(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極間距離をほぼ一定に保った状態で高圧放電ランプの点灯を維持することを目的とする、当該高圧放電ランプの点灯装置、および高圧放電ランプの点灯方法に関する。
【0002】
高圧放電ランプは、1個のランプから得られる光量が非常に多いといった特性を有しており、プロジェクター等に広く用いられている。高圧放電ランプは、石英ガラス製の発光管部の内部空間に一対のタングステン製の電極が配設されているとともに、当該内部空間に水銀が封入されており、電極間に電圧を加えてアーク放電を生じさせることにより、蒸発した水銀が励起されて光を発するようになっている。
【0003】
高圧放電ランプの点灯は、原則的に、定電力制御で維持される。高圧放電ランプに印加される電圧の値は主に電極間距離に応じて決まることから、高圧放電ランプに供給される電流の値は当該電極間距離で決まった電圧の値に応じて決まることになる。このような電流の値はバラスト(電源安定供給装置)が決定し、当該バラストから必要な電流が高圧放電ランプに供給される。
【0004】
ところで、定電力で高圧放電ランプの点灯を維持していると、高圧放電ランプの電極は設定した電力に応じた温度となる。電極温度が比較的低い場合は、電極の表面にタングステンが堆積して電極間距離が短くなっていき、逆に、電極温度が比較的高い場合は電極が減肉して電極間距離が長くなっていく傾向にある。
【0005】
電極間距離が短くなっていった場合、高圧放電ランプの電圧(電極間電圧)の値は小さくなっていくことから、バラストから当該高圧放電ランプに供給すべき電流の値は大きくなっていく。このため、電極間距離が短くなり電極間電圧の値が過度に小さくなりすぎると、供給すべき電流の値が高くなってバラストへの負担が大きくなる。バラストへの負担が大きくなると、バラストの温度上昇が大きくなるおそれがある。
【0006】
このような問題に対応するため、例えば特許文献1では、高圧放電ランプに印加する電圧又は交流電流の周波数を適宜選択して所望の形状の電極を得る技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、高圧放電ランプに印加する電圧や交流電流の周波数を適宜選択するだけでは、長期間、適切な電極間距離を維持するのが困難であった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みて開発されたものである。それゆえに本発明の主たる課題は、長期間にわたって適切な電極間距離を維持することができる高圧放電ランプの点灯装置、および高圧放電ランプの点灯方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面によれば、
一対の電極を有する高圧放電ランプを点灯させる交流電流を供給する、高圧放電ランプの点灯装置であって、
高圧放電ランプの電極間電圧が所定の電極間電圧下限値に到達したとき、高圧放電ランプに供給する電力を増加させる
とともに、交流電流の周波数を低減させる点灯装置が提供される。
【0011】
また、本発明の他の局面によれば、
一対の電極を有する高圧放電ランプを点灯させる交流電流を供給する、高圧放電ランプの点灯装置であって、
高圧放電ランプの電極間電圧が所定の電極間電圧下限値に到達したとき、高圧放電ランプに供給する電力を増加させ
、電力を増加させて所定の時間が経過した後、交流電流の周波数を低減させる点灯装置が提供される。
【0013】
また、通常点灯時には、ベース部と、これに重畳する複数のパルス部とを有する波形の交流電流を供給し、電力を増加させる際には、矩形状の波形の交流電流を供給するのが好ましい。
【0014】
また、通常点灯時には、各半周期内で極性が複数回切り替わる波形の交流電流を供給し、電力を増加させる際には、矩形状の波形の交流電流を供給するのが好ましい。
さらに、複数のパルス部として、第1のパルス部と、第2のパルス部と、第3のパルス部とを設け、第1のパルス部は、各半周期の最初に位置しており、第3のパルス部は、各半周期の最後に位置しており、第2のパルス部は、第1のパルス部および第3のパルス部の間に位置しており、第1のパルス部の電流値は、第2のパルス部および第3のパルス部の電流値と比較して小さく設定するのが好ましい。
【0015】
また、本発明の他の局面によれば、
一対の電極を有する高圧放電ランプに交流電流を供給して点灯させる点灯方法であって、
高圧放電ランプの電極間電圧が所定の電極間電圧下限値に到達したとき、高圧放電ランプに供給する電力を増加させる
とともに、交流電流の周波数を低減させる点灯方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高圧放電ランプの電極間電圧が所定の値よりも小さくなったとき、すなわち、電極間距離が所定の長さよりも短くなったときに、当該高圧放電ランプに供給する電力の値を増加させるようになっている。電力の値を増加させることにより、高圧放電ランプ内の電極温度が上昇し、電極先端が溶解する。これにより、電極間距離が再び長くなり、電極間電圧も所定の値に戻る。以上のことから、長期間にわたって適切な電極間距離を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明が適用された高圧放電ランプ10、および、この高圧放電ランプ10を点灯させる点灯装置100の実施例について説明する。
【0019】
(高圧放電ランプ10の説明)
最初に、高圧放電ランプ10について説明する。高圧放電ランプ10は、
図1に示すように、石英ガラスで一体的に形成された発光管部12と当該発光管部12から延出する一対の封止部14とを有しており、発光管部12内には封止部14によって密閉された内部空間16が形成されている。また、各封止部14内にはモリブデン製の箔18が埋設されている。
【0020】
さらに、一端が箔18の一方端部に接続されているとともに他端が内部空間16内に配置されたタングステン製の一対の電極20と、一端が箔18の他方端部に接続されているとともに他端が封止部14から外部へ延出する一対のリード棒22とがそれぞれ設けられている。また、内部空間16には、所定量の水銀24およびハロゲン(例えば臭素)が封入されている。
【0021】
高圧放電ランプ10に設けられた一対のリード棒22に所定の高電圧を印加すると、発光管部12の内部空間16に設けられた一対の電極20間で開始したグロー放電がアーク放電に移行し、このアークによって蒸発/励起された水銀24によって光が放射される。
【0022】
点灯装置100は、
図2に示すように、大略、電力供給回路102と、点灯状態送信手段104とで構成されている。
【0023】
電力供給回路102は、電源106から受けた電気を高圧放電ランプ10の点灯に適した交流の電圧および電流に変換した上で、一対のリード線108を介して当該高圧放電ランプ10に供給するための回路である。この電力供給回路102による高圧放電ランプ10の点灯方法については、後に詳述する。
【0024】
点灯状態送信手段104は、電力供給回路102による高圧放電ランプ10の点灯状態をリアルタイムに確認し、その結果を電力供給回路102へ戻す役割を有している。本実施例において、この点灯状態送信手段104は、大略、一対のリード線108間に設けられた電圧計110と、いずれか一方のリード線108に設けられた電流計112と、電圧計110で測定された電圧値V、および電流計112で測定された電流値Aを受けた後、これらの値を電力供給回路102へ送る送信回路114とで構成されている。なお、送信回路114と電圧計110との間は、電圧値送信線116で連絡されており、送信回路114と電流計112との間は、電流値送信線118で連絡されており、さらに、送信回路114と電力供給回路102との間は、送信線120で連絡されている。
【0025】
(電流波形の第1実施例について)
次に、上述した点灯装置100から高圧放電ランプ10に供給される交流電流について説明する。高圧放電ランプ10に供給される電流波形の第1実施例(通常電流波形N)は、
図3に示すように、その半周期Hにおいて、ベース部200と、当該ベース部200に重畳された複数のパルス部202,204,206とを有している。なお、通常電流波形Nによる通常点灯時の点灯電力は120Wから400W、点灯周波数は60Hzから240Hzである。ここで点灯電力を120Wから400Wとした理由は、現在のプロジェクターにおいて高圧放電ランプ10に要求される明るさを考慮した場合、高圧放電ランプ10の電力は、およそ120Wから400Wの範囲になるためである。またプロジェクターの映像信号周波数とランプ点灯周波数の同期の関係から、ランプの点灯周波数は60Hzから240Hzの範囲としている。
【0026】
本実施例にかかる通常電流波形Nでは、1つの半周期Hにおいて3つのパルス部202,204,206が重畳されている。第1のパルス部202は、半周期Hの最初に位置している。また、第3のパルス部206は、半周期Hの最後に位置している。さらに、第2のパルス部204は、第1のパルス部202と第3のパルス部206との間に位置している。また、第2のパルス部204と第3のパルス部206とは、それぞれほぼ同じ電流値Aおよび継続時間Tを有している。さらに、第1のパルス部202は、第2のパルス部204および第3のパルス部206と比較して、電流値Aが小さく、かつ、継続時間Tが短く設定されている。なお、
図3におけるA
1は、半周期Hにおける電流値Aの平均値を示している。また、半周期Hにおいて重畳されるパルス部の数、継続時間Tおよび位置等は本実施例に限定されるものではない。
【0027】
また、図示した半周期Hに続く次の半周期は、電流値Aがゼロの線を中心として極性が反転した電流波形となっている。このように、第1実施例にかかる通常電流波形Nは、半周期毎に極性が反転した電流波形となっている。
【0028】
本実施例の通常電流波形Nのように、ベース部200の半周期Hにおける前半に1本のパルス部202を重畳し、さらに、当該半周期Hの後半に2本のパルス部204,206を重畳することにより、使用開始当初における電極間距離の変動を小さくして照度維持率の大幅な低下を避けることができる。
【0029】
本実施例の通常電流波形Nを用いて高圧放電ランプ10を連続して点灯させたとき、当該高圧放電ランプ10の電極間距離Dが短くなっていき、高圧放電ランプ10の電極間電圧Vが
図4(a)のX部に示すように低下していく。そして、当該電極間電圧Vが予め設定した電極間電圧下限値V
1に到達したことが点灯状態送信手段104の電圧計110から電圧値送信線116、送信回路114、および送信線120を介して電力供給回路102に伝達されたとき、電力供給回路102は高圧放電ランプ10に供給する電力W(電力値)を増加させる。すなわち、
図5に示すように、電力供給回路102は、高圧放電ランプ10に供給する電流波形(電圧低下時電流波形S)を、通常の平均電流値A
1よりも高い電流値A
2を有し、かつ、半周期Hの間、ほぼ一定の電流値A
2である矩形状にする。
【0030】
このように高圧放電ランプ10に供給する電力Wを増加させることにより、当該高圧放電ランプ10の電極20の温度が上昇し、当該電極20の先端が溶解する。これにより、電極間距離Dが再び長くなり、
図4(a)のY部に示すように、電極間電圧Vも所定の値に戻る。
【0031】
高圧放電ランプ10に供給する電力Wを増加させてから所定の時間が経過すると、電力供給回路102は高圧放電ランプ10に供給する電流波形を通常電流波形Nに戻す。すると、再び、時間と共に緩やかに電極間距離Dは短くなっていき、電極間電圧Vが低下していく(
図4(a)のZ部)。以後、同様の動作が繰り返される。電流波形を電圧低下時電流波形Sから通常電流波形Nに戻すのは、上述のように所定の時間が経過してからでもよいし、
図4(b)に示すように、予め設定した電極間電圧上限値V
2に到達したときに、電圧低下時電流波形Sから通常電流波形Nに戻してもよい。
【0032】
(第1実施例にかかる電流波形の変形例)
第1実施例の電流波形Nにおいて、高圧放電ランプ10に供給する電力Wを増加させたときの電流波形Sは、上記のものに限定されず、例えば、
図6に示すように、ベース部200と、パルス部202,204,206との比率は変化させないままで、各部200,202,204,206の電流値Aを大きくすることが考えられる。あるいは、
図7に示すように、パルス部202,204,206の高さ(ピーク電流値A)は変化させることなく、ベース部200の電流値Aを大きくしてもよい。この場合、各パルス部202,204,206間の電流値Aが増加することにより、半周期H全体としての電力Wが増加(平均電流値A
2が増加)する。
【0033】
(電流波形の第2実施例について)
高圧放電ランプ10に供給される通常電流波形Nの第2実施例は、
図8に示すように、各半周期H内で極性が複数回切り替わるようになっている。つまり、電流波形の第2実施例は、各半周期Hにおいて、電流値Aがプラス側にあるプラス区間210と、電流値Aがマイナス側にあるマイナス区間212とをそれぞれ複数有している。なお、図示した半周期Hに続く次の半周期Hは、電流値Aがゼロの線を中心としてプラス区間210とマイナス区間212とが反転した電流波形となっている。また、
図8におけるA
1は、半周期Hにおけるプラス区間210の電流値Aの平均値を示しており、A
2は、半周期Hにおけるマイナス区間212の電流値Aの平均値を示している。このように、第2実施例の電流波形Nは、上述のようにプラス区間210とマイナス区間212とを有していることから、プラス領域およびマイナス領域にそれぞれ平均電流値A
1およびA
2が存在する。
【0034】
第2実施例のような電流波形Nを用いることにより、例えば、DLP(Digital Light Processing)を利用した映像表示システムに適した高圧放電ランプ10の点灯を行うことができる。DLPには、例えば、赤、青、緑の領域に分けられ、高速で回転するカラーホイールが使用される。第2実施例にかかる電流波形Nのプラス区間210やマイナス区間212を当該カラーホイールの各色領域に対応させることにより、所望の色を投影することができる。
【0035】
本実施例の通常電流波形Nを用いて高圧放電ランプ10を連続して点灯させたとき、当該高圧放電ランプ10の電極間距離Dが短くなっていき、高圧放電ランプ10の電極間電圧Vが
図4(a)のX部に示すように低下していく。そして、当該電極間電圧Vが予め設定した電極間電圧下限値V
1に到達したことが点灯状態送信手段104の電圧計110から電圧値送信線116、送信回路114、および送信線120を介して電力供給回路102に伝達されたとき、電力供給回路102は高圧放電ランプ10に供給する電力Wを増加させる。すなわち、
図9に示すように、電力供給回路102は、高圧放電ランプ10に供給する電流波形(電圧低下時電流波形S)を、平均電流値A
1およびA
2よりも高い電流値A
3を有し、かつ、半周期Hの間、ほぼ一定の電流値A
3である矩形状にする。つまり、半周期Hの期間内における極性の切り替わりがなくなる。
【0036】
このように高圧放電ランプ10に供給する電力Wを増加させることにより、当該高圧放電ランプ10の電極20の温度が上昇して、当該電極20の先端が溶解する。これにより、電極間距離Dが再び長くなり、
図4(a)のY部に示すように、電極間電圧Vも所定の値に戻る。
【0037】
高圧放電ランプ10に供給する電力Wを増加させてから所定の時間が経過すると、電力供給回路102は高圧放電ランプ10に供給する電流波形を通常電流波形Nに戻す。すると、再び、時間と共に緩やかに電極間距離Dは短くなっていき、電極間電圧Vが低下していく(
図4(a)のZ部)。以後、同様の動作が繰り返される。電流波形を電圧低下時電流波形Sから通常電流波形Nに戻すのは、上述のように所定の時間が経過してからでもよいし、
図4(b)に示すように、予め設定した電極間電圧上限値V
2に到達したときに、電圧低下時電流波形Sから通常電流波形Nに戻してもよい。
【0038】
(第2実施例にかかる電流波形の変形例)
第2実施例の電流波形Nにおいて、高圧放電ランプ10に供給する電力Wを増加させたときの電流波形Sは、上記のものに限定されず、例えば、
図10に示すように、各プラス区間210およびマイナス区間212における電流値Aの絶対値を大きくしてもよい。これにより、半周期H全体として高圧放電ランプ10に供給する電力Wが増加する。
【0039】
(周波数の低減)
上述した実施例(第1実施例および第2実施例)では、高圧放電ランプ10の電極間距離Dが短くなっていき、電極間電圧Vが予め設定した電極間電圧下限値V
1に到達したときに当該高圧放電ランプ10に供給する電力Wを増加させるようにしているが、これに加えて、電流波形の周波数を低減してもよい。本実施例では、上述のように、電圧低下時電流波形Sを、半周期の間ほぼ一定の電流値A
2,A
3である矩形状にしているので、周波数を低減したとしても高圧放電ランプ10からの光がチラついて見えるのを回避することができる。仮に、ベース部200にパルス部202,204,206を重畳させる第1実施例の通常電流波形Nや、各半周期H内で極性が複数回切り替わる第2実施例の通常電流波形Nの周波数を低減すると、高圧放電ランプ10からの光がチラついて見えるおそれがある。
【0040】
第1実施例にかかる電流波形Nを用いて具体的に説明すると、
図11に示すように、高圧放電ランプ10に供給する電流波形Sを通常の平均電流値A
1よりも高い値A
2の矩形状(
図11(a))に変化させてから所定の時間(例えば、0.5秒)が経過した後、矩形状の電流波形のままで周波数を(例えば、20Hzまで)低減する(
図11(b))。なお、所定の時間については、点灯装置100の電力変化への応答性を考慮し、確実に変化が完了する時間をもって決定するのが望ましい。
【0041】
周波数の低減は、上述したように、高圧放電ランプ10に供給する電力Wを増加させてから所定の時間が経過した後に開始してもよいし、電力Wを増加させるのと同時に開始してもよい。また、周波数の低減は、予め設定した時間(例えば、1〜5秒間)だけ行うことにしてもよいし、上述のように、電極間電圧Vが所定の電極間電圧上限値V
2に到達するまで継続してもよい。
【0042】
第2実施例にかかる電流波形Nを用いる場合もこれと同様であり、高圧放電ランプ10に供給する電流波形を通常の平均電流値A
1やA
2よりも高い値A
3の矩形状に変化させてから所定の時間(例えば、0.5秒)が経過した後、矩形状の電流波形のままで周波数を(例えば、20Hzまで)低減する。なお、周波数の低減は、高圧放電ランプ10に供給する電力Wを増加させてから所定の時間が経過した後に開始してもよいし、電力Wを増加させるのと同時に開始してもよい。また、周波数の低減は、予め設定した時間(例えば、1〜5秒間)だけ行うことにしてもよいし、上述のように、電極間電圧Vが所定の電極間電圧上限値V
2に到達するまで継続してもよい。
【0043】
このように高圧放電ランプ10に供給する電力Wを増加させるだけでなく、矩形状の電流波形の周波数も低減することにより、さらに早く電極間距離Dを長くすることができ、電圧低下時電流波形Sから通常電流波形Nに素早く戻すことができる。
【0044】
なお、電極間電圧下限値V
1は、下記の式によって定めるのが好適である。
電極間電圧下限値V
1 ≧ 定格電力値 ÷ 設計電流値 × 0.8
ここで、定格電力値とは、通常点灯モードでの電力値である。高圧放電ランプ10が用いられるプロジェクター等の機器には、一般に、「通常点灯モード」と、これよりも低い電力で高圧放電ランプ10を点灯させる「省電力モード」とを備えている。
また、設計電流値とは、定格電力値で点灯した時の平均電流値である。
【0045】
また、電力Wを増加させる際の電力増加率は、下記の式によって定めるのが好適である。
電力増加率 = 1.36 × (点灯電力値/定格電力値)
2 − 2.67 × (点灯電力値/定格電力値) + 2.31
ここで、点灯電力値とは、電力Wを増加させる直前の点灯中の電力値である。
上式の電力増加率より大きくなると電極20が溶解する速度が速くなりすぎて上昇後の電極間電圧Vが大きくばらつく。逆に小さくなると電極20が溶解する速度が遅く効果が得られにくい。
【0046】
また、交流電流の周波数を低減させる際の低減率は、下記の式によって定めるのが好適である。
周波数低減率=(点灯電力値/定格電力値) × 30
上式によると、点灯電力値が低いほど低減後の周波数は低くなり、電力Wが低くても電極20を溶解させる効果は失われない。
【0047】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【解決手段】一対の電極20を有する高圧放電ランプ10を点灯させる交流電流を供給する高圧放電ランプ10の点灯装置100を用いて、高圧放電ランプ10の電極間電圧Vが所定の電極間電圧下限値V