特許第5756287号(P5756287)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5756287トレッド溝の耐溝底クラック性能の評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756287
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】トレッド溝の耐溝底クラック性能の評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/02 20060101AFI20150709BHJP
【FI】
   G01M17/02 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-293371(P2010-293371)
(22)【出願日】2010年12月28日
(65)【公開番号】特開2012-141195(P2012-141195A)
(43)【公開日】2012年7月26日
【審査請求日】2013年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】保地 和郎
【審査官】 谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】 umner, A.J.M. et al,Crack growth performance of tire compounds,Rubber World,1995年11月 1日,Vol.213,No.2,38-45
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/02
G01N 3/00−3/62
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのトレッドゴムに設けられたトレッド溝の耐溝底クラック性能を評価するための方法であって、
前記トレッド溝を形成した試験片を作成する試験片作成工程と、
該試験片を用いて耐溝底クラック性能テストを行うテスト工程とを含み、
前記試験片作成工程は、前記トレッドゴムと同一のゴム組成物からなる板状のゴム基材と、該ゴム基材の一方の面に添着されかつ前記ゴム基材よりも熱収縮率が小さい材料からなる裏当て材とを加硫により接着するとともに、
前記ゴム基材の他方の面に、前記加硫により又は加硫に先立って前記トレッド溝を形成する工程を含み、
前記テスト工程は、前記加硫の後、前記試験片を少なくとも常温まで冷却することにより、前記熱収縮率の相違に基づいた引張応力が前記ゴム基材に負荷された状態で行われることを特徴とするトレッド溝の耐溝底クラック性能の評価方法。
【請求項2】
タイヤのトレッドゴムに設けられたトレッド溝の耐溝底クラック性能を評価するための方法であって、
前記トレッド溝を形成した試験片を作成する試験片作成工程と、
該試験片を用いて耐溝底クラック性能テストを行うテスト工程とを含み、
前記試験片作成工程は、前記トレッドゴムと同一のゴム組成物からなる板状のゴム基材と、該ゴム基材の一方の面に添着されかつ前記ゴム基材よりも熱収縮率が小さい材料からなる裏当て材とを加硫により接着するとともに、
前記ゴム基材の他方の面に、前記加硫により又は加硫に先立って前記トレッド溝を形成する工程を含み、
前記裏当て材は、厚さが0.1〜1.0mmの金属板からなることを特徴とするトレッド溝の耐溝底クラック性能の評価方法。
【請求項3】
前記裏当て材は、前記トレッド溝の長手方向と交わる向きに配列された複数本の金属コードをゴム被覆した金属コードプライである請求項1記載のトレッド溝の耐溝底クラック性能の評価方法。
【請求項4】
前記試験片は、前記トレッド溝の溝底に、小深さの切り込みが設けられ、
前記テスト工程では、この切り込みの開き量が測定される請求項1乃至3のいずれかに記載のトレッド溝の耐溝底クラック性能の評価方法。
【請求項5】
前記切り込みは、両端が閉じられたクローズ切り込みとして形成される請求項4記載のトレッド溝の耐溝底クラック性能の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造が簡単な試験片を用いて、実際にタイヤを製造することなくトレッド溝の耐溝底クラック性能を評価できる評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのトレッド部には、排水用のトレッド溝が設けられている。しかし、このトレッド溝の溝底は、空気圧や接地時の応力の他、紫外線等の様々な影響を受けてクラックが発生し易い。従来、このようなトレッド溝の耐溝底クラック性能を評価する方法として、例えば、図4に示されるように、タイヤtの溝底cに切り込みkを設けて、この切り込みkの開き量を測定して耐溝底クラック性能を評価する方法が知られている。この方法では、耐溝底クラック性能のテストが、トレッド部taに設けられたトレッド溝gに生じる歪の大きさにより、前記切り込みkの開き量が変化するという性質を利用して行われる。
【0003】
しかしながら、この方法では、実際にタイヤtを製造する必要があるため、評価に多くのコストと時間を要するという問題があった。また、トレッド溝gに生じる歪は、トレッドゴムのゴム組成物に依存するだけでなく、タイヤの構造やサイズ等にも依存するため、耐溝底クラック性能を正しく評価できないという問題があった。関連する技術として次のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−260123号公報
【特許文献2】実開2001−21470号公報
【特許文献6】特開2004−317316号公報
【特許文献7】特開平07−232511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、構造が簡単な試験片を用いて、実際にタイヤを製造することなく容易にタイヤに生じる歪を再現して、トレッド溝の耐溝底クラック性能が正確に評価できる評価方法を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1記載の発明は、タイヤのトレッドゴムに設けられたトレッド溝の耐溝底クラック性能を評価するための方法であって、前記トレッド溝を形成した試験片を作成する試験片作成工程と、該試験片を用いて耐溝底クラック性能テストを行うテスト工程とを含み、前記試験片作成工程は、前記トレッドゴムと同一のゴム組成物からなる板状のゴム基材と、該ゴム基材の一方の面に添着されかつ前記ゴム基材よりも熱収縮率が小さい材料からなる裏当て材とを加硫により接着するとともに、前記ゴム基材の他方の面に、前記加硫により又は加硫に先立って前記トレッド溝を形成する工程を含み、前記テスト工程は、前記加硫の後、前記試験片を少なくとも常温まで冷却することにより、前記熱収縮率の相違に基づいた引張応力が前記ゴム基材に負荷された状態で行われることを特徴とする。
【0007】
また請求項2記載の発明は、タイヤのトレッドゴムに設けられたトレッド溝の耐溝底クラック性能を評価するための方法であって、前記トレッド溝を形成した試験片を作成する試験片作成工程と、 該試験片を用いて耐溝底クラック性能テストを行うテスト工程とを含み、前記試験片作成工程は、前記トレッドゴムと同一のゴム組成物からなる板状のゴム基材と、該ゴム基材の一方の面に添着されかつ前記ゴム基材よりも熱収縮率が小さい材料からなる裏当て材とを加硫により接着するとともに、前記ゴム基材の他方の面に、前記加硫により又は加硫に先立って前記トレッド溝を形成する工程を含み、前記裏当て材は、厚さが0.1〜1.0mmの金属板からなることを特徴とする
【0008】
また請求項3記載の発明は、前記裏当て材は、前記トレッド溝の長手方向と交わる向きに配列された複数本の金属コードをゴム被覆した金属コードプライである請求項1記載のトレッド溝の耐溝底クラック性能の評価方法である。
【0009】
また請求項4記載の発明は、前記試験片は、前記トレッド溝の溝底に、小深さの切り込みが設けられ、前記テスト工程では、この切り込みの開き量が測定される請求項1乃至3のいずれかに記載のトレッド溝の耐溝底クラック性能の評価方法である。
【0010】
また請求項5記載の発明は、前記切り込みは、両端が閉じられたクローズ切り込みとして形成される請求項記載のトレッド溝の耐溝底クラック性能の評価方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のトレッド溝の耐溝底クラック性能の評価方法は、タイヤのトレッドゴムに設けられたトレッド溝を形成した試験片を作成する試験片作成工程と、該試験片を用いて耐溝底クラック性能テストを行うテスト工程とを含む。このようなトレッド溝の耐溝底クラック性能の評価方法は、試験片を用いて耐溝底クラック性能テストが行われるため、実際にタイヤを製造する必要がない。従って、本発明の評価方法では、コストやテスト時間を抑制した耐溝底クラック性能テストを行うことができる。
【0012】
また、前記試験片作成工程は、前記トレッドゴムと同一のゴム組成物からなる板状のゴム基材と、該ゴム基材の一方の面に添着されかつ前記ゴム基材よりも熱収縮率が小さい材料からなる裏当て材とを加硫により接着するとともに、前記ゴム基材の他方の面に、前記加硫により又は加硫に先立って前記トレッド溝を形成する工程を含む。このような試験片は、ゴム基材と裏当て材との前記熱収縮率の違いによって、ゴム基材に応力を付加することができるため、実際のタイヤの基本構造(ベルトプライとトレッドゴムとを含む)に近似した歪を再現することができる。また、タイヤのサイズや内部構造(例えば、ベルトコードの配設本数や配設角度)等に依存した歪のバラツキを無くし、全てのゴム組成物を同一の条件で評価することができる。従って、本発明の評価方法では、正確なトレッド溝の耐溝底クラック性能を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の試験片の斜視図である。
図2】(a)は、図1の平面図、(b)は、図1の側面図である。
図3】(a)は、本発明の一実施形態のトレッド溝及び切り込みの断面図、(b)は、他の実施形態のトレッド溝及び切り込みの断面図である。
図4】従来の耐溝底クラック性能のテスト方法を示すタイヤの斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のトレッド溝の耐溝底クラック性能の評価方法の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本発明のトレッド溝の耐溝底クラック性能の評価方法(以下、単に「評価方法」という場合がある。)は、図4に示されるように、タイヤtのトレッド部taに設けられたトレッド溝gの耐溝底クラック性能を評価するものであるが、本発明では、実際にタイヤを製造しなくても、容易かつ正確にトレッド溝の耐溝底クラック性能を評価できる点に特徴を有する。
【0015】
本実施形態の評価方法により評価されるタイヤtは、例えば、重荷重用タイヤ、乗用車用タイヤ又は自動二輪車用タイヤなど種々のカテゴリーの空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という場合がある。)が含まれ、実存するか否かを問わない。
【0016】
本実施形態の評価方法では、図1に示されるように、試験対象となるタイヤ(図示せず)のトレッドゴムに設けられたトレッド溝4を形成した試験片3を作成する試験片作成工程と、該試験片3を用いて耐溝底クラック性能テストを行うテスト工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
前記試験片3は、試験対象となるタイヤ(図示せず)のトレッドゴムと同一のゴム組成物からなる板状のゴム基材5と、該ゴム基材5の一方の面5aに添着された、例えば、板状の裏当て材6とからなり、これらゴム基材5と裏当て材6とが接着されている。このようなゴム基材5としては、その大きさが特に限定されるものではないが、耐溝底クラック性能テストを円滑かつ精度良く行うために、図2に示されるように、例えば、ゴム基材5の幅Waは15〜40mm、長さLaは60〜200mm、厚さTaは4〜12mmが望ましい。
【0018】
また、本実施形態のゴム基材5は、該ゴム基材5の前記一方の面5aと反対側の他方の面5b(図1では上面)の長手方向の中央部には、例えば、前記ゴム基材5の幅方向にのびる断面半円状のトレッド溝4が形成される。このようなトレッド溝4は、試験対象となるタイヤに設けられる溝(図示せず)の形状として再現されるのが好ましい。通常、これらのトレッド溝4の溝幅W1は、乗用車用タイヤの場合、3〜10mm、溝深さD1が2〜10mmに形成されるのが望ましい。
【0019】
なお、トレッド溝4は、このような形状に限定されるものではなく、例えば、図3(b)に示されるように、溝底が平らな水平底として形成されても良い。
【0020】
前記裏当て材6は、前記ゴム基材5よりも熱収縮率が小さい材料からなる。本実施形態の裏当て材6は、トレッド溝4の長手方向と交わる向きに配列された複数本(本実施形態では7本)の金属コード7aをゴム被覆したシート状の金属コードプライ7からなる。このように、ゴムと金属コードからなる金属コードプライ7は、金属コード7aがゴムよりも熱収縮率が小さいため、複合体全体としての熱収縮率が、ゴム基材5のそれよりも小さくなる。
【0021】
本実施形態の裏当て材6は、その大きさについて特に限定されるものではないが、ゴム基材5を安定して固定する観点より、ゴム基材5よりも幅Wb及び長さLbがともに大きく形成されるのが望ましい。一例として、裏当て材6の幅Wbは、ゴム基材5の幅Waの105〜120%、長さLbはゴム基材5の長さLaの110〜130%が望ましい。
【0022】
このような試験片3は、ともに未加硫のゴム基材5と裏当て材6とを、加硫することにより一体に固着される工程を経て形成される。
【0023】
また、この加硫時において、トレッド溝4は、例えば、図示しない凸状部を有したトレッド溝形成型をゴム基材5の他方の面5bに押圧する工程を経ることにより形成される。但し、トレッド溝4は、加硫に先立って、ゴム基材5に形成されても良い。
【0024】
以上のような試験片作成工程により形成された試験片3は、ゴム基材5が、試験対象となるタイヤのトレッドゴムと同一のゴム組成物で形成されるため、このタイヤのゴム組成物によって生じる歪と近似した歪が生じる。また、試験片3の構造は、前記タイヤのトレッド部の基本構造と近似しているため、本実施形態の試験片3のトレッド溝4に生じる歪は、前記タイヤのトレッド部の基本構造に近似した歪を含む。さらに、裏当て材6の構造や試験片3の大きさを各試験片3で統一することにより、これらに依存する歪を一定にできる。
【0025】
前記テスト工程は、本実施形態では、試験片3のトレッド溝4の溝底に、該トレッド溝4の長手方向に沿って小深さの切り込み8が設けられ、所定の時間経過後、この切り込み8の開き量が測定される。そして、例えば、この開き量と耐溝底クラック性能との相関関係が示された表などから耐溝底クラック性能が評価される。
【0026】
このようなテスト工程は、前記試験片作成工程の加硫の後、試験片3を少なくとも常温まで冷却することにより、ゴム基材5と裏当て材6との熱収縮率の相違に基づいた引張応力がゴム基材5に負荷された状態で行われる。即ち、裏当て材6は、ゴム基材5に比べて冷却時の熱収縮率が小さく、両者の界面に収縮量の差が生じるため、ゴム基材5は裏当て材6により引張られた状態になり、ゴム基材5の表面に応力(歪)が生じる。従って、少なくとも常温まで冷却された試験片3は、実際のタイヤの基本構造に近似した歪を、トレッド溝4に生じさせることができる。このため、常温まで冷却された試験片を用いたテスト工程は、さらに精度良くトレッド溝の耐溝底クラック性能を評価できる。
【0027】
本実施形態の切り込み8は、耐溝底クラック性能の評価を正確に行う観点より、切り込み8の開き量を精度よく測定できるように、両端が閉じられたクローズ切り込みとして形成されるのが望ましく、また、歪が均等に作用するトレッド溝4の長手方向の中央部に配されるのが望ましい。
【0028】
また、このような切り込み8の大きさは、特に限定されるものではないが、ゴム基材5の大きさや測定精度等を考慮して、深さD2は、1.5〜3mm、長さLcは、ゴム基材5の幅Waの25〜35%程度が望ましい。このような切り込み8は、例えば刃の厚さが0.5mmのナイフ等の切断具によって形成される。
【0029】
また、切り込み8の配設場所は、引張応力による歪が大きく作用する場所が望ましい。このような観点から、例えば、図3(a)に示されるように、トレッド溝4の溝底が半円弧状で形成される場合は、溝底の中央部に形成されるのが望ましく、また、例えば、図3(b)に示されるように、トレッド溝4の溝底が水平かつ、該溝底と溝壁とが円弧状に接続されている溝の場合は、溝底の一端側の円弧状部に形成されるのが望ましい。なお、切り込み8は、円弧に対して法線方向にのびる。
【0030】
以上本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施することができる。例えば、上記実施形態では、裏当て材6が、金属コードプライ7である態様を示したが、さらに試験片3を容易に作成するために、裏当て材6が、0.1〜1.0mmの厚さを有する金属板(図示せず)である
【実施例】
【0031】
本発明の効果を確認するために、本発明の評価方法による耐溝底クラック性能テスト(以下、単に「本願テスト」という場合がある。)とオゾン照射による耐クラック性能テスト(以下、単に「オゾンテスト」という場合がある。)を行った。両テストでは、表1に示すパラメータ以外は共通な本発明の試験片が使用された。主な試験片の共通仕様と、そのゴム組成物は以下の通りである。
【0032】
<ゴム基材>
幅×厚さ×長さ:25×6.3×150(mm)
<トレッド溝(円弧状溝)>
溝幅×深さ:4.8×2.4(mm)
<裏当て材(金属コードプライ)>
幅×厚さ×長さ:27×2×180(mm)
金属コード:0.2mmφのスチールワイヤを5本撚りして7本配列
<加硫条件>
ゴム基材にトレッド溝を形成後、加硫した。
加硫温度:170℃
加硫時間:20分
<ゴム組成物>
ゴム組成物A:カーボン60phr
ゴム組成物B:シリカ60phr
ゴム組成物C:カーボン40phr
ゴム組成物D:シリカ40phr
ゴム組成物E:カーボン60phr
ゴム組成物F:シリカ60phr
ゴム組成物G:カーボン40phr
ゴム組成物H:シリカ40phr
なお、ゴム組成物A乃至Dは、スチレンブタジエンゴム(SBR)100%のゴムポリマー、ゴム組成物E乃至Hは、天然ゴム(NR)とブタジエンゴム(BR)が、夫々50質量%のゴムポリマーである。
テスト方法は次の通りである。
【0033】
<本願テスト>
前記試験片の溝底の中央部に深さ2mm、長さ8mmの切り込みを設け、切り込みを設けた状態から30〜40分後に切り込みの開き量を測定した。
【0034】
<オゾンテスト>
JISK6259に準拠し、オゾン濃度50±5pphmおよび引張量40±2%の条件に96時間連続して試験片を暴露したのち、クラックの状態をクラックの数とクラックの大きさおよび深さとについて、以下の基準に基づいて観察して記録した。クラックの数については、クラック少数をA、クラック多数をB、クラック無数をCと評価した。クラックの大きさおよび深さについては、肉眼では見えないが10倍の拡大鏡では確認できるものを1、肉眼で確認できるものを2、クラックが深くて比較的大きいもの(1mm未満)を3、クラックが深くて大きいもの(1mm以上3mm未満)を4、3mm以上のクラックまたは切断を起こしそうなものを5と評価した。テストの結果が表1に示される。
【0035】
【表1】
【0036】
テストの結果、本願テストによる切り込みの開き量と、オゾンテストにおけるクラックの状態とが相関関係にあることが理解できる。また、オゾンテストのテスト結果は、実際に長期間、走行させたタイヤに生じるクラックと近似したものとなることが判明している。従って、本願発明の評価方法が、耐溝底クラック性能を正確に評価できることが理解できる。
【符号の説明】
【0037】
1 タイヤ
2 トレッドゴム
3 試験片
4 トレッド溝
5 ゴム基材
6 裏当て材
7 金属コードプライ
7a 金属コード
図1
図2
図3
図4