特許第5756238号(P5756238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756238
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】ポリプロピレン微孔発泡厚板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/12 20060101AFI20150709BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20150709BHJP
   B29K 23/00 20060101ALN20150709BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20150709BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20150709BHJP
【FI】
   C08J9/12CES
   B29C67/22
   B29K23:00
   B29K105:04
   B29L7:00
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-545072(P2014-545072)
(86)(22)【出願日】2012年11月13日
(65)【公表番号】特表2015-500904(P2015-500904A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】CN2012084503
(87)【国際公開番号】WO2014071641
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2013年12月2日
(31)【優先権主張番号】201210443118.2
(32)【優先日】2012年11月8日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513300978
【氏名又は名称】江蘇微賽新材料科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Microcell Technology Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】吉 崢▲るん▼
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−059449(JP,A)
【文献】 特開昭63−242610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00〜 9/42
B29C44/00
67/00〜67/08
67/20〜67/24
69/00〜69/02
73/00〜73/34
B29D 1/00〜 7/01
11/00〜29/10
33/00〜99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板発泡装置を採用してポリプロピレン母材に対して発泡を行う、ポリプロピレン微孔発泡厚板の製造方法であって、前記ポリプロピレン母材がコア構造を有し、
前記コア構造を有するポリプロピレン母材は、中間に一列または一列以上のホールを有するポリプロピレン押出板であることを特徴とする、ポリプロピレン微孔発泡厚板の製造方法。
【請求項2】
前記ポリプロピレン押出板の厚さが5〜50mmであることを特徴とする、請求項に記載のポリプロピレン微孔発泡厚板の製造方法。
【請求項3】
前記ホールの断面形状は、辺数が3〜8辺の多角形、円形または楕円形であり、前記ホールの高さが0.1〜10mmであり、幅が0.1〜50mmであり、ホール間の距離が0.1〜20mmであることを特徴とする、請求項に記載のポリプロピレン微孔発泡厚板の製造方法。
【請求項4】
前記コア構造を有するポリプロピレン母材に平板発泡装置を採用して発泡を行う方法は、専用の超臨界平板発泡装置を使用して発泡を行う方法であって、前記専用の超臨界平板発泡装置は、型締圧力を付与する油圧システムと、熱エネルギーを供給する温調システムと、超臨界流体を供給する高圧ガス輸送システムと、高速デコンプシステムと、ガス回収システムとを含むものであって、具体的な発泡プロセスは、
(1)熱エネルギーを供給する温調システムが、平板発泡金型を発泡温度まで昇温させるステップと、
(2)コア構造を有するポリプロピレン母材を平板発泡金型の内部に入れ、油圧システムが平板発泡金型の型締を駆動し、油圧システムを15〜20MPaまで加圧し、高圧ガス輸送システムは、ガス圧力が5〜25MPaになるように平板発泡金型の内部に高温高圧ガスを導入するステップと、
(3)高温高圧のガスがポリプロピレン母材の表面とコアから同時に拡散して重合体ベースに入りこむステップであって、拡散に必要となる飽和時間が30〜200分であるステップと、
(4)溶解均衡になった後,高速デコンプシステムは平板発泡金型内部のガスを高速で抜くとともに、ガス回収システムによりガスを回収し、金型が開き、ポリプロピレン母材が金型の内部から弾き出されるとともに、 発泡され、ポリプロピレン微孔発泡材料を得るステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリプロピレン微孔発泡厚板の製造方法。
【請求項5】
ステップ(1)の前記発泡温度がポリプロピレンの融点より低く、ステップ(2)の前記高温高圧ガスが二酸化炭素または窒素ガスまたは両者の任意の割合の混合物であることを特徴とする、請求項に記載のポリプロピレン微孔発泡厚板の製造方法。
【請求項6】
前記平板発泡金型はシール材を有し、前記シール材がベリリウム銅、アルミニウム、 グラファイトまたはポリテトラフルオロエチレンのいずれかの一種または複数の複合体であることを特徴とする、請求項に記載のポリプロピレン微孔発泡厚板の製造方法。
【請求項7】
混合機と、スクリュー押出機と、専用の平板押出ダイと、冷却キャリブレーションテーブルと、シャワー水タンクと、牽引機と、切断機とを備える、押出成形の生産ラインによって製造される、コア構造を有するポリプロピレン母材の製造方法であって、具体的なプロセスは、
(1)ポリプロピレン原料をスクリュー押出機のホッパに吸入し、70〜80℃で乾燥するステップと、
(2)乾燥した原料がスクリュー押出機によって可塑化されて混合され、スクリュー押出機のパラメーターは、スクリュー軸の温度が160〜250℃、ダイの温度が160〜180℃、溶融体の圧力が5〜15MPa、主機回転数が10〜50rpmに設定されるステップと、
(3)可塑化されたポリプロピレン溶融体が専用の平板押出ダイによって成形され、コアにホールを有する溶融状態のポリプロピレン押出板が形成されるステップと
(4)コアにホールを有する溶融状態のポリプロピレン押出板が牽引機の引張力で冷却キャリブレーションテーブルを通過し、初期の冷却と定型が行われるステップであって、牽引機の引取速度が10〜50cm/minであり、冷却キャリブレーションテーブルの温度が5〜20℃であるステップと、
(5)初期の定型されたポリプロピレン押出板が冷却キャリブレーションテーブルを出た後に、シャワー水タンクに入り、さらに冷却されるステップであって、シャワーの水温が10〜30℃であるステップと、
(6)シャワー済のポリプロピレン押出板が切断機によって所定の長さに切断され、それによって、ポリプロピレン母材を得るステップと、
を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のコア構造を有するポリプロピレン母材の製造方法。
【請求項8】
ステップ(3)の前記専用の平板押出ダイは、中心に一列または複数列のマンドレルバーを有する平板押出ダイであることを特徴とする、請求項に記載のコア構造を有するポリプロピレン母材の製造方法。
【請求項9】
前記マンドレルバーの断面形状は、辺数が3〜8辺の多角形、円形または楕円形であってよく、前記マンドレルバーの高さが0.1〜10mmであり、前記マンドレルバーの幅が0.1〜50mmであり、前記マンドレルバー間の距離が0.1〜200mmであることを特徴とする、請求項に記載のコア構造を有するポリプロピレン母材の製造方法。
【請求項10】
ステップ(1)の前記ポリプロピレン原料が汎用ポリプロピレンであり、溶融指数が 0.1〜5.0g/10minであることを特徴とする、請求項に記載のコア構造を有するポリプロピレン母材の製造方法。
【請求項11】
ステップ(1)の前記ポリプロピレン原料に助剤を添加し、混合機によって予め混合した後に、スクリュー押出機のホッパに吸入し、70〜80℃で乾燥するステップであって、前記助剤は、カラーマスターバッチと、無機充填材と、難燃剤と、静電防止剤とを含み、ポリプロピレン原料の100重量部に対して、カラーマスターバッチが0〜2重量部、無機充填材が0〜10重量部、難燃剤が0〜30重量部、静電防止剤が0〜15重量部であることを特徴とする、請求項に記載のコア構造を有するポリプロピレン母材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子発泡材料の製造の技術分野に関し、具体的にはポリプロピレン微孔発泡厚板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重合体微孔発泡材料は、特に発泡孔サイズが100μm未満であり、孔の密度が1.0×10個/cmより高い重合体多孔発泡材料を指す。高強度軽量や材料の節約等といった特徴があるため、微孔発泡材料は極めて幅広い利用範囲が期待できる。数多くの重合体微孔発泡材料の中では、ポリプロピレン(PP)微孔発泡材料が、優れた機械的特性、比較的高い熱変形温度、耐化学薬品性、表面保護機能を有し、且つ容易にリサイクル利用される。超臨界二酸化炭素または超臨界窒素で発泡することによって得られたポリプロピレン微孔発泡材料は清潔で無公害である。特に、比較的厚い肉厚のポリプロピレン微孔発泡板材の製品は、例えば、厚みが10mmより大きいものがサンドイッチ複合材料の理想的な芯材であり、保温車、冷蔵車の断熱板、車、バス及び鉄道輸送車両の天井、床等に使用可能であり、船舶、建築等の断熱保温に応用可能である。
【0003】
従来の連続押出発泡法では、ポリプロピレン微孔発泡厚板を製造することは困難である。原料樹脂、溶融でのガスの分散レベル、ダイ部の降圧速度率、発泡体コアの熱エネルギーの除去等の要素によって制限されるため、連続押出発泡は、比較的厚みが薄く、通常5mm未満の微孔発泡シート材に適した製造しか出来なかった。
【0004】
固相発泡形成法は、重合体微孔発泡材料の製造によく使用される方法である。固相発泡プロセスとは、発泡温度が重合体の流動温度より低く、重合体が依然として固相の条件下で高圧ガスを溶解し拡散させて重合体ベースに入り込ませ、その後、高速デコンプにより発泡孔が核を形成するとともに成長することを誘導する発泡プロセスを指す。一般的には、固相発泡プロセスでは、無定形重合体の発泡温度がそのガラス転移温度より高く、半結晶重合体の発泡温度がその融点より低い。
【0005】
固相発泡プロセスは、次の特徴がある。(1)固相発泡プロセスは、押出、注型などの溶融発泡プロセスと異なって、樹脂原料の発泡機能に対する要求が比較的低い。閉鎖孔構造の発泡材料を得るためには、発泡孔の成長において泡孔のクラック現象が発生しないように溶融発泡の材料として通常比較的高い溶融強度を備える必要がある。固相発泡プロセスでは、重合体自身が固相であるため、重合体自身の強度は、発泡孔成長過程において起こった重合体に対する引張強度を十分に満たし、発泡孔の閉鎖孔構造を維持することができる。したがって、通常の重合体で発泡することができるため、専門的な変性によって得られた高い溶融強度の発泡原料を使用する必要はない。(2)固相発泡プロセスは、ガスが自ら拡散して重合体ベースに入り込み、分子レベルの分散に達することで、発泡孔が均一の核を形成することに有利となり、それによって、発泡孔のサイズが小さく、発泡孔の密度が高い微孔発泡材料が容易に形成される。(3)高圧雰囲気下の重合体の内部温度の均一化及び容易に実現される高速デコンプは、何れも孔径が比較的小さく、孔の密度が比較的高く、発泡孔のサイズが均一である微孔発泡材料を得ることに有利である。
【0006】
固相発泡プロセスでは、高圧ガスが自ら拡散する働きで重合体ベースに透過して入り込み、拡散の均衡に達する飽和時間は発泡温度、ガス圧力、重合体の樹脂の種類及びその厚さによって決められる。数多くの複数重合体において、通常ガスの拡散率は比較的遅く、溶解の均衡まで達するために必要な飽和時間は比較的長くなる。特に製品の厚みが増加するにつれて飽和時間が非常に長くなる。したがって、固相発泡法は、通常、比較的肉厚の薄いシート材を製造することに適しているが、比較的肉厚の厚い微孔発泡板材の製造には非常に時間がかかり、効率が悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来の技術に存在する問題点に鑑みて、本発明の目的は、ポリプロピレン微孔発泡厚板の製造方法を提供することにあり、当該方法は、発泡孔のサイズが小さく、孔の密度が高く、肉厚が比較的厚い微孔発泡板材を製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の従来の技術に存在する問題を解決するために、本発明が採用する技術案は、平板発泡装置を採用してポリプロピレン母材に対して発泡を行う、ポリプロピレン微孔発泡厚板の製造方法であって、前記ポリプロピレン母材がコア構造を有することを特徴とする製造方法である。
【0009】
前記コア構造を有するポリプロピレン母材は、中間に一列または一列以上のホールを有するポリプロピレン押出板である。
【0010】
前記ポリプロピレン押出板の厚さが5〜50mmであり、好ましくは、ポリプロピレン押出板の厚さが10〜30mmである。
【0011】
前記ホールの断面形状は、辺数が3〜8辺の多角形、円形または楕円形であってよい。
【0012】
前記ホールの高さが0.1〜10mmであり、好ましくは、ホールの高さが0.5〜5mmである。
【0013】
前記ホールの幅が0.1〜50mmであり、好ましくは、ホールの幅が0.5〜5mmである。
【0014】
前記ホール間の距離が0.1〜20mmであり、好ましくは、隣接するホール間の距離が1〜3mmである。
【0015】
前記コア構造を有するポリプロピレン母材に平板発泡装置を採用して発泡を行う方法は、専用の超臨界平板発泡装置を使用して発泡をすることである。
【0016】
前記超臨界平板発泡装置は、型締圧力を付与する油圧システムと、熱エネルギーを供給する温調システムと、超臨界流体を供給する高圧ガス輸送システムと、平板発泡金型と、高速デコンプシステムおよびガス回収システムとを含むものである。
【0017】
具体的な発泡プロセスは、次のステップを含む。
【0018】
(1)熱エネルギーを供給する温調システムが、平板発泡金型を発泡温度まで昇温させる。
【0019】
(2)コア構造を有するポリプロピレン母材を平板発泡金型の内部に入れ、油圧システムが平板発泡金型の型締を駆動し、油圧システムを15〜20MPaに加圧し、高圧ガス輸送システムは、ガス圧力が5〜25MPaになるように平板発泡金型の内部に高温高圧ガスを導入し、好ましくは、10〜15MPaである。
【0020】
(3)高温高圧ガスがポリプロピレン母材の表面とコアから同時に拡散して重合体ベースに入り込むことであって、拡散に必要となる飽和時間が30〜200分であり、好ましくは、40〜100分である。
【0021】
(4)溶解が均衡になった後、高速デコンプシステムが平板発泡金型内部のガスを高速で抜くとともに、ガス回収システムによりガスを回収し、金型が開き、ポリプロピレン母材が金型の内部から弾き出されるとともに、発泡され、ポリプロピレン微孔発泡材料が得られる。
【0022】
前記発泡温度はポリプロピレンの融点より低く、好ましくは、発泡温度が130〜160℃である。
【0023】
前記高温高圧ガスは二酸化炭素または窒素または両者の任意の割合の混合物である。 前記平板発泡金型はシール材を有し、前記シール材がベリリウム銅、アルミニウム、グラファイトまたはポリテトラフルオロエチレンのいずれかの一種または複数の複合体である。
【0024】
押出成形の生産ラインによって製造される、前記コア構造を有するポリプロピレン母材の製造方法であって、完備している押出成形の生産ラインは、混合機と、スクリュー押出機と、専用の平板押出ダイと、冷却キャリブレーションテーブルと、シャワー水タンクと、牽引機と、切断機とを含むものである。具体的な製造プロセスは次の通りである。
【0025】
(1)ポリプロピレン原料をスクリュー押出機のホッパに吸入し、70〜80℃で乾燥する。
【0026】
(2)乾燥した原料がスクリュー押出機によって可塑化されて混合され、スクリュー押出機のパラメーターは、スクリュー軸の温度が160〜250℃、ダイの温度が160〜180℃、溶融圧力が5〜15MPa、主機回転数が10〜50rpmに設定される。
【0027】
(3)可塑化されたポリプロピレン溶融体が専用の平板押出ダイによって成形され、コアにホールを有する溶融状態のポリプロピレン押出板が形成される。
【0028】
(4)コアにホールを有する溶融状態のポリプロピレン押出板が牽引機の引張力で冷却キャリブレーションテーブルを通過して初期の冷却と定型が行われることであって、牽引機の引取速度が10〜50cm/minであり、冷却キャリブレーションテーブルの温度が5〜20℃である。
【0029】
(5)初期の定型したポリプロピレン押出板が冷却キャリブレーションテーブルを出た後、シャワー水タンクに入り、さらに冷却されることであって、シャワーの水温が10〜30℃である。
【0030】
(6)シャワー済のポリプロピレン押出板が切断機によって所定の長さに切断され、それによって、ポリプロピレン母材が得られる。
【0031】
前記ポリプロピレン原料は、汎用ポリプロピレンであり、具体的にはホモポリプロピレンまたはランダムポリプロピレンである。
【0032】
前記ポリプロピレン原料の溶融指数が0.1〜5.0g/10minであり、好ましくは、熔融指数が1.0〜3. 0g/10minである。
【0033】
ステップ(1)の前記ポリプロピレン原料に助剤を添加し、混合機によりあらかじめ混合された後、 スクリュー押出機のホッパに吸入され、70〜80℃で乾燥する。前記助剤は、カラーマスターバッチと、無機充填材と、難燃剤と、静電防止剤とを含み、ポリプロピレン原料の100重量部に対して、カラーマスターバッチが0〜2重量部、無機充填材が0〜10重量部、難燃剤が0〜30重量部、静電防止剤が0〜15重量部である。前記助剤を添加するか、添加する種類は、具体的に製品の必要性によって決められる。ここで、難燃剤と静電防止剤は、それぞれ、難燃機能と静電防止機能を実現する。防火要求の高い応用分野では、通常、ポリプロピレン発泡材料に難燃機能を有することが要求され、この場合、難燃剤を添加する。電子製品の包装の応用分野では、通常、ポリプロピレン発泡材料に静電防止性能を有することが要求され、この場合、静電防止剤を添加する。
【0034】
前記専用の平板押出ダイが中心に一列または複数列のマンドレルバーの平板押出ダイであり、前記マンドレルバーがポリプロピレン押出板の中間のホール構造を得るために用いられる。
【0035】
前記マンドレルバーの断面形状は、辺数が3〜8辺の多角形、円形または楕円形である。
【0036】
前記マンドレルバーの高さが0.1〜10mmであり、好ましくは、マンドレルバーの高さが0.5〜5mmである。
【0037】
前記マンドレルバーの幅が0.1〜50mmであり、好ましくは、マンドレルバーの幅が0.5〜5mmである。
【0038】
前記マンドレルバー間の距離が0.1〜20mmであり、好ましくは、隣接するマンドレルバー間の距離が1〜3mmである。
【0039】
従来技術と比較すると、本発明の優れた点は、発泡温度がポリプロピレンの融点より低く、ガスの溶解度が比較的大きいため、発泡孔の核の形成と成長プロセスが容易にコントロールされることで、発泡倍率が大きく、孔径のサイズが小さく、孔の密度の高いポリプロピレン微孔発泡材料が容易に得られる。 また、発泡母材のコアにホールを有するため、ポリプロピレン生地の内部の高温高圧ガスの拡散ルートが短縮され、飽和時間が著しく減少し、それによって、比較的厚い肉厚のポリプロピレン微孔発泡板材が容易に得られる。さらに、一台の発泡装置では、複数層の平板金型が搭載できるため、生産効率が比較的高い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】実施例4の微孔発泡サンプルの内部発泡孔態様の走査型電子顕微鏡の画像である。
図2】実施例5の微孔発泡サンプルの内部発泡孔態様の走査型電子顕微鏡の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
特性評価方法は、次の通りである。
【0042】
ISO 845標準試験に基づき、微孔発泡材料の見かけ密度を得ることで、最終の微孔発泡材料の発泡倍率が算出可能である。発泡倍率が(Rex)=ρpolymer/ρfoam であり、ここで、ρpolymerが発泡していない重合体の密度であり、ρfoamが微孔発泡材料の見かけ密度である。液体窒素によって微孔発泡材料が切断され、断面に金を吹き付け、走査型電子顕微鏡(SEM)を取り入れて発泡材料内部の発泡孔の構造を観察し、発泡孔の寸法を測定するとともに、発泡孔の密度を算出する。発泡孔の密度N(単位:個/cm)=(n/A)3/2×Rexについて、nが走査型電子顕微鏡の画像による発泡孔の数であり、Aが走査型電子顕微鏡の画像の実面積(単位:cm)である。
【0043】
ISO 1798、ISO 844及びISO 8067に基づき、それぞれ、微孔発泡材料の引張強度、圧縮強度及び引裂強度を測定する。
【0044】
<実施例1>
平板発泡装置を採用してポリプロピレン母材に対して発泡を行う、ポリプロピレン微孔発泡厚板の製造方法であって、前記ポリプロピレン母材はコア構造を有し、具体的には中間に一列または一列以上のホールを有するポリプロピレン押出板である。具体的な平板発泡プロセスは、次のステップを含む。
【0045】
(1)熱エネルギーを供給する温調システムが、平板発泡金型を発泡温度まで昇温させ、発泡温度は130℃である。
【0046】
(2)コア構造を有するポリプロピレン母材を平板発泡金型の内部に入れ、油圧システムが平板発泡金型の型締を駆動し、油圧システムを15MPaに加圧し、高圧ガス輸送システムが平板発泡金型の内部に5MPaの高温二酸化炭素ガスを導入する。
【0047】
(3)高温高圧のガスがポリプロピレン母材の表面とコアから同時に拡散して重合体ベースに入り込むことであって、拡散に必要となる飽和時間が200分である。
【0048】
(4)溶解均衡になった後、高速デコンプシステムが平板発泡金型内のガスを高速で抜くとともに、ガス回収システムによりガスを回収し、金型が開き、ポリプロピレン母材が金型の内部から弾き出されるとともに、発泡され、ポリプロピレン微孔発泡材料が得られる。
【0049】
<実施例2>
平板発泡装置を採用してポリプロピレン母材に対して発泡を行う、ポリプロピレン微孔発泡厚板の製造方法であって、前記ポリプロピレン母材はコア構造を有し、具体的には中間に一列または一列以上のホールを有するポリプロピレン押出板であり、前記ポリプロピレン押出板の厚さが5mmであり、断面形状が円形であり、ホールの高さが0.1mmであり、ホールの幅が50mmであり、ホール間の距離が0.1mmである。具体的な平板発泡プロセスは次のステップを含む。
【0050】
(1)熱エネルギーを供給する温調システムが、平板発泡金型を発泡温度まで昇温させ、発泡温度は160℃である。
【0051】
(2)コア構造を有するポリプロピレン母材を平板発泡金型の内部にいれ、油圧システムが平板発泡金型の型締を駆動し、油圧システムを20MPaまで加圧し、高圧ガス輸送システムが平板発泡金型の内部に25MPaの高温二酸化炭素ガスを導入する。
【0052】
(3)高温高圧のガスがポリプロピレン母材の表面とコアから同時に拡散して重合体ベースに入り込むことであって、拡散に必要となる飽和時間が30分である。
【0053】
(4)溶解均衡になった後、高速デコンプシステムが平板発泡金型の内部のガスを高速で抜くとともに、ガス回収システムによりガスを回収し、金型が開き、ポリプロピレン母材が金型の内部から弾き出されるとともに、 発泡され、ポリプロピレン微孔発泡材料が得られる。
【0054】
<実施例3>
平板発泡装置を採用してポリプロピレン母材に対して発泡を行う、ポリプロピレン微孔発泡厚板の製造方法であって、前記ポリプロピレン母材はコア構造を有し、具体的には中間に一列または一列以上のホールを有するポリプロピレン押出板であり、前記ポリプロピレン押出板の厚さが50mmであり、 断面形状が円形であり、ホールの高さが10mmであり、ホールの幅が0.1mmであり、ホール間の距離が20mmである。具体的な平板発泡プロセスは、次のステップを含む。
【0055】
(1)熱エネルギーを供給する温調システムが平板発泡金型を発泡温度まで昇温させ、発泡温度は150℃である。
【0056】
(2)コア構造を有するポリプロピレン母材を平板発泡金型の内部にいれ、油圧システムが平板発泡金型の型締を駆動し、油圧システムを20MPaまで加圧し、高圧ガス輸送システムが平板発泡金型の内部に15MPaの高温二酸化炭素ガスを導入する。
【0057】
(3)高温高圧のガスがポリプロピレン母材の表面とコアから同時に拡散して重合体ベースに入り込むことであって、拡散に必要となる飽和時間が100分である。
【0058】
(4)溶解均衡になった後、高速デコンプシステムが平板発泡金型の内部のガスを高速で抜くとともに、ガス回収システムによりガスを回収し、金型が開き、ポリプロピレン母材が金型の内部から弾き出されるとともに、発泡され、ポリプロピレン微孔発泡材料が得られる。
【0059】
<実施例4>
平板発泡装置を採用してポリプロピレン母材に対して発泡を行う、ポリプロピレン微孔発泡厚板的の製造方法であって、前記ポリプロピレン母材はコア構造を有し、具体的には中間に一列または一列以上のホールを有するポリプロピレン押出板であり、前記ポリプロピレン押出板の断面形状は円形であり、ホールの高さが0.5mmであり、ホールの幅が5mmであり、ホール間の距離が1mmである。具体的な平板発泡プロセスは次のステップを含む。
【0060】
(1)熱エネルギーを供給する温調システムが、平板発泡金型を発泡温度まで昇温させ、発泡温度は146℃である。
【0061】
(2)コア構造を有するポリプロピレン母材を平板発泡金型の内部に入れ、油圧システムが平板発泡金型の型締を駆動し、油圧システムを20MPaまで加圧し、高圧ガス輸送システムが平板発泡金型の内部に15MPaの高温二酸化炭素ガスを導入する。
【0062】
(3)高温高圧のガスがポリプロピレン母材の表面とコアから同時に拡散して重合体ベースに入り込むことであって、拡散に必要となる飽和時間が40分である。
【0063】
(4)溶解均衡になった後、高速デコンプシステムが平板発泡金型の内部のガスを高速で抜くとともに、ガス回収システムによりガスを回収し、金型が開き、ポリプロピレン母材が金型の内部から弾き出されると共に、発泡され、ポリプロピレン微孔発泡材料が得られる。
【0064】
<実施例5>
平板発泡装置を採用してポリプロピレン母材に対して発泡を行う、ポリプロピレン微孔発泡厚板の製造方法であって、前記ポリプロピレン母材がコア構造を有し、具体的には中間に一列または一列以上のホールを有するポリプロピレン押出板であり、前記ポリプロピレン押出板の断面形状は楕円形であり、ホールの高さが5mmであり、ホールの幅が0.5mmであり、ホール間の距離が3mmである。具体的な平板発泡プロセスは次ステップを含む。
【0065】
(1)熱エネルギーを供給する温調システムが平板発泡金型を発泡温度まで昇温させ、発泡温度は158℃である。
【0066】
(2)コア構造を有するポリプロピレン母材を平板発泡金型の内部に入れ、油圧システムが平板発泡金型の型締を駆動し、油圧システムを17MPaまで加圧し、高圧ガス輸送システムが平板発泡金型の内部に25MPaの高温二酸化炭素ガスを導入する。
【0067】
(3)高温高圧のガスがポリプロピレン母材の表面とコアから同時に拡散すると共に、重合体ベースに入り込むことであって、拡散に必要となる飽和時間が60分である。
【0068】
(4)溶解均衡になった後、高速デコンプシステムが平板発泡金型の内部のガスを高速で抜くとともに、ガス回収システムによりガスを回収し、金型が開き、ポリプロピレン母材が金型の内部から弾き出されるとともに、発泡され、ポリプロピレン微孔発泡材料が得られる。
【0069】
実施例4と5の発泡材料の検測結果は、表1の実施例4と5の発泡材料の検測結果を参照されたい。
【表1】
【0070】
<実施例6>
押出成形の生産ラインによって製造される、前記コア構造を有するポリプロピレン母材の製造方法であって、完備している押出し生産ラインは、混合機と、スクリュー押出機と、専用の平板押出ダイと、冷却キャリブレーションテーブルと、シャワー水タンクと、牽引機と、切断機とを含むものである。具体的な製造プロセスは次の通りである。
【0071】
(1)溶融指数が0.1g/10minであるホモポリプロピレンと必要な助剤が混合機によって予め混合され、スクリュー押出機のホッパに吸入され、70℃で乾燥される。ここで、ホモポリプロピレンと助剤の重量比は、ポリプロピレン原料の100重量部に対してカラーマスターバッチが2重量部、無機充填材が1重量部、静電防止剤が15重量部である。
【0072】
(2)乾燥した原料はスクリュー押出機によって可塑化されて混合され、スクリュー押出機のパラメーターは、スクリュー軸の温度が160℃、ダイの温度が180℃、溶融体圧力が5MPa、主機回転数が10rpmに設定される。
【0073】
(3)可塑化したポリプロピレン溶融が専用の平板押出ダイによって成形され、コアにホールを有する溶融状態のポリプロピレン押出板が形成する。ここで、専用の平板押出ダイは、中心に一列または複数列のマンドレルバーを有する平板押出ダイであり、マンドレルバーはポリプロピレン押出板の中間のホール構造を得るために用いられ、マンドレルバーの断面形状は四角形であり、ホールの高さが0.5mmであり、ホールの幅が5mmであり、ホール間の距離が1mmである。
【0074】
(4)コアにホールを有する溶融状態のポリプロピレン押出板は、牽引機の引張力で冷却キャリブレーションテーブルを通過して初期の冷却と定型が行われことであって、牽引機の引取速度は10cm/minであり、 冷却キャリブレーションテーブルの温度は5℃である。
【0075】
(5)初期の定型したポリプロピレン押出板が冷却キャリブレーションテーブルを出た後、入シャワー水タンクに入り、さらに冷却されことであって、シャワーの水温は10℃である。
【0076】
(6)シャワー済のポリプロピレン押出板が切断機によって所定の長さに切断され、それによって、ポリプロピレン母材が得られる。
【0077】
<実施例7>
押出成形の生産ラインによって製造される、前記コア構造を有するポリプロピレン母材の製造方法であって、完備している押出生産ラインは、混合機と、スクリュー押出機と、専用の平板押出ダイと、冷却キャリブレーションテーブルと、シャワー水タンクと、牽引機と切断機とを含むものである。具体的な製造プロセスは、次の通りである。
【0078】
(1)溶融指数が5g/10minであるランダムポリプロピレンと必要な助剤が混合機によって予め混合され、スクリュー押出機のホッパに吸入され、80℃で乾燥させる。ここで、ホモポリプロピレンと助剤の重量比は、ポリプロピレン原料の100重量部に対して無機充填材が10重量部、難燃剤が30重量部である。
【0079】
(2)乾燥した原料はスクリュー押出機によって可塑化されて混合され、スクリュー押出機のパラメーターは、スクリュー軸の温度が250℃、ダイの温度が160℃、溶融圧力が15MPa、主機回転数が30rpmに設定される。
【0080】
(3)可塑化されたポリプロピレン溶融が専用の平板押出ダイによって成形され、コアにホールを有する溶融状態のポリプロピレン押出板が形成される。ここで、専用の平板押出ダイは、中心に一列または複数列のマンドレルバーを有する平板押出ダイであり、マンドレルバーはポリプロピレン押出板の中間のホール構造を得るために用いられ、マンドレルバーの断面形状は円形であり、ホールの高さが5mmであり、ホールの幅が0.5mmであり、ホール間の距離が3mmである。
【0081】
(4)コアにホールを有する溶融状態のポリプロピレン押出板が牽引機の引張力下で冷却キャリブレーションテーブルを通過して初期の冷却と定型が行われることであって、牽引機の引取速度は50cm/minであり、冷却キャリブレーションテーブルの温度は20℃である。
【0082】
(5)初期の定型したポリプロピレン押出板が冷却定型キャリブレーションテーブルを出た後、シャワー水タンクに入り、さらに冷却されことであって、シャワー水温は30℃である。
【0083】
(6)シャワー済のポリプロピレン押出板が切断機によって所定の長さに切断され、それによって、ポリプロピレン母材が得られる。
【0084】
<実施例8>
押出成形生産ラインによって製造される、前記コア構造を有するポリプロピレン母材の製造方法であって、完備している押出生産ラインは、混合機と、スクリュー押出機と、専用の平板押出ダイと、冷却キャリブレーションテーブルと、シャワー水タンクと、牽引機と切断機とを含むものである。具体的な製造プロセスは、次の通りである。
【0085】
(1)溶融指数が5g/10minであるランダムポリプロピレンと必要な助剤が混合機によって予め混合され、スクリュー押出機のホッパに吸入され、80℃で乾燥させる。ここで、ホモポリプロピレンと助剤の重量比は、ポリプロピレン原料の100重量部に対して、無機充填材が10重量部、難燃剤が15重量部である。
【0086】
(2)乾燥した原料はスクリュー押出機によって可塑化されて混合され、スクリュー押出機のパラメーターは、スクリュー軸の温度が250℃、ダイの温度が160℃、溶融圧力が15MPa、主機回転数が30rpmに設定される。
【0087】
(3)可塑化されたポリプロピレン溶融が専用の平板押出ダイによって成形され、コアにホールを有する溶融状態のポリプロピレン押出板が形成される。ここで、専用の平板押出ダイは、中心に一列または複数列のマンドレルバーを有する平板押出ダイであり、マンドレルバーはポリプロピレン押出板の中間のホール構造を得るために用いられ、マンドレルバーの断面形状は円形であり、ホールの高さが5mmであり、ホールの幅が0.5mmであり、 ホール間の距離が3mmである。
【0088】
(4)コアにホールを有する溶融状態のポリプロピレン押出板が牽引機の引張力下で冷却キャリブレーションテーブルを通過して初期の冷却と定型が行われることであって、牽引機の引取速度は50cm/minであり、冷却キャリブレーションテーブルの温度は20℃である。
【0089】
(5)初期の定型したポリプロピレン押出板が冷却定型キャリブレーションテーブルを出た後、シャワー水タンクに入り、さらに冷却されることであって、シャワー水温は10℃である。
【0090】
(6)シャワー済のポリプロピレン押出板が切断機によって所定の長さに切断され、それによって、ポリプロピレン母材が得られる。
【0091】
<実施例9>
押出成形の生産ラインによって製造される、前記コア構造を有するポリプロピレン母材の製造方法であって、完備している押出生産ラインは、混合機と、スクリュー押出機と、専用の平板押出ダイと、冷却キャリブレーションテーブルと、シャワー水タンクと、牽引機と切断機とを含むものである。具体的な製造プロセスは、次の通りである。
【0092】
(1)溶融指数が3.0g/10minであるランダムポリプロピレンと必要な助剤が混合機によって予め混合され、スクリュー押出機のホッパに吸入され、80℃で2時間乾燥させる。ここで、ホモポリプロピレンと助剤の重量比は、ポリプロピレン原料の100重量部に対して、無機充填材が10重量部、静電防止剤が10重量部である。スクリーンチェンジャーの温度が175℃である
【0093】
(2)乾燥した原料がスクリュー押出機によって可塑化されて混合され、スクリュー押出機のパラメーターは、スクリュー押出機の1領域から7領域までのスクリュー軸の加工温度が、それぞれ、160℃、180℃、180℃、180℃、180℃、175℃、175℃、ダイの温度が160℃、溶融圧力が15MPa、主機回転数が50rpmに設定される。
【0094】
(3)可塑化されたポリプロピレン溶融体は専用の平板押出ダイによって成形され、コアにホールを有する溶融状態のポリプロピレン押出板が形成される。ここで、専用の平板押出ダイは、中心に一列または複数列のマンドレルバーを有する平板押出ダイであり、マンドレルバーはポリプロピレン押出板の中間のホール構造を得るために用いられ、マンドレルバーの断面形状は円形であり、ホールの高さが1mmであり、ホールの幅が10mmであり、ホール間の距離が5mmである。
【0095】
(4)コアにホールを有する溶融状態のポリプロピレン押出板が牽引機の引張力下で冷却キャリブレーションテーブルを通過して初期の冷却と定型が行われることであって、牽引機の引取速度は50cm/minであり、冷却キャリブレーションテーブルの温度が20℃であり、真空度が0.01MPaである。
【0096】
(5)初期定型したポリプロピレン押出板が冷却キャリブレーションテーブルを出た後、シャワー水タンクに入り、さらに冷却されることであって、シャワーの水温は10℃である。
【0097】
(6)シャワー済のポリプロピレン押出板が切断機によって所定の長さに切断され、それによって、ポリプロピレン母材が得られる。
【0098】
<実施例10>
押出成形の生産ラインによって製造される、前記コア構造を有するポリプロピレン母材の製造方法であって、完備している押出生産ラインは、混合機と、スクリュー押出機と、専用の平板押出ダイと、冷却キャリブレーションテーブルと、シャワー水タンクと、牽引機と、切断機とを含むものである。具体的な製造プロセスは、次の通りである。
【0099】
(1)溶融指数が3.0g/10minであるランダムポリプロピレンをスクリュー押出機のホッパに吸入し、80℃で2時間乾燥する。
【0100】
(2)乾燥した原料がスクリュー押出機によって可塑化されて混合され、スクリュー押出機のパラメーターは、スクリュー押出機の1領域から7領域までのスクリュー軸の加工温度が、それぞれ160℃、180℃、180℃、180℃、180℃、175℃、175℃、ダイの温度が160℃、溶融圧力が15MPa、主機回転数が50rpmに設定される。
【0101】
(3)可塑化されたポリプロピレン溶融体が専用の平板押出ダイによって成形され、コアにホールを有する溶融状態のポリプロピレン押出板が形成される。ここで、専用の平板押出ダイは、中心に一列または複数列のマンドレルバーを有する平板押出ダイであり、マンドレルバーはポリプロピレン押出板の中間のホール構造を得るために用いられ、マンドレルバーの断面形状は円形であり、ホールの高さが1mmであり、ホールの幅が10mmであり、 ホール間の距離が5mmである。
【0102】
(4) コアにホールを有する溶融状態のポリプロピレン押出板は牽引機の引張力下で冷却キャリブレーションテーブルを通過して初期の冷却と定型が行われることであって、牽引機の引取速度は50cm/minであり、冷却キャリブレーションテーブルの温度が20℃であり、真空度が0.01MPaである。
【0103】
(5)初期の定型したポリプロピレン押出板が冷却キャリブレーションテーブルを出た後、シャワー水タンクに入り、さらに冷却されることであって、シャワーの水温は10℃である。
【0104】
(6)シャワー済のポリプロピレン押出板が切断機によって所定の長さに切断され、それによって、ポリプロピレン母材が得られる。
図1
図2