、回動軸32を中心として回動させることにより、ミラー部31がトップ部23よりも上方に位置するようにする(
図14)。この場合、ミラー部31は、ミラー34が常に前方側に面する向きで設置する。また、ミラー検出センサ36もミラー部31と同様に、アーム部22の後ろ側の面に設置し、アーム部22に沿った状態のミラー部31を検出できるようにする。
【0062】
図15は、実施形態に係る撮像システムの変形例であり、回動軸を左右方向にしてミラー部をアーム部に設ける場合の斜視図である。
図16は、
図15に示す撮像システムのミラー部を使用状態にした場合の説明図である。また、ミラー部31とミラー検出センサ36をアーム部22の後ろ側の面に配設する場合は、回動軸32は、左右方向に延びる向きにしてもよい。これによっても、ミラー部31を使用しないときは、ミラー部31はアーム部22の後方側でアーム部22に沿わせた状態にし(
図15)、ミラー部31を使用するときは、回動軸32を中心として回動させることにより、ミラー部31がトップ部23よりも上方に位置するようにすることができる(
図16)。この場合、ミラー部31は、ミラー部31を使用しないときにはミラー34が後方側に面する向きで設置する。これにより、ミラー部31を回動させてトップ部23よりも上方に位置するようにした際に、ミラー34が前方側に面するようにすることができる。
【0063】
図17は、実施形態に係る撮像システムの変形例であり、アーム部にミラー部の収容部を設ける場合の斜視図である。
図18は、
図17に示す撮像システムのミラー部を使用状態にした場合の説明図である。また、アーム部22に、ミラー34を収容する収容部60が形成し、ミラー部31は、使用しないときは収容部60に収容できるようにしてもよい。つまり、収容部60は、アーム部22の上端付近に、上方に開口する向きでアーム部22内に形成し、ミラー部31は、ミラー34が前方側に面する向きで、収容部60に収容する。
【0064】
図19は、
図17に示す撮像システムが有するミラー検出センサの説明図であり、ミラー部を検知している状態の説明図である。
図20は、
図17に示す撮像システムが有するミラー検出センサの説明図であり、ミラー部を検知していない状態の説明図である。ミラー部31を収容部60に収容する形態にする場合、ミラー検出センサ36は、一対の検出部材間に、被検出部材が位置しているか否かを検出する透過型のセンサを用いるのが好ましい。このミラー検出センサ36は、収容部60内に配設される。ミラー部31が収容部60に収容され、ミラー検出センサ36の検出部材間に、ミラー部31が位置している場合は、ミラー検出センサ36はミラー部31が収容部60内に収容されていることを検出する(
図19)。これに対し、ミラー部31が収容部60から引き出され、ミラー検出センサ36の検出部材間に、ミラー部31が位置しない場合は、ミラー検出センサ36はミラー部31が収容部60から引き出され、ミラー34が撮像装置載置面35の上方に配置されたことを検出する(
図20)。
【0065】
このように、アーム部22に収容部60が形成し、ミラー部31を収容部60内に収容できるようにすることより、ミラー部31の不使用時に、ミラー部31を、より視認し難くすることができる。これにより、ミラー部31を使用しないときの美観を、より確実に向上させることができる。
【0066】
図21は、実施形態に係る撮像システムの変形例であり、ミラー部を差し込み式にした場合の斜視図である。
図22は、
図21に示す撮像システムのミラー部を取り外した場合の説明図である。また、ミラー部31は、照明装置3に対して着脱可能にしてもよい。例えば、
図21、
図22に示すように、ミラー部31には差込部65を設け、アーム部22の上端に、ミラー部31の差込部65を差し込むことができる差込口66を設けてもよい。この場合、ミラー34が撮像装置載置面35の上方に配置されたことを検出するミラー検出手段として、差込部65が差込口66に差し込まれた否かを検出する着脱検出手段(図示省略)を、差込口66に設ける。携帯型撮像装置2での撮像時は、差込部65が差込口66に差し込まれているか否かを着脱検出手段で検出し、制御部18は、その検出結果に応じて、第1画像補正処理、または第2画像補正処理を行う。このように、ミラー部31を着脱式にすることにより、ミラー部31を使用しないときの美観を向上させることができ、また、ミラー部31の回動機構を省略することができるので、装置の簡略化を図ることができる。
【0067】
図23は、実施形態に係る撮像システムの変形例であり、アーム部をトップ部の中腹に接続する場合の斜視図である。また、アーム部22は、上端がトップ部23の後端以外の部分に接続されていてもよく、例えな、
図23に示すように、アーム部22は、上端がトップ部23の前後方向における中央付近の下面に接続されていてもよい。このように、トップ部23とアーム部22の接続形態や、アーム部22とベース部21の接続形態、さらに、各部材の形状は、上述した形態以外のものであってもよい。
【0068】
また、上述した撮像システム1では、携帯型撮像装置2で撮像した画像データは、携帯型撮像装置2の記録部17に保存しているが、画像データは、携帯型撮像装置2以外に保存してもよい。例えば、携帯型撮像装置2で撮像を行ったら、画像データを照明装置3に転送して照明装置3で保存してもよく、または、外部のサーバに転送し、この外部のサーバで保存してもよい。
【0069】
また、上述した撮像システム1では、媒体設置面5に設置された媒体6を撮像する携帯型撮像装置2の例としてスマートフォンを挙げているが、携帯型撮像装置2はスマートフォン以外のものを用いてもよい。携帯型撮像装置2は、例えば、照明装置3との間で通信をする機能を有するデジタルカメラを用いてもよい。携帯型撮像装置2は、照明装置3との間で通信をすることにより、照明装置3から送信されるスキャン・トリガに基づいて撮像をすることができるものであれば、その形態は問わない。
【解決手段】照明装置3と携帯型撮像装置2との間で通信する撮像システム1であって、携帯型撮像装置2は、撮像部10と、表示部11と、制御部18と、を有し、照明装置3は、携帯型撮像装置2を載置する撮像装置載置面35と、媒体載置面5を照射する照明LED28と、表示部11に表示された画像を媒体載置面5側に向けて反射するミラー34と、ミラー検出センサ36と、を有し、制御部18は、ミラー検出センサ36によるミラー34の配置が検出されない場合に、画像の歪みを補正する第1画像補正処理を行い、補正後の画像を表示部11に表示し、ミラー検出センサ36によるミラー34の配置が検出された場合に、画像の歪みおよび上下反転を補正する第2画像補正処理を行い、補正後の画像を表示部11に表示する。