特許第5756243号(P5756243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5756243
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】落下防止機構を備えた配管支持金物
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/08 20060101AFI20150709BHJP
   F16L 3/24 20060101ALI20150709BHJP
   F16B 41/00 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   F16L3/08 C
   F16L3/24 Z
   F16B41/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-34632(P2015-34632)
(22)【出願日】2015年2月25日
【審査請求日】2015年2月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505389695
【氏名又は名称】首都高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000136686
【氏名又は名称】株式会社ブレスト工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(72)【発明者】
【氏名】及川 宗敏
(72)【発明者】
【氏名】篠澤 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】八ッ代 雄太
(72)【発明者】
【氏名】山田 有季乃
(72)【発明者】
【氏名】松川 晃治
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭35−2552(JP,Y1)
【文献】 実公昭41−3718(JP,Y1)
【文献】 特開2005−321065(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3021155(JP,U)
【文献】 特開2013−2530(JP,A)
【文献】 特許第4027138(JP,B2)
【文献】 特許第3875516(JP,B2)
【文献】 特許第5312509(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/00− 3/26
F16B23/00−41/00
E01F 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の被固定物に装着する側面略コ字状を成した把持部と、該把持部から被固定物に圧着して固定する固定ボルトとを備えた支持金具に、配管を把持する管クリップを連結するように構成した配管支持金物であって、前記管クリップは、配管の両側面から把持するように湾曲した一対のクリップ体と、該管クリップ体の一端部相互を連結する連結具とを備え、クリップ体は、各クリップ体の一端部に屈曲形成された連結片と、他端部を外側に屈曲して形成され支持金具の連結孔に係止する係止部とを備え、連結具は、各クリップ体の連結片を貫通する連結ボルトと、該連結ボルトにネジ止めする連結ナットと、連結ボルトの軸芯部を貫通した貫通孔に挿入係止する落下防止用ワイヤーとを備え、管体を把持している管クリップと被固定物に装着している支持金具とを落下防止用ワイヤーで繋ぐように構成したことを特徴とする落下防止機構を備えた配管支持金物。
【請求項2】
前記落下防止用ワイヤーは、予め、前記連結ボルトと前記連結ナットとの間に前記クリップ体の前記連結片を配した状態で一つに繋ぐように挿通すると共に、該落下防止用ワイヤーの両端部に係止ループが形成された請求項1記載の落下防止機構を備えた配管支持金物。
【請求項3】
前記落下防止用ワイヤーの前記係止ループの一方を前記連結ボルト側に係止すると共に、前記係止ループの他方を前記支持金具の前記固定ボルトのネジ部に係止するように構成した請求項2記載の落下防止機構を備えた配管支持金物。
【請求項4】
前記支持金具は、高架道路等の橋桁を構成する形鋼のフランジに装着するように構成した請求項1記載の落下防止機構を備えた配管支持金物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高架道路等の橋桁下面に設置された配管支持金物の落下を防止することが可能な落下防止機構を備えた配管支持金物に関する。
【背景技術】
【0002】
高架道路などで電源ケーブル等を配線する際に橋桁下面に配管を設置する工事がある。例えば、高速道路に設置される料金所等の施設に必要な電源ケーブルを配線する場合、橋桁を構成する形鋼のフランジに支持金具を固定し、この支持金具に電線管を管クリップ等で連結する配線工事が行われている。
【0003】
一方、高架道路等の高欄の外側面を覆う外装パネルの落下を防止する落下防止構造が特許文献1に記載されている。この落下防止構造は、道路両側の高欄の外側面に固定された柱の外面上下に、複数の外装パネルがボルトで締結固定してあることを前提とするものであり、各外装パネルにワイヤー連結具を固定し、このワイヤー連結具で各外装パネルを数珠繋ぎ状に一体化することにより、外装パネルの落下を防止するというものである。
【0004】
また、高所作業においてボルトまたはナットの落下を防止するための落下防止具が特許文献2に記載されている。この落下防止具は、ボルトをネジ止めした状態のナットを保持する保持具と、この保持具を収納保持する略円筒形状のキャップ具とを備えたもので、この保持具をキャップ具に収納した状態で、これら保持具とキャップ具とを紐状の連結具で連結したものである。このような構成により、鉄塔等の構造物の組立作業や補修作業或いは電柱の装柱の着脱作業などのように、比較的高所で作業する場合でも、ボルトやナット等の資材の落下を防止するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3875516号公報
【特許文献2】特許第5312509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高架道路の橋桁に配管を支持する工事では、橋桁を構成する形鋼のフランジに側面略コ字状を成した支持金具を固定し、この支持金具に電線管を管クリップ等で連結する工事が効率的であるが、この管クリップを連結している連結ボルトが緩むと、管クリップや連結ボルト等が支持金具から外れて落下する虞があった。
【0007】
すなわち、管クリップは、配管を両側面から把持するように湾曲した一対のクリップ体の一端部に設けた係止部を支持金具に連結し、他端部を連結ボルトにて連結する構造である。このとき、支持金具に連結する係止部は、支持金具の下面及び側面に開穿された連結孔に挿入して係止する構成になっているので、クリップ体の他端部を連結している連結ボルトが緩むと、支持金具の連結孔から係止部が外れて一対のクリップ体が連結ボルト等と共に落下する構成になっていた。
【0008】
高架道路の下には、駐車場や駐輪場、スポーツ施設など、土地を有効利用する施設が設けられていることも多く、これらクリップ体や連結ボルト等の落下によって不測の事態が生じる危険があった。
【0009】
一方、特許文献1に記載されている落下防止構造は、高架道路等の高欄の外側面を覆う外装パネルの落下を防止する構造であり、高架道路の橋桁等に配管を支持しているクリップ体や連結ボルト等の落下を防止することはできない。
【0010】
また、特許文献2に記載されている落下防止具は、高所作業における特殊なボルトまたはナットの落下を防止することは可能でも、高架道路の橋桁に配管を支持する際に使用することは不可能である。
【0011】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、高架道路等で橋桁下面に設置される配管支持金物の連結ボルトが緩んだとしても配管支持金物の落下を防止することができる落下防止機構を備えた配管支持金物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するため、本発明の第1の手段は、板状の被固定物に装着する側面略コ字状を成した把持部11と、該把持部11から被固定物に圧着して固定する固定ボルト12とを備えた支持金具10に、配管Qを把持する管クリップ20を連結するように構成した配管支持金物であって、前記管クリップ20は、配管Qの両側面から把持するように湾曲した一対のクリップ体21と、該管クリップ体21の一端部相互を連結する連結具22とを備え、該クリップ体21は、各クリップ体21の一端部に屈曲形成された連結片21Aと、他端部を外側に屈曲して形成され支持金具10の連結孔11Aに係止する係止部21Bとを備え、連結具22は、各クリップ体21の連結片21Aを貫通する連結ボルト23と、該連結ボルト23にネジ止めする連結ナット24と、連結ボルト23の軸芯部を貫通した貫通孔23Aに挿入係止する落下防止用ワイヤー25とを備え、管体Qを把持している管クリップ20と被固定物に装着している支持金具10とを落下防止用ワイヤー25で繋ぐように構成したことにある。
【0013】
第2の手段の前記落下防止用ワイヤー25は、予め、前記連結ボルト23と前記連結ナット24との間に前記クリップ体21の前記連結片21Aを配した状態で一つに繋ぐように挿通すると共に、該落下防止用ワイヤー25の両端部に係止ループ25Aが形成されたものである。
【0014】
第3の手段は、前記落下防止用ワイヤー25の前記係止ループ25Aの一方を前記連結ボルト23側に係止すると共に、前記係止ループ25Aの他方を前記支持金具10の前記固定ボルト12のネジ部に係止するように構成したものである。
【0015】
第4の手段において、前記支持金具10は、高架道路等の橋桁を構成する形鋼PのフランジP1に装着するように構成したものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1のように、管体Qを把持している管クリップ20と被固定物に装着している支持金具10とを落下防止用ワイヤー25で繋ぐように構成したことにより、管クリップを連結している連結ボルトが緩んだとしても、落下防止用ワイヤー25が管クリップ20を繋ぎ止めるので、支持金具10から管クリップ20が外れて落下する虞は解消した。この結果、高架道路等で橋桁下面に設置される配管支持金物の連結ボルトが緩んだとしても配管支持金物の落下を防止することができる。
【0017】
請求項2のごとく、落下防止用ワイヤー25は、予め、連結ボルト23と連結ナット24との間にクリップ体21の連結片21Aを配した状態で一つに繋ぐように挿通すると共に、該落下防止用ワイヤー25の両端部に係止ループ25Aが形成されたことで、管クリップ20の各部材の落下を確実に防止しながら作業ができるので、高所での連結作業を安全、且つ合理的に行うことができる。しかも、管クリップ20の各部材が常にセット状態になっているので、運搬時や収納時においても合理的である。
【0018】
請求項3のように、落下防止用ワイヤー25の係止ループ25Aの一方を連結ボルト23側に係止すると共に、係止ループ25Aの他方を支持金具10の固定ボルト12に係止するように構成したことで、作業者は、落下防止用ワイヤー25の係止ループ25Aを支持金具10の固定ボルト12に係止するだけの簡単な作業で配管支持金物の落下を防止することができる。したがって、高架道路等で橋桁下面に設置される多数の配管支持金物の落下防止に極めて有効である。
【0019】
請求項4のごとく、支持金具10は、高速道路の橋桁を構成する形鋼PのフランジP1に装着するように構成しているので、高速道路の下に設けられている駐車場や駐輪場、スポーツ施設などの施設を安全に使用することが可能になる。
【0020】
このように、本発明によると、高架道路等で橋桁下面に設置される配管支持金物の連結ボルトが緩んだとしても配管支持金物の落下を防止することができるなどといった当初の目的を達成したものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例を示す分解斜視図である。
図2】本発明の使用状態を示す正面図である。
図3】本発明の使用状態を示す側面図である。
図4】本発明の連結具の一実施例を示す要部側断面図である。
図5】本発明の使用例を示す側面図である。
図6】本発明の使用例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、本発明配管支持金物の主要構成は、支持金具10と管クリップ20とで構成されている(図1参照)。
【0023】
支持金具10は、例えば、高架道路の橋桁を構成する形鋼PのフランジP1など、板状の被固定物に装着する固定部材で、側面略コ字状を成した把持部11に固定ボルト12を備えたものである。そして、把持部11から被固定物に固定ボルト12を圧着することで被固定物に固定する(図2参照)。
【0024】
管クリップ20は、支持金具10に連結される部材であり、この管クリップ20で配管Qを把持する(図2参照)。すなわち、管クリップ20は、配管Qの両側面から把持するように湾曲した一対のクリップ体21と、該管クリップ体21の一端部相互を連結する連結具22とを備えている。
【0025】
各クリップ体21は、一端部に屈曲形成された連結片21Aと、他端部を外側に屈曲して形成された係止部21Bとを備えている。この係止部21Bは、前述した支持金具10の連結孔11Aに係止する部位で、この連結孔11Aは、支持金具10の把持部11に予め複数箇所開穿されており、使用状況に応じて連結孔11Aを選択使用するものである。
【0026】
一方、連結具22は、連結ボルト23、連結ナット24、落下防止用ワイヤー25にて構成されている(図1参照)。
【0027】
連結ボルト23は、各クリップ体21の連結片21Aを貫通するボルト状部材で、軸芯部を貫通する貫通孔23Aが開穿されている(図1参照)。連結ナット24は、この連結ボルト23にネジ止めする部材で、ダブルナットを使用している。図示例では、固定ナット24Aと、緩止ナット24Bとの当接面が互いに嵌合する構造を成しており、振動等を受けても緩み難い構造を成している。そして、連結片21Aの挿通孔21Aaを挿通した連結ボルト23にネジ止めする(図4参照)。
【0028】
落下防止用ワイヤー25は、連結ボルト23の貫通孔23Aに挿入する紐状部材である(図1参照)。図示の落下防止用ワイヤー25は、両端部に係止ループ25Aを備えている。しかも、連結ボルト23と連結ナット24との間にクリップ体21の連結片21Aを配した状態で一つに繋ぐように予め挿通してある。したがって、この落下防止用ワイヤー25によって、管クリップ20の各部材を予め一つに繋いだ状態に構成している。
【0029】
図2図3は、本発明の使用状態を示している。すなわち、落下防止用ワイヤー25の係止ループ25Aの一方を連結ボルト23側に係止する(図2参照)。更に、係止ループ25Aの他方を支持金具10の固定ボルト12に係止したものである(図3参照)。このように、落下防止用ワイヤー25を固定ボルト12に連結することで、連結ボルト23が緩んで連結孔11Aから係止部21Bが外れても、クリップ体21や連結具22の落下を確実に防止することができる。
【0030】
本発明の使用方法は、まず、落下防止用ワイヤー25端部に設けられている係止ループ25Aの一方を固定ボルト12に係止する。この係止ループ25Aの径は、固定ボルト12の六角頭の外径より小さいので、固定ボルト12に係止した後は、この固定ボルト12を外さない限り抜けない構成になっている。この落下防止用ワイヤー25には、予め連結具22が連結されているので、作業中に連結ボルト23や連結ナット24等の落下を防止することができる。次に、配管Qの両側面から一対のクリップ体21で把持した状態で支持金具10の連結孔11Aに、係止部21Bを係止させた後、連結ボルト23を締め付けて配管Qを固定するものである。
【0031】
尚、本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0032】
P 形鋼
P1 フランジ
Q 配管
10 支持金具
11 把持部
11A 連結孔
12 固定ボルト
20 管クリップ
21 クリップ体
21A 連結片
21Aa 挿通孔
21B 係止部
22 連結具
23 連結ボルト
23A 貫通孔
24 連結ナット
24A 固定ナット
24B 緩止ナット
25 落下防止用ワイヤー
25A 係止ループ
【要約】
【課題】配管支持金物の連結ボルトが緩んでも配管支持金物の落下を防止する落下防止機構を備えた配管支持金物を提供する。
【解決手段】形鋼PのフランジP1に装着する支持金具10を設ける。配管Qを把持した管クリップ20を支持金具10に連結する。一対のクリップ体21と一端部相互を連結する連結具22とで管クリップ20を設ける。クリップ体21に、連結片21Aと係止部21Bとを設ける。連結片21Aを貫通する連結ボルト23を連結具22に備える。連結ナット24と落下防止用ワイヤー25とを連結具22に備える。管クリップ20と支持金具10とを落下防止用ワイヤー25で繋ぐように構成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6